- ボイリングってなに?
- ヒービングとの違いって?
- クイックサンドとボイリングって違うの?
- ボイリングとパイピングの違いって?
- ボイリングの対策方法を知りたい
上記のような悩みを解決します。
土質力学を学んでいたり、現場で基礎工事をやっていたりすると出会う単語だと思います。なんか類似した用語が多すぎて違いがよく分かりませんよね。ですが安心してください。
腰が砕けるくらい、分かりやすく解説していきたいと思います。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
ボイリングとは
ボイリングとは、結論「水圧で掘削した床面が壊れること」です。
詳細な説明を行く前に、簡潔に全体像を解説します。
ボイリング現象が発生する流れ
- 基礎を作るために掘削する
- 掘削すると、土に高低差が生まれる
- 海や川の近くだと土が水を含んでる
- 水にも高低差が生まれる
- 低ければ低いほど水圧は高くなる
- 掘削した部分の水圧は高い
- 掘削した地面から水が吹き出す(これがボイリング現象)
掘削の説明
「そもそも掘削ってなに?」って人もいると思うので解説しておくと、掘削とは超簡単に言えば「穴を掘ること」です。
建物を支えるには基礎が必要です。
歯茎がゆるゆるだったら、速攻で歯は抜けてしまいますよね。建物も一緒で、基礎の部分が雑魚だと建物はすぐに傾いたりしてしまいます。
工事が始まった段階で地面は整備されていないので、掘削つまりは穴を掘って建物の地面を整備していくんです。基礎工事ってやつです。
地下水の存在
要は地面の中に水があるんですよ。というよりも、土が水っぽいというか「水分を含んだ水」といった感じといった方がいいでしょうか。
場所によって量や水位(水の高さ)はまちまちです。ただ海の近くや川の近くの場合、比較的水が上の方にあります。(地表近くに水があるということ)
まずボイリング現象が発生する大前提は、地下水の水位が高いことです。
土留めをすると土に高低差が生まれ、水にも高低差が生まれる
掘削をする際、土留めというのを行います。土を留めると書いて土留めです。穴を掘って、掘った穴が埋まってしまわないように穴の周りを留めておくんです。
土留めをすると、土が高い場所(掘削してない場所)と土が低い場所(掘削した場所)に高低差が発生しますよね。すると土に含まれている水にも高低差が生まれます。
低い場所だと地面が水圧に耐えられずボイリング
深海なんかめちゃくちゃ水圧が高いですよ。潜水艦がゴツく作られているのは、深いところに潜ると水圧が上がり、それに耐えうる力が必要だからです。
話をボイリングに戻すと、低いところでは水圧、つまりは水が地面を押し上げる力が強くなります。地面が押し上げる力に耐えられなくなった時、水が噴き出してしまいます。これがボイリング現象です。
もっと詳細に説明すると、ボイリング現象は水の回り込みも原因です。
土留めをしているところ、つまりは位置が高いところから低いところにかけて水が回り込みます。これによって更に水圧が上がってしまうわけです。
ボイリングとヒービングの違いって?
ボイリングとヒービングの違いは、結論「水が原因か?土が原因か?」です。
ボイリング現象では掘削面から水が噴き出てきますよね。ヒービングの場合、噴き出てくるのは水ではなく土です。詳細に説明しますね。
掘削した床面が壊れるという点に関してはボイリングと同じですね。ただ「なにが床面を壊すのか?」が違うという訳です。
ヒービングは、土が柔らかい(粘土っぽい)場合に発生します。
土留めで土を留めている訳ですが、土が柔らかい場合、位置が高い場所から位置が低い方向へとズルズル落ちてきてしまいます。
その土が掘削した床面に入り込んで、盛り上がってしまうんです。これがヒービングです。
水が原因か、土が原因かがボイリング現象とヒービング現象の違いになります。
ボイリングとクイックサンドの違いって?
結論、ボイリングとクイックサンドは同じものです。
単に言い方の違いがあるというだけでして、内容に違いはありません。堀江貴文さんのことを「ホリエモン」と呼ぶのか「堀江さん」と呼ぶのかの違いです。
そもそもボイリングとは「Boiling」つまり「沸騰する」が語源になっています。
クイックサンドは「quick sand」ですので「すばしっこい土」という意味です。一箇所に留まらずに移動する様子からクイックサンドと名付けられたと考えられます。
ボイリングとパイピングの違いって?
ボイリングとパイピングの違いは、結論「面か?線か?」です。
パイピングの「パイプ」は配管をイメージしていただいて間違いありません。パイプのような形の水の通り道ができた場合、一点から水が噴き出ます。これがパイピングです。
土が敷き詰まった場所には入りずらいですが、土が敷き詰まってない場所の方が入りやすい訳です。要は密度が高い場所には入らず、密度の低い場所に水は入り込みます。
多くの水が密度の低い場所に入り込むと、水ばかりが集まって、土の密度はどんどん下がっていきます。すると配管のような水の通り道ができてしまい、パイピングが発生してしまうんです。
ボイリングでは土を伝って下から潜り込んで、面で噴き出します。対してパイピングの場合は点で飛び出すイメージですね。
原因としては土の密度に差が生じすぎることですので、掘削時には注意が必要になります。
ボイリングの対策方法って?
ボイリングの対策その①薬液注入
読んで字のごとく、液体状の薬を流し込みます。
じゃあどんな薬液を流し込むのかというと、遮水性能を持った薬液を流し込みます。要は水を弾く性能を持った液体という訳です。
地面の直下に水を弾く層ができれば、水が地面から噴き出ることができませんよね。
勿論、薬液を打つにはお金がかかります。とはいえ、ボイリング現象が起こるよりかは9000万倍くらいはマシです。
ボイリングの対策その②地下水処理
薬液注入で水対策を行うのではなく、水自体に処理を施そうという考え方です。地下水処理の方法はいくつかあるので、それぞれ詳細に説明していきますね。
窯場工法
窯場工法とは、結論「窯場を掘って地下水を排水する方法」です。
掘削面から更に1mくらいの穴を掘って窯場を作ります。その窯場に排水する機械を取り付け、土に含まれている水を排水します。
他の方法と比較すると、施工が楽です。ただ欠点としては、小規模な現場でしか使えないところですね。大規模な工事ではあまり使われません。
ウェルポイント工法
ウェルポイント工法とは、結論「ウェルポイントを打ち込んで、地下水を吸い込む方法」です。
『いやいやそもそもウェルポイントってなんだよ』と思いますよね。ウェルポイントとは「集水菅」のことでして、「水を集める管」で集水菅です。
窯場工法とは違って大規模な現場でも使えますし、様々な土の種類に対応できるので、幅広く活用することのできる方法です。
ディープウェル工法
ディープウェル工法とは、結論「ウェルポイントの深いバージョン」です。
ウェルポイント工法では4m〜6mくらいの深さまでしか対応することができません。対して、ディープウェルポイントでは数十メートルまで対応が可能です。
ボイリングに関する情報まとめ
ボイリングに対する情報まとめ
- ボイリングとは:水圧で掘削した床面が壊れること
- ボイリングとヒービングの違い:水が原因か?土が原因か?
- ボイリングとクイックサンドの違い:違いはない
- ボイリングとパイピングの違い:面か?線か?
- ボイリングの対策:薬液注入、地下水処理
以上がボイリングに関する情報のまとめとなります。
微妙な原理の違いによって名称が異なるのでめんどくさいですが、一度覚えてしまえば大丈夫です。忘れた時は何度か読み直して学び直しましょう。