LBS(高圧交流負荷開閉器)とは?記号、開放手順、耐用年数など

  • LBSってなに?
  • LBSとVCBとの違いって?
  • 記号は?
  • 開放手順について知りたい
  • 耐用年数は?
  • メーカーは?

上記の様な悩みを解決します。

LBSは電気設備の中でもかなり上位側にいる安全装置です。

上位側すぎてあまり触れることは少ないかもしれませんが、大きめの改修工事だったり新築だったりの場合は絡みがある場合があります。特にビル管理なんかの方は知っておいた方がいいかもしれません。

この記事ではLBSとは?といったところから、VCBとの違い、記号、開放手順、耐用年数、メーカーに付いて解説していきます。

なるべく分かりやすい表現で記事を執筆していくので、初心者の方にもそれなりに分かりやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

LBS(高圧交流負荷開閉器)とは?

LBS(高圧交流負荷開閉器)とは、結論「波及事故を防止する為のスイッチ」です。

まず波及事故とは?といったところから、ですが「電気が逆流して他の建物へ悪影響を与える事故のこと」と言えます。

電気は逆流します。逆流して、来た道(電路)とは違った道に入り込みます。

例えば、負荷Aと負荷Bの電路があったとしましょう。負荷Aで事故が発生した場合、その事故電流は上位側の電路まで逆流し、そこから負荷Bの電路へと入ってしまうことがあります。

事故が発生したのは負荷Aの回路ですが、波及事故により、負荷Bの回路がダメになってしまうことがあるんです。

ここまでが前提知識です。LBSにおける波及事故とは、もっと大きなものです。

まず建物内で電気が使える様になる為には、下記の様な流れがあります。

建物内で電気が使える様になるまでの流れ

  • 発電所で電気を作る
  • 変電所で電気を変換する
  • 配電設備(電柱の電線とか)に電気が流れる
  • 電線を分岐させて各建物に電気を供給する

要するに何が言いたいのかというと「電気の大元は同じ」ということです。大元は同じですが、分岐させているから各建物で電気が使える様になります。

話を戻すと、電気は逆流しますよね。もし建物内で事故が発生してしまった場合、電気が逆流して、他の建物に対して悪影響を与えてしまうことがあります。これが波及事故です。

波及事故を防止する為に使われる装置が、LBS(高圧交流負荷開閉器)になります。

LBSはその名の通り「開閉器」ですから、電路を開閉する役割を持ちます。建物内で事故が発生した際、波及事故を帽子する為に電路を閉めるのがLBS(高圧交流負荷開閉器)という訳です。

ちなみに、LBSのLとBとSは下記の様な英語の意味になります。

LBS(高圧交流負荷開閉器)の英語の意味

  • Load:負荷
  • Break:切る(電路を)
  • Switch:開閉器
要約すると「負荷電流の流れている電路を切るスイッチ」ですね。

似た様な設備でDS(断路器)やブレーカー(遮断器)などがありますが、開閉器は負荷電流が流れている電路の遮断をすることができます。

安全装置によって微妙に遮断できるものが異なりますので、違いについて理解しておきましょう。

 

LBS(高圧交流負荷開閉器)とVCBの違い

LBS(高圧交流負荷開閉器)とVCBとの違いは、結論「位置の高さと遮断能力」です。

そもそも何故この2つが混同されやすいかというと、それは電気設備における位置の高さにあると言えるでしょう。

VCBは真空遮断器のことでして、配電盤受変電設備などの上位側に位置する遮断器です。比較的高圧の電路を遮断するといった面を考えると、似ているとも言えます。

ただ、位置の高さで言うならば、LBS(高圧交流負荷開閉器)の方が高いです。

というよりも、LBS(高圧交流負荷開閉器)は建物内で最も高い位置にいます。VCBが上位側ならLBSは最上位といった格好です。

中にはLBSより上に付くVCBもありますが、多くはそうではありません。

LBSはPASと呼ばれる電力会社と需要家(建物オーナー)の境界にある装置の次に来るものです。超ざっくりと解説するなら、建物内の電気設備の始まりは下記です。

建物内の電気設備(上位側)

  • PAS(電力会社と需要家の境界)
  • LBS(波及事故防止用の開閉器)
  • 変圧器(電圧を変換する)
  • 各配電盤へと分岐

この内4つ目の「各配電盤」に付けられているのがVCBです。

また、遮断能力も異なります。

確かにVCBも遮断能力が高いことで有名ですが、LBSの方がもっと遮断能力が高いです。上位側ですから当たり前かもしれませんが。。。ヒューズが付いている分、遮断能力が高いと言えるでしょう。

 

LBS(高圧交流負荷開閉器)の記号

高圧交流負荷開閉器の記号は「LBS」です。

この内、BSの部分が「開閉器(スイッチ)」という意味になります。

遮断器で一番有名なのは「MCCB」ですよね。この内「CB」が遮断器という意味な訳で、類似したものでいくなら「ELCB」や「VCB」なんかが挙げられます。

対して開閉器(BS)に関してはLBS以外あまり聞きません。開閉器に関してはLBSを抑えておけば良いでしょう。ちなみに断路器も代表的なDS(ディスコン)くらいしか聞かないですね。

 

LBS(高圧交流負荷開閉器)の開放手順

LBS(高圧交流負荷開閉器)の開放手順

  • 長靴や手袋など専用の道具を着用する
  • フック棒で右側の操作レバーを押す
  • LBSが開放される

繰り返しになりますが、LBSには大きな電流が流れています。電気が大きい分、事故へと繋がりやすいですので、絶縁関係の材料は必ず着用する必要があります。

アークが発生してしまう可能性がありますから、棒で開放を行う必要があるんです。

ディスコン(断路器)なんかで使う棒を使って操作レバーを操作します。するとガコンと音を立ててLBSが開放されます。

トランスの上位側に付いているのがLBSですから、開放するタイミングはそこまで多くありません。

ただ、LBSの年数が経過していると交換工事の必要が出てきたりしますので、その際は開放の必要が出てくるといった格好ですね。

 

LBS(高圧交流負荷開閉器)耐用年数

LBS(高圧交流負荷開閉器)の耐用年数は「10年から30年程度」です。

これといった決まりは無く、おおよその数字になります。要するに「どれだけ使っているか?」が「どれだけ劣化しているか?」に繋がりますので、一概には言えません。

ブレーカーなんかでも同じです。何度も何度も開放したり投入したりすると、ブレーカーは劣化します。使えば使うほど、寿命は早くなります。

LBSを開放するタイミングが多ければ多いほど、劣化が早く、早く更新工事が必要になります。

比較的大規模な設備ですので、更新にはお金がかかります。

また、古いものでしたら古い方がお金がかかりますので、定期的なメンテナンスが欠かせません。

 

LBS(高圧交流負荷開閉器)を作っているメーカー

LBS(高圧交流負荷開閉器)を作っているメーカー

  • 富士電機
  • 日立
  • 東芝
  • 三菱電機
  • エナジーサポート
  • 伊丹電材
  • 大垣電機

 

LBS(高圧交流負荷開閉器)に関する情報まとめ

  • LBS(高圧交流負荷開閉器)とは:波及事故を防止する為のスイッチ
  • VCBとの違い:位置の高さと遮断能力
  • 記号:LBS
  • 開放手順:長靴や手袋など専用の道具を着用する、フック棒で右側の操作レバーを押す
  • 耐用年数:10年から30年程度
  • メーカー:富士電機、日立、東芝、三菱電機、エナジーサポート、伊丹電材、大垣電機

以上がLBS(高圧交流負荷開閉器)に関する情報のまとめです。

一通り基礎知識は網羅できたと思います。

電気設備は数多くの装置が絡み合って成り立っています。LBS単体を知るだけでなく、全体の流れを理解しておけばより電気設備に関しての理解が深まります。

下にLBSと合わせて抑えておいた方がいい単語の記事リンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。

それでは!