スタンションとは?種類、親綱との違い、設置方法、安全基準など

  • スタンションって結局なに?手すりとどう違う?
  • 親綱支柱と同じもの?別もの?
  • 第1種と第2種って何が違うの?
  • どの場面で何種を選べばいい?
  • 安衛則・仮設工業会の基準とどう絡む?
  • 設置・撤去の段取りで気をつけることは?
  • 最初に取り付ける人が一番危ないのでは?
  • 安全パトロールで何を見られる・指摘される?
  • 買うべき?レンタルでいい?相場はいくら?
  • 次世代足場だとスタンション要らなくなった?
  • 手すりの高さって85cm?90cm?95cm?結局どれが正しいの?
  • 「スタンションポール」で調べると行列用のポールが出てくるけど、別物?
  • 配管やトラックでもスタンションって言うけど、同じもの?

上記の様な悩みを解決します。

スタンションは、床の端や開口部に後付けで手すりを作るための支柱です。仮設工業会の認定基準ではガードポストと呼ばれます。支柱だけでは何も防げず、上桟と中桟を通して初めて囲いとして働きます。上桟の高さは第1種が95cm以上、第2種が90cm以上で、取付間隔は2m以下が基準です。親綱支柱とは別物で、墜落制止用器具(安全帯)を掛ける設備ではありません。

この記事では、パトロールで「根拠は何条か」と聞かれても答えられるよう、労働安全衛生規則の第519条・第521条の条文と、仮設工業会の認定基準・使用基準の数値を、原文の文言のまま並べて整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

「今の現場がしんどい」と感じたときの選択肢として、施工管理向けの転職サービスを比較した記事を置いておきます。

目次

スタンションとは?

「スタンションって結局なに?手すりと何が違うの?」という疑問から片付けます。

スタンションとは、結論「作業床の端や開口部など墜落の危険がある箇所に立て、上桟と中桟を取り付けて仮設の手すり(墜落防護工)にするための束柱(つかばしら)」のことです。

仮設工業会の認定基準上の名称は「ガードポスト」です。現場では「スタンション」「ガードポスト」「手すり支柱」あたりが同じものを指して飛び交うので、用語が複数あること自体に最初は戸惑うかもしれません。形は、下部に床や梁を挟み込む取付金具(クランプやアーム)が付いていて、そこから支柱が立ち上がり、上桟・中桟を固定する取付部が付いている、というのが基本構造です。

手すりとの関係を整理すると、スタンションは「手すりそのもの」ではなく「手すりを支える柱」です。仮設工業会がガードポストの認定基準を改正した際の解説でも、ガードポストは上桟(手すり)と中桟を取り付けるための束柱という位置づけで説明されています。つまり、柱だけ立っていても、上桟と中桟が入っていなければ囲いとしては機能しません。

1セットとして揃えるものは次のとおりです。

  • 支柱(スタンション本体):床端・梁・覆工板などに固定する柱
  • 上桟(手すり):一番上に渡す横材。単管など曲がらない材を使う
  • 中桟:上桟と床の間に渡す横材。人が下からすり抜けるのを防ぐ
  • 幅木:物が落ちるおそれがある場所で床際に立てる板
  • 取付金具・突起物のカバー:支柱と桟をつなぐ金具と、引っかかり防止のカバー

主な設置場所は、屋上やバルコニーの床スラブの端部、荷揚げ用の開口部、階段の踊り場、トラックの荷台まわり、足場の組立・解体時の先行手すりなど。要するに「手すりが無い状態で人が落ちうる縁」に、後付けで手すりを作るための支柱、という理解でまず間違いないです。高所作業全体の基準と考え方は、高所作業の記事でまとめています。

スタンションは「手すりという完成品」ではなく「手すりを作るための部品」と捉えると迷いません。柱を立てた時点で安心してしまうと、桟の入っていない区間がそのまま残り、人はその間からあっさり落ちます。「スタンションを立てる=上桟と中桟を通すところまでで1セット」と最初に決めておくのが、抜けのない防護への近道です。

スタンションと親綱支柱の違い(ここの混同が一番危ない)

「親綱支柱と同じもの?命綱を掛けていいの?」という疑問は、スタンションを調べる人のほとんどが通る道です。見た目がよく似ているため混同されがちですが、役割はまったく別物です。ここを取り違えると重大事故に直結するので、施工管理は最優先で押さえておきたいところです。

比較項目 スタンション(ガードポスト) 親綱支柱
本来の目的 手すり(上桟・中桟)を取り付けて囲いを作る 支柱用親綱を張り、墜落制止用器具を掛ける設備にする
通すもの 単管など曲がらない材の上桟・中桟 支柱用親綱
墜落制止用器具(安全帯)を掛けてよいか × 使用基準の禁止事項 ○ 掛けるための設備
性能の位置づけ 手すりの束柱。安全帯の取り元としての性能は保証されない 親綱を固定する支柱。スパンや使用人数に使用方法の定めがある
主な基準 仮設工業会「ガードポスト」認定基準・使用基準 仮設工業会 親綱支柱の認定基準・親綱支柱・支柱用親綱・緊張器の使用基準
対応する安衛則 第519条(囲い、手すり、覆い等) 第521条(墜落制止用器具等の取付設備等)

一番危険な勘違いは「スタンションに張った手すりに安全帯のフックを掛けてしまう」ことです。仮設工業会のガードポストの使用基準は、禁止事項として「ガードポスト本体及びガードポストに設けた手すり及び中桟を安全帯取付設備として使用しないこと。」と定めています。

レンタル会社の杉孝もQ&Aで「スタンションを親綱支柱として使用することはできません。スタンションはあくまでも手摺柱です。墜落制止用器具(安全帯)の取り元としての性能がありません。」と答えています。安全帯を掛けてよいのは、親綱支柱に張った親綱など、取り付けるための設備として用意されたものだけです。

親綱支柱側の数値も並べておく

親綱支柱の側にも、スタンションとは別の使い方の決まりがあります。メーカー(南都産業)の親綱支柱の使用基準では「支柱用親綱を固定する支柱のスパンは10m以下にして下さい。また、1スパン1人での使用として下さい。」とされています。同社はこの文言を仮設工業会『墜落防止設備等に関する技術基準』からの引用と注記しています。

コーナーの扱いにも注意があります。杉孝のQ&Aは、出典を仮設機材認定基準とその解説として、親綱支柱・支柱用親綱・緊張器の使用基準の「コーナーに使用する支柱には平行方向と直交方向の2本の支柱用親綱を同時に取り付けないこと」を紹介しています。出隅で親綱を2方向に張りたくなる場面ほど、支柱を分ける段取りが要るということです。

もう一つややこしいのが、親綱支柱にも「第1種・第2種」があることです。仮設工業会が公表した親綱支柱の認定基準改正(2025年7月1日施行)では、第1種は「鉄骨梁のフランジ等に支柱の取付金具により取り付け」るもの、第2種は「わく組足場を構成する建わくの脚柱や横架材等を利用してセット」するものと区分されています。ガードポストの第1種・第2種(設置箇所による区分)とは別の物差しなので、「第1種」という言葉だけで話をすると食い違います。

見た目で判断できないときは、その製品が「ガードポスト」と「親綱支柱」のどちらとして作られているかを、本体の表示や取扱説明書で確かめるのが確実です。分からないまま掛けるくらいなら、掛けないほうが安全側です。親綱を張れない場所の墜落対策は安全ブロックの記事で、親綱そのものの張り方は親綱の記事で扱っています。

個人的には、現場で一番怖いのは「手すり用か親綱用か曖昧なまま運用される」状態だと考えています。職人さんは見た目で判断しがちで、「いつもこれに掛けてるから大丈夫」が一番危ない。新規入場時のKYや朝礼で「その支柱、手すり用?親綱用?」を口に出して確認する流れを作っておくと、事故の芽をかなり潰せます。新規入場者への伝え方はKY活動の進め方にまとめています。

スタンションの種類(第1種・第2種と取付下地別)

「第1種と第2種、どっちを手配すればいい?」「鉄骨梁に付けるタイプと床用は何が違う?」という迷いは、分類の軸を2本に分けると解けます。スタンションは「設置箇所による種別(第1種・第2種)」と「取付下地のタイプ」の2軸で整理できます。

第1種・第2種の違い(仮設工業会の区分)

仮設工業会が2022年2月1日に公表したガードポスト認定基準の一部改正では、「ガードポストの種類は、設置箇所により第 1 種又は第 2 種とする。」とし、注記で「第 1 種は、荷上げ用の開口部、荷上げ構台、仮設階段の踊場、トラック棧橋、土止壁上部等に設ける防護工に使用するものをいい、第 2 種は第 1 種に掲げる防護工以外の防護工に使用するものをいう。」と定めています。

同じ認定基準の構造と強度の項目を、種別ごとに並べると次のとおりです(出典:仮設工業会 ガードポスト認定基準 一部改正、仮設機材マンスリーNo.449)。

種別 設置箇所 上桟取付部の高さ 曲げ強度試験の重り たわみ測定の重り
第1種 荷上げ用の開口部・荷上げ構台・仮設階段の踊場・トラック棧橋・土止壁上部等 95cm以上 160kg 85kg
第2種 第1種に掲げる防護工以外 90cm以上 100kg 40kg

高さの測り方にも定義があります。同認定基準は「(注)ガードポストの高さとは、構造物等へ取り付けた場合において、床の上面より上桟の上面までの間隔をいう。」としています。支柱の全長ではなく、床から上桟の上面までで測るという点は、パトロールで巻尺を当てるときにそのまま使えます。

中桟の位置も決まっています。同認定基準は「中桟取付部は、高さ 35cm 以上 50cm 以下の位置に中桟を確実に固定取り付けることのできる構造であること。」としています。認定品であれば中桟を付ける位置は製品側で決まっているので、現場で気にするのは「その取付部に中桟が実際に入っているか」です。

強度の違いは試験の重りで比べるとイメージしやすいです。同認定基準の強度試験では、上桟取付部につり下げる曲げ強度測定時の重りが第1種160kg・第2種100kgで「破壊しないこと」、たわみ測定時の重りが第1種85kg・第2種40kgで、たわみ量は「最大値 110㎜以下」「平均値 100㎜以下」とされています。第1種のほうが重い荷重を前提にした製品だと分かります。

では使い分けはどうなるか。同じ改正の解説には「なお、第 1 種ガードポストとして認定されたものは第 2 種(第 1 種の設置箇所以外の箇所)の設置箇所へも設置することができる。」とあります。逆向きについては、メーカー(コンドーテック)の製品案内が「第2種ガードポストを第1種の設置箇所に設置することはできません。」と明記しています。第1種は第2種の箇所にも使えるが、第2種を第1種の箇所に持ち込むのはNG、という一方通行の関係です。

取付下地別のタイプ(製品の取付タイプの例)

実務で選ぶときにむしろ効いてくるのが、「どこに、どうやって固定するか」という取付下地別の分類です。

タイプ 固定方法 主な使用箇所
床(スラブ)用 床面をクランプ・アームで挟み込む 屋上・バルコニー・床端部・パラペット
梁・鉄骨用 鉄骨の梁フランジを挟み込む 鉄骨建方時の梁端部
覆工板用 覆工板の隙間や端部に固定 路面覆工部・土木の開口
トラック荷台まわり用 荷台やその周囲に取り付ける トラック荷台まわりの荷下ろし
親綱支柱(別製品) 鉄骨梁のフランジや建わくを利用して取り付ける 親綱を張りたい箇所(手すり用のスタンションでは代用しない)

最後の行は、スタンションの一種ではなく「親綱を張るなら別の製品を手配する」という意味で残しています。足場の種類ごとの相性は足場の種類の整理とあわせて見ると分かりやすいです。

間違えやすいのは、むしろ「第1種・第2種」より「取付下地の合致」のほうです。種別はメーカーが製品に明示しているので選定段階で外しにくいのですが、取付下地は「手元のスタンションのクランプが、今回の下地(薄い覆工板やパラペットの立上り、特殊な梁形状)に合うか」を現物合わせで見ないと判断できないことが多い。届いたスタンションのアームが床厚に合わず、締め付けが甘くてグラグラする、というのは起きやすい失敗です。発注前に下地の形状と厚みを測り、それに合う締め付けしろの製品を選ぶ、というひと手間が効きます。

スタンションに関わる安全基準と法令

「法令の何条が根拠か、パトロールで説明したい」「仮設工業会の認定品じゃないとダメ?」という疑問に答えるため、条番号と原文を並べます。スタンションは「なんとなく安全のために立てるもの」ではなく、法令と業界基準にひもづいた防護工です。施工管理として根拠を押さえておくと、是正のときに説明がブレません。

労働安全衛生規則(安衛則)との関係

高所での墜落防止は、労働安全衛生規則で事業者の義務として定められています。スタンションに関わる条文を、条番号つきで整理すると次のとおりです(出典:e-Gov 労働安全衛生規則)。

条文 内容(趣旨) スタンションとの関係
第518条第1項 高さ2m以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く)で墜落の危険があるときは作業床を設ける 作業床そのものを作る義務。端部と開口部は次の第519条で扱う
第519条第1項・第2項 高さ2m以上の作業床の端・開口部等に囲い、手すり、覆い等を設ける。臨時に取りはずすときは防網・墜落制止用器具等の措置 スタンションで仮設手すりを構成する根拠
第521条第1項・第2項 墜落制止用器具等を使用させるときは取り付けるための設備等を設け、随時点検する 親綱支柱+親綱の根拠。スタンションは該当しない
第552条第1項第4号 架設通路の手すり等(高さ85cm以上)と中桟等(高さ35cm以上50cm以下) 「手すり85cm」の数値の出どころ
第563条第1項第3号・第6号 わく組足場以外の足場に手すり等及び中桟等(第3号ロ)/作業で物体が落下するおそれがあるときは高さ10cm以上の幅木等(第6号) わく組足場以外の足場では第552条の「手すり等」「中桟等」の定義を使う形

中心になる第519条第1項は「事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。」という条文です。第2項は、作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときに、防網を張り、要求性能墜落制止用器具を使用させる等の措置を求めています。スタンションで作る仮設手すりは、この「囲い等」の一手段です。

一方、第521条第1項は「…労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。」とし、第2項で取付け設備等の異常の有無を「随時点検しなければならない」としています。親綱支柱+親綱はこちらに対応します。スタンションと親綱支柱を分けて考えるべき理由は、対応している条文そのものが違うからなんですね。

手すりの高さ85cm・90cm・95cmの関係

「手すりの高さは85?90?95?」と混乱しやすいので、出どころを分けておきます。85cmは安衛則第552条第1項第4号イの「高さ八十五センチメートル以上の手すり又はこれと同等以上の機能を有する設備(以下「手すり等」という。)」で、同号ロが「高さ三十五センチメートル以上五十センチメートル以下の桟又はこれと同等以上の機能を有する設備(以下「中桟等」という。)」です。第552条はもともと架設通路の条文で、足場の第563条第1項第3号ロは「わく組足場以外の足場 手すり等及び中桟等」と、この定義を参照する形になっています。

これに対して95cm・90cmは、仮設工業会のガードポスト認定基準が製品に求める上桟取付部の高さ(第1種95cm以上・第2種90cm以上)です。なお、第519条自体は高さの数値を定めていません。85cmは第552条第1項第4号イ(架設通路)の数値で、わく組足場以外の足場の第563条がその「手すり等」を使う、という範囲の話です。ガードポストの95cm・90cmは認定品の構造の基準なので、別の話として分けて覚えるのが安全で、数字だけを比べれば認定品の高さは第552条の85cmを上回ります。幅木は、第563条第1項第6号が、作業のため物体が落下することにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときに「高さ十センチメートル以上の幅木、メッシュシート若しくは防網又はこれらと同等以上の機能を有する設備」を設けることとしており、ガードポストの使用基準も、物体の落下により作業者に危険を及ぼすおそれのあるときに高さ10cm以上の幅木等を求めています。

「安全帯」と「墜落制止用器具」の呼び方

この記事でも「安全帯」と書いている箇所がありますが、法令上の用語は墜落制止用器具です。厚生労働省は「「安全帯」の名称を「墜落制止用器具」に改めます。」とし、施行日は2019(平成31)年2月1日です。同じ資料で、建設現場等で従来からの呼称である「安全帯」といった用語を使用することは差し支えない、としています。書類や是正報告では墜落制止用器具、現場の声掛けでは安全帯、と使い分ければ問題ありません。フルハーネスの教育要件はフルハーネス特別教育の記事で確認できます。

仮設工業会の認定基準と使用基準

「認定品じゃないとダメ?」については、取付間隔の2mが法令ではなく業界基準である点を押さえておくと話が早いです。杉孝のQ&Aは「ガードポストの取り付け間隔に法律的な決まりはありません。ただし、仮設工業会の定める「ガードポスト」の使用基準に「ガードポストの取り付け間隔は、2m以下とすること」と定められております」と説明しています。法令が求めるのは「囲い等」を設けることで、その囲いをどう作れば足りるかの物差しとして、仮設工業会の認定基準と使用基準が使われている、という関係です。

仮設工業会のガードポストの使用基準(2015年の認定基準一部改正要旨に収録)から、組立・使用上のルールを抜き出すと次のとおりです。

  • 取付間隔:「ガードポストの取付間隔は、2m以下とすること。」
  • 取付箇所:「ガードポストが、ねじれ、転倒、浮き上りの生じない堅固な箇所に取り付けること。」
  • 幅木:物体の落下で危険があるときは、取付周辺に「高さ10㎝以上の幅木又は同等以上の機能を有する設備を設けること。」
  • 突起物:手すり及び中桟の取付部等の突起物には「カバーを設けること。」
  • 禁止事項(1):「ガードポストに取り付ける手すり及び中桟は、ロープ等の可撓性のものは使用しないこと。」
  • 禁止事項(2)〜(5):安全帯取付設備・壁つなぎ・足場板等の支持点・資材荷上げのつり元として使わない、手すり及び中桟に乗らない、材料等の積載・つり下げ・立て掛けをしない

注目したいのは禁止事項(1)です。手すりと中桟は、ロープのように曲がる材では作れません。単管など可撓性のない材で上桟と中桟を組む、というのが使用基準の前提です。パトロールのチェック項目に落とし込む方法は安全パトロールの記事が詳しいです。

法令と認定基準は、別々に丸暗記するより「人が落ちないための囲い(スタンション・第519条)」「落ちたときに止める命綱(親綱支柱・第521条)」の2系統がある、と機能で覚えるのが実務的です。是正のとき、職人さんに「規則の何条で〜」と説明しても伝わりにくいですが、「この柱は手すり用だから命綱は掛けられない、命綱はあっちの親綱に」と機能で言うほうが、職人さんにも伝えやすいはずです。根拠の条番号は施工管理が押さえておき、現場では機能で語る、という使い分けです。

スタンションの設置方法と仮設手すりの作り方

「屋上やバルコニー、張出しスラブの端にどう付けるの?」「最初の1本を付ける人が一番危ないのでは?」という2つの疑問に、手順と順序の両面から答えます。ここでは床・開口部用の挟み込みタイプを前提に説明します。

設置の基本ステップ

数値と禁止事項は、仮設工業会のガードポスト使用基準(取付間隔2m以下・堅固な箇所への取付け・突起物のカバー・可撓性の手すり材の禁止)に沿って並べています。

  1. 設置位置を決める(取付間隔は2m以下。コーナーや出隅は現場の形に合わせて位置を決める)
  2. 下地を確認する(ねじれ・転倒・浮き上りの生じない堅固な箇所か。下地の形状と厚みがクランプに合うか)
  3. スタンション下部のクランプ・アームを下地(床端・梁・覆工板)に挟み込み、取扱説明書の指定どおりに締め込む
  4. 手で揺すって、ねじれ・浮き上りが無いかを確認する
  5. 上桟・中桟を、単管など可撓性のない材で取り付け、緊結金具で支柱に固定する(ロープは使わない)
  6. 手すり及び中桟の取付部等の突起物にカバーを付ける
  7. 物が落ちるおそれがある箇所では、取付周辺に高さ10cm以上の幅木を設ける

屋上・張出しスラブ端部で気をつけること

屋上の端部は、パラペットの立上りに挟む形、スラブの床端に挟む形など、下地の形が現場ごとに違います。モノタロウには「パラペットスタンション」という名前の製品も掲載されていて、パラペットに付ける専用品が流通していることが分かります。張出しスラブ(庇や片持ちのバルコニー)の端部は、スラブ厚が薄かったり、先端に水切りや段差があったりして、一般的な床用クランプの締め付けしろに合わないことがあります。

こうした端部では、使用基準の「ねじれ、転倒、浮き上りの生じない堅固な箇所に取り付けること」を満たせるかを最初に確かめます。満たせないなら、下地に合う別の型を手配するか、防護の方法そのものを変えるのが筋です。締まりきらないまま上桟を通しても、もたれた瞬間に支柱ごと外へ倒れる構図になるからです。

設置順序に潜む危険

施工管理として一番神経を使うのが、「最初の1本目を取り付ける人が、まだ手すりも命綱も無い状態で危険な縁に近づく」という点です。スタンションを設置する目的は墜落防止なのに、その設置作業自体が墜落リスクの高い作業になる、という入れ子構造になっているんですね。

1本目の取付中は手すりがまだ無いので、取付作業者が使う墜落制止用器具の取付設備(ライフライン)をどこに確保するかを、施工計画の段階で決めておくのが安全側の考え方だと僕は考えています。取付は、この作業に慣れた作業者が行う段取りにしておきたいところです。安衛則第519条第2項が、臨時に囲い等を取りはずすときに防網や要求性能墜落制止用器具の使用等の措置を求めているのと同じ発想で、「防護工を作る作業の防護」を先に考える、ということです。ライフラインや安全ネットとの併用はネットフックの記事も手がかりになります。

撤去はさらに気を抜きやすい工程です。手すりを外しながら移動していくので、終盤は手すりの無い区間ができやすくなります。進入側や縁の形によって順序は変わるので、設置・撤去の順番と、その間の墜落制止用器具の取り先を、施工計画と撤去前のKYで決めておきます。

僕の考えでは、スタンションで事故が起きやすいのは「完成後の使用中」より「設置・撤去の最中」です。完成した手すりは誰の目にも入りますが、作りかけと外しかけの手すりは、作業している本人しか状態を知らない。施工計画の段階で、設置と撤去の順番と、その間の墜落制止用器具の取り先まで決めておくのが安全側の構えだと考えています。

スタンションを使う場面(用途別の効きどころ)

「屋上やバルコニーのどこに付けるの?」「設備業者が勝手に外して戻さない問題どうする?」という悩みは、用途ごとに「何を防ぎたいのか」を分けると整理できます。代表的な5シーンです。

用途 防ぎたい墜落 ポイント
鉄骨建方 梁端部からの墜落 梁用の取付金具で端部の囲いを作る。命綱は親綱支柱に張った親綱に掛ける
屋上・バルコニー防水 床スラブ端部からの墜落 床用・パラペット用で端部に立て、単管で上桟・中桟を構成
足場の組立・解体 組立中の足場からの墜落 先行手すりとして設置、次世代足場では役割縮小
荷揚げ開口部 開口部への転落 第1種の設置箇所。荷揚げ時の開閉運用ルールを決める
トラック荷下ろし 荷台まわりからの墜落 荷台まわりの墜落防止として囲いを作る

荷揚げ開口部は、仮設工業会の認定基準の注記で「荷上げ用の開口部」が第1種の設置箇所に挙がっている場所です。荷を入れるたびに手すりを開ける運用になることがあるので、誰が開けて誰が閉めるかを決めておかないと、開けっぱなしの時間が生まれます。

屋上では、防水工事と設備機器の据付が重なる場面があります。防水業者が立てた端部の手すりを、後から入る設備業者が搬入の邪魔だからと外し、そのまま戻さない、というトラブルが起きることがあります。安衛則第519条第2項は、作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときに防網や要求性能墜落制止用器具の使用等の措置を求めています。外すなら代わりの措置を取る、終わったら戻す、外したいときは元請に一声かける、というルールを職長会で決めておくと、抜けた手すりの穴が残りにくくなります。

足場まわりで使う場面は、単管足場の記事とあわせて読むと位置関係がつかめます。

スタンションは立てたまま残りやすい仮設物なので、工程の節目で棚卸ししておきたい部材です。工事が進むと、ふさがって不要になった開口部にスタンションが残っていたり、逆に新しくできた開口部に防護が無かったり、という入れ替わりが起きることがあります。週次の安全パトロールで「今この現場に必要な防護箇所」と「実際に立っているスタンション」を突き合わせると、過不足に気づけます。

「スタンション」と呼ばれる別のもの(区画用ポール・配管・トラック)

「スタンションポールで調べたら行列用のポールが出てきた」「配管でいうスタンションって何?」「トラックのスタンションは何のため?」という疑問は、同じカタカナが業界ごとに別の物を指していることから生まれます。足場・仮設の話をしているときと混ざらないよう、ここで見分け方を整理します。

呼ばれ方 何のための支柱か 説明の出典
スタンション(仮設・この記事の主役) 床端・開口部に手すりを作るための束柱(ガードポスト) 仮設工業会 ガードポスト認定基準
スタンションポール(区画用) ベルトやテープを張って通路や行列を区切るポール モノタロウ掲載のRS PRO商品説明
配管・設備のスタンション 電線管やケーブル、配線器具などを自立させて固定する支柱 明電産業
トラックのスタンション 荷台に立てて長尺物を固定する支柱 山田ボデー工業所

区画用のスタンションポールは、たとえばモノタロウに掲載されているRS PROの商品説明が「RS Pro のベルト格納式スタンションポールです。長さ 2 m のテープとブレーキが付いており…」としているように、テープを引き出して人の流れを区切る道具です。区画用の道具であり、墜落を防ぐ囲いにはなりません。開口部の前に置いて「囲ったつもり」にしないことが大事です。

電気・設備の分野では、明電産業が「電気・設備工事の現場で使用されるスタンションは、主に電線管やケーブル、配線器具などを自立させて固定するための支柱(金属製のポール)です。」と説明しています。電線管などを自立させて固定する支柱のことなので、図面や見積書で「スタンション」とあっても、手すりの話とは限りません。設備の施工管理は、図面の中のスタンションがどちらを指すのかを、凡例や仕様書で確かめておくと取り違えを防げます。

トラックの架装では、山田ボデー工業所が「スタンションとは、トラックの荷台に垂直方向に立てられている支柱のことです。主に鋼材や木材などの長尺物を固定するために使われます。」と説明し、取り付けには「あらかじめスタンションガイドという差し込み口を荷台に設置する必要があります。」としています。同社は、荷台用スタンションに安全帯の親綱の支柱にできるパーツがあることも紹介していますが、これは架装メーカーの製品の話で、建設現場のガードポストとは別物です。

ここを押さえておくと、会話の食い違いを減らせます。資材の手配や見積もりの場で「スタンション何本」と言われたら、まず手すり用か、区画用か、配管支持か、荷台用かを聞き返す。たった一言ですが、届いてから「思っていた物と違う」を防げます。

スタンションの選び方(施工管理の意思決定フロー)

「第1種と第2種、どっちを手配すればいい?」「親綱も張るなら何を頼めばいい?」という一番知りたいところを、意思決定フローとして言語化しておきます。種類の一覧で止めずに、手配までつなげるのが目的です。

選定の4ステップ

  1. 設置箇所を判定する → 仮設工業会の認定基準の注記にある荷上げ用の開口部・荷上げ構台・仮設階段の踊場・トラック棧橋・土止壁上部等なら第1種、それ以外なら第2種(第1種は第2種の箇所にも使える)
  2. 取付下地を確認する → 床スラブか、パラペットか、鉄骨梁か、覆工板か、トラックまわりか。下地の形状・厚みを測る
  3. 親綱を張るかどうかを決める → 墜落制止用器具を掛けたい箇所は、スタンションとは別に親綱支柱を手配する。手すりだけならスタンション
  4. 数量を積算する → 仮設工業会の使用基準の取付間隔2m以下から本数を逆算し、コーナー・出隅の追加分を見込む

選定でよくある失敗

選定段階の失敗は、だいたい次の4つに集まります。

  • 第1種の設置箇所(荷上げ用の開口部など)に第2種を持ち込んでしまう(メーカー〈コンドーテック〉の製品案内は、第2種を第1種の設置箇所に設置することはできないと明記)
  • 手すり用のスタンションだけ手配して、現場で親綱支柱の代わりに使われてしまう
  • 下地の厚み・形状に締め付けしろが合わず、固定が甘くなる
  • 取付間隔を2mより広く取ってしまい、本数が足りなくなる

逆に、第1種を第2種の箇所に使うのは、仮設工業会の認定基準の解説で認められています。在庫を第1種でそろえておけば、どちらの箇所にも回せる、という考え方もできます。足場まわりで選ぶ場面は、前に挙げた足場の種類の整理も参考になります。

正直なところ、選定で一番大事なのはステップ3の「親綱を張るか」の事前判断です。ここを曖昧にしたまま手すり用だけ手配すると、現場で「ここ命綱掛けたいんだけど」となったときに、手すりの支柱に無理やり親綱を張る、という危険な運用が生まれます。施工計画の段階で「この箇所は手すりだけ/この箇所は親綱も張る」を図面に色分けして、スタンションと親綱支柱を分けて手配する。この前さばきがあるかないかで、現場の安全レベルがまるで変わります。

施工管理が押さえる設置・撤去の段取りと安全パトロールの着眼点

「パトロールで何を見ればいい?」「撤去の順番で気をつけることは?」という悩みに、運用の側から答えます。ここまでが「スタンションそのもの」の話で、ここからは施工管理として現場をどう回すか、という話です。

安全パトロールでのチェックポイント

巡回でスタンションを見るときの項目を、根拠と合わせて表にしました。数値は仮設工業会のガードポスト使用基準・認定基準と安衛則第519条から取っています。

見るところ OKの状態 根拠
取付間隔 2m以下 ガードポスト使用基準
固定 揺すってもねじれ・転倒・浮き上りが無い ガードポスト使用基準
中桟 上桟だけでなく中桟も入っている ガードポスト認定基準(中桟取付部35cm以上50cm以下)
手すり材 単管など曲がらない材。ロープになっていない ガードポスト使用基準 禁止事項(1)
墜落制止用器具 スタンションや手すりに掛けられていない ガードポスト使用基準 禁止事項(2)
幅木 落下物の危険がある箇所に高さ10cm以上 ガードポスト使用基準
突起物 取付部にカバーが付いている ガードポスト使用基準
使い方 手すりに乗っていない、材料を立て掛け・つり下げていない ガードポスト使用基準 禁止事項(4)(5)
過不足 必要な箇所に未設置が無い(不要な箇所の立てっぱなしも併せて確認) 安衛則第519条(囲い等の設置)

表の上から順に見ていくと、手すりとして成立しているかを一通り確認できます。特に「手すり材がロープになっていないか」は、使用基準で可撓性の材が禁止されていることを知らないと見逃しやすい項目です。

書類・記録の押さえどころ

安全管理は「やった」だけでなく「記録した」までが施工管理の仕事です。スタンション関連で残しておきたいのは次の4つです。

  • 仮設計画図への防護箇所・スタンション位置・第1種/第2種の明示
  • 安全パトロールの点検表に「手すり・開口部防護」の項目を設ける
  • 是正指摘と是正完了の記録(写真添付)
  • 親綱支柱を使う箇所と、手すり用のスタンションには掛けないことの周知記録(新規入場者教育・KY)

周知を現場に定着させるなら、作業前のTBM-KYで当日の防護箇所を確認し、指差呼称で「手すりよし、中桟よし」と声に出す流れが合います。

スタンションは「立てて終わり」ではなく「立てた後の維持・点検・記録」までが管理対象です。職人さんは作業の都合で手すりを外すことがあるので、外された防護が戻らないまま放置される状態が一番怖い。だから巡回では、立っているスタンションを見るだけでなく、「本来あるべき場所に無いスタンション」を探す引き算の見方が効くと考えています。あるはずの防護が無い、に気づけるかどうかで、パトロールの価値が変わります。

スタンションの価格・レンタルと購入の判断

「買うかレンタルか、いくらくらい?」という疑問に、公表されている価格の範囲で答えます。

項目 購入 レンタル
初期費用 1本ごとの購入費がかかる(下の参考価格を参照) 料金は見積もりで確認
向いている現場 自社で繰り返し使う 単発・短期の現場
保管・整備 自社で管理が必要 不要
種類の融通 在庫分のみ 現場に合わせて選べる

参考価格として、2026年10月22日時点のモノタロウの掲載価格(税抜)を挙げると、パラペットスタンション(敬相)が79,980円、覆工板用のKSメトロポスト(国元商会)が24,980円、鉄骨用親綱支柱 LP型(サンコー・第一種兼用型)が59,980円でした。価格は販売サイトで日々変わるので、手配の時点で取り直してください。なお「第一種兼用型」は、親綱支柱の認定基準が2025年7月1日に改正される前の区分名がそのまま商品名に残っているものです。

レンタル料金については、ガードポスト・親綱支柱とも、料金を一般に公表した資料は見当たりませんでした。日額か月額か、最低日数、運搬費の扱いはレンタル会社ごとに違うので、必要本数と期間を伝えて見積もりを取るのが確実です。本数は、仮設工業会の使用基準の取付間隔2m以下から防護する縁の長さを割って逆算しておくと、購入とレンタルを同じ条件で比べられます。

仮設材の手配全般の考え方は、仮設ゲートの記事でも整理しています。

スタンションは「現場ごとに必要な種類(第1種/第2種、下地別)がバラつく」部材なので、同じ仕様を繰り返し使う自社施工でなければ、レンタルのほうが合理的なことが多いです。購入で在庫を持つと、「手元にある種類で何とか間に合わせる」という選定の妥協が起きやすい。安全部材は「現場に合った正しい1本」を都度選べるほうが安全側に倒せるので、種類の融通が利くレンタルの価値は小さくありません。

次世代足場・先行手すりとスタンションの今

「次世代足場だとスタンション要らなくなった?」という疑問に、最後に答えておきます。

従来の枠組足場や単管足場では、足場の組立・解体時にスタンションを先行設置して手すりを確保しながら作業する、というやり方がありました。近年は、下段から手すり部材を先行して設置できる構造の次世代足場(アルバトロス、Iqシステム等)が広がり、足場の組立・解体で手すりを先に付ける考え方が浸透しています。

その背景にあるのが、厚生労働省の「手すり先行工法等に関するガイドライン」です。改正通達は「基発 1226 第2号 令和5年 12 月 26 日」で、足場の組立て等の作業で手すりを先行して設置する考え方が示されています。

その結果、足場の組立・解体時にわざわざスタンションを立てる場面は減ってきています。とはいえ、これは「足場まわり」の話であって、屋上防水・鉄骨建方・荷揚げ開口部・トラック荷下ろしといった「足場が掛からない高所」では、スタンションは今も現役です。枠組足場の部材構成は枠組足場の記事で確認できます。

「次世代足場で先行手すりが当たり前になった」からといって、「スタンションはもう古い」と捉えるのは早計です。足場の中の防護は進化しましたが、足場が掛からない床端部や開口部、トラックまわりの墜落リスクは減っていない。むしろ足場が無い場所こそ、後付けのスタンションが有力な防護手段になる。「足場の中は先行手すり、足場の外はスタンション」という役割分担で頭を整理しておくと、どの場面で何を使うかの判断が速くなります。

スタンションに関する情報まとめ

  • スタンションとは:床端部・開口部に立て、上桟と中桟を取り付けて仮設手すりにする束柱(ガードポスト)。桟まで通して1セット
  • 親綱支柱との違い:スタンションは手すり用で墜落制止用器具を掛けてはいけない(使用基準の禁止事項)。命綱は親綱支柱に張った親綱へ
  • 種類:設置箇所による第1種(上桟95cm以上)/第2種(90cm以上)と取付下地別。第1種は第2種の箇所にも使えるが、第2種は第1種の箇所に使えない
  • 安全基準と法令:手すりは安衛則第519条、親綱は第521条。85cmは第552条の手すり等、95・90cmは認定品の構造の基準。手すり材にロープは使わない
  • 設置方法:取付間隔2m以下、堅固な箇所に固定、単管で上桟・中桟、突起物にカバー、必要なら幅木10cm以上。設置・撤去の最中は手すりの無い区間ができやすい
  • 使う場面:鉄骨建方・屋上防水・足場組立解体・荷揚げ開口部・トラック荷下ろし。臨時に外すなら代わりの措置と復旧をセットで
  • 別の「スタンション」:区画用ポール・配管の支柱・トラック荷台の支柱は別物。手配のときに何を指すか聞き返す
  • 選び方:設置箇所→下地→親綱の要否→数量の4ステップ。親綱を張るなら親綱支柱を別に手配
  • 段取りとパトロール:間隔・固定・中桟・手すり材・墜落制止用器具の掛け方・幅木を表で確認し、「無い防護」を探す
  • 価格・レンタル:参考価格は2026年10月22日時点のモノタロウ掲載価格で確認。レンタルは見積もりで。種類がバラつくのでレンタルが合う場面が多い
  • 次世代足場:足場内は手すり先行工法へ、足場外(床端・開口部・トラック)はスタンションが現役

以上がスタンションに関する情報のまとめです。

スタンションは「立てれば安全」ではなく、「正しい種別を選び、確実に固定し、曲がらない材で桟まで通して、維持・点検し、撤去まで安全に段取る」までが1セットの仮設防護工です。中でも親綱支柱との違いだけは、混同すると命に関わります。次の現場では、施工計画図に「手すりだけの箇所」と「親綱も張る箇所」を色分けし、スタンションと親綱支柱を別々に手配するところから始めてみてください。

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スタンションは取付方法が合わないと、現場に持ち込んでも使えません。

  • クランプ式と挟み込み式のどちらが要るのか分からない
  • 親綱の張り方に合う型を選べていない
  • 手すり用と親綱用を混同して手配した

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スタンションに関するよくある質問

Q1:スタンションと親綱支柱は同じものですか?

別物です。スタンション(ガードポスト)は手すり(上桟・中桟)を取り付けるための束柱で、親綱支柱は墜落制止用器具を掛ける親綱を張るための支柱です。見た目は似ていますが、仮設工業会のガードポストの使用基準は、本体・手すり・中桟を安全帯取付設備として使用しないことを禁止事項にしています。安全帯を掛けたい場合は、親綱支柱に張った親綱に掛けてください。

Q2:スタンションに安全帯のフックを掛けてもいいですか?

掛けてはいけません。仮設工業会のガードポストの使用基準は「ガードポスト本体及びガードポストに設けた手すり及び中桟を安全帯取付設備として使用しないこと。」と定めています。杉孝のQ&Aも、スタンションは手摺柱で、墜落制止用器具(安全帯)の取り元としての性能が無いと説明しています。手元の支柱が手すり用か親綱用か分からない場合は、本体の表示や取扱説明書で確かめ、分からないうちは掛けないのが安全側の対応です。

Q3:第1種と第2種のスタンションはどう使い分けますか?

設置箇所で使い分けます。仮設工業会の認定基準の注記では、荷上げ用の開口部・荷上げ構台・仮設階段の踊場・トラック棧橋・土止壁上部等に設ける防護工が第1種(上桟取付部の高さ95cm以上)、それ以外が第2種(同90cm以上)です。認定基準の解説では、第1種として認定されたものは第2種の設置箇所にも設置できるとされ、メーカー(コンドーテック)の製品案内は、第2種を第1種の設置箇所に設置することはできないと明記しています。施工計画の段階で防護箇所ごとに第1種か第2種かを図面で指定しておくと、現場での取り違えを防げます。

Q4:スタンションの取付間隔に決まりはありますか?

法令に取付間隔の定めは無く、仮設工業会のガードポストの使用基準が「ガードポストの取付間隔は、2m以下とすること。」としています。杉孝のQ&Aも同じ整理で説明しています。必要本数を積算するときは、防護する縁の長さを2mで割り、コーナーや出隅の追加分を見込む、という考え方で逆算すると過不足が出にくいです。

Q5:スタンションの設置は誰が行うのですか?

開口部や床端部など、まだ手すりが無い危険な場所での作業になるため、誰が取り付けるかは現場の体制によりますが、この作業に慣れた作業者が行う段取りにしておきたいところです。最初の1本目を取り付ける人は、手すりも無い状態で危険な縁に近づくことになるので、その人が使う墜落制止用器具の取付設備(ライフライン)をどこに確保するかを決めておく必要があります。施工管理としては「防護工を作る作業自体の防護」を先に計画しておくことが重要です。

Q6:足場の組立・解体でスタンションは今も使いますか?

従来型の枠組足場や単管足場では先行手すりとしてスタンションを使うことがありましたが、下段から手すり部材を先行設置できる次世代足場(アルバトロス、Iqシステム等)が広がり、厚生労働省の「手すり先行工法等に関するガイドライン」もあって、足場組立・解体時にスタンションを立てる場面は減ってきています。ただし、これはあくまで足場まわりの話で、屋上防水・鉄骨建方・荷揚げ開口部・トラック荷下ろしなど「足場が掛からない高所」では、スタンションは今も主力の防護部材です。

Q7:スタンションは買うのとレンタルどっちがいいですか?

現場ごとに必要な種類(第1種/第2種、取付下地別)がバラつくため、同じ仕様を繰り返し使う自社施工でなければレンタルのほうが合理的なことが多いです。参考までに、2026年10月22日時点のモノタロウ掲載価格(税抜)では、パラペットスタンション(敬相)が79,980円、覆工板用のKSメトロポスト(国元商会)が24,980円でした。価格は日々変わり、レンタル料金は公表資料が見当たらないため、必要本数と期間を伝えて見積もりを取り、購入と比べるのが確実です。

Q8:施工管理として安全パトロールでスタンションの何を見ればいいですか?

仮設工業会のガードポスト使用基準に沿って、「取付間隔が2m以下か」「揺すってねじれ・転倒・浮き上りが無いか」「上桟だけでなく中桟も入っているか」「手すり材がロープになっていないか」「スタンションや手すりに墜落制止用器具が掛けられていないか」「落下物の危険箇所に高さ10cm以上の幅木があるか」を見ます。あわせて、立っているスタンションを見るだけでなく「本来あるべき場所に防護が無い箇所」を探すことが大切です。作業の都合で外した手すりが戻されないまま放置される状態は、墜落につながりやすいからです。

Q9:手すりの高さは何cm必要ですか?

出どころによって数字が違います。安衛則第552条第1項第4号イが「高さ八十五センチメートル以上の手すり」を定めていて、足場の第563条はこの「手すり等」を参照しています。一方、仮設工業会のガードポスト認定基準は、床の上面から上桟の上面までの高さを第1種95cm以上・第2種90cm以上と定めています。中桟は、第552条が35cm以上50cm以下、ガードポストの認定基準も中桟取付部を35cm以上50cm以下としています。

Q10:スタンションポールとスタンションは別物ですか?

別物です。スタンションポールは、モノタロウに掲載されているRS PROの商品説明にあるように、ベルトやテープを引き出して通路や行列を区切るポールです。墜落を防ぐ手すりの支柱(ガードポスト)とは役割が違い、開口部や床端部の囲いの代わりにはなりません。配管を支える支柱やトラック荷台の支柱も「スタンション」と呼ばれるので、手配の場面では何を指しているかを確かめると取り違えを防げます。

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