- 細粒分含有率ってなに?
- どうやって求めるの?
- 記号「Fc」って何のこと?
- 液状化判定でどう使う?
- 数値の目安はどれくらい?
- 施工管理で気をつけるところは?
上記の様な悩みを解決します。
細粒分含有率とは、結論「土の重量に占める粒径0.075mm未満(シルト・粘土)の質量百分率」のことです。記号は Fc(fines content)。地盤工学会基準(JGS 0051)で土質分類の 重要パラメータとして位置づけられ、特に 液状化判定で頻出する数値。砂質土と粘性土の中間性質を持つ「シルト混じり砂」のような土の評価で、Fc=35%が「砂質土/粘性土」の境界、Fc=10%以下なら液状化リスク高…と、施工管理として知っておくべき閾値がいくつかあります。本記事では、細粒分含有率の意味・求め方・液状化判定での使い方・現場での注意点まで、施工管理の視点で初心者向けに整理します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
細粒分含有率とは?
細粒分含有率とは、結論「土の中で粒径0.075mm未満の粒子が占める質量割合(%)」のことです。
英語では fines content。記号は Fc(または F)。単位は %。
「細粒分」の定義
地盤工学会基準(JGS 0051)では、土の粒子を粒径で次のように分類しています。
| 粒径 | 区分 |
|---|---|
| 75mm以上 | 石・転石 |
| 2〜75mm | 礫 |
| 0.075〜2mm | 砂 |
| 0.005〜0.075mm | シルト |
| 0.005mm未満 | 粘土 |
→ 細粒分 = シルト + 粘土(粒径 0.075mm未満)。要するに「目に見えにくいくらい細かい土の成分」が細粒分です。
式で表すと
Fc = (細粒分の質量 ÷ 土全体の質量) × 100
→ シンプルな質量比率。0%(全部が砂・礫)から100%(全部が粘土・シルト)まで取りえます。
なぜこの数値が重要か
細粒分含有率は 「土の挙動を決める基本パラメータ」で、特に次の3つで重要:
- 土質分類:砂質土/粘性土/中間の判別
- 液状化判定:細粒分が多いと液状化しにくい
- 透水性・締固め特性:細粒分が多いと水を通しにくく、締固めが難しい
→ 「砂と粘土が混じった土」を扱うとき、Fc を知らずに地盤工学は語れない、というレベルで基本の数値です。
土質分類全体はこちらに整理しています。

細粒分含有率の求め方
地盤工学的な求め方を整理します。
①試験方法(JIS A 1223 / JGS 0135)
「土の細粒分含有率試験方法」として規格化されています。
手順の概要:
- 土試料を 110℃で乾燥して水分を飛ばす
- 75μm(0.075mm)のふるいを用意
- 試料を水で ふるい洗い(水で細粒分を流す)
- ふるい上に残った土(砂・礫成分)を再度乾燥
- 元の質量 − ふるい上残留質量 = 細粒分質量
- 細粒分質量 ÷ 元の質量 × 100 = Fc(%)
→ 要するに 「75μmのふるいでふるい分けて、通った分の質量割合」を求めるだけ。ただし、細かい粒子は乾式でふるい分けが難しいので 水で洗うのがポイント。
②粒度試験との関係
土の粒度試験(JIS A 1204)の 粒径加積曲線から、横軸0.075mmの線を引いて、縦軸の値を読み取れば Fc が直接出ます。
粒径加積曲線で
横軸 0.075mm の位置 →
縦軸の通過質量百分率 = Fc
→ 地盤調査報告書には粒度試験の結果がよく載っているので、そこから Fc を読むのが実務的。
③地盤調査報告書での確認方法
報告書には次のような形で出てきます:
- 「Fc = 18.5%」のように直接記載
- 「細粒分含有率 = 18.5%」と日本語表記
- 粒度試験の結果(粒径加積曲線)から読み取り可能
→ 砂質土の場合、Fc は 5〜30%程度で出ることが多い。30%超えると粘性土に寄ってきます。
N値の出し方・標準貫入試験はこちらに整理しています。


細粒分含有率と土質分類
Fc は 土質の細区分で大きな役割を果たします。
①土質分類体系での位置づけ
地盤工学会基準(JGS 0051)の土質分類で、細粒分が 5%・15%・35%・50%を境に分類が変わります。
| Fc | 主分類 | 副分類 |
|---|---|---|
| 5%未満 | 礫・砂 | (清浄) |
| 5〜15% | 礫・砂 | 細粒分混じり |
| 15〜35% | 礫・砂 | 細粒分質 |
| 35〜50% | 粘性土 | 礫・砂混じり |
| 50%以上 | 粘性土 | (主体) |
→ Fc = 35%が 「砂質土か粘性土か」の主要な境界。Fcが35%未満なら砂質土系、35%以上なら粘性土系として扱われます。
②土質記号での表現
地盤調査報告書の土質記号で、
- {S}:砂(Fc < 5%)
- {S-F}:細粒分混じり砂(5% ≦ Fc < 15%)
- {SF}:細粒分質砂(15% ≦ Fc < 50%)
- {F}:細粒土(粘性土。Fc ≧ 50%)
→ 例えば「{SF}:細粒分質砂、Fc = 28%」と書かれていたら、「砂主体だけど細粒分がそこそこ混じった土」と読み解けます。
③Fcが地盤特性に与える影響
| Fc | 透水性 | 締固め性 | 液状化リスク | 圧密沈下 |
|---|---|---|---|---|
| 0〜10% | 高 | 良好 | 高 | 小 |
| 10〜35% | 中 | 中 | 中 | 中 |
| 35〜50% | 低 | やや困難 | 低 | 中〜大 |
| 50%以上 | 極低 | 困難 | 低 | 大 |
→ Fc が高いほど 透水性・締固め性が落ち、圧密沈下が大きくなる。一方で 液状化リスクは下がる。Fc を見るだけで、その土の挙動の大筋が予測できます。
土質ごとの特性比較はこちらにも整理しています。

液状化判定での使い方
細粒分含有率が 最も活躍する場面が、液状化判定です。
①液状化の発生条件
液状化が起きる土の条件は、おおまかに次の3つ:
- 緩い砂質土(N値が低い)
- 地下水位が浅い(地表から10m以内)
- 粒度が一定で細粒分が少ない(Fc が小さい)
→ Fc は液状化判定の 3要素の1つとして直接的に関わります。
②建築基礎構造設計指針での閾値
日本建築学会の「建築基礎構造設計指針」で、液状化判定のFc閾値が定められています。
| Fc | 液状化判定の扱い |
|---|---|
| Fc ≦ 10% | 液状化リスク高(無条件で判定対象) |
| 10% < Fc ≦ 35% | 判定対象(補正計算が必要) |
| Fc > 35% | 液状化検討外(粘性土として扱う) |
→ Fc = 35%が「液状化検討の有無」の境界、Fc = 10%が「リスクの大きさ」の境界、と覚えるのが基本。
③道路橋示方書での閾値
道路橋示方書では、若干違う扱いをします:
| 条件 | 扱い |
|---|---|
| Fc ≦ 35% かつ 塑性指数 Ip ≦ 15 | 液状化判定対象 |
| Fc > 35% または 塑性指数 Ip > 15 | 液状化検討外 |
→ 道路橋では 「Fc と 塑性指数 Ip の組み合わせ」で判定。建築より少し厳密です。
④液状化抵抗のN値補正
液状化判定計算では、N値を Fc で 補正します。
N1 = (170 × N) / (σv' + 70) ← 有効上載圧での補正
NA = N1 + ΔN ← 細粒分による補正
- Fc = 10%以下 → ΔN = 0
- Fc = 10〜60% → ΔN は徐々に大きく
- Fc が大きいほどN値が割増される(液状化しにくくなる方向)
→ 計算式は複雑ですが、要するに Fc が大きい土ほど、N値を有利に評価してくれます。
⑤液状化を起こしやすい土の典型例
- 河川堆積地・三角州・埋立地
- Fc = 5〜10%、N値10〜15、地下水位1〜3m
- 緩い細砂〜中砂
→ こういう地盤に当たったら、Fc を真っ先にチェックするのが施工管理の常識。
地盤の許容応力度・支持力評価はこちらにまとめています。

数値の目安と現場感覚
実務で 「Fcの値を見て何を判断するか」の目安です。
①典型的な土のFc値
| 土 | Fc 目安 |
|---|---|
| きれいな砂利・河川砂 | 0〜5% |
| 山砂(埋戻し用) | 5〜15% |
| 海砂・川砂 | 5〜20% |
| ローム土(関東ローム) | 30〜50% |
| シルト | 50〜80% |
| 粘土 | 70〜100% |
→ 普段現場で扱う土がだいたいどの位置にあるか、感覚として持っておくと便利。
②埋戻し材としての評価
埋戻し材の品質基準でFcが指定されることが多い。
| 用途 | Fc 上限 |
|---|---|
| 構造物背面・基礎周辺 | 10〜20% |
| 道路下層路盤 | 5〜15% |
| 下水・上水管周辺 | 15〜25% |
| 一般埋戻し | 制限なし |
→ Fc が高いと 透水性が落ちて雨水が滞留するので、構造物周辺では避けたい。逆に、Fc が低すぎると 締固めが効きにくいこともあるので、用途次第。
③地盤改良判断との関係
セメント系地盤改良の効果も Fc に影響されます:
- Fc = 0〜20%:セメント系で効果大(鉄筋コンクリートに近い改良効果)
- Fc = 20〜50%:効果中(粒度バランスで変動)
- Fc = 50%以上:効果低(粘土分が多くてセメント水和反応が阻害)
→ Fc が高い軟弱地盤では、セメント以外の改良工法(生石灰、置換等)を検討するのが一般的。
セメント系材料の基礎はこちらに整理しています。


細粒分含有率に関する施工管理の注意点
施工管理として Fcをどう活用するかを整理します。
①地盤調査報告書での確認ポイント
報告書を読むときは、
- 層ごとの Fc:深さ方向にどう変化しているか
- 粒度試験の有無:Fc が出ているのは粒度試験を実施した深度だけ
- 液状化判定の結果:Fc を使った判定が記載されているか
- 塑性指数 Ip との組み合わせ:粘性土側の評価
→ Fc が 層ごとに大きく違う場合、改良範囲・基礎形式の判断が分かれます。
②埋戻し・盛土での品質管理
埋戻し材の Fc は 持込み材のロットごとに変動します。
- 材料受入れ時に 粒度試験を実施
- 設計指定の Fc を満たしているか確認
- 含水比・乾燥密度との 総合管理
→ Fc が指定外だと 締固め密度が出ないことがあり、施工後の沈下トラブルにつながります。
③水位観測との組み合わせ
液状化判定で必要なのは Fc だけでなく、地下水位の情報も必須。
- 地盤調査時の 地下水位記録
- 季節変動・降雨後の 水位上昇
- 観測井戸の設置(必要な場合)
→ Fc と地下水位の 組み合わせで液状化リスクは決まります。両方セットで考えるクセを付けたい。
④施工中の細粒分管理
砂質地盤を掘削するときは、雨水・湧水で細粒分が流出することがあります。
- 細粒分が抜けた砂は 支持力が低下
- 周辺地盤の 不同沈下を引き起こす
- 排水・湧水処理の徹底が必要
→ 掘削後すぐの 捨てコン打設・養生が、地盤保護の意味でも重要です。
捨てコンの目的はこちらに整理しています。

細粒分含有率に関する情報まとめ
- 細粒分含有率とは:粒径0.075mm未満の質量割合(%)。記号Fc
- 求め方:JIS A 1223のふるい分け試験(75μmふるい使用)
- 土質分類:Fc=5%/15%/35%/50%が境界。Fc=35%が砂質土/粘性土の主要境界
- 液状化判定:Fc≦10%でリスク高、Fc>35%で検討外
- N値補正:Fcが大きいほどN値が割増される(液状化抵抗が高い扱い)
- 施工管理の要点:報告書での層別確認、埋戻し材の品質管理、地下水位との組み合わせ
以上が細粒分含有率に関する情報のまとめです。
細粒分含有率(Fc)は、地盤工学的に 「土の挙動を決める基本パラメータ」であり、特に 液状化判定で必須の数値。施工管理として、地盤調査報告書を見たとき 「N値・Fc・地下水位」の3点セットで読めるようになると、現場での意思決定スピードと精度が大きく上がります。Fc=35%や10%といった 閾値の意味を知っているだけで、土質記号や液状化判定結果の解像度が一段上がりますね。
合わせて、土質・地盤関連のテーマをまとめてあるので、地盤工学の理解を深める参考にしてください。







