消防設備士の乙6は消火器の整備・点検の免状|甲種に第六類は無い

  • 乙6って、消火器だけを扱う免状なの?
  • 甲種6類って、どこを探しても出てこないんだけど?
  • 消火器を新しく置くだけでも、免状を持った人が要る?
  • 消火器の点検って、ビルの持ち主がやるもの?何か月ごと?
  • 製造から何年たったら、中まで開けて点検するの?
  • 点検のとき、置き場所の高さや間隔は何を基準に見ればいい?
  • 試験は何問で何時間?実技もあるの?
  • 第二種電気工事士を持っていたら、科目は減る?
  • 毎年どれくらいの人が受けて、何人受かってる?
  • 合格後にも講習があるって本当?期限は?

上記の様な悩みを解決します。

乙6(消防設備士乙種第6類)は、消火器の整備と点検ができる乙種の免状です。消防法施行規則の甲種の表(第33条の3第1項)に第六類の行はなく、第六類は乙種の表(同条第3項)に「消火器」として載っています。令和7年度の乙種第6類は、受験者32,400人、合格者11,541人、合格率35.6%でした(消防試験研究センター 試験実施状況)。

乙6を調べると、勉強のコツや難易度の話はたくさん出てくるのに、消火器を「置く」ことと「整備する」ことが条文でどう分けられているのか、点検をだれが何か月ごとにするのかまで一次資料で示している解説は少ないんですよね。今回は免状の範囲・試験・合格者数の基本を押さえた上で、確認した範囲の学習ブログや講座の案内では扱いが薄い「設置と整備の線引き」「点検の義務者と周期、製造年から数える年数(消防庁告示)」「電気工事士の免状では科目が減らないこと」まで、消防法の条文と消防試験研究センターの案内をもとに、施工管理の目線で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、竣工後の消防用設備等の点検まで請けるようになった設備会社の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

乙6の免状で扱えるのは消火器。第六類は規則の乙種の表にだけ載っている

消防設備士乙6とは、結論「消防法施行規則の乙種の表で第六類に区分された、消火器の整備と点検ができる免状」のことです。対象の設備は消火器の1つです。

第33条の3第3項の表に「第六類|消火器」がある

乙種の免状でどの設備を整備できるかを定めているのは、消防法施行規則第33条の3第3項の表です。この項は「法第十七条の六第二項の規定により、乙種消防設備士が行うことができる整備の種類のうち、消防用設備等又は特殊消防用設備等の整備の種類は、次の表の上欄に掲げる指定区分に応じ、同表の下欄に掲げる消防用設備等の整備とする。」と定め、表の6行目に「第六類|消火器」を置いています(消防法施行規則 第33条の3第3項)。乙種の表は第一類から第七類までの7行で、第七類が漏電火災警報器です。

条文が乙種に当てている語は「整備」で、もとになる消防法第17条の6第2項も、乙種消防設備士が行うことができる整備の種類は総務省令で定めるという書き方です(消防法 第17条の6第2項)。点検については、消防試験研究センターが「乙種消防設備士は消防用設備等の整備、点検を行うことができます。」と案内しています(消防試験研究センター 消防設備士について)。

甲種の表に並ぶのは特類と第一類〜第五類の6行

同じ条の第1項は甲種の表です。並んでいるのは「特類|特殊消防用設備等」と、第一類(屋内消火栓設備など)から第五類(金属製避難はしご、救助袋又は緩降機)までの6行で、第六類の行はありません(消防法施行規則 第33条の3第1項)。センターの区分表でも、第1類〜第5類には「甲種又は乙種」の見出しが付き、第6類は「乙種|第6類|消火器」として乙種の欄に置かれています(消防試験研究センター 消防設備士試験トップ)。

ただし、センターの案内に「甲種第6類は無い」と書いた文そのものは見当たりません(確認範囲=センターのトップ・受験資格・試験科目及び問題数・試験の方法・消防設備士について)。この記事では、規則の甲種の表に第六類の行が無いこと、センターの区分表で第6類が乙種の欄にあること、という表の事実として扱います。

センターの説明には「各類ごとに取り扱う設備が限定されていますので、類ごとに免状が必要です。」ともあります(消防試験研究センター 消防設備士試験トップ)。第1類から第7類までの全体の並びは消防設備士の資格の全体像で見渡せます。

消火器を「置く」と「整備する」で、免状が要るかどうかの書かれ方が変わる

「消火器を新しく置くだけでも免状が要るのか」は、竣工前に消火器の本数と配置を元請と詰める立場だと、いちばん引っかかるところだと思います。ここは消防法第17条の5から施行令第36条の2、施行規則第33条の2の2へと、3つの条文を順にたどると線の位置が見えてきます。

消防法第17条の5は、工事を「設置に係るもの」に絞っている

免状が無い人がしてはいけない仕事の枠は、消防法第17条の5が決めています。条文は「消防設備士免状の交付を受けていない者は、次に掲げる消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事(設置に係るものに限る。)又は整備のうち、政令で定めるものを行つてはならない。」です(消防法 第17条の5)。

この条文で押さえたいのは、工事のほうに「設置に係るものに限る。」の括弧書きが付いている点と、工事・整備のどちらも対象を「政令で定めるもの」に絞っている点の2つです。どの設備の工事と整備が対象になるかは、この先の政令の号を見ないと決まりません。

施行令第36条の2第1項の工事の号に、消火器は入っていない

工事のほうは、消防法施行令第36条の2第1項に号が並んでいます。号ごとの設備を並べると、屋内消火栓設備/スプリンクラー設備/水噴霧消火設備/泡消火設備/不活性ガス消火設備/ハロゲン化物消火設備/粉末消火設備/屋外消火栓設備/自動火災報知設備/ガス漏れ火災警報設備(九の二)/消防機関へ通報する火災報知設備/金属製避難はしご(固定式のものに限る。)/救助袋/緩降機です。第一号から第十三号のどこにも消火器は出てきません(消防法施行令 第36条の2第1項)。

気をつけたいのは、ここから言えることの範囲です。条文から読めるのは「免状が無い者がしてはならない設置の工事の号に、消火器は入っていない」というところまでで、「消火器の設置はだれがしてもよい」と言い切る材料にはなりません。逆に「消火器の設置工事には乙6が要る」と読む根拠も、この号の中にはありません。

整備の号(第2項第二号)には「消火器」がある

整備のほうは第2項です。「法第十七条の五の政令で定める消防用設備等又は特殊消防用設備等の整備は、次に掲げる消防用設備等又は必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等若しくは特殊消防用設備等の整備(屋内消火栓設備の表示灯の交換その他総務省令で定める軽微な整備を除く。)とする。」とあり、第一号が「前項各号に掲げる消防用設備等」、第二号が「消火器」、第三号が「漏電火災警報器」です(消防法施行令 第36条の2第2項)。

つまり消火器は、工事の号には無く、整備の号には名指しで入っています。乙6が要る場面を条文の上で探すと、まず当たるのがこの第二号の整備です。

免状なしでできる「軽微な整備」の例示は、消火栓まわり

第2項の括弧書きで整備から外される「軽微な整備」の中身は、消防法施行規則第33条の2の2にあります。見出しは「消防設備士でなくても行える消防用設備等の整備の範囲」で、本文は「令第三十六条の二第二項の総務省令で定める軽微な整備は、屋内消火栓設備又は屋外消火栓設備のホース又はノズル、ヒユーズ類、ネジ類等部品の交換、消火栓箱、ホース格納箱等の補修その他これらに類するものとする。」です(消防法施行規則 第33条の2の2)。

挙がっている例はどれも消火栓設備のもので、消火器の部品や作業を例示した文言はこの条にありません。「消火器のこの作業なら軽微な整備に入る」と当てはめて読める書き方にはなっていないので、消火器の作業を軽微な整備として扱う判断は、条文の外に出てしまいます。消火栓設備の側の仕組みは屋内消火栓設備の構造と基準で設備から確認できます。

  • 消防法第17条の5:免状が無い者の禁止は「設置に係る工事」と「整備」のうち政令で定めるもの
  • 施行令第36条の2第1項:工事の号(第一号〜第十三号)に消火器は無い
  • 施行令第36条の2第2項第二号:整備の号に「消火器」がある
  • 施行規則第33条の2の2:軽微な整備の例示は屋内・屋外消火栓設備の部品交換と箱の補修

消火器の点検は建物の関係者の義務。消防設備士等に点検させる建物と、6か月ごとの機器点検

乙6を取るよう言われる理由が「竣工後の点検も請けるようになったから」という場合、免状の範囲より先に、点検の義務がだれにあるのかを押さえておくと話が整理しやすくなります。条文の上で点検の義務を負うのは、点検を請ける側ではなく建物の側です。

点検して報告する義務は「防火対象物の関係者」にある

消防法第17条の3の3は「第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(…)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。」と定めています(消防法 第17条の3の3)。

義務を負う主語は「防火対象物の関係者」で、政令で定める建物では消防設備士などに点検させ、それ以外の建物では関係者が自ら点検し、どちらの場合も結果を消防長又は消防署長に報告する、という組み立てです。点検の対象外になる建物も政令で決まっていて、「点検を要しない防火対象物は、別表第一(二十)項に掲げる防火対象物とする。」とされています(消防法施行令 第36条第1項)。

消防設備士等に点検させる建物は、施行令第36条第2項の4つの号

点検させる側の建物は、消防法施行令第36条第2項の第一号から第四号です。第一号は「別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの」です(消防法施行令 第36条第2項第一号)。

第二号も延べ面積が千平方メートル以上のものですが、こちらは別表第一の(五)項ロや(七)項などに当たる建物のうち「消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの」に限られます(同 第二号)。第三号は面積ではなく階段で線を引く号で、(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イの用途の部分が避難階以外の階にあり、そこから避難階か地上へ通じる直通階段が二(階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合は一)以上設けられていない建物が当たります(同 第三号)。第四号は、消防設備士等による点検が特に必要なものとして総務省令で定める防火対象物です(同 第四号)。

千平方メートルという線が出てくるのは第一号と第二号だけで、第二号には指定という条件が付いています。面積だけで判断せず、号ごとに条件を読み分けることになります。

点検の期間は消火器具が6月、報告は1年に1回か3年に1回

点検の期間は、消防法施行規則第31条の6第1項が「法第十七条の三の三の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。」とし、具体的な期間は消防庁告示で定められています(消防法施行規則 第31条の6第1項)。その告示の表では「消火器具、消防機関へ通報する火災報知設備、誘導灯、…|機器点検|6月」となっていて、消火器具の行に総合点検の記載はありません(平成16年消防庁告示第9号)。屋内消火栓設備などの行には「総合点検|1年」が別に書かれているので、消火器具はそこと並びが違います。

結果の報告は同条第3項です。防火対象物の関係者は点検の結果を維持台帳に記録し、令別表第一の(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物は「一年に一回」、(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項の防火対象物は「三年に一回」、消防長又は消防署長に報告しなければならないとされています(消防法施行規則 第31条の6第3項)。

この報告の区分は令別表第一の項で分かれていて、延べ面積の要件はありません。さきほどの令第36条第2項の「だれに点検させるか」とは別の軸なので、「千平方メートル以上なら年1回報告」のように2つを結びつけて読まないことが大事です。なお同条第4項には、新型インフルエンザ等その他の消防庁長官が定める事由で期間ごとの点検や報告が困難なときに、消防庁長官が別の期間を定める規定があります(同 第4項)。ここで書いた周期は、あくまで規則の定めでは、という読み方になります。

製造年からの年数で「内部及び機能」と「耐圧性能」の対象が決まる

6か月ごとの機器点検で何を見るかは、昭和50年消防庁告示第14号の別表第1「消火器具の点検の基準」に書かれています。項目は(1)設置状況、(2)表示及び標識、(3)消火器の外形、(4)消火器の内部及び機能、(5)消火器の耐圧性能、(6)簡易消火用具の6つです(昭和50年消防庁告示第14号 別表第1)。

告示の項目 実施する消火器(告示の文言から) 補足
(4)内部及び機能 消火器(二酸化炭素消火器及びハロゲン化物消火器を除く)のうち、製造年から3年(化学泡消火器は設置後1年、蓄圧式の消火器は製造年から5年)を経過したもの/外形の点検で安全栓、安全栓の封若しくは緊結部等に異常が認められたもの 製造年から3年を経過した加圧式の粉末消火器と、5年を経過した蓄圧式の消火器は抜取り方式により点検を行うことができる
(5)耐圧性能 製造年から10年を経過したもの/外形の点検で本体容器に腐食等が認められたもの ただし、この点検を実施してから3年を経過していないものを除く

表の年数は「何年ごとに点検する」という周期ではなく、6か月ごとの機器点検の中で、どの消火器が(4)や(5)の対象になるかを決める線です(昭和50年消防庁告示第14号 別表第1)。化学泡消火器だけは数え始めが「設置後」になっていること、(5)のただし書は(5)の耐圧性能にだけ付いていることも、表を読むときに落としやすいところです。

告示第10号で、乙6が点検できる種類に簡易消火用具も入る

消防設備士が点検できる設備の種類は、平成16年消防庁告示第10号が決めています。告示は「消防設備士にあっては、規則第三十三条の三各項の規定に基づき工事又は整備を行うことができる消防用設備等の種類のほか、次の表の上欄に掲げる消防設備士の種類及び指定区分に応じ、同表下欄に掲げる消防用設備等の種類とする。」とし、表に「第六類の乙種消防設備士|簡易消火用具」の行を置いています(平成16年消防庁告示第10号)。

乙6は、整備できる消火器に加えて、簡易消火用具の点検もできる種類に入っているということです。ここで足されているのは点検の種類で、簡易消火用具の整備まで書かれているわけではありません。消防設備士以外の資格を見ても、告示第10号の二には消火器具を点検できる者として第一種消防設備点検資格者が載っています(同 告示第10号 二)。消火器具の点検ができる資格は消防設備士だけではなく、乙6の免状があれば点検結果の報告書の提出者になれる、という記載も確認した範囲(消防法第17条の3の3・施行令第36条・施行規則第31条の6・告示第9号・第10号)にはありません。報告の義務者は、あくまで防火対象物の関係者です。

消火器を置く建物の号と、点検で確かめる高さ・歩行距離

点検で見る設置状況の話に入る前に、そもそも消火器具を置く建物がどう決まっているかを見ておきます。消防法施行令第10条第1項は「消火器又は簡易消火用具(以下「消火器具」という。)は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。」として、第一号から第五号までを挙げています(消防法施行令 第10条第1項)。

号 対象(条文の要旨) 面積の要件
第一号 イ=別表第一(一)項イ/(二)項/(六)項イ(1)〜(3)及びロ など、ロ=(三)項で火を使用する設備又は器具を設けたもの 面積の要件が書かれていない
第二号 イ=別表第一(一)項ロ/(四)項/(五)項 など、ロ=(三)項(第一号ロを除く) 延べ面積が百五十平方メートル以上
第三号 別表第一(七)項/(八)項/(十)項/(十一)項/(十五)項 延べ面積が三百平方メートル以上
第四号 少量危険物又は指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱うもの 面積でなく貯蔵・取扱いの量
第五号 前各号以外の別表第一の建築物の地階/無窓階/三階以上の階 床面積が五十平方メートル以上

第二号と第三号は延べ面積、第五号は階ごとの床面積で線が引かれていて、同じ「平方メートル」でも測る対象が違います(消防法施行令 第10条第1項第二号・第三号・第五号)。用途の項番号と具体的な用途の名前の対応は別表第一そのもので確かめる必要があり、ここでは号の組み立てを見るにとどめます。

置き場所の条件と、ほかの消火設備による設置個数の減少

置き方の大枠は同条第2項第二号で、「消火器具は、通行又は避難に支障がなく、かつ、使用に際して容易に持ち出すことができる箇所に設置すること。」とされています(消防法施行令 第10条第2項第二号)。また第3項では、屋内消火栓設備/スプリンクラー設備/水噴霧消火設備/泡消火設備/不活性ガス消火設備/ハロゲン化物消火設備/粉末消火設備のいずれかを設置したときに、総務省令で定めるところにより消火器具の設置個数を減少することができるとしています(同 第3項)。消火設備どうしの役割の違いは消火設備の種類の一覧で並べて見ると、どの設備が第3項に挙がっているのかがつかみやすくなります。

高さ1.5m以下と歩行距離20m以下は、規則にある数値

高さと間隔は消防法施行規則に数値があります。高さは「消火器具は、床面からの高さが一・五メートル以下の箇所に設けること。」(消防法施行規則 第9条第1項第一号)、間隔は「…それぞれ一の消火器具に至る歩行距離が二十メートル以下となるように配置しなければならない。」(同 第6条第6項)です。

点検の側では、平成14年6月11日消防予第172号の通知で定める点検要領(最終改正令和6年9月10日)の「設置場所」と「設置間隔」の判定方法に、同じ1.5m以下と歩行距離20m以下が書かれています。点検要領のこの欄には「大型消火器にあっては30m以下」という判定方法も並んでいます(消防用設備等の点検要領 第1 消火器具)。大型消火器の30mは点検要領の判定方法として出てくる数値で、すべての大型消火器に一律に当てはまる規則の基準として読むものではありません。

点検で消火器を動かしたままにするときは代替消火器

点検要領の一般的留意事項には「点検のために、消火器を所定の設置位置から移動したままにする場合は、代替消火器を設置しておくこと。」という一文があります(消防用設備等の点検要領 第1 消火器具)。法令ではなく通知の留意事項という位置づけです。

誰でも受けられる乙6の試験:科目ごとの問題数と合格の線、4,400円の手数料

受験資格は、消防試験研究センターの案内で「乙種 誰でも受験できます。」です(消防試験研究センター 受験資格)。実務経験や学歴の条件はなく、設備サブコンで別の資格を持っているかどうかにも左右されません。

科目と問題数は、筆記30問と鑑別等5問

乙種第6類の出題は次のとおりです。基礎的知識と構造・機能・整備は、どちらも機械の問題だけで、電気の欄には問題がありません(消防試験研究センター 試験科目及び問題数)。

区分 科目 問題数
筆記 消防関係法令(共通) 6
筆記 消防関係法令(類別) 4
筆記 基礎的知識(機械) 5
筆記 消防用設備等の構造・機能・整備(機械) 9
筆記 消防用設備等の構造・機能・整備(規格) 6
筆記 計 30
実技 鑑別等 5

答え方は、筆記が「マーク・カードを使う筆記試験 全種/四肢択一式」、実技が「写真・イラスト・図面等による記述式」です(消防試験研究センター 試験の方法)。実技も、写真・イラスト・図面等を見て答えを書く形で案内されています。

試験時間は、センターの試験の方法のページで「乙種/1時間45分」と書かれています(消防試験研究センター 試験の方法)。このページには筆記と実技の内訳の時間は書かれておらず、免除を受けない一般受験者の第6類の行も1時間45分です(消防試験研究センター 一覧表(乙種))。

合格の線は「特類以外」の行で読む

合格基準のページには乙種を名指しした行が無く、乙種は「特類以外」の行に含まれる書き方になっています。その行は「筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績を修めた者を合格とします。なお、試験の一部免除がある場合は、免除を受けた以外の問題で上記の成績を修めた方を合格とします。」です(消防試験研究センター 試験の方法)。

線は「科目ごとに40%以上」「筆記全体で60%以上」「実技で60%以上」の3本で、どれか1本でも届かなければ合格になりません。免除を受けた場合も線の高さは同じで、数える問題が「免除を受けた以外の問題」に変わるだけです。

手数料と申込みの方法

乙種の試験手数料は4,400円(非課税)です。一旦払い込んだ手数料は返してもらえず、払込み方法は書面申請と電子申請で異なります(消防試験研究センター 消防設備士試験トップ/試験の方法)。

申込みは「すべての試験で電子申請が可能です。」とされ、今のところ書面(受験願書)でも申し込めますが、令和10年度からは原則として電子申請だけで受け付ける予定だとセンターは案内しています(消防試験研究センター 消防設備士試験トップ)。合格発表は、支部別に合格者の受験番号を公示し、受験者には郵便ハガキで合否を通知し、合格者はセンターのホームページにも掲示される流れです(消防試験研究センター 試験の方法)。

電気工事士の免状では乙6の科目は減らない。免除が付くのは他類の消防設備士や技術士(機械部門)など

センターは「消防設備士、電気工事士、電気主任技術者、技術士等の資格を有する方は、申請により試験科目の一部が免除になります。」と案内しています(消防試験研究センター 試験科目及び問題数)。ただし、どの資格でどの科目が免除されるかは類ごとに違い、乙種第6類の欄を見ると電気工事士の行に免除の印が付いていません。

一覧表の第6類の主な行

センターが公表している乙種の免除の一覧表(試験の一部免除・試験時間・試験問題数をまとめた表)から、乙種第6類の主な行を抜き出すと次のとおりです(消防試験研究センター 一覧表(乙種)r0705版 4ページ目)。

持っている資格 免除される科目 試験時間
一般受験者 なし 1時間45分
消防設備士:甲種1〜4類/乙種1〜4・7類のいずれか 法令(共通) 1時間30分
消防設備士:甲種5類/乙種5類のいずれか 法令(共通)/基礎的知識(機械) 1時間15分
電工又は電主の免状所持者 免除の印なし 1時間45分
技術士(機械部門)の資格所持者又は検定協会等職員 基礎的知識(機械)/構造・機能・整備(機械)/規格 0時間45分
特定の消防団員 基礎的知識(機械)/鑑別等 1時間15分

一覧表の備考の定義では、電気工事士免状(第一種・第二種)の交付を受けた人が「電工」、電気主任技術者免状(第一種〜第三種)の交付を受けた人が「電主」です(同 一覧表 備考)。検定協会等職員は、日本消防検定協会又は指定検定機関の職員で、型式承認の試験の実施業務に2年以上従事した方とされ、センターはこの免除について「お問い合わせください。」と添えています(同 一覧表 5ページ目)。特定の消防団員は、5年以上消防団員として勤務し、かつ消防学校の教育訓練のうち機関科を修了した方です(同 一覧表 備考)。

消防設備士の免状の行のうち、基礎的知識(機械)まで免除が広がるのは第5類の免状の行です。その第5類が扱う避難器具の範囲は消防設備士5類の免状と工事の範囲にまとめてあります。

電工を足しても、試験時間は1分も変わらない

一覧表には、資格を2つ以上持っている人の行もあります。その中で電工が絡む行を、電工の無い行と並べると次のようになります(同 一覧表 4ページ目)。

  • 甲種1〜4類又は乙種1〜4・7類のいずれか+電工・電主:法令(共通)の免除で1時間30分(設備士だけの行と同じ)
  • 甲種5類又は乙種5類+電工・電主:法令(共通)と基礎的知識(機械)の免除で1時間15分(設備士だけの行と同じ)
  • 技術士(機械部門)又は検定協会等職員+電工:0時間45分(技術士だけの行と同じ)

どの組み合わせでも、電工の免状を加えたことで免除の科目や試験時間が動いた行はありません。第6類の出題に電気の欄の問題がないことと、表の上では一致しています。第二種電気工事士の資格そのものの範囲は第二種電気工事士でできる工事の記事で別に整理しています。

免除は受験申請のときに証明書類を付けて受ける

免除は自動では付きません。一覧表には「免除を受けるためには、受験申請時に証明書類を提出してください。」とあり、消防設備士免状のコピー、技術士第2次試験若しくは本試験の合格証明書又は技術士登録証のコピーといった書類が、免除の資格ごとに指定されています(同 一覧表 5ページ目)。他類の消防設備士の免状を持っている場合でも、免除は申請して受けるものなので、証明書類を出さなければ免除の行は当てはまりません。

乙種で受験者が最も多い第6類。令和6〜8年度の人数と、免状を受けたあとの講習

令和7年度と令和6年度の年度表

消防試験研究センターの試験実施状況(令和7年4月〜令和8年3月)から、乙種第6類と乙種計の行を抜き出すと次のとおりです。この表の「R6」は、センターの注記によると「昨年度同時期の値」です(消防試験研究センター 試験実施状況 令和7年度)。

年度 区分 申請者 受験者 合格者 合格率(%)
R7 乙種第6類 42,082 32,400 11,541 35.6
R7 乙種計 65,787 51,240 19,602 38.3
R6 乙種第6類 33,393 25,835 9,345 36.2
R6 乙種計 56,072 43,702 16,478 37.7

同じ表の乙種の各類を並べると、令和7年度の受験者は第1類2,048人、第2類790人、第3類965人、第4類8,047人、第5類1,168人、第6類32,400人、第7類5,822人で、第6類が最も多くなっています(同 試験実施状況 令和7年度)。令和6年度の欄でも第6類の25,835人が乙種の各類で最も多い値です。表には人数が書かれているだけで、なぜ第6類に受験者が集まるのかの説明はありません。同じ年度の漏電火災警報器の類と並べて見たい方は、消防設備士乙7の記事で第7類の側から確かめられます。

令和8年度4〜8月の途中集計

令和8年度はまだ途中の集計で、センターの試験実施状況のトップに「令和8年4月~令和8年8月」として載っています。乙種第6類は申請者17,499人、受験者13,640人、合格者5,080人、合格率37.2%でした。この表の「R7」は昨年度同時期の値と注記されていて、令和7年度の同じ時期の乙種第6類は受験者12,406人、合格者4,336人、合格率35.0%です(消防試験研究センター 試験実施状況 令和8年4月〜8月)。9月分以降は、2026年10月26日の時点で掲載されていません。

合格して終わりではない、免状を持つ人の講習

免状を持つ消防設備士には、定期的な講習の義務も付いてきます。条文は「消防設備士は、総務省令で定めるところにより、都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む。)が行う工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受けなければならない。」です(消防法 第17条の10)。

いつまでに受けるかは消防法施行規則第33条の17が決めていて、1回目が「免状の交付を受けた日以後における最初の四月一日から二年以内」、その後は「講習を受けた日以後における最初の四月一日から五年以内」で、以降も同じです(消防法施行規則 第33条の17第1項・第2項)。講習の科目や講習時間などの細目は消防庁長官が定めるとされ(同 第3項)、受講料や実施機関まではこの条文にもセンターの案内にも書かれていないので、受講の時期が近づいたら住んでいる都道府県の案内で確かめることになります。

消防設備士乙6に関する情報まとめ

  • 乙6とは:規則の乙種の表に「第六類|消火器」として載る免状。甲種の表は特類〜第五類で第六類の行は無い
  • 設置と整備:施行令第36条の2の工事の号に消火器は無く、整備の号(第2項第二号)に「消火器」がある。軽微な整備の例示は消火栓まわり
  • 点検:義務者は防火対象物の関係者。消火器具は機器点検6月、報告は令別表第一の項で1年に1回か3年に1回。製造年から3年・10年などは対象を決める線
  • 置き場所:令第10条の号で設置する建物が決まり、高さ1.5m以下・歩行距離20m以下は規則の数値
  • 試験と免除:筆記30問と鑑別等5問、乙種の試験時間は1時間45分。電工・電主の免状では第6類の科目は免除されない
  • 受験者と講習:令和7年度は受験者32,400人・合格者11,541人で乙種の各類で最多。1回目の講習は免状の交付日から数えて最初に来る4月1日を起点に2年以内

以上が消防設備士乙6に関する情報のまとめです。

乙6は試験の範囲が消火器1つに絞られている分、取ったあとに問われるのは「置く」「整備する」「点検する」の3つの仕事を、それぞれどの条文と告示で読むかです。引き渡し前に消火器の本数と配置を詰めるときは令第10条と規則の数値を、点検を請けるときは告示第9号の6月と告示第14号の年数を手元に置き、報告の義務がだれにあるのかを先方と最初に確かめておく。僕は、その順番で動ければ乙6の免状を現場で持て余すことはないと考えています。

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