地絡とは?漏電・短絡との違い、原因、大きさ、問題点などを解説する

  • 地絡ってなに?
  • 漏電や短絡との違いって?
  • 地絡が発生する原因は?
  • 大きさはどれくらい?
  • 問題点について知りたい

上記の様な悩みを解決します。

電気には様々な種類があり、それぞれの意味が微妙に異なります。地絡は現場でもよく使われる用語ですので、内容についてキッチリ理解しておきましょう。

この記事では地絡とは?といったところから、漏電や短絡との違い、原因、大きさ、問題点などについて解説していきます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

地絡とは?漏電や短絡との違い

地絡とは、結論「機器と大地の間に電気が流れている状態」です。

似たような単語で「接地」があります。接地は「機器と大地を電気的に接続すること」ですが、地絡は「電気が流れている状態」を指します。

他にも「漏電」と「短絡」との区別も難しかったりします。

漏電とは「電気が漏れること」です。本来、電線には絶縁処理がされており、電気が漏れないようになっています。

この絶縁部分が何らかの理由によって傷付き、大地と接触してしまうことがあります。本来流れてはいけないところ(大地)に電気が流れてしまうのが漏電です。

「漏電も大地と機器に電気が流れることでしょ?地絡と一緒では?」そう思う方もいるかもしれません。

結論、地絡と漏電は同じものです。

地絡の方がいかつくて、漏電の方がいかつくないです。地絡の弱いバージョンが漏電だと覚えておいてください。中身は一緒です。

次は短絡です。本来、電気が流れてはいけない部分に電気が流れ、異常が発生してしまうのが短絡です。「本来流れてはいけない部分に電流が流れる」といった観点では同じですね。

ただ短絡は、機器と大地の話ではありません。電線と電線とか、大地以外のお話になっています。

 

地絡の原因

地絡の原因その①被覆の劣化

配線の被覆が劣化することにより、地絡が発生する可能性があります。

ケーブルを敷いた時は新品ですので、地絡の危険性は少ないです。ただ時間が経ち、被覆(絶縁部分)の状態が悪くなると芯線がむき出しになり、地絡の危険性が高まります。

定期的なメンテナンスや改修工事を行い、電線を適切な状態に保つ必要があります。

 

地絡の原因その②ネズミちゃんが電線をかじる

電気工事の業界において、ネズミちゃんは割とあるあるです。狭いところからも侵入しますし、配線のある天井裏とかにもよく生息しているので、事故の原因になります。

ネズミちゃんが電線をかじると、被覆がめくれ、芯線がむき出しの状態になってしまうんです。

電線の使用年数に関わらず地絡が発生する可能性があるので、事業会社からしたら溜まったものではありません。

盤なんかではネズミが入らないような措置を取っている現場も多いですが、盤以外にも電線はたくさんありますし、対応のしようが無い部分もあります。

できる限りの対策は行った方が良いでしょう。

 

地絡の原因その③電線とクレーンの接触

こレーンで作業をしている際に電線と接触し、地絡が発生する可能性があります。

ネズミとは違って、クレーンの力は強いです。当たったら電線がイカレるのは分かりますね。クレーンは車体が大きく、操作が難しかったりします。

運転する人以外に監視員をつけておくと防止できる可能性が高いです。

 

地絡電圧の大きさ

地絡電圧の大きさは、結論「100Vから400V」です。

状況によって異なるというのは大前提ではありますが、大抵はこれくらいをイメージすれば相違ないかなと思います。

「あれ?そんなもんなの?大したことないのでは?」そう思う方もいるかもしれません。

結論、大したことあります。

人って50Vくらいあれば命を落とす危険性がありますからね。100Vから400Vくらいの電気に触れたら普通にあの世行きですよ。感電したら、命を落とすくらいの考え方でいた方がいいです。

地絡に関わらず、電気は非常に危険です。扱い方を間違えれば、人一人の人生が終わってしまう危険性すらあります。

多くの人は「自分だけは大丈夫」だと思っています。

感電の話を聞いても自分ごとに捉えることができる人は少ないです。この記事を読んでいるあなたも、この記事を書いている僕も、明日には感電してしまうかもしれません。

非常に危険なので注意しましょう。

 

地絡が起こると何が問題なのか

地絡の問題点その①燃える

地絡が起こると、電線もしくはケーブルが燃える可能性があります。これは問題です。

もし地絡が起こってしまうと、抵抗がありますから電気エネルギーが熱エネルギーに変換され、熱が生じます。

周りに木が多い場所で地絡による火災が発生したら最悪ですよ。木に燃え移る危険すらありますからね。ただでさえヤバイ事故がもっとヤバくなります。

普通に人が火災によって火傷する可能性もありますし、大変危険な状態です。

 

地絡の問題点その②周辺機器がバグる

地絡が発生すると、周辺機器がバグります。

誘導電圧が発生するので磁界が変化して、周りの周辺機器に影響を与えます。近くに電子機器がなければ大した問題ではありませんが、近くに電子機器があれば大した問題です。

近年では電子機器の重要性が増しています。分かりやすい話、大事なデータがぶっ飛んだら大変なことになりますよね。いくら賠償請求来るんだって話ですよ。

現実問題はそこまでのことは起こりませんが、ノイズが発生するので、通信障害が起こったりします。

周辺に電子機器がある場合は、注意が必要です。

 

地絡の問題点その③感電する

地絡の問題点はシンプルに感電する危険があるということです。

もし地絡が発生してしまうと、構造体にも電気が流れてしまいます。鉄骨や鉄筋などにも電気が流れますから、多くの人が感電してしまう可能性があるんです。

自分の業者だけでなく、他業種の人にも感電の危険があります。

新築の現場だったら現場内だけの話で済みますが、もし万が一、建物を使っているお客様まで危険が及んでしまったら目も当てられません。(それは流石にないかもしれませんが。。。)

シンプルに感電リスクもありますので、対策が必要です。

 

地絡は漏電遮断器で電路を遮断しよう

地絡電流は漏電遮断器を使うことにより、電路を遮断することができます。

漏電遮断器とは、そのままの意味で「漏電を感知して遮断する機器」です。漏電と地絡は同じものですので、地絡も漏電遮断器で対応可能です。

遮断器は電路を遮断する訳ですから、感電や火災の発生など、地絡によって発生する危険を防止することが可能です。もちろん設計段階で漏電遮断器を組み込むので、安全対策はできていますが、遮断するポイントまでは電気が流れるので十分危険です。

なによりの対策は、やはり定期的なメンテナンスや改修工事です。

逆に定期的なメンテナンスを行っていなかったり、改修工事を行わないでいると、地絡の危険性がどんどん高まっていきます。

電気は便利な反面非常に恐ろしいので、安全には最善を尽くしましょう。