- 床荷重って結局なに?床にかかる重さってこと?
- 固定荷重と積載荷重、どっちがどっちか分からなくなる
- 単位がkg/m²・N/m²・kN/m²でバラバラで混乱する
- 住宅・事務所・倉庫で数値が違う一覧が欲しい
- なんで同じ部屋なのに数値が3つもあるの?
- 結局この床に何kg載せていいのか知りたい
- 重い機器を搬入したいけど床がもつのか不安
- 既存ビルの床荷重ってどこで分かるの?
- 基準を超えそうなときはどうすればいい?
上記の様な悩みを解決します。
床荷重は、構造設計だけの話に見えて、実は現場の施工管理が「重量物を搬入していいか」「ここに機器を据えていいか」を判断するときに直結する数値です。固定荷重と積載荷重の区別、N/m²やkg/m²の単位、用途別の基準値(建築基準法施行令85条)といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「同じ部屋なのに数値が3つある理由」「重量物搬入・コンクリ打設時の荷重」「既存床の調べ方と補強」まで、現場で実際に効くところまで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
床荷重とは?
床荷重とは、結論「床に作用する単位面積あたりの重さ(力)のこと」です。1平米(1m²)あたり何N・何kgの力がかかるかで表します。
建物に作用する荷重はいくつかに分けられますが、その中で「床に乗る重さ」をまとめて床荷重と呼びます。床荷重には、床そのものや仕上げの重さ(固定荷重)と、その上に乗る人や物の重さ(積載荷重)の2つが含まれます。文脈によっては「床の積載荷重」だけを指して床荷重と呼ぶこともあるので、どちらの意味で使われているかは押さえておきたいところです。
床荷重が大事なのは、この値が「床・梁・柱・基礎・地盤」へと下に伝わっていく荷重の出発点だからです。床に乗った重さは、まずスラブ(床版)が受け、小梁・大梁へ流れ、柱を通って基礎・地盤へ降りていきます。床荷重を見誤ると、この流れの全部が狂います。荷重全般の整理はこちらが参考になります。

僕の感覚だと、床荷重は「この床に、1m²あたりどれくらいの重さまで載せて良いかの上限」とイメージしておくと、現場の搬入判断に直結して使いやすいです。
床荷重の単位と換算
床荷重の単位は、結論「現在はN/m²(またはkN/m²)が正式」で、現場では今もkg/m²が併用されています。
昔はkg/m²(重量キログラム毎平米)で表していましたが、SI単位への移行でN/m²(ニュートン毎平米)が正式になりました。ここでつまずく人が多いので、換算を整理しておきます。
| 単位 | 意味 | 換算の目安 |
|---|---|---|
| N/m² | ニュートン毎平米(正式) | 1kgf ≒ 9.8N |
| kN/m² | キロニュートン毎平米(1,000N) | 1kN/m² ≒ 102kg/m² |
| kg/m²(kgf/m²) | 重量キログラム毎平米(旧・現場併用) | 100kg/m² ≒ 0.98kN/m² ≒ 980N/m² |
ざっくり覚えるなら「1kN/m² ≒ 100kg/m²」です。たとえば事務室の床用積載荷重は2,900N/m²=約2.9kN/m²=約296kg/m²。「事務室の床は1m²あたりおよそ300kgまでを見込んでいる」と読み替えられます。
換算で迷うのが「9.8を掛けるのか割るのか」です。kg→Nは「重い方向(数字が大きくなる)」なので9.8を掛ける、N→kgは9.8で割る、と方向で覚えると間違えません。
実務だと、図面はN/m²やkN/m²で書かれているのに、搬入機器のカタログはkg表記、という場面が多いです。だから「1kN/m²≒100kg/m²」の換算は手元に入れておくと、その場で当たりが付けられて便利です。
床荷重の種類|固定荷重と積載荷重
床荷重は、結論「固定荷重(動かない重さ)」と「積載荷重(後から乗る重さ)」の2つに分かれます。ここを取り違えると計算がまるごとズレます。
- 固定荷重(死荷重・DL):床スラブ・仕上げ材・天井・設備など、建物に固定されて動かない部分の重さ。常に同じ向き・同じ大きさでかかる
- 積載荷重(活荷重・LL):人・家具・什器・荷物・機器など、後から置かれ、移動する可能性のある重さ。部屋の使い方で大きく変わる
固定荷重の代表は床スラブ自体の重さです。鉄筋コンクリートのスラブは重く、厚さ150mmでもおよそ3.6kN/m²(約360kg/m²)、200mmなら約4.8kN/m²にもなります。床荷重に占める固定荷重の割合は大きいので、スラブ厚は荷重の前提として効いてきます。スラブの考え方はこちらが参考になります。

一方、積載荷重は「部屋の用途」で値が変わります。住宅は人も物も少ない、事務室はそれより多い、倉庫や百貨店はさらに多い、というイメージです。固定荷重・積載荷重を含む設計荷重全体の整理はこちらが参考になります。

僕の整理では、「固定荷重=建物の体重、積載荷重=持ち物の重さ」と人に例えると一発で区別できます。設計はこの2つを足して、さらに地震・風・雪を組み合わせて安全性を確認しています。
床荷重の用途別の目安一覧
積載荷重は、結論「建築基準法施行令85条で用途ごとに数値が決まっている」ので、目安はこの表で押さえます。代表的な値は次の通りです(床の構造計算用の数値)。
| 室の用途 | 床用(N/m²) | 大梁・柱・基礎用(N/m²) | 地震力用(N/m²) |
|---|---|---|---|
| 住宅の居室・寝室・病室 | 1,800 | 1,300 | 600 |
| 事務室 | 2,900 | 1,800 | 800 |
| 教室 | 2,300 | 2,100 | 1,100 |
| 百貨店・店舗の売場 | 2,900 | 2,400 | 1,300 |
| 劇場・集会場(固定席) | 2,900 | 2,600 | 1,600 |
| 劇場・集会場(その他) | 3,500 | 3,200 | 2,100 |
| 自動車車庫・自動車通路 | 5,400 | 3,900 | 2,000 |
廊下・玄関・階段は、教室〜集会場に連絡する場合は集会場「その他」の数値(3,500N/m²)を使うなど、用途で変わります。屋上広場・バルコニーは原則「住宅の居室」の数値ですが、学校・百貨店では売場の数値を使います。
倉庫業を営む倉庫には特別ルールがあり、実況で計算した値が3,900N/m²未満でも、3,900N/m²として扱わなければなりません。重量物を扱う前提で底上げされているわけです。
数値の出典は建築基準法施行令85条です(最新の条文は e-Gov法令検索で確認してください)。耐荷重の考え方はこちらも参考になります。

僕の考えでは、「住宅1,800・事務所と店舗2,900・車庫5,400・倉庫は3,900下限」の代表値だけでも頭に入れておくと、現場で『この用途にこの使い方は重すぎないか』の一次判断ができて役立ちます。
なぜ同じ部屋なのに数値が3つあるのか
「床用・大梁柱基礎用・地震用」で数値が3つある理由は、結論「対象とする面積が広いほど、平均すると荷重を小さく見積もれるから(面積低減)」です。
同じ事務室でも、床(スラブ)を設計するときは2,900N/m²、大梁・柱・基礎を設計するときは1,800N/m²、地震力を計算するときは800N/m²と、だんだん小さくなります。これは数字のミスではなく、考え方の違いです。
- 床用(一番大きい):狭い1枚のスラブを対象にするので、人や物が集中する最悪を見込む
- 大梁・柱・基礎用(中くらい):複数の床をまとめて支えるので、全部が同時に満載になる確率は低い。平均化して小さくできる
- 地震力用(一番小さい):地震時に建物全体が同時に満員という想定は非現実的なので、さらに小さくできる
支える面積が大きくなるほど「全部が同時に最大荷重」になる確率は下がる、という統計的な考え方(面積低減)に基づいています。柱や基礎では、支える床の数に応じてさらに低減できる規定もあります。
ただし、ピアノ・大型書庫・サーバーラックのように一部に荷重が集中する物を置く場合は、この一覧の数値だけで判断せず、別途その荷重で構造計算が必要です。集中荷重の考え方はこちらが参考になります。

正直なところ、ここは新人が一番つまずく論点です。「3つあるのはミスじゃなく、対象範囲が広いほど薄められるから」と理解しておくと、図面の荷重表を見たときに混乱しなくなります。
床荷重の計算
床荷重の計算は、結論「床用の単位荷重(N/m²)× 床面積(m²)」が基本です。
たとえば事務室の床に作用する積載荷重は、2,900N/m² × その床面積、で求めます。10m²なら 2,900 × 10 = 29,000N(約2.96t)です。これに固定荷重(スラブ・仕上げの重さ)を足したものが、その床全体に作用する荷重になります。
実際の構造計算では、この床荷重をスラブ→小梁→大梁→柱→基礎へと順番に流して、各部材が耐えられるかを確認していきます。床荷重を受け持つ梁の考え方はこちらが参考になります。

床(スラブ)や梁は、荷重で「たわみ」も生じます。荷重が大きいほどたわみも増えるため、強度だけでなく変形(たわみ)も許容値内に収める必要があります。たわみの考え方はこちらが参考になります。

現場目線で言えば、施工管理が一から構造計算をやり直すことは少ないですが、「単位荷重×面積」という骨格と、固定+積載で考えるという2点さえ分かっていれば、設計者との会話や搬入判断の前提として十分です。
現場で床荷重を意識する場面
設計だけでなく、施工管理が床荷重を意識すべき場面は、結論「重量物の搬入・据付」「コンクリート打設」「揚重・仮設」の3つです。
- 重量物の搬入・据付:サーバー・大型什器・厨房機器・金庫などを置くとき、その床の積載荷重を超えないか確認する。脚が4点なら一点に荷重が集中するので、敷板・架台で荷重を分散させるのが基本
- コンクリート打設・支保工:打設中の生コンは固定荷重として相当の重さになり、さらに作業員・ポンプ車・支保工の荷重も加わる。打設時の床(デッキ・型枠)や下階のスラブ・支保工が、施工時荷重に耐えるかを確認する
- 揚重・仮設・資材仮置き:資材を床にまとめて仮置きすると、局所的に積載荷重を超えることがある。重い資材は梁の真上や柱際に分散して置く
特に注意したいのが「一点集中」です。基準法の用途別荷重は床全体に平均的に乗る前提なので、重い機器を狭い面積に置くと、数値上は足りていても局所で超えることがあります。敷板で接地面積を広げて、面で受けるようにするのが現場のセオリーです。
実務だと、改修・テナント工事で「既存の床に新しい機器を据えていいか」を判断する場面が一番多いです。ここは設計任せにせず、現場としても荷重の当たりを付けておくと、搬入後のトラブルを防げます。
床荷重の基準を超えそうなときの対応
「この床、もちそうにないかも」と思ったときの対応は、結論「①既存の床荷重を確認→②荷重を分散・分割→③それでもダメなら構造補強」の順です。
まず既存建物の床荷重を確認します。設計図書(構造図・構造計算書)、確認申請の副本、検査済証に紐づく書類で、その部屋の設計用積載荷重が分かります。図面が残っていない古い建物では、構造設計者・建築士に依頼して耐荷重を調査・判定してもらう必要があります。
次に、荷重そのものを工夫します。
- 敷板・架台で接地面積を広げ、一点集中を面荷重に変える
- 重量物を分割搬入・分散配置し、1スパンに集中させない
- 設置位置を梁・柱の近くに寄せる(スパン中央より端部の方が有利)
それでも設計値を超える場合は、梁・スラブの構造補強(鉄骨補強・増し打ち・炭素繊維補強など)を構造設計者と検討します。補強は確認申請が絡むこともあるので、勝手に判断せず、必ず設計・確認側と連携します。構造強度の全体像はこちらが参考になります。

僕の考えでは、現場でできるのは「調べる・分散する・相談する」までで、補強の可否判断は構造設計者の領域です。ここを曖昧にして見切り発車すると、床の損傷や最悪は崩落につながるので、超えそうな気配の段階で早めにエスカレーションするのが正解です。
床荷重に関する情報まとめ
- 床荷重とは:床に作用する単位面積あたりの重さ(力)。1m²あたり何N・何kgで表す
- 単位:正式はN/m²・kN/m²、現場ではkg/m²も併用。1kN/m²≒100kg/m²、kg→Nは9.8倍
- 種類:固定荷重(動かない重さ=スラブ・仕上げ)と積載荷重(後から乗る人・物)の2つ
- 用途別目安:住宅1,800・事務所/店舗2,900・車庫5,400N/m²(床用)。倉庫は3,900N/m²下限(令85条)
- 数値が3つある理由:床用>梁柱基礎用>地震用。対象面積が広いほど低減できる(面積低減)
- 計算:単位荷重×床面積が基本。スラブ→梁→柱→基礎へ流し、たわみも確認
- 現場で効く場面:重量物の搬入据付・コンクリ打設・揚重仮置き。一点集中は敷板で分散
- 超えそうなとき:既存荷重を図面/検査済証で確認→分散→構造設計者と補強検討
以上が床荷重に関する情報のまとめです。
床荷重は、固定荷重と積載荷重の区別、用途別の数値、面積低減の考え方を押さえれば、図面の荷重表が読めるようになります。さらに施工管理としては、「重い物を据えるとき・打設のとき・資材を仮置きするとき」に床荷重を意識して、一点集中を避け、超えそうなら早めに設計へ相談する、この動きができると現場の事故を未然に防げます。荷重・設計荷重・スラブ・梁といった周辺知識と合わせて理解しておくのがおすすめです。
床荷重に関するよくある質問
Q1:床荷重と積載荷重は同じ意味ですか?
厳密には違います。床荷重は「床に作用する重さ全体」で、固定荷重(床・仕上げの重さ)と積載荷重(後から乗る人や物の重さ)の両方を含みます。ただし実務では「床の積載荷重」だけを指して床荷重と呼ぶこともあるため、どちらの意味で使われているかは文脈で確認しましょう。混乱を避けるなら、計算では必ず固定荷重と積載荷重を分けて扱うのが安全です。
Q2:床荷重の単位、kg/m²とN/m²はどう換算しますか?
おおよそ「1kgf ≒ 9.8N」「1kN/m² ≒ 100kg/m²」です。kgからNへは9.8を掛け、NからkgへはNを9.8で割ります。たとえば事務室の床用積載荷重2,900N/m²は、約296kg/m²、つまり1m²あたりおよそ300kgまでを見込んでいる、と読み替えられます。図面はN表記、機器カタログはkg表記が多いので、この換算は手元に入れておくと便利です。
Q3:同じ事務室で数値が2,900・1,800・800と3つあるのはなぜですか?
対象とする面積が広いほど、荷重を平均化して小さく見積もれるからです(面積低減)。床(狭い1枚のスラブ)を設計するときは集中する最悪を見込んで2,900N/m²、複数の床をまとめて支える大梁・柱・基礎では全部が同時に満載になる確率が低いので1,800N/m²、建物全体が揺れる地震時はさらに非現実的なので800N/m²、と段階的に小さくなります。ミスではなく、対象範囲の違いです。
Q4:この床に何kgまで載せていいか、どう判断すればいいですか?
その室の「床用」積載荷重(事務室なら2,900N/m²≒約300kg/m²)が、1m²あたりの平均的な上限の目安です。ただしこれは床全体に平均して乗る前提なので、重い物を狭い面積に集中させると局所的に超えることがあります。重量物は接地面積(kg÷敷板面積)で確認し、敷板や架台で面荷重に分散させてください。サーバーや金庫など特に重い物は、別途構造計算で確認するのが原則です。
Q5:既存ビルの床荷重はどこで確認できますか?
設計図書(構造図・構造計算書)、確認申請の副本、検査済証に関連する書類で、その部屋の設計用積載荷重が分かります。これらが残っていない古い建物では、構造設計者や一級建築士に依頼して耐荷重を調査・判定してもらう必要があります。テナント工事や改修で重量物を据える場合は、まずこの確認から入るのが鉄則です。
Q6:床荷重が基準を超えそうなときはどうすればいいですか?
順番として、まず既存の設計荷重を図面・検査済証で確認し、次に敷板・架台で荷重を分散したり、重量物を分割・分散配置して一点集中を避けます。設置位置をスパン中央より梁・柱の近くに寄せるのも有効です。それでも超える場合は、梁・スラブの構造補強を構造設計者と検討します。補強は確認申請が絡むこともあるので、現場判断で進めず、必ず設計・確認側と連携してください。
Q7:コンクリート打設のときの床荷重はどう考えますか?
打設中は、生コンクリート自体の重さ(固定荷重相当)に加えて、作業員・ポンプ・バイブレーター・型枠・支保工などの施工時荷重が一時的に加わります。これらに耐えられるよう、型枠・支保工の設計と、下階スラブ・支保工の荷重確認が必要です。施工時の荷重は完成後の使用荷重とは別物として扱い、支保工計画の段階できちんと見込んでおくことが、打設時の事故防止につながります。
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