- 施工体系図ってなに?
- 施工体制台帳とどう違うの?
- 全部の下請けを書かないとダメ?
- どこに提出するの?
- 民間工事でも必要?
- 主任技術者・監理技術者ってどこに書く?
上記の様な悩みを解決します。
「施工体系図」は元請け施工管理者なら避けて通れない法定書類で、書き方を間違えると行政指導の対象になります。書き方・掲示義務・施工体制台帳との違いを一通り押さえておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
施工体系図とは?
施工体系図とは、結論「元請から末端の下請まで、その工事に関わる全建設業者の関係をツリー状にまとめた図」のことです。
身近な例で言うと、現場事務所の入口や朝礼広場に貼ってある「元請○○建設」の下に「1次下請」「2次下請」と組織図みたいに広がっている、あの一枚紙が施工体系図です。
法的根拠は建設業法第24条の8第4項+同法施行規則第14条の2で、特定建設業者が下請契約の総額が一定以上になった工事で作成・掲示する義務があります。
施工体制台帳の話とセットで覚えるのがオススメです。

施工体系図と施工体制台帳の違い
最も混同しやすいのが施工体制台帳との違い。両者はセット書類ですが、役割が違います。
| 項目 | 施工体系図 | 施工体制台帳 |
|---|---|---|
| 形式 | 1枚のツリー図 | 業者ごとの帳票束(ファイル) |
| 記載内容 | 業者名・工事内容・主任技術者名 | 業者の許可番号、契約金額、保険、雇用関係 |
| 詳しさ | 一覧性重視(簡潔) | 詳細情報の集積 |
| 掲示義務 | あり(現場の見やすい場所) | なし(保管のみ) |
| 発注者請求権 | 閲覧 | 閲覧(公共工事は写しの提出義務) |
| 更新頻度 | 業者追加時に都度更新 | 業者追加時に都度更新 |
つまり「施工体制台帳の中身を、関係者と来訪者が一目で分かるように図で要約したもの」が施工体系図、と捉えると間違いがありません。
両者はワンセットなので、片方だけ作って終わり、はあり得ません。台帳を作ったら必ず体系図も作る、という運用です。
施工体系図の作成義務(公共工事と民間)
施工体系図を作らなければならない条件は、公共工事と民間工事で違います。
公共工事の場合(公共工事入札契約適正化法)
- すべての元請特定建設業者に作成義務
- 下請契約金額に関係なく作成
- 入札契約適正化法に基づき、発注者への提出も必要
民間工事の場合(建設業法)
- 元請が特定建設業者であること
- 下請契約の総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の場合
- 一般建設業者の元請は作成義務なし
つまり「公共工事ならいつも必要、民間は契約金額次第」という覚え方でOK。
ただし民間でも、特定建設業者でない元請(一般建設業者)でも、自主的に作成する例は増えています。元請の管理品質を可視化する効果があるので、最近は民間でも事実上の標準書類になりつつあります。
一般建設業との違いはこちら。

施工体系図に必要な記載項目
施工体系図に必ず記載する項目は以下。
施工体系図の必須記載項目
- 元請業者名:商号、許可番号、特定/一般の別
- 元請の主任技術者・監理技術者の氏名・資格
- 下請業者名(1次・2次・3次…末端まで)
- 各下請の請負工事内容:「型枠工事」「鉄骨建方」など
- 各下請の主任技術者の氏名・資格
- 健康保険等の加入状況:CCUS連携で省略可の場合あり
- 作業員数の概数(記載が望ましい)
- 工期(全体工期と各下請工期)
形式は自由ですが、国土交通省が標準様式を公表していて、ほとんどの現場はこれをExcelテンプレで使い回しています。
監理技術者は元請の特定建設業者にのみ要求される配置技術者で、下請総額4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)の現場で必要。それ未満は元請も主任技術者でOK、という棲み分けです。
主任技術者・監理技術者の話はこちら。

施工体系図の書き方(実務)
実務で書くときのコツを5つ。
施工体系図を作るときの実務ポイント
- 元請を最上段、末端下請を最下段に:ツリー構造を維持
- 同じ階層は横並びに:1次下請は1段、2次下請は2段下、で揃える
- 業者数が多すぎて入りきらない場合:A3またはA2にサイズアップ、または工事種別ごとに分割
- 主任技術者の専任/兼任を明記:一定規模で「専任」表示が義務
- 更新時は日付を更新:業者追加・撤去のたびに最新版に差し替え
「同じ階層を横並びにする」のが結構重要。1次下請の中にも、躯体・電気・設備・仮設、など分野が違う業者が並ぶので、見やすいレイアウトを意識します。
「全業者を漏れなく書く」が大原則。「単発で1日だけ来る応援職人なら省略していい」と判断するとアウトで、契約書を交わした以上は1日仕事の業者でも記載対象です。
施工体系図の掲示と提出
施工体系図には「掲示義務」と「提出義務」の2つがあります。
掲示義務(現場での見える化)
- 現場の工事関係者と公衆が見やすい場所
- 朝礼広場、入退場ゲート、現場事務所入口が定番
- 屋外掲示の場合はラミネートまたは透明ファイルで防水
- 来場者からの閲覧請求に応じる体制も必要
提出義務
- 公共工事:発注者への提出(入札契約適正化法)
- 民間工事:原則発注者の閲覧請求があれば応じる
- 行政の立入検査時:建設業法第31条で提示義務
特に公共工事では「現場掲示+発注者提出+更新時の都度更新報告」の三点セットが必要なので、書類管理の手間がそこそこあります。
民間工事でも、労基署の臨検や発注者の安全パトロールで要求されることが多いので、現場には必ず最新版を1部置いておくのが鉄則です。
施工体系図でやらかしがちなミス
実務でよくある失敗を5つ。
施工体系図あるある失敗
- 業者追加時の更新漏れ:途中入場の業者が体系図に載っていない、行政指導案件
- 主任技術者の空欄:下請の主任技術者欄が「未定」のまま放置
- 専任/兼任の誤記:3,500万円超なのに「兼任」と記載してアウト
- 掲示場所の不適切:現場事務所内の壁に貼って公衆から見えない
- 末端下請の脱落:3次・4次下請まで記載が必要なのに省略
特に1の「業者追加時の更新漏れ」は最も多い失敗。「来週から鉄骨工事だから、再来週から〇〇鉄工が入場します」みたいな業者追加情報を、現場事務員にちゃんと連絡する仕組みを作っておくのがコツ。
CCUSの活用で記載項目の一部が省略できるようになっていますが、省略OKの範囲を勘違いしてゴッソリ抜けると行政指導になるので、CCUS連携の運用ルールも社内で統一しておきます。
書類関係はこちらも参考に。


施工体系図に関する情報まとめ
- 施工体系図とは:元請から末端下請まで全業者の関係をツリー状にまとめた図
- 施工体制台帳との違い:体系図は1枚の要約図、台帳は業者ごとの詳細帳票束
- 作成義務:公共工事は常に必要、民間は下請総額4,500万円以上で必要
- 必須記載項目:業者名・許可番号・主任技術者氏名・工事内容・健康保険・工期など
- 書き方のコツ:階層別に横並び、専任/兼任を明記、業者追加で都度更新
- 掲示義務:現場の見やすい場所に常時掲示、来場者閲覧対応
- 公共工事の追加義務:発注者への提出、更新時の報告
以上が施工体系図に関する情報のまとめです。
一通り施工体系図の基礎知識は理解できたと思います。「体制台帳とセットで作る」「業者追加で都度更新」「専任/兼任の正確な表記」を押さえておけば、行政指導や臨検で焦ることはなくなります。
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