- アルキメデスの原理ってどんな法則?
- 公式は?
- 計算ってどうやる?
- 建築でどう使う?
- 浮力ってつまり何?
- 地下水位と基礎の関係は?
- 試験で出る計算例は?
上記の様な悩みを解決します。
アルキメデスの原理は中学校の理科で習う「浮力の法則」ですが、建築の世界では地下水位下の基礎・地下構造物・浮き上がりの検討で実務的に使われています。一級建築士・施工管理技士の試験でも出題されますし、地下を持つ建物の設計では必須知識。意味と建築での応用を整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
アルキメデスの原理とは?
アルキメデスの原理とは、結論「液体(または気体)の中にある物体は、その物体が押しのけた液体の重さに等しい浮力を上向きに受ける」という法則です。
紀元前3世紀、古代ギリシャの数学者アルキメデスがシラクサ王ヒエロンから「王冠の純度を調べてほしい」と頼まれて発見したと伝えられる古典的な法則。「ユーレカ!(分かったぞ!)」の逸話で有名な、あれですね。
シンプルなんですが、建築では「地下水位より下にある構造物」を扱うときに必ず登場します。僕としては、この原理は「地下を持つ建物の設計者にとっての必修科目」だと思っていて、知らずに地下構造物を設計すると、浮き上がりで建物が壊れる事故に直結する怖い物理法則だなと感じます。
地盤と地下水位の関係はこちらにも触れています。

アルキメデスの原理の公式
公式は極めてシンプルです。
浮力 F = ρ × g × V
ここで F が浮力(N)、ρ が液体の密度(kg/m³)、g が重力加速度(9.8 m/s²)、V が押しのけた液体の体積(m³)=水中にある物体の体積。
水の密度は標準で1,000 kg/m³、海水で1,025 kg/m³です。コンクリート部材の重量物が水中に沈むときの浮力もこの式で計算します。
物体が水中で完全に静止する条件は、物体の重力=浮力、つまり「物体の密度=液体の密度」のときに釣り合います。物体の方が密度が大きければ沈み、小さければ浮く、というのが直感的なルール。
アルキメデスの原理の計算例
具体例を3つ。
例1:プールに沈んだ鉄球(直径30cm)
体積 V = (4/3) × π × 0.15³ ≒ 0.0141 m³。浮力 F = 1,000 × 9.8 × 0.0141 ≒ 138 N(約14 kgf)。鉄球自身の重量は密度7,850 kg/m³なので約111 kg。重量>浮力なので当然沈みます。
例2:水中に沈んだコンクリートブロック(1m×1m×0.5m)
体積 V = 0.5 m³、浮力 F = 1,000 × 9.8 × 0.5 = 4,900 N(500 kgf)。コンクリートの密度は2,300 kg/m³前後でブロック重量は1,150 kgf。沈みますが、見かけ上の重量(重量−浮力)は650 kgf に減ります。
例3:地下水位下の地下室(10m×10m×3m)
体積 V = 300 m³、浮力 F = 1,000 × 9.8 × 300 = 2,940,000 N(約300トン)。建物自重がこれ以下だと、地下水で「浮き上がる」事故になります。これが建築で一番警戒される計算パターンですね。
建築での応用
建築では主に4箇所でアルキメデスの原理を使います。
- 地下構造物の浮き上がり検討(地下室・ピット・トンネル)
- 浮き基礎(補償基礎、Floating Foundation)
- ボイリング・盤ぶくれの検討
- シールドトンネル・水中構造物・ケーソン基礎
浮き上がり検討では、構造体の重量>浮力でないと浮き上がるので、安全率1.1〜1.2を見て構造設計するのが標準です。浮き基礎(補償基礎)は、軟弱地盤で建物自重を「掘削した土の重さ+押しのけた水の重さ」と釣り合わせる工法で、地盤への純荷重を実質ゼロにできるため、軟弱地盤の中規模ビルで使われることがあります。
ボイリング・盤ぶくれは、掘削時に孔底の下の土層が地下水圧で持ち上げられる現象で、アルキメデスと水圧の合成で計算します。ボイリングそのものはこちらに整理しています。

シールドトンネルや海底トンネル、ケーソン基礎などは「浮力との戦い」で、設計段階で押し上げる水圧(浮力)に対する押さえ重量を計算するのが必須業務です。
アルキメデスの原理に関する注意点
施工管理として押さえたい3点。
注意点①:地下水位は季節・降雨で変動する
設計時点の地下水位だけで判断せず、季節変動・大雨時の上昇を考慮します。ボーリング調査で観測した水位は記録として残しておきましょう。最高水位の想定が甘いと、運用フェーズで浮き上がりトラブルが発生するリスクが残ります。

注意点②:工事中の浮き上がり対策
竣工後は建物全体の重量で浮き上がらなくても、躯体だけ完成して上部の重量が乗っていない工事中は浮力>自重になることがあります。地下水位低下工法(ウェルポイント工法、ディープウェル)で対応するのが定番。揚水ポンプを止めるタイミングと、永久排水設備への切り替えを設計段階から計画します。
注意点③:永久排水設備の組み込み
竣工後の建物で地下水位が予測より上がる事例もあるので、設計段階で「永久排水ピット+ポンプ」や「アンカーパイル」などの永久対策を組み込んでおくと、運用後のトラブルを防げます。排水・揚水まわりの設備はこちらにも。


アルキメデスの原理に関する情報まとめ
- アルキメデスの原理とは:物体は押しのけた液体の重さに等しい浮力を受ける
- 公式:F = ρ × g × V(密度×重力加速度×体積)
- 計算例:地下水位下の地下室で数百トン規模の浮力が発生
- 建築での応用:地下浮き上がり/補償基礎/ボイリング/シールドトンネル
- 注意点:水位の季節変動/工事中の浮き上がり/永久排水設備
以上がアルキメデスの原理に関する情報のまとめです。
「中学校で習った浮力の話」が、地下構造物では数百トン規模の力として現れます。設計時の検討だけでなく、工事中・揚水停止時など時間軸の運用ルールまで含めて押さえておくと、現場でのトラブルを未然に防げます。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。
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