ポアソン比とは?ヤング率との関係、計算式、鋼や水の値など

  • ポアソン比って結局なにを表してる数字?
  • 横ひずみ÷縦ひずみと言われてもピンとこない
  • なぜ式にマイナスをつけるの?符号がわからない
  • ヤング率とどう関係するの?セットで出てくるけど
  • 鋼のポアソン比は0.3でいい?コンクリートは0.2?1/6?
  • 水のポアソン比って何?固体じゃないのに
  • 0〜0.5って範囲が決まってるの?上限0.5の理由は?
  • 建築の構造計算で実際どこに使われてる?
  • 試験(施工管理技士・建築士)でどう出る?
  • 施工管理として最低限どこまで知ってれば十分?

上記の様な悩みを解決します。

ポアソン比は、ヤング率とセットで材料の弾性的なふるまいを表す基本の係数です。ただネット上の解説は機械・製造業視点か、数式だけの学術解説が多く、「建築の構造計算でどこに効くのか」「試験でどう問われるのか」という建設業の文脈で書かれたものがほとんどありません。今回は定義・計算式・ヤング率との関係といった基礎を押さえた上で、鋼・コンクリート・水などの具体値、RCや地盤・免震での使い所、施工管理技士・建築士試験での扱いまで、現場と試験の両面で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

ポアソン比とは?

ポアソン比とは、結論「材料を縦に引っ張ったとき、縦に伸びるのと同時に横が縮む、その縮み具合と伸び具合の比」のことです。記号はギリシャ文字のν(ニュー)で表します。

たとえば消しゴムを両端から引っ張ると、引っ張った方向に伸びて、それと直角の方向(太さ)は細くなります。逆に押し縮めると、縮んだ方向と直角に太くなる。この「縦のひずみ」と「横のひずみ」の比がポアソン比です。引っ張った量に対して、どれくらい横が痩せるかを表す材料固有の数値、と捉えると分かりやすいです。

弾性限界内(力を抜けば元に戻る範囲)では、ポアソン比はヤング率と同様にその材料に固有の定数になります。鋼なら約0.3、コンクリートなら約0.2、というように材料ごとに決まった値を持ちます。

ひずみそのものの考え方を先に押さえたい方はこちらが分かりやすいです。

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僕の整理では、ポアソン比は「引っ張ったら、その横方向にどれだけ痩せるかを表す数字」と一言で捉えるのが一番腹落ちします。難しい定義から入るより、消しゴムやゴムひもを引っ張って細くなるイメージを持っておくと、この後の式や材料値もすんなり頭に入ります。

ポアソン比の計算式と符号

定義を式にすると一気につまずく人が多いので、符号の意味まで丁寧に整理します。

ポアソン比は次の式で求めます。

ν = −(横ひずみ ε′)÷(縦ひずみ ε)

ここでひずみとは「元の寸法に対する変化の割合」のこと。引っ張った方向の伸びの割合が縦ひずみ ε、それと直角方向の縮みの割合が横ひずみ ε′です。

問題は式の頭にあるマイナスです。なぜマイナスをつけるのか。引っ張ったとき、縦ひずみ ε はプラス(伸びる)、横ひずみ ε′ はマイナス(縮む)になります。このまま比を取るとポアソン比が負の値になってしまう。でも実際の材料はほとんどが「引っ張れば横が縮む」ので、ポアソン比は正の値で表したい。そこで頭にマイナスをつけて符号を反転させ、正の値として扱っています。式のマイナスは「縦と横で伸び縮みの向きが逆だから、それを打ち消すためのもの」と理解すれば十分です。

縦ひずみと横ひずみの関係を整理すると次のとおりです。

  • 引っ張り:縦ひずみ=プラス(伸びる)/横ひずみ=マイナス(細くなる)
  • 圧縮:縦ひずみ=マイナス(縮む)/横ひずみ=プラス(太くなる)

ポアソン比は縦ひずみと横ひずみという「割合どうしの比」なので、単位はありません(無次元)。0.3とか0.2といった単なる数値で表されます。

個人的には、符号でつまずいたら「マイナスは正の値にするためのおまじない」くらいに割り切って先に進むのが得策だと考えています。符号の厳密な理解より、この後のヤング率との関係や材料値を押さえる方が、現場でも試験でもはるかに役立ちます。

ポアソン比とヤング率の関係

ポアソン比が単独で出てくることは少なく、ほぼ必ずヤング率とセットで登場します。この関係を理解すると弾性定数の全体像が見えてきます。

ヤング率(E、縦弾性係数)は「材料の硬さ・伸びにくさ」を表す値で、大きいほど変形しにくい。鋼のヤング率は約205kN/mm²(GPa換算で約205GPa)、コンクリートは約20〜30kN/mm²と、鋼はコンクリートの約7〜10倍硬いことになります。

このヤング率とポアソン比から、もう1つの弾性定数であるせん断弾性係数(G、横弾性係数)が次の式で求まります。

G = E ÷ {2 ×(1 + ν)}

さらに、体積の変わりにくさを表す体積弾性係数(K)も次の式で出せます。

K = E ÷ {3 ×(1 − 2ν)}

ここが弾性論の核心です。等方性材料(どの方向にも性質が同じ材料)では、弾性的なふるまいを決める独立した定数は2つだけ。代表がヤング率Eとポアソン比νで、この2つが分かればせん断弾性係数Gも体積弾性係数Kも芋づる式に計算できます。だからこそ材料の物性表には必ずEとνがセットで載っているわけです。

縦弾性係数・横弾性係数という言葉を整理すると、縦弾性係数=ヤング率E(引っ張り・圧縮に対する硬さ)、横弾性係数=せん断弾性係数G(ねじり・ずれに対する硬さ)。νはこの2つをつなぐ橋渡しの役割を持っています。

ヤング率そのものを詳しく知りたい方はこちらが詳しいです。

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実務だと、「弾性定数は独立2つ、代表はEとν、残りは式で出る」という関係を押さえておくのが一番効きます。FEM解析で材料を定義するとき、入力するのは基本的にEとν。この2つを入れればソフトがGやKを内部で計算してくれる、という仕組みが腹落ちすると、解析ソフトの材料入力で迷わなくなります。

材料別のポアソン比の値(鋼・コンクリート・水・ゴム)

タイトルにもある鋼や水を含め、代表的な材料のポアソン比を一覧で整理します。建築で扱う材料を中心に押さえましょう。

代表的な材料のポアソン比の目安は次のとおりです。

材料 ポアソン比 ν の目安 備考
鋼(鉄鋼材料) 0.28〜0.30(一般に0.3) 構造計算では0.3を使う
コンクリート 0.2(弾性論では1/6≒0.167も) RC計算では0.2が一般的
アルミニウム 約0.34 軽量だが横に痩せやすい
ガラス 約0.2〜0.27
木材 方向で大きく変わる 異方性(後述)
ゴム 0.49〜0.5 ほぼ体積が変わらない
水(流体) 0.5に相当 厳密には固体でないため後述
コルク ほぼ0 横にほとんど膨らまない

建築で最も使うのは鋼の0.3とコンクリートの0.2です。鋼は構造計算でν=0.3、鉄筋コンクリートの計算でもコンクリートはν=0.2を使うのが一般的。「鋼3、コンクリ2」と語呂で覚えてしまうと試験でも現場でも迷いません。

コンクリートの値が資料によって0.2だったり1/6(約0.167)だったりするのは、弾性論上の理論値(1/6付近)と、設計実務で扱いやすく丸めた値(0.2)の違いです。建築の構造計算では0.2を使うと覚えておけば実用上は問題ありません。

水のポアソン比という表現には少し注意が要ります。水は固体ではなく流体なので、本来はポアソン比という弾性体の概念をそのまま当てはめられません。ただ、水はほとんど体積が変わらない(非圧縮)性質を持つため、「体積が変わらない材料のポアソン比=0.5」という関係から、便宜的に0.5に相当すると説明されることが多いです。ゴムが0.5に近いのも同じ理屈で、ほぼ体積が変わらず、引っ張った分だけ横に痩せて全体の体積を保つからです。

コンクリートの設計基準強度など材料の数値はこちらも参考になります。

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なお、各材料のポアソン比の意味や用途をもう少し基礎から確認したい方は、こちらでも整理しています。

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正直なところ、施工管理として暗記が必要なのは「鋼0.3、コンクリート0.2」の2つだけです。水やゴムが0.5に近い理由は「体積が変わらないから」と理屈で押さえておけば、数字を丸暗記しなくても説明できます。

ポアソン比の範囲(0〜0.5の意味)

材料値を見て「なぜどれも0〜0.5の間なのか」と気づいた人は鋭いです。この範囲には物理的な意味があります。

一般的な等方性材料のポアソン比は、理論上0〜0.5の範囲に収まります。両端の意味を押さえると、材料の性質が直感でわかるようになります。

  • ν=0に近い:引っ張っても横がほとんど痩せない(コルクなど)
  • ν=0.5に近い:引っ張っても体積が変わらず、伸びた分だけ横が痩せる(ゴム・水)

上限が0.5になる理由は「体積変化」にあります。ν=0.5は「引っ張っても押しても体積がまったく変わらない材料」を意味します。これより大きいと、引っ張ると体積が増えるという物理的にありえない(不安定な)挙動になってしまうため、安定した等方性材料ではν≦0.5が上限になります。先ほどの体積弾性係数の式 K=E/{3(1−2ν)}を見ると、ν=0.5で分母が0になりKが無限大、つまり「体積が絶対に変わらない」状態になることからも、0.5が特別な値だと分かります。

鋼やコンクリートが0.2〜0.3なのは、引っ張ると横に少し痩せつつ、全体としては体積がやや増える、という普通の固体の挙動だからです。

僕の考えでは、0〜0.5という範囲は「横の痩せやすさのメーター」と捉えると一気に直感的になります。0なら横は痩せない、0.5なら体積を保つために最大限横が痩せる。鋼やコンクリの0.2〜0.3は、その中間の「ほどほどに横が痩せる固体」というポジションだと理解できます。

建築の構造設計でポアソン比はどう使われるか

ここからが機械系・学術の競合には無い、建築の文脈での使い所です。ポアソン比が建築の現場・設計でどこに効くかを整理します。

建築でポアソン比が登場する主な場面は次のとおりです。

  • 構造計算書の材料定数(鋼ν=0.3、コンクリートν=0.2の記載)
  • FEM・CAEによる応力解析の材料入力値
  • RC部材の二次元・三次元的な応力状態の評価
  • せん断弾性係数Gを介したねじれ・たわみの計算
  • コンクリートの拘束効果(横方向を拘束すると強度が上がる現象)

実務で一番目にするのは構造計算書です。計算書の材料一覧に「E=205000N/mm²、ν=0.3」のように鋼やコンクリートの弾性定数が並んでいます。多くの施工管理者にとって、νは「自分で計算するもの」ではなく「計算書や解析で前提として使われている値」。だからこそ、それが何を意味する数字かを知っておくと、計算書の読み取りや設計者との会話で詰まりません。

FEM解析を扱う場合は、材料を定義する際にヤング率Eとポアソン比νを入力します。ここで適当な値を入れると解析結果がずれるので、鋼0.3・コンクリート0.2という標準値を正しく入れることが大切です。

ポアソン比が間接的に効く現象として、コンクリートの拘束効果も知っておくと現場感が増します。柱を帯筋(フープ)でしっかり拘束すると、コンクリートが横に膨らもうとするのを抑え込み、結果として圧縮強度や粘りが上がります。これは「縦に押すと横に膨らむ」というポアソン効果を逆手に取った設計で、耐震設計の基本的な考え方の1つです。

応力の基本概念はこちらが詳しいです。

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現場目線で言えば、ポアソン比は「自分で計算する数字」ではなく「構造計算やFEMの裏で前提になっている数字」です。施工管理者がνをゼロから計算する場面はほぼありませんが、計算書や解析で前提に使われる値の意味を理解しておくと、設計内容を一段深く読めるようになります。

地盤・免震でのポアソン比(土圧・ゴム支承)

建築・土木では、ポアソン比が地盤や免震部材の挙動にも関わってきます。少し応用ですが、知っておくと現場での理解が深まります。

地盤分野では、静止土圧係数(K0)という値とポアソン比が関係します。弾性論では、静止土圧係数は次の式で表されます。

K0 = ν ÷(1 − ν)

これは「地盤を上から押したとき、横方向にどれだけ土圧(側圧)が発生するか」を表す係数です。山留め・擁壁・地下壁の設計で土が横に押す力を見積もる際の基礎になる考え方で、地盤のポアソン比が大きいほど横に押す力(側圧)が大きくなる、という関係を示しています。山留めの設計で側圧を扱う背景に、このポアソン比の考え方があると知っておくと納得感が増します。

地盤の許容応力度など地盤側の基礎知識はこちらが詳しいです。

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免震分野では、積層ゴム支承(免震ゴム)が関係します。免震ゴムはゴムと鋼板を交互に積層した部材で、ゴムのポアソン比が0.5に近い(=体積が変わらない)性質を利用しています。鉛直方向には硬く建物を支えつつ、水平方向には柔らかく変形して地震の揺れを逃がす。この絶妙な硬さの違いは、ゴムが「体積を保ったまま形だけ変える」というポアソン比0.5付近の性質に支えられています。

免震構造の仕組みはこちらが詳しいです。

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僕の感覚だと、地盤や免震の話まで知っておくと「ポアソン比は教科書の中だけの数字じゃない」と実感が湧きます。山留めの側圧、免震ゴムの動き、コンクリの拘束効果。どれも横方向の挙動が関わる場面で、その背後にポアソン比という共通の物差しがある、と捉えると知識がつながります。

木材など異方性材料の注意点

ここまでは等方性材料(どの方向も性質が同じ)を前提にしてきましたが、木材のように方向で性質が変わる材料は扱いが違います。木造に関わる人は要注意です。

木材は繊維方向と繊維直角方向で強度も弾性係数も大きく異なる異方性材料です。そのため木材のポアソン比は「1つの値」では表せず、引っ張る方向と痩せる方向の組み合わせごとに複数のポアソン比を持ちます。繊維方向に引っ張ったときと、繊維直角方向に引っ張ったときで値がまったく違うのです。

注意点を整理すると次のとおりです。

  • 木材・集成材:繊維方向で性質が変わるため単一のνで扱えない
  • 鋳鉄・アルミダイカスト:製法上の異方性に注意
  • 炭素繊維(CFRP):繊維配向で大きく異なる
  • これらに G=E/2(1+ν) の等方性の式をそのまま当てはめると誤る

つまり、ヤング率とポアソン比からせん断弾性係数を出す式 G=E/{2(1+ν)}は、あくまで等方性材料でのみ成立します。木材のような異方性材料では、縦弾性係数・横弾性係数・ポアソン比をそれぞれ個別に求める必要があり、安易に等方性の式を使うと計算を誤ります。

木造の構造的な性質はこちらも参考になります。

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自分としては、木造に関わるなら「木はνが1つに決まらない異方性材料」という1点だけでも押さえておくべきだと思っています。鋼やコンクリの感覚で木材に等方性の式を当てると外す。木は方向で性質が変わる、という前提を忘れないことが、木造の構造を扱ううえでの最低限の注意点です。

試験での扱いと施工管理に必要な範囲

最後に、施工管理技士・建築士試験での問われ方と、施工管理として「どこまで知れば十分か」を整理します。

施工管理技士や建築士の試験では、ポアソン比は構造力学・材料力学の分野で出題されます。問われ方の典型は次のとおりです。

  • ポアソン比の定義(縦ひずみと横ひずみの比)を問う
  • 弾性定数の関係(E・G・νの関係式)を問う
  • 材料ごとの値(鋼0.3など)の正誤を問う
  • 範囲(0〜0.5)や体積変化との関係を問う

試験対策としては、定義・式・鋼0.3/コンクリ0.2の値・0〜0.5の範囲を押さえておけば多くの問題に対応できます。難解な異方性の話まで深入りする必要はなく、等方性材料の基本関係を確実にする方が得点につながります。

構造力学の学び直しや問題演習はこちらが参考になります。

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そして施工管理として実務で必要な範囲は、さらに絞れます。「ポアソン比とは縦に伸ばすと横が痩せる比」「鋼0.3・コンクリ0.2」「ヤング率とセットで構造計算・FEMの前提に使われる」。この3点を理解していれば、計算書を読み、設計者と会話し、解析ソフトに値を入れる場面で困りません。

僕の整理では、ポアソン比は施工管理が深く計算する数字ではなく、構造の世界を理解するための「教養」に近い位置づけです。定義と代表値とヤング率との関係さえ押さえておけば十分で、そこから先は構造設計者の領域。線引きを意識して、必要な部分だけ確実に押さえるのが効率的な向き合い方だと考えています。

ポアソン比に関するよくある質問

Q1:ポアソン比とは一言で言うと何ですか?

材料を縦に引っ張ったとき、縦に伸びるのと同時に横が痩せる、その比のことです。記号はν(ニュー)。消しゴムやゴムひもを引っ張ると細くなる、あの「縦の伸びに対する横の痩せ具合」を数値化したものと捉えると分かりやすいです。弾性限界内では材料固有の定数で、鋼は約0.3、コンクリートは約0.2という決まった値を持ちます。単位はない(無次元)数値です。

Q2:ポアソン比の計算式を教えてください。

ν=−(横ひずみ ε′)÷(縦ひずみ ε)です。縦ひずみは引っ張り方向の伸びの割合、横ひずみは直角方向の縮みの割合。引っ張ると縦はプラス、横はマイナスになるので、そのまま比を取ると負になります。実際の材料は正の値で扱いたいので、頭にマイナスをつけて符号を反転させています。式のマイナスは「縦と横で伸び縮みの向きが逆だから打ち消すためのもの」と理解すれば十分です。

Q3:鋼とコンクリートのポアソン比はいくつですか?

鋼は0.28〜0.30で、構造計算では一般に0.3を使います。コンクリートは0.2を使うのが一般的です。コンクリートは弾性論上の理論値が1/6(約0.167)とされることもありますが、建築の設計実務では扱いやすい0.2に丸めて使います。「鋼3、コンクリ2」と覚えておけば、現場でも試験でも迷いません。この2つが建築で最もよく使う値です。

Q4:水のポアソン比が0.5なのはなぜですか?

水は固体ではなく流体なので、厳密にはポアソン比という弾性体の概念をそのまま当てはめられません。ただ、水はほとんど体積が変わらない(非圧縮)性質を持ち、「体積が変わらない材料のポアソン比は0.5」という関係から、便宜的に0.5に相当すると説明されます。ゴムが0.49〜0.5と高いのも同じ理由で、引っ張った分だけ横に痩せて全体の体積を保つためです。0.5は「体積が変わらない」ことを示す特別な値です。

Q5:ポアソン比とヤング率はどう関係しますか?

等方性材料では、弾性的なふるまいを決める独立した定数は2つだけで、その代表がヤング率Eとポアソン比νです。この2つから、せん断弾性係数 G=E/{2(1+ν)}、体積弾性係数 K=E/{3(1−2ν)}が計算できます。つまりEとνが分かれば他の弾性定数は芋づる式に出せるため、材料の物性表にはEとνが必ずセットで載っています。FEM解析でも材料定義に入れるのは基本的にEとνの2つです。

Q6:ポアソン比が0〜0.5の範囲なのはなぜですか?

ν=0は引っ張っても横が痩せない材料(コルクなど)、ν=0.5は引っ張っても体積が変わらない材料(ゴム・水)を意味します。0.5が上限になるのは、これより大きいと引っ張ったときに体積が増えるという物理的にありえない挙動になるためです。体積弾性係数の式K=E/{3(1−2ν)}でν=0.5にすると分母が0になりKが無限大、つまり体積が絶対に変わらない状態になることからも、0.5が特別な境界だと分かります。

Q7:建築の構造計算でポアソン比はどこに使われますか?

主に構造計算書の材料定数(鋼ν=0.3、コンクリートν=0.2)、FEM・CAE解析の材料入力値、せん断弾性係数を介したねじれ・たわみの計算などに使われます。施工管理者が自分でνを計算する場面はほぼなく、計算書や解析で前提として使われている値です。間接的には、柱を帯筋で拘束すると横膨らみを抑えて強度が上がるコンクリートの拘束効果も、ポアソン効果を逆手に取った設計といえます。

Q8:施工管理としてポアソン比はどこまで知っておけば十分ですか?

「縦に伸ばすと横が痩せる比であること」「鋼0.3・コンクリート0.2という代表値」「ヤング率とセットで構造計算やFEMの前提に使われること」の3点を理解していれば、実務上は十分です。計算書を読み、設計者と会話し、解析ソフトに値を入れる場面で困りません。木材の異方性や弾性定数の細かい導出は構造設計者の領域なので、施工管理は基本の3点を確実に押さえることを優先すれば効率的です。

ポアソン比に関する情報まとめ

  • ポアソン比とは:縦に引っ張ると横が痩せる、その比。記号ν、無次元。材料固有の定数
  • 計算式:ν=−横ひずみ/縦ひずみ。マイナスは縦横で伸び縮みの向きが逆だから打ち消すため
  • ヤング率との関係:等方性材料は独立定数2つ(E・ν)。G=E/{2(1+ν)}、K=E/{3(1−2ν)}
  • 材料別の値:鋼0.3、コンクリート0.2、ゴム・水0.5付近、コルクほぼ0。建築は「鋼3・コンクリ2」を暗記
  • 範囲:0〜0.5。0.5は体積が変わらない材料の上限(ゴム・水)
  • 構造設計での使い所:計算書の材料定数、FEM入力値、コンクリの拘束効果(ポアソン効果の活用)
  • 地盤・免震:静止土圧係数K0=ν/(1−ν)、免震ゴムは0.5付近の性質を利用
  • 異方性材料:木材は方向で性質が変わり単一のνで扱えない。等方性の式をそのまま使わない
  • 試験・実務:定義・式・代表値・範囲を押さえれば試験対応十分。実務は基本3点でOK

以上がポアソン比に関する情報のまとめです。

ポアソン比は、縦に伸ばすと横が痩せるという誰でも体感できる現象を数値化した、シンプルな係数です。施工管理として深く計算する数字ではありませんが、ヤング率とセットで構造計算やFEM解析の前提に使われ、地盤の側圧や免震ゴム、コンクリートの拘束効果まで、横方向の挙動が関わる場面の背後に共通して存在します。「縦に伸ばすと横が痩せる比」「鋼0.3・コンクリ0.2」「ヤング率とセットで弾性定数を決める」——この3点を押さえておけば、構造の世界を一段深く読めるようになります。

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