- D種接地って結局どこに付けるやつ?C種と何が違うの?
- 抵抗値は100Ω以下でいいんだよね?500Ωって話も見たけど
- 埋設深さ0.75mってD種でも要るの?
- 接地線の太さは何mmから?根拠の条文はどこに書いてある?
- 漏電遮断器が付いてれば接地は省略していいの?
- 測った抵抗値が季節で変わるって本当?
- 200Vの機器はC種?D種?どっちで拾うの?
- そもそも接地工事って自分でやっていいの?
上記の様な悩みを解決します。
D種接地工事は、300V以下の低圧機器の金属製外箱などに施す接地で、現場でいちばん頻繁に出てくる区分です。ところが調べていると、埋設深さ0.75m以上・接地線は直径2.6mm以上といった数字が一緒に並んでいることがあり、これはD種ではなくA種の規定(電気設備の技術基準の解釈 第17条第1項)なんですよね。D種は同じ第17条でも第4項で、接地線の太さは第3項第二号を準用するという別の場所を見に行く形になっています。今回は定義・C種との境目・100Ω(500Ω)の抵抗値・接地線・接地抵抗の測定といった基本を押さえた上で、解説記事の多くがA種の条文を混ぜてしまっている「どこからどこまでがD種の条文なのか」の切り分けと、有資格者に手配したあと施工管理として立会い・記録確認で何を見るのかまで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、電気は電気屋さんに任せきりで来た方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
D種接地工事とは?

D種接地工事とは、結論「使用電圧300V以下の低圧用の機械器具の金属製外箱などに施す接地工事のこと」です。
ここでいちばん先に押さえてほしいのが、D種かどうかを決めているのは機器の種類ではなく機器の使用電圧であり、その境目が300Vだという点です。電気設備の技術基準の解釈 第29条が、機械器具の金属製の台や外箱にどの接地工事を施すかを使用電圧の区分で振り分けており、300V以下の低圧用ならD種、300Vを超える低圧用ならC種、高圧用や特別高圧用ならA種、という並びになっています。
つまり「エアコンだからD種」「盤だからD種」ではなく、その機器が何ボルトで使われているかを見て決めるわけです。建物の中で使う機器の多くは100Vか200Vなので、結果としてD種が圧倒的に多くなります。200Vの機器はC種かD種かで迷う声をよく聞きますが、200Vは300V以下なのでD種側です。
そもそも接地とは、電気機器の金属部分と大地を電気的につないでおくことを指します。機器の内部で絶縁が壊れて外箱に電気が漏れたときに、電気が人ではなく大地側へ流れる道をあらかじめ作っておくのが接地の役目です。
接地の目的は、大きく3つに分けて理解しておくと現場で説明しやすくなります。
1つ目が感電の防止です。漏電した外箱に人が触れたとき、接地線という抵抗の低い道があれば電流はそちらへ逃げ、人体に流れる電流が小さくなります。あわせて、漏電遮断器が動作するのに必要な地絡電流を流す道にもなるので、遮断器とセットで初めて保護が成立すると考えたほうが正確です。
2つ目が火災の防止です。漏れた電流が金属部を伝って流れると、接触抵抗の大きい箇所で局部的に発熱したりスパークしたりします。接地で電流の帰り道を決めておけば、こうした異常発熱を防ぎやすくなります。
3つ目が機器の保護と安定した動作です。誘導障害や静電気の逃げ道を作ることで、制御機器や通信機器の誤動作を減らす狙いもあります。
具体的にD種接地工事が施される対象は、次のようなものです。
D種接地工事が施される電気機器の具体例
- 電気温水器
- エアコンの室内機・室外機
- 溶接機
- 自動販売機
- 三相200Vの電動機(ポンプ・送風機など)
- 分電盤・制御盤の金属製キャビネット
対象は機器の外箱だけではありません。電技解釈では金属管工事の規定(第159条)でも、使用電圧が300V以下の場合は管および附属品にD種接地工事を施すことが求められています。ただしこの規定にはただし書があり、管の長さが4m以下のものを乾燥した場所に施設する場合や、対地電圧150V以下で管の長さが8m以下のものを乾燥した場所に施設する場合などは省略できるとされています。
なお、ケーブルラックのような部材は第159条が直接名指ししているものではなく、電線を収める防護装置の金属製部分の接地を定めた規定や、内線規程の要求として出てきます。いずれにせよ機器の外箱だけでなく、電路側の金属部分もD種の対象になり得ると押さえておくと拾い漏れが減ります。どの規定を根拠にしているかは、設計図書と特記仕様書で確認しておくのが確実です。
接地そのものの成り立ちはこちらで整理しています。

現場目線で言えば、D種は「いちばん出番が多いぶん、いちばん雑に扱われやすい接地」です。台数が多いので流れ作業になりやすく、後述する測定と記録のところで差が出ます。
D種接地工事の接地抵抗値は100Ω以下

D種接地工事の接地抵抗値は、結論「100Ω以下」です。
根拠は電気設備の技術基準の解釈 第17条第4項第一号で、ここに接地抵抗値と、緩和される場合の条件がまとめて書かれています。A種とC種が10Ω以下であることを考えると、D種の100Ωはかなり緩い数字です。扱う電圧が低く、地絡時に生じる危険の大きさが違うので、要求される厳しさも変わってくる、と理解しておくと納得しやすいと思います。
そして、よく話題になるのが500Ωのほうです。条文では、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは500Ω以下でよい、と定められています。この「自動的に遮断する装置」が、実務上は漏電遮断器にあたります。
D種の抵抗値で押さえる3つの数値
- 100Ω以下……原則の上限値
- 500Ω以下……緩和されたときの上限値
- 0.5秒以内……緩和の条件になる自動遮断の動作時間
ここで気をつけたいのが、「遮断器が付いてさえいれば無条件に500Ωでよい」という読み方をしないことです。条文が求めているのは、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に電路を自動的に遮断する装置が施設されていること、という条件付きの話です。遮断器の有無だけでなく、その回路がその条件を満たしているかまで含めて判断する必要があります。
もうひとつ、混同されやすいので先に線を引いておきます。500Ωへの緩和は、あくまで接地を施すことを前提にした上限値の話であって、接地そのものを省略してよいという話ではありません。接地を省略できる条件は、第17条ではなくまったく別の条文である第29条第2項に書かれています。この2つを混ぜてしまうと「漏電遮断器が付いているからアースは要らない」という危険な結論に飛んでしまうので、後の章でもう一度取り上げます。
なお第17条には、D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が100Ω以下である場合は、D種接地工事を施したものとみなす、というみなし規定(第6項)もあります。建物の構造体などが十分に低い抵抗値を持っている場合の扱いを定めたもので、これも100Ωという数字が基準になっています。
地絡がどういう現象なのかはこちらが詳しいです。

僕の整理では、D種の抵抗値は「100Ωが原則、500Ωは条件付きの例外、省略は別条文」の3段で覚えるのがいちばん事故が少ないです。数字だけ暗記すると、必ず500Ωと省略が混ざります。
接地工事4種類のうち、D種はどこに当たるのか
接地工事はA種からD種までの4種類があり、どれを施すかは対象と使用電圧で決まります。ここが整理できていないと「自分の現場はどれを使うのか」で毎回止まってしまうので、早見表にしておきます。
| 種別 | 主な対象 | 接地抵抗値 | 根拠となる項 |
|---|---|---|---|
| A種 | 高圧用・特別高圧用の機械器具の金属製外箱など | 10Ω以下 | 第17条第1項/第29条(避雷器は第37条) |
| B種 | 高圧・特別高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側中性点など | 計算で決まる(固定値ではない) | 第17条第2項/第24条 |
| C種 | 使用電圧300Vを超える低圧用の機械器具の金属製外箱など | 10Ω以下(0.5秒以内に自動遮断する装置を施設するときは500Ω以下) | 第17条第3項/第29条 |
| D種 | 使用電圧300V以下の低圧用の機械器具の金属製外箱など | 100Ω以下(0.5秒以内に自動遮断する装置を施設するときは500Ω以下) | 第17条第4項/第29条 |
この表で真っ先に確認してほしいのが、C種とD種の境目が使用電圧300Vだという点です。400V級の動力回路の機器ならC種、100Vや200Vの機器ならD種。同じ「低圧用の機器の外箱」という同じ対象を、300Vという1本の線で切り分けているだけなので、迷ったら図面の使用電圧を見に行けば決まります。
そしてB種だけは、そもそも目的が違います。A種・C種・D種が機器の外箱を接地して感電と火災を防ぐものであるのに対し、B種は高圧と低圧が混触したときに低圧側の電位が異常に上がるのを抑えるために、変圧器の低圧側の中性点などに施すものです。対象が機器の外箱ではないので、抵抗値も一律の固定値ではなく、一線地絡電流と遮断時間の条件から計算で決まります。表の中でB種の欄だけ数字が入っていないのは、そういう理由です。
C種側の条件と対象は、こちらにまとめています。

「自分の現場は一般用なのか自家用なのか分からない」という迷いもよく聞きますが、D種に関して言えばそこは判断の分かれ目になりません。低圧受電の一般用電気工作物でも、高圧受電の自家用電気工作物でも、300V以下の機器の外箱ならD種です。A種とB種が出てくるのは高圧を扱う設備、つまりキュービクルがある建物に限られます。
個人的には、4種類を横並びで暗記するより「外箱を守る3種(A・C・D)と、混触から低圧側を守るB種」という2グループに割ってから、A・C・Dを電圧で並べ直すほうが定着しやすいと感じます。
D種接地工事の根拠になる法令(第17条第4項と第29条)

D種接地工事の根拠は、結論「電気設備の技術基準の解釈 第17条第4項と第29条」の2本立てです。
役割がはっきり分かれていて、第29条が「そもそも接地を施す義務」と「使用電圧によるA種・C種・D種の振り分け」を決め、第17条第4項が「D種の中身、つまり接地抵抗値と接地線」を決めています。片方だけを見ても答えが出ないので、2本セットで覚えるのが正解です。
そして、ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。解説記事でよく見かける「接地極は地下0.75m以上に埋設」「接地線は直径2.6mm以上の軟銅線」という数値は、A種接地工事(第17条第1項)の規定であって、D種の要求ではありません。同じ第17条の中に並んでいるので、条文を上から読んでいくとD種の話として読めてしまうのですが、項が違います。
実際に見てみましょう。以下はA種接地工事について定めた第17条第1項で、混同のもとになっている数値はすべてこの中にあります。
一 接地抵抗値は、10Ω以下であること。
二 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ ハに規定する場合を除き、引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線であること。
ハ 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において可とう性を必要とする部分は、3種クロロプレンキャブタイヤケーブル、3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル、4種クロロプレンキャブタイヤケーブル若しくは4種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルの1心又は多心キャブタイヤケーブルの遮へいその他の金属体であって、断面積が8mm2以上のものであること。
三 接地極及び接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合は、前号ハの場合、及び発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所において、接地極を第19条第2項第一号の規定に準じて施設する場合を除き、次により施設すること。
イ 接地極は、地下75cm以上の深さに埋設すること。
ロ 接地極を鉄柱その他の金属体に近接して施設する場合は、次のいずれかによること
(イ) 接地極を鉄柱その他の金属体の底面から30cm以上の深さに埋設すること。
(ロ) 接地極を地中でその金属体から1m以上離して埋設すること。
ハ 接地線には、絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)又は通信用ケーブル以外のケーブルを使用すること。ただし、接地線を鉄柱その他の金属体に沿って施設する場合以外の場合には、接地線の地表上60cmを超える部分については、この限りでない。
ニ 接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。
四 接地線は、避雷針用地線を施設してある支持物に施設しないこと。
繰り返しになりますが、いま引用した10Ω以下・直径2.6mm以上・地下75cm以上・金属体から1m以上といった数値は、すべてA種接地工事の規定です。D種の記事や参考書でこれらの数字が並んでいたら、それは項をまたいで引いてしまっている可能性が高いと思ってください。
では、D種本体はどう書かれているか。同じ第17条の第4項です。
4 D種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、100Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
二 接地線は、第3項第二号の規定に準じること。
5 C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下である場合は、C種接地工事を施したものとみなす。
6 D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が100Ω以下である場合は、D種接地工事を施したものとみなす。
たった2号しかありません。抵抗値と接地線だけで、埋設深さも離隔距離も出てきません。ここが分かると、D種の条文がどこからどこまでなのかがはっきりします。
条項ごとの役割を1枚に並べると、次のようになります。
| 条項 | 何を定めているか |
|---|---|
| 第17条第1項 | A種接地工事の内容(10Ω以下/直径2.6mm以上の軟銅線等/人が触れるおそれがある場所での埋設方法) |
| 第17条第2項 | B種接地工事の内容 |
| 第17条第3項 | C種接地工事の内容。第二号が接地線の規定 |
| 第17条第4項 | D種接地工事の内容。第一号が接地抵抗値、第二号が接地線(第3項第二号を準用) |
| 第29条 | 機械器具の金属製外箱等に接地を施す義務と、使用電圧によるA種・C種・D種の振り分け。第2項が省略できる条件 |
接地線の種類と選び方はこちらで解説しています。

正直なところ、この混同はうっかりというより条文の構造そのものが招いているものだと思います。A種が最初に来て数値が細かく、D種は最後に2行で終わる。読み手が「前に書いてあった数値が全体に効く」と受け取ってしまうのは自然です。だからこそ、項番号まで一緒に覚えておく価値があります。
D種接地工事の接地線の太さと接地極
D種接地工事の接地線は、結論「直径1.6mm以上の軟銅線が基本」です。
「接地線の太さは何mmから?」と調べても、D種の条文にはその数字が書かれていません。理由は、第4項第二号が「接地線は、第3項第二号の規定に準じること」という書き方をしているからです。第3項はC種の規定なので、D種の接地線を知りたければC種の第二号を見に行く、という二段構えになっています。これが準用という条文の作りで、D種の条文だけを読んでも太さにたどり着けない理由です。
そのC種の第二号が求めているのは、故障の際に流れる電流を安全に通じることができるもので、引張強さ0.39kN以上の腐食しにくい金属線または直径1.6mm以上の軟銅線であること、という内容です。移動して使う機器で可とう性が必要な部分については、キャブタイヤケーブルの心線などを使う別の定めが用意されています。
ここで冒頭の疑問に答えておきます。埋設深さ0.75m以上はA種(第17条第1項第三号)の規定であって、D種には課されていません。もちろん、接地線を人が容易に触れる高さで露出させたままにしない、掘削や車両で傷つく経路を避ける、といった配慮は施工上どのみち必要です。ただしそれは安全上の当たり前の話であって、D種の条文が要求している数値ではない、という区別はつけておきたいところです。
なお、接地に関する規定は電技解釈だけではありません。内線規程にも接地に関する定めがあり、電力会社の供給約款や特記仕様書で内線規程が指定されている現場では、そちらの要求が上乗せされることがあります。図面と仕様書に何が指定されているかは、着手前に確認しておくと後で揉めません。
接地極のほうも見ておきましょう。D種で使われる接地極は、次のようなものが一般的です。
D種接地工事で使われる接地極の例
- 銅板
- 銅棒・銅被覆鋼棒(いわゆる接地棒)
- 継ぎ足して深く打ち込める連結式の接地棒
- 亜鉛めっきを施した鋼管・鋼棒
- 建物の鉄骨や既設の金属体を利用する方法
どれを選ぶかは、敷地の土質と打ち込める深さ、必要な抵抗値、そして掘削できる範囲で決まります。舗装された場所や地下埋設物が多い場所では深く打てないので、銅板を浅く広げる、あるいは打設位置そのものを変えるといった判断になります。
接地極の形状ごとの特徴はこちらが参考になります。

実務だと、接地線の太さより「どこから引いてくるか」で悩むことのほうが多いです。太さは条文と仕様書で決まりますが、経路は現場ごとに違います。盤の位置と接地端子箱の位置を早めに決めておくと、後から測定するときにも楽になります。
D種接地工事の施工方法

「接地工事って自分でやっていいの?」という疑問に先に答えておきます。D種接地工事の施工は電気工事にあたるので、資格のない人はできません。
電気工事士法施行規則 第2条では、接地線を電気工作物に取り付けたり取り外したりする作業や、接地極を地面に埋設する作業が、電気工事士でなければ従事できない作業として挙げられています。低圧受電の一般用電気工作物なら第二種電気工事士以上が必要です。手が空いているから代わりに打っておく、という性質の作業ではありません。
高圧受電の自家用電気工作物では原則として第一種電気工事士ですが、ここには例外があります。600V以下で使用する部分の工事(電線路に係るものを除く)は簡易電気工事にあたり、認定電気工事従事者認定証の交付を受けた人も従事できます(電気工事士法 第3条第4項、同法施行規則 第2条の3)。キュービクルのある建物で低圧機器のD種接地を扱う場面は、その多くがこの簡易電気工事の範囲に入ります。「自家用だから第一種でなければ触れない」と一律に考えると、実際に動ける人員を見誤ることがあるので、施工体制を組むときは認定電気工事従事者の有無まで確認しておきたいところです。
その前提で、施工の流れを見ていきます。
D種接地工事の施工の流れ
- 接地極の打設
- 接地線の引き出し
- 電気機器の設置
- 電気機器と接地線の接続
- 接地抵抗の測定と記録
接地極の打設では、打つ位置の選定が先に来ます。地下埋設物の有無、既設配管やケーブルとの干渉、将来の掘削予定を確認してから打ち込みます。ここを飛ばして既設のケーブルを打ち抜くと、接地工事どころではない事故になります。
接地線の引き出しでは、損傷を受けにくい経路を選び、必要に応じて管や樋で保護します。接地端子箱を設ける場合は、竣工後も測定できる位置に置くのが実務上のポイントです。壁の中に埋め殺してしまうと、次回の測定で必ず困ります。
機器と接地線の接続は、圧着端子やスリーブで確実に行い、塗装面には端子が乗らないようにします。異種金属が直接触れる組み合わせは腐食の起点になるので、材質の相性にも気を配ります。
そして最後が測定です。接地極を打っただけでは工事は完了しません。100Ω以下(緩和の条件を満たす回路なら500Ω以下)であることを測定で確認して、はじめてD種接地工事が成立します。改修工事で「アースは前からある」という状況でも、値が生きているかどうかは測ってみないと分かりません。
ここで注意したいのが、埋設深さ0.75m以上や金属体からの離隔距離を、D種の施工要件として持ち込まないことです。前章のとおり、あれはA種の規定です。深く打つこと自体は抵抗値を下げる手段として有効ですが、それは「A種の条文がそう言っているから」ではなく「そのほうが値が出るから」という理由で選ぶものです。根拠を取り違えると、施主や検査側への説明で辻褄が合わなくなります。
現場目線で言えば、施工管理が施工方法で見るべきは手順そのものより「測定までが1セットになっているか」です。打設と接続で終わりにしている工程表は、後で必ず戻り作業を生みます。
接地抵抗の測定方法と、施工管理が立会いで見るところ
「測定結果を見せられても、それでOKなのか自分で判断できない」「毎回電気屋の手配待ちで止まるのがしんどい」。この2つは、電気が専門ではない施工管理からいちばんよく出てくる声です。ここを整理しておくと、立会いの時間が待ち時間ではなく検査の時間に変わります。
接地抵抗の測定は、結論「接地抵抗計(アーステスタ)を使い、電位降下法=3極法で測るのが基本」です。
3極法は、測定したい接地極Eに加えて、補助接地極のP(電位用)とC(電流用)を一直線に間隔をあけて配置し、E-C間に電流を流したときのE-P間の電位差から抵抗値を求める方法です。補助極を一直線に、かつ十分な間隔をあけて打つのは、測定対象の接地極が作る電位の広がりと補助極のそれが重なると、値が正しく出ないためです。必要な間隔は土質や接地極の大きさで変わるので、現場ごとに測定者が判断します。
一方の2極法は、補助極を打てない場所で使う簡易測定です。コンクリート床や舗装、屋内などでは補助極を地面に打ち込めないので、すでに十分低い接地抵抗を持っている既設の接地極を借りて補助極の代わりにします。この場合、得られる値には借りた側の抵抗も含まれるため、3極法より高め、つまり安全側に出るという性質があります。2極法で100Ωを切っていれば実際はもっと低い、という読み方ができます。
ここからが、施工管理にとっての本題です。前章のとおり、接地の作業は有資格者でなければできません。だからこそ施工管理の仕事は、測ることではなく「手配する・立ち会う・記録を確認する」の3つになります。作業者の目線でも受験者の目線でもなく、記録を受け取って良否を判断する側の目線が必要になるわけです。
立会いのあと、報告書や測定記録で確認したいのは次の項目です。
施工管理が測定記録で確認する項目
- 測定日と、そのときの天候・地面の乾湿
- 測定値と、判定に使った基準値(100Ωなのか500Ωなのか)
- 測定方法(3極法か2極法か)
- どの機器のどの接地極を測ったか(機器と接地種別の対応)
- 測定器の機種と、校正されているかどうか
- 測定者と、その有資格者の氏名
このうち見落とされやすいのが、判定に使った基準値です。500Ωで合格としている記録があったら、その回路に地絡を0.5秒以内に自動遮断する装置が入っているかを必ず確認してください。装置が無いのに500Ω基準で通していれば、その記録は成立していません。ここは条文を知っていれば紙の上で気づけるところで、電気が専門でなくても指摘できる数少ないポイントです。
もうひとつ、機器と接地種別の対応も見ておきたい項目です。400V級の機器がD種の100Ω基準で判定されていたら、種別の取り違えです。第29条の振り分けを思い出しながら、機器の使用電圧と接地種別が噛み合っているかを照合します。
僕の考えでは、施工管理が電気の作業を覚える必要はありません。ただし、受け取った紙が条文と噛み合っているかを見る力は要ります。手配待ちの時間を「自分は何もできない時間」にするか「記録を先読みして準備する時間」にするかは、この知識があるかどうかで変わります。
接地抵抗値が100Ωまで下がらないときの対処
「何本打ち込めば規定の抵抗値が出るのか分からない」。これは接地工事でいちばん段取りを狂わせる問題です。
結論から言うと、必要な本数は事前に確定できません。接地抵抗は接地極の周囲の土壌抵抗率でほぼ決まりますが、土壌抵抗率は地質と含水率によって桁が変わります。同じ敷地の中でも、盛土の場所と切土の場所、砂利層と粘土層では出てくる値がまるで違います。だから机上で本数を決め打ちせず、打ちながら測って追い込む形になります。
値が下がらないときの対処には、次のような手があります。
接地抵抗値が下がらないときの主な対処
- 接地極を増打ちして並列に接続する
- 連結式の接地棒で、より深い層まで打ち込む
- 離れた場所の接地極どうしを接地線でつなぐ(連接接地)
- 接地抵抗低減材を併用する
- 土壌抵抗率の低い場所へ打設位置を見直す
増打ちで気をつけたいのが、極どうしの間隔です。近い位置に何本も打つと、それぞれの接地極が作る電流の広がりが重なり合って、本数を増やしたほどには抵抗値が下がりません。間隔をあけて配置するのはこのためで、狭い敷地で本数だけ増やしても効きが鈍るのはこの現象によるものです。
深く打つのが有効なのは、地表付近より深い層のほうが含水率が安定していて、土壌抵抗率が低いことが多いからです。同時に、季節による値のブレも小さくなります。浅く広く打つより深く打つほうが安定する、というのは覚えておいて損がありません。
接地抵抗低減材は、接地極の周囲の土壌抵抗率を下げる材料です。ただし種類によって性質も持続性も違い、周囲の環境への影響を考慮する必要があるものもあります。採用するときは製品の仕様と適用条件を確認したうえで、設計者と合意しておくのが安全です。
そして、ここが施工管理の出番です。材料の手配は施工管理の仕事なので、接地極は余裕を持った本数をあらかじめ用意しておくべきです。足りずに翌日待ちになると、後続の機器据付から試運転まで工程が一列に遅れます。数本の材料費より、止まった一日のほうがはるかに高くつきます。土質が読めない現場ほど、多めに手配しておくのが結果的に安上がりです。
自分としては、接地抵抗は「設計で決めきれない数少ない項目」だと捉えています。決めきれない以上、段取りで吸収するしかありません。
D種接地工事を省略してよいのはどんなときか
「漏電遮断器が付いてれば接地は省略していいの?」という疑問に、条文で答えます。
D種接地工事を省略できる条件は、結論「電気設備の技術基準の解釈 第29条第2項に列挙されている」です。
まず、前に張った伏線を回収します。500Ωへの緩和(第17条第4項)と、接地の省略(第29条第2項)は、別の条文の別の話です。緩和は「接地はする。ただし上限値が緩む」という話で、省略は「そもそも接地を施さないでよい」という話です。条番号が違うだけでなく、意味するところがまったく違います。ここを混ぜると、緩和の条件を満たしているだけの回路で「アースは不要」と判断してしまいます。
第29条第2項が挙げている代表的な条件は次のとおりです。
接地工事を省略できる主な条件(第29条第2項)
- 交流の対地電圧150V以下、または直流の使用電圧300V以下の機器を、乾燥した場所に施設する場合
- 低圧用の機器を、乾燥した木製の床など絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合
- 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機器を施設する場合
- 電源側に絶縁変圧器(2次側の線間電圧300V以下・容量3kVA以下)を施設し、その負荷側の電路を接地しない場合
- 水気のある場所以外に施設する低圧用の機器で、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型)を施設する場合
- 金属製外箱等の周囲に適当な絶縁台を設ける場合
注目してほしいのが、漏電遮断器による省略の条件です。水気のある場所以外であること、定格感度電流が15mA以下であること、動作時間が0.1秒以下の電流動作型であること。この3つが揃って初めて省略できます。
一般的な分電盤に付いている漏電遮断器は、定格感度電流30mAのものが多く使われています。30mAでは15mA以下という条件を満たしません。つまり「漏電遮断器が付いているから接地は省略できる」という一般化は成り立たないわけです。さらに水気のある場所は最初から除かれているので、屋外や水回りの機器にはこの条件自体が使えません。
もうひとつ、二重絶縁構造の機器も現場でよく出てきます。電動工具の一部がこれにあたり、機器そのものが二重の絶縁で保護されているため接地を要しない、という考え方です。これも「電気用品安全法の適用を受ける」ことが条件になっているので、表示を確認せずに二重絶縁だと決めつけないほうが安全です。
そのうえで大事なのが、省略してよいかどうかを現場で独断で決めないことです。省略の可否は設計・監理の判断であり、施工管理が図面を見ながらその場で決める性質のものではありません。設計図書や特記仕様書に従い、疑義があれば設計者や電気主任技術者に確認を取る。条文を知っている目的は、自分で判断するためではなく、疑問を正しい相手に投げられるようにするためだと考えています。
僕の感覚だと、この章の内容を押さえているかどうかで、電気の打合せでの立ち位置がはっきり変わります。「これって省略できるんでしたっけ」と聞ける人と、聞かずに流す人の差は、あとで是正指示の量になって返ってきます。
D種接地工事の際の注意点

D種接地工事の注意点は、結論「季節で抵抗値が変わることを見込んで、余裕をもった値で仕上げること」です。
接地抵抗は土壌の含水率で変わります。土に水分が多ければ電気が流れやすく抵抗値は下がり、乾いていれば上がります。梅雨明けの湿った時期に測った値と、真冬の乾いた時期や地表が凍結する地域での値は、同じ接地極でも違ってきます。どれくらい変わるかは地質と地域で差が大きいので、幅を数字で断定はできません。ただ「変わる」という前提だけは持っておく必要があります。
そこで出てくるのがマージンの話です。99Ωは条文上たしかにD種の規定をクリアしています。ただ、その記録が乾いた季節にも成立しているかは別問題です。検査を通す値と、年間を通じて成り立つ値は違う、という感覚を持っておくと、引き渡し後のトラブルが減ります。ギリギリではなく、季節が変わっても余裕がある値まで接地極を追い込んでおきたいところです。
さらに、接地は施工した瞬間がいちばん良い状態で、そこから経年で悪化していく設備でもあります。竣工時の値が永久に続くわけではありません。
接地の値が後から悪くなる主な原因
- 土中の接地極や接続部が腐食して抵抗値が上がる
- 端子の緩みや圧着不良で接触抵抗が増える
- 後工事の掘削で接地線が切られる
- 造成や舗装で周囲の土壌の含水条件が変わる
- 接地極の位置が分からなくなり、点検も更新もできなくなる
最後の項目が、意外に効いてきます。対策は単純で、接地極埋設標を設けて位置を残し、竣工図にも記録しておくことです。埋設標が無いと、数年後に抵抗値を測り直したいときや、値が悪化して増打ちしたいときに、どこを掘ればいいのか誰も分かりません。掘削のやり直しは費用も工期も食うので、竣工時の数分の手間で防いでおきたいところです。
異種金属の接触腐食も、頭の片隅に置いておきたい項目です。接地極と接地線、接地線と端子で材質が違う組み合わせは、湿った環境で腐食が進みやすくなります。竣工検査で問題なかった接地が数年で値を落とす原因の多くは、この接続部にあります。
個人的には、注意点の本質は「接地は測って終わりの設備ではない」という一点に尽きると思います。値は動くものだという前提で、余裕と記録と位置情報の3つを残しておく。それが引き渡した後の自分を助けます。
同じ設備の仕事でも、新築か改修かで拘束時間はかなり違います。施工管理向けの転職サービスを、状況別に整理した記事があります。

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【PR】その数値、本当にD種の条文ですか
ここまでの数値のうち、どれがD種の条文でどれが違うか、線引きはつきましたか。次の3つが残っているなら、条文の側から押さえ直す価値があります。
- 埋設深さ0.75m以上・接地線は直径2.6mm以上を、D種の条件だと思って覚えていた
- 「500Ωに緩和」と「接地を省略できる」の違いを、人に説明できる自信がない
- 100Ω以下で合格にした記録が、季節が変わっても成立するのか判断できない
D種は電気設備の技術基準の解釈 第17条第4項、接地線は第3項第二号の準用、省略の条件は第29条第2項と、根拠がばらばらの場所にあります。手配して立会い、記録を確認する側にもこの区分は必要です。電気の基礎から学び直すなら、電気系の国家資格の対策講座という選択肢もあります。
D種接地工事に関する情報まとめ

D種接地工事に関する情報まとめ
- D種接地工事とは:使用電圧300V以下の低圧用機械器具の金属製外箱等に施す接地。振り分けの根拠は第29条
- 接地抵抗値:原則100Ω以下。0.5秒以内に自動遮断する装置を施設するときは500Ω以下
- 4種類の違い:C種とD種の境目は使用電圧300V。B種だけは外箱ではなく変圧器の低圧側中性点が対象
- 根拠になる法令:中身は第17条第4項、接地を施す義務と種別の振り分けは第29条
- 接地線と接地極:接地線は第3項第二号を準用して直径1.6mm以上の軟銅線が基本。0.75mはA種の規定
- 施工方法:打設→引き出し→機器の設置→接続→測定。有資格者でなければ従事できない
- 測定と立会い:3極法が基本、補助極が打てなければ2極法。施工管理は手配・立会い・記録確認
- 下がらないときの対処:増打ちと並列接続、深く打つ、連接接地、低減材。必要本数は事前に確定できない
- 省略できる条件:第29条第2項。漏電遮断器の条件は水気のある場所以外・15mA以下・0.1秒以下
- 注意点:季節で変動するのでマージンを取る。腐食と緩みで経年変化する。埋設標を残す
以上がD種接地工事に関する情報のまとめです。
D種接地工事でつまずくのは、覚える数値が多いからではなく、その数値がどの種別の規定なのかが混ざるからです。図面や施工要領書を開いたら、まず「この機器の使用電圧はいくつか」「その値は第17条の第何項で見るものか」の2つを確認する。この順番が身につくと、測定記録を渡されたときにも、条文と噛み合っているかを自分で判断できるようになります。手配して立ち会うだけの時間が、検査の時間に変わるはずです。
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