- 品質管理で書けと言われても、通信工事の品質って何を書けばいいんだ
- テーマ別に例文を何本も用意しておくべきなのか
- 令和7年度の問題1は、その前の年と何が変わったのか
- 二次下請で入った工事だと、発注者名には誰を書くのか
- 自分が経験していない工事を書いたら、どこまで見抜かれるのか
上記の様な悩みを解決します。
令和7年度の問題1は、「施工計画の立案」と「工事対象物の機器又は装置,材料の品質管理」という2つのテーマを試験側が名指ししました。受検者が選べるのは工事であって、テーマではありません。テーマ別に例文を何本も用意しても、指定されなかった年は使えないのです。
経験記述の解説は、テーマごとの模範解答を並べる形が多くなりがちです。ただ、そのやり方は「次はこのテーマが出る」という前提の上に立っています。この記事はその前提を置きません。試験問題の原本に書かれている文言だけを起点にして、自分が経験した工事を1本決め、品質管理で訊かれても、別のテーマで訊かれても書ける状態に棚卸ししておくことを目指します。
それではいってみましょう!
令和7年度の問題1は、テーマを試験側が名指しした
まず原本の言い回しをそのまま見ます。令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定の試験問題(全国建設研修センター)の問題1は、こう始まります。「あなたが経験した電気通信工事のうち,「施工計画の立案」及び「工事施工における工事対象物の機器又は装置,材料の品質管理」に特に留意した工事を1つ選び,〔工事概要〕を記述した上で,次の〔設問1〕及び〔設問2〕についての答えを解答欄に記述しなさい。」。テーマの名前は、受検者が書き込むのではなく、問題文の側に最初から印字されていました。
この1文の構造を分解すると、受検者に与えられている自由がどこにあるかが見えてきます。選ぶ対象は「工事」です。選ぶ条件が「「施工計画の立案」及び「工事施工における工事対象物の機器又は装置,材料の品質管理」に特に留意した」という部分にあたります。つまり、テーマを2つ渡された上で、その2つに当てはまる工事を自分の経験から探してこい、という順序になっています。テーマを選ぶ余地はどこにも書かれていません。
設問1が施工計画の立案、設問2が品質管理
柱書に置かれた2つのテーマは、そのまま設問の割り当てになります。〔設問1〕が「施工計画の立案」、〔設問2〕が「工事施工における工事対象物の機器又は装置,材料の品質管理」です。品質管理をどう書くかだけを準備していた人は設問1で止まり、施工計画だけを準備していた人は設問2で止まる、という構造になっていました。片方だけの備えでは、解答用紙の半分が埋まらないわけです。
ここで効いてくるのが、選ぶのが工事だという点です。2つのテーマは別々の工事に振り分けることができません。柱書は「工事を1つ選び」と言っているので、施工計画の話も品質管理の話も、同じ1本の工事の中から取り出す必要があります。テーマごとに別の現場を思い出して書く、という組み立てはこの形式では成立しません。
6問すべてが必須問題
問題1だけを見て準備を組むと、全体の分量を見誤ります。同じ試験問題の冒頭には「これは第二次検定の試験問題で,表紙とも6枚,6問題あります。」「問題1~問題6は,必須問題ですので必ず全問解答してください。」と印字されています(出典:全国建設研修センター 令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題)。選択問題という逃げ道は用意されておらず、6問すべてに解答することが前提です。
参考までに、令和7年度の第二次検定の構成は次のようになっていました。問題1が施工経験記述、問題2が語句選択とJIS図記号の名称・機能、それにスイッチ接続方式の語句、問題3がネットワーク工程表、問題4が労働災害防止対策、問題5が技術用語、問題6が法規(建設業法・労働基準法・有線電気通信法)です。問題1は6問のうちの1問ですが、自分の経験を持ち込む必要がある唯一の問題であり、前日に詰め込みが効かない問題でもあります。準備の順番として最初に手を付ける価値があるのは、僕はここだと考えています。
「書いてはいけない内容」が指定される問題もある
もう1つ、原本を読むときに見落としやすい書き方があります。設問の中に、書いても評価されない内容が名指しで除かれている場合です。令和7年度の問題4には「ただし,保安帽及び墜落制止用器具の着用に関する記述は除くものとする。」という但し書きが付いていました(出典:全国建設研修センター 令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題)。真っ先に思い浮かぶ対策が、あらかじめ封じられている形です。
この作りは問題1にも通じます。柱書がテーマを指定し、設問が答え方の枠を決め、〔注意〕が範囲を出し入れする。読む順番としては、柱書だけを読んで書き始めるのではなく、設問と〔注意〕まで目を通してから鉛筆を持つほうが安全です。過去問を解く練習でも、答案の中身を採点する前に、指定と除外を全部拾えていたかを先に見返す価値があります。指定を読み落とした答案は、内容がどれだけ具体的でも、問われたことに答えていない答案になってしまうからです。
テーマは受検者が選べない。年度ごとに試験側が2つ指定する
「選べない」という話を、年度をまたいで確認します。手元で原本を確認できた3年度分を並べると、指定されているテーマは年度ごとに入れ替わっており、しかもテーマが書かれている場所そのものが変わっています。
| 年度 | 指定されたテーマ | テーマが書かれている場所 |
|---|---|---|
| 令和5年度 | 工程管理/品質管理 | 柱書ではなく〔設問2〕と〔設問3〕 |
| 令和6年度 | 施工現場における労働者の安全管理/工期を遵守するための工程管理 | 柱書 |
| 令和7年度 | 施工計画の立案/工事施工における工事対象物の機器又は装置,材料の品質管理 | 柱書 |
出典は各年度の 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題(全国建設研修センター)です。令和5年度と令和6年度の問題はWayback Machineの保存版で確認しました。
令和5年度と令和6年度以降で、指定の場所が違う
表の右端の列が、この記事でいちばん見てほしい部分です。令和5年度の柱書は「あなたが経験した電気通信工事のうちから,代表的な工事を1つ選び,次の〔設問1〕から〔設問3〕の答えを解答欄に記述しなさい。」となっていて、テーマを一言も指定していません。求められているのは「代表的な工事」です。テーマは下に降りたところ、〔設問2〕の「上記工事を施工することにあたり「工程管理」上,あなたが特に重要と考えた事項をあげ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。」と、同じ形式で「品質管理」上を問う〔設問3〕に置かれていました。
対して令和6年度は「あなたが経験した電気通信工事のうち,「施工現場における労働者の安全管理」及び「工期を遵守するための工程管理」に特に留意した工事を1つ選び」となっており、令和7年度と同じ形です。柱書で2つのテーマを示し、その2つに留意した工事を1つ選ばせる形式に変わっています。
この違いは、工事を選ぶ段階に影響します。令和5年度の形式なら、代表的な工事を1本出せば、テーマは後から設問に合わせて切り出す流れになります。令和6年度以降の形式では、柱書を読んだ時点で2つのテーマが決まっているので、工事を選ぶ基準そのものがテーマに縛られます。年度をまたいで過去問を解くときは、この2つの形式を混ぜないほうがよいと僕は思います。
言葉の選び方も揃っていません。令和5年度が求めたのは「代表的な工事」でした。令和6年度と令和7年度が求めたのは、指定された2つのテーマに「特に留意した工事」です。代表的、という条件なら、規模や自分の関与の深さで選べます。特に留意した、という条件なら、選ぶ理由をテーマの側に寄せる必要があります。同じ工事を選ぶにしても、答案の書き出しで示す選定理由が変わってきます。
テーマの中でも、書ける範囲が絞られる年がある
年度差はテーマ名だけにとどまりません。令和6年度の〔設問1〕は安全管理のテーマでしたが、「ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。」という但し書きが添えられていました(出典:全国建設研修センター 令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題)。テーマとしては安全管理でも、そのテーマの中で真っ先に挙がりやすい内容が除かれています。
この事実は、テーマ別の例文を暗記する準備の弱点をよく示しています。安全管理の例文を1本用意していて、その中身が交通誘導員の配置だけだったなら、令和6年度ではそのまま使えません。テーマが当たっても、書いた内容が除外規定に当たれば同じことです。準備の単位を例文にすると、こうした細かい指定に対応できる余地が残りません。工事1本を深く思い出せる状態にしておけば、除外された話題を避けて別の角度から書き直せます。
予想ではなく、どの年度でも取り出せる状態にしておく
3年度分を見ると、指定されるテーマは工程管理・品質管理・安全管理・施工計画の立案と入れ替わっています。ただ、3年度分だけを見て「毎年必ず2つ指定される」と一般化するのは早いです。令和5年度は柱書が指定していない年でしたし、今後どうなるかは公表された資料からは読み取れません。「次は◯◯が出る」という予想も、原本のどこにも根拠がありません。
やるべきなのは予想ではなく、準備の形を変えることです。テーマ別に例文を用意する準備は、当たれば強い代わりに、外れると1文字も使えません。工事を1本決めて、その工事について工程・品質・安全・施工計画のどこからでも話を取り出せるようにしておく準備なら、どのテーマが指定されても土台が残ります。年度ごとの原本の言い回しは、過去問をまとめた記事にも整理しています。

令和7年度から、設問の締めは「結果」ではなく「評価」になった
年度による違いは、テーマの入れ替わりだけではありません。設問の締めくくりの語も入れ替わっています。令和6年度の設問(2)は「…課題に対し実施した具体的な対策内容とその結果」を求めていました。令和7年度は同じ位置が「…課題に対し実施した具体的な対策内容とその評価」に変わっています(出典:各年度の 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題/全国建設研修センター)。一字違いですが、解答欄の最後に書く内容が変わります。
「結果」は起きたこと、「評価」は自分の判断
「結果」は、対策を打った後に何が起きたかです。手戻りが出なかった、工程に影響しなかった、といった事実の記述がここに入ります。事実なので、書く側の判断は入りません。
「評価」は、その対策をどう見るかです。打った手が狙いどおりだったのか、足りない部分が残ったのか、同じ状況でまた同じ手を選ぶのか。結果を踏まえた上で、自分がその対策をどう位置づけるかが問われる語です。結果だけを書いて筆を置くと、評価の欄には答えていない解答になる可能性があります。
なぜ語が変わったのかは、公表された資料からは読み取れません。採点の基準も公開されていないので、「評価」と書かれた年に「結果」だけを書いたらどう扱われるかを断言はできません。ただ、原本の指示する語が変わっている以上、書き分けを意識しておくほうが安全だと僕は見ています。
対策の後ろに一言足せるようにしておく
準備の段階でできるのは、自分の工事の話に「その後どうだったか」と「それをどう思っているか」を分けて置いておくことです。前者が結果、後者が評価にあたります。現場では両方をまとめて話すことが多いので、意識して分けておかないと、本番で評価の側だけが抜け落ちます。
通信工事の品質管理は「機器又は装置,材料の」に限定されている
ここが、この記事の本題です。令和7年度の柱書が指定した品質管理は、ただの「品質管理」ではありません。「工事施工における工事対象物の機器又は装置,材料の品質管理」という限定付きの言い方でした(出典:全国建設研修センター 令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題)。修飾語を落として「品質管理」とだけ読むと、書く範囲が広がりすぎます。
施工品質全般ではない
限定部分を素直に読むと、対象は工事対象物の機器、装置、材料です。施工品質全般ではありません。作業手順が守られていたか、仕上がりが図面どおりか、といった話は施工の品質ではありますが、柱書が名指ししている対象からは外れていきます。工事全体の品質確保の話に広げてしまうと、指定されたテーマからズレた解答になります。
現場感覚でいえば、この限定は「持ち込むモノと据え付けるモノの話」に寄せろ、という指示に近いです。何を持ち込んだか、それが決められたモノだったか、どう扱ったか。そこに軸足を置いたまま書き切れるかどうかが、この年のテーマへの適合を分けます。
同じ「品質管理」でも、年度によって修飾語が違う
限定の有無は年度で変わります。令和5年度の〔設問3〕は「「品質管理」上,あなたが特に重要と考えた事項をあげ」という形で、品質管理という語に修飾語が付いていませんでした(出典:全国建設研修センター 令和5年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題)。令和7年度は同じ語に「工事施工における工事対象物の機器又は装置,材料の」という長い修飾語が付いています。
つまり、品質管理というテーマ名だけを頼りに準備すると、年度によって書ける範囲が合わなくなります。令和5年度の問題を解いた感覚のまま令和7年度の柱書を読むと、修飾語を読み飛ばして施工品質全般の話を書いてしまいかねません。過去問を解くときは、テーマ名を抜き出すのではなく、テーマ名の前後に付いている語ごと写しておくのが安全です。ここが、経験記述の準備でいちばん手を抜きやすいところだと僕は見ています。
工事1本を、機器・装置・材料の側から棚卸しする
準備としてやることは、例文を覚えることではなく、自分の工事を分解しておくことです。工事を1本決めて、次の観点で思い出せるところまで具体化しておきます。
- その工事で据え付けた機器や装置の名称と、その仕様がどの図書で決まっていたか
- 現場に搬入された材料が、決められた仕様どおりのものかを、誰がいつどうやって確かめたか
- 機器や材料を、搬入から据付までどこにどう保管し、どう運んだか
- 仕様と違うもの、輸送中に傷んだものが出たときに、誰がどう判断して処理したか
- その処理でよかったと、後から何を見て確かめたか
最後の項目が、令和7年度の「評価」に直結します。5つ目まで思い出せていれば、設問の締めが「結果」の年でも「評価」の年でも、末尾を差し替えるだけで対応できます。
ここで注意したいのは、思い出せない部分を数値で埋めないことです。経験記述は自分が経験した工事について書くものなので、記憶にない測定値や検査値を持ってきて具体性を装うのは筋が悪いです。数値を出すなら、自分が実際に見た書類や記録に残っている範囲にとどめるほうが安全です。
施工計画の立案と、同じ工事から取り出す
令和7年度は設問1が「施工計画の立案」なので、同じ工事から施工計画の話も取り出す必要があります。棚卸しの段階で、機器・装置・材料の話とは別に、その工事の計画をどう立てたかも並べて思い出しておきます。着工前に何を検討したか、どの条件が計画を縛ったか、計画のどこを誰と詰めたか、といった線です。
2つのテーマを1本の工事から取り出すとき、話が混ざるのが厄介です。施工計画の設問に品質の話を書き、品質の設問に計画の話を書いてしまうと、どちらの設問にも半分しか答えていない解答になります。棚卸しの段階から、計画の話と機器・材料の話を別々のメモに分けておくと、この混線は起きにくくなります。
分け方の目安は、時間の軸で切ることです。着工前に机上で決めたことは施工計画の側、現場でモノを受け取ってから据え付けるまでに起きたことは品質管理の側、という切り方をすると、同じ工事の話でも重なりが減ります。もちろん計画の中には品質を確保するための取り決めも含まれますが、それを品質管理の設問に持っていくと、実際に何をしたかの記述が薄くなります。計画の話は計画として書き、実施の話は実施として書くほうが、どちらの設問も埋まります。
棚卸しは、記憶が鮮明なうちにやっておくほど楽になります。年度をまたいで受検する場合、書こうとしている工事が数年前のものになっていることも珍しくありません。図面や工事写真、日報、検査記録といった手元に残っている資料を先に集めてから思い出す作業に入ると、記憶だけに頼らずに具体性を確保できます。資料が残っていない工事は、書ける範囲が限られると割り切って、別の候補に切り替える判断も要ります。
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【PR】経験記述のズレを、本番前に第三者の目で確認する
経験記述は「書けているつもり」が一番気づきにくい落とし穴です。設問の指定テーマからズレていないか、二次下請の場合の発注者名の書き方が合っているか——独学だと確認する相手がいません。第三者の目を入れる手段のひとつとして、独学サポート事務局の受験対策講座の内容を確認しておくのも手です。
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工事概要に書く7つの記入欄と、二次下請のときの発注者名
設問に入る前に、〔工事概要〕を埋める欄があります。ここは記憶の勝負ではなく、様式の勝負です。何を書く欄なのかを事前に把握しておけば、本番で迷う時間が減ります。
記入する項目
令和7年度の問題1で、〔工事概要〕として記述が求められている項目は次のとおりです。⑴が工事名。⑵が工事の内容で、その内訳が①発注者名、②工事場所、③工期、④請負概算金額、⑤工事の概要。ここまでで6つ。そしてもう1つ、⑶として「工事現場における施工管理上のあなたの立場又は役割」があり、あわせて7つの記入欄になります(出典:全国建設研修センター 令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題)。
⑶は工事の情報ではなく、その工事における自分の情報です。工事を選ぶ段階で、この欄に何と書けるかまで決まってしまいます。名前だけ知っている工事、途中から資料で見ただけの工事では、施工管理上の立場を書きようがありません。
なお、令和5年度は⑵の⑤が「工事概要」、令和6年度と令和7年度は「工事の概要」と、「の」の有無が違います。細かい話ですが、年度をまたいで過去問を解くときに文言を混ぜないよう気をつけたいところです。
二次下請のときは、発注者名が一次下請業者名になる
〔工事概要〕の〔注意〕には、発注者名の書き方が明記されています。「あなたの所属会社が二次下請業者の場合は,発注者名は一次下請業者名となります」。さらに「あなたの所属が発注機関の場合の発注者名は,所属機関名となります」とも書かれています(出典:令和6年度・令和7年度の 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題/全国建設研修センター)。
この2文が効いてくるのは、元請の名前や最終的な施主の名前を書きたくなる場面です。二次下請として入った工事で、現場でいちばん目にしていたのが元請の看板だったとしても、発注者名の欄に書くのは自分に発注した一次下請業者の名前になります。自分の所属が発注する側の機関なら、書くのは所属機関名です。契約上の相手が誰だったかを、工事を選ぶ段階で確認しておくと迷いません。
自分が二次下請だったのか一次下請だったのかがあいまいな工事は、この欄で手が止まります。棚卸しの段階で、契約の並びを整理しておくところまでやっておくと安心です。
失格になる条件と、実務経験として認められる範囲
経験記述で最も重い注意書きは、失格に関する1文です。原本にはこう書かれています。「なお,あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。」(出典:令和6年度・令和7年度の 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 試験問題/全国建設研修センター)。減点ではなく失格です。
撤去のみの工事は除かれる
同じ〔注意〕には、実務経験として認められる範囲も書かれています。「工事名が工事以外でも,電気通信設備の据付調整が含まれている場合は,実務経験として認められます。ただし,撤去のみの工事は除きます。」。前半は範囲を広げる方向の記述です。工事名が「工事」で終わっていない案件、たとえば名称が業務や作業になっているものでも、電気通信設備の据付調整が含まれていれば認められる、と読めます。
一方、後半は範囲を狭めています。撤去のみの工事は除かれます。据付調整が含まれるかどうかが線引きなので、撤去だけで完結した案件は、この問題で選ぶ工事にはなりません。工事名だけを見て候補から外していた案件があれば、据付調整が含まれていなかったかを確認する価値があります。
見直しの通知が出ていた
背景として、令和6年2月26日付で試験問題の見直しに関する通知が出ています。「第二次検定:受検者の経験に基づく解答を求める設問に関し、自身の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、1級と2級の第二次検定においては、幅広い視点からより具体的な施工経験を確認する設問として見直しを行う。」という内容です(出典:全国建設研修センター 令和6年度以降の電気通信工事施工管理技術検定試験問題の見直しについて)。
この通知の時期と、令和6年度から柱書でテーマが指定される形に変わった時期は整合します。ただ、通知の結果として形式がこう変わった、という因果は公表資料から確認できません。ここは事実の並びとして押さえるにとどめます。
対処は工事選びの段階で終わる
失格の条項は重いですが、対処そのものは単純です。自分が実際に施工管理に関わった工事から選ぶ。立場と役割を実態どおりに書く。この2つを工事選びの段階で守れば、後の設問で不安になる場面はありません。人から聞いた話や、資料で読んだだけの工事を土台にすると、具体的に書こうとするほど破綻が広がります。
受検の前提となる実務経験の要件は、受験資格の記事に整理しています。

令和7年度の合格率と、令和8年度の日程
最後に、数字と日程を押さえておきます。令和7年度の第二次検定は、受検者5,435人、合格者1,971人、合格率36.3%でした。前年の令和6年度は受検者4,650人、合格者1,904人、合格率40.9%です(出典:全国建設研修センター 令和7年度1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定「第二次検定」の合格者の発表について)。
同じ日に実施された3種目の中で低い
同じ資料には、同じ試験日に実施され、同じ合格基準で判定された3種目の数字が並んでいます。
| 種目(令和7年度・第二次検定) | 受検者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 管工事 | 6,886人 | 4,360人 | 63.3% |
| 造園 | 1,979人 | 890人 | 45.0% |
| 電気通信 | 5,435人 | 1,971人 | 36.3% |
出典は同じく全国建設研修センターの合格者発表資料です。条件を揃えた横並びで見ても、電気通信は3種目の中で低い位置にあります。数字の詳しい推移は合格率をまとめた記事で扱っています。

合格基準は60%以上、ただし変更の可能性がある
合格基準は、受検の手引に「・第二次検定 得点が60%以上」と示されています。ただし同じ項に「次の基準以上の者を合格とします。ただし、試験の実施状況等を踏まえ変更する可能性があります。」という但し書きが添えられています(出典:全国建設研修センター 令和8年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 受検の手引・旧受検資格版)。60%という数字だけを覚えて、但し書きを忘れないようにしたいところです。
令和8年度の日程
国土交通省が令和7年12月18日に公表した実施についての資料によると、令和8年度の1級第二次検定は令和8年12月6日(日)に行われます。申込受付期間は令和8年5月7日(木)から5月21日(木)まで、合格発表は令和9年3月3日(水)です(出典:国土交通省 令和8年度電気通信工事施工管理技術検定の実施について)。申込の受付は5月で終わります。夏に思い立っても、その年度の受検には間に合いません。
合格者の顔ぶれ
令和7年度の第二次検定の合格者の属性も公表されています。年齢では50〜54歳が20.2%で最も多く、勤務先では大臣許可の電気通信工事業が56.3%を占めています(出典:全国建設研修センター 令和7年度1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定「第二次検定」の合格者の発表について 別紙)。日中は現場に出ていて、勉強時間をまとめて取りにくい層が中心だと読み取れます。外れたら使えない例文の暗記より、工事1本の棚卸しに時間を寄せる価値があるのはそのためです。
1級電気通信工事施工管理技士の経験記述(品質管理)に関する情報まとめ
令和7年度の問題1は、柱書で「施工計画の立案」と「工事施工における工事対象物の機器又は装置,材料の品質管理」の2つを名指しし、受検者にはその2つに留意した工事を1つ選ばせる形式でした。
年度別に見ると、令和5年度は柱書がテーマを指定せず設問2・設問3に置いていたのに対し、令和6年度以降は柱書で2つを示す形に変わっています。テーマを選ぶ側は受検者ではありません。
令和7年度は、設問の締めの語が前年の「結果」から「評価」に変わりました。起きたことと、それをどう見るかを分けて言えるようにしておく必要があります。
品質管理のテーマは「機器又は装置,材料の」という限定付きでした。施工品質全般ではなく、持ち込んだモノと据え付けたモノに軸足を置いて、自分の工事を棚卸ししておくのが準備の中身になります。
〔工事概要〕は工事名と工事の内容の5項目で6つ、それに施工管理上の立場又は役割が加わって7つです。二次下請の場合、発注者名は一次下請業者名です。
経験した工事でないことが判明した場合は失格です。据付調整が含まれていれば工事名が工事以外でも認められますが、撤去のみの工事は除かれます。
令和7年度の第二次検定の合格率は36.3%、合格基準は得点60%以上(変更の可能性あり)、令和8年度の第二次検定は令和8年12月6日に実施されます。
以上が1級電気通信工事施工管理技士の経験記述(品質管理)に関するまとめです。次に取る行動としては、自分が施工管理に関わった工事を1本決めて、機器・装置・材料の側から思い出せる範囲を紙に書き出してみてください。書けない欄がどこかを先に知っておくほうが、例文を1本増やすより本番で効きます。
