1級管工事施工管理技士のダブルライセンスは何が効く?経審の2業種枠と消防設備士

  • 1級管工事を取ったが、次に何を取ればいいのか分からない
  • ダブルライセンスと言われても、市場価値が上がるという話しか出てこない
  • 会社が喜ぶ資格と、自分の転職に効く資格は同じなのか
  • 1級土木と1級建築、どっちを足すべきなのか
  • 消防設備士は管工事の人間が取る資格なのか
  • 経審の点数に本当に効くのか
  • 資格を3つ4つ持っている先輩がいるが、意味があるのか
  • 建築設備士は管工事の役に立つのか
  • 給水装置工事主任技術者はもう持っているが、これで足りているのか
  • 2つ目の勉強を始めるタイミングはいつなのか
  • 手当が付くならどれが一番増えるのか
  • 水道施設工事業の技術者にもなれるんじゃないのか
  • 結局、どれを取れば会社で代えが利かない人になれるのか

上記の様な悩みを解決します。

1級管工事施工管理技士のダブルライセンスを調べても、専用の解説記事がほとんど出てきません。出てくるのは建築士と建築施工管理技士の組み合わせや、施工管理技士と宅建士の話で、管工事に固有の事情は書かれていないんですよね。ただ、この資格は制度の側から見ると位置づけがはっきりしていて、押さえられる建設業許可の業種は管工事業の1つだけです。今回は市場価値という曖昧な話ではなく、建設業許可の業種と経営事項審査の枠という2つの物差しで、2つ目に何を置くと会社と自分の両方に効くのかを整理しました。

制度の数字はどこの資料に書かれているかまで段落のなかに入れていきます。上司に説明して受験料を出してもらうときにも、そのまま使える形にしてあります。

それではいってみましょう!

目次

1級管工事施工管理技士で押さえられるのは管工事業の1業種だけ

結論から言うと、1級管工事施工管理技士という資格で建設業許可の技術者になれる業種は、管工事業のひとつだけです。ここが2つ目を考える出発点になります。

営業所技術者等(専任技術者)や配置技術者になれる資格は業種ごとに決まっていて、管工事業では一級管工事施工管理技士が資格区分コード29として一般建設業と特定建設業の両方に対応します(建設業許可広島「専任技術者になることができる資格・免許一覧」、行政書士やまだ事務所「営業所技術者等(専任技術者)の国家資格一覧表」。2026年9月3日に2社の一覧で突合)。一方で、名前が近い水道施設工事業は一級土木施工管理技士・二級土木施工管理技士(土木)と技術士の上下水道系・衛生工学系で構成されており、管工事施工管理技士は入りません(同)。清掃施設工事業は技術士の衛生工学「廃棄物管理」だけ、消防施設工事業は甲種消防設備士と乙種消防設備士だけです(同)。

つまり、管の仕事として体感的に近い工事でも、許可の業種としては別の資格が要ります。

  • 管工事業:一級管工事施工管理技士(コード29)で一般・特定とも可
  • 水道施設工事業:土木側の資格か技術士。管工事施工管理技士では不可
  • 消防施設工事業:消防設備士のみ。施工管理技士では不可
  • 清掃施設工事業:技術士の衛生工学「廃棄物管理」のみ

僕の感覚だと、ここを知らないまま「管をやっているから水道もいけるだろう」と話が進んで、許可の段階で止まる会社が少なくありません。2つ目の資格を選ぶときは、この対応表のどの行を埋めたいのかから逆算するのが早いです。

資格そのものの位置づけは、こちらで整理しています。

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経審は1人2業種まで|1級管工事だけだと1枠が空く

結論、経営事項審査の技術職員名簿では、1人の技術職員が申請できる業種は2業種までです。1級管工事施工管理技士は1業種しか選べないので、持っているだけでは1枠が空いたままになります。

国土交通省中国地方整備局建政部の「技術職員名簿の作成について」では、1人の技術職員が申請できる業種数は2業種までとされています。そのうえで、1級電気工事施工管理技士・1級管工事施工管理技士・1級造園施工管理技士の3つを持っている技術職員の例が挙げられ、電気・管・造園の3業種のうち2業種までしか申請できないと説明されています(中国地方整備局建政部の案内、2026年9月3日確認)。同じ案内では、複数業種を選べる資格の例として建設機械施工技士が7業種から選択可能と示されています(同)。

この仕組みから読み取れることが3つあります。

  • 1級管工事施工管理技士は管工事業の1枠しか埋めない。2枠目は別の資格が要る
  • 3つ目、4つ目の資格を足しても、名簿の上では出番がない
  • 1つで複数業種を選べる資格を足すと、2枠目の選択肢が広がる

会社にとってのダブルライセンスの価値は、この2枠目が埋まるかどうかで決まります。逆に言えば、すでに埋まっている業種と同じ資格を足しても、経審の点数は動きません。

経審の仕組みそのものは、こちらでまとめています。

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2枠目に何を置くか|水道施設は土木、消防施設は消防設備士

結論、2枠目の候補は「自分の会社が取りたい許可の業種」から決まります。管の周辺で現実的なのは、土木側と消防側の2方向です。

土木側から見ると、一級土木施工管理技士と二級土木施工管理技士(土木)は水道施設工事業の技術者になれる資格です(建設業許可広島の一覧、行政書士やまだ事務所の一覧)。上下水道の本管から宅地内の給排水までを一社で受ける会社なら、管工事業と水道施設工事業の2業種が揃うことに意味があります。土木の資格は選べる業種が広いので、2枠目の使い方としても効率がいいほうです。

消防側は、甲種消防設備士が消防施設工事業の唯一の入口になります。スプリンクラーや屋内消火栓のような水系の消防設備は配管工事そのものなので、管の技術者が押さえると仕事の取り合いが減ります。外注していた消防設備の工事を自社で完結できるようになると会社の利益に直結するという指摘もあります(施工管理どっとこむ「管工事施工管理技士×消防設備士甲種1類」の記事)。

建築設備士と給水装置工事主任技術者は、位置づけが少し違います。どちらも管工事業の専任技術者になれる資格ですが、建築設備士は実務経験1年、給水装置工事主任技術者も実務経験1年を足して初めて要件を満たします(建設業許可広島の一覧、コード62と65)。管工事業の枠はすでに1級管工事施工管理技士で埋まっているので、これらを足しても経審の枠は増えません。設計側の理解や給水装置工事事業者の指定といった、別の目的で取る資格です。

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建築設備士の位置づけはこちらが詳しいです。

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甲種消防設備士は受験資格が繋がっている|条文で指定されている

結論、1級管工事施工管理技士を持っていれば、甲種消防設備士の受験資格をすでに満たしています。ここは他の組み合わせにない、地続きの利点です。

消防試験研究センターの甲種消防設備士の受験資格には、管工事施工管理技士の行があり、「建設業法第27条の規定による管工事施工管理の種目に係わる1級又は2級の技術検定に合格された者」と示されています(消防試験研究センター「受験資格」、2026年9月3日確認)。級の限定がないので、2級管工事施工管理技士の段階でも甲種を受けられます。

甲種消防設備士は工事と整備の両方ができる資格で、乙種は整備と点検までです。水系の設備を扱う類を選べば、日常の配管の知識がそのまま試験勉強に乗ります。実務だと、消防設備の届出や計算書を自分で出せるようになるところまで含めて、管の管理者としての手数が増えます。

消防設備士の類の分かれ方は、こちらでまとめています。

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管工事業は専任技術者の入口が広い|資格だけでは希少にならない

結論、管工事業は他の業種に比べて、専任技術者になれる資格の種類が多い業種です。だから資格の希少性で戦うより、押さえる業種を増やすほうが実利になります。

管工事業の技術者になれる資格を並べると、その幅が見えます。一級・二級管工事施工管理技士のほかに、技術士が機械の「流体工学」「熱工学」、上下水道、上下水道「上水道及び工業用水道」、衛生工学、衛生工学「水質管理」、衛生工学「廃棄物管理」の6区分。さらに給水装置工事主任技術者に実務経験1年、技能検定では冷凍空気調和機器施工の空気調和設備配管、給排水衛生設備配管、配管・配管工、建築板金のダクト板金作業。加えて建築設備士に実務経験1年、計装に実務経験1年です(建設業許可広島の一覧、行政書士やまだ事務所の一覧。2026年9月3日に突合)。

これは水道施設工事業や消防施設工事業と比べると対照的です。水道施設は土木の施工管理技士と技術士だけ、消防施設は消防設備士だけで、入口が絞られています。人を集めにくい業種ほど、その資格を持っている人の価値が上がるという関係です。

正直なところ、1級管工事施工管理技士は資格としての格は高いのに、業種の入口が広いぶん「その業種における唯一の人」にはなりにくい立場です。だからこそ、2枠目に入口の狭い業種の資格を置くほうが、会社のなかでの位置は動きます。

順番と時間の配分|1級を取った直後に何から動くか

結論、順番は「会社が次に取りたい許可の業種」を確認してから決めます。自分の興味から先に決めると、取ったあとに使い道がない状態になりがちです。

動き方は3段階で考えると整理しやすいです。まず会社の建設業許可証を見て、どの業種を持っていて、どの業種の技術者が足りていないかを確認します。次に、その業種の技術者になれる資格を対応表で調べます。最後に、自分がその試験を受けられるかを見ます。甲種消防設備士のように受験資格がすでに繋がっているものもあれば、技術士のように別の実務経験が要るものもあります。

時間配分の目安としては、1級管工事の第二次検定が終わった直後は、勉強の習慣が残っているうちに次へ入るのが効率的です。ただし2つ目を同時並行にすると、どちらも中途半端になります。1級管工事の合格発表を待つ期間に、対応表と会社の許可証を見て候補を1つに絞る。この期間の使い方が、結果的に一番差になります。

現場目線で言えば、資格を増やすこと自体が目的になった人は、名刺の肩書きは増えても任される現場は変わりません。名簿の枠が2つしかないという制度を知っていれば、3つ目を取る時間を別のことに回す判断もできます。

1級管工事の実務経験の要件はこちらで整理しています。

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1級管工事施工管理技士のダブルライセンスに関する情報まとめ

  • 1級管工事施工管理技士で建設業許可の技術者になれるのは管工事業の1業種だけ。水道施設・消防施設・清掃施設はいずれも別の資格が要る
  • 経営事項審査の技術職員名簿は1人2業種まで。1級管工事だけでは1枠が空き、3つ目以降の資格は名簿の上で使えない
  • 2枠目の現実的な候補は、水道施設工事業を狙うなら土木の施工管理技士、消防施設工事業を狙うなら甲種消防設備士
  • 甲種消防設備士の受験資格には管工事施工管理技士が明記されており、1級でも2級でも受けられる
  • 建築設備士と給水装置工事主任技術者は、どちらも管工事業の専任技術者になれるが実務経験1年が要り、枠としては増えない
  • 管工事業は専任技術者になれる資格の種類が多い業種で、資格の希少性だけでは代えの利かない人にはなりにくい
  • 順番は会社の建設業許可証を見てから決める。合格発表を待つ期間に候補を1つに絞るのが効率的

以上が1級管工事施工管理技士のダブルライセンスに関する情報のまとめです。

この話が曖昧になりやすいのは、ダブルライセンスが「市場価値」という測りようのない言葉で語られてきたからだと思います。制度の側には、業種の対応表と2業種までという枠という、はっきりした物差しが2つあります。個人的には、次の資格を選ぶ前に会社の建設業許可証をコピーしてもらって、空いている業種に印を付けるところから始めるのが一番早いと考えています。そこに管工事以外の印が付いていれば、取るべき資格はもう決まっています。

1級管工事施工管理技士のダブルライセンスに関するよくある質問

1級管工事施工管理技士を持っていれば水道施設工事業の技術者になれますか。

なれません。水道施設工事業の営業所技術者等や配置技術者になれるのは、一級土木施工管理技士、二級土木施工管理技士(土木)、技術士の上下水道系・衛生工学系です(建設業許可広島の一覧、行政書士やまだ事務所の一覧)。上下水道の仕事を管工事業の許可でやっている会社もありますが、許可の業種としては別なので、会社が水道施設工事業の許可を取るなら土木側の技術者が要ります。

資格を3つ以上持つ意味はありますか。

経営事項審査の技術職員名簿という物差しでは、1人あたり2業種までなので3つ目の出番はありません(中国地方整備局建政部の案内)。ただし名簿は会社の評点の話で、現場での配置や転職市場での見え方は別の物差しです。3つ目を取るなら、名簿以外のどの目的に効くのかを先に決めておいたほうがいいです。

2級管工事施工管理技士のうちに甲種消防設備士を受けてもいいですか。

受けられます。消防試験研究センターの受験資格には級の限定がなく、管工事施工管理の1級または2級の技術検定に合格した者と示されています(消防試験研究センター「受験資格」)。1級管工事の勉強と並行させると負荷が高いので、1級の第二次検定が終わってから動くほうが現実的です。

建築設備士を取ると管工事の仕事の幅は広がりますか。

許可の枠という意味では増えません。建築設備士は実務経験1年を足して管工事業の専任技術者になれる資格で、その枠は1級管工事施工管理技士ですでに埋まっています(建設業許可広島の一覧、コード62)。設計側の意図を読めるようになる、設備設計との調整で強くなるといった、別の効き方をする資格として捉えるのが実際に近いです。

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