- 地業工事ってなに?
- 基礎工事と地業工事って何が違うの?
- 割栗地業と砕石地業の違いは?
- どの順番で進むの?捨てコンとの関係は?
- 杭地業も地業工事に含まれるの?
- 現場の施工管理で何を見ればいい?
上記の様な悩みを解決します。
「地業工事」は、基礎の真下で地盤を整える工事のこと。「基礎工事」と混同されがちですが、地業はあくまで「基礎の下地を作る」工程で、コンクリートを打って基礎本体を作る基礎工事とは別物として整理されています。図面に「地業」「割栗地業」「砕石地業」と書いてあって意味がよく分からない、という人向けに、種類と流れを整理していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
地業工事とは?
地業工事とは、結論「基礎が載る地盤を、適切な強度・水平度になるよう整える工事」のことです。読み方は「ちぎょうこうじ」。
具体的にやることは、根切り(掘削)した穴の底に 割栗石や砕石を敷き込み、転圧(締め固め)して、その上に捨てコンクリートを打つ までの一連の作業。基礎の鉄筋を組んだり型枠を建てたり、コンクリートを打つ「基礎工事」が始まる直前の工程と覚えておくと、頭に入りやすいです。
地業の役割は主に3つ。
- 荷重の分散:基礎の下端から地盤に荷重を伝えるとき、点ではなく面で受けるための層を作る
- 不同沈下の防止:地盤の柔らかい部分・硬い部分のばらつきを均す
- 基礎施工の作業性確保:捨てコン上で墨出し・配筋作業をスムーズに行う
「地業」という言葉自体は古くから建築用語にあり、「地(じ)に手を入れる業(わざ)」という意味合いで使われています。
基礎工事の話はこちら。

地業工事と基礎工事の違い
ここを混同している人が多いので、図にしないで言葉で整理します。
地業工事
- 基礎の「下地」を作る工程
- 主な作業:割栗石・砕石の敷き込み、転圧、捨てコン打設
- 工程の位置:根切り終了後 〜 基礎配筋開始前
基礎工事
- 基礎本体(フーチング・基礎梁・耐圧版)を作る工程
- 主な作業:墨出し、配筋、型枠、コンクリート打設、養生
- 工程の位置:地業終了後 〜 上部躯体着工前
よくある誤解
「地業工事=基礎工事の一部」と捉えているケースが結構あります。これは間違いではなく、広義では地業工事を基礎工事の中の1工程と捉える業界慣習も存在するので、両方とも実務上は通用します。ただ、JASS(日本建築学会建築工事標準仕様書)では地業を独立した章(JASS 4)として扱っているので、本記事も地業工事を独立した工程として整理しています。
設計図書や施工計画書を読むときも「地業」と「基礎」が別の章で書かれているのが標準。区別して読み解けるとプロっぽいです。
捨てコンの話はこちら。

地業工事の種類
主要な種類を整理します。図面に出てくる用語のほとんどはこれで押さえられます。
| 種類 | 概要 | 主な使い分け |
|---|---|---|
| 割栗地業 | 200mm前後の割栗石を立てて並べ、目つぶし砂利と転圧で締める | 古典的な工法、現在は中規模建築でたまに残る |
| 砕石地業 | 砕石(クラッシャラン)を敷き、転圧で締める | 戸建て住宅・中小規模の主流 |
| 捨てコン地業 | コンクリートを薄く打って下地にする(30〜50mm程度) | 砕石・割栗の上に重ねて打つことが多い |
| 杭地業 | 既製杭・場所打ち杭で深い支持層に荷重を伝える | 軟弱地盤・大規模建築 |
| ラップル地業 | 貧調合コンクリートで段差・置換層を作る | 局所的な置換、岩盤までの距離が浅い場合 |
1. 割栗地業(わりぐりちぎょう)
200mm前後の天然石を、長手方向を上下にして垂直に並べ、隙間に目つぶし砂利を充填し、上から転圧します。手間がかかるので最近は減少傾向ですが、伝統的な工法として知っておく価値あり。
2. 砕石地業(さいせきちぎょう)
クラッシャラン(再生砕石またはRC-40などの砕石)を厚さ60〜100mmで敷き、ランマーやプレートコンパクターで転圧します。現代の戸建て・中小建築での主流で、割栗より工期短縮になります。
3. 捨てコン地業
砕石または割栗の上にコンクリート(普通強度Fc18N/mm²前後)を厚さ30〜50mmで薄く打つ工程。これがあるおかげで墨出し・配筋作業が劇的に楽になります。
4. 杭地業
軟弱地盤で、地表近くで荷重を分散させても支持力が不足する場合に、深い支持層まで杭を打って荷重を伝えます。杭地業も「地業工事」に含まれる点はちょっと意外かもしれません。
5. ラップル地業
岩盤や支持層が局所的にあるが、底面までは少し離れているとき、その間を貧調合コンクリート(ラップルコンクリート)で埋めて支持層を作る工法。
杭基礎の話はこちら。

ラップルコンクリートの話はこちら。

地業工事の流れ
戸建て〜中規模建築でよくある「砕石地業+捨てコン地業」の標準的な流れを整理します。
1. 根切り(ねぎり)完了の確認
掘削が設計GLマイナス何mまで終わっているか、底面の水平度・地盤の状態を確認。ここで軟弱地盤や地下水が出ると地業工事ができないので、まず根切り段階で発見しておくことが重要。
2. 床付け(とこづけ)
根切り底面を平らに均す作業。重機で乱れた地盤を手作業で整えていきます。「床付けが甘いと砕石厚にバラつきが出る」ので、見た目以上に効いてくる工程です。
3. 砕石の敷き込み
設計図に書かれた厚み(多くは60〜100mm)で砕石を敷きます。設計厚を下回ると地耐力不足、上回ると基礎天端の高さが狂うので、レベル管理が肝心。
4. 転圧
ランマー・プレートコンパクターで何回か往復して締め固めます。「転圧回数」も施工要領書で規定されていることが多いので、現場確認時はチェック項目になります。
5. 防湿フィルムの敷設(必要に応じて)
ベタ基礎などで湿気対策が必要な場合、ポリエチレンフィルムを敷きます。
6. 捨てコン打設
普通強度のコンクリートを30〜50mm厚で打設。この上に基礎の墨出しをしていくので、表面が水平で平滑であることが重要。
7. 捨てコン養生
夏場で1〜2日、冬場で2〜3日程度の養生期間を取って、上部の墨出し・配筋作業に進みます。
ベタ基礎の話はこちら。
地業工事における施工管理の着眼点
現場で何を見ているか、何を記録しているかを整理します。
1. 設計地耐力と現地地盤の整合性
地業の前提条件は「事前のN値・地耐力調査の結果と、現地の地盤が合っているか」。掘削して地盤が予想より柔らかかった場合、地業工法の見直しが必要になることもあるので、根切り完了時の地盤確認は必ず元請け+設計者で行います。
N値の話はこちら。

2. 砕石の厚みと均一性
砕石厚は設計図書通り。「底面のレベル測定→砕石敷き後のレベル測定→差分が設計厚と合致」を写真と数値で記録するのが施工管理の基本動作。
3. 転圧の確認
転圧の良否は感覚に頼りがちですが、プレートコンパクターの往復回数・転圧後の沈下量・現場簡易試験(FWD等)を併用するのが理想。
4. 捨てコンの水平度
捨てコン天端の水平度はその後の基礎施工の精度に直結。±5mm以内に収めるのが現場の標準。ここがズレると基礎天端も自動的にズレるので、レベルチェックは複数点で実施します。
5. 他工種との取り合い
電気施工管理視点で言うと、地業工事の段階で「アース棒の打設」「FEP管の建て込み」が絡んでくる現場もあります。捨てコンを打つ前に、設備工事の埋設管・接地工事が終わっていないと、後から斫って配管することになって工程が乱れます。
接地工事の話はこちら。

FEP管の話はこちら。

6. 雨天時の対応
砕石は雨でも作業可能だが、捨てコンを打った直後の雨は表面が荒れるので要注意。シートでの養生、もしくは打設タイミングの調整を判断します。
配筋検査の話はこちら。

地業工事に関する情報まとめ
- 地業工事とは:基礎の下地となる地盤を整える工事(割栗・砕石の敷き込み、転圧、捨てコン打設まで)
- 基礎工事との違い:地業は「基礎の下地作り」、基礎工事は「基礎本体の構築」。JASS 4では独立した章で規定
- 主な種類:割栗地業、砕石地業、捨てコン地業、杭地業、ラップル地業
- 標準的な流れ:根切り→床付け→砕石敷き→転圧→(防湿フィルム)→捨てコン打設→養生
- 施工管理の着眼点:地耐力の整合性、砕石厚と均一性、転圧の質、捨てコンの水平度、他工種との取り合い、雨天対応
- 現場での実情:戸建て〜中規模では砕石+捨てコン地業が主流。割栗は減少傾向
以上が地業工事に関する情報のまとめです。
地業工事は地味ですが、ここで手を抜くと後の基礎工事・躯体工事すべてに精度が連鎖する工程。特に捨てコンの水平度・砕石厚は、後から戻れない決定的な要素になります。電気・設備の埋設物との取り合いも地業段階で集中するので、図面と現場の整合確認をしっかり詰めておきたい工程ですね。
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