- CAVって結局なに?定風量って何が一定なの?
- VAVとどっちを選べばいいの?
- ダンパーと何が違うの?
- 機械式と電子式があるけど、どっち使う?
- 設計図でCAV指定されてるけど選定基準が分からない
- メリット・デメリットを現場目線で知りたい
- 風量って試運転でどう合わせるの?
- ダクトが太くなるって、天井内に納まる?
- CAVなのに部屋の温度ムラが出るのはなぜ?
- 省エネ改修でVAVに変えるべきか聞かれた
- 騒音が出やすいって本当?
上記の様な悩みを解決します。
CAV(定風量装置)は、設備施工管理が空調工事で必ず一度はぶつかる機器のひとつです。「風量が一定なやつ」とだけ覚えている人が多いですが、選定の判断軸と試運転での調整方法を押さえないと、「図面通り付けたのに現場で温度ムラが出る」「風量が設定値に届かない」といったトラブルにつながります。今回は定義・仕組み・VAVとの違い・メリットといった基本を押さえた上で、現役の設備施工管理目線で「機械式と電子式の使い分け」「CAV/VAV/ダンパーの選定の判断軸」「風量設定と試運転調整(TAB)」「現場でハマる納まり・温度ムラ・騒音」など、実際に現場でつまずくポイントまで網羅的に整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
CAVとは?
CAVとは、結論「ダクト内を流れる風量を、ダクトの圧力が変動しても一定に保つように自動調整する装置」のことです。正式名称は「Constant Air Volume(コンスタント・エア・ボリューム)」で、日本語では「定風量装置」と訳されます。
CAVを使った空調制御方式は「定風量(CAV)単一ダクト方式」「CAV方式」などと呼ばれます。空調機(AHU)から1本のダクトで各ゾーンに送風する単一ダクト方式の一種で、各分岐ダクトにCAVユニットを入れて、ゾーンごとの風量を設計値どおりにキープするのが役割です。
ここで誤解しやすいのが「定風量=室温も一定」ではない点です。CAVが一定に保つのはあくまで「風量」で、室温の調整は空調機側の送風温度(冷温水コイルの制御)で行います。風量は固定したまま、送風される空気の温度を上げ下げして室温を合わせる、というのがCAV方式の基本的な考え方です。
空調設備全体の整理はこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、CAVは「風量の番人」と覚えておくと整理しやすいです。後述のVAVが「室温に合わせて風量を変える」のに対して、CAVは「風量を変えずに守る」のが本来の役割です。ここを押さえると、現場でなぜCAVが指定されているのか、なぜVAVではダメなのかが腑に落ちるようになります。新人の頃は「定風量って何のメリットがあるの?省エネならVAVでよくない?」と本気で思っていましたが、換気量を絶対に落とせない部屋があると知ってから、CAVの存在意義がやっと分かりました。
CAV(定風量装置)の仕組み
CAVの仕組みは、結論「ダクト内の風速(または差圧)をセンサーで感知し、内部のダンパー羽根を開閉して、設定した風量を保つ」というものです。
ダクトの圧力は、他のゾーンのダンパーが動いたり、空調機の運転状況が変わったりすると常に変動します。圧力が上がれば放っておくと風量が増え、下がれば風量が減ります。CAVはこの変動を打ち消す方向に羽根を動かして、結果として風量を一定に保ちます。圧力が上がったら羽根を絞り、下がったら羽根を開く、というイメージです。
| 動作 | ダクト圧力 | CAVの羽根 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 圧力上昇時 | 高くなる | 絞る(閉じ気味) | 風量を維持 |
| 圧力下降時 | 低くなる | 開く | 風量を維持 |
| 安定時 | 一定 | 設定開度 | 設定風量で安定 |
この「圧力が変わっても風量が変わらない」性質を、専門的には「圧力独立形(プレッシャー・インディペンデント)」と呼びます。逆に、ただのダンパー(風量調整ダンパー=VD)は開度を固定するだけなので、圧力が変われば風量も変わってしまいます。ここがCAVとVDの決定的な違いです。
ダンパーの種類や役割はこちらが参考になります。

僕としては、CAVの仕組みを理解する一番のコツは「VDとの差」を意識することだと感じます。VDは人が手で開度を決めて固定するもの、CAVは機械が圧力変動を読んで自動で開度を変え続けるもの。同じ「ダクトに付ける箱」でも、中でやっていることは別物です。これを混同したまま現場に出ると、「CAVなのに風量調整ダンパーみたいに手で固定しようとする」みたいなチグハグなことをやりがちです。
CAVの構成要素(機械式と電子式)
CAVは大きく「機械式」と「電子式」の2タイプに分かれます。現場でどちらが指定されるかで、施工も試運転も変わってくるので、ここは押さえておきたいところです。
| タイプ | 制御方法 | 電源 | 特徴 | 向いている現場 |
|---|---|---|---|---|
| 機械式CAV | バネ・錘のバランスで羽根を機械的に制御 | 不要 | 構造がシンプル、安価、故障が少ない | 小〜中規模、コスト重視 |
| 電子式CAV | 風速センサー+モーターで羽根を電動制御 | 必要 | 精度が高い、中央監視と連携可能 | 中〜大規模、精度・監視重視 |
機械式CAVのポイント
機械式は、ダクト内の圧力を受けて羽根がバネとのバランスで自動的に動く構造です。電源も制御線も要らないので、配線工事が発生せず、施工がシンプルです。価格も安く、可動部が少ないので長期間安定して動きます。
一方で、設定風量を後から大きく変えるのが苦手です。基本は工場出荷時の設定か、現場での機械的な調整に頼るので、用途変更でゾーンの必要風量が変わるような建物には向きません。
電子式CAVのポイント
電子式は、風速センサー(熱線式や風車式)でダクト内の風速を測り、その値をもとにモーターで羽根を駆動して風量を制御します。精度が高く、設定風量を制御盤や中央監視から変更できるのが強みです。
ただし電源と制御配線が必要になるので、電気工事との取り合いが発生します。施工管理としては、CAVの位置に電源が来ているか、制御線の系統が合っているかを施工図段階で確認しておく必要があります。
ダクトの種類や納まりはこちらも参考になります。

僕の感覚だと、コストと監視要件で素直に決まることが多いです。中央監視で風量を見たい・遠隔で設定を変えたい現場は電子式、そこまで要らない小規模は機械式、という分け方が現実的です。注意したいのは、電子式を選んだのに「電源の手配を空調側が忘れていて、試運転日に動かない」というやつ。電子式CAVは電気の段取りまでがワンセットだと考えておくと、こういう抜けを防げます。
CAVとVAVの違い
CAVと必ずセットで語られるのがVAV(Variable Air Volume=可変風量装置)です。両者は「風量を一定に保つ」か「風量を変える」かという、根本の思想が逆です。
| 比較項目 | CAV(定風量) | VAV(可変風量) |
|---|---|---|
| 風量 | 一定に保つ | 室温に応じて変える |
| 室温調整の方法 | 送風温度で調整 | 送風量で調整 |
| 換気量 | 常に確保される | 低負荷時に減る場合あり |
| 省エネ性 | △(送風動力が一定) | ◎(送風動力を絞れる) |
| 部屋ごとの温度制御 | 苦手 | 得意 |
| 構造・制御 | シンプル | やや複雑 |
| ダクトサイズ | 大きくなりがち | 最大風量基準だが絞れる |
VAVは室温が下がってきたら風量を絞ってエネルギーを節約します。送風機の動力は風量の3乗で効くので、風量を絞れるVAVは省エネ性が高いです。一方で、風量を絞ると当然そのゾーンの換気量も落ちます。人がたくさんいて常に新鮮空気が要る部屋では、これが弱点になります。
CAVは逆に、風量を絶対に落とさないので換気量が常に確保されます。その代わり、室温は送風温度でしか調整できず、低負荷でも送風動力は変わらないので省エネ性ではVAVに劣ります。
VAVの詳細はこちらが詳しいです。

VAVユニットそのものの解説はこちらです。

僕としては、この2つは「優劣」ではなく「目的の違い」で捉えるのが正解だと感じます。省エネだけ見ればVAVが有利ですが、「換気量を絶対に落とせない部屋」ではCAVが正解になります。設計でCAVが指定されている部屋には、たいてい「換気量を守りたい理由」があるので、施工管理としては「なぜここはCAVなのか」を一度設計者に確認しておくと、後の変更提案や施主説明で説得力が出ます。
CAVとダンパーの違い
CAVは「ダクトに付ける箱」という見た目がダンパー(特に風量調整ダンパー=VD)と似ているので、混同されがちです。ですが役割はまったく違います。
| 項目 | CAV | VD(風量調整ダンパー) |
|---|---|---|
| 目的 | 風量を一定に自動制御 | 風量を手動で調整・固定 |
| 圧力変動への対応 | 自動で追従(圧力独立形) | 追従しない(開度固定) |
| センサー | あり | なし |
| 駆動 | 自動(機械式/電子式) | 手動 |
| 設置目的 | 各ゾーンの風量保証 | バランス調整・絞り |
VDは、施工後の風量バランス調整(TAB)のときに人が開度を決めて固定する部材です。一度決めたら基本は動きません。だからダクト圧力が他の要因で変われば、VDを通る風量も一緒に変わってしまいます。
CAVは、その圧力変動を打ち消して風量をキープし続けます。つまり「人が一回調整して終わり」のVDに対して、「機械が変動を見て調整し続ける」のがCAVです。
僕の感覚だと、現場で一番起きやすい誤解が「CAVを入れたんだからVDは要らない」という思い込みです。実際には、系統全体の大まかなバランスはVDで取って、各ゾーンの最終的な風量保証をCAVに任せる、という併用が普通です。CAVの制御範囲(ターンダウン)にも限界があるので、入口側で大きくズレていると、CAVだけでは風量を守りきれません。役割が違う以上、両方使うのが基本だと押さえておくといいです。
CAVのメリット
CAVの主なメリットは次の4つです。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 換気量が常に確保される | 風量が一定なので、必要換気量を下回らない |
| 制御がシンプル | 機械式なら電源・配線不要、故障も少ない |
| 室内の気流・温度分布が安定 | 風量が変わらないので吹出しムラが起きにくい |
| 計画値どおりに風量を保証できる | 圧力変動に左右されず設計風量を維持 |
特に効くシーン
- 換気量を守りたい部屋:会議室・厨房・実験室など、人や発生源が多く新鮮空気を切らせない部屋
- 室圧管理が必要な部屋:クリーンルームや手術室のように、給気と排気のバランスで室圧を保つ部屋
- 気流を一定にしたい部屋:気流の乱れを嫌う精密作業エリア
- 大空間:劇場・ホールなど、1ゾーンが広く部屋単位の細かい制御が不要な空間
必要換気量の考え方はこちらが参考になります。

換気回数の整理はこちらです。

僕の感覚だと、CAVの本当の価値は「換気量の下限を保証してくれる」ところです。VAVは省エネで人気ですが、低負荷時に風量を絞ると換気が落ちる。これが許されない部屋では、CAVが唯一解になります。「省エネより換気の確実性が大事な部屋がある」と理解すると、CAVが残り続けている理由が見えてきます。新人の頃は「全部VAVでいいじゃん」と思っていましたが、室圧が崩れて廊下に臭気が漏れる現場を見て、定風量の安心感がやっと分かりました。
CAVのデメリット
メリットの裏返しで、デメリットも明確にあります。
| デメリット | 内容 | 対処法 |
|---|---|---|
| 省エネ性が低い | 低負荷でも送風動力が一定 | VAVとの使い分け、空調機側の制御 |
| 部屋ごとの温度制御が苦手 | 送風温度は系統共通になりがち | ゾーニングを細かく、再熱の検討 |
| ダクトサイズが大きくなる | 最大風量を常時流すため断面が必要 | 早期の納まり検討、ルート調整 |
| 騒音が出やすい | 風量一定+絞りで風切り音が出る場合 | 消音ボックス、流速の見直し |
現場で困るシーン
- 省エネ改修案件:CAVのままでは電気代が下がらず、VAV更新を求められる
- 多室の温度クレーム:同じ系統で「暑い」「寒い」が同時に出て、送風温度では両立できない
- 天井内が混み合う現場:CAVのダクトが太く、他工種のダクト・配管・ケーブルラックと干渉
- 静かさが求められる部屋:会議室や役員室で、CAVまわりの風切り音が問題になる
消音ボックスでの騒音対策はこちらが参考になります。

僕としては、現場で一番効いてくるデメリットは「ダクトが太くなる納まり問題」だと感じます。CAVは最大風量を常に流す前提なので、ダクト断面が大きくなりがちで、天井内の取り合いがきつくなります。施工図段階で「CAVまわりだけ天井内に納まらない」が発覚すると、ルート変更や天井下げの調整で工程に響きます。省エネ性の低さは設計判断の話ですが、ダクトの太さは施工管理が日々ぶつかる現実的な問題です。
CAVの選定方法(CAV/VAV/ダンパーの選び分け)
ここが今回の記事で一番伝えたいところです。CAV・VAV・VDは見た目が似ていても役割が違うので、「どの部屋に何を使うか」の判断軸を持っておくと、設計意図の理解や変更提案がぐっとやりやすくなります。競合記事は「CAVとVAVの違い」までは書いていますが、「結局どう選ぶか」の判断フローまで踏み込んでいるものはほとんどありません。
選定の判断軸(4つ)
| 判断軸 | CAV向き | VAV向き |
|---|---|---|
| 換気量の重要度 | 絶対に落とせない | 多少の変動は許容 |
| 室温制御の細かさ | 系統一括で十分 | 部屋ごとに細かく |
| 省エネ要求 | 低〜中 | 高い |
| 室圧管理 | 必要(給排気バランス) | 不要 |
部屋用途別の選定の目安
| 部屋用途 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 会議室・事務室(一般) | VAV | 在室変動が大きく省エネ効果が出る |
| 厨房・実験室 | CAV | 換気量を切らせない |
| クリーンルーム・手術室 | CAV | 室圧管理が必要 |
| 劇場・ホール(大空間) | CAV | 1ゾーンが広く部屋制御不要 |
| 多数の個室(ホテル等) | VAV | 部屋ごとの温度制御が要る |
| 倉庫・機械室 | VD(CAV不要) | 厳密な風量保証が不要なことが多い |
選定でチェックする順番
- その部屋は換気量・室圧を絶対に守る必要があるか(YESならCAV)
- 部屋ごとに温度を細かく変えたいか(YESならVAV)
- 省エネ要求は強いか(強ければVAV寄り)
- そもそも厳密な風量保証が要るか(不要ならVDで足りる)
CAV vs VAVだけでなく、機械式CAVと電子式CAVの選定も忘れずに行います(前述の「構成要素」参照)。中央監視で風量を見たいなら電子式、コスト重視で監視不要なら機械式が基本です。
僕としては、選定の本質は「省エネ vs 換気の確実性、どちらを優先する部屋か」の見極めだと感じます。設計者はこの判断を済ませた上でCAV/VAVを図面に落としていますが、施工管理が判断軸を持っていると、「この部屋、用途変わったけどCAVのままで大丈夫か?」と気づけるようになります。実際、設計時は実験室だった部屋が施工途中で一般事務室に用途変更されて、「CAVのままだと過剰換気で寒い」となった現場がありました。判断軸を持っていれば、こういう変更にも設計者と一緒に対応できます。
CAVが使われる場所・用途
CAVは「風量を絶対に落としたくない場所」で使われます。逆に言うと、省エネ最優先のオフィスなどではVAVに置き換わってきているのが実情です。
| 用途・施設 | CAVが使われる理由 |
|---|---|
| 劇場・コンサートホール | 大空間で1ゾーンが広く、部屋単位の制御が不要 |
| 工場・生産エリア | 換気量・気流を一定に保ちたい |
| 実験室・研究施設 | 換気量と室圧の安定が必要 |
| 病院(手術室等) | 室圧管理で清浄度を保つ |
| クリーンルーム | 一定気流とゾーン間の圧力差を維持 |
| 厨房 | 排気量とのバランスで給気を確保 |
全熱交換器など他の換気機器との組み合わせも現場ではよく出てきます。

僕の感覚だと、用途を覚えるより「換気量を切らせない部屋=CAV」という1本の軸で理解する方が応用が効きます。施設名を丸暗記しても、新しい用途の建物が出てきたら判断できません。それより「この部屋は換気を落とせるか、落とせないか」で考えると、初見の図面でもCAV指定の意図が読めるようになります。
CAVの風量設定と試運転調整(TAB)
CAVは「付けて終わり」ではなく、試運転で設定風量を出して初めて機能します。ここは競合記事がほぼ触れていない、現場の実務そのものの話です。
TAB(試運転調整)の基本の流れ
- 系統全体を運転状態にする(空調機・送風機を定格運転)
- 各CAVの設定風量を確認(設計値と図面を照合)
- 風量測定口やダクトでの実測(風速計・風量計)
- 設計値とのズレを確認
- 機械式なら機械的調整、電子式なら制御盤・センサーで設定変更
- 系統内の全ゾーンでバランスが取れるまで繰り返し
風量が設計値に届かないときの主な原因
| 症状 | 主な原因 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 全体的に風量不足 | 送風機能力不足・ダクト抵抗過大 | 空調機の運転点、ダクトルートの曲がり |
| 特定ゾーンだけ不足 | 入口圧力不足・CAVの制御範囲外 | 上流のVD開度、分岐の納まり |
| 風量が安定しない | センサー異常・乱流 | 電子式のセンサー位置、直管長の確保 |
| 過大風量 | 設定ミス・羽根の固着 | 設定値、機械式の可動部 |
特に見落とされがちなのが「CAVの上流に必要な直管長が取れているか」です。CAVは入口の気流が乱れていると正しく風量を測れず、制御が安定しません。メーカーが指定する上流側の直管長(おおむねダクト径の数倍)を確保できているか、施工図段階で見ておく必要があります。
僕としては、CAVの試運転で一番大事なのは「上流の直管長」だと感じます。納まり優先で分岐の直後にCAVを付けると、気流が乱れて風量が出ない・安定しない、という不具合が起きやすいです。図面上は付くけれど、性能が出ない付け方になっていることが現場では本当に多い。試運転で「なぜか風量が暴れる」ときは、まずCAV上流のダクト形状を疑うと当たることが多いです。設計の意図どおりに性能を出すには、施工図段階で直管長まで意識して納める、ここが施工管理の腕の見せ所のひとつだと思っています。
CAVの現場でハマるポイント(納まり・温度ムラ・騒音)
最後に、CAVで実際にぶつかりやすい現場トラブルを3つ整理します。ここを知っておくと、施工図・試運転・引渡しの各段階で先回りできます。
1. ダクトの納まり(他工種との取り合い)
CAVは最大風量を常時流すのでダクトが太くなりがちです。天井内でダクト・配管・電気のケーブルラック・スプリンクラー配管などと干渉しやすく、CAVの設置スペースとメンテスペースも食います。
- 対策:施工図段階で総合図に落とし、CAVの位置・点検口・直管長まで他工種と調整する
- 点検口:機械式の調整部、電子式のセンサー・モーターに手が届く位置に点検口を計画する
角ダクト・スパイラルダクトの納まりはこちらも参考になります。

2. 温度ムラ(同一系統での暑い・寒い)
CAV方式は送風温度が系統で共通になりがちなので、同じ系統内で日射の多い部屋と少ない部屋があると、「片方は暑い、片方は寒い」が同時に起きます。
- 対策:ゾーニングを負荷の似た部屋でまとめる、再熱方式の検討、用途変更時の系統見直し
- 引渡し後のクレームは系統設計が原因のことが多いので、設計段階の確認が効く
3. 騒音(風切り音・絞り音)
CAVは羽根で風を絞るので、流速が高いと風切り音が出ます。会議室や役員室など静かさが求められる部屋では問題になりやすいです。
- 対策:ダクト内流速を抑える、消音ボックス・消音内貼りの設置、CAVの設置位置を居室から離す
僕の感覚だと、この3つはどれも「施工図段階で防げるのに、現場が進んでから発覚する」のが厄介なところです。特に納まりと温度ムラは、付けてしまってから直すと工程にもコストにも響きます。CAVは機器単体で見ると地味ですが、ダクトの太さ・系統の組み方・流速まで含めて考えると、施工管理が早い段階で押さえておくべき要素が詰まっています。逆に、施工図でここまで読めていると「設計の意図を理解して納める施工管理」として一目置かれるようになります。
CAVに関する情報まとめ
- 定義:ダクトの圧力が変動しても風量を一定に保つ装置(Constant Air Volume=定風量装置)
- 仕組み:風速・差圧をセンサーで感知し、羽根を開閉して風量を維持(圧力独立形)
- 構成要素:電源・配線不要でシンプルな「機械式」、精度が高く監視連携できる「電子式」
- VAVとの違い:CAVは風量一定・換気重視、VAVは風量可変・省エネ重視。優劣でなく目的の違い
- ダンパー(VD)との違い:VDは手動固定、CAVは圧力変動に自動追従。役割が違うので併用が基本
- メリット:換気量を常に確保/制御がシンプル/気流が安定/設計風量を保証
- デメリット:省エネ性が低い/部屋ごとの温度制御が苦手/ダクトが太い/騒音が出やすい
- 選定の判断軸:換気量の重要度/室温制御の細かさ/省エネ要求/室圧管理の4軸で選ぶ
- 用途:劇場・工場・実験室・病院・クリーンルーム・厨房など「換気を切らせない部屋」
- 試運転(TAB):設定風量の実測と調整。上流の直管長確保が安定のカギ
- 現場でハマる点:ダクトの納まり/同一系統の温度ムラ/風切り音。いずれも施工図段階で先回り
以上がCAVに関する情報のまとめです。
CAVは「風量を一定に保つ」というシンプルな機器ですが、選定の判断軸(換気か省エネか)と、試運転での風量調整、そして納まり・温度ムラ・騒音という現場トラブルまで含めて理解して初めて、設計意図どおりの空調が実現します。VAVとの違いを「優劣」ではなく「目的の違い」で捉え、機械式と電子式を要件で選び分け、施工図段階で直管長と納まりを読んでおく。この一連の流れを押さえておくと、CAVが出てくる現場で迷うことが減り、設計者からも信頼される施工管理に近づけるはずです。
CAVに関するよくある質問
Q1:CAVは「定風量」と言いますが、何が一定なんですか?
一定に保たれるのは「風量」です。室温ではありません。CAVはダクトの圧力が変動しても、設定した風量を保つように内部の羽根を自動で開閉します。室温の調整は別で、空調機側の送風温度(冷温水コイルの制御)で行います。「風量は固定したまま、送る空気の温度で室温を合わせる」のがCAV方式の基本的な考え方です。
Q2:CAVとVAV、結局どちらを選べばいいですか?
その部屋が「換気量を絶対に落とせないか」で大きく決まります。厨房・実験室・クリーンルーム・手術室のように換気量や室圧を守りたい部屋はCAV、一般事務室やホテル客室のように在室変動が大きく省エネ効果が出る部屋はVAVが基本です。判断軸は「換気量の重要度/室温制御の細かさ/省エネ要求/室圧管理」の4つで、省エネだけで決めず、換気の確実性とセットで考えるのがポイントです。
Q3:機械式CAVと電子式CAVはどう使い分けますか?
中央監視で風量を見たい・遠隔で設定を変えたい現場は電子式、そこまで要らずコストを抑えたい小規模な現場は機械式が基本です。機械式は電源・配線が不要で施工がシンプル、故障も少ない反面、設定風量を後から大きく変えにくいです。電子式は精度が高く監視と連携できますが、電源と制御配線が必要になるので、電気工事との取り合いを施工図段階で確認しておく必要があります。
Q4:CAVを入れたら風量調整ダンパー(VD)は要らないですか?
要らなくはなりません。役割が違うので併用が基本です。VDは系統全体の大まかな風量バランスを手動で取る部材、CAVは各ゾーンの最終的な風量を圧力変動に追従して保証する装置です。CAVにも制御できる範囲(ターンダウン)の限界があるので、入口側で大きくバランスがズレていると、CAVだけでは風量を守りきれません。VDでざっくり整えて、CAVで仕上げる、という分担で考えるといいです。
Q5:CAVなのに試運転で風量が安定しません。何を疑えばいいですか?
まずCAV上流の直管長を疑ってください。CAVは入口の気流が乱れていると正しく風量を測れず、制御が不安定になります。分岐の直後やエルボの直後にCAVを付けていると、気流が乱れて風量が暴れることがあります。メーカー指定の上流側直管長(おおむねダクト径の数倍)が確保できているかを確認しましょう。そのほか、送風機の能力不足、上流VDの開度、電子式ならセンサーの異常なども原因になります。
Q6:CAVはダクトが太くなると聞きました。納まりで気をつけることは?
CAVは最大風量を常時流す前提なので、ダクト断面が大きくなりがちです。天井内で配管・ケーブルラック・スプリンクラーなど他工種と干渉しやすいので、施工図段階で総合図に落として位置・ルート・直管長・点検口まで調整しておくのが鉄則です。特に点検口は、機械式の調整部や電子式のセンサー・モーターに手が届く位置に計画しないと、引渡し後のメンテで困ります。
Q7:省エネ改修でCAVをVAVに変えたいと言われました。どう判断すればいいですか?
その部屋が換気量を落としても問題ないかを最初に確認します。一般事務室のように在室変動が大きい部屋なら、VAV化で送風動力を絞れて省エネ効果が出やすいです。一方、厨房・実験室・クリーンルームなど換気量や室圧を守る必要がある部屋は、安易にVAV化すると換気不足や室圧崩れを招くので注意が必要です。VAV化には制御の追加や系統の見直しも伴うので、省エネ効果と改修コスト、換気要件をセットで設計者と検討するのが現実的です。
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