- UA値ってどうやって計算してるの?
- 公式と単位を知りたい
- 地域区分で基準値が違うって本当?
- 断熱材を厚くするとどれくらい下がる?
- 窓を変えるとどれくらい影響する?
- 現場でUA値を意識する場面は?
上記の様な悩みを解決します。
「UA値の計算」は省エネ住宅・ZEH 案件では避けて通れないキーワードで、設計図書の表紙に「UA = 0.46」のように書かれています。施工管理として現場で材料を変更したり、開口寸法を調整したりすると UA値が変動するため、最低限の計算ロジックは押さえておきたいところ。本記事では公式・地域区分・部位別 U 値・現場での影響度までまとめておきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
UA値の計算とは?
UA値の計算とは、結論「外皮(建物外側のシェル)から逃げる熱量を平均化した値(外皮平均熱貫流率)を求める作業」のことです。
「家全体でどれくらい熱が逃げるか」を1つの数値で表現したのが UA 値で、単位は W/(㎡・K)。1㎡あたり、温度差1℃で何Wの熱が逃げるか、という意味になります。
UA値計算の役割
- 住宅の外皮断熱性能を客観的な数値で評価する
- 省エネ基準・ZEH 基準の達成判定に使う
- 補助金申請・住宅性能表示の必須項目
- 設計初期の断熱仕様決定の指標
- 工事中の仕様変更が省エネ性能に与える影響を判断する根拠
ZEH や省エネ住宅の話はこちらでも整理しています。

UA値の基本式と単位
施工管理として最低限押さえたい計算式です。
基本式
UA値の計算式は以下のとおり。
UA = ΣU × A × H / ΣA
- UA:外皮平均熱貫流率(W/(㎡・K))
- U:各部位の熱貫流率(W/(㎡・K))
- A:各部位の面積(㎡)
- H:温度差係数(部位による補正)
- ΣA:外皮の総面積(㎡)
シンプルに言うと「部位ごとの熱貫流率と面積を全部足して、外皮総面積で割る」というだけの構造。重要なのは「外皮の各部位(屋根・壁・床・窓)ごとに U 値が違う」ということで、各部位の U 値を順番に求めて合計していく流れになります。
単位の意味
W/(㎡・K) という単位の意味を分解すると:
- W(ワット):熱量の単位(1秒あたりのエネルギー)
- ㎡:面積(外皮の単位面積あたり)
- K(ケルビン):温度差(℃と同じ)
つまり「1㎡の外皮、内外温度差1℃で、何Wの熱が逃げるか」が UA 値。数値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いということになります。
例:UA = 0.5 の家で、内外温度差 20℃、外皮総面積 200㎡なら、損失熱量は 0.5 × 20 × 200 = 2,000 W = 2 kW と概算できます。
温度差係数 H
部位ごとに「外気にどれくらい接しているか」が違うため、温度差係数 H で補正します。
| 部位 | H |
|---|---|
| 外気に直接接する部位(外壁・屋根・窓) | 1.0 |
| 床下に接する部位(床下断熱の床) | 0.7 |
| 隣接住戸に接する部位(共用壁) | 0.15 |
| 地中に接する部位(基礎断熱) | 1.0(別途熱損失で評価) |
「外気に直接さらされる部位は H=1.0、温度差が緩和される部位は H<1」と理解しておけば実務的にはほぼ困りません。
省エネ基準・ZEH基準の地域区分
UA値の基準は地域によって厳しさが違います。日本全国を 8地域に区分し、寒冷地ほど厳しい値が設定されています。
地域区分
国土交通省告示で定められた8地域区分の概要。
| 地域区分 | 主な地域 | 気候の特徴 |
|---|---|---|
| 1地域 | 北海道(旭川等) | 厳冬地域 |
| 2地域 | 北海道(札幌等) | 寒冷地域 |
| 3地域 | 東北(仙台等)・北陸高地 | 寒冷地域 |
| 4地域 | 東北南部・北関東山間部 | 中間地域 |
| 5地域 | 関東内陸・東海山間部 | 中間地域 |
| 6地域 | 東京・大阪・名古屋・福岡 | 温暖地域 |
| 7地域 | 沖縄を除く九州沿岸・南西諸島 | 温暖地域 |
| 8地域 | 沖縄県 | 亜熱帯地域 |
東京・大阪・名古屋といった主要都市は 6地域 に該当することが多く、ここを基準値の感覚として持っておくと現場で困りません。
基準値
省エネ基準・ZEH 基準・HEAT20 G2 など、目指す性能ごとに UA 値の基準が異なります。
| 基準 | 1地域 | 2地域 | 3地域 | 4地域 | 5地域 | 6地域 | 7地域 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 省エネ基準(H28) | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 |
| ZEH基準 | 0.40 | 0.40 | 0.50 | 0.60 | 0.60 | 0.60 | 0.60 |
| HEAT20 G2 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | 0.46 |
| HEAT20 G3 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | 0.26 |
東京(6地域)で省エネ基準なら UA = 0.87、ZEH なら 0.60、HEAT20 G2 なら 0.46 が目安。最近の高断熱住宅は HEAT20 G2 を狙う案件が増えており、これに対応する仕様変更を施工側でも理解しておく必要があります。
気密測定との関係はこちらでも。
部位別の熱貫流率 U 値
UA値の中身を構成する部位別の熱貫流率 U をざっくり把握しておきます。
U値の基本式
各部位の U 値は、その部位を構成する材料の熱抵抗 R(m²・K/W)を足し合わせて求めます。
U = 1 / (R 内表面 + ΣR 各層 + R 外表面)
- R = 厚み / 熱伝導率
熱伝導率 λ(W/(m・K))が小さい材料ほど断熱性が高く、同じ厚みでも R が大きくなります。
主な断熱材の熱伝導率
| 断熱材 | 熱伝導率 λ(W/(m・K)) |
|---|---|
| グラスウール 16K | 0.045 |
| グラスウール 24K | 0.038 |
| 高性能グラスウール 16K | 0.038 |
| ロックウール | 0.038 |
| ポリスチレンフォーム1種 | 0.040 |
| ポリスチレンフォーム3種 | 0.028 |
| ウレタンフォーム | 0.024 |
| フェノールフォーム | 0.020 |
ウレタン・フェノールフォームの方がグラスウールより薄くても同じ性能が出る、という関係。コスト・施工性を比較しながら選定します。
グラスウール・ロックウールの話はこちらでも整理しています。


窓のU値
窓は壁より圧倒的に熱が逃げやすい部位で、UA値計算で支配的な要素になります。
| サッシ仕様 | U値(W/(㎡・K)) |
|---|---|
| アルミ単板ガラス | 6.5 |
| アルミ複層ガラス | 4.7 |
| アルミ樹脂複合枠 + Low-E複層 | 2.3〜2.9 |
| 樹脂枠 + Low-E複層 | 1.6〜2.0 |
| 樹脂枠 + Low-Eトリプル | 1.0〜1.3 |
| 木製枠 + 真空複層 | 0.7〜0.9 |
「窓を樹脂サッシに変えるだけで UA 値が一気に下がる」のはこの U 値の差から。施工管理として「窓を変えるとUA値にどれくらい効くか」のイメージを持っておくと施主・設計との打ち合わせで役立ちます。
サッシの話はこちらの記事でも。

UA値の計算手順例
簡易な計算例で、UA値がどう導かれるかをイメージしておきます。
設定条件:木造2階建て、6地域(東京)
| 部位 | 面積A(㎡) | U値(W/㎡K) | H | U×A×H |
|---|---|---|---|---|
| 屋根 | 80 | 0.20 | 1.0 | 16.0 |
| 外壁 | 180 | 0.30 | 1.0 | 54.0 |
| 床(床下断熱) | 80 | 0.32 | 0.7 | 17.92 |
| 窓 | 30 | 1.90 | 1.0 | 57.0 |
| ドア | 5 | 1.80 | 1.0 | 9.0 |
| 合計 | 375 | – | – | 153.92 |
UA = 153.92 / 375 = 0.41 W/(㎡・K)
→ この仕様で UA = 0.41、HEAT20 G2 基準(0.46)を満たす計算。窓の U×A だけで全体の 37% を占めており、窓選定が UA 値に与える影響が圧倒的なのが分かります。
仕様変更でUA値がどれくらい変わるか
たとえば窓をLow-Eトリプル U=1.1に変更すると:
窓部分:30 × 1.1 × 1.0 = 33.0
UA = (16 + 54 + 17.92 + 33 + 9) / 375 = 129.92 / 375 = 0.35 W/(㎡・K)
→ UA = 0.35 まで改善。窓を上げるだけで HEAT20 G3 域の値になります。
逆に外壁の断熱材を10mm薄くすると U 値が 0.30 → 0.34 程度に上がり:
壁部分:180 × 0.34 × 1.0 = 61.2
UA = 0.43 程度
→ 0.02 程度の悪化。壁の仕様より窓の仕様の方が UA 値への影響が大きいことが分かります。
施工管理として現場で「断熱材薄くしてもいい?」と言われた時、面積比と熱貫流率からどれくらい影響するか感覚で見積もれると話の精度が上がります。
施工管理として現場で意識するポイント
UA値計算の数値感をつかんだら、現場での運用ポイントもセットで押さえておきたい。
現場での仕様変更が UA値に与える影響
工事中に出る「この断熱材、在庫の関係でグレードが変わる」「窓の納期がやばくて代替品を提案された」みたいな相談で、UA値が悪化する可能性があります。
仕様変更時のチェックポイント
- 変更後の U 値が当初仕様と何 W/(㎡・K) 違うか確認
- 部位の面積 A を当初設計から拾う
- ΔU × A × H が UA 値全体にどれくらい影響するか試算
- 設計担当に変更の可否を相談(軽微なら現場判断、大きいなら再計算)
「この変更で UA 値が 0.05 上がるんですけど大丈夫ですか?」という質問の精度が一段上がります。
ZEH・省エネ住宅の補助金との関係
ZEH 補助金や住宅性能表示制度では、UA値が一定値以下であることが要件。施工中に基準を割り込むと補助金が下りない事故が起きるので、軽微な変更でも基準クリアの確認は必須です。
気密測定との連動
UA値は断熱性能の指標で、これとは別に気密性能を表すC値があります。両方クリアして初めて高断熱・高気密の住宅と言えるので、施工中の気密処理(防湿シート貼り・気密テープ)も UA 値の数字を裏付ける重要工程。
C 値・気密測定の話はこちらでも。
検査・引き渡し時の説明資料
引き渡し時に施主から「この家の UA 値どれくらい?」と聞かれた時、設計値と実施仕様で乖離がないか確認できると信頼度が上がります。設計図書の UA 値表と、実際に施工した断熱材・窓スペックを照合し、写真を添えた施工記録にまとめておくのが理想。
施工要領書・施工記録の話はこちらの記事で。

太陽光・換気との合わせ技
省エネ性能は UA 値だけでは決まらず、一次エネルギー消費量で総合評価されます。
- UA 値:建物外皮の断熱性能
- 一次エネ:暖冷房・換気・給湯・照明 × 太陽光発電などを総合評価
ZEH 認定では UA 値の基準クリアに加えて、一次エネルギー消費量を正味ゼロ以下にする必要があり、太陽光・高効率機器・全熱交換換気などを合わせて検討します。
全熱交換換気はこちらの記事で。
UA値の計算に関する情報まとめ
- UA値とは:外皮平均熱貫流率。家全体で1㎡あたり1℃の温度差で逃げる熱量
- 公式:UA = ΣU × A × H / ΣA(部位別熱貫流率の加重平均)
- 単位:W/(㎡・K)。値が小さいほど断熱性が高い
- 地域区分:1〜8地域。北海道は厳しく、沖縄は緩い
- 基準値(6地域):省エネ 0.87 / ZEH 0.60 / HEAT20 G2 0.46
- U値の基本:U = 1 / R合計。断熱材は R が大きい(薄くて高性能)方が有利
- 窓の影響度:UA値全体の30〜50%を占めることが多い。窓選定が支配的
- 施工管理の注意点:仕様変更時の試算/補助金要件確認/気密測定との連動
以上が UA値の計算に関する情報のまとめです。
UA値は「家の断熱性能を1つの数値で表したもの」と理解できれば十分。施工管理として手計算でUA値を求める場面は少ないですが、現場で仕様変更が出たときに UA 値への影響度を見積もれるようになると、施主・設計・補助金の三方で失敗しなくなります。窓と外壁の影響度の差は、感覚で持っておきたいですね。
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