建設業法とは?いくらから何が要るのかを施工管理の現場目線で整理

  • 建設業法って、結局なにを決めている法律?
  • 施工管理の自分に関係あるのは、どの条文?
  • 許可が要るのは、いくらの工事から?
  • 建築一式だけ金額が違うのはなぜ?
  • 監理技術者や専任は、何円から必要になる?
  • 現場を掛け持ちできる条件が変わったって本当?
  • 追加工事を口頭で頼まれたけど、書面は要る?
  • 違反したら、どんな罰則がある?

上記の様な悩みを解決します。

結論、建設業法は第1条で、建設業を営む者の資質の向上と請負契約の適正化を図り、建設工事の適正な施工を確保する法律です。現場に効くのは許可、請負契約の書面、主任技術者・監理技術者の配置の3つで、いくらから何が要るのかは金額で線が決まるものが多くあります(建設業法第1条・e-Govの現行版=2025年12月12日施行)。

建設業法を扱った解説の多くは、経営者や契約担当の目線で、許可の取り方から話が始まります。ただ、施工管理が本当に知りたいのは「この現場は請負代金がいくらで、外注がいくらだから、何が要るのか」のほうですよね。この記事では、軽微な工事の500万円から専任の例外にかかわる1億円まで、金額で引かれた主な6本の線を1枚の表に並べ、現場で手を動かす施工体制台帳と標識の条文も独立して扱います。条文はe-Govの現行版(建設業法=2025年12月12日施行、建設業法施行令=2026年4月1日施行、建設業法施行規則=2026年10月1日施行)で確かめた内容で、罰則も今の条文どおり拘禁刑で書いています。

条文の言い回しはなるべく噛み砕いて書いていくので、法規が苦手な方でも読み進めやすいはずです。

それではいってみましょう!

目次

建設業法とは?第1条の目的と「建設工事」「建設業」の定義

建設業法とは、結論「建設業を営む者と建設工事の請負契約にルールをかけて、工事が適正に施工されるようにする法律」のことです。

目的を定めた第1条の原文は「この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」です(建設業法第1条・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

長い一文ですが、「〜を図ることによつて」の前が手段、後ろがゴールという作りになっています。僕はこの第1条を、手段の1つ目「資質の向上」が許可と技術者の配置の条文に、2つ目「請負契約の適正化」が契約書面や請負代金の条文に、それぞれ姿を変えて出てくる設計図だと読んでいます。この記事の章立ても、その順番で並べています。

条文の中で何度も出てくる言葉は、第2条で決まっています。施工管理が押さえておきたいのは次の3つです(建設業法第2条第1項〜第3項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

  • 建設工事:土木建築に関する工事で、別表第一の上欄に掲げるもの
  • 建設業:元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業
  • 建設業者:第3条第1項の許可を受けて建設業を営む者

現場目線で効いてくるのは2つ目の「建設業」の定義です。元請か下請かを問わないと書かれているので、二次・三次で入っている会社も建設業を営む者に当たります。「うちは下請だから、建設業法は元請の会社の話」という受け止め方は、第2条第2項の文言とかみ合いません(建設業法第2条第2項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

もう1つ、「建設業」と「建設業者」は別の言葉です。建設業者は許可を受けた者を指すので、条文の主語が「建設業者は」になっているところは、許可を受けた会社にかかる決まりだと読めます。

いつの条文を見ればいいかも、ここで決めておきます。2026年11月5日時点でe-Govに載っている現行版は次の3つで、3つとも未施行の版は登録されていませんでした。

法令 e-Govの現行版の施行日 最後の改正
建設業法 2025年12月12日 令和6年法律第49号
建設業法施行令 2026年4月1日 令和7年政令第412号
建設業法施行規則 2026年10月1日 令和8年国土交通省令第82号

この記事にかかわる改正の時期も、e-Govの過去の版と見比べて確かめました。施行令の金額は令和6年政令第366号により2025年2月1日から今の額になり、第26条第3項ただし書(専任の例外)は令和6年法律第49号により2024年12月13日から今の形、第19条の3第2項(建設業者側の原価割れ契約の禁止)は2025年12月12日施行の版から入っています(e-Gov 建設業法・建設業法施行令の各版)。社内の手順書や古い参考書の数字が表と食い違っていたら、まず版の日付を疑ってみてください。

なお、建設業法が向いているのは建設業を営む者と請負契約で、現場で働く人の安全を正面から扱う法律は別にあります。安全側の規則は労働安全衛生規則について整理した記事で扱っています。

金額で決まる線の一覧|許可・特定・台帳・専任・兼任

いくらから何が要るのかは、法律が金額を政令に任せている箇所のうち、現場に直接かかわる主なものを拾うと、6本の線に整理できます(特定専門工事の金額は技術者の節で触れます)。

次の表の金額は建設業法施行令(e-Gov現行版=2026年4月1日施行)、要件は建設業法(e-Gov現行版=2025年12月12日施行)の各条で確かめたもので、根拠の列に条番号を入れています。

線の名前 金額 建築の場合の金額 根拠条文
許可が要らない軽微な建設工事 工事1件の請負代金の額が500万円に満たない工事 建築一式工事は1,500万円に満たない工事、又は建築一式工事のうち延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事 法第3条第1項ただし書・令第1条の2第1項
特定建設業の許可が要る 発注者から直接請け負う1件の工事で、下請代金の額(2以上あるときは総額)が5,000万円以上 許可を受けようとする建設業が建築工事業なら8,000万円以上 法第3条第1項第2号・令第2条
監理技術者を置く 発注者から直接請け負った特定建設業者で、下請代金の額(総額)が5,000万円以上 建築工事業なら8,000万円以上 法第26条第2項・令第2条
施工体制台帳を作る 特定建設業者が発注者から直接請け負い、下請代金の額(総額)が5,000万円以上 直接請け負った工事が建築一式工事なら8,000万円以上 法第24条の8第1項・令第7条の4
技術者を専任にする 令第27条第1項各号の工事で、1件あたりの請負代金が4,500万円以上 建築一式工事なら9,000万円以上 法第26条第3項・令第27条第1項
専任の例外(第1号イ) 請負代金の額が1億円未満 建築一式工事なら2億円未満 法第26条第3項第1号イ・令第28条

表を縦に眺めると、条文を1本ずつ読んでいるときには気づきにくい特徴が見えてきます(上の表と同じく建設業法・建設業法施行令のe-Gov現行版で確認)。

  • 数える金額が2種類ある:特定建設業・監理技術者・施工体制台帳は「下請に出す代金の総額」、軽微な工事・専任・専任の例外は「自社が請け負った代金の額」で線を引いている
  • 同じ5,000万円(建築8,000万円)が、特定建設業の許可・監理技術者・施工体制台帳の3つにまとめて効く
  • 建築の書き方が条によって違う:令第2条は「建築工事業」、令第1条の2・第7条の4・第27条・第28条は「建築一式工事」
  • 境目の言葉が違う:軽微な工事は「満たない」、専任の例外は「未満」、それ以外は「以上」

3つ目は読み落としやすいところです。令第2条は「同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、八千万円とする」と許可の業種で書き分け、令第7条の4は「特定建設業者が発注者から直接請け負つた建設工事が建築一式工事である場合においては、八千万円とする」と工事の種類で書き分けています(建設業法施行令第2条・第7条の4・e-Gov現行版=2026年4月1日施行)。同じ8,000万円でも、判定の入口が違うわけです。

軽微な工事の線には、契約を分けた場合の決まりもあります。同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額で判定し、正当な理由に基づいて分割したときはこの限りでない、とされています(建設業法施行令第1条の2第2項・e-Gov現行版=2026年4月1日施行)。

僕としては、受注が決まった段階で「請負代金の額」と「外注の合計の見込み」の2つの数字を並べておくのが一番の近道だと思っています。この2つが分かれば、表のどの行にかかる現場なのか、金額の面の目安がつきます。

建設業の許可|大臣と知事、一般と特定、許可が要らない軽微な工事

建設業の許可は、営業所をどこに置くかで許可を出す人が決まり、元請として下請に出す額で一般と特定が分かれる仕組みです。

第3条第1項は、建設業を営もうとする者は、2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業する場合は国土交通大臣の、1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業する場合はその営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない、と定めています。そのうえで、許可を第1号と第2号の区分に分けています(建設業法第3条第1項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

  • 国土交通大臣の許可:2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業する場合
  • 都道府県知事の許可:1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業する場合
  • 第1号(一般建設業):第2号に掲げる者以外のもの
  • 第2号(特定建設業):発注者から直接請け負う1件の工事につき、下請代金の額(総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの

大臣か知事かを分けているのは営業所を置く都道府県の数で、条文の文言は営業所の置き方を基準にしています。

一般か特定かの判定は、現場の発注の流れに置き換えると分かりやすくなります。第2号の文言は「その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき」となっていて、数えるのは元請として受けた工事の下請契約です。鉄筋、型枠、設備と外注先を積み上げていった下請代金の総額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)に届くかどうかで、特定建設業の許可が要るかが決まります(建設業法第3条第1項第2号・建設業法施行令第2条・e-Gov現行版=法2025年12月12日施行、令2026年4月1日施行)。元請と下請の立場の違いそのものは元請の役割をまとめた記事が参考になります。

第3条第1項にはただし書があり、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、許可を受けなくてよいとされています。軽微な建設工事の範囲は前の章の表の1行目のとおりで、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事、又は建築一式工事のうち延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事です(建設業法第3条第1項ただし書・建設業法施行令第1条の2第1項・e-Gov現行版=法2025年12月12日施行、令2026年4月1日施行)。「のみ」と書かれている点がポイントで、線を越える工事を1件でも請け負うなら許可の話に戻ってきます。

許可の要件や申請の流れは建設業許可の要件と申請の記事、2つの区分の違いは特定建設業の記事と一般建設業の記事でそれぞれ詳しく扱っています。

請負契約のルール|書面の記載事項と不当に低い請負代金の禁止

請負契約については、契約の中身を紙に残して交わすことと、原価を割る金額で契約しないことの2本が柱になっています。

第19条第1項は、建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して決められた事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない、としています。記載事項は第1号から第16号までの16項目で、現場の段取りに直結するものを抜き出すと次のとおりです(建設業法第19条第1項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

  • 第1号:工事内容
  • 第2号:請負代金の額
  • 第3号:工事着手の時期及び工事完成の時期
  • 第6号:設計変更や工事着手の延期、工事の中止の申出があった場合の工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担と、それらの額の算定方法に関する定め
  • 第8号:価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更と、その額の算定方法に関する定め
  • 第15号:契約に関する紛争の解決方法

工期や代金そのものだけでなく、「変わったときにどう決めるか」まで契約の時点で書いておく作りになっているのが特徴です。

現場で引っかかりやすいのは、契約後の追加や変更です。第19条第2項は、第1項に掲げる事項に当たる内容を変更するときも、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない、としています(建設業法第19条第2項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。現場で「ついでにここもやっておいて」と頼まれた追加工事で工事内容や請負代金の額が変わるなら、口頭の了解だけで終わらせるのは条文が求める形になっていません。変更の書面の作り方は変更契約書の記事、契約書を電子で交わす場面の話は電子契約の記事にまとめています。

もう1つの柱が、第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」です。第1項は注文者に対し、自己の取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない、としています。第2項は建設業者に対し、自らが保有する低廉な資材を用いることができることその他の国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、原価に満たない金額で請負契約を締結してはならない、としています(建設業法第19条の3・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

この第2項は2025年12月12日施行の版から入ったもので、2025年6月1日施行版の第19条の3は注文者側の第1項だけでした(e-Gov 建設業法 2025年6月1日施行版と現行版の比較)。つまり今は、安く発注する側だけでなく、安く受ける側にも禁止がかかっています。個人的には、見積りを詰める場面で「原価を割ってでも取る」という判断が、受ける側の条文違反にもなり得るようになった点が、この改正で一番重いところだと考えています。

現場の技術者|主任技術者・監理技術者の配置、専任と兼任の条件

技術者の配置は、主任技術者は金額にかかわらず、監理技術者は下請代金の総額で、専任は請負代金の額で、という3段で決まっています(建設業法第26条第1項〜第3項・建設業法施行令第2条・第27条第1項・e-Gov現行版=法2025年12月12日施行、令2026年4月1日施行)。

  • 1段目:許可を受けた建設業者が請け負った工事を施工するときは、主任技術者を置く(第26条第1項)
  • 2段目:元請の特定建設業者で下請代金の総額が5,000万円(建築工事業8,000万円)以上なら、主任技術者に代えて監理技術者を置く(第26条第2項・令第2条)
  • 3段目:令第27条第1項各号の工事で請負代金の額が4,500万円(建築一式工事9,000万円)以上なら、その技術者は工事現場ごとに専任(第26条第3項・令第27条第1項)

以下、段ごとに中身を見ていきます。

主任技術者は請け負った工事ごとに置く

第26条第1項は、建設業者は、その請け負った建設工事を施工するときは、第7条第2号イ、ロ又はハに該当する者で、工事現場における施工の技術上の管理をつかさどるもの(主任技術者)を置かなければならない、としています(建設業法第26条第1項・第2条第2項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。この項には金額の条件が書かれていません。さらに第2条第2項で建設業は元請か下請かを問わないとされているので、許可を受けた会社であれば、一次でも二次でも、請け負った工事には主任技術者を置くことになります。主任技術者の役割や現場での動き方は主任技術者の記事で詳しく書いています。

監理技術者は下請に出す総額で決まる

第26条第2項は、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の請負代金の額(2以上あるときは総額)が第3条第1項第2号の政令で定める金額以上になる場合、主任技術者に代えて、第15条第2号イ、ロ又はハに該当する者で施工の技術上の管理をつかさどるもの(監理技術者)を置かなければならない、としています(建設業法第26条第2項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。政令で定める金額は令第2条の5,000万円、建築工事業は8,000万円です(建設業法施行令第2条・e-Gov現行版=2026年4月1日施行)。

ここで要るのは元請の立場であることと、下請に出す総額の2つです。自社が受けた請負代金がいくら大きくても、外注の総額が線に届かなければ、この項の監理技術者の話にはなりません。

専任は請負代金の額と工事の種類で決まる

第26条第3項は、公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについて、主任技術者又は監理技術者は工事現場ごとに専任の者でなければならない、としています(建設業法第26条第3項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

政令で定める重要な建設工事は、令第27条第1項の各号に当たる工事のうち、1件あたりの請負代金が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上のものです。各号には、第1号の国又は地方公共団体が注文者である施設又は工作物に関する工事のほか、第3号に学校、病院又は診療所、事務所、共同住宅、工場などが並んでいて、民間の工事も広く入っています。また同条第2項は、密接な関係のある2以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所で施工するものについては、同一の専任の主任技術者がこれらを管理することができる、としています(建設業法施行令第27条・e-Gov現行版=2026年4月1日施行)。

ここまでを並べると、主任技術者は請け負った工事を施工するときに置くもので、監理技術者や専任は金額で線が引かれている、という形になります。

専任の例外は2つの道がある

第26条第3項にはただし書があり、次の2つに当たる主任技術者又は監理技術者は、専任でなくてよいとされています(建設業法第26条第3項ただし書・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

1つ目の道は第1号で、次のイ、ロ、ハのいずれにも該当する場合の主任技術者又は監理技術者です。イは、請負代金の額が政令で定める金額未満であることで、その金額は1億円、建築一式工事は2億円です(建設業法第26条第3項第1号・e-Gov現行版=2025年12月12日施行、建設業法施行令第28条・e-Gov現行版=2026年4月1日施行)。ロは、工事現場間の移動時間又は連絡方法その他の施工体制の確保のために必要な事項に関し、国土交通省令で定める要件に適合すること。ハは、主任技術者又は監理技術者が工事現場の状況の確認などの職務を情報通信技術を利用する方法により行うため必要な措置として、国土交通省令で定めるものが講じられていることです。金額だけ満たしても、ロとハがそろわなければ第1号には当たりません。

2つ目の道は第2号で、工事現場に、監理技術者の職務を補佐する者として政令で定める者を専任で置く場合の監理技術者です。こちらは監理技術者だけが対象で、主任技術者には使えません。補佐する者は令第29条で、第7条第2号イ、ロ又はハに該当する者のうち、監理技術者の職務に係る基礎的な知識及び能力を有すると認められる者として建設工事の種類に応じ国土交通大臣が定める要件に該当する者、又は国土交通大臣がそれと同等以上の能力を有するものと認定した者とされています(建設業法第26条第3項第2号・e-Gov現行版=2025年12月12日施行、建設業法施行令第29条・e-Gov現行版=2026年4月1日施行)。

どちらの道にも上限があります。第26条第4項は、ただし書の規定について、同項各号の建設工事の工事現場の数が政令で定める数を超えるときは適用しない、としていて、その数は令第30条で「二」です(建設業法第26条第4項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行、建設業法施行令第30条・e-Gov現行版=2026年4月1日施行)。掛け持ちできる条件が変わったと聞いて、何現場でも持てるようになったと受け取るのは早計です。

専任でなければならない監理技術者は、ただし書の各号の監理技術者も含めて、監理技術者資格者証の交付を受け、国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから選ぶ決まりで、発注者から請求があれば資格者証を提示します(建設業法第26条第5項・第6項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。カードの申請は監理技術者資格者証の記事、講習の期限は監理技術者講習の記事で扱っています。

特定専門工事の特例は別の仕組み

掛け持ちの話と混ざりやすいのが、第26条の3の特定専門工事の特例です。これは、型枠の組立てに関する工事と鉄筋工事のうち、元請負人が締結した下請契約の請負代金の総額が4,500万円未満のものについて、元請負人と下請負人の合意により、元請負人の主任技術者が下請負人の主任技術者の職務も行い、下請負人は主任技術者を置かなくてよいとする仕組みです。合意は書面(又は国土交通省令で定める情報通信の技術を利用する方法)で行い、あらかじめ注文者の書面による承諾を得ること、元請負人が置く主任技術者は1年以上の指導監督的な実務の経験を有し、その工事現場に専任で置かれること、下請負人はさらに他人に請け負わせてはならないこと、が条件として並んでいます(建設業法第26条の3・建設業法施行令第31条・e-Gov現行版=法2025年12月12日施行、令2026年4月1日施行)。1人の技術者が複数の現場を持つための規定ではなく、1つの現場で元請と下請の主任技術者をまとめる規定だと押さえておくと混乱しません。

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主任技術者は第26条第1項により、請け負った工事を施工するときに置くものです。一方、監理技術者や専任は金額で線が引かれていて、条文の読み違いを避けたい箇所です。受験で条文の読み方に不安がある方は、独学サポート事務局の施工管理技士の受験対策講座も選択肢のひとつです。

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施工体制台帳と現場の標識|施工管理が現場で触る条文

建設業法の中で、施工管理が自分の手で用意したり現場に掲げたりするのが、施工体制台帳と標識です。

施工体制台帳は第24条の8第1項で、特定建設業者が発注者から直接建設工事を請け負った場合に、下請契約の請負代金の額(2以上あるときは総額)が政令で定める金額以上になるとき、下請負人の商号又は名称、下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の事項を記載した台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない、とされています。政令の金額は令第7条の4で5,000万円、直接請け負った工事が建築一式工事なら8,000万円です(建設業法第24条の8第1項・建設業法施行令第7条の4・e-Gov現行版=法2025年12月12日施行、令2026年4月1日施行)。

同じ条には、台帳と一緒に動く決まりも並んでいます。第2項は、下請負人がさらに他の建設業を営む者に請け負わせたときは、元請の特定建設業者に、その者の商号又は名称、請け負った工事の内容及び工期などを通知すること。第3項は、発注者から請求があったときは台帳を閲覧に供すること。第4項は、各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、工事現場の見やすい場所に掲げることです(建設業法第24条の8第2項〜第4項・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。台帳の作り方は施工体制台帳の記事、掲示する図は施工体系図の記事、二次以降の下請に出す場面は再下請について書いた記事が参考になります。

標識は第40条です。建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負ったものに限る)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、許可を受けた建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他の事項を記載した標識を掲げなければならない、とされています(建設業法第40条・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。括弧書きのとおり、現場の標識を掲げるのは発注者から直接請け負った現場、つまり元請の現場です。

記載事項は施行規則第25条で、店舗は第1号から第4号まで、建設工事の現場は第1号から第5号までとされています(建設業法施行規則第25条第1項・e-Gov現行版=2026年10月1日施行)。

  • 第1号:一般建設業又は特定建設業の別
  • 第2号:許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業
  • 第3号:商号又は名称
  • 第4号:代表者の氏名
  • 第5号:主任技術者又は監理技術者の氏名

現場だけにある第5号が、技術者の配置とつながっています。様式は店舗が別記様式第28号、建設工事の現場が別記様式第29号です(建設業法施行規則第25条第2項・e-Gov現行版=2026年10月1日施行)。第5号は現場の技術者の氏名を求めているので、技術者が交代したときは標識の書き換えも交代の段取りに含めておくのが確実です。

違反したときの罰則と、国交省の法令遵守ガイドライン

罰則は第8章「罰則」(第45条から)にまとまっていて、今の条文では刑名が「拘禁刑」で書かれています。古い資料の表記と違っていたら、それも版の違いです。

現場の仕事に関わりやすいものから見ると、まず無許可営業にかかる第47条で、次のいずれかに当たるときは、違反行為をした者は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処し、情状により拘禁刑と罰金を併科することができる、とされています(建設業法第47条・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

  • 第1号:第3条第1項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだとき
  • 第2号:第16条の規定に違反して下請契約を締結したとき
  • 第3号:第28条第3項又は第5項の規定による営業停止の処分に違反して建設業を営んだとき
  • 第4号:第29条の4第1項の規定による営業の禁止の処分に違反して建設業を営んだとき
  • 第5号:虚偽又は不正の事実に基づいて第3条第1項の許可などを受けたとき

第1号が、軽微な建設工事の線を越えて許可なしで請け負った場合の条文です。前の章までの金額の表が、そのまま罰則の入口にもなっているわけです。

第50条は、6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金で、こちらも情状により併科できます。対象は、第5条の許可申請書又は第6条第1項の書類に虚偽の記載をして提出したとき、第11条の書類を提出しない又は虚偽の記載をして提出したとき、第11条第5項の届出をしなかったとき、などで、許可の申請や届出の書類にかかわる号が並んでいます(建設業法第50条・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。第50条の各号には、技術者の配置や標識を直接の対象にした号はありません。技術者の配置については別に第52条があり、第26条第1項から第3項まで又は第26条の3第7項の規定による主任技術者又は監理技術者を置かなかったときは、100万円以下の罰金とされています(建設業法第52条第1号・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。罰則の条文はほかにもあるので、手元の事案がどれに当たるかは、e-Govの条文で確かめるのが確実です。

会社にも罰金がかかる両罰規定が第53条です。法人の代表者や従業者などが、その法人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても罰金刑を科すとされ、第47条の違反については法人に1億円以下の罰金刑、第50条の違反については各本条の罰金刑と定めています(建設業法第53条・e-Gov現行版=2025年12月12日施行)。

条文だけでは現場の判断がつきにくいときは、国土交通省のガイドラインを当たります。元請と下請の取引で見るのは「建設業法令遵守ガイドライン(第12版)-元請負人と下請負人の関係に係る留意点-」(国土交通省不動産・建設経済局建設業課・令和8年1月)です。同じページには「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(令和8年1月改訂:第8版)」も載っていて、第12版については「一部条文の記載に誤りがありましたので訂正しております。(R8.2.2更新)」と注記されています(国土交通省「ガイドライン・マニュアル」のページ・2026年11月5日確認)。ダウンロードして手元に置くなら、更新後のファイルを取り直しておくのが安心ですね。

建設業法に関する情報まとめ

  • 建設業法とは:第1条で、建設業を営む者の資質の向上と請負契約の適正化を図り、工事の適正な施工を確保する法律(法第1条)。下請も「建設業」に入る(法第2条第2項)
  • 金額で決まる線:軽微な工事500万円(建築一式1,500万円等)、特定建設業・監理技術者・施工体制台帳は下請代金の総額5,000万円(建築8,000万円)、専任4,500万円(建築一式9,000万円)、専任の例外は1億円未満(建築一式2億円未満)(令第1条の2・令第2条・令第7条の4・令第27条・令第28条)
  • 建設業の許可:営業所の置き方で大臣か知事か、元請として下請に出す額で一般か特定かが決まる(法第3条第1項)
  • 請負契約:第19条の16項目を書面で交わし、変更も書面。原価を割る契約は注文者にも建設業者にも禁止(法第19条・第19条の3)
  • 現場の技術者:主任技術者は請け負った工事ごと、監理技術者は下請代金の総額、専任は請負代金の額で決まる。専任の例外は第1号(イ・ロ・ハ全部)と第2号(補佐する者を専任配置)の2つで、現場数は二まで(法第26条・令第30条)
  • 施工体制台帳と標識:台帳は元請の特定建設業者が5,000万円(建築一式8,000万円)以上で作り、標識は元請の現場に掲げる(法第24条の8・法第40条・規則第25条)
  • 罰則:無許可営業は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金刑(法第47条・第53条)

以上が建設業法に関する情報のまとめです。

次の現場の受注が決まったら、請負代金の額と外注の合計の見込みを書き出して、金額の表のどの行にかかるかを確かめるところから始めてみてください。そこに元請かどうかと工事の種類を重ねると、監理技術者が要るか、専任になるか、施工体制台帳を作るかの見当が金額の面からつきます。施工管理技士の試験で法規を整理するときも、条文を頭から追うより、この6本の線と技術者の3段を先に押さえてから肉付けしていくほうが、僕は頭に入りやすいと思います。

監理技術者になるための資格や実務経験の要件を確かめたい方は、監理技術者の要件をまとめた記事も合わせて読んでみてください。

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