- 省エネ電気って具体的に何をすること?
- LED化って実際どれくらい元が取れる?
- デマンド制御ってどういう仕組み?
- 力率改善で基本料金が下がるって本当?
- 省エネ法ってどこまで関係する?
- 補助金は使えるの?
上記の様な悩みを解決します。
「省エネ電気」は電気設備の現場で5年前と比べて急激に重要度が上がっている領域で、施工管理として知らないと提案で負けます。LED化からデマンド制御、補助金まで一通り押さえておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
省エネ電気とは?
省エネ電気とは、結論「電気設備の運用と機器更新によって、消費電力(kWh)と契約電力(kW)を減らすあらゆる取組み」のことです。
ざっくり言うと、「同じ仕事をしながら、電気代を下げる工夫すべて」が省エネ電気の対象。LED照明への更新、エアコンの高効率化、デマンド制御、力率改善、太陽光発電と蓄電池の組み合わせなど、手段は多岐にわたります。
→ ざっくり、「電気の使用効率を上げて電気代を減らす取組み」が省エネ電気、というイメージです。
最近は国の「2050年カーボンニュートラル」目標に向けた義務化・補助金が動いているので、施主からの提案要請も増えています。電気設備全体の話はこちら。

省エネ電気の主なアプローチ
省エネ電気の手段は大きく4タイプに分けられます。
| アプローチ | 主な手段 | 削減効果 | 投資回収 |
|---|---|---|---|
| 照明の高効率化 | LED化、Hf蛍光灯化 | 30〜70% | 2〜5年 |
| 空調の高効率化 | 高効率エアコン、インバータ化 | 20〜40% | 5〜8年 |
| 電力契約・運用の最適化 | デマンド制御、力率改善 | 5〜15% | 1〜3年 |
| 創エネ・蓄エネ | 太陽光発電、蓄電池、V2H | 30〜80% | 7〜15年 |
→ 投資回収(ROI)の早い順に攻めるのがセオリー。まず力率改善(1年)→デマンド制御(2年)→LED化(3年)→空調更新(5年)→創エネ(10年)というのが現実的な順番。
LED化・デマンド制御・力率改善(投資回収の早い3施策)
省エネ電気を始めるとき、まず手をつけるべきが「LED化」「デマンド制御」「力率改善」の3つ。投資回収が短く、効果が分かりやすいのが共通点です。
LED化の費用対効果
最もポピュラーな省エネ電気がLED化。実際の投資回収を試算してみましょう。LED化の試算例(オフィス1フロア)として、既存が40W蛍光灯×100台(年間消費12,000kWh、電気代約36万円)、LED化後が18W LEDベースライト×100台(年間消費5,400kWh、電気代約16万円)、削減額が年間約20万円、工事費が約120万円(器具込み、施工費込み)、単純回収が6年、というかたち。
「LED化は5〜7年で回収」というのが現実的な目安。器具一体型LEDだと製品寿命40,000時間(約13年)なので、回収後7年は丸儲け、という計算になります。
ただし「LED蛍光灯(ランプだけLED化)」は要注意。安いですが、既存器具との適合性問題(安定器バイパス工事の電気工事士資格要求、PSE適合品でない海外品の混入)があります。法的にはランプだけ交換タイプはNG運用になる可能性が高いので、器具ごと交換するのが安全策です。
デマンド制御(最大需要電力の制御)
地味ながら効果が大きいのがデマンド制御。仕組みは、高圧電力契約は「最大需要電力(kW)×単価」で基本料金が決まる、デマンドコントローラで30分平均kWを監視、設定値超過の予兆があると優先順位の低い負荷(一部空調・給湯など)を自動カット、結果として最大需要電力が下がり基本料金が下がる、というあたり。
例えば契約電力500kWの工場が、デマンド制御で480kWまで抑制すると、基本料金が年間約36万円ダウン(地域・契約単価による)。設備投資は、デマンドコントローラ本体が50〜100万円、既存設備への信号配線工事が50〜200万円、合計100〜300万円、投資回収2〜4年、というかたち。「契約電力を1段階(10kW単位)下げる」ことができれば、追加で年20〜40万円の削減になります。コンデンサの話はこちら(力率改善で出てきます)。

力率改善(進相コンデンサ)
意外と知られていないのが力率改善。仕組みは、モーター・蛍光灯安定器など誘導性負荷は力率を悪化(遅れ力率)、進相コンデンサを並列接続して力率を1.0に近づける、電力会社の力率割引で基本料金が最大15%引き、というあたり。
例えば力率85%→95%に改善した場合の基本料金値引きは、力率85%で基本料金100%、力率95%で基本料金約95%、力率100%で基本料金約85%、というかたち。つまり力率を5〜15%改善するだけで、基本料金が5〜15%下がる。ROIが最も短い省エネ施策で、進相コンデンサ自体は数十万円なので、回収1〜2年という超短期回収が見込めます。「とりあえず最初にやるべき省エネ施策」として、施工管理が施主に提案しやすい施策です。
省エネ法の対象と義務
省エネ電気を語る上で外せないのが「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」。
対象と義務
省エネ法の主な対象は、特定事業者(年間エネルギー使用量1,500kL=原油換算以上)、特定連鎖化事業者(チェーン全体で1,500kL以上)、特定貨物・旅客輸送事業者(保有車両一定以上の運送業)、というあたり。
特定事業者の主な義務は、エネルギー管理統括者・企画推進者の選任、年1回のエネルギー使用状況届出書提出、中長期計画書の提出(5年に1回)、年平均1%以上のエネルギー消費原単位削減目標、というところ。
→ 工場・大規模オフィスビル・大型商業施設はほぼ特定事業者に該当するので、施工管理者は「省エネ法対象顧客には更新提案で省エネ効果を必ず数値化する」のが標準になっています。
主な補助金制度
省エネ電気で活用できる主な補助金は以下。
国の主な省エネ補助金
| 補助金 | 対象 | 補助率 | 申請窓口 |
|---|---|---|---|
| 省エネルギー投資促進支援事業費補助金 | 高効率機器更新 | 1/3〜1/2 | SII(環境共創イニシアチブ) |
| ASSET事業 | エネマネ事業者経由の高効率化 | 1/2 | SII |
| 建築物省エネ改修推進事業 | 既築建物の省エネ改修 | 1/3〜2/3 | 国土交通省 |
| ZEB(ネットゼロエネルギービル)化補助 | 新築・改修ZEB化 | 2/3〜定額 | SII・国交省 |
| 自治体独自補助 | LED化、太陽光、蓄電池 | 自治体次第 | 各自治体 |
最も活用されているのがSIIの補助金。LED化・空調更新・受変電設備更新など、機器単位で申請できるのが特徴です。
補助金申請のリアルな注意点
補助金申請のリアルな注意点は、申請から交付決定まで2〜6ヶ月(着工前必須)、公募期間が短い(年1〜2回・各回1〜2ヶ月)、提出書類が多い(30〜100ページ)、採択率は60〜80%(年・予算枠による)、というあたり。
→ 施工管理側で「補助金交付決定→着工→完了報告→入金」という流れを工程表に組み込むのが鉄則。フライング着工で補助金没収というのは、本当によく起こる事故です。
BEMSとEMS(エネルギーマネジメント)
最近の省エネ電気で外せないのがBEMS(Building Energy Management System)。
構成と効果
BEMSの構成は、計測(電力量計・電力モニタ・温度センサー)、分析(エネルギー使用状況の可視化・ピーク予測)、制御(負荷の自動制御・最適運転スケジュール)、報告(日次・月次のレポート自動生成)、というあたり。
BEMS導入効果は、平均10〜20%のエネルギー削減、機器故障の早期発見(センサー異常検知)、省エネ法の届出資料作成の自動化、というところ。
「見える化だけ」で5〜10%削減できるのがBEMSの面白いところ。エネルギー消費が可視化されると、現場担当者が自然に節電意識を持つという心理効果もあります。トランス全般の話はこちら(受変電と省エネはセット)。


省エネ電気に関する情報まとめ
- 省エネ電気とは:電気設備の運用と更新で消費電力と契約電力を減らす取組み全般
- 主なアプローチ:照明高効率化、空調高効率化、契約・運用最適化、創エネ・蓄エネ
- LED化:投資回収5〜7年、器具ごと交換が安全策
- デマンド制御:契約電力削減で年20〜40万円ダウン、回収2〜4年
- 力率改善:基本料金5〜15%引き、回収1〜2年で最速
- 省エネ法:年間1,500kL以上の事業者は届出・計画書提出義務、原単位1%/年改善
- 主な補助金:SII補助金、ASSET事業、ZEB補助、自治体独自補助
- BEMS導入:見える化で10〜20%削減、省エネ法対応の自動化に有効
以上が省エネ電気に関する情報のまとめです。
一通り省エネ電気の基礎知識は理解できたと思います。「ROIの早い順に攻める(力率→デマンド→LED→空調→創エネ)」「補助金は着工前交付決定」「省エネ法対象なら数値化提案」を押さえておけば、施主への提案で負ける場面はかなり減ります。
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