施主検査とは?流れ、チェック項目、指摘事項、立ち会いなど

  • 施主検査って結局なに?
  • 竣工検査や完了検査と何が違うの?
  • いつやる?引き渡しまでの流れは?
  • 施主は何を見るの?チェック項目を知りたい
  • 持ち物は何を用意すればいい?
  • 現場監督として何を準備しておけばいい?
  • 指摘されたらどこまで直すの?
  • 「こんなもんです」ってどう説明したらいい?
  • ホームインスペクターを連れてこられたら詰む?
  • 指摘がたくさん出て引き渡しに間に合うか不安

上記の様な悩みを解決します。

施主検査は、現場監督にとって「現場の出来が施主の目の前で一気に採点される工程」です。職人さんがどれだけ丁寧に作っても、当日の段取りと指摘への対応を間違えると「対応の悪い現場監督」という印象だけが残ってしまいます。今回は定義・竣工検査との違い・流れ・チェック項目・持ち物といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「施主検査前の社内検査での潰し込み」「当日の役割分担」「指摘事項の切り分け基準」「是正管理と引き渡し日からの逆算」「ホームインスペクター同行への対応」など、現場で実際にハマるポイントまで網羅的に整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

施主検査とは?

施主検査とは、結論「引き渡し前に、施主(発注者)が完成した建物を自分の目で確認し、契約・打ち合わせ通りに仕上がっているかをチェックする検査」のことです。読み方は「せしゅけんさ」です。

施工会社や設計者が品質を確認する竣工検査と違って、施主検査は施主が主体になります。施主が「使い勝手」「見た目」「打ち合わせ通りか」といった、図面だけでは判断できない感覚的な部分まで見るのが特徴です。そして施主検査が終わって施主が納得すると、基本的には「建物に問題がないことに同意した」とみなされ、是正のあと引き渡しに進みます。住宅では「内覧会」「完成検査」と呼ばれることもありますが、中身はほぼ同じだと思って大丈夫です。

僕の感覚だと、施主検査は「品質を確定させる最後の工程」と捉えると位置づけが整理しやすいです。新人の頃は「とりあえず施主に見てもらう場」くらいに軽く考えがちなんですが、ここで出た指摘が引き渡し後のクレームや無償補修の火種になります。施主検査を「施工管理の仕上げ」として本気で段取りするかどうかで、その後の楽さが全然変わってくる工程だと思っています。

施主検査と竣工検査・完了検査・社内検査の違い

施主検査と混同されやすいのが「竣工検査」「完了検査」「社内検査」の3つです。主体と目的が違うので、まずここを整理しておきます。

検査の種類 主体 目的 タイミング
社内検査(自主検査) 施工会社(現場監督・社内検査員) 自社基準で施工不良・未施工を潰す 施主検査の前
竣工検査 施工会社・設計者 契約・設計図書通りか技術的に確認 社内検査の後
施主検査 施主(発注者) 使い勝手・見た目・打ち合わせ通りかを施主が確認 竣工検査の後
完了検査 行政・指定確認検査機関 建築基準法に適合しているか確認(法定検査) 工事完了後

完了検査だけは性質が大きく違います。完了検査は建築基準法に基づく法定の検査で、役所または指定確認検査機関が「確認申請の図面通りに建っているか」「違反建築物でないか」を確認します。これに合格して検査済証が交付されないと、原則その建物は適法に使えません。

一方、社内検査・竣工検査・施主検査は法律で義務づけられた検査ではなく、品質を確保するための任意の検査です。確認申請まわりの流れはこちらも参考になります。

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僕としては、この4つは「誰のための、何の検査か」で覚えるのが一番ラクだと感じます。社内検査は自分たちのため、竣工検査は契約のため、施主検査は施主のため、完了検査は法律のため、という整理です。施主に「完了検査と施主検査って何が違うの?」と聞かれることは現場でも結構あるので、ここをサラッと説明できると信頼されますし、逆にしどろもどろになると「この監督、大丈夫かな」と思われてしまいます。

施主検査の流れと引き渡しまでのスケジュール

施主検査は単独で完結する工程ではなく、引き渡しまでの一連の流れの中の1ステップです。工事完了から引き渡しまでの一般的な流れは次の通りです。

  1. 工事完了(仕上げ・美装清掃まで完了)
  2. 社内検査(自主検査)で施工不良を潰す
  3. 竣工検査(施工会社・設計者)
  4. 施主検査(施主が立ち会い確認)
  5. 是正工事(指摘事項の手直し)
  6. 是正確認(施主立ち会いで再確認)
  7. 引き渡し

ここで現場監督が絶対に意識しておきたいのが、施主検査は引き渡し前の最終工程ではないという点です。施主検査のあとには、ほぼ必ず「是正工事」と「是正確認」が入ります。なので施主検査の日程は、引き渡し日から逆算して「是正に使える日数」を確保したタイミングに置く必要があります。

一般的には施主検査は引き渡しの2週間〜1ヶ月前に実施します。これは万一大きな指摘が出ても補修する日数を確保するためです。検査にかかる時間は戸建てで2〜3時間程度、マンション住戸や指摘が多い場合は半日かかることもあります。

是正スケジュールの組み方は工程表の考え方が役立ちます。

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僕の感覚だと、施主検査の日程設定が一番事故りやすいポイントです。引き渡し日ギリギリに施主検査を入れてしまうと、大きな指摘が出たときに是正が間に合わず、引き渡し延期という最悪のパターンになります。引き渡し日が決まっているなら、まず是正に何日いるかを見積もって、そこから逆算して施主検査日を置く、この順番を崩さないのが鉄則だと思っています。

施主検査は何を見る?チェック項目一覧

施主検査では、施主の目線で仕上がりを確認していきます。現場監督としては「施主が何を見るか」を先回りで把握しておくと、当日慌てずに済みます。チェックは大きく5つの領域に分かれます。

領域 主なチェック内容
図面・仕様との整合 建具の種類・開き勝手、窓のサイズ・位置、収納の大きさ、照明・コンセントの数と位置
室内 クロスの傷・汚れ・剥がれ、床鳴り、建具の開閉、巾木・コーキングの乱れ
屋外・外構 外壁・基礎のひび割れや欠け、外構の未施工、雨樋・排水、隣地境界
設備・電気・水回り 給排水の漏れ・詰まり、照明・スイッチの作動、設備のメーカー・品番、換気扇の異音
天井裏・床下 点検口から見える雨染み、断熱材の未施工・剥がれ、ダクトの接続

この中で施主検査特有なのが「図面・仕様との整合チェック」です。傷や汚れは第三者でも見つけられますが、「打ち合わせで変更したはずの内容が反映されているか」は施主本人にしか分かりません。だからこそ施主に図面を持ってきてもらい、一緒に照合する流れを作ると検査がスムーズになります。

特に指摘が出やすい箇所

  • クロスの継ぎ目・入隅出隅の浮きや剥がれ(最も指摘が多い)
  • 建具・収納扉の開閉不良、建て付けの悪さ
  • コンセント・スイッチの位置や数の図面相違
  • 設備の品番違い・取り付け忘れ
  • 床鳴り・歩行時の沈み

実際の現場では、クロスまわりと建具の建て付けで指摘の大半が出ます。逆に言えば、ここを社内検査でしっかり潰しておけば施主検査での指摘は激減します。施工途中の段階検査の考え方は配筋検査の記事も参考になります。

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僕としては、チェック項目を「施主が見る順番」で頭に入れておくと当日の進行がラクになると感じます。だいたいの施主はリビングから入って水回り、各居室、最後に外構という順で見ていくので、その動線に合わせて事前に自分でも一周しておく。そうすると「ここ、たぶん聞かれるな」という箇所が見えてくるので、先に説明を用意しておけます。

施主検査の持ち物と事前準備

施主検査をスムーズに進めるには、施主側・現場監督側それぞれの持ち物を事前に揃えておくことが大事です。当日になって「図面がない」「ペンがない」では検査の精度が落ちます。

施主側に持ってきてもらうものは、最低限この4点です。

  • 図面(電気図面・配置図含む)
  • 仕様書・打ち合わせ記録
  • バインダーと筆記用具
  • スマートフォン(写真撮影・暗所の照明)

これに加えて、メジャー・懐中電灯・手鏡・ウエットティッシュ(換気扇の吸い込み確認用)があると便利です。事前に施主へ「これらを持ってきてください」と案内しておくと、当日の検査の質が上がります。

現場監督側で用意しておくものは次の通りです。

  • 指摘箇所に貼るマスキングテープ(目立つ青や赤)
  • 指摘事項を記録する是正リスト(後述)
  • 各設備の取扱説明書
  • 図面一式と変更履歴
  • 仮設照明(北側居室など暗い部屋用)

僕の感覚だと、マスキングテープと是正リストは現場監督が必ず用意すべき必須アイテムです。施主が「気になる」と言った箇所にその場でテープを貼って、写真を撮って、リストに書く。この3点セットをその場で回せると、「言った言わない」のトラブルがほぼ消えます。逆に口頭で「あ、それ直しときます」と流してしまうと、後で必ず認識ズレが起きます。準備の段階で勝負はかなり決まっていると思っています。

施主検査前の社内検査で指摘を潰し込む

ここからが、競合記事ではあまり踏み込まれていない現場監督向けの本題です。施主検査を指摘ゼロに近づける最大のカギは、当日ではなく「施主検査前の社内検査」にあります。

施主検査で大量に指摘が出る現場は、たいてい社内検査が甘いです。逆に、社内検査で施主目線の項目まで潰しておけば、施主検査は「確認するだけ」の儀式に近づきます。社内検査では次の観点で潰し込みます。

  • 施主が真っ先に見るクロス・建具・床を最優先でチェック
  • 図面・変更履歴と現物を1部屋ずつ照合(特に変更箇所)
  • 全設備を実際に動かして作動確認(通水・通電・換気)
  • 指摘が出やすい入隅出隅・コーキングを重点確認
  • 照明を全点灯し、暗い部屋は仮設照明で明るくして確認

社内検査の詳しいやり方はこちらにまとめています。

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ポイントは、社内検査を「自社基準」ではなく「施主目線」でやることです。施工的には問題なくても、施主が見て気になる仕上がり(わずかなクロスの段差、巾木の隙間など)は施主検査で必ず指摘されます。社内検査の時点で施主の視点に切り替えて一周できるかどうかが、当日の指摘数を左右します。

僕としては、社内検査は「自分が施主だったらどこを見るか」を一度本気で想像してやるのが効くと感じます。プロの目だと無意識にスルーしてしまう小さな傷も、初めて家を買う施主からすれば一生に一度の買い物の粗です。社内検査の段階で施主の気持ちに憑依して一周しておくと、施主検査当日に「あ、それはもう直してあります」と先回りで言える。これができると施主の信頼が一気に上がります。

施主検査当日の段取りと役割分担

施主検査は現場監督1人で回そうとすると必ずどこかで詰まります。営業・設計・職人を含めた役割分担を事前に決めておくのが、当日をスムーズに進めるコツです。

役割 担当 主なタスク
進行・記録 現場監督 検査の進行、指摘の記録、是正可否の判断
施主対応・説明 営業担当 施主への声かけ、スケジュール説明、フォロー
設計意図の説明 設計者 図面相違の説明、仕様変更の経緯説明
設備の操作説明 設備業者・監督 給湯・換気・住宅設備の使い方説明

立ち会いには、施主と一緒に現場監督・営業・設計者のうち1名以上が必ず付くのが基本です。理由は、施主から指摘を受けたときに、その場で是正の要否や対応方法を判断しなければならないからです。誰も判断できないと「持ち帰って確認します」が連発して、検査が前に進みません。

当日の進行は、おおまかに次の流れで組みます。

  • 冒頭にスケジュールと検査の流れを施主に説明
  • 図面照合 → 室内 → 設備 → 外構の順で一周
  • 指摘箇所はその場でテープ貼り・写真・リスト記入
  • 最後に是正内容と是正完了予定日を施主とすり合わせ
  • 設備の取扱説明と引き渡し書類の案内

僕の感覚だと、当日一番大事なのは「進行役を1人に決めておく」ことです。営業も設計も監督もそれぞれ勝手に施主と話し始めると、検査がカオスになって指摘の抜け漏れが出ます。進行は監督が握って、説明が必要な場面で営業や設計に振る、という交通整理ができると、検査が締まります。新人監督がよく失敗するのが、説明に追われて記録が疎かになるパターンなので、記録は記録で別の人に任せる、くらいの体制を組めると安心です。

指摘事項の切り分け基準(是正対象か、説明で済むか)

施主検査で現場監督が一番悩むのが「この指摘、直すべきなのか?」という線引きです。ここを基準なしで対応すると、過剰な手直しでコストと工期を圧迫したり、逆に直すべきものを断ってトラブルになったりします。

判断の基準はシンプルで、「契約書・設計図書・仕様書と現物を照合して、契約不適合に当たるかどうか」です。これを軸に、指摘は大きく3つに切り分けられます。

区分 内容 対応
是正対象 契約・図面と相違、施工不良、未施工、傷・汚れ 是正工事を実施
説明で済む 仕様上わざとそうしている、施工的に正常な範囲 理由を説明して納得してもらう
保証・別途対応 軽微な経年変化の範囲、保証対象外の使用キズ 保証範囲を説明、別途協議

「説明で済む」の代表例が、床材の隙間です。床材は膨張・収縮するため、わざと隙間を空けて施工しているケースがあります。これを無理に埋めると床材が反ったり割れたりするので、直すのではなく理由を説明するのが正解です。施主が「もう少し丁寧にできないの?」と感じる箇所でも、施工的に正常なら、根拠を添えて説明すれば多くの施主は納得してくれます。

僕としては、「こんなもんです」という一言だけで済ませるのが一番まずいと感じます。同じ「直しません」でも、「これは床材が伸び縮みするので、あえて隙間を取っています。埋めると逆に割れるんです」と理由を添えるだけで、施主の受け取り方が全然違う。是正対象かどうかの線引きを自分の中で持っておいて、断る場合は必ず根拠とセットで説明する。この姿勢があるかないかで、施主検査が「信頼を得る場」になるか「不信感を生む場」になるかが分かれると思っています。

指摘事項リストと是正管理|引き渡し日からの逆算

施主検査で出た指摘は、その場で記録して、是正完了まで管理しきって初めて意味を持ちます。ここの管理が甘いと、是正漏れや「直ってない」というクレームに直結します。

指摘事項リスト(是正管理表)には、最低限この項目を入れておきます。

  • 指摘番号と指摘箇所(部屋・場所を具体的に)
  • 指摘内容と写真
  • 是正の要否(前項の切り分け基準で判断)
  • 担当業者と是正予定日
  • 是正完了日と完了確認(施主サイン)

このリストを施主検査当日に作って、その場で施主と内容を確認し、是正完了予定日まで合意しておくのが理想です。是正のたびに前後の写真を残しておくと、「本当に直ったのか分からない」「前より悪くなった」といった揉め事を防げます。

そして是正は引き渡し日から逆算してスケジュールを組みます。指摘の多い少ないで必要日数が変わるので、施主検査の結果を見て是正工程を一度引き直すイメージです。引き渡し書類の準備も並行して進めます。

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僕の感覚だと、是正管理表は「現場監督の信頼の見える化ツール」です。指摘を受けたその日のうちに番号を振って、予定日を入れて、施主に共有する。ここまでやると施主は「ちゃんと管理してくれている」と安心します。逆に、指摘をメモ書き程度で済ませて後で整理しようとすると、必ずどれか漏れます。是正漏れが1個でもあると、それまでの丁寧な対応が全部チャラになるくらいのインパクトがあるので、リスト化は妥協しないところだと思っています。

ホームインスペクター同行検査への対応

最近じわじわ増えているのが、施主が第三者のホームインスペクター(住宅診断士)を施主検査に同行させるケースです。これは競合の施工管理向け記事でもほとんど触れられていませんが、現場監督として身構えておくべき場面です。

ホームインスペクターは建築の専門家なので、施主だけでは気づかない施工的な指摘も出してきます。ここで監督が身構えて防御的になると、かえって「何か隠しているのでは」と不信感を持たれます。基本姿勢は次の通りです。

  • 第三者検査を「品質を一緒に確認してくれる存在」として歓迎する
  • 指摘には根拠を聞き、是正対象かどうかを冷静に切り分ける
  • 専門用語での指摘も、施主に分かる言葉で通訳しながら進める
  • その場で判断できない指摘は持ち帰り、回答期限を明示する

ホームインスペクターの指摘も、対応の基準は通常の指摘と同じです。契約・図面・仕様と照合して、是正対象か説明で済むかを切り分けます。専門家相手だからといって過剰に全部直す必要はなく、施工的に正常な範囲なら根拠を示して説明すれば通ります。

僕としては、ホームインスペクター同行はむしろチャンスだと捉えるくらいでちょうどいいと感じます。きちんと施工できている現場なら、第三者のお墨付きが付くようなものですし、専門家同士で話が早い場面も多い。逆に身構えて対立姿勢になると、施主はインスペクターの肩を持つので孤立します。「一緒にいい家にしましょう」というスタンスで臨めるかどうかで、検査の空気がまったく変わると思っています。

建物別の施主検査の違い(戸建て・マンション・改修)

施主検査は建物の種類によって、見るポイントや進め方が少しずつ変わります。戸建ての感覚のままマンションや改修現場に臨むと、思わぬ抜けが出ます。

建物種別 施主検査の特徴 注意点
注文住宅(戸建て) 打ち合わせ変更が多く図面相違の確認が重要 変更履歴と現物の照合に時間をかける
建売住宅 仕様が固定で仕上がりチェック中心 複数棟の同時引き渡しで漏れに注意
分譲マンション 住戸内+共用部、内覧会形式が多い 検査時間が長引きやすく時間配分が必要
改修・リフォーム 既存部分との取り合い・養生の確認 既存の傷か工事の傷かの切り分けでもめやすい

特に注意したいのが改修・リフォームの施主検査です。新築と違って既存の部分が残るので、「この傷は元からあったのか、工事でついたのか」で施主ともめやすいです。これを防ぐには、着工前に既存部分の状態を写真で記録しておくのが効きます。

マンションの場合は内覧会形式で、検査と並行して設備説明や引き渡し連絡が入るため、検査だけに集中しにくいのが特徴です。時間配分をあらかじめ決めておかないと、検査が消化不良のまま終わってしまいます。

僕の感覚だと、建物種別ごとに「もめやすいポイント」が決まっているので、そこだけ先回りしておくと安心です。注文住宅なら図面相違、改修なら既存との切り分け、マンションなら時間配分。自分が担当する現場のタイプに合わせて、当日の重点を1つ決めておくだけでも検査の精度が上がります。

施主検査でよくあるトラブルと回避策

最後に、施主検査でよく起きるトラブルと、その回避策を整理します。どれも段取りと記録で大半は防げるものです。

トラブル 原因 回避策
言った・言わないの紛争 指摘を口頭だけで済ませた その場でリスト化・写真・施主確認
是正の認識ズレ 是正前後を記録していない 是正前後を写真で残し共有
引き渡し延期 施主検査が引き渡し直前 引き渡しの2週間〜1ヶ月前に実施
過剰な手直し要求 是正対象の基準が曖昧 契約不適合かどうかで切り分け、根拠を説明
設備説明での時間切れ 検査と説明を同時進行 検査と取扱説明の時間を分ける

一番多いのが、指摘を口頭で済ませてしまうトラブルです。「あとで直しときます」で流すと、是正の範囲や内容の認識が施主とズレて、引き渡し後に「言ったのに直ってない」という話になります。指摘はその場でリスト化して施主と確認する、これだけでトラブルの大半は消えます。

僕としては、施主検査のトラブルはほぼ全部「品質の問題」ではなく「段取りと記録の問題」だと感じます。施工がきちんとできていても、記録を残さず口約束で進めると揉める。逆に、多少指摘が出ても、その場で記録して誠実に是正すれば信頼につながる。トラブルを怖がって指摘を隠そうとするより、出た指摘を確実に潰して見せる方が、結果的に施主の満足度は高くなると思っています。

施主検査に関する情報まとめ

  • 定義:引き渡し前に施主が完成建物を確認し、契約・打ち合わせ通りかをチェックする検査
  • 他検査との違い:社内検査は自社のため、竣工検査は契約のため、施主検査は施主のため、完了検査は法律のため
  • 流れ:工事完了 → 社内検査 → 竣工検査 → 施主検査 → 是正 → 是正確認 → 引き渡し
  • タイミング:引き渡しの2週間〜1ヶ月前、戸建てで2〜3時間が目安
  • チェック項目:図面整合/室内/屋外・外構/設備/天井裏・床下の5領域、クロスと建具で指摘が多い
  • 持ち物:施主は図面・仕様書・スマホ、監督はマステ・是正リスト・取説・仮設照明
  • 社内検査での潰し込み:施主目線で一周し、クロス・建具・図面相違を先に潰すのが最大のカギ
  • 当日の役割分担:進行は監督、説明は営業・設計、判断できる人が必ず立ち会う
  • 指摘の切り分け:契約不適合かどうかで是正対象/説明で済む/保証対応を判断
  • 是正管理:指摘はその場でリスト化・写真・施主確認、引き渡し日から逆算して是正工程を組む
  • ホームインスペクター同行:歓迎姿勢で、指摘は根拠を聞き冷静に切り分ける
  • 建物別の違い:注文住宅は図面相違、改修は既存との切り分け、マンションは時間配分に注意
  • トラブル回避:施主検査のトラブルは品質ではなく段取りと記録の問題、その場の記録で大半は防げる

以上が施主検査に関する情報のまとめです。

施主検査は「施主に見てもらう」だけの工程ではなく、現場監督が段取りと記録で品質と信頼を確定させる工程です。社内検査で施主目線の指摘を先に潰し、当日は役割分担して進行を握り、出た指摘は基準に沿って切り分けて確実に是正する。この流れが回せると、指摘が多少出ても施主の信頼を勝ち取って引き渡しまで持っていけます。竣工検査との違いや是正管理、ホームインスペクター同行への対応まで合わせて押さえておくと、戸建てからマンション・改修まで通用する施主検査ができるようになるはずです。

施主検査に関するよくある質問

Q1:施主検査と竣工検査は何が違うんですか?

主体と目的が違います。竣工検査は施工会社や設計者が「契約・設計図書通りに施工されているか」を技術的に確認する検査で、施工側だけで完結します。一方、施主検査は施主が主体となって「使い勝手」「見た目」「打ち合わせ通りか」を確認する検査です。順番としては竣工検査の後に施主検査を行います。施主は施工の専門家ではないので、感覚的な指摘や予想外の質問が出ることもあり、現場監督の説明力が問われる場面になります。

Q2:施主検査はいつ実施するのがベストですか?

引き渡しの2週間〜1ヶ月前が目安です。これは、万一大きな指摘が出ても是正する日数を確保するためです。引き渡し日ギリギリに施主検査を入れると、指摘の是正が間に合わず引き渡し延期という最悪のパターンになります。引き渡し日が決まっている場合は、まず是正に何日かかるかを見積もって、そこから逆算して施主検査日を設定するのが鉄則です。時間帯は外装チェックがしやすい午前中、悪天候の日は避けるのが基本です。

Q3:施主検査で指摘されたら、どこまで直すんですか?

契約書・設計図書・仕様書と現物を照合して、契約不適合に当たるかどうかで判断します。図面と相違している、施工不良がある、傷や汚れがある場合は是正対象です。一方、床材の隙間のように施工的に正常な範囲のものは、無理に直すとかえって不具合になるので、理由を説明して納得してもらうのが正解です。すべてを直す必要はありませんが、断る場合は必ず根拠とセットで説明するのが、トラブルを防ぐコツです。

Q4:施主検査でクレームやトラブルを防ぐには何をすればいいですか?

指摘をその場で記録することが最も効きます。施主が「気になる」と言った箇所にマスキングテープを貼り、写真を撮り、是正リストに書いて、施主と内容を確認する。この一連の流れができていれば、「言った・言わない」のトラブルはほぼ消えます。是正のときも前後を写真で残しておくと、「本当に直ったのか分からない」という揉め事を防げます。施主検査のトラブルの大半は施工品質ではなく、段取りと記録の問題で起きています。

Q5:施主がホームインスペクターを連れてきたらどう対応すればいいですか?

身構えず、第三者検査を歓迎する姿勢で臨むのが正解です。ホームインスペクターは建築の専門家なので施工的な指摘も出ますが、対応の基準は通常の指摘と同じで、契約・図面・仕様と照合して是正対象か説明で済むかを切り分けます。専門家相手でも、施工的に正常な範囲なら根拠を示して説明すれば通ります。防御的になって対立姿勢を取ると施主はインスペクター側に付くので、「一緒にいい家にしましょう」というスタンスで進めるのが、結果的に検査をスムーズにします。

Q6:施主検査にかかる時間はどれくらいですか?

一般的な戸建て住宅で2〜3時間が目安です。マンション住戸や規模の大きい物件、指摘が多い場合は半日程度かかることもあります。検査時間は「早く終わらせる」ことよりも「是正が必要な箇所を見逃さないこと」「指摘をその場で整理・記録すること」の方が重要なので、余裕のある段取りで進めましょう。マンションの内覧会形式では検査と並行して設備説明や引き渡し連絡が入るため、検査の時間をあらかじめ確保しておくのがおすすめです。

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