- カードキーって結局どういう仕組みなの?
- 種類が多くてどれを選べばいいか分からない
- ICカードとRFIDって何が違うの?
- 磁気カードとICカードどっちがいい?
- FeliCaとMIFAREの違いは?
- 配線ってどうやるの?線種・太さは?
- 制御盤とリーダーと電気錠、どうつながってるの?
- 建具との取り合いで気をつけることは?
- 火災のとき扉は開くの?(非常解錠)
- 後付けと新築で施工は違う?
- 導入費用はどれくらい?
上記の様な悩みを解決します。
カードキーは、オフィス・ホテル・テナントの入退室管理でほぼ標準になっている解錠方式で、電気施工管理にとっては「電気錠+カードリーダー+制御器+電源」をどう配線して納めるかが腕の見せ所になる設備です。ネット上の記事はカードの仕組みやサービス紹介ばかりで、「現場でどう配線して、建具とどう取り合うか」までちゃんと書いてあるものが少ないんですよね。今回は定義・種類・ICとRFIDの違いといった基本を押さえた上で、現役の電気施工管理目線で「システム構成」「配線・施工方法」「建具との取り合い」「火災時の非常解錠」など、現場で実際にハマるポイントまで網羅的に整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
カードキーとは?
カードキーとは、結論「カードをかざす・差し込む・スライドさせることで認証し、電気錠を解錠する鍵システム」のことです。
物理的な鍵(ギザギザの金属キー)の代わりに、カード1枚で扉の施錠・解錠を行います。カード側に記録された識別情報をリーダー(読み取り機)が読み取り、その情報が登録済みなら制御器が電気錠に解錠信号を送る、という流れで動きます。物理鍵と決定的に違うのは「誰が・いつ・どの扉を開けたか」を履歴として残せる点で、ここがオフィスやホテルでカードキーが選ばれている一番の理由です。
施工管理の現場では、テナントオフィスの内装工事・ホテルの新築・既存ビルのセキュリティ更新などで、電気工事の一部として「入退室管理(カードキー)」が降ってくることが多いです。電気錠そのものの整理はこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、カードキーは「電気錠の解錠方式のひとつ」と捉えると整理しやすいです。電気錠という大きな箱の中に、解錠の手段としてカード認証・暗証番号・生体認証・スマホがあって、そのうちカードを使うものがカードキー、という位置づけですね。新人の頃は「カードキー」と「電気錠」を別物だと思っていましたが、扉側のハードは同じ電気錠で、入力デバイスがリーダーになっているだけ、と分かってから一気に頭が整理されました。
カードキーの種類
カードキーは、カードの記録方式で大きく3種類に分かれます。現場で出会うのはほぼ「ICカード式」ですが、既存設備の更新だと磁気式や差込式が残っていることもあるので、見分けられるようにしておくと役立ちます。
| 種類 | 記録方式 | 読み取り方 | 主な使われ方 | 防犯性 |
|---|---|---|---|---|
| 差込式(穿孔式) | カードの穴の位置 | 端末に差し込む | 古いホテル・古い設備 | 低 |
| 磁気カード式 | 磁気ストライプ | 差し込む/スライド | 大型ホテル・旧来オフィス | 中(低め) |
| ICカード式 | 内蔵ICチップ | リーダーにかざす | 現在の主流(オフィス・ホテル) | 高 |
各方式の特徴
- 差込式:カードに開けた穴のパターンで認証する最も古い方式。構造が単純で安価ですが、複製されやすく今はほぼ使われません
- 磁気カード式:カード裏の磁気ストライプに情報を記録。安価で大量発行に向く一方、磁気不良(スマホや他カードとの接触で消える)や摩耗で読めなくなるトラブルが多い
- ICカード式:ICチップとアンテナを内蔵し、リーダーにかざすだけで非接触で通信。複製が難しく履歴も細かく取れるので、現在の入退室管理はほぼこれ
僕としては、新規で設計するならICカード式一択だと感じます。磁気式は初期コストこそ安いですが、「カードが読めない」というクレームが日常的に出るので、運用が始まってから総務やフロントが疲弊するんですよね。施工の見積り段階で磁気式の指定が来たら、「IC式との差額と運用負担」を一度施主に確認しておくと、後で揉めにくいです。
カードキーとICカード・RFIDの違い(仕組み)
「ICカードとRFIDって何が違うの?」という疑問はかなり多いですが、結論から言うと両者は対立する概念ではありません。RFIDという技術の一部としてICカードがある、という包含関係です。
RFID(Radio Frequency Identification)は「電波を使って非接触で情報をやり取りする技術」全般を指します。ICカードは、そのRFID技術を使った媒体のひとつで、カードの形をしているものです。つまり「ICカード式カードキー=RFIDを使ったカードキー」であって、別物として比べるものではないんですね。
| 用語 | 指すもの | 関係 |
|---|---|---|
| RFID | 電波で非接触通信する技術の総称 | 上位概念(技術) |
| NFC | RFIDのうち近距離(〜十数cm)用の規格 | RFIDの一部 |
| ICカード | NFC等を内蔵したカード媒体 | 技術を使った「モノ」 |
非接触ICカードが動く仕組み
非接触ICカードには電池が入っていません。ではどうやって動くかというと、リーダーから出ている電波(電磁界)をカード内のアンテナで受けて、その電力でICチップが起動し、記録された識別情報をリーダーに返す、という仕組みです。電力供給と通信を電波だけで完結させているので、かざすだけで認証できるわけですね。
LAN配線などの通信系と同じく「弱電(じゃくでん)」の世界の話なので、電気施工管理としては動力系とは別物として扱います。LAN配線の基礎はこちらが参考になります。

僕の感覚だと、ここは現場で施主や他職に説明する場面が意外と多いところです。「RFIDとICカードどっちにするの?」と聞かれることがありますが、「RFIDは技術の名前で、ICカードはその技術を使ったカードのことです」と一言で返せると、打ち合わせがスムーズになります。用語を正確に押さえておくと、設計事務所やメーカーとの会話で足元を見られにくくなりますよ。
FeliCaとMIFAREの違い
ICカード式に決まると、次に出てくるのが「規格はFeliCaかMIFAREか」という話です。リーダーとカードの規格が合っていないと読み取れないので、施工前に必ず揃える必要があります。
| 項目 | FeliCa | MIFARE |
|---|---|---|
| 開発元 | ソニー(日本) | NXP(旧フィリップス/欧州) |
| 周波数 | 13.56MHz | 13.56MHz |
| 通信速度 | 速い | 標準 |
| セキュリティ | 高い | 標準〜高 |
| 主な普及域 | 日本国内(Suica等) | 世界標準 |
| 主な用途 | 交通系・国内オフィス | ホテル・海外・大規模施設 |
FeliCaは日本独自の規格で、交通系ICカード(Suica・ICOCAなど)や国内のオフィスセキュリティでよく使われます。通信速度が速く、セキュリティも高いのが特徴です。一方MIFAREは世界標準として広く普及していて、コスト面で有利なため大規模ビルやホテルのカードキーで採用されることが多いです。
現場での確認ポイント
- 既存カードを流用するか:社員証や交通系カードを鍵として使う指定があれば、対応規格のリーダーが必須
- リーダーとカードの規格一致:FeliCa用リーダーにMIFAREカードはかざしても読めない(マルチ対応機もある)
- 発行枚数とコスト:大量発行ならMIFARE系がコストで有利になりやすい
僕としては、規格の指定は「メーカー・運用側の決め事」なので、施工側で勝手に決めずに必ず仕様書とメーカー回答を確認するのが鉄則だと感じます。リーダーを取り付けてからカードが読めない、となると配線後の手戻りになるので、機器の発注前に「カード規格=リーダー規格」が一致しているかを図面でチェックしておきます。
カードキー(電気錠)システムの構成
カードキーは「カード1枚」で成り立っているわけではなく、扉まわりにいくつかの機器がセットで必要です。電気施工管理としては、この構成を理解していないと配線も拾い出しもできません。
| 機器 | 役割 | 設置場所 |
|---|---|---|
| カードリーダー | カードを読み取り、信号を制御器へ送る | 扉の外側(壁) |
| 電気錠本体 | 制御器の信号で施錠・解錠する錠前 | 扉・枠 |
| 制御器(コントローラ) | 認証判定と電気錠の制御を行う頭脳 | 天井裏・EPS・事務室等 |
| 電源装置 | 各機器に電源を供給(AC100V→DC) | 制御器近傍 |
| 操作盤・解錠ボタン | 室内側からの解錠、非常解錠など | 扉の内側 |
最小構成と拡張
最小構成は「リーダー1台+電気錠制御器1台+電気錠1個」です。1枚の扉から始められて、扉を増やすたびにリーダーと電気錠を足していく形になります。
- 1ゲート(扉1枚):リーダー+制御器+電気錠+電源の最小セット
- 複数ゲート:制御器に複数の扉をぶら下げる、またはネットワークで連携
- 入退室管理システム化:制御器をLANでサーバー/クラウドに接続し、履歴管理・遠隔解錠まで拡張
入退室管理システムとしての全体像はこちらにまとめています。

僕の感覚だと、新人がつまずきやすいのは「リーダーと電気錠は別物」という点です。リーダーはあくまで入力デバイスで、実際に扉を施錠しているのは電気錠。この2つの間に制御器が挟まって判断している、という三層構造を押さえると、配線図がぐっと読めるようになります。
カードキーのメリット
カードキーの主なメリットは次の4つです。物理鍵と比べたときの強みがそのまま導入理由になります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 入退室の履歴が残る | 誰が・いつ・どの扉を開けたか記録できる |
| 鍵の管理が楽 | 紛失時はそのカードだけ無効化、合鍵作成不要 |
| 締め忘れが減る | オートロック化で自動施錠できる |
| 権限を柔軟に設定 | 人・扉・時間帯ごとに通行権限を割り当て可能 |
特に効くシーン
- 退職・異動時:その人のカードを無効化するだけ。物理鍵のように鍵交換やシリンダー交換が不要
- セキュリティ事故時:履歴をたどって「いつ誰が入ったか」を特定できる
- 時間帯管理:深夜は役職者だけ、休日は無効、といった制御が可能
- 複数拠点運用:1枚のカードで複数のビル・部屋を管理できる
物理鍵そのものとの違いを整理したい場合は、鍵シリンダーの記事も参考になります。

僕としては、カードキーの本質的な価値は「鍵を物理的に配り回らなくていい」点だと感じます。物理鍵は紛失したらシリンダーごと交換で数万円、合鍵管理も台帳でアナログ。カードキーなら管理画面でポチッと無効化して終わりです。施主にメリットを説明するときは、「鍵交換コストがゼロになる」という運用面を推すと刺さりやすいですよ。
カードキーのデメリットと防犯性
便利な反面、カードキーにもデメリットははっきりあります。施工後に「こんなはずじゃなかった」とならないよう、施主に事前共有しておくと親切です。
| デメリット | 内容 | 対処 |
|---|---|---|
| 停電で動かない | 電気で制御するため電源喪失に弱い | 非常用電源・機械式併用・停電時解錠仕様 |
| カード紛失・盗難 | 拾った人に使われるリスク | 即時無効化・暗証番号併用(2要素) |
| 磁気・破損で読めない | 特に磁気式で多い | IC式採用・予備カード運用 |
| 初期費用がかかる | 機器・配線・工事費 | 扉数を絞る・段階導入 |
| 締め出し | カードを室内に忘れて締め出される | 非常解錠・スペアキー運用 |
防犯性の考え方
防犯性は「方式」と「運用」の両輪で決まります。IC式は複製が難しく履歴も残るので、物理鍵より防犯性は高いと言えます。ただし、カードを共用したり、紛失を放置したりすると意味がないので、運用ルールとセットで初めて効きます。
- 複製リスク:IC式は磁気式より複製が困難。差込式・磁気式は相対的に弱い
- 履歴の抑止力:入退室記録があること自体が不正の抑止になる
- 2要素化:カード+暗証番号にすると、拾われても開けられない
僕の感覚だと、現場で一番リアルに効いてくるデメリットは「停電」です。設計段階で「停電時は施錠のままか、解錠するか(フェイルセーフ/フェイルセキュア)」をどちらにするか決めておかないと、防災・避難の観点で後からやり直しになります。ここは次の配線・防災連動の話と直結するので、施工前に必ず仕様を握っておきます。
カードキーの配線・施工方法
ここがこの記事の本題で、電気施工管理が一番知りたい部分だと思います。カードキーの配線は「電源電圧」「ケーブルの線種・線径・距離」「接点の種類」の3点を最初に確定させると、トラブルの大半は事前に防げます。
まず押さえる電源と二次側配線
制御器・電源装置には基本AC100Vを供給し、そこから二次側(DC側)で電気錠・カードリーダー・操作盤へ配線していきます。一次側(AC100V)と二次側(低圧DC・信号)を分けて考えるのが基本です。
| 区間 | 配線の性質 | 注意点 |
|---|---|---|
| 電源→制御器(一次) | AC100V電源 | 専用回路で確保、容量計算 |
| 制御器→電気錠 | DC電源+制御信号 | 電圧降下に注意 |
| 制御器→リーダー | 信号線(弱電) | ノイズ対策・距離制限 |
| 室内→制御器 | 解錠ボタン・非常解錠の接点 | 接点仕様の確認 |
配線で一番多いトラブル「電圧降下」
電気錠が動かない原因で最も多いのが、電圧降下によるソレノイド(電磁石)不動作です。ケーブルの線径不足や、配線距離の見積りが甘いと、末端の電気錠まで十分な電圧が届かず「カードは認証されるのに錠が動かない」という症状になります。
- 線径を上げる:距離が長いなら太い線で電圧降下を抑える
- 距離を正確に拾う:天井内の引き回し分まで含めて実長で計算する
- メーカー指定を守る:機器ごとに「最大距離○m・推奨線種」が決まっている
リーダーと制御器の間、電気錠と制御器の間は、指定の配線材で最大100m程度が目安になることが多いですが、必ず機器ごとの仕様で確認します。
ノイズ対策
カードリーダーは微弱な信号を扱う弱電機器なので、ノイズに弱いです。動力線と一緒に転がすと誤作動の原因になります。
- 動力線と離す:信号線は動力線から30cm以上離す、または金属セパレーター付きダクトで分離
- シールド線のアース:シールド付きケーブルは片端接地が基本(両端接地は循環電流の原因)
- 電源を分ける:ノイズ源(インバータ機器等)と電源系統を分ける
動力配線との取り合いの基本はこちらが参考になります。

僕としては、配線で失敗しないコツは「拾い出しの段階で電圧降下とノイズを織り込む」ことだと感じます。図面上の直線距離だけで線を拾うと、天井内の立ち上げ・回り込みで実長が1.5倍になって電圧降下、なんてことが起きます。リーダー周りは動力と離す前提でルートを引いておくと、後から「誤作動するから引き直し」という最悪のパターンを避けられます。
カードキーと建具・建築工程との取り合い
カードキーは電気工事だけで完結せず、建具(扉)・建築躯体との取り合いが命です。ここは競合のサービス紹介記事ではまず触れられない、現場ならではの論点です。
扉への通線(ヒンジ側の処理)
電気錠やリーダーへの配線は、固定枠側から可動する扉側へ電線を渡す必要がある場合があります。扉は開閉するので、ヒンジ側に「ヒンジ通線(電気丁番)」や「フレキシブルな渡り配線」を使って、開閉で電線が断線しないように納めます。ここを建具屋と詰めておかないと、扉が付いてから「配線を通す穴がない」と発覚します。
- 電気丁番(ヒンジ通線):扉の蝶番から配線を通す金物。建具発注前に指定が必要
- 枠内の配線スペース:枠に電線を通す経路を確保してもらう
- モルタル充填前の先行配管:RC躯体なら打設前に配管を仕込む
建具の図面(キープラン・建具表)の見方はこちらが参考になります。

建築工程との連動
電気施工管理の鉄則として、カードキーの配線は躯体・建具の工程と並べて管理します。
- 躯体打設前:RC壁を貫通する配管・スリーブを先行で仕込む
- 建具枠取付時:枠内配線・電気錠の堀込み加工を建具と同時に段取り
- 内装仕上げ前:リーダー取付位置の下地・ボックスを壁内に確保
- 自動ドアとの取り合い:自動ドア+カード認証の場合は制御の連携を確認
自動ドアと組み合わせる場合はこちらも合わせて確認しておくとよいです。

僕の感覚だと、カードキーの現場で一番事故が起きるのが「建具発注に電気の要求が間に合わない」パターンです。電気丁番や錠の堀込みは建具製作時に仕込む必要があるので、建具の発注前に電気側の仕様(リーダー位置・通線方法・錠種)を建具屋と握っておかないと、現場で扉に穴を開ける羽目になります。電気・建築・建具の三者で早めに取り合い図を作るのが、結局一番の近道です。
防災設備との連動と非常解錠
カードキーで絶対に外せないのが、火災など非常時に「扉が避難の妨げにならないようにする」という防災の観点です。ここは建築基準法・消防法に関わる重要ポイントで、競合記事ではほとんど語られません。
避難経路上の電気錠は、火災報知設備の発報や停電に連動して自動で解錠する(または手動で容易に解錠できる)必要があります。避難する人が鍵で締め出されては命に関わるからです。この「いざというとき開く/閉じる」の考え方が、電気錠の2つの方式です。
| 方式 | 通電時 | 停電時 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| フェイルセーフ(通電施錠) | 施錠 | 解錠 | 避難経路・非常口側 |
| フェイルセキュア(通電解錠) | 解錠保持に通電 | 施錠 | 防犯優先の倉庫・金庫室等 |
連動で確認すること
- 自動火災報知設備との連動:発報時に避難経路の電気錠を一斉解錠する制御
- 非常解錠ボタン:室内側から鍵なしで脱出できる手段の確保
- 停電時の挙動:避難経路はフェイルセーフ(停電で解錠)が基本
- シリンダー併用:電気が死んでも物理鍵で開けられる二重化
火災報知まわりの設備感をつかみたい場合は、煙感知器の記事も参考になります。

僕としては、ここは「防犯」と「避難」がトレードオフになる一番デリケートな部分だと感じます。防犯を優先して全部施錠で固めると避難で死人が出るし、避難を優先して全解錠にすると防犯がザル。どの扉を通電施錠にして、どの扉を通電解錠にするか、必ず設計・消防と協議して図面に落としてから施工に入ります。ここを曖昧にしたまま結線すると、消防検査で確実に止まります。
カードキーと他の解錠方式の比較
カードキーは電気錠の解錠方式のひとつなので、暗証番号・生体認証・スマホ解錠といった他の方式とよく比較されます。現場で「どれにする?」と相談されたときに整理して答えられると役立ちます。
| 方式 | 防犯性 | 利便性 | コスト | 弱点 |
|---|---|---|---|---|
| カード認証 | 中〜高 | 高 | 中 | 紛失・貸し借り |
| 暗証番号(テンキー) | 中 | 中 | 低 | 番号漏れ・盗み見 |
| 生体認証(指紋・顔) | 高 | 中 | 高 | 機器が高価・誤認識 |
| スマホ(アプリ) | 中〜高 | 高 | 中 | 電池切れ・通信依存 |
組み合わせ(多要素)の考え方
最近は単独方式より、2つを組み合わせて防犯性を上げる現場が増えています。
- カード+暗証番号:拾われても番号が分からなければ開かない
- カード+生体:なりすましをほぼ防げる高セキュリティ区画向け
- 時間帯で切替:日中はカードのみ、夜間は2要素、など
僕の感覚だと、オフィスのエントランスはカード単独、サーバー室や役員室は2要素、という具合に「区画のセキュリティレベルで方式を分ける」のが現実的だと感じます。全部を最高セキュリティにするとコストが跳ね上がるので、施主と「どこを守りたいか」を整理してメリハリをつけるのが、提案としても喜ばれます。
カードキーの導入費用と後付け
費用は「扉の数」「新築か後付けか」「システム化のレベル」で大きく変わります。あくまで現場感としての目安ですが、考え方を整理しておきます。
費用を左右する要素
- 扉の数:リーダー+電気錠+制御+配線が扉ごとに発生
- 新築か既存改修か:既存扉への後付けは配線ルート確保が割高になりやすい
- システム化の範囲:単体オートロックか、サーバー連携の入退室管理かで桁が変わる
- 電気錠の種類:扉の構造(框戸・フラッシュ戸・自動ドア)で錠と加工費が変わる
新築と後付けの施工の違い
| 項目 | 新築 | 既存扉への後付け |
|---|---|---|
| 配線ルート | 躯体・天井に先行配管で隠蔽 | 露出配線・モール処理になりがち |
| 建具加工 | 製作時に錠・通線を仕込む | 現地で堀込み・穴あけ |
| 電源確保 | 設計段階で専用回路 | 既存盤から増設 |
| 工期・費用 | 計画的で割安 | ルート制約で割高 |
電気設備全体の中での位置づけを俯瞰したい場合はこちらが参考になります。

僕としては、後付けの見積りで一番ブレるのが「配線ルート」だと感じます。新築なら天井内に隠蔽できますが、既存テナントだと天井を開けられない・PSが使えないといった制約で、露出配線やモール処理が増えてコストも手間も膨らみます。現地調査で天井裏とEPS・PSの状況を必ず確認してから拾い出すのが、見積りを外さないコツです。
カードキーに関する情報まとめ
- 定義:カードをかざす・差し込むことで認証し、電気錠を解錠する鍵システム
- 種類:差込式・磁気カード式・ICカード式の3種類、現在はIC式が主流
- ICとRFIDの違い:RFIDは電波通信技術の総称、ICカードはそれを使ったカード媒体(包含関係)
- 仕組み:非接触ICカードは電池不要、リーダーの電波で起動して識別情報を返す
- FeliCaとMIFARE:日本標準のFeliCaと世界標準のMIFARE、リーダーと規格を一致させる
- システム構成:リーダー+電気錠+制御器+電源+操作盤、最小は1ゲート単位
- メリット:履歴が残る/鍵管理が楽/締め忘れ防止/権限を柔軟設定
- デメリット:停電に弱い/紛失リスク/初期費用、防犯は方式+運用の両輪
- 配線・施工:電源電圧・線種線径距離・接点の3点を先に確定、電圧降下とノイズに注意
- 建具・建築取り合い:電気丁番での通線、躯体先行配管、建具発注前の仕様握りが命
- 防災連動:避難経路はフェイルセーフ(停電解錠)、火災報知連動の非常解錠を消防と協議
- 他方式比較:暗証番号・生体・スマホと区画のセキュリティレベルで使い分け
- 導入費用:扉数・新築/後付け・システム化レベルで変動、後付けは配線ルートが割高
以上がカードキーに関する情報のまとめです。
カードキーは「カードの仕組み」だけ知っていても現場では足りなくて、電気錠・リーダー・制御器をどう配線し、建具とどう取り合い、火災時にどう解錠するか、まで含めて初めて納まる設備です。配線の電圧降下とノイズ、建具発注前の仕様握り、防災連動の非常解錠、この3つを押さえておけば、テナント工事でもホテルでも通用するカードキーの施工ができるようになるはずです。電気錠・入退室管理・LAN配線あたりと合わせて理解しておくと、セキュリティ系の電気工事に強くなれますよ。
カードキーに関するよくある質問
Q1:ICカードとRFIDは結局どっちを選べばいいんですか?
選ぶ・選ばないという関係ではありません。RFIDは「電波で非接触通信する技術」の総称で、ICカードはそのRFID技術を使ったカード媒体です。つまり非接触のICカードキーは、もともとRFID(の近距離規格であるNFC)を使って動いています。打ち合わせで「RFIDにするかICカードにするか」と聞かれたら、「RFIDは技術名、ICカードはその技術を使ったカードのこと」と整理して、実際にはFeliCaかMIFAREかという規格の話に落とし込むと話が早いです。
Q2:磁気カードとICカード、どちらがおすすめですか?
新規ならICカードをおすすめします。磁気カードは初期コストが安く大量発行に向きますが、スマホや他のカードとの接触で磁気が消えたり、摩耗で読めなくなったりするトラブルが多く、運用が始まってからフロントや総務の負担が増えます。ICカードは非接触で複製も難しく、履歴も細かく取れるので、防犯性・運用性の両面で有利です。既存設備が磁気式で、それを流用する縛りがある場合だけ磁気式を検討する、という判断でよいと思います。
Q3:カードキーの配線で一番気をつけることは何ですか?
電圧降下です。電気錠が動かないトラブルの多くは、ケーブルの線径不足や配線距離の見積り不足で、末端の電気錠まで十分な電圧が届かないことが原因です。「カードは認証されるのに錠が動かない」という症状が典型です。対策は、配線を実長(天井内の引き回し込み)で正確に拾い、距離が長ければ線径を上げ、メーカー指定の最大距離・推奨線種を守ること。あわせて、リーダーの信号線は動力線から離してノイズ対策をしておくと、誤作動も防げます。
Q4:火災のとき、カードキーの扉は開くんですか?
避難経路上の扉は、火災時に開くように設計するのが原則です。これをフェイルセーフ(通電施錠)方式といい、通電中は施錠、停電や火災報知設備の発報に連動して自動解錠します。逆に防犯を優先する倉庫や金庫室などはフェイルセキュア(通電解錠)にすることもあります。どの扉をどちらにするかは建築基準法・消防法に関わるので、必ず設計者・消防と協議して図面に落としてから施工します。あわせて室内側からは鍵なしで脱出できる非常解錠の手段も確保します。
Q5:既存のオフィスにカードキーを後付けできますか?
できます。ただし新築より割高・手間が増えやすいです。理由は配線ルートで、天井を開けられない・PS(パイプスペース)が使えないといった制約があると、隠蔽配線ができず露出配線やモール処理になります。また既存の扉に電気錠を入れるには現地で堀込みや穴あけ加工が必要になり、扉の構造によっては加工できないこともあります。後付けを検討するときは、まず現地調査で天井裏・EPS・PSの状況と扉の構造を確認してから費用を出すのが失敗しないコツです。
Q6:カードを紛失したらどうなりますか?
カードキーの大きな利点がここで、紛失したカードはシステム上で即時に無効化できます。物理鍵のようにシリンダーごと交換する必要はなく、無効化すれば拾われても開けられません。新しいカードを発行すれば運用を続けられます。さらに防犯性を上げたい区画では、カード+暗証番号の2要素にしておくと、カードを拾われても番号が分からなければ解錠できないので安心です。紛失時の無効化フローを運用ルールとして決めておくと、いざというとき慌てずに済みます。
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