暗渠とは?特徴、施工方法、カルバートの種類など【施工管理が解説】

暗渠とは?

暗渠とは、結論「外から見えない水路のこと」です。

水路が露出している場所もあれば、蓋をして水路を見えないようにしている場所もあります。前者が開渠でして、後者は暗渠と呼ばれるんです。ちなみに、開渠と暗渠を総称して菅渠といいます。

そもそも暗渠の「渠」とは?

と思う方もいるかもしれません。暗渠の「渠」とは、結論「水路」のことです。「暗い水路」ということで、見えない水路が暗渠と呼ばれています。

「暗渠」という言葉は水路が発祥ですが、水路以外にも広い意味で使われます。

例えば、電気工事において人の見えないとことに電線を敷設する際に「暗渠敷設」と言われたりするんです。(僕は電気工事業者なので、暗渠敷設から知りました)

ちなみに、これは職人が勝手に呼んでいる訳ではなく、公式的な言い方です。内線規定などの公的な書類にも「暗渠敷設」って書いてありますからね。

電気工事以外にも広く「暗渠」という言葉は使われており、見えない状態になっていれば、何かと暗渠といいがちです。

ただあんまり現場では「暗渠」という単語は聞きません。

 

暗渠=カルバート

 

暗渠は基本的に「見えなくなっている水路」や「見えなくなっている状態」を指しますが、「暗渠」と呼ばれるコンクリートも存在します。カルバートです。

カルバートは一言で言うと「四角いコンクリート」のことでして、配管や配線を地下に通したりするのに利用されます。歩道や車道としても機能したりします。これも「暗渠」です。

例えば、地下にトンネルを作りたいとしましょう。

どうやって地下にトンネルを作るか想像できますか?

まずは地面を掘ります。そこから歩道や車道を整備していく訳で、歩道や車道を作るならそれなりに強度があるものでなければなりません。

とはいえ、コンクリート打設をする訳にもいきませんし、土を固めたとしても強度が足りなくて崩れてきちゃいそうですよね。

そこでカルバートが登場します。カルバートは四角いコンクリートで中が空洞になっています。地面にカルバートを埋め込むことで人が通り道や車が通る道を確保することができるんです。

全く同じ要領で、配線や配管を通すのに利用されます。

ここまでが暗渠(カルバート)の説明は終了ですが、暗渠の種類多すぎてちょっと意味不明ですよね。軽く一回まとめますか。

暗渠まとめ

  • 暗渠:外から見えない水路
  • 暗渠:外から見えなくなっている状態
  • 暗渠:四角いコンクリートの構造体(カルバート)

これら全て暗渠です。

「暗渠」と一言でいっても、「外から見えない水路」なのか「外から見えない状態のこと」なのか「カバルートのこと」なのかで大分話が変わってきます。

話をしている文脈から判断していく形になりますね。

記事の後半では「暗渠」のうち、カルバートに関する説明をしていきます。

 

暗渠(カルバート)の施工方法

暗渠(カルバート)の施工方法は、工場から持ってきて据え付けるだけです。

プレキャスト工法と言って、完成品を現場に持ってくるだけで工事が終了します。現場で型枠組んで、コンクリート打設してと、面倒な手順を踏む必要性はありません。

全体としては下記のような流れになります。

 

暗渠(カルバート)の施工方法①カルバートのサイズを決める

まずはカバルートのサイズを決めます。

例えば、配管配線を通す為にカルバートを使用したいとしたら、配管配線のボリュームによってカルバートの大きさは変わります。

簡単な話、配管と配線1本ずつ通すだけなのに、クソでかいカルバートを持ってくる必要なんてありません。お金ばかりかかって、赤字工事になってしまいますと。

逆に選定したカルバートが小さすぎると、配管配線が収まらないなんて話になりかねません。

大きすぎず、小さすぎずのカルバートを選定することが重要です。

サイズが選定できたら、メーカーが工場で暗渠(カルバート)を制作してくれます。納期の話も必要になりますので、注意が必要です。

 

暗渠(カルバート)の施工方法②カルバートが入る穴を掘る

現場ではまず、暗渠(カルバート)が入る穴を掘りましょう。

暗渠(カルバート)が来たのに入れる場所が無かったら、どこに置いとくんだって話です。カルバートって割とサイズでかめなので、搬入したらすぐに据え付けなければ困ります。

最悪、持って帰ることになる可能性すらありますよ。

工事が始まっているということは、暗渠(カルバート)の大きさは決まっているということです。ちゃんと暗渠(カルバート)が収まるようなサイズの穴を掘りましょう。

暗渠(カルバート)が搬入されてくるまでに、土工事を終了させなければなりません。

 

暗渠(カルバート)の施工方法③搬入と据付

暗渠(カルバート)が入る穴が掘れたら、搬入して据え付けます。

引越しの時の冷蔵庫みたいな感じで、所定の場所に入らなければ意味がありません。サイズを把握して搬入ルートを確保しましょう。まあ大丈夫だとは思いますが一応。。。

据付ではタワークレーン等を利用して持ち上げ、据え付けます。

誰も暗渠(カルバート)を手で運ぼうとは思わないでしょうが、一応言っておきますが手運びは無理です。多分、マイクタイソンが10人いても無理です。

据え付ける為の機械が現場になければ困りますので、搬入据付の計画をキッチリ練りましょう。

 

暗渠(カルバート)の特徴

暗渠(カルバート)の特徴①施工性良好

暗渠(カルバート)の特徴として施工性の良さが挙げられます。

先ほども説明した通り、暗渠(カルバート)はプレキャスト工法を採用しています。現場で作る必要はなく、工場で作ったものを持ってくて据え付けるだけで施工完了になります。

ぶっちゃけ、楽です。

もし暗渠(カルバート)を現場で作るとなると、型枠を組んでコンクリートを打設しなければなりません。大工やコンクリート業者、左官屋さんが必要になります。

業者に発注するとなると、下記のような仕事が増えます。

業者に発注するとやらなければならない仕事

現場監督の仕事は激務と呼ばれている通り、仕事は無限にあります。残念ながら時間は有限ですので、仕事はなるべく減らしたいところ。

暗渠(カルバート)はプレキャスト工法なので、上記のような仕事を省くことができます。

 

暗渠(カルバート)の特徴②メンテナンスが楽

暗渠(カルバート)の特徴として「メンテナンスが楽」という点が挙げられます。

例えば天井裏の配線や配管をメンテナンスしようと思ったら、点検口から天井裏に入り、キャットウォークやケーブルラックの上を通らなければなりません。

お客様がいたら平日はできないので、土日に出勤することになります。メンテナンスは大変ですし、コストもかかってしまいます。

その点、暗渠(カルバート)ならばメンテナンスは超楽です。

必要なのは仮設照明くらいで、気軽に現場調査もできますしお金もかかりません。

 

暗渠(カルバート)の特徴③強電も弱電も特別高圧も高圧もイケる

暗渠(カルバート)の特徴として、強電も弱電も特別高圧も高圧もイケることが挙げられます。

配線は電気の大きさが大きくなればなるほど太くなります。特別高圧の電気を送電しようと思ったら、野太い大根みたいな電線を使わなければなりません。

現場が大きくなれば、ダクトのサイズも大きくなりますし、配管も太くなります。

大型現場では、上記のような配管配線を通すスペースがなく、大変です。カルバートは大きいので、太くても配線配管を通すことが可能になります。

 

暗渠(カルバート)の種類

暗渠(カルバート)の種類その①ボックスカルバート(ボックス型暗渠)

暗渠(カルバート)の種類一つ目が、ボックスカルバートです。ボックス型暗渠とも言います。

ボックスカルバートとは、一言でいうと「四角いカルバート」です。カルバートと言えば、大体がボックスカルバートであり、四角いコンクリートです。

四角なので、その分確保できるスペースが大きいです。

先にネタバレですが「アーチカルバート」という、天井部分がアーチ型になっているカルバートもあります。(詳しくは下で説明します)

天井部分がアーチ型のものと、四角のものでは面積が違います。

勿論、面積が広ければ広いほど配線配管スペースは大きくなりますから、より多くの配線配管を通すことができます。

 

暗渠(カルバート)の種類その②アーチカルバート(アーチ型暗渠)

暗渠(カルバート)の種類その②は、アーチカルバートです。アーチ型暗渠とも言いますね。

アーチカルバートは、天井部分がアート型になっているカルバートです。高速道路のトンネルなんかはアーチカルバートだったりしますね。

アーチ型のカルバートの強みは、強度です。

全体が四角で構成されているものより、天井部分がアート型にっているので一部分の荷重が軽減されます。カルバート全体で支えているイメージになるので、より強い荷重に耐えられるんです。

床部分は平らになっているので、人も車も通ることができます。