C種接地工事は低圧の中で比較的高電圧の機器を接地するのに使用されます。
「低圧」と聞くと低めの電圧を想像する方も多いかもしれませんが、400Vともなるとそれなりに大きな電気になります。安全には注意して考えなければなりません。
本記事では新卒で東証一部上場企業に施工管理として就職し、1級電気工事施工管理技士の国家資格を取得した私がC種接地工事について徹底解説します。
この記事で分かることは下記です。
- C種接地工事とはなにか?
- C種接地工事とD種接地工事の違い
- C種接地工事の目的、用途、接地抵抗値、接地線の太さ
C種接地工事とは?目的や用途について解説
C種接地工事とは、結論「300Vを超える低圧機器を接地する為の接地方法」です。
そもそも低圧とは、交流においては600V以下であり直流においては750V以下と定義されています。屋内で使うような電圧は交流ですので「低圧=600V以下」という認識で大きくは違わないでしょう。
さて、電気機器は安全に使用されなければなりませんので、接地を取る必要があります。
接地を取る負荷の大きさによって区分が決められており、C種接地工事は300Vを超える低圧機器の接地に使用されます。
具体的に300Vを超える機器としては下記の様なものが挙げられます。
- コンプレッサー
- 電動機(モーター)
- ファン
- 産業用換気扇
- インバーター
C種接地工事では、上記の様な機器だけでなく、金属製のボックスや架台・金属管なども合わせて接地を取らなければなりません。
基本的にC種接地工事を施すとなると使用する負荷は400Vとなる訳ですが、ボックスや配管も接地を取らなければ漏電した際に400Vが流れてしまいますよね。
ノンボンドの配管やボックスを使い慣れている人などは施工忘れがない様に注意が必要です。
C種接地工事とD種接地工事の違い
C種接地工事とD種接地工事の違いは、結論「接地を取る負荷が300Vを超えているか否か」です。
接地方法にはA種からD種までありますが、低圧機器の接地にはC種接地工事とD種接地工事が使われます。C種とD種の境目が300Vです。
300V以下ならD種接地工事を施し、300Vを超えるものでしたらC種接地工事を施します。
より具体的に考えます。iPhoneの充電に使われるコンセントや電球なんかは100Vですので、D種接地工事です。200VコンセントもD種ですし、その他ほとんどの低圧機器は100Vか200VですのでD種です。
対して、たまに300Vを超える低圧機器が使われます。
例えば、プラントなんかで使われる産業用の換気扇が良い例です。低圧機器ではあるが、200V300Vで収まらなり400Vの機器を接地するのがC種接地工事です。
よってC種接地工事を施す回数(母数)自体はそこまで多くはありません。
現場ではD種接地工事を施す回数の方が多いです。
C種接地工事の抵抗値
C種接地工事の抵抗値は「10Ω以下」と電技解釈第17条3項に記載されています。
加えて「低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω以下であること」とも定められています。
まず「10Ω以下」といった部分ですが、D種接地工事が「100Ω以下」であることと比較すると、厳しい基準が設けられていることが分かります。※実際接地極の打設をしてみると分かりますが、10Ω以下って結構厳しいです(汗)
これは300Vを超える低圧機器はそれだけ危険であるとの裏返しです。
適切な接地抵抗値が取れない場合は対応が必要になります。
また、500Ω以下でも良い緩和条件もありますね。要するにブレーカーの性能が良ければ10Ω以下じゃなくてもいいよ!ということです。
漏電遮断機が0.5秒以内に動作するのか?のチェックも必要ですね。
C種接地工事に使用する接地線の太さ
C種接地工事に使用する接地線の太さは「引張強さ0.39kN以上の金属線か直径1.6mm以上の軟銅線」です。これに関してはそこまで難しい条件ではありませんね。
現場に接地線が無い場合は発注が必要ですが、1.6mmならどの現場でもあると思いますよ。
材料がごちゃついてる場合は要確認です。
C種接地工事に関する情報まとめ
C種接地工事に関する情報まとめ
- C種接地工事とは:300Vを超える低圧機器を接地する為の接地方法
- D種接地工事との違い:接地を取る負荷が300Vを超えているか否か
- 接地抵抗値:10Ω以下
- 接地線の太さ:引張強さ0.39kN以上の金属線か直径1.6mm以上の軟銅線
以上がC種接地工事に関する情報のまとめです。
C種接地工事とよく比較されるのはD種接地工事であり、低圧機器ならD種接地工事の方がよく使いますので合わせて知識として抑えておきましょう。
また、そもそも「接地とはなにか?」といった部分についても理解が不十分な技術者がいたりします。
これを機に再度学び直しましょう。それでは。