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風圧力とは?計算式、風荷重との違い、速度圧、風力係数など

  • 風圧力ってなに?
  • 風荷重とは違うの?
  • どうやって計算する?
  • 速度圧 q ってなに?
  • 風力係数 Cf はどう決まる?
  • 施工管理として何を見る?

上記の様な悩みを解決します。

「風圧力」は建物に作用する水平荷重の代表選手で、地震荷重と並ぶ構造設計の主軸。「外壁・サッシ・耐風梁・ブレース」など、建物外周に関わる構造設計の根拠となります。台風時の建物の安全性を担保するために設計者が計算しているのが風圧力で、施工管理として外装工事を見るときに「なぜこの厚さなのか」「なぜここにブレースがあるのか」が腑に落ちるようになります。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

風圧力とは?

風圧力とは、結論「風が建物の表面に作用する、単位面積あたりの圧力」のことです。

英語では wind pressure(ウィンド・プレッシャー)。記号は W または P。単位は N/m²(ニュートン毎平方メートル)。

ざっくりイメージすると

電車のドアから手を出したときの手のひらに当たる風の感覚を想像してください。

  • 速度が遅い:風はそよ風で、手にほぼ何も感じない
  • 速度が中:1平方センチあたり数Nくらいの風圧
  • 高速:手が押し戻されるくらいの強い風圧

→ この「単位面積あたりの押す力」が風圧力。建物の外壁・屋根・看板すべてに同じ仕組みで風圧が作用します。

風圧力の主な特徴

  • 単位は N/m²(または kgf/m²)
  • 風速の2乗に比例して大きくなる
  • 建物高さが高いほど大きい(高所ほど風が強い)
  • 地表面の状況(都市部・郊外・海岸)で値が変わる
  • 水平荷重として構造設計に使われる

なぜ建築で重要か

風圧力は建物設計の重要な水平荷重として、次の3つに直結。

  1. 構造体の設計:柱・梁・ブレースの断面決定。地震荷重と比較して大きい方で決定
  2. 外装部材の設計:外壁・サッシ・看板・ALC板の固定方法・厚さの決定
  3. 耐風梁の設計:外壁を支える補助梁の必要性とサイズ

→ つまり「建物が台風で飛ばないため」の設計根拠が風圧力。低層住宅は地震荷重支配が多いが、超高層・大スパン建築では風荷重支配になる場合も。

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風圧力の計算式と単位

風圧力の基本式を整理します。

①基本式

W = q × Cf

W: 風圧力 (N/m²)
q: 速度圧 (N/m²)
Cf: 風力係数(無次元)

→ つまり「風の運動エネルギー(速度圧)」 ×「形状による係数(風力係数)」で決まる。シンプル。

②単位

単位 表記
ニュートン毎平方メートル N/m²
パスカル(同じ意味) Pa(N/m² と同じ)
キログラム重毎平方メートル kgf/m²(古い設計書)

換算:
– 1 kgf/m² = 9.81 N/m²
– 1000 N/m² = 1 kPa

→ 現代の構造設計では N/m² または kPa が標準。

③具体的な数値感

一般的な建築物に作用する風圧力の代表値:

条件 風圧力 W (N/m²)
都市部・低層・通常時 500〜800
郊外・中層 800〜1200
海岸近接・高層 1500〜2000
台風時(瞬間) 3000以上

1m² あたり 1000N(約100kg)の風圧が作用するイメージ。手のひら1枚分(約0.01m²)で1kgなので、手のひらサイズの板を持って風に出ると押し戻される感じ。

④風圧力の作用方向(受風面)

風圧力は風向きに対して、

受風面 風圧力の向き
風上の壁 内側へ押す(正圧)
風下の壁 外側へ吸う(負圧)
屋根・庇 多くは負圧(吸い上げ)
角部 局所的に負圧大

「風上は押される、風下・屋根は吸われる」。屋根が飛ばされるのは負圧の吸引力によるもの。

風圧力と風荷重の違い

似た用語の整理。

①用語の使い分け

用語 意味
風圧力 W 単位面積あたりの圧力 (N/m²)
風荷重 P 部材全体に作用する力 (kN)
速度圧 q 風速から計算する圧力 (N/m²)
風力係数 Cf 形状による係数(無次元)

「風圧力(N/m²)× 受風面積(m²)= 風荷重(N)」。風圧力は単位面積あたり、風荷重は全体の力。

②計算の流れ

1. 風速 V0(基準風速)を決定 ── 地域・建物高さで決まる
2. 速度圧 q = (1/2) × ρ × V² で計算
3. 風力係数 Cf を建物形状で決定
4. 風圧力 W = q × Cf で計算
5. 受風面積 A を決定
6. 風荷重 P = W × A で部材設計に使う

→ 構造設計では最終的に「P(風荷重)」を使うが、その元となる単位面積あたりの圧力が風圧力 W。

③風荷重の例

幅10m × 高さ20m の壁面に作用する風荷重:

風圧力 W = 1000 N/m²(仮定)
受風面積 A = 10 × 20 = 200 m²
風荷重 P = 1000 × 200 = 200,000 N = 200 kN(約20トン)

20トンの水平力が壁全体に作用。これを柱・梁・ブレースで受け止める必要がある。

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④地震荷重との比較

比較項目 風荷重 地震荷重
主因 風速 地震動
計算根拠 V₀×Er×建物高さ Z×Rt×Ai×C₀×W
作用方向 風向きで決まる あらゆる方向
大型建物での支配 高層・大スパンで支配 中低層で支配

「軽い建物は風で支配、重い建物は地震で支配」が大まかな目安。

速度圧 q の計算

風圧力の元となる速度圧の決め方を整理します。

①速度圧の基本式

速度圧は風の運動エネルギーから求めます。

q = (1/2) × ρ × V²

q: 速度圧 (N/m²)
ρ: 空気密度 ≒ 1.22 kg/m³
V: 設計風速 (m/s)

簡略化すると:

q ≒ 0.6 × V² (N/m²)

例:V = 30 m/s → q = 0.6 × 900 = 540 N/m²

②建築基準法による速度圧の式

建築基準法施行令第87条では、

q = 0.6 × Er² × Vo²

Vo: 基準風速 (m/s)
Er: 平均風速の高さ方向分布係数(地表面粗度区分による)

「基準風速」が地域(地形)で決まり、「Er」が建物高さと地表面状況で決まる、という構造。

③基準風速 Vo(地域による)

国交省告示 第1454号で日本各地の基準風速が定められています。

地域(代表例) 基準風速 Vo (m/s)
沖縄県(全域) 38〜46
鹿児島県(島嶼部) 38〜44
高知県・宮崎県(沿岸) 36〜38
関東(東京都・神奈川県) 32〜36
名古屋・大阪・京都 32〜36
北海道(全域) 30〜32
東北(内陸) 30〜34

沖縄が最大、北海道・東北内陸が最小。台風の影響度で決まっている。

④地表面粗度区分

地表面粗度区分は、建物周辺の状況を4段階で評価。

区分 状況 Er(高さ10m)
海岸・湖岸など極めて開けた場所 1.7
平らな場所(田園・工場地・郊外) 1.5
樹木のある場所(住宅街・低中層市街地) 1.3
建物が密集した場所(都心市街地) 1.1

「都心ほど周辺建物が風を遮る」ので Er が小さい。海岸ほど風がストレートに当たる。

⑤建物高さによる Er の変化

高さが高いほど Er(風が強くなる係数)も大きくなる。

建物高さ(m) Er(粗度Ⅱ)
10 1.50
30 1.94
50 2.13
100 2.37
200 2.60

「高さ100mで Er ≒ 2.4」くらい。100mの建物は10mの建物より60%大きい速度圧を受ける、ということ。

風力係数 Cf の決め方

形状による係数の決定方法を整理します。

①風力係数とは

風力係数 Cf は、建物の形状による風の作用効果を表す無次元量。

  • 風上面・風下面で値が違う
  • 屋根の傾斜・形で値が違う
  • 角部・端部で局所的に大きくなる

→ 「風が当たって、はね返ったり、回り込んだりする度合い」と覚えるとイメージしやすい。

②建物各部の代表的な風力係数

部位 風力係数 Cf
風上の壁(平面) +0.8(押す)
風下の壁(平面) -0.4(引っ張る)
屋根(陸屋根) -1.0〜-0.5(吸い上げ)
屋根(切妻・風上面) +0.4〜-0.7(角度依存)
屋根(切妻・風下面) -0.7〜-0.5
庇・看板の風上端 +1.5〜+2.0(局所的)

「+」が押し、「-」が吸い。屋根は基本的に吸い上げ力が作用するのがポイント。

③合計係数(壁面の場合)

風上面+風下面の合計係数は、

Cf合計 = +0.8 -(-0.4) = +1.2

「壁全体としては Cf=1.2 程度」で計算するのが一般的。風上から風下に向かって全体的に押される効果。

④外装材の風圧力(局所係数 Cpe)

外装材(サッシ・ALC・タイル等)の設計では、より詳細な外装材用風力係数を使う。

部位 外装材用 Cpe
一般部 -1.5〜+1.0
角部・端部(風下) -2.0〜-2.5
屋根の角部 -2.5〜-3.5

角部・端部は局所的に大きな負圧(吸い上げ)が作用するため、外装材の固定はこの局所値で設計する必要があります。

⑤建物形状による特殊な風力係数

建物形状 風力係数の特徴
円筒形(高層タワー等) 全周で-1.0前後の負圧
L字・コの字平面 入隅で複雑な渦・負圧
切妻屋根 風上の傾斜面で正圧
太陽光パネル設置時 上下両面で風圧、揚力増

形状が複雑なほど風洞実験が必要(JIS A 1457:模型試験)。超高層・大屋根施設では風洞実験が標準。

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施工管理での着眼点

施工管理として風圧力に関わる工事で押さえるポイントを整理します。

①外壁・サッシの仕様確認

設計図書の外壁・サッシ仕様には、風圧力対応の指定が含まれます。

  • ALC板の厚さ:風圧力に応じて 75〜100mm 等を選定
  • サッシの耐風圧等級:S-1(800 Pa)〜S-7(3600 Pa)
  • 外装タイルの接着方法:風圧力で剥離リスクの高い部位は弾性接着剤+下地補強

→ 仕様書通りの厚さ・等級・接着剤が使われているか、搬入時の確認が施工管理の役目。

②開口部・看板の固定強度

風圧力に弱いのは開口部周辺・看板・庇などの突出物。

  • 看板取付ボルト:風圧力に応じた本数・径
  • 庇の固定金物:角部の局所風圧力に対応した強度
  • 雨樋・配管の支持間隔:風で揺れないピッチ

「風で外れて落下=人災リスク」。施工管理として固定金物の強度を必ず確認。

③耐風梁・水平ブレースの位置

S造建築では、外壁を支える耐風梁や水平ブレースが設計されます。

  • 耐風梁:外壁内側に水平に渡す梁(風圧で壁が内側にめり込まないようにする)
  • 水平ブレース:外壁の振動を抑える対角ブレース

→ 設計図書で「ここに耐風梁」と指定されている場合、必ず指定通りに設置。意匠側の理由で省略しようとする提案は要注意。

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④仮設足場・養生シートの風対策

工事中の仮設物も風圧力対策が必要。

  • 養生シート:角部の捲り上がり防止のロープ・帯
  • 足場の控え:外壁取付控え+地上控え
  • 単管ジョイント:強風時の緩み確認

→ 仮設足場の風荷重で近隣建物への被害事例は少なくない。施工管理として風予報を見て事前準備する習慣が重要。

⑤現場での具体例(独自エピソード)

ある中規模オフィスビル(S造6階建)の外壁ALC施工中に、台風の予報が出た経験があります。

  • 外壁ALC:6階の北面が施工中(取付ボルト固定済み)
  • 養生シート:足場全体に張ってあった
  • 予報:風速30m/s 級の台風接近

そこで現場判断で養生シートを完全に取り外し、足場控えを増設しました。

  • 養生シートを残すと「」となって足場が倒壊リスク
  • 1晩のシート撤去・再張は手間だが、事故予防の必須対応
  • 結果として無事台風通過、足場・建物に被害なし

その時に学んだのは、「建物本体の設計風速」と「仮設物の風圧対策」は別レベルだということ。建物は設計風速 V₀(例:32m/s)で設計されているが、仮設物はそれ以下の風でも飛びやすい。施工管理として「仮設物は本設より風に弱い」前提で予防対策する判断が、結果として大事故を防ぐリアルなノウハウでした。

教科書では「風圧力 W = q × Cf」という1つの式ですが、現場では気象予報を見ながら仮設物を取捨選択する判断が、結果として大事故を防ぐ分かれ目になります。

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⑥外装材の取付検査

外装材取付完了後の風圧テストはありませんが、施工管理として:

  • 取付ボルトの締付力(全数 or 抜取)
  • 接着剤の硬化時間確保
  • 取付後のグラつき・ガタつきの目視・打音検査
  • 緊結材(ピン・ファスナー)の確認

「強風時のクレーム」を未然に防ぐには、施工時の品質確保が最重要。

風圧力に関する情報まとめ

最後に、風圧力の重要ポイントを整理します。

  • 風圧力とは:風が建物表面に作用する単位面積あたりの圧力(N/m²)
  • 計算式:W = q × Cf(速度圧 × 風力係数)
  • 速度圧 q:基準風速・地表面粗度区分・建物高さで決まる。建築基準法第87条で規定
  • 風力係数 Cf:形状による係数。風上+0.8、風下-0.4、屋根は-1.0前後の負圧、角部は局所的に大
  • 風荷重との違い:風圧力(N/m²)× 受風面積(m²)= 風荷重(N)
  • 施工管理視点:外壁・サッシの仕様確認、開口部・看板の固定強度、耐風梁の位置、仮設物の風対策

以上が風圧力に関する情報のまとめです。

風圧力は「建物が台風で飛ばないための設計根拠」で、地震荷重と並ぶ水平力の主軸。施工管理として外壁・サッシ・看板の仕様書を見るとき、「なぜこの厚さなのか」「なぜここに耐風梁があるのか」を風圧力の文脈で読めるようになると、設計者の意図が見えるようになりますよ。一通り風圧力の基礎知識は理解できたと思います。

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