- 1級電気を取ったけど、次に何を取れば意味があるのか分からない
- 資格は増やせば増やすほど会社の評価が上がるの?
- 会社が「経審のために」と言うけど、何がどう加点されるんだ
- 電験三種は難しすぎる、時間に見合うのか
- 電気通信工事施工管理技士は本当に食えるのか
- 管工事も取れと言われたけど、畑が違うのでは
- 1級建築施工管理技士と組むのはアリ?
- 第一種電気工事士は現場作業の資格でしょ、施工管理には要らない?
- 取る順番はどっちが先が得なんだろう
- 実務経験の年数は、2つの資格でそれぞれ数えられるの
- 2つ目は実務経験が免除されると聞いたけど本当?
- 監理技術者資格者証は資格ごとに何枚も要るの
- 有効期限がバラバラになると管理が面倒そう
- 転職市場でどの組み合わせが強いのか
- 勉強時間が取れない、二兎を追って共倒れが怖い
- 手当が付かない資格を取っても意味がない気がする
上記の様な悩みを解決します。
ダブルライセンスの話は、たいてい「相性のいい資格の紹介」と「年収がいくら上がる」で終わります。ただ、実際に会社の中で資格が金額に変わる場所は決まっていて、そこには制度上の枠があります。代表的なのが経営事項審査の技術職員名簿で、ここは1人につき2業種までしか使えません。1級電気工事施工管理技士は電気工事業の1枠しか埋められないので、2枠目に何を置くかで会社の点数が変わる、という構造になっています。
今回は、ダブルライセンスが効く場所を3つに切り分けたうえで、経審の2業種という枠、相性で選ぶときの3方向、そして意外と知られていない「取る前に効くダブルライセンス」まで、制度の裏づけがある範囲で整理しました。年収がいくら上がるという話は、出どころのある数字が見当たらないので扱いません。
なお、受検資格・加点の扱い・申請手続きは制度改正で変わります。実際に動くときは各機関の最新の案内を確認してください。
それではいってみましょう!
ダブルライセンスが「効く」場所は3つしかない
先に地図を作ります。結論、資格の組み合わせが実際に効くのは、現場への配置、会社の許可と経審、そして手当と転職の3か所です。
| 効く場所 | 効き方 | 決まり方 |
|---|---|---|
| 現場への配置 | 監理技術者・主任技術者として置ける工事の種類が増える | 建設業法の業種ごとの資格要件 |
| 会社の許可と経審 | 専任技術者を置ける業種が増え、技術職員名簿の点数が動く | 業種ごとの資格区分と、1人2業種までの制限 |
| 手当と転職 | 資格手当の対象が増え、応募できる求人が広がる | 各社の給与規程と求人要件 |
このうち、自分で確かめようがないのは3つ目だけです。1つ目と2つ目は制度で決まっているので、どの資格を足すとどこが動くのかを先に計算できます。ダブルライセンスを「なんとなく強そう」ではなく「どの枠が空いているか」で選べるのは、この2つがあるからです。
現場目線で言えば、会社が資格取得を勧めてくる理由はたいてい2つ目にあります。手当の話に見えて、実際は許可業種と経審の点数の話をしていることが多い、という前提で聞くと会話が噛み合います。
経審は1人2業種まで|1級電気は電気工事業の1枠しか埋まらない
ここが今回の核心です。結論、経営事項審査の技術職員名簿では、1人の技術職員につき申請できる業種は2業種までです。
国土交通省中国地方整備局の案内には「「技術職員名簿」の新様式では、技術職員1人当たり2業種までとなりました。」とあり、続けて「1人の技術職員が3つ以上の資格を所持していたとしても、最大で2つまでの資格しか使用することが出来ないことになります。」と示されています(中国地方整備局建政部「技術職員名簿の作成について」2026年9月確認)。
同じ案内が挙げている例が、まさに電気の話です。
- 例として挙げられているのは「1級電気工事施工管理技士(電気工事業の選択が可能)」「1級管工事施工監理技士(管工事業の選択が可能)」「1級造園施工管理技士(造園工事業の選択が可能)」の3つを持つ技術職員
- この場合「電気・管・造園の3業種のうち2業種までしか選択することが出来ません」とされ、3つ目の資格は申請に使えない
- 一方で、複数業種を選べる資格なら1つで2業種を埋められるとされ、2級土木施工管理技士(土木)が「土木、とび、石、鋼構造物、ほ装、しゅんせつ、水道施設の7業種選択可能」の例として挙げられている
つまり1級電気工事施工管理技士は、電気工事業という1業種しか選べない資格です。持っているだけでは2枠のうち1枠が空いたままになります。ここに何を入れるかが、会社にとってのダブルライセンスの実利になります。逆に言えば、3つ目、4つ目の資格を足しても経審の名簿の上では出番がありません。
もうひとつ、同じ案内には講習の扱いも書かれています。監理技術者講習の受講者は1点加点されるとしたうえで、その要件として1級国家資格者相当であること、監理技術者資格者証の交付を受けていること、講習を当期事業年度開始日の直前5年以内に受講していることの3つを挙げ、「単に監理技術者講習修了証を所持しているだけでは加点対象とはならず、また実務経験で監理技術者資格者証の交付を受けている方も対象外となります。」としています。電気工事業は指定建設業なので実務経験による資格者証の道がなく、この条件は1級を持っている人だけが満たせるものになります。
経審そのものの仕組みは、こちらで整理しています。

相性で選ぶ|電気通信・管工事・建築の3方向
では2枠目に何を置くか。結論、電気の人が現実的に狙えるのは、電気通信・管工事・建築の3方向です。
| 組み合わせ | 埋まる業種 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 1級電気+1級電気通信工事施工管理技士 | 電気工事業+電気通信工事業 | 通信配線やネットワークまで請ける電気設備会社 |
| 1級電気+1級管工事施工管理技士 | 電気工事業+管工事業 | 空調・衛生も抱える設備工事会社 |
| 1級電気+1級建築施工管理技士 | 電気工事業+建築系から2業種のうち1つ | 建築主体で電気も内製している会社 |
電気通信は、スマートビルやデータセンターのように動力・照明と通信インフラが同じ建物に同居する現場で効いてきます。試験範囲も電気と重なる部分があり、電気の知識をそのまま持ち込みやすい方向です。
管工事は、設備工事会社にいるなら最短距離になります。電気と管の両方で専任技術者を置けるようになると、会社が取れる許可業種がそのまま増えるからです。
建築は少し性格が違います。1級建築施工管理技士は1つの資格で複数業種を選べる側の資格なので、経審の2枠を1人で埋め切ることもできます。ただし電気の枠を使わない選び方になる場合があるので、会社がどの業種で点数を欲しがっているかを先に聞いたほうが早いです。
1級管工事の中身は、こちらで詳しく整理しています。

僕の感覚だと、迷ったら電気通信です。現場の言葉が近く、覚え直しの量が一番少なくて済みます。
電験三種と第一種電気工事士|施工管理と何が違うのか
電気の人がよく比較する2つにも触れておきます。結論、電験三種と第一種電気工事士は、施工管理技士とは効く場所そのものが違います。
- 1級電気工事施工管理技士:工事を管理する立場の資格。建設業許可・監理技術者・経審に効く
- 第一種電気工事士:工事に従事するための資格。自家用電気工作物の作業ができる
- 電気主任技術者(電験):完成後の設備を保安の面から監督する資格。選任義務は事業用電気工作物の設置者側にある
同じ「電気の資格」でも、建設業法の枠に入るのは施工管理技士だけです。電験を取っても経審の技術職員名簿の電気工事業の枠は埋まりません。逆に、電験は施工管理では代替できない選任の枠を持っています。どちらが上という話ではなく、会社がどちらの枠を埋めたいのかで決まります。
電験三種の中身と難易度は、こちらが参考になります。

第一種電気工事士については、こちらで整理しています。

取る前に効くダブルライセンス|第一種電気工事士と実務経験年数
ここはあまり語られていない話です。結論、ダブルライセンスは取ったあとだけでなく、受けるときにも効きます。
建設業振興基金が示している1級電気工事施工管理技術検定の受検資格では、旧受検資格の区分に第一種電気工事士免状の交付を受けた者が置かれ、この区分では実務経験年数を問われないとされています(建設業振興基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定のご案内」2026年9月確認)。一方、第一種・第二種または第三種電気主任技術者免状の交付を受けた者は通算6年以上の実務経験が必要とされています。
2級のほうも同じ発想で組まれていて、第一種電気工事士は実務経験を問われず、第二種電気工事士と電気主任技術者は通算1年以上とされています。
この差は小さくありません。学歴と実務経験だけで受けようとすると年数を積む必要があるところを、第一種電気工事士の免状が1枚あるだけで年数の縛りが外れる区分に入れる、ということだからです。現場作業の資格だから施工管理には関係ない、という理解でいると、この近道を見落とします。
なお令和6年度から新受検資格が併設され、経過措置として旧受検資格でも受検できる期間が設けられています。どちらの区分で出すかによって必要な書類が変わるので、申し込みの前に確認しておきたいところです。
受検資格の区分については、こちらで詳しく整理しています。

資格者証は1枚にまとめられる|追加申請と5年の数え方
複数の1級を持つと気になるのが、カードが何枚になるのかという話です。結論、監理技術者資格者証は資格ごとに増えるものではなく、追加申請で1枚にまとめられます。
建設業技術者センターのよくある質問では、資格を追加取得した場合の追加申請について、新たな資格者証の交付日から5年間有効とされています(建設業技術者センター「よくある質問(Q&A)」2026年9月確認)。つまり2つ目の1級を取って追加申請をすると、その時点から5年の新しいカードになるということです。期限がバラバラに増えていくのではなく、更新のタイミングが1本にまとまります。
費用の面では、同センターの案内で交付申請は7,600円(非課税)とされ、変更届出は無料と示されています。氏名や勤務先が変わっただけなら費用はかからず、資格の追加は交付の手続きになる、という切り分けです。
実務だと、2つ目を取ったあとで追加申請を忘れたまま現場に出て、資格者証に載っていない業種で配置予定技術者に立てられない、という止まり方をすることがあります。合格証明書が届いたら追加申請まで一続きでやってしまうのが安全です。
順番と時間配分|二兎を追って共倒れしないために
最後に現実的な話をします。結論、同じ年度に2つの第二次検定を狙うのは、日程の面で無理が出やすい組み合わせがあります。
- 1級電気は令和8年度で第一次検定が7月12日、第二次検定が10月18日。第二次の受検手数料は第一次の合格発表後に払う仕組みになっている
- 同じ年に別種目の1級を受けると、記述対策の山場が重なる可能性がある
- 第一種電気工事士のように実務経験の縛りを外せる資格は、施工管理より先に取っておくほうが効く
- 2枠目の資格は、会社がどの業種で点数を欲しがっているかを聞いてから決めたほうが外さない
順番については、受検資格の面から見ると答えが出やすいです。第一種電気工事士を先に取れば1級電気の受検で年数を問われず、1級電気を取れば監理技術者資格者証と経審の1枠が埋まる。そのうえで2枠目に電気通信なり管工事なりを足す、という順序が制度の流れに沿っています。
個人的には、2つ目を決めるときに会社の経審の技術職員名簿を一度見せてもらうのが早いと思います。どの業種が薄いかは名簿を見れば分かるので、そこを埋める資格が一番評価されます。
1級電気工事施工管理技士のダブルライセンスに関する情報まとめ
- 効く場所は3つ:現場への配置、会社の許可と経審、手当と転職
- 経審の技術職員名簿は1人につき2業種まで。3つ以上資格を持っていても2つまでしか使えない
- 1級電気工事施工管理技士が選べるのは電気工事業の1業種。2枠目が空いたままになる
- 複数業種を選べる資格(例:2級土木施工管理技士は7業種から選択可)なら1つで2枠を埋められる
- 監理技術者講習の受講で1点。1級国家資格者相当・資格者証の交付・直前5年以内の受講が要件
- 実務経験で資格者証を取った人は講習の加点対象外。電気は指定建設業なので実務経験ルート自体がない
- 2枠目の候補は電気通信・管工事・建築の3方向
- 電験と第一種電気工事士は建設業法の枠ではなく、経審の電気工事業の枠は埋まらない
- 第一種電気工事士の免状があると、1級電気の旧受検資格で実務経験年数を問われない
- 電気主任技術者の免状での区分は通算6年以上(1級の旧受検資格)
- 資格者証は追加申請で1枚にまとまり、有効期間は新しい交付日から5年
- 交付申請は7,600円(非課税)、変更届出は無料
以上が1級電気工事施工管理技士のダブルライセンスに関する情報のまとめです。
ダブルライセンスを「相性」で語ると、どうしても好みの話になります。制度から見ると論点はもっと単純で、経審の技術職員名簿という2つしかない枠のうち、1級電気工事施工管理技士は1つしか埋められない、というのが出発点です。空いている枠に何を入れるか、そして自分がその資格を取るときに年数の縛りを外せる資格を先に持っているか。この2点で考えると、次に何を取るべきかは会社ごとに答えが出ます。加点の扱いや受検資格は改正で動くので、実際に申し込む前に各機関の最新の案内を確認してください。
1級電気工事施工管理技士のダブルライセンスに関するよくある質問
Q1:資格をたくさん持っていれば、経審の点数はその分だけ上がりますか?
上がりません。中国地方整備局の案内では「「技術職員名簿」の新様式では、技術職員1人当たり2業種までとなりました。」とされ、「1人の技術職員が3つ以上の資格を所持していたとしても、最大で2つまでの資格しか使用することが出来ないことになります。」と示されています。3つ目の資格は名簿の上では使えません。会社としては、1人に資格を集めるより、資格を持つ人数を増やすほうが名簿の上では効くことになります。
Q2:1級電気工事施工管理技士だけだと、経審の枠はどうなりますか?
2つある枠のうち1つが空きます。同じ案内では、1級電気工事施工管理技士は電気工事業の選択が可能な資格として例示されています。1業種しか選べない資格なので、もう1枠は別の業種を選べる資格を足さないと埋まりません。ここが、電気の人にとってダブルライセンスが会社の点数に直結する理由です。
Q3:2枠目におすすめの資格はどれですか?
会社が請けている工事によります。通信配線やネットワークまで請けるなら1級電気通信工事施工管理技士で電気通信工事業、空調・衛生も抱える設備会社なら1級管工事施工管理技士で管工事業が素直な組み合わせです。建築主体の会社なら1級建築施工管理技士という選び方もありますが、この資格は1つで複数業種を選べる側なので、会社がどの業種で点数を欲しがっているかで評価が変わります。決める前に技術職員名簿を見せてもらうのが確実です。
Q4:電験三種を取れば、経審の電気工事業の枠は埋まりますか?
埋まりません。電気主任技術者は電気事業法の側の資格で、事業用電気工作物の保安の監督にあたる立場です。建設業法にもとづく専任技術者や監理技術者の枠とは別の制度になります。両方に価値はありますが、経審の技術職員名簿で電気工事業を選ぶには、施工管理技士など建設業法上の資格が要ります。会社が「経審のために」と言っているなら、それは電験の話ではありません。
Q5:第一種電気工事士があると、1級電気の受検が楽になりますか?
実務経験年数の面では大きく楽になります。建設業振興基金の受検資格では、旧受検資格の区分に第一種電気工事士免状の交付を受けた者が置かれ、この区分では実務経験年数を問われないとされています。電気主任技術者免状の交付を受けた者が通算6年以上とされているのと比べると、扱いがかなり違います。2級でも同様に、第一種電気工事士は実務経験を問われず、第二種電気工事士と電気主任技術者は通算1年以上とされています。
Q6:1級を2つ持つと、監理技術者資格者証は2枚になりますか?
なりません。建設業技術者センターの案内では、資格を追加取得した場合は追加申請を行い、新たな資格者証の交付日から5年間有効とされています。1枚のカードに追加され、有効期間はその交付日から数え直しになります。なお交付の申請には7,600円(非課税)がかかり、変更届出は無料とされています。追加申請を忘れると、載っていない業種では配置予定技術者に立てられないので、合格証明書が届いたら続けて手続きするのが安全です。
Q7:監理技術者講習を受けていれば、経審で加点されますか?
修了証を持っているだけでは加点されません。中国地方整備局の案内では、加点の要件として1級国家資格者相当であること、監理技術者資格者証の交付を受けていること、講習を当期事業年度開始日の直前5年以内に受講していることの3つを挙げ、「単に監理技術者講習修了証を所持しているだけでは加点対象とはならず、また実務経験で監理技術者資格者証の交付を受けている方も対象外となります。」としています。3つが揃って初めて1点です。電気工事業は指定建設業で実務経験による資格者証が取れないため、この加点は1級を持っている人だけのものになります。
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