せん断弾性係数とは?単位、公式、ヤング率との関係、鋼材の値など

  • せん断弾性係数って結局なにを表す値なの?
  • ヤング率(縦弾性係数)と何が違うの?
  • G=E/2(1+ν)っていう式、どこから来たの?
  • 単位はN/mm²でいいの?GPaとどっち?
  • 鋼のG=79,000ってどうやって出した数字?
  • 横弾性係数とせん断弾性係数って同じ?違う?
  • ポアソン比が絡むのはなぜ?
  • 鋼・コンクリート・ステンレスの値を一覧で知りたい
  • 施工管理がGなんて知ってどう使うの?
  • 試験(建築士・施工管理技士)に出るって本当?

上記の様な悩みを解決します。

せん断弾性係数は、構造計算書や資格試験で出てくる材料の物性値のひとつです。ヤング率(縦弾性係数)はよく聞くけど、せん断弾性係数(横弾性係数)になると途端に「これ何の値だっけ」となりがちなんですよね。しかもネットで調べると公式の導出ばかりで、施工管理として現場や設計のどこで効くのかが見えてこない。この記事では、定義・公式・単位といった基本から入り、材料ごとの具体的な値を一覧にしたうえで、せん断剛性や免震ゴムといった効きどころ、試験での頻出ポイントまでつなげて解説します。導出の暗記ではなく、Gが何を意味するのかが腑に落ちる形を目指します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

せん断弾性係数とは?

せん断弾性係数とは、結論「せん断力に対する材料の変形のしにくさ(硬さ)を表す材料固有の値」のことです。記号はG、横弾性係数とも呼ばれ、両者は同じ意味です。

イメージとしては、四角い消しゴムを上下から逆向きにずらすように押すと、平行四辺形に傾きますよね。あの「ずれ変形(せん断変形)」のしにくさを表すのがせん断弾性係数です。Gが大きいほどせん断力に対して硬くて変形しにくく、Gが小さいほど柔らかくて変形しやすい材料、ということになります。

ここで押さえておきたいのが、Gは材料固有の値だという点です。同じ鋼であれば、断面の形が違ってもGは同じ値になります。これは、後で出てくるヤング率(縦弾性係数)と同じ性質です。

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僕の感覚だと、せん断弾性係数は「ヤング率のせん断バージョン」と捉えるのが一番すっきりします。ヤング率が引張・圧縮(縦の伸び縮み)に対する硬さなら、せん断弾性係数はせん断(横のずれ)に対する硬さ。同じ「変形のしにくさ」を、向きを変えて測っているだけ、と理解すると混乱しません。

せん断弾性係数の公式と単位

せん断弾性係数の公式は、結論「G=τ/γ(せん断応力÷せん断ひずみ)」で、ヤング率とポアソン比から求める場合は「G=E/{2(1+ν)}」です。単位はヤング率と同じくN/mm²(またはGPa)を使います。

まず基本式のG=τ/γです。これはσ=Eεのフックの法則をせん断版にしたもので、τ=Gγと書けます。注意したいのは、せん断ひずみγが「伸び縮みの量」ではなく「角度(ずれの傾き)」で表される点です。消しゴムが平行四辺形に傾いたときの傾き角がせん断ひずみで、γ=ΔL/h(ずれ量÷高さ)で計算します。

関係 意味
せん断のフックの法則 τ=Gγ せん断応力=G×せん断ひずみ
定義式 G=τ/γ せん断応力÷せん断ひずみ
EとνからのG G=E/{2(1+ν)} ヤング率とポアソン比から算出

実務でよく使うのは2つ目のG=E/{2(1+ν)}です。ヤング率Eとポアソン比νが分かれば、せん断弾性係数Gを計算できます。各種の構造計算規準でも、この式でGを算定しています。

単位はN/mm²が一般的で、これはMPa(メガパスカル)と同じです。1,000N/mm²=1GPaなので、GPa表記も使われます。応力ひずみの単位の整理はこちらが参考になります。

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僕の整理では、施工管理が暗記すべきはG=E/{2(1+ν)}の1本で十分です。導出(せん断を45度回転させると引張・圧縮になる、という主応力の話)まで追うと一気に難しくなりますが、現場や試験で使うのは「EとνからGが出せる」という関係だけ。式の出自は知識として知っておけば、実務上は計算式が使えれば困りません。

ヤング率(縦弾性係数)との関係と違い

せん断弾性係数とヤング率の関係は、結論「どちらも変形のしにくさを表すが、ヤング率は縦(引張・圧縮)の硬さ、せん断弾性係数は横(せん断)の硬さ」という役割分担です。記号もE(ヤング率)とG(せん断弾性係数)で区別します。

両者の違いを整理すると次の通りです。

  • ヤング率(E)=縦弾性係数:引張力・圧縮力に対する硬さ。記号E。曲げモーメントもこのEが効く
  • せん断弾性係数(G)=横弾性係数:せん断力に対する硬さ。記号G

曲げモーメントは引張と圧縮の組み合わせなので、たわみなど曲げの計算ではヤング率Eが効きます。一方、部材が横方向にずれるせん断変形ではGが効く、という棲み分けです。

数値の大小関係も覚えておくと役立ちます。G=E/{2(1+ν)}の式から、GはおおむねEの半分以下の値になります。たとえば鋼ならE=205,000N/mm²に対してG≒79,000N/mm²で、Gの方がかなり小さいですよね。これは「材料はせん断(横ずれ)の方が、縦の伸び縮みより変形しやすい」ことを意味しています。

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個人的には、EとGは「縦と横の硬さの2点セット」で覚えるのがおすすめです。設計では、たわみ・座屈などの曲げ系はE、地震時の層のずれなどのせん断系はG、と使う場面が分かれます。EとGがそれぞれどの変形を担当しているかを押さえておくと、構造計算書の数値を見たときに「これは曲げの話か、せん断の話か」が読めるようになります。

ポアソン比との関係

せん断弾性係数とポアソン比の関係は、結論「G=E/{2(1+ν)}の式の通り、ポアソン比νが大きいほどGは小さくなる(反比例の関係)」です。

ポアソン比とは、材料を引っ張ったときに「縦に伸びる割合に対して、横にどれだけ縮むか」を表す値です。たとえば鋼を引っ張ると、伸びると同時に少し細くなりますが、その縦横の比がポアソン比です。

建築でよく使う材料のポアソン比は、おおむね決まった値が使われます。

材料 ポアソン比ν
鉄骨(鋼) 約0.3
鉄筋コンクリート 約0.2
ステンレス(SUS304) 約0.3
アルミニウム 約0.3

このνをG=E/{2(1+ν)}に代入すれば、せん断弾性係数Gが計算できます。鋼ならν=0.3を使うので、分母が2×(1+0.3)=2.6になり、G=E/2.6という関係になります。

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実務だと、ポアソン比は材料ごとの定数として与えられるので、自分で導く必要はありません。鋼は0.3、鉄筋コンクリートは0.2、この2つを覚えておけば建築の計算はほぼカバーできます。ポアソン比が分母にいて、大きいほどGが小さくなる、という関係だけ理解しておけば十分です。

材料別のせん断弾性係数の値

施工管理として実用的なのは、導出よりも材料ごとの具体的な値です。代表的なせん断弾性係数の値を、出典となる構造規準とあわせて一覧にしました。

材料 せん断弾性係数G 出典・備考
鋼(鉄骨・鉄筋) 約79,000 N/mm² 鋼構造設計規準(E=205,000、ν=0.3から算出)
ステンレス鋼 約74,000 N/mm² ステンレス建築構造設計基準
アルミニウム 約27,000 N/mm² アルミニウム建築構造設計規準
コンクリート 設計基準強度等で変化(Fc21で約10,000 N/mm²前後) RC・SRC構造計算規準の算定式による

鋼のG≒79,000N/mm²は、E=205,000N/mm²、ν=0.3をG=E/{2(1+ν)}に代入して、205,000÷2.6≒78,846≒79,000という計算で出てきます。試験でもこの算出過程が問われることがあります。

コンクリートだけは少し複雑で、単位体積重量と設計基準強度Fcによって値が変わります。RC・SRCの構造計算規準では、単位重量とFcを使った算定式でGを求める形になっており、たとえばFc21・単位重量24kN/m³なら約10,000N/mm²前後になります。鋼の約8分の1程度で、コンクリートは鋼よりずっとせん断変形しやすい材料だと分かります。

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僕の考えでは、施工管理が覚えるべき値は「鋼は約79,000N/mm²」の一点で十分です。ステンレスやアルミ、コンクリートは「鋼より小さい(=せん断変形しやすい)」という相対関係だけ押さえておけばいい。具体値が必要になったら規準を引けばいいので、まずは鋼の代表値と、材料による硬さの序列を頭に入れておくのが実用的です。

せん断剛性(GA)との違い

せん断弾性係数とよく混同されるのが「せん断剛性」です。違いは、結論「せん断弾性係数Gは材料固有の硬さ、せん断剛性GAは断面積Aを掛けた部材としての硬さ」です。

せん断弾性係数Gは材料だけで決まる値なので、断面の形や大きさは関係ありません。一方、実際の部材がせん断にどれだけ抵抗するかは、材料の硬さGに加えて断面の大きさ(断面積A)も効きます。そこでGにAを掛けたGA(せん断剛性)が、部材としてのせん断変形のしにくさを表します。

つまり、太い柱と細い柱では同じ鋼でもGは同じですが、GA(せん断剛性)は太い柱の方が大きい、という関係です。設計者が「せん断剛性で効く」と言うときは、この部材レベルのGAの話をしていることが多いです。

せん断剛性の詳細はこちらが参考になります。

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現場目線で言えば、「材料の硬さ(G)」と「部材の硬さ(GA)」を分けて捉えると、設計者との会話がかみ合いやすくなります。Gは材料カタログの値、GAはその材料を実際の断面で使ったときの部材の値。同じG(材料)でも断面を変えればGA(部材剛性)は変わる、という二段階を意識しておくと、構造計算書の剛性まわりの記述も読み解きやすくなります。

施工管理・設計で効く場面

せん断弾性係数は試験のための値に見えて、実は建物の挙動を決める場面で効いています。施工管理が意味を理解しておくと役立つ主な場面を挙げておきます。これは競合記事ではほとんど触れられていない論点です。

せん断弾性係数(およびせん断剛性)が効く主な場面は次の通りです。

  • 部材のたわみ・変形:細長い梁では曲げ(E)が支配的だが、背の高い壁やずんぐりした部材ではせん断(G)の変形も無視できない
  • 耐力壁・ブレースの剛性:地震時に建物の横ずれに抵抗する要素で、せん断剛性が効く
  • 免震・制震のゴムやダンパー:積層ゴムなどはせん断変形でエネルギーを受けるため、ゴムのせん断弾性係数が設計の要になる
  • 木質・合板パネル:面材のせん断剛性が耐力に直結する

特に免震構造の積層ゴムは、せん断弾性係数が設計の中心になる代表例です。ゴムは鋼やコンクリートと違ってGが非常に小さく、せん断方向に大きく柔らかく変形できるからこそ、地震の揺れを受け流せます。

免震構造の仕組みはこちらが参考になります。

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正直なところ、現場で「せん断弾性係数」という言葉を口にする機会は多くありません。でも、免震ゴムが効く理由、背の高い壁でせん断変形が問題になる理由、耐力壁が地震に抵抗できる理由、これらの背後には必ずせん断弾性係数とせん断剛性の考え方が流れています。意味が分かっていると、構造の挙動を「なぜそうなるか」で理解できるようになります。

せん断弾性係数の試験での出題ポイント

せん断弾性係数は、1級・2級建築士や施工管理技士の試験でも問われるテーマです。試験対策としての押さえどころを整理しておきます。

試験でよく問われるのは次のあたりです。

  • 公式G=E/{2(1+ν)}を使った計算(鋼のG≒79,000N/mm²の算出)
  • せん断弾性係数(G)とヤング率(E)の違い・大小関係
  • ポアソン比νとの関係(νが大きいほどGは小さい)
  • 横弾性係数=せん断弾性係数という呼称の確認
  • τ=Gγのフックの法則(せん断版)

特にG=E/{2(1+ν)}にE=205,000、ν=0.3を代入してGを求める計算は定番なので、この計算は手を動かせるようにしておくと得点源になります。逆に、主応力を使った導出のような深い理論は、施工管理技士試験ではまず問われないので深追いは不要です。

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自分としては、試験対策は「G=E/{2(1+ν)}が使えて、鋼は約79,000と言えて、EとGの違いが説明できる」の3点に絞れば合格ラインに届くと考えています。構造の物性値は数が多くて混乱しがちですが、Gについてはこの3点だけ確実にしておけば、計算問題でも知識問題でも対応できます。

せん断弾性係数に関する情報まとめ

  • せん断弾性係数とは:せん断力に対する変形のしにくさを表す材料固有の値(記号G、横弾性係数と同義)
  • 公式:G=τ/γ、EとνからはG=E/{2(1+ν)}。単位はN/mm²(=MPa)
  • せん断ひずみ:伸び量ではなく角度(ずれの傾き)で表す
  • ヤング率との関係:Eは縦(引張・圧縮)の硬さ、Gは横(せん断)の硬さ。GはEの半分以下
  • ポアソン比との関係:νが大きいほどGは小さい(反比例)。鋼0.3、鉄筋コンクリート0.2
  • 材料別の値:鋼約79,000、ステンレス約74,000、アルミ約27,000、コンクリートはFc等で変化
  • せん断剛性GAとの違い:Gは材料の硬さ、GA(G×断面積)は部材としての硬さ
  • 効く場面:背の高い壁の変形、耐力壁・ブレースの剛性、免震ゴム・制震ダンパー
  • 試験のポイント:G=E/{2(1+ν)}の計算、EとGの違い、鋼79,000の算出に絞る

以上がせん断弾性係数に関する情報のまとめです。

せん断弾性係数は「ヤング率のせん断バージョン」と捉え、公式G=E/{2(1+ν)}と鋼の代表値79,000を押さえれば、構造計算書も試験問題も読めるようになります。さらにせん断剛性GAとの違い、免震ゴムや耐力壁という効きどころまで結びつけられると、ただの暗記ではなく建物の挙動を理解する力になります。構造の物性値の中でも、EとGをセットで掴むと一気に視界が開ける分野です。

せん断弾性係数に関するよくある質問

Q1:せん断弾性係数と横弾性係数は違うものですか?

同じものです。せん断弾性係数と横弾性係数は呼び方が違うだけで、どちらも記号G、せん断力に対する材料の変形のしにくさを表します。これに対して、引張・圧縮に対する硬さを表すのが縦弾性係数(ヤング率、記号E)です。「縦=E、横=G」と覚えると整理しやすいです。

Q2:せん断弾性係数とヤング率の違いは何ですか?

担当する変形の向きが違います。ヤング率(E)は引張・圧縮など縦方向の伸び縮みに対する硬さ、せん断弾性係数(G)はせん断(横ずれ)に対する硬さです。両者はG=E/{2(1+ν)}の関係で結ばれており、GはおおむねEの半分以下になります。曲げやたわみの計算はE、せん断変形はGが効く、という棲み分けです。

Q3:鋼のせん断弾性係数79,000N/mm²はどう計算しますか?

G=E/{2(1+ν)}の式に、鋼のヤング率E=205,000N/mm²とポアソン比ν=0.3を代入します。分母が2×(1+0.3)=2.6になるので、205,000÷2.6≒78,846となり、約79,000N/mm²が得られます。鋼構造設計規準でもこの値が用いられており、試験ではこの算出過程が問われることがあります。

Q4:コンクリートのせん断弾性係数はなぜ一定値でないのですか?

コンクリートは、単位体積重量と設計基準強度Fcによって硬さが変わるためです。鋼のように一定値ではなく、RC・SRCの構造計算規準では単位重量とFcを使った算定式でGを求めます。たとえばFc21・単位重量24kN/m³なら約10,000N/mm²前後で、鋼の約8分の1程度です。コンクリートは鋼よりせん断変形しやすい材料だと分かります。

Q5:施工管理として、せん断弾性係数はどこまで知っておけばいいですか?

最低限、公式G=E/{2(1+ν)}、鋼の値が約79,000N/mm²であること、ヤング率(E)との役割の違い、この3点を押さえれば現場でも試験でも通用します。実務では免震ゴムや耐力壁の挙動を理解するのに役立ち、試験では計算問題の得点源になります。主応力を使った導出のような深い理論は施工管理の実務・試験ではほぼ使わないので、深追いは不要です。

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