防煙垂れ壁とは?区画の設置基準、高さの規程、種類など

  • 防煙垂れ壁ってなに?
  • 設置基準は?
  • 高さの規定について知りたい
  • 種類はどんなものがあるの?
  • 施工方法は?
  • メーカーって?

上記の様な悩みを解決します。

火災が発生した時、煙による事故を防止するには防煙垂れ壁が必要です。パッと見は必要性が分からないものでも、非常に重要な設備ですので基礎知識について理解しておきましょう。

この記事では防煙垂れ壁とは?といったところから、設置基準、高さの規定、種類、施工方法、メーカーなどについて解説していきます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

 

防煙垂れ壁とは?

防煙垂れ壁とは、結論「火災時、煙が広がらないように垂れてくる壁のこと」です。

火災が発生すると、一酸化炭素などの有毒ガスが発生します。ガスが建物中に広がってしまうと、火災による被害者が増えてしまいます。

そこで防煙垂れ壁があることによって、有毒ガスが建物中に広がるのを防ぐことができます。レリーズなんかと呼ばれたりしますね。

基本に防煙たれ壁は壁に埋まっています。

火災が発生すると感知器から信号が送られてきて、天井から防煙垂れ壁が下がってくる感じです。

建物の安全性を確保する上で必須の設備となります。設置基準はありますが、多くの建物で防煙たれ壁が使用されています。

よく見ると、柱や壁に防煙垂れ壁が埋め込まれていたりしますよ。建物に行った際は柱や梁に着目してみるのも勉強になるかもしれません。

 

防煙垂れ壁区画の設置基準は?

防煙垂れ壁の設置基準は、結論、床面積500平方メートル毎に必要です。

単純計算で5000平方メートルの建物がある場合は、10個の防煙たれ壁が必要になります。もし5階立てだとしたら、50個の防煙垂れ壁が必要です。

注意点としては、防煙垂れ壁の個数ではなく、区画が必要という訳です。

500平方メートルの部屋があったとして、出入り口が4箇所あったとします。すると防煙垂れ壁は4つ必要という訳です。出入り口が3箇所なら3個で十分ですし、6箇所なら6個必要になります。

要は、煙がその部屋の外に出ないようにすればいいんです。

 

防煙垂れ壁の高さ規程は?

防煙垂れ壁は天井面から50cm以上という高さの規定があります。

「完全に遮断する訳じゃないの?」と思う方もいるかもしれません。

結論、完全に遮断する訳ではありません。

火災で発生する有毒ガスである一酸化炭素は空気よりも軽いので、上の方に溜まります。逆に、有毒ガスは足元には溜まりません。

防火区画の目的は、有毒ガスを部屋の外に出さないことです。

部屋の全てを遮断する必要はなく、上の方だけ遮断すれば大丈夫ですよ。

本来の目的を考えるならば、部屋全体を遮断する必要はないことが分かると思います。というより、完全に遮断してしまったら、その部屋にいる人は外に出れませんよね。

建物利用者を安全に守る為の防煙垂れ壁な訳ですから、建物利用者を有毒ガスが充満する部屋に閉じ込めてしまっては意味がありません。

また、天井高さが180cm以上あると防煙垂れ壁を設置しなければならないという決まりがあります。逆に180cm未満の天井高さに関しては、防煙垂れ壁は不要ということです。

ただ、天井高さが180cm未満の部屋なんてなかなかありませんよ。普通に身長180cmの人とかいますから、天井高さが180cm未満なら入れません。

つまりはほとんどの居室には必要ということです。

 

防煙垂れ壁の種類

防煙垂れ壁の種類その①ガラス製

防煙垂れ壁の種類その①はガラス製の防煙垂れ壁です。

これが最も一般的な防煙垂れ壁になります。防煙垂れ壁が出てくるのは非常時のみですから、あまり目にすることは無いかもしれませんが、ガラス製の防煙垂れ壁が多いです。

何故ガラス製なのか?

答えは、透明だからです。

透明ですから、部屋の外からは部屋の内側の様子が見れますし、部屋の内側からは部屋の外の様子をみることができます。

防煙垂れ壁がガラス製だと、有毒ガスがある部屋に入る人もいなくなります。外から見て「あの部屋はヤバイ!」って分かりますからね。

逆に防煙垂れ壁がガラス製ではなく、色のついたものだと、中の様子を見るのに障害になってしまう可能性があります。そんなこんなで防煙垂れ壁にはガラス製のものが一般的になります。

 

防煙垂れ壁の種類その②シート製

防煙垂れ壁の種類その②はシート製の防煙垂れ壁です。

簡単な話、ガラスではなくシートで出来ている防煙垂れ壁になります。あまり多くは見ませんが、なにかとメリットが大きいので、たまに建物で使われることもある感じです。

ガラスは割れて飛散すると、人に怪我をさせてしまいます。

「そもそも防煙垂れ壁のガラスが割れることなんてなくね?」と思う方もいるかもしれません。火災時は異常事態ですから、何が起こるか分かりません。考えうるリスクは最小限にしておくべきです。

ガラス製と比較すると強度は弱いですが、そもそも防煙垂れ壁に強度なんて必要ありません。

防煙垂れ壁は有毒ガスを広げないための物ですので、空気を相手にするのに強度なんてなくてもいいんです。あとは軽いし、施工も楽です。

 

防煙垂れ壁の施工方法

防煙垂れ壁施工の流れ①墨出し

防煙垂れ壁を施工する流れその①は、「墨出し」です。

まずはどこに防煙垂れ壁を施工するのか、目印を付けます。「なんとなくこの辺に」というのは、建設業では通用しません。

特に新築では取り合いでどこに何が設置されるのかが決まっています。本当に数ミリくらい位置ずれるとかならまだ大丈夫ですが、大きくずれると別の機器とバッティングする可能性があります。

収まりに余裕があれば大丈夫かもしれませんが、収まりに余裕のない現場では割と大変です。正確に墨を出す必要があります。

 

防煙垂れ壁施工の流れ②天井に固定する補強材を施工

防煙垂れ壁を施工する流れその②は「天井に固定する補強材を施工する」です。

まず防煙垂れ壁は上から降りてくるものですので、天井裏に閉まって置かなければなりません。天井裏に閉まっておくためには、防煙垂れ壁を天井裏で固定しなければなりませんよね。

地震などで防煙垂れ壁が誤まって落ちてこないよう、補強材が必要になります。

補強材を先に施工してしまいます。

 

防煙垂れ壁施工の流れ③レール取付

防煙垂れ壁を施工する流れその③は「レール取付」です。

防煙垂れ壁がセットされるレールを取り付けます。ここでミスをしてしまうと、天井から防煙垂れ壁が落ちてくるということになりかねませんので、注意が必要です。

 

防煙垂れ壁施工の流れ④レールと補強材を接続する

防煙垂れ壁を施工する流れその④は「レールと補強材を接続する」です。

先ほど接続したレールと補強材を接続することによって、レールの強度を高めることが出来ます。日本は地震大国ですので、きっちりと補強する必要があります。

 

防煙垂れ壁施工の流れ⑤垂れ壁をレールに取付

防煙垂れ壁を施工する流れその⑤は「垂れ壁をレールに取付」です。

必要があればカットや加工をして、適切なサイズにした防煙垂れ壁をレールに取り付けます。先ほど、レールと補強材を接続していますので、防煙垂れ壁自体に強度が伝わります。

超ざっくりですが、防煙垂れ壁を施工する流れはこんな感じです。

 

防煙垂れ壁のメーカーは?

防煙垂れ壁を作ってるメーカー

  • 帝人フロンティア
  • サンワイズ
  • 東洋シャッター
  • 神栄ホームクリエイト
  • 日本板硝子ディー・アンド・ジー・システム
  • コンフォーム内田

上記のように、様々な会社が防煙垂れ壁を作っています。

ちなみに僕が施工した現場では東洋シャッターの防煙垂れ壁が使われていました。

メーカーを選定する上で大切なのは、防煙垂れ壁の値段だったり、質だったり、いかに融通を聞かせてくれるかだったりします。

防煙垂れ壁メーカーの選定基準は会社によって異なりますので一概には言えませんが、全てが完璧なメーカーは無いと思って下さい。

メーカーによって差別化戦略をしていますので、会社によって長所と短所が微妙に異なったりします。なので「何を重視するか?」を考えた上で、メーカー選定に取り組むことをお勧めします。

 

防煙垂れ壁に関する情報まとめ

防煙垂れ壁に関する情報まとめ

  • 防煙垂れ壁とは?:火災時、煙が広がらないように垂れてくる壁のこと
  • 防煙垂れ壁の区画の設置基準:床面積500平方メートル毎に必要
  • 防煙垂れ壁の高さの規定:天井面から50cm以上
  • 防煙垂れ壁の種類:ガラス製、シート製
  • 防煙垂れ壁の施工方法:墨出し→補強材取付→レール取付→防煙垂れ壁取付
  • 防煙垂れ壁のメーカー:東洋シャッター他

以上が防煙垂れ壁に関する情報のまとめとなります。

近年では特に建物に対して求められる安全性能は上がっています。今後も上がる流れかとは思いますが、その流れで防煙垂れ壁の需要も増加すると考えられます。

また、近いものとしては煙感知器があります。こちらも同様に現場にて必須の情報ですので、基礎知識として合わせて抑えておきましょう。

下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。

それでは!