- 1級電気の年収、実際いくらが普通なのか
- 検索すると496万円から800万円まで出てくる、どれが本当なんだ
- 額面の話なのか手取りの話なのか
- 自分の今の年収は相場として低いほうなのか
- 1級を取ったら実際いくら上がるのか
- 資格手当は月いくらが普通なのか
- 2級のままだとどれだけ差がつくのか
- 第一種電気工事士と施工管理、どっちが稼げるのか
- 地方と都市部でどれだけ違うのか
- 求人票の「年収600〜900万円」は下限で入るんじゃないのか
- その数字は残業代込みなのか
- 電気は土木や建築より安いのか高いのか
- 転職サイトの数字は煽りではないのか
上記の様な悩みを解決します。
1級電気工事施工管理技士の年収は、調べるほど分からなくなる種類の情報です。平均496万円と書いてあるサイトと、600万円から800万円と書いてあるサイトが同じ検索結果に並び、しかもどちらも根拠の統計名が書かれていません。実際に調べてみると理由がはっきりしていて、厚生労働省の職業情報提供サイトには「電気工事施工管理技術者」という職業のページ自体が存在しないんですよね。だから各社が求人票や自社の転職実績から独自に数字を作るしかなく、母集団が違うまま数字だけが並ぶことになります。今回は平均年収・年代別・1級と2級の差・年収の上げ方といった基本を押さえた上で、他社が触れていない「公的統計に区分がないという前提」「数字がばらつく構造的な理由」「近い職業の公的データで挟んで読む方法」まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく数字ごとに出典があるかどうかまで書き分けていくので、自分の年収を照らし合わせながら読んでもらえる内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
1級電気工事施工管理技士の年収は?まず公的統計に区分がない
結論から言うと、1級電気工事施工管理技士の年収には、国が公表している職業単位の平均値が存在しません。ここを知らないまま各社の数字を比べても、どれが正しいかは決まりません。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には、建築施工管理技術者と土木施工管理技術者の職業ページはありますが、「電気工事施工管理技術者」という職業のページは用意されていません(厚生労働省 職業情報提供サイト job tag、2026年9月時点で職業一覧を確認)。同サイトの免許・資格の側には1級・2級の電気工事施工管理技士と技士補が登録されていますが、資格単位の年収データは提供されていません(同)。
つまり各社が出している「1級電気工事施工管理技士の平均年収」は、次のいずれかを母集団にした独自の数字です。
- 自社に掲載されている求人票の提示年収を平均したもの
- 自社の転職支援で実際に決まった年収を集計したもの
- 建設業全体や日本全体の平均から相対的に推定したもの
- 出どころの記載がまったくないもの
僕の感覚だと、この前提を書いてある記事が1本もないことが、読者が混乱する最大の原因です。数字の大小より先に「誰が何を数えたのか」を見る順番にしたほうが、自分の現在地は正確に測れます。
496万円から800万円までばらつく理由|母集団が全部違う
結論、公開されている数字は最安と最高で300万円以上開きますが、これは業界の実態がばらついているというより、集計元が違うだけです。
実際に各社の数字を並べると、次のようになります。出典が本文に明記されているかどうかも併記します。
| 掲載元 | 1級の年収 | 出典の明記 |
|---|---|---|
| CIC日本建設情報センター | 電気工事施工管理技士の平均 約496万円 | なし(日本人平均441万円のみ国税庁と明記) |
| 建職バンク | 平均 約594万円(求人約200件から算出) | 統計名の明記なし |
| 資格の学校TAC | 500万円〜700万円 | なし(建設業平均473万円のみ令和3年・国税庁と明記) |
| JACリクルートメント | 500〜700万円前後 | 自社実績(2024年1月〜12月)と明記 |
| プレックスジョブ | 600万円〜800万円 | 自社の転職事例と明記 |
CICの496万円は1級と2級を分けずに「電気工事施工管理技士」として出した数字で、プレックスジョブの600万円から800万円は1級に限定した自社事例です(各社の掲載、2026年9月確認)。同じ資格名でも、片方は資格全体の平均、もう片方は転職が決まった人の実績なので、比べる対象になっていません。
読み方の順番はこうなります。
- 「平均」と書いてある数字:資格全体(2級込み)の可能性を疑う
- 「600〜800万円」のようなレンジ:転職事例か求人票の提示額を疑う
- 求人票ベースの数字:残業代込みの提示額が混ざる
- 出典が書かれていない数字:他社の記事から転記された可能性を疑う
求人票の年収レンジについては、下限で入る前提で読んでおくのが現実的です。「600〜900万円」という表記は、900万円の実績者がいるという意味であって、自分がそこから始まるという意味ではありません。
近い職業の公的データで挟む|建築679.1万円と電気工事士628.1万円
結論、電気工事施工管理そのものの公的な数字がないなら、上下を挟む職業の公的データで幅を見立てるのが一番ぶれません。
厚生労働省の職業情報提供サイトでは、建築施工管理技術者の賃金が679.1万円、平均年齢が43.4歳、労働時間が166時間とされています(厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「建築施工管理技術者」。いずれも令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)。同じサイトの電気工事士は賃金628.1万円、平均年齢41.6歳、労働時間163時間です(同「電気工事士」、同調査の加工値)。
この2つの数字の位置関係が、見立ての枠になります。施工管理側の建築が679.1万円、電気の職人側が628.1万円という並びなので、1級電気工事施工管理技士の実勢はこの帯のなかか、やや上に置いて考えるのが無理のない読み方です。
求人側の指標も同じサイトで確認できます。建築施工管理技術者の求人賃金(月額)は34.2万円、有効求人倍率は8.62、電気工事士の求人賃金は28.4万円、有効求人倍率は3.84です(同、いずれも令和7年度)。求人倍率の差は、施工管理側の人手不足がより強いことを示しています。
土木側の施工管理技術者の年収水準は、こちらで整理しています。

数字を扱うときの注意として、この賃金額はいずれも額面(支給総額)です。手取りは所得税・住民税・社会保険料が引かれた後になるので、額面の75〜80%程度を目安に置き換えて読むと生活実感に近づきます。求人票を見ながら生活設計をするときに、ここを混ぜないことが大事です。
求人ベースの数字と地域差|平均514万円、地域で60万円の幅
結論、求人ベースの数字は「今この瞬間、いくらで募集されているか」を示すもので、在職者の年収とは別の情報です。両方を分けて持つと判断が速くなります。
求人ボックスの職種別平均年収の掲載では、電気工事施工管理技士関連の仕事の平均年収が約514万円、月給換算で43万円、初任給が24万円程度とされています(求人ボックス、2026年7月時点の掲載)。掲載求人から算出した数字なので、在職者の平均ではなく募集条件の平均です。
地域差については、CIC日本建設情報センターが8ブロックの数字を出しています(CIC日本建設情報センターのコラム、2026年2月10日更新。統計名の明記はなし)。関東が506万円、関西が497万円、九州・沖縄が484万円、北海道・東北が476万円、東海が472万円、四国が464万円、中国が463万円、甲信越・北陸が447万円という並びです。最高の関東と最低の甲信越・北陸で約59万円の差になります。
この60万円弱という幅の読み方には注意が必要です。
- 出典の統計名が示されていないので、絶対値としては参考値にとどめる
- 差の順番(関東が最上位、甲信越・北陸が最下位)は求人の需給から見て妥当
- 生活コストを考えると、額面の差がそのまま手元の差にはならない
- 同じ地域内でも、元請か下請か、常駐現場かで開きが出る
実務だと、地域差は「引っ越せば上がる」という話よりも、「同じ地域で元請側に回れるか」のほうが効きます。地方でも官公庁案件を直接受ける会社にいれば、都市部のサブコンより高いことは普通にあります。
1級と2級、第一種電気工事士との差はどこで付くのか
結論、資格そのものが給料を上げるのではなく、資格があると任される現場の規模と役割が変わることで差が付きます。
各社の数字では、プレックスジョブが1級を600万円から800万円、2級を400万円から600万円としています(プレックスジョブ、自社の転職事例)。JACリクルートメントは1級を500〜700万円前後、2級を400万円前後としています(JACリクルートメント、自社実績 2024年1月〜12月)。1級と2級の差は、どちらの資料でも100万円から200万円の帯に収まります。
第一種電気工事士との比較は、職種そのものが違うので単純な優劣にはなりません。前の節のとおり、公的統計上の電気工事士の賃金は628.1万円です(厚生労働省 job tag「電気工事士」、令和7年賃金構造基本統計調査の加工値)。施工する側と管理する側で必要な経験が別なので、両方持っていると現場での使い勝手が上がる、という関係で捉えるのが実際に近いです。
第一種電気工事士そのものの位置づけは、こちらで整理しています。

資格手当については、公開情報がほとんどありません。今回調べた5サイトのうち4サイトが資格手当の金額に触れておらず、プレックスジョブが各種手当として3万円から7万円という数字を挙げているだけでした(プレックスジョブ、出典の明記なし)。会社ごとの規定で決まる部分なので、求人票の手当欄と就業規則を直接見るのが確実です。
1級の受検資格を満たせるかどうかで動き出す時期が変わるので、要件はこちらから確認するのが早いです。

年代別の数字を自分に当てるときの注意
結論、年代別の年収表は各社でまったく揃っていません。自分の年齢の行だけを見て一喜一憂しないほうがいいです。
たとえば50代の数字は、CICが599万円、プレックスジョブが971万円としています(両社の掲載、2026年9月確認。いずれも統計名の明記なし)。同じ50代で372万円の開きです。20代も、JACリクルートメントの一般市場の目安が360万円から440万円前後、CICが454万円としています(各社の掲載)。
これだけ開く理由は、前半で見たとおり母集団が違うからです。転職支援会社の数字は「転職を検討していて、実際に決まった人」の分布なので、市場全体より上に寄ります。
年代別の数字を使うなら、次の当て方が現実的です。
- 自分と同じ立場(元請/サブコン、常駐/内勤)の数字だけを見る
- 額面か手取りか、残業代込みかを確認してから比べる
- 単年の額より、次の5年で上がる伸び幅を見る
- 公的データの平均年齢(建築施工管理技術者は43.4歳)と自分の年齢差を意識する
公的統計側の平均年齢が43.4歳という点は、意外と使える指標です(厚生労働省 job tag「建築施工管理技術者」)。この年齢帯が賃金の中心にいるという意味なので、30代でその水準に届いていれば十分に速い、という見方ができます。
年収を上げる筋道|手当・配置・会社の受注力
結論、年収を上げる筋道は3本です。手当を取りに行く、配置される現場の規模を上げる、会社の受注力への貢献を交渉材料に変える。この順で効いてきます。
まず手当は、前の節のとおり会社の規定次第で、公開情報が乏しい領域です。求人票の手当欄を見比べるのがいちばん確実で、基本給が同じでも手当の設計で年間数十万円変わります。
次に現場の規模です。有効求人倍率が示すとおり、施工管理側の人手不足は職人側より強い状況にあります(厚生労働省 job tag、建築施工管理技術者8.62・電気工事士3.84、いずれも令和7年度)。管理できる現場の規模が上がれば、その希少性がそのまま待遇の交渉力になります。
3本目が会社の受注力への貢献です。1級の有資格者は、配置技術者としての扱いと、公共工事の入札で使う経営事項審査の評価の両面で会社の側に価値があります。制度の中身はこちらで整理しています。

配置技術者の役割の違いは、こちらが詳しいです。

正直なところ、年収の話でいちばん損をしているのは、資格を取ったあとに「待っていれば評価される」と構えてしまうことだと思います。会社にとって何の役に立っているかを言葉にできる人のほうが、同じ資格でも待遇の動き方が速いです。
1級電気工事施工管理技士の年収に関する情報まとめ
- 前提:厚生労働省の職業情報提供サイトに「電気工事施工管理技術者」の職業ページはなく、資格単位の公的な平均年収は存在しない
- ばらつきの理由:496万円から800万円までの差は、資格全体の平均・求人票の提示額・転職実績という母集団の違いによる
- 公的データで挟む:建築施工管理技術者679.1万円、電気工事士628.1万円(令和7年賃金構造基本統計調査の加工値)が見立ての枠になる
- 求人ベース:掲載求人の平均は約514万円、月給換算43万円。在職者の平均とは別の情報
- 地域差:関東506万円から甲信越・北陸447万円まで約59万円の幅(統計名の明記はない参考値)
- 1級と2級の差:各社の資料で100万円から200万円の帯。資格手当は公開情報が乏しく、求人票と就業規則で確認する
- 上げ方:手当を取る、配置される現場の規模を上げる、経営事項審査などの受注力への貢献を交渉材料に変える
以上が1級電気工事施工管理技士の年収に関する情報のまとめです。
この資格の年収を調べて疲れるのは、情報が足りないからではなく、出どころの違う数字が同じ棚に並んでいるからです。国の統計に職業区分がないという1点を押さえてしまえば、あとは「これは誰が何を数えた数字か」を確認するだけの作業になります。現場目線で言えば、他人の平均値より、自分の会社の求人票と手当規定を1回きちんと読むほうが、判断材料としてはよほど濃い。そのうえで足りないと感じたら、任される現場の規模を上げる方向に動く。それが遠回りに見えて一番速い順序だと考えています。
