- 垂木って屋根のどこにある部材?
- サイズはどうやって決まる?
- 母屋・桁との関係は?
- 後から太陽光パネルを乗せる場合、サイズは足りてる?
- ピッチは何mmが標準?
- 配線で垂木に穴を開けてもいい?
上記の様な悩みを解決します。
垂木は、屋根の傾斜方向に並べる細い角材で、野地板と屋根材を支える木造屋根組の主役部材です。最近はZEH住宅・脱炭素住宅で後から太陽光パネルを追加する案件が急増しており、「既存設計の垂木サイズで太陽光荷重に耐えるか」を判断できることが、現場代理人の重要なスキルになってきています。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
垂木とは?
垂木とは、結論「屋根の傾斜方向(棟から軒先)に向かって渡される、屋根面を構成する細い角材」のことです。
英語では「Rafter」。読み方は「たるき」。
垂木が屋根組で果たす5つの役割
- 野地板(屋根下地合板)を直接支える
- 屋根材(瓦・スレート・ガルバリウム)の荷重を母屋・桁に伝える
- 屋根面の傾斜を物理的に作る
- 軒の出(外壁から張り出す部分)を支える
- 屋根面全体の剛性を確保(地震時の水平構面)
「屋根の坂道に沿って並ぶアバラ骨」というイメージで、屋根材の重量を上から下へ順に伝えていく中継部材です。
屋根組での位置と他部材
屋根組には垂木以外にも複数の水平・鉛直部材があり、それぞれの関係を整理しておく必要があります。
屋根組の主要部材と垂木の位置関係
| 部材 | 配置 | 役割 |
|---|---|---|
| 棟木(むなぎ) | 屋根の頂点を水平に走る | 屋根頂上の梁 |
| 母屋(もや) | 棟木と桁の中間に水平に走る | 垂木の中間支持 |
| 桁(軒桁) | 軒先を水平に走る | 垂木の下端を受ける |
| 垂木 | 棟から軒先へ傾斜方向 | 上記3部材に乗って屋根材を支持 |
| 野地板 | 垂木の上に張る合板 | 屋根材の下地 |
つまり桁→母屋→棟木の3本の水平梁を、垂木が斜めに繋ぐ構成です。垂木は基本的に支点が3点(軒桁・母屋・棟木)あり、各支点で受けているので、長スパンでも撓みにくくなっています。
軸組工法の話はこちらでも触れています。
屋根材重量別のサイズ選定
垂木のサイズは屋根材の重量(屋根の自重)で決まります。これが施工管理者として最初に押さえる感覚値です。
屋根材別の重量と垂木サイズの目安
| 屋根材 | 重量 | 垂木サイズ(標準) | 垂木ピッチ |
|---|---|---|---|
| ガルバリウム鋼板 | 5〜7 kg/㎡ | 45×60mm | 455mm |
| アスファルトシングル | 7〜10 kg/㎡ | 45×75mm | 455mm |
| 化粧スレート(コロニアル) | 18〜20 kg/㎡ | 45×90mm | 455mm |
| 平瓦 | 50〜55 kg/㎡ | 60×90mm | 303〜455mm |
| 釉薬瓦・いぶし瓦 | 50〜60 kg/㎡ | 60×90mm | 303mm |
読み解きの基本ルール
- 屋根材重量が2倍になったら、垂木せい(高さ)も1段階大きくする感覚
- ピッチを狭くするほど1本あたりの負担が減るので、重い瓦は303mmピッチが定石
- 軒の出が910mm(3尺)超なら、軒先側の垂木せいを1段階アップ
「軽い屋根は45×60、重い瓦は60×90、ピッチは303か455」と覚えておけば、現場の話の8割は付いていけます。
太陽光パネル追加時の判断
ZEH住宅・脱炭素対応で新築時 or 改修で太陽光パネルを後付けする案件が急増しています。ここで施工管理者として判定すべきは「既存設計の垂木で持つかどうか」です。
太陽光パネル追加で増える荷重
- パネル本体:約12〜18 kg/㎡
- 架台・ボルト類:約3〜5 kg/㎡
- 追加合計:15〜23 kg/㎡
つまり屋根に1段階重い屋根材を追加で乗せるのとほぼ同じインパクトです。
判定の実務ロジック
| 既存屋根 | 太陽光追加可否 |
|---|---|
| ガルバリウム+45×60垂木 | 構造計算ほぼ必要、垂木せい1段階アップ検討 |
| 化粧スレート+45×90垂木 | 構造的に余裕あり、概ねそのままで可 |
| 瓦+60×90垂木 | 余裕大、追加可。ただし瓦+太陽光の軽量化のため瓦を撤去するパターンも |
判定の実務ステップ
- 既存設計の屋根材重量と垂木サイズを構造図で確認
- 太陽光パネル+架台の追加荷重を計算(メーカー仕様書から)
- 合計荷重で構造計算を再実施(建築士・構造設計者の領域)
- 必要に応じて垂木せいアップまたは屋根材撤去(瓦→ガルバ)を提案
ZEH住宅の話はこちらで詳しく書いています。

施工管理の注意点
垂木工事で施工管理者が押さえるべき具体的なポイント。
1. 垂木掛け金物の確実な取付
垂木の下端は桁に「垂木掛け金物」で固定します。ひねり金物を併用することで、台風時の吹き上げ風による垂木の浮き上がりを防止します。台風常襲地域(沖縄・九州南部・関東沿岸)では、ひねり金物が必須仕様。
2. 配線・配管で垂木を欠損させない
電気配線・換気ダクト・太陽光配線が屋根裏を通る場合、垂木の中央付近に径30mm以下の貫通孔は許容されますが、垂木せいの1/3を超える欠損は構造耐力に影響します。
具体的には:
- 垂木せい90mm → 貫通孔は径30mm以下、上下端から30mm以上離す
- それを超える孔が必要なら、垂木の隙間(ピッチ455mm内)を通すルートに変更
- 垂木を切り欠く場合は構造設計者の事前承認
3. 野地板の釘ピッチ
野地板を垂木に固定するN50釘@150mmが標準ですが、台風常襲地域では@100mmに詰めるべきです。釘ピッチが粗いと、屋根面剛性が落ちて、地震時の屋根の踊りに繋がります。
4. 棟・谷の納まり
棟木と垂木の取り合い、谷部の垂木の納まりは、雨水の侵入経路になりやすいため、屋根防水と一体で施工計画を立てるべきです。
太陽光配線とは別に、屋根裏にLED照明配線・換気ダクトを通す案件で、当初設計の配線ルートが垂木と完全に干渉していたケースがありました。垂木間の隙間(@455mm)を縫う配線ルートに変更することで構造を保ちつつ配線できましたが、配線計画と垂木位置の重ね合わせを着工前にやっておくのが、後手にならないコツです。
垂木に関する情報まとめ
- 垂木とは:屋根傾斜方向に並ぶ細い角材。野地板と屋根材を支える屋根組の主役
- 他部材との関係:桁・母屋・棟木の3点の水平梁に乗って、屋根材を上から下へ伝える中継部材
- サイズ選定:屋根材重量別。ガルバ45×60、瓦60×90が標準。ピッチは303〜455mm
- 太陽光追加時:パネル+架台で15〜23kg/㎡増。ガルバ+45×60なら構造計算必須、瓦+60×90なら余裕あり
- 施工管理の注意:垂木掛け+ひねり金物(台風地域)/配線で垂木せい1/3超の欠損禁止/野地板釘ピッチ/棟・谷の防水
垂木は「屋根業者の仕事」と思考停止しがちな部材ですが、ZEH住宅と太陽光標準化の流れで、施工管理者の判断力が問われる部位になっています。設計図書の屋根材と垂木サイズを見たときに「太陽光が乗っても大丈夫か」を即判断できるようになると、施主提案の幅が広がりますね。
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