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吸音率とは?計算方法、NRC値、材料別の値、周波数特性など

  • 吸音率ってどういう意味?
  • 計算式と単位は?
  • NRC値とどう違うの?
  • グラスウールやロックウールは何%吸う?
  • 低音と高音で値が違うって本当?
  • 現場で響きを抑えるにはどうすれば?

上記の様な悩みを解決します。

吸音率」は内装設計・音響設計で必ず出てくる用語ですが、「90%吸う」と言われても何の周波数で何のことか曖昧なままになりがちです。会議室の響き、店舗の音漏れ、体育館のエコー、コールセンターの集中環境、すべて吸音率の理解が出発点。本記事では計算式から材料別の数値、現場で「響きを抑えるためにどこに何を貼るか」までを整理しておきます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

吸音率とは?

吸音率とは、結論「ある材料に音が当たったときに、そのうち何割が吸収(または透過)されたかを表す比」のことです。

英語では Sound Absorption Coefficient。記号は α(アルファ)が一般的。0〜1の比で表され、

  • α = 0:すべて反射する(音をまったく吸わない)
  • α = 0.5:半分吸収、半分反射
  • α = 1:すべて吸収(理想的な吸音体)

「吸う」というのは反射されない量を指すので、材料を音が通り抜けた分も吸音率には含まれます(建築では「吸音」と「遮音」を分けて扱うのがミソ)。

「吸音」と「遮音」の違い

混同されやすいですが、別の概念です。

  • 吸音:音を吸収して反射を減らす。室内の響きを抑える
  • 遮音:音を通さない。隣室・外部への音漏れを防ぐ

吸音材を貼ると、貼った部屋の中の響きは小さくなりますが、隣室への音漏れが減るわけではないのがポイント。コンクリート壁は吸音率は低いが、遮音性能は非常に高い、という関係です。

吸音率を上げるとどうなるか

  • 室内の響き(残響時間)が短くなる
  • 会話の明瞭度が上がる
  • 機械音・ざわつきの音圧レベルが下がる
  • BGMや音楽の残響感が減る(演奏ホールでは逆に問題になることも)

オフィスの会議室・コールセンター・教室では「響きが少ない=吸音率高め」が望ましく、ホール・教会では「響きを残す=吸音率を控えめに」と、用途で目指す方向が逆になります。

残響時間との関係はこちらでも整理しています。

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吸音率の計算方法

吸音率は単純な比ですが、現場では測定方法で複数の定義があります。

基本式

最も基本的な定義式は、

α = 吸収エネルギー / 入射エネルギー = (E_in − E_ref) / E_in

  • E_in:材料に入射した音のエネルギー
  • E_ref:材料から反射した音のエネルギー
  • 単位なし(0〜1)

入った音のうち、跳ね返ってこなかった割合」というシンプルな比です。

残響室法(αs:JIS A 1409)

実際の建築音響でよく使われる測定方法。

  • 残響室(反射ばかりの専用試験室)に試料を持ち込む
  • 試料の有無で残響時間がどれだけ変わるかを測る
  • セービン式 α = 0.161V/(S × T) から逆算
  • 125Hz〜4000Hzの6〜7帯域で値が出る

得られる値は αs(s=Sabine、残響室法)と呼ばれ、JIS A 1409で規定されます。同じ材料でも設置面積・配置・支持条件で値がブレることがあるので、データシートと一緒に試験条件を見るのが基本。

管内法(α0:JIS A 1405)

サンプルが小さくても測れる方法。

  • 音響管(インピーダンスチューブ)に小サンプルを入れる
  • スピーカーで音を当てて、反射波を解析
  • 垂直入射の値が得られる
  • 100Hz〜6300Hzの広い帯域

得られる値は α0。残響室法よりやや小さめの値になる傾向があります。理由は、残響室法はあらゆる方向から音が当たるのに対し、管内法は垂直方向に限られるため。

どの値を使うかの判断

  • 建築音響設計(部屋の響き設計):αs(残響室法)が標準
  • 製品の比較・絞り込みαs / α0どちらでもOK、データの揃った方
  • メーカーカタログαsで表記されているのがほとんど

データシートに「αs」「α0」「NRC」「SAA」が並んでいたら、まず αsを見るのが鉄則です。

NRC値・SAA値・αw値との関係

吸音率はメーカーカタログで1個の数字にまとめて表されることが多く、これがNRC値・SAA値・αw値です。

NRC(Noise Reduction Coefficient)

アメリカ規格(ASTM C423)で定められた、4帯域の平均値

NRC = (α250 + α500 + α1000 + α2000) / 4

0.05刻みに丸めた値。0.00〜1.00の範囲で表されます。

  • 250Hz〜2000Hzの「人の声がよく通る帯域」を平均
  • カフェ・教室・オフィスの音声明瞭度を評価しやすい
  • カタログに1つの数字で書けるのが便利
  • ただし125Hz以下の低音4000Hz以上の高音は無視

「会話の聞き取りやすさ」を表す指標として、内装デザイナーが多用しています。

SAA(Sound Absorption Average)

NRCを少し改良した指標(ASTM C423)。

  • 200Hz〜2500Hzの12帯域(1/3オクターブ)の平均
  • NRCより周波数解像度が高く、音響評価がより精密
  • 0.01刻みで表される

NRCの後継指標として使われ始めていますが、日本ではまだNRC表記の方が主流です。

αw(重み付け吸音率)

ヨーロッパ規格(ISO 11654)で定められた指標。

  • 250Hz〜4000Hzの6帯域を、特定のリファレンス曲線にフィッティングして算出
  • 0.05刻み
  • L(low)・M(mid)・H(high)の補正記号で帯域特性を補足

αw = 0.65(H)と書かれていれば、「平均0.65、高音域でとくに良い」と読みます。日本ではまだ普及途上ですが、欧州メーカー製品では併記されることが多いです。

各指標の比較表

指標 規格 評価帯域 表記単位 用途
NRC ASTM C423 250-2000Hz 4点 0.05刻み 会話帯域の代表値
SAA ASTM C423 200-2500Hz 12点 0.01刻み 音響評価の精度版
αw ISO 11654 250-4000Hz 6点 0.05刻み 欧州での標準値
αs JIS A 1409 125-4000Hz 6-7点 0.01刻み 設計用の周波数別データ

ざっくり「カタログのNRCで比較→詳細はαsで設計」という使い分けで実務は回ります。

周波数特性の見方

吸音率は周波数によって大きく変わるのが、設計上の核心ポイントです。

周波数帯域とは

人間が聞こえる音(20Hz〜20,000Hz)のうち、建築音響では125Hz〜4000Hz1オクターブ間隔で評価するのが標準。

周波数 音の例
125Hz 男性の低い声、エアコンの低音域、トラックの走行音
250Hz 一般男性の声
500Hz 一般会話の中心
1000Hz 一般女性の声、子どもの声
2000Hz 子音の明瞭度に直結
4000Hz 高音、金属音、女性の高い声

多孔質材は高音に強い

グラスウール・ロックウール・カーペットなど多孔質材は、

  • 低音域(125Hz):吸音率0.1〜0.3と低い
  • 高音域(2000Hz以上):吸音率0.8〜1.0と高い

という右肩上がりの特性を持ちます。理由は、多孔質材の中で空気が振動して摩擦熱に変わるしくみが、波長が短い高音ほど効きやすいから。

低音は厚さで吸う

低音(125Hz以下)を吸うには、

  • 吸音材を厚くする(グラスウールなら100mm以上)
  • 吸音材の背後に空気層を取る(背後空気層50〜100mm)
  • 共鳴吸音体(孔あきボード+背後空気層)を組み合わせる

100mm厚のグラスウール+背後空気層50mmで、125Hzでもα=0.5前後を狙えるイメージ。「低音を吸うには厚みと空気層」が基本です。

共鳴吸音と板振動吸音

特定の周波数だけ吸うしくみもあります。

  • ヘルムホルツ共鳴:孔あきボード+背後空気層で、特定周波数(500〜1000Hzあたり)を集中吸音
  • 板振動吸音:薄い合板で100〜250Hzの低音を吸う

会議室の中音域・スタジオの低音処理など、用途別の調整に使われます。

材料別の値(αs・NRC)

代表的な材料の吸音率を整理します。αsベース、メーカー値の代表例。

多孔質系

材料 125Hz 500Hz 2000Hz NRC
グラスウール 25mm(密度24K) 0.10 0.55 0.85 0.65
グラスウール 50mm(24K) 0.20 0.80 0.95 0.85
グラスウール 100mm(32K) 0.40 0.95 0.99 0.95
ロックウール 50mm 0.20 0.80 0.95 0.85
ロックウール 100mm 0.45 0.95 0.99 0.95

会議室・スタジオで「コスパ最強」と言われるのがグラスウール50mm相当。NRC0.85前後を取れて、コストも比較的安いゾーンです。

グラスウールはこちらで整理しています。

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板状吸音材

材料 125Hz 500Hz 2000Hz NRC
岩綿吸音板(ジプトーン)9mm 0.10 0.50 0.65 0.55
ソーラトン12mm 0.10 0.55 0.70 0.55
木毛セメント板25mm 0.10 0.50 0.55 0.50

天井によく使われる岩綿吸音板系。NRC0.55前後で、過度に響きを消すわけではなく会議室・教室で適度な抑えとして使われます。

岩綿吸音板はこちら。

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一般建材

材料 125Hz 500Hz 2000Hz NRC
コンクリート打ち放し 0.01 0.02 0.04 0.05
プラスターボード12.5mm 0.05 0.07 0.05 0.05
板貼り壁(合板) 0.10 0.10 0.10 0.10
ガラス(窓) 0.05 0.04 0.02 0.05
カーペット 0.05 0.20 0.55 0.30
カーテン(厚手) 0.05 0.30 0.55 0.35

打ち放しコンクリートのαs=0.02は「ほぼすべて反射」のレベル。倉庫・地下駐車場・体育館の響きが強烈になる原因はここに尽きます。

タイルカーペットは床の救世主

材料 125Hz 500Hz 2000Hz NRC
タイルカーペット(パイル6mm) 0.05 0.15 0.45 0.25
タイルカーペット(パイル12mm) 0.10 0.25 0.55 0.35

オフィスでタイルカーペットを敷くと、500Hz〜2000Hzの中音域を抑えられて会話のざわつきが減ります。タイルカーペットはこちらで整理しています。

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吸音率に関する情報まとめ

  • 吸音率(α)とは:音が材料に当たったときに反射されない割合(0〜1の比)
  • 計算式:α = 1 −(反射エネルギー/入射エネルギー)。残響室法ではセービン式から逆算
  • NRC・SAA・αw:4〜12帯域を1つの数字に集約した指標。日本ではNRC表記が主流
  • 周波数特性:多孔質材は高音に強く、低音は厚みと背後空気層で稼ぐ
  • 代表値:グラスウール50mm NRC0.85、岩綿吸音板 NRC0.55、コンクリート NRC0.05
  • 吸音と遮音は別物:響きを消すのが吸音、音漏れを防ぐのが遮音
  • 設計のコツ:用途別に「会話帯域(500-2000Hz)」を中心に評価し、低音域は厚みで処理

以上が吸音率に関する情報のまとめです。

吸音率は「1つの数字で十分」と思ったら痛い目に遭う指標で、周波数別に何が起きているかを読めるようになると、設計図書のスペック比較・改修工事のクレーム対応が一気に楽になります。「会議室で響きが残る」「コールセンターのざわつきが酷い」みたいな相談には、まず現状の壁・天井・床の吸音率を当てにいって、足りない帯域に合わせて材料を選ぶ、という順番で攻めると失敗しにくいです。施工管理側としては、設計上のNRCだけ見るのではなく、αsの周波数特性表を必ず確認する癖を付けておくのがおすすめです。

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