荷重とは?種類・単位・応力との違い・荷重の組み合わせまで解説

  • 荷重って要するに建物にかかる力のこと?
  • 固定・積載・積雪・風・地震…種類が多すぎる
  • 固定荷重と積載荷重の違いがあいまい
  • 積載荷重が「床用>柱用>地震用」で変わるって何?
  • 長期と短期って何で分けてるの?
  • G+P+S みたいな式は何を表してる?
  • 荷重と応力って何が違うの?
  • 単位はN?kN?kgf?どれが正しい?
  • 荷重と重量と質量って何が違う?
  • 施工管理は荷重のどこに関わるの?
  • 打設時の支保工やスラブの資材仮置きも荷重?

上記の様な悩みを解決します。

荷重は、構造図や構造計算書を読むときに必ず出てくる基本概念です。「建物にかかる力でしょ」とざっくり理解していても、固定と積載の違い、長期と短期、G+P+Sのような組み合わせ式になると一気に曖昧になります。今回は荷重の種類・単位・応力との違い・組み合わせといった基本を体系的に押さえた上で、現役の施工管理目線で「打設時の施工時荷重」「スラブの資材仮置き制限」「足場・クレーンの荷重」など、設計者の教科書には出てこない現場の荷重まで整理しました。

なるべく分かりやすい表現でまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

荷重とは?

荷重とは、結論「建物やその部材に作用する力(外力)」のことです。建物の自重や中の人・物の重さ、雪・風・地震など、建物に働くあらゆる力をまとめて荷重・外力と呼びます。

荷重は、最終的に「荷重 → 構造部材(梁・柱・床)→ 基礎 → 地盤」という経路で地盤まで伝わります。構造設計とは、この荷重の流れを想定し、各部材が荷重に耐えられるように断面や配筋を決める作業だと言えます。

建築基準法では、建物に作用する荷重・外力として固定荷重・積載荷重・積雪荷重・風圧力・地震力が定められており(施行令83〜88条)、これらを想定して構造計算を行います。

応力や断面力の整理はこちらが参考になります。

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僕の感覚だと、荷重は「建物にかかる力を、原因別に整理した分類」と捉えると全体像がつかめます。自重なのか、人や物なのか、雪・風・地震なのか。原因が違えば、かかり方も期間も大きさも変わる。だから種類ごとに分けて考える、という発想です。この「原因別に分ける」という軸を押さえると、次の種類の話がすっきり頭に入ります。

荷重の種類

荷重は、建築基準法上、主に次の5種類に分けられます。

種類 内容 主な区分
固定荷重(G) 建物自体の重さ(自重・仕上げ・設備) 長期
積載荷重(P) 人・家具・物品など載るものの重さ 長期
積雪荷重(S) 積もった雪の重さ 短期(多雪区域は長期も)
風圧力(W) 風が建物を押す・引く力 短期
地震力(K) 地震で建物にかかる水平力 短期

このうち、固定荷重と積載荷重は常に建物に作用し続けるため長期荷重、積雪・風・地震は一時的にしか作用しないため短期荷重に分類されます(多雪区域の積雪は例外的に長期も考える)。構造計算書では、固定荷重をG、積載荷重をP、積雪荷重をS、風圧力をW、地震力をKやQなどの記号で表すのが一般的です。

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正直なところ、最初は5種類を覚えるだけで精一杯になりがちです。ですが「常時かかる(固定・積載)=長期」「たまにかかる(雪・風・地震)=短期」という大きな2分類で捉えると、種類と期間が一気につながります。まずこの骨格を押さえてから、個々の荷重に入るのがおすすめです。

固定荷重(自重)

固定荷重とは、結論「建物が存在する限り常にかかり続ける、建物自体の重さ」です。英語のDead Loadから、構造計算書ではD.L.やGと表記されます。

固定荷重に含まれるのは、主に次のものです。

  • 柱・梁・床・壁などの構造躯体の重量(いわゆる自重)
  • 固定された間仕切り壁・建具
  • 床・天井の仕上げ材
  • 設備・照明など吊り物

要するに「動かない・常にそこにある重さ」が固定荷重です。建物の規模が決まれば、ある程度の精度で計算できるのが特徴です。RC造は躯体自体が重いため固定荷重が大きく、鉄骨造は相対的に小さい、といった違いも出ます。

構造種別(RC造・S造など)による違いはこちらが参考になります。

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僕の整理では、固定荷重は「建物の体重」、後述の積載荷重は「建物が持つ荷物」とイメージすると区別しやすいです。体重は常に一定で動かない、荷物は中身や置き方で変わる。この対比が、次の積載荷重の理解の土台になります。

積載荷重

積載荷重とは、結論「建物の中に載る人・家具・物品など、移動しうるものの重さ」です。英語のLive Loadから、L.L.やPと表記されます。

積載荷重で重要なのが、同じ室でも「何を計算するか」で使う値が変わる点です。建築基準法施行令第85条では、室の用途ごとに次の3区分で積載荷重が定められています。

計算対象 値の大小 理由
床の計算用 最も大きい 床1枚で局所的な重さを負担
大梁・柱・基礎の計算用 広い面積から集まり平均化される
地震力の計算用 最も小さい 建物全体で平均化される

つまり「床用>大梁・柱・基礎用>地震用」の順に小さくなります。これは、負担する部材の範囲が広がるほど、局所的なばらつきが平均化されて1部材あたりの負担が下がるためです。資格試験でも頻出の論点です。

また、多くの床を支える柱では、全フロアが同時に満載になる確率が下がるため、支える床の数に応じて積載荷重を低減できる規定(令85条)もあります。事務室・住宅・劇場など用途ごとに基準値が決まっており、避難に関わる廊下・階段は重めに設定されています。

床の積載荷重・耐荷重の考え方はこちらが詳しいです。

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実務だと、施工管理が積載荷重で一番意識すべきは「設計が想定した積載荷重を、現場で超えないこと」です。後述しますが、スラブ上に資材を集中して仮置きすると、設計上の積載荷重を一時的に超えることがあります。積載荷重の3区分や低減の理屈は、その制限の根拠を理解するために知っておく価値があります。

積雪荷重・風圧力・地震力

短期荷重である積雪荷重・風圧力・地震力は、それぞれ次の特徴を持ちます。

  • 積雪荷重(S):積もった雪の重さ。積雪量×単位荷重×屋根形状係数で算定(令86条)。多雪区域では長期も考慮
  • 風圧力(W):風が建物を押す・引く力。速度圧×風力係数で算定(令87条)。高さ・地域・建物形状で変わる
  • 地震力(K・Q):地震で建物にかかる水平力。建物重量×地震層せん断力係数で算定(令88条)

これらは「常時はかからないが、いざかかると非常に大きい」のが共通点です。だから短期荷重として、長期とは別の組み合わせで検討します。地震力は建物の重さ(固定+積載)に比例するため、重い建物ほど地震力も大きくなる、という関係も押さえておくと理解が深まります。

風力係数の詳細はこちらが参考になります。

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個人的には、この3つは「自然が建物に与える短期の力」とまとめて捉えるのが分かりやすいです。雪は上から、風は横や上向き、地震は横揺れ。方向と原因が違うだけで、いずれも「たまに来る大きな力」という点では同じです。設計はこれらの最悪の組み合わせを想定して構造を決めています。

長期荷重と短期荷重

荷重は、作用する期間によって長期荷重と短期荷重に分けられます。

区分 含まれる荷重 性質
長期荷重 固定荷重・積載荷重(多雪区域は積雪も) 常時作用し続ける
短期荷重 積雪・風圧力・地震力 一時的に作用する

この区分が重要なのは、許容応力度(部材が耐えられる力の上限)が長期と短期で異なるからです。短期荷重は一時的なので、その分だけ材料を高い応力まで使ってよい、という考え方になっています。常に効いている長期荷重には厳しめ、たまにしか来ない短期荷重には少し緩め、という設計の基本ルールです。

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僕の考えでは、長期・短期は「どれくらいの頻度・期間でかかる力か」で材料の使い方を変えるための区分、と理解するのが本質です。常時の重さには余裕を持たせ、めったに来ない地震や台風には材料をぎりぎりまで働かせる。この発想が分かると、後述する荷重の組み合わせ式の意味も腹落ちします。

荷重と応力の違い

荷重と応力は混同されがちですが、結論「荷重は建物に外から作用する力、応力はその荷重によって部材の内部に生じる力」です。

たとえば梁の上に荷重がかかると、梁の内部には曲げモーメントやせん断力といった力(断面力・応力)が発生します。荷重が「原因(外からの力)」、応力が「結果(部材内部に生じる力)」という関係です。建築基準法施行令第82条でも、「どのような荷重がかかったときに、構造部材に生じる力(応力)を計算するか」という形で両者を区別しています。

項目 荷重 応力
何か 建物に外から作用する力(外力) 荷重により部材内部に生じる力
固定・積載・積雪・風・地震 曲げモーメント・せん断力・軸力
関係 原因 結果

断面力(軸力・せん断力・曲げモーメント)の整理はこちらが参考になります。

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現場目線で言えば、この区別が曖昧だと構造計算書がまったく読めません。「荷重を入力すると、部材ごとに応力が計算され、それが許容応力度以内かを確認する」という構造計算の流れは、荷重と応力が別物だと分かって初めて理解できます。荷重=かける力、応力=部材の中で頑張っている力、と押さえておくのが正確です。

荷重の単位・重量・質量との違い

荷重の単位は、結論「力の単位であるN(ニュートン)・kN(キロニュートン)、面で受ける場合はN/m²・kN/m²」を使います。

ここで混同しやすいのが「質量」「重量」「荷重」の関係です。

  • 質量(kg):物体そのものの量。場所が変わっても不変
  • 重量(N):質量×重力加速度。地球が物体を引く力。荷重として扱う
  • 荷重(N・kN):建物・部材に作用する力。重量を含む外力全般

つまり「100kgの物体」の質量は100kg、それが地球上で受ける重力(重量)は約981N(約0.98kN)で、これが荷重として建物にかかります。昔はkgf(重量キログラム)も使われましたが、現在の構造計算ではN・kNが基本です(1kgf≒9.8N)。面積あたりで表すときはN/m²・kN/m²を使い、床の積載荷重などはこの単位で規定されています。

質量と重量の違いの詳細はこちらが詳しいです。

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僕の感覚だと、ここは「質量=モノの量(kg)、重量=それにかかる重力(N)、荷重=建物にかかる力(N・kN)」と3段で整理しておくと、古い資料のkgf表記に出会っても換算で混乱しません。単位の取り違えは構造の計算ミスに直結するので、N・kNが基本と覚えておくのが安全です。

荷重の組み合わせ

構造計算では、結論「複数の荷重を足し合わせた組み合わせで、最も不利になるケースを検討」します。建築基準法施行令第82条で、長期・短期それぞれの組み合わせが定められています。代表的な組み合わせは次のとおりです。

区分 一般地域 多雪区域
長期(常時) G+P G+P
長期(積雪時) G+P+0.7S
短期(積雪時) G+P+S G+P+S
短期(暴風時) G+P+W G+P+W(+積雪考慮)
短期(地震時) G+P+K G+P+0.35S+K

G=固定荷重、P=積載荷重、S=積雪荷重、W=風圧力、K=地震力です。多雪区域では、積雪が長期的に残ることを想定して長期積雪荷重(0.7S)を考えたり、暴風時・地震時にも積雪を一部加えたりします。風圧力は上向き・水平など方向が複数あるため、積雪との組み合わせで最も大きな力が出るケースも検討します。

これらの組み合わせのうち、最も不利(部材に最大の応力が生じる)ケースに対して安全を確認するのが構造計算です。

安全率の考え方はこちらも参考になります。

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自分としては、組み合わせ式は丸暗記するより「常時はG+Pだけ、そこに雪・風・地震という短期の力を1つ足して最悪を探る」と理解するのが実用的だと思います。式の形に意味があり、多雪区域だけ積雪が常連として加わる、という構造が見えると、試験でも実務でも応用が利きます。

施工管理と荷重(施工時荷重・資材仮置き・足場)

ここまでは設計者が扱う荷重の話でしたが、施工管理にも固有の荷重があります。結論「施工中だけ発生する荷重(施工時荷重)と、現場で守るべき積載制限」です。

  • 施工時荷重:コンクリート打設時の生コン重量+作業員・機材+打設の衝撃。型枠・支保工はこの荷重で設計する
  • スラブの資材仮置き:床スラブの設計積載荷重を超えて資材を集中仮置きしない
  • 足場の積載荷重:作業床に載せてよい重さの上限(資材・作業員)が定められている
  • 揚重・クレーン:定格総荷重・吊り荷重の管理。吊り荷+玉掛け用具の重さで判断

特に見落とされやすいのが、コンクリート打設時の支保工です。完成後の建物が支える荷重とは別に、施工中は生コンの重さ・作業荷重・打設の衝撃が型枠と支保工にかかります。これを甘く見ると、打設中の型枠崩落という重大事故につながります。型枠・支保工は、この施工時荷重に耐えるよう計画・設計されています。

また、スラブ上の資材仮置きも要注意です。設計上の積載荷重は「使用時の平均的な重さ」を想定しているため、施工中にブロックや鉄筋束を一点に山積みすると、簡単に設計値を超えます。重い資材は分散して置く、梁や柱の近くに置く、といった配慮が必要です。

現場目線で言えば、施工管理にとって荷重は「設計図の中の話」ではなく「打設・仮置き・揚重で日々判断する実務」です。設計が決めた積載荷重を超えない、施工時荷重に耐える支保工を組む、足場やクレーンの定格を守る。荷重の知識は、こうした安全管理の土台として効いてきます。

荷重に関するよくある質問

Q1:固定荷重と積載荷重の違いは何ですか?

固定荷重は建物自体の重さ(躯体・仕上げ・設備など動かないもの)、積載荷重は中に載る人・家具・物品など動きうるものの重さです。固定荷重は建物が決まればほぼ確定しますが、積載荷重は何がどれだけ載るか不確実なため、用途ごとに法律で基準値が定められています。固定荷重=建物の体重、積載荷重=建物が持つ荷物、とイメージすると区別しやすいです。

Q2:積載荷重が「床用>大梁・柱用>地震用」で違うのはなぜですか?

負担する部材の範囲が広がるほど、局所的なばらつきが平均化されて1部材あたりの負担が下がるためです。床は局所的な重さをそのまま負担するので最も大きく、大梁・柱・基礎は広い面積から集まって平均化され、地震用は建物全体で平均化されるため最も小さくなります。同じ室でも計算対象によって使う積載荷重の値が変わる、という点が重要です。

Q3:荷重と応力はどう違うのですか?

荷重は建物に外から作用する力(外力)、応力はその荷重によって部材の内部に生じる力です。たとえば梁に荷重がかかると、梁の中に曲げモーメントやせん断力という応力が発生します。荷重が原因、応力が結果という関係で、構造計算は「荷重を入力して応力を求め、許容応力度以内かを確認する」流れで進みます。

Q4:荷重の単位はN(ニュートン)でいいですか?kgfは?

現在の構造計算では、力の単位であるN・kN、面で受ける場合はN/m²・kN/m²が基本です。昔はkgf(重量キログラム)が使われていましたが、現在はSI単位のN・kNに統一されています。換算は1kgf≒9.8Nです。古い資料でkgf表記を見たら、約10倍してNに換算すると感覚がつかめます。

Q5:施工管理は荷重をどんな場面で意識しますか?

主に施工時荷重と積載制限です。コンクリート打設時は生コン重量+作業荷重+衝撃が型枠・支保工にかかるため、これに耐える支保工計画が必要です。また、床スラブの設計積載荷重を超えて資材を集中仮置きしない、足場の作業床の積載制限を守る、クレーンの定格総荷重を超えない、といった管理も荷重の知識に基づきます。設計が決めた荷重条件を、現場で守るのが施工管理の役割です。

まとめ

荷重に関する情報を整理すると次のとおりです。

  • 荷重とは:建物・部材に作用する力(外力)。荷重→部材→基礎→地盤と伝わる
  • 種類:固定(G)・積載(P)・積雪(S)・風圧力(W)・地震力(K)の5つ
  • 固定荷重:建物自体の重さ(躯体・仕上げ・設備)。常時作用する長期荷重
  • 積載荷重:載るものの重さ。床用>大梁・柱・基礎用>地震用の順に小さい(令85条)
  • 積雪・風・地震:短期荷重。たまに来るが大きい。地震力は建物重量に比例
  • 長期・短期:作用期間で区分。許容応力度が異なる(短期は高めまで使える)
  • 荷重と応力の違い:荷重=外からの力(原因)、応力=部材内部の力(結果)
  • 単位:N・kN・N/m²・kN/m²。質量(kg)・重量(N)・荷重を区別。1kgf≒9.8N
  • 組み合わせ:G+P、G+P+S、G+P+K等。最も不利なケースで安全確認(令82条)
  • 施工管理の荷重:施工時荷重(打設・支保工)・資材仮置き制限・足場・クレーンの定格

以上が荷重に関する情報のまとめです。

荷重は「種類・単位・組み合わせ」という設計の基礎であると同時に、打設時の支保工や資材仮置き、足場・クレーンといった現場の安全管理にも直結する概念です。種類と長期短期の骨格を押さえ、荷重と応力の違いを区別し、現場では設計が決めた荷重条件を超えない。この3点を押さえておけば、構造計算書も読めて、現場の荷重判断にも自信が持てるようになるはずです。構造・荷重まわりの関連知識も合わせて押さえておきましょう。

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