第一種電気工事士の独学|自己採点できないCBT方式での進め方

  • 第二種は独学でいけたけど、第一種も同じ進め方で通用する?
  • 申込みから試験日まで、何をどの順でやればいいのか分からない
  • 学科の科目が多すぎて、どこから手を付ければいいのか決まらない
  • CBT方式って、自分が受けた回の問題は後から見られないの?
  • 終わって正答数だけ出ても、どこを落としたのか分からないのでは
  • 公式が薦めているテキストってどれ?結局どれを買えばいいのか分からない
  • 技能の候補問題、仕事しながら全部練習しきれる気がしない
  • そもそも受かったら、明日から現場で作業していいの?

上記の様な悩みを解決します。

第一種電気工事士は、自家用電気工作物の保安に関して必要な知識と技能を、学科試験と技能試験で問う国家試験です。受験に制限や条件はなく誰でも申し込めるので入口は広いのですが、いざ独学の計画を立てようとすると、令和8年度の上期学科試験がCBT方式のみで実施される点で手が止まるんですよね。公表されている過去の試験問題はこれまでどおり使えますが、CBT方式では自分が受けた回の試験問題と解答が非公開で、試験が終わって分かるのは正答数だけです。今回は試験の構成・学科9科目・合格基準・技能の候補問題といった基本を押さえた上で、独学記事の多くが「CBTか筆記かを選べる」前提のまま止まっている受験方式の話と、試験に合格しても第二種電気工事士免状を持っていなければ一般用電気工作物等の工事には従事できないことまで、施工管理の目線で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、第二種を取ったあと第一種で足踏みしている方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

受験は誰でもできるが、免状は合格だけでは出ない

「受験資格は要るのか」「実務経験が無くても受けられるのか」という入口の問いは、答えがとても短く済みます。ただ、そこで安心したまま計画を組むと、合格したあとにもう一段の条件が待っています。受験できる条件と、免状が出る条件が別物だからです。独学でいけるかどうかを見積もる前に、この2つを分けておきます。

受験そのものに制限や条件は無い

受験案内には「受験に対して制限や条件はございません。どなたでも受験ができます。」と明記されています(一般財団法人電気技術者試験センター「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.5/https://www.shiken.or.jp/construction/upload/r8psimokiannai2.pdf /2026-08-30確認)。よくあるご質問でも同じ扱いで、「受験資格はありません。年齢や国籍を問わず、どなたでも受験ができます。」と示されています(同「よくあるご質問(1)」/https://www.shiken.or.jp/shiken/faq/faq01/000136.html /2026-08-30確認)。

第二種に合格しているかどうかも、実務経験を何年積んでいるかも、申し込みの段階では問われないということです(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.5/同「よくあるご質問(1)」/いずれも2026-08-30確認)。独学で挑む人にとって、入口で足止めされる要素は無いと読み取れます。

免状は「合格」「実務経験3年以上」「知事への申請」で出る

一方で、免状のほうには条件が付きます。受験案内の「はじめに」には「この試験に合格し、かつ、所定の実務経験を得れば、居住地(現在住民登録されている住所)の都道府県知事に申請することにより、第一種電気工事士免状の交付を受けることができます。」と書かれています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.3/2026-08-30確認)。試験に受かることは3つの条件のうちの1つで、残る2つは実務経験と申請です。

その実務経験の長さも公表されています。受験案内には「B 実務経験の期間 : 3 年以上」と示されており、免状交付のページでも実務経験の期間を3年以上としています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.4/同「電気工事士の免状交付」/https://www.shiken.or.jp/construction/license/ /いずれも2026-08-30確認)。この3年をいつ積んだかについても補足があります。免状交付のページは「なお、いずれの場合も試験合格以前の実務経験も対象になりますので、合格時にすでに第二種電気工事士として上記の実務経験を満たしていれば」、すぐにでも都道府県知事へ申請できると案内しています(前掲「電気工事士の免状交付」/2026-08-30確認)。ここでも第二種電気工事士としての経験であることが条件に置かれています。

読み替えると、合格した時点ですでに所定の実務経験を満たしている人は、そこから知事に申請できるということになります。ただし、ここでいう実務経験は現場での経験なら何でも当てはまるわけではありません。受験案内は対象になる工事の例として、第二種電気工事士として行う一般用電気工作物等に係る電気工事、認定電気工事従事者として行う最大電力500kW未満の需要設備の低圧部分に係る電気工事(簡易電気工事)、最大電力500kW以上の需要設備に係る電気工事を挙げ、あわせて対象にならない工事も列挙しています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.4/2026-08-30確認)。独学の計画に組み込むなら、勉強の順番よりも先に、自分の経験がこの対象に当たるかを免状窓口で確かめておくほうが効くと僕は見ています。

第二種免状が無いと、合格しても一般用の工事には従事できない

ここが、独学の解説記事で最も抜けやすい一点です。受験案内には注意書きとして「【注意】現在、第二種電気工事士免状を持っていない方は、第一種電気工事士試験に合格するだけでは、一般用電気工作物等の工事に従事することはできません。」と書かれています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.3/2026-08-30確認)。

この注意書きには続きがあります。一般用電気工作物等の工事に従事する方は、第二種電気工事士試験に合格して第二種電気工事士免状を取得するか、一般用電気工作物等の工事以外で所定の実務経験を積んで第一種電気工事士免状を取得する必要がある、という2つの道が示されています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.3/2026-08-30確認)。

受験に制限が無いことと、合格後にできる作業の範囲は、まったく別の話だということです。第二種を飛ばしていきなり第一種を受けること自体は止められていませんが、その進め方を選ぶと、合格しただけでは一般用電気工作物等の工事に従事できません。上の2つのどちらかを満たすまでは、試験に受かっていても作業に入れないということです。独学のルートを決める段階で、ここは確認しておく価値があります。

  • 受験には制限や条件が無く、年齢や国籍も問われない
  • 免状は「試験合格」「所定の実務経験」「居住地の都道府県知事への申請」の3つで交付される
  • 実務経験の期間は3年以上と公表されており、対象になる工事の例と、対象にならない工事も示されている
  • 試験合格以前の実務経験も対象になるが、第二種電気工事士として所定の実務経験を満たしていることが前提として案内されている
  • 第二種電気工事士免状を持っていない場合、第一種に合格するだけでは一般用電気工作物等の工事に従事できない
  • その場合は、第二種に合格して第二種免状を取得するか、一般用以外で所定の実務経験を積んで第一種免状を取得する必要があると案内されている

資格そのものの位置づけや試験内容、免状交付の流れは、こちらで一通り整理しています。

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第一種電気工事士とは?難易度、合格率、勉強法、実務経験など 第一種電気工事士とは何かを電気施工管理経験者が解説。第二種との違い、受験資格と免状交付に必要な実務経験、試験内容や合格率、独学の勉強法、そして現場とキャリアでどう効くかまで、合格して終わりにしない現実的な視点で整理しました。

上期の学科はCBT方式のみ。どの期で受けるかが先に決まる

「学科はCBTと筆記のどちらを選ぶか」で悩んでいる人は多いのですが、第一種の場合、その悩み方が成立しない期があります。独学の計画は勉強法の前に、どの期にどの方式で受けるかで枠が決まってしまう。ここを先に片付けます。

令和5年度からCBT方式が入り、出題形式は従来と同じ

まず前提の整理です。試験センターの「学科試験のポイント」には「令和5年度の電気工事士試験から、学科試験という名称に変わり、これまでの筆記方式(問題用紙とマークシートを用いて行う試験方式)に加えて、パソコンを用いて行う CBT 方式(Computer Based Testing)を導入しました。出題形式は、これまでと同様です。」と書かれています(一般財団法人電気技術者試験センター「学科試験のポイント」/https://www.shiken.or.jp/construction/first/department/ /2026-08-30確認)。

出題形式そのものは変わっていない、という点は押さえておきます。よくあるご質問でも「出題形式や出題の難易度は筆記方式と同じです。」と示されています(同「よくあるご質問(47)」/https://www.shiken.or.jp/shiken/faq/faq01/000182.html /2026-08-30確認)。方式の違いは、勉強の中身ではなく受け方と結果の返り方の側にあると読むのが正確です。

第一種の上期学科は、CBT方式のみで実施される

そのうえで、第一種に固有の条件があります。令和8年度の実施日程を案内するPDFには、上期の学科について注記が付いていて「※1 第一種電気工事士上期学科試験は、CBT 方式のみ実施します。」と明記されています(同「令和8年度電気工事士試験の実施日程等のご案内」1ページ 注記/https://www.shiken.or.jp/construction/upload/R08denkounittei2.pdf /2026-08-30確認)。

同じ資料系統の別PDFにある区分表でも、第一種は令和8年度が上期CBT・下期はCBTとPBTの両方という並びになっています(同「電気工事士学科試験(一種、二種)のCBT方式への移行について(令和9年度~)」(令和8年4月8日付)/https://www.shiken.or.jp/upload/2027_transitiontoComputer-BasedTesting.pdf /2026-08-30確認)。令和9年度以降がどうなるかは、この記事の後半でまとめて扱います。

つまり、第一種で上期を選んだ時点で、筆記方式という選択肢は残りません。「CBTか筆記かを選べる」という書き方をしている解説を読んで、上期に申し込んでから気づくと、勉強の組み立てをやり直すことになります。どちらの方式が自分に向いているかを検討したいなら、その検討は下期を選ぶかどうかの検討と同じものだ、という整理になります。

両方は受験できない。ただし方式の変更には期限がある

もうひとつ、下期を選んだ場合の条件です。受験案内には「CBT方式または筆記方式、どちらかの方式での受験となります。両方を受験することはできません。」と書かれています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.6/2026-08-30確認)。

CBTで手応えが無かったから筆記でもう一度、という受け方はできません。1回の試験で受けられる方式は1つだということです。ただし、申し込んだあとに方式そのものを変えられないわけではありません。下期受験案内の「試験に関する日程」には「申込内容の変更期限① 8月25日(火) ⓘ 学科試験受験方式の変更(筆記 ⇄ CBT)」と示されています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.54/2026-08-30確認)。独学だと申込みの手続きを流れ作業で済ませてしまいがちですが、この選択は勉強の進め方そのものに影響するので、変更期限が来る前に決めておくほうがいいと考えています。

なお、方式の違いが結果の返り方をどう変えるかは、次の見出しでまとめて扱います。

  • 令和5年度からCBT方式が導入され、出題形式は従来と同様とされている
  • 出題形式や出題の難易度は筆記方式と同じだと公式に示されている
  • 令和8年度の第一種上期学科試験はCBT方式のみで実施される
  • 下期はCBT方式と筆記方式のどちらかを選ぶ形で、両方の受験はできない
  • ただし下期は、申込内容の変更期限までなら筆記とCBTの変更が認められている
  • どの期を選ぶかが、そのまま受験方式の選択になる

CBTを選ぶと、自己採点の代わりに正答数だけが返る

「自己採点はできるのか」「自分が受けた問題を後で見返せるのか」という声は、CBT方式を選ぶ人にとって実務的な問題です。ここは制度の側にはっきりした記載があるので、そのまま確認していきます。

CBT方式では、試験問題と解答が非公開

受験案内の「試験問題及び標準解答の公表」という項には、学科試験(CBT方式)について「学科試験(CBT 方式)では、試験問題・解答は非公開です」と書かれています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.49/2026-08-30確認)。よくあるご質問でも「CBT方式の特性上、試験問題・解答は公開していません。」と示されています(一般財団法人電気技術者試験センター「よくあるご質問(32)」/https://www.shiken.or.jp/shiken/faq/faq01/000167.html /2026-08-30確認)。

ここで混同しないでほしいのは、非公開なのは自分が受けた回の試験問題と解答だという点です。試験センターが公表している過去の試験問題は別扱いで、「当センターで公表している過去の試験問題の使用については、許諾や使用料は必要ありません。」と案内されています(同「問題と解答」/https://www.shiken.or.jp/construction/first/qa/ /2026-08-30確認)。過去問という教材が消えるわけではなく、自分が今回解いた問題だけが後から確認できない、という形です。

返ってくるのは正答数。得点は出るが合否は出ない

では受験者に何が返るのか。受験案内は同じページで、筆記方式のような、ホームページ上で公表する解答からの自己採点に代えて、CBT方式では試験終了後に正答数を確認できると案内しています。あわせて「正答数は、マイページでも確認できます。」とも書かれています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.49/2026-08-30確認)。

試験終了直後の画面についても記載があります。「試験終了後に、画面に得点は表示されますが、合否は表示されません」(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.40/2026-08-30確認)。数字は出るが、その場で受かったかどうかは分からないということです。

さらに、内訳を問い合わせる経路も閉じられています。「試験問題や解答の内容等に関する問い合わせには、一切応じられません。」(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.49/2026-08-30確認)。どの科目のどこを落としたのかを外から埋める手段は用意されていない、と読むしかありません。

独学で困るのは、この「どこを落としたか分からない」が復習の設計に直結する点です。正答数しか返らない前提で受けるなら、答え合わせは本番ではなく演習の側で全部済ませておく組み立てになります。個人的には、CBTを選ぶかどうかは方式の好みではなく、この復習の設計を自分で用意できるかどうかで決まる話だと思っています。

筆記方式は当日の夜に問題と解答が公表される

比較のために筆記方式も見ておきます。受験案内には「2) 学科試験(筆記方式) 試験問題及び解答の公表は、試験センターホームページで行います。 公表日 10 月 4 日 (日) 試験実施完了後(夜)」と書かれています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.49/2026-08-30確認)。技能試験についても「3) 技能試験 試験問題及び標準解答の公表は、試験センターホームページで行います。 公表日 11 月 21 日 (土) 試験実施完了後(夜)」と続きます(同 p.49/2026-08-30確認)。

つまり下期で筆記方式を選ぶと、受けたその日の夜に問題と解答が出る形になります。ここがCBT方式との一番の差で、勉強法ではなく結果の見え方の差だと整理できます。

問題用紙の持ち帰りには条件が付き、令和8年10月以降は扱いが変わる

筆記方式で受ける場合、問題用紙をどう扱えるかにも記載があります。受験案内には「2) 試験問題用紙の持ち帰り 受験者に配付した試験問題用紙については、試験終了まで試験室に在室した方に限り、持ち帰りを認めます。」と書かれています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.41・p.17/2026-08-30確認)。

そしてこの扱いは、令和8年7月1日付の告知で更新されています。「本年 10 月以降の電気技術者試験(表)より、受験される方が途中退出(監督員が指示する退出可能時間中に受験者が試験室から退室すること)する場合、答案用紙に加え試験問題用紙も回収することといたしましたので、お知らせします。」(同「途中退出する場合の試験問題用紙回収について」(令和8年7月1日付)/https://www.shiken.or.jp/ecee-overview/news/upload/collectthetestpapers2026.pdf /2026-08-30確認)。同じ告知の対象一覧には第一種の下期学科試験(筆記方式)の10月4日が含まれています。

ただし同じ告知には留保も付いています。「なお、当面の間、表にある試験であっても、試験終了時まで在席いただいた受験者は、従来通り試験問題用紙を持ち帰ることができます。」(前掲「途中退出する場合の試験問題用紙回収について」/2026-08-30確認)。早く解き終わって退出するか、終了時刻まで残るかという当日の判断が、そのまま手元に残る資料の有無に変わるということです。

公式は参考書を発刊しておらず、他社の推薦もしていない

「公式が薦めているテキストってどれ?」という問いにも、はっきりした答えがあります。よくあるご質問には「試験センターでは、参考書は発刊しておりません。また、他社の推薦や紹介もしておりません。」と書かれています(一般財団法人電気技術者試験センター「よくあるご質問(12)」/https://www.shiken.or.jp/shiken/faq/faq01/000147.html /2026-08-30確認)。対策講座についても同様で、「試験センターでは、各試験の対策講座や講習会等は実施しておりません。また、他社の推薦や紹介もしておりません。」と示されています(同「よくあるご質問(13)」/https://www.shiken.or.jp/shiken/faq/faq01/000148.html /2026-08-30確認)。

公式の指定テキストというものが存在しない以上、どの本を選んでも「公式に沿っているかどうか」で優劣は付きません。この記事でも特定の書名を挙げることはしません。

  • CBT方式では、自分が受けた回の試験問題と解答が非公開になる
  • 試験センターが公表している過去の試験問題は、許諾や使用料なしで使える
  • CBT方式では自己採点に代えて正答数が確認でき、マイページでも見られる
  • 試験終了後の画面に得点は表示されるが、合否は表示されない
  • 筆記方式は試験問題と解答が試験実施完了後の夜に公表される
  • 試験センターは参考書を発刊しておらず、他社の推薦や紹介もしていない

公式に指定のテキストが無い前提で、何冊必要になるのか、旧版や中古を使えるのかまで踏み込んだのが、第二種を扱った次の記事です。

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合格基準は公表されている。学科60点、技能は欠陥ゼロ

「何点取れば受かるのか」「欠陥が1つでもあると落ちるのか」は、独学だと出所の怪しい数字に当たりやすいところです。ここは受験案内に基準そのものが書かれているので、そのまま引きます。

学科は140分・50問。科目は9つ

先に試験の形を押さえます。「学科試験のポイント」の「試験時間と出題数」には、試験時間140分、出題数50問、一般問題40問程度、配線図問題10問程度と示されており、あわせて「*試験時間、出題数は変更される場合があります。」という但し書きが付いています(前掲「学科試験のポイント」/2026-08-30確認)。同じページには「学科試験科目は次の9科目です。」とあり、科目が9つに分かれていることも示されています(前掲「学科試験のポイント」/2026-08-30確認)。

科目が9つあると聞くと重く感じますが、公表されているのは科目名と、一般問題40問程度・配線図問題10問程度という出題形式ごとの内訳までで、科目ごとの出題数は示されていません(前掲「学科試験のポイント」/2026-08-30確認)。どの科目に何問割かれるかが分からない以上、9科目という数字だけで独学の可否は決まらない、というのが正直なところです。

学科試験の合格基準点は60点

合格基準は受験案内に明記されています。「ⓘ 学科試験における合格基準点は、60点とする。」(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.11・p.50/2026-08-30確認)。上期の受験案内にも同じ基準が置かれています(同「令和8年度 第一種上期試験受験案内」p.7/https://www.shiken.or.jp/construction/upload/r8denkoukamikiannai.pdf /2026-08-30確認)。

ここで線を引いておきます。この60点が何点満点のうちの60点なのか、つまり配点は公表されていません。学科の出題数が50問であることは示されていますが、1問が何点かは書かれていないので、「50問中30問正解すれば受かる」といった問題数への換算は、この記事では事実として扱いません。基準として確定しているのは、合格基準点が60点であるという一点です。

技能は「作品に欠陥がないこと」が基準

技能試験の基準は、点数ではない形で書かれています。「ⓘ 技能試験における合格基準は、作品に欠陥がないこととする。」(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.11・p.50/同「令和8年度 第一種上期試験受験案内」p.7/いずれも2026-08-30確認)。判定の手順についても記載があり、「技能試験については、「欠陥の判断基準」に基づき作品の欠陥の有無を判定し、合否が決められます」と示されています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.13/2026-08-30確認)。

学科と技能では、基準の作りがそもそも違うということです。学科は点を積み上げて60点に届かせる試験ですが、技能は減点を積み重ねる形ではなく、欠陥の有無で判定されます。独学の練習でも、速く作れるかより先に、欠陥が無い状態で完成させられるかを目標に置くほうが基準と噛み合います。

自分の得点や採点の内訳は問い合わせられない

学科で60点に届かなかったとき、どこが足りなかったのかを試験センターに聞くことはできません。よくあるご質問には「個人の得点、採点内容に関する問合せには応じられません。」と書かれています(一般財団法人電気技術者試験センター「よくあるご質問(29)」/https://www.shiken.or.jp/shiken/faq/faq01/000164.html /2026-08-30確認)。

この扱いは受験した方式を問いません。受験案内の試験結果の発表の項にも「個人の得点、採点内容等に関する問い合わせには、一切応じられません」と書かれています(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.50/2026-08-30確認)。点数そのものは示されても、その内訳は自分で埋めるしかないということです。

  • 学科は試験時間140分・出題数50問で、一般問題40問程度と配線図問題10問程度に分かれる
  • 試験時間と出題数は変更される場合があると但し書きが付いている
  • 学科試験科目は9科目
  • 学科試験の合格基準点は60点。ただし配点は公表されていないため、問題数への換算はできない
  • 技能試験の合格基準は作品に欠陥がないことで、「欠陥の判断基準」に基づいて判定される
  • 個人の得点や採点内容についての問い合わせには応じられない

合格率と難易度の数字はこの記事では扱っていないので、そこが気になる方は次の記事をどうぞ。学科と技能それぞれの合格率と、第二種との差を並べています。

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技能は候補問題10問が先に公表される

「技能はどこから手をつければいいか」という声に対しては、制度の側がかなり明確な答えを用意しています。出題される配線図の候補が、試験の前に公表されるからです。

候補問題はNo.1からNo.10まで

令和8年度の第一種の候補問題は、令和8年1月6日付の公表資料に載っています。候補問題は第一種と第二種で別に公表されているので、見るPDFを取り違えないところから始まります。資料には「ここに公表した候補問題( No.1 ~ No.10) は,最大電力 500kW 未満の自家用電気工作物及び一般用電気工作物等の電気工事に係る基本的な作業であって,試験を机上で行うことと使用する材料・工具等を考慮して作成してあります。」と書かれています(一般財団法人電気技術者試験センター「令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について」(令和8年1月6日付)p.1/https://www.shiken.or.jp/construction/upload/P_R08P.pdf /2026-08-30確認)。

出題方法についても同じページに記載があります。「令和8年度の技能試験問題は,次の No.1 ~ No.10 の配線図の中から出題します。ただし,配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します。」(前掲「令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について」p.1「2.出題方法」/2026-08-30確認)。

配線図の候補は10問に絞られていますが、施工条件の詳細は当日の試験問題で示される、という書き分けです。10問の形を覚えれば済むという話ではなく、条件は当日読む前提で練習を組むことになります。

試験時間は、すべての問題について60分の予定

時間についても同じ資料に書かれています。「なお, 試験時間は ,すべての問題について60分の予定です。」(前掲「令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について」p.1/2026-08-30確認)。

候補問題ごとに時間が変わるわけではないということです。10問のうちどれが出ても60分という枠は同じなので、練習のときから60分を基準に測っておけば、当日との差が出にくくなります。

上期と下期で候補問題は同じ

どちらの期を選んでも候補問題は変わりません。よくあるご質問には「なお、候補問題は、上期試験・下期試験ともに同じ内容となります。」と示されています(一般財団法人電気技術者試験センター「よくあるご質問(50)」/https://www.shiken.or.jp/shiken/faq/faq01/000185.html /2026-08-30確認)。

期の選択で技能の練習内容が変わることはない、と読めます。前の見出しで扱った受験方式の選択は学科側の話で、技能側には持ち込まなくていい、という整理になります。

技能を受けられるのは、学科合格者と学科免除者

そもそも技能試験を受けられる人にも条件があります。第一種電気工事士の試験概要には「自家用電気工作物の保安に関して必要な知識及び技能について、学科試験及び技能試験により行います。」と書かれ、続けて技能試験を受験できるのは学科試験の合格者または学科試験免除者であることが示されています(一般財団法人電気技術者試験センター「第一種電気工事士の試験概要」/https://www.shiken.or.jp/construction/first/overview/ /2026-08-30確認)。

独学の順番としては学科が先で、技能の練習をどこから始めるかは、学科の見通しと相談して決める形になります。候補問題が事前に公表されている以上、技能の内容そのものは早くから確認できますが、材料をそろえるタイミングまで前倒しにする必要は無い、というのが僕の見方です。

  • 令和8年度の候補問題はNo.1からNo.10まで公表されている
  • 技能試験問題はこの10問の配線図の中から出題される
  • 配線図や施工条件等の詳細は、当日の試験問題に明記される
  • 試験時間はすべての問題について60分の予定とされている
  • 候補問題は上期試験・下期試験とも同じ内容
  • 技能試験を受けられるのは学科試験の合格者と学科試験免除者

候補問題の練習の進め方や複線図、欠陥の見方といった技能の中身は、第二種の実技記事で具体的に扱っています。

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令和8年度の日程と、令和9年度からの原則CBT移行

最後に、計画を実際のカレンダーに落とすための日程と、来年度に控えている制度変更を確認します。「落ちたら次はいつ受けられるのか」という問いも、日程を並べると見通しが付きます。

令和8年度上期の日程

上期は、受験申込み受付期間が2月13日(金)から3月2日(月)、CBT会場の予約期間が3月9日(月)から4月13日(月)、学科試験のCBTが4月1日(水)から5月8日(金)、技能試験が7月4日(土)という並びです(前掲「令和8年度電気工事士試験の実施日程等のご案内」/2026-08-30確認)。筆記方式の欄には注記が付いていて、これが先に見た「※1 第一種電気工事士上期学科試験は、CBT 方式のみ実施します。」に対応します(前掲 同資料 1ページ 注記/2026-08-30確認)。

結果発表は、学科試験が5月22日(金)12時、技能試験が7月24日(金)12時と案内されています(一般財団法人電気技術者試験センター「令和8年度 第一種上期試験受験案内」p.45/https://www.shiken.or.jp/construction/upload/r8denkoukamikiannai.pdf /2026-08-30確認)。なお同じページには、マイページでの発表として「受験日から2週間経過後の12:00より(予定)」とも書かれています(前掲「令和8年度 第一種上期試験受験案内」p.45/2026-08-30確認)。上期は学科がCBT方式のみなので、この扱いは上期の学科受験者全員に当てはまります。

令和8年度下期の日程

下期は、受験申込み受付期間が7月27日(月)から8月13日(木)、CBT会場の予約期間が8月20日(木)から9月24日(木)の36日間、学科試験のCBTが9月11日(金)から10月18日(日)の38日間、筆記方式が10月4日(日)、技能試験が11月21日(土)です(前掲「令和8年度電気工事士試験の実施日程等のご案内」/2026-08-30確認)。

結果発表は、学科試験が11月2日(月)12時に試験センターホームページで、CBT方式のみ受験日から2週間経過後の12時より(予定)と案内されており、技能試験の結果発表は12月11日(金)12時です(前掲「令和8年度 第一種下期試験受験案内」p.54/2026-08-30確認)。

CBT方式は受験日を予約期間の中から選ぶ形なので、学科を早めに受ければ結果も早く分かることになります。技能までの間隔を長く取りたいなら、CBTの受験日を前寄りに置くという組み立てができる、という読み方もできます。

受験手数料と申込方法

費用も公表されています。試験日程のページには受験手数料として、インターネット申込みが13,000円(非課税)、郵送で書面の申込みが14,400円(非課税)と示されており、あわせて原則インターネット申込みである旨が書かれています(一般財団法人電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験 試験日程」(令和8年度)/https://www.shiken.or.jp/construction/first/ /2026-08-30確認)。

学科免除は3通り。学校卒業による免除は無い

学科に受かったあと技能で届かなかった場合の扱いも確認しておきます。試験概要の「学科試験の免除について」には「次のいずれかに該当する方は、申請により学科試験が免除になります。」とあり、その1つとして「前回又は前々回に第一種電気工事士学科試験に合格した方」が挙げられています(前掲「第一種電気工事士の試験概要」/2026-08-30確認)。

同じ箇所には注記も付いています。「(注1) 第一種電気工事士試験は学校卒業による学科試験の免除はありません。」(前掲「第一種電気工事士の試験概要」/2026-08-30確認)。第二種の情報を調べていて学校卒業による免除の話に触れた人もいると思いますが、第一種にその経路は無いということです。同じ表には、このほかに「第一種、第二種又は第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者」と「旧電気事業主任技術者資格検定規則による電気事業主任技術者の資格を有する者」も免除の対象として挙げられています(前掲「第一種電気工事士の試験概要」/2026-08-30確認)。学科合格を根拠にする経路に限れば前回または前々回の2回までなので、学科に受かった年の技能で決められなかった場合、この経路で免除が使える回数には限りがある形になります。

令和9年度からは、原則としてCBT方式へ移行する

来年度に向けた告知も出ています。「電気工事士試験一種・二種学科試験につきまして、令和9年度(2027年度)より原則として(※)CBT 方式(PC と情報ネットワークを用いて実施する試験方式)に移行することといたしましたので、お知らせします。」(前掲「CBT方式への移行について」(令和8年4月8日付)/2026-08-30確認)。

ここで見落とせないのが「原則として」という言葉と、それに付く注釈です。「※ 災害等で通信ネットワーク障害等など CBT 方式での試験が実施出来ない場合、必要に応じて PBT 方式で実施してまいります。」(前掲「CBT方式への移行について」/2026-08-30確認)。完全にCBTだけになると言い切れる書き方ではない、という点はそのまま受け取っておきます。

第一種に限って言えば、上期は令和8年度の時点ですでにCBT方式のみです。同じ資料の区分表では、第一種は令和8年度が上期CBT・下期がCBTとPBT、令和9年度以降は上期CBT・下期CBTとなっており、令和9年度に変わるのは下期側だと読み取れます(前掲「CBT方式への移行について」/2026-08-30確認)。令和9年度の具体的な日程については、この記事では扱いません。

  • 上期は申込みが2月13日から3月2日、学科CBTが4月1日から5月8日、技能が7月4日
  • 下期は申込みが7月27日から8月13日、学科CBTが9月11日から10月18日、筆記方式が10月4日、技能が11月21日
  • 結果発表は上期が学科5月22日12時・技能7月24日12時、下期が学科11月2日12時・技能12月11日12時。受験日から2週間経過後の12時より(予定)の発表もあり、上期案内では「マイページでの発表」として、下期案内では「CBT方式のみ」を対象として記載されている
  • 受験手数料はインターネット申込み13,000円、郵送での書面の申込み14,400円(いずれも非課税)
  • 学科免除の対象は、前回または前々回の学科合格者、電気主任技術者免状の交付を受けている者、旧規則による電気事業主任技術者の資格を有する者の3通りで、学校卒業による免除は無い
  • 令和9年度より原則としてCBT方式へ移行するが、災害等で実施できない場合はPBT方式で実施される

あわせて読むなら、第二種電気工事士の全体像をまとめた次の1本です。難易度や試験内容の並びを見比べると、第一種との距離感がつかめます。

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第二種電気工事士とは?難易度、合格率、試験内容、勉強法など 第二種電気工事士とは何かを電気施工管理経験者が解説。難易度や合格率、学科・技能の試験内容、受験資格、独学の勉強時間と勉強法まで整理。電気が未経験でも合格できる理由と、現場で資格がどう活きるかが分かります。

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【PR】技能の練習材料は、学科の手応えを見てから足す

  • 技能試験の合格基準は「作品に欠陥がないこと」で、点を積み上げる試験ではない
  • 候補問題はNo.1からNo.10まで公表されていて、試験時間はすべての問題について60分の予定とされている
  • 学科と技能のあいだは日程が空くので、材料をそろえるのは学科の手応えを見てからで間に合う

候補問題は10問あり、配線図や施工条件等の詳細は当日の試験問題に明記されます。必要な材料がまとまったセットを使う方法もあるので、何がどれだけ入っているかだけ先に見ておくと、学科が終わってから慌てずに済みます。取り扱っている内容や条件は変わることがあるため、詳細は提供元の公式ページで確認してください。

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第一種電気工事士の独学に関する情報まとめ

  • 受験と免状:受験に制限や条件は無いが、免状は合格・実務経験3年以上・居住地の都道府県知事への申請の3つで交付される。第二種免状が無いと合格しても一般用電気工作物等の工事には従事できない
  • 受験方式:第一種の上期学科はCBT方式のみ。下期はCBTか筆記のどちらかで、両方の受験はできない
  • 結果の返り方:CBT方式では自分が受けた回の試験問題と解答が非公開で、自己採点に代えて正答数が返る。得点は表示されるが合否は表示されない
  • 合格基準:学科は合格基準点60点、技能は作品に欠陥がないこと。ただし学科の配点は公表されておらず、問題数への換算はできない
  • 技能:候補問題はNo.1からNo.10まで先に公表され、試験時間はすべての問題について60分の予定。上期と下期で内容は同じ
  • 日程と制度:令和8年度は上期が学科CBT4月1日から5月8日・技能7月4日、下期が学科CBT9月11日から10月18日・筆記10月4日・技能11月21日。令和9年度より原則としてCBT方式へ移行する

以上が第一種電気工事士の独学に関する情報のまとめです。

第一種の独学は、テキストを開く前に決まってしまう部分が意外と大きい試験です。上期を選べば学科はCBT方式で確定し、そこを選んだ時点で「自分が受けた問題を後から見返す」という復習の道は使えなくなります。だとしたら、まず受ける期と方式を先に決めて、そのうえで答え合わせを演習の側に全部寄せる。技能は候補問題が10問公表されていて60分という枠も分かっているので、学科の手応えが見えてから材料をそろえても間に合います。この順番で並べ直しておけば、9科目という数字に押し切られずに済むはずだと考えています。

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