- 絶縁抵抗測定ってなに?
- どんな目的があるの?
- やり方を知りたい
- 注意点はあるの?
- 基準を教えて欲しい
- 線間の場合は?
上記のような悩みを解決します。
絶縁抵抗測定は電気工事の基礎中の基礎です。どういった順序でやればいいのか?何Ωあればいいのか?を知っておかなければ、電気工事は勤まりません。
この記事では絶縁抵抗測定とは?といったところから、目的、やり方、注意点、基準、線間の場合について解説していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事を執筆していくので、初心者の方にも分かりやすい記事になっているかなと思います。
絶縁抵抗測定とは?
絶縁抵抗測定とは、結論「ケーブルの絶縁を測定すること」です。
電気を通す電線は基本的に絶縁保護がされています。電気が通る電線が剥き出しだと、人が触れたら感電してしまいますし、漏電して電気が損失してしまうこともありますからね。
ケーブルは正しく絶縁される必要があるんです。
搬入された時は何の不具合の無いケーブルでも、施工している途中に傷付いてしまうことがあるんです。例えば、天井裏の配線を行う際、天井裏にあるLGSやダクト等に擦ってしまうことがあります。負荷と盤を結線した最終状態で、正しく絶縁されているかの確認が必要です。
また、施工で配線を更新した時だけでなく、定期的に絶縁不良が無いかを確認する必要もあります。
照明の更新をしたから絶縁抵抗を測定するだけではなく、全体の幹線に不良が無いかを年に1回確認するんです。いわゆる定期点検といったものがそれに当たります。
絶縁抵抗測定の目的
絶縁抵抗測定の目的は、結論「絶縁不良の発見」です。
もし絶縁不良があれば、漏電の危険があります。
簡単な話、絶縁体が傷付いていれば、そこから電気が漏れますよねという話です。電気が漏れで金属部分に当たれば、その金属に触れている人が感電してしまいます。電気はほんの数アンペアで人の命を奪ってしまうこともあるので、感電事故は避けるべきです。
また、電気が漏れているということは、本来供給されるべき電気量が供給できないということです。
例えば、体育館の照明器具の配線が漏電していたとしましょう。電気量が足りない為に照明器具の照度が落ちたら、床面でのルクス数が下がります。
体育館でスポーツを行う際、明確に照度が定められています。その定められた照度を確保できなければ、競技を行うことができませんよね。プロの試合なら観客も入りますからクレーム必須です。
絶縁抵抗測定のやり方
絶縁抵抗測定STEP①バッテリーチェック
絶縁抵抗測定には絶縁抵抗計が必要です。いわゆる「メガ」と呼ばれるものですね。メガを用意しましょう。
まずはゼロチェックから入ります。
絶縁抵抗系のレンジを変えるとボタンが光ります。ボタンが光ればバッテリーはあるので、問題ありません。ただ、ボタンが光らなければバッテリーがありませんので、バッテリーを交換する必要があります。
絶縁抵抗測定STEP②アースを取る
バッテリーチェックが終わったら、アースを取りましょう。
メガには2つクリップがあると思います。赤と黒の場合が多いです。赤は基本的に負荷側に当てるものですので、黒をアースに挟みましょう。
非常用照明盤にはアースが無かったりする場合があります。その場合は近くの盤のアースから取りましょう。ELCB用のアースでも問題ありません。
絶縁抵抗測定STEP③ゼロチェック
アースを取ったらゼロチェックを行います。
要するに絶縁抵抗計がぶっ壊れていたら、正確な絶縁が測れませんよね。壊れていないかを確かめる為にゼロチェックが必要です。
やり方としては、赤側を適当な金属部分に当てるだけです。盤の取っ手にある金属やビスなどでも構いません。ただ、アースや負荷の繋がっている回路などに当てるのはNGです。
絶縁抵抗測定STEP④抵抗値の測定
測定したい部分に赤側を当てましょう。正しく当たると絶縁抵抗計の針が動きますので、針が止まったところが絶縁抵抗値です。
レンジが振り切ったら何の問題もありません。200V以上なら余裕でオーケー。ただ微妙なラインで止まったら絶縁不良が発生している可能性があります。具体的な基準については後ほど解説します。
絶縁抵抗測定STEP⑤ゼロチェック
絶縁抵抗の測定が終わったら、最後にもう一度ゼロチェックをしましょう。
もしかしたら、絶縁抵抗を測定している途中に絶縁抵抗計がぶっ壊れていた可能性があります。測定前、測定後の両方で絶縁抵抗計に問題が無いことを確認する必要があるんです。
絶縁抵抗測定の注意点
絶縁抵抗測定をする際の注意事項は、結論「正しいレンジを使用すること」です。
電圧計なんかでも同様ですが、100Vのレンジだと100V以上の電圧は測定できませんよね。1000Vだろうと10000Vだろうと同様に「100V以上」という結果しか得られません。正しいレンジに合わせて測定するのが注意点です。
では具体的にどのレンジにすべきかといった点ですが、電灯盤なら「100Vレンジ」動力盤なら「200Vレンジ」としましょう。
デジタルで表示してくれる絶縁抵抗計なら一発で何Ωかを示してくれますが、アナログな絶縁抵抗計なら自分で読み取らないといけない場合があります。
ここで目盛りを間違えてしまうと正確な抵抗値を記入することができなくなります。
紛らわしいので全部デジタルにすればいいのですが、いかんせんデジタルの絶縁抵抗計の価格は高くなるイメージです。定期点検などでは多数の絶縁抵抗計を用意しなければならないので、アナログの絶縁抵抗計も使わないといけないんですよね。
建設業の平均年齢が高いのと、アナログでも普通に絶縁測定できることから、アナログの絶縁抵抗計も普通に使われています。両方の使い方をマスターしておくことをオススメします。
絶縁抵抗測定の基準
V数 | 区分 | 絶縁抵抗値 |
300V以下 | 対地電圧が150V以下 | 0.1MΩ以上 |
300V以下 | その他の場合 | 0.2MΩ以上 |
300Vを超えるもの | 0.4MΩ以上 |
以上が絶縁抵抗測定の基準です。内線規定に乗ってる奴ですね。
300Vを超えることはあまりありません。要するに3相4線式の話ですので、建物的にも少数だと思います。基本的に100Ω以上なら問題ないといった考え方で問題ないです。
対地電圧とは、要するにアースとの電圧になります。
例えばRSTで赤白青だった場合、Rとアース・Sとアース・Tとアースが対地電圧です。これが150Vを超えるか否かといったところの話ですが、分からないならテスターで当たってみましょう。
分かりにくい場合は、下記参照でお願いします。
絶縁抵抗測定の基準
- 単相2線式、単相3線式:100Ω以上
- 単相3線式:200Ω以上
- 単相4線式:400Ω以上
絶縁抵抗測定を線間で行う場合
復電の際、線間の絶縁抵抗測定も行った方がベターです。
線間の抵抗値測定はテスターの方がいいかもしれません。
例えば200Vのブレーカーだったら、線を挟み込む場所が2つありますよね。この2つを接続して線間の抵抗値を測定します。
もし抵抗値が悪い場合、どこかしらで短絡している可能性があります。もし健全に回路が繋がっていれば、負荷の分の抵抗値が出てくるはずですよね。抵抗値が出てこないということは、どこかしらで短絡しているということです。原因の究明と解決が必要です。
例えば、照明更新の工事だとしたら、スイッチが入っていない場合があります。
スイッチが入っていなければ電路が繋がっていませんから、抵抗値がでる訳もありませんよね。この場合は絶縁抵抗測定も正しくできていない訳ですから、もう一度絶縁抵抗測定をしなければなりません。
線間の電圧を測定しておけば、事前に事故を防ぐことができます。
絶縁抵抗測定に関する情報まとめ
絶縁抵抗測定に関する情報まとめ
- 絶縁抵抗測定とは:ケーブルの絶縁を測定すること
- 絶縁抵抗測定の目的:絶縁不良の発見
- 絶縁抵抗測定のやり方:バッテリーチェック、アース、ゼロ、測定、ゼロ
- 絶縁抵抗測定の注意点:電灯盤なら100Vレンジ、動力盤なら200Vレンジ
- 絶縁抵抗測定の基準:上表参照
- 線間の絶縁抵抗測定:上章参照
以上が絶縁抵抗測定に関する情報のまとめです。
一通り絶縁抵抗測定の基礎知識は網羅できたと思います。
セットで合わせておくべき知識としては導通が挙げられますね。幹線の更新工事では導通と絶縁抵抗測定がセットです。知らなければ正しい工事ができません。
導通に関して詳しく解説した記事のリンクを下に貼っておくので、よかったら読んでみてください。