- 仕上表ってなに?
- 何が書かれているの?
- 内部仕上表と外部仕上表ってどう違うの?
- 略号や記号がよく分からない
- 現場でどう使えばいい?
- 自分で作るときのコツは?
上記の様な悩みを解決します。
仕上表は建築設計図書のひとつで、「どこに」「どんな仕上げ材を使うか」を一覧で分かりやすく示した重要な図書。施工管理者にとっては発注ミス・色違い・後工程との取り合いミスを防ぐためのバイブルになります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
仕上表とは?
仕上表とは、結論「建物の各部位ごとに使用する仕上げ材を一覧表でまとめた図書」のことです。
身近な例で言うと、「この部屋の床はフローリング、壁はクロス、天井はジプトーン、巾木はソフト巾木」というような情報を、部屋ごと・部位ごとに整理した一覧表ですね。
仕上表は、設計図書一式の中でも「どんな材料がいつどこに必要か」が一目で分かるというユニークな立ち位置の図書。意匠図・展開図・平面詳細図に部分的には書かれていますが、全体像をまとめて把握できるのは仕上表だけです。
施工管理者の視点で言うと、
- 材料発注の根拠になる
- 施工順序を決める判断材料になる
- 色や型番のミスを防ぐ照合資料になる
- 発注者・設計者との合意記録にもなる
という、「ないと現場が回らない」レベルの重要書類。仕上工事に関わるすべての職種が参照するので、「仕上表に書かれていない仕様で工事してはいけない」くらいの位置づけです。
仕上表の主な種類
仕上表は、対象範囲によって大きく2つに分かれます。
| 区分 | 対象 | 記載される部位 |
|---|---|---|
| 内部仕上表 | 建物の内側 | 床、壁、天井、巾木、廻り縁、建具枠、その他造作 |
| 外部仕上表 | 建物の外側 | 外壁、屋根、軒裏、サッシ、外構面、防水仕上げなど |
内部仕上表は部屋ごと(または用途ごと)に整理されるのが基本。リビング・寝室・廊下・トイレ・浴室・玄関など、部屋単位で1行を割り当てて、その行に床・壁・天井の仕上げ材を書いていく形が一般的。
外部仕上表は方角や立面別に整理することが多く、東西南北の壁面ごとに仕上げ・色・素材を記載します。
両方を1枚に統合した「仕上表(統合版)」を作る現場もあれば、ボリュームが大きい大規模建築では「内部仕上表」「外部仕上表」を別途作成することも。プロジェクトの規模次第ですね。
仕上表に書かれる記載項目
仕上表の標準的な記載項目は以下。
部屋・部位の特定情報
- 室名/室番号:部屋を一意に識別する
- 室面積:参考用、材料数量算出に使う
- 天井高:参考用
部位ごとの仕上げ仕様
- 床(フロア):仕上げ材+色番号+目地材
- 巾木:高さ、材種、色
- 壁:仕上げ材+色番号、複数面ある場合は各面ごと
- 廻り縁(モール):寸法、色
- 天井:仕上げ材+目地、グリッド寸法
- 造作(カウンター・棚等):素材、サイズ
特記事項
- 見切り材の指定
- 下地仕様(必要な場合)
- 耐水仕様や防火認定
メーカー・型番情報
各仕上げ材ごとにメーカー名・商品名・色番号を明記。これがないと、現場で「ベージュ系って言われたけどどのベージュ?」とトラブルになるんですね。
例:床仕上げ「ノダ:プレシャスフロア/色:オーク(PF-OAK01)/目地:付属推奨目地材」
よく使われる略号・記号
仕上表では、紙面のスペース節約のために略号が多用されます。代表的なものを表で整理。
| 略号 | 意味 | 使用場所 |
|---|---|---|
| F(FL) | 床仕上げ(Floor) | 床欄 |
| W | 壁仕上げ(Wall) | 壁欄 |
| C(CL) | 天井仕上げ(Ceiling) | 天井欄 |
| B(HB) | 巾木(Habaki) | 巾木欄 |
| PB | プラスターボード | 下地表示 |
| GL | グランドライン/レベル | 寸法基準 |
| EP | 塗装仕上げ(Emulsion Paint) | 仕上げ材 |
| CL | クロス(Cloth) | 壁仕上げ |
| AP | アクリル塗装 | 塗装系 |
| OP | 油性塗料(Oil Paint) | 塗装系 |
| VP | ビニル塗料 | 塗装系 |
記号は事務所・設計者によって独自ルールがあるので、図面内に「凡例(略号一覧)」が必ず付いています。最初は凡例を見ながら読み解く、という前提でOK。
なお、各仕上げ材の詳細はこちらも参考に。



典型的なフォーマット例(テキスト表現)
【内部仕上表】
─────────────────────────────────────────
室名 │ 床 │ 巾木 │ 壁 │ 天井
─────────────────────────────────────────
リビング │ 複合フロア(F-1) │ 木製60H │ ビニルクロス(W-1) │ 化粧PB(C-1)
寝室 │ 複合フロア(F-1) │ 木製60H │ ビニルクロス(W-2) │ 化粧PB(C-1)
玄関 │ タイル300角(F-2) │ 同材 │ ビニルクロス(W-1) │ 化粧PB(C-1)
浴室 │ ハーフユニット │ 同材 │ パネル仕上 │ パネル仕上
トイレ │ クッションフロア │ ソフト │ クロス耐水(W-3) │ 化粧PB(C-1)
─────────────────────────────────────────
このフォーマットに、色番号・メーカー・型番などの細かい情報を別途「凡例」または「材料リスト」で詳述する、という二段構成が一般的です。
仕上表の書き方のコツ
施工管理者として仕上表を確認・作成するときのポイントを4つ。
1. 凡例(略号定義)を最初に固める
仕上表内で使う略号・色番号のルールを最初に決めて、図面内の他の場所と整合させる。「F-1がどこを指すのか分からない」状態にしないことが第一歩。
2. 色は必ず「色番号」で指定する
「ベージュ」「アイボリー」「淡い茶色」などの言葉だけだと、メーカー・現場・施主の認識がズレます。メーカーの正式色番号(例:N-65、PF-OAK01)まで明記するのが鉄則。
3. 取り合い部の見切り材を明記する
異なる仕上げの境目(例:フローリングと玄関タイル)には見切り材の有無・寸法・素材を明記。これがないと現場で「どう納めるんだっけ?」となって工事が止まります。
4. 改訂履歴を残す
仕上げは設計途中で変更が頻発する箇所。各仕上表に「Rev番号」「改訂日」「変更内容」を必ず記載し、現場・発注者・各業者と最新版を共有する仕組みを作るのが大事です。
施工管理での仕上表の使い方
現場で仕上表が活躍する具体的なシーン。
1. 材料発注の根拠
各仕上げ材の数量を、室面積・展開図から算出して発注。仕上表の指定材から外れた発注は絶対にやらないのがルール。発注書には仕上表のRev番号を引用すると、後の変更管理が楽になります。
2. 発注者・設計者へのサンプル提出
仕上表に基づいて実物サンプル(A4〜A5サイズの板状サンプル)を取り寄せて、発注者承認を得るのが標準フロー。「色番号は合っているけど現物を見て違うと言われる」ケースを避けるための重要工程ですね。
3. 各業者への展開
クロス屋・タイル屋・塗装屋・床屋など、各業者に「あなたが担当するのはこの部分の仕上げです」と明示するのに使う。業者ごとに必要な部分だけ抜き出した「業者向け抽出版」を作ると、現場の混乱が減ります。
4. 施工確認の照合
仕上工事の完了確認時に、「仕上表通りに施工されているか」を1部屋ずつ確認。色番号・型番・メーカー名まで照合する習慣を持つと、引き渡し後のクレーム発生率が大きく下がります。
5. 施主検査・社内検査での参照
施主検査でも仕上表は基本資料。社内検査と組み合わせて使えば、見落としを大きく減らせます。
社内検査・施主検査については以下も参考に。


仕上表に関する注意点
仕上表で起きがちなトラブルと対策を整理。
1. 改訂版が現場に届いていない
設計事務所では Rev.3 が最新だが、現場のフォルダには Rev.1 しかない、というケースは現場あるある。最新版がどこかを明確にする運用ルール(共有フォルダ、最新フラグ、版数管理)を整備しましょう。
2. 仕上表と展開図・詳細図の不一致
仕上表では「クロスW-1」、展開図では「塗装EP」と書かれていたら現場が混乱します。設計図書同士の整合性を、施工計画段階で必ずチェック。違いがあれば設計者に確認して「正しい仕様」を確定させてから発注するのが安全。
3. メーカーの廃番・色変更
竣工までの数ヶ月の間に、指定の色番号が廃番になることがあります。発注前にメーカーに在庫確認を取り、廃番なら早めに代替品を選定する動きが必要です。
4. 既製品と特注品の区別
仕上表の中には、既製品(メーカー在庫品)と特注品(別注色・別注寸法)が混在することがあります。特注品は納期2〜3ヶ月かかることも多いので、早期発注が必須。仕上表に「特注」「既製」のフラグを明記しておくと、発注計画が立てやすくなります。
仕上表に関する情報まとめ
- 仕上表とは:各部位ごとの仕上げ材を一覧でまとめた図書
- 2種類:内部仕上表(床・壁・天井等)、外部仕上表(外壁・屋根等)
- 記載項目:室名、各部位の仕上げ、色番号、メーカー・型番、特記事項
- 略号:F(床)、W(壁)、C(天井)、B(巾木)、EP・CL等の仕上げ系略号
- 書き方のコツ:凡例を固める、色は番号指定、見切り明記、改訂履歴
- 使い方:材料発注、サンプル承認、業者展開、施工確認、検査資料
- トラブル防止:版管理、図書整合性、廃番対応、特注品の早期発注
以上が仕上表に関する情報のまとめです。
仕上表は地味な書類に見えますが、現場の発注ミス・色違い・取り合いトラブルを防ぐ最強の武器です。「最新版を共有する」「色は番号で指定する」「特注は早期発注」の3つを徹底するだけで、仕上工事のトラブルは大きく減ります。1部屋1部屋を仕上表と照合して確認する習慣を身につけると、引き渡しの品質が一段階上がりますよ。
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