- 冷媒配管ってなに?
- どんな種類があるの?
- サイズの選び方ってどう決まるの?
- フレア加工ってなに?
- 真空引きはなぜ必要?
- 施工で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
冷媒配管はエアコン工事の心臓部で、ここの施工が雑だと「数年後にガス漏れ」「効きが悪い」といったトラブルに直結します。電気工事と同じくらい繊細な扱いを要求される分野なので、配管種類・加工・真空引き・気密試験の流れを押さえておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
冷媒配管とは?
冷媒配管とは、結論「エアコンの室内機と室外機の間で、冷媒(フロンガス)を循環させる銅管」のことです。空調機の配管系の中でも、ガス側と液側の2本セットで配管するのが基本構成。
エアコンが冷暖房できる仕組みを大雑把に言うと、冷媒が室内機で熱を吸収(冷房時は室内の熱を吸う)→室外機で熱を放出する、という熱輸送のサイクル。この冷媒が往復する通り道が冷媒配管です。
冷媒配管の特徴:
- 材質はリン脱酸銅管が標準(JIS H 3300 C1220T)
- 2本セット:ガス側(太い方)と液側(細い方)をペアで配管
- 保温必須:銅管表面に結露が発生するため、必ず断熱材で覆う
- 気密性が命:ガス漏れすると効きが悪くなる+環境にも悪い
似た用語の整理として、「冷媒配管」と「ドレン配管」は別物。ドレン配管は室内機の結露水を屋外に排出する配管で、塩ビ管が一般的。エアコン1台の工事ではこの3本(ガス管・液管・ドレン管)に加えて、室内外をつなぐ電線管が加わって計4要素のセットで工事するイメージですね。
冷媒配管の種類
冷媒配管に使う銅管にはいくつか種類があります。
1. ペアコイル(被覆銅管)
ガス管・液管・電線・断熱材があらかじめセットになって巻かれている既製品。家庭用エアコン工事ではほぼコレ一択。
メーカー:因幡電工、オーケー器材、関東通信工業など。
主なサイズ:
| 呼称 | ガス側 | 液側 | 主な対応機種 |
|---|---|---|---|
| 2分3分 | 9.52mm(3/8) | 6.35mm(1/4) | 家庭用2.2〜4.0kW |
| 2分4分 | 12.7mm(4/8) | 6.35mm(1/4) | 家庭用4.0〜6.3kW |
| 3分5分 | 15.88mm(5/8) | 9.52mm(3/8) | 家庭用7.1〜8.0kW、業務用4馬力前後 |
| 4分6分 | 19.05mm(6/8) | 12.7mm(4/8) | 業務用6馬力前後 |
2. 単独銅管(リン脱酸銅管)
長尺ものや業務用大型機向けに、ガス管・液管を別々に施工するパターン。サイズが大きい場合や、現場でロウ付けが必要な場合に使用。
3. ろう付け用継手・フィッティング
業務用やビル用マルチでは、フレア接続では対応できないため、銅製の継手をろう付け(バーナーで銀ろうを溶かして接合)して延長します。
なお、配管全般の話はhttps://seko-kanri.com/haikan-ko-ji/ や、配管に絡む電線管の話はhttps://seko-kanri.com/densenkan/ を参照してください。
冷媒配管のサイズ選定
冷媒配管のサイズはエアコン本体の能力に合わせて決まっていますが、以下のルールがあります。
1. メーカー指定が大原則
各エアコンメーカー(ダイキン、三菱電機、パナソニック、東芝など)は、機種ごとに「推奨配管サイズ」をカタログに明記しています。これを勝手に変えると、能力低下や故障の原因に。
2. 配管長による補正
家庭用エアコンの推奨配管長は概ね15〜20m以内。これを超える場合、追加冷媒の充填が必要になります(メーカーごとに「○○gを追加」と指定あり)。
3. 高低差の制約
室内機と室外機の高低差が10mを超えると、油戻りや圧力損失の問題が出てくるため、業務用では「トラップ配管」や「中継器」が必要に。家庭用は通常そこまでの高低差は想定外。
4. サイズアップのリスク
「太い方が流れがいいだろう」と勝手にサイズアップすると、冷媒の流速が落ちて圧縮機に油が戻らなくなり、結果として圧縮機が焼損するリスクがあります。サイズはメーカー指定通りが鉄則。
施工管理としては、現場で「ペア6mと書いてあるけど在庫は5mしかない」みたいなときに「これでいいですか?」と判断を求められるケースがありますが、配管長は必要分(取り回し含む)を確保しないと、後で追加施工になるか冷媒不足のままになります。事前の数量拾いが大事ですね。
フレア加工
家庭用や小型業務用エアコンの接続で必須なのが「フレア加工」。これは銅管の端部をラッパ状に広げて、ナットで締め付けて気密性を出す方法です。
フレア加工の手順
- パイプカッターで銅管を真っ直ぐ切断
- リーマーで切断面のバリを取る(バリが残るとフレアが割れる)
- フレアナットを先に通す(後からは入らない)
- フレアツールに銅管を挟み、上端を1〜2mm出す
- フレアコーンを回して銅管をラッパ状に広げる
- フレア面の状態確認(割れ・段差・偏心がないか)
フレア面のチェックポイント
- 円形に均一に広がっているか
- ひび割れ・欠けがないか
- 表面に油・ゴミ・水分がついていないか
締め付けトルク
フレア接続のナット締め付けは、トルクレンチで以下のトルクが推奨されています。
| 配管サイズ | 締め付けトルク |
|---|---|
| 6.35mm(1/4) | 14〜18 N·m |
| 9.52mm(3/8) | 33〜42 N·m |
| 12.7mm(4/8) | 50〜62 N·m |
| 15.88mm(5/8) | 63〜78 N·m |
| 19.05mm(6/8) | 97〜117 N·m |
「適当に手で締めて、最後にレンチで一押し」みたいな感覚施工をすると、緩すぎてガス漏れか、締めすぎてナット割れになります。トルクレンチの使用が基本です。
ちなみに、フレアナットはアルミではなく真鍮(黄銅)製の専用品を使うこと。古いフレアナットの再利用は厳禁で、必ず新品を使うのもガス漏れ防止のセオリーです。
真空引きの必要性と手順
冷媒配管の施工で、最も重要かつ省略されがちなのが「真空引き」です。
なぜ真空引きが必要なのか
配管内には初期状態で空気と水分が含まれています。この空気と水分を抜かずに冷媒を流すと:
- 空気混入:圧力が異常上昇して圧縮機に過負荷
- 水分混入:冷媒のフロンと反応して酸を生成→配管内部腐食、エキスパンションバルブの凍結詰まり
- 能力低下:そもそも冷暖房効率が落ちる
- 製品寿命の短縮:5〜10年で故障する可能性
真空引きは「冷媒以外のものを完全に排除する」ための必須工程ですね。
真空引きの手順
- 室内機・室外機・配管を接続し、フレアナットを規定トルクで締め付け
- 室外機のサービスポートにマニホールドゲージを接続
- ゲージから真空ポンプにホースをつなぐ
- 真空ポンプを起動し、ゲージの値が-0.1MPa(-760mmHg)以下になるまで運転
- 規定値に達したら15分以上保持運転を継続(空気と水分を完全に除去)
- 真空ポンプを止めて、5〜10分間ゲージの値を観察
- 値が変わらなければ気密OK、上がってくる場合は漏れがあるので原因究明
- ゲージを外して、室外機のバルブを開放(冷媒を配管に流入させる)
真空引きの所要時間は最低でも15〜20分。「3分で済ませた」みたいな話を聞くこともありますが、これは完全にNG。配管長や気温によっては30分以上必要なケースもあります。
施工管理として現場確認するときは、「真空引き時間」と「保持中の圧力変化」が記録されているかをチェック。プロのエアコン工事業者ならゲージ写真を残していることが多いです。
冷媒配管施工で詰まりやすいポイント
最後に、現場で起きやすいトラブルとその予防策を整理します。
1. 配管内のゴミ・水分混入
配管をカット後、開口端をビニールテープやキャップで塞がないと、施工中に粉塵や雨水が入り込みます。特に外部配管の途中で一晩放置するときは要注意。特に梅雨時期や朝晩の温度差が大きい時期に放置すると、配管内部の結露で水分が想定以上に溜まるケースがあります。真空引きで何時間引いても圧力が下がらず、原因が「最初の配管放置」だった、という事例は珍しくありません。
2. 冷媒充填量の管理
配管長が長い場合、メーカー指定の追加冷媒量を充填する必要があります。ガスの缶の重量変化で計量するか、専用の電子秤を使うのが標準。「適当に追加」は能力不足や圧縮機過負荷の原因。
3. 保温施工の不備
冷媒配管のガス側は表面が結露するため、保温材で隙間なく覆う必要があります。継手部分の保温が甘いと、そこから水滴が落ちて天井ボードを汚したり、躯体を錆びさせたりする事故に。
4. ろう付け時のフラッシング不足
業務用などでろう付け施工する場合、ろう付け時の酸化スケールが配管内部に発生します。これを除去するため、窒素ガスを微量流しながら作業する「窒素フラッシング」が必須。これを省略すると、後で圧縮機焼損の原因になります。
5. 気密試験の省略
商業ビルなど大型空調では、フロンガスではなく窒素ガスで4.15MPa程度まで加圧して、24時間の気密試験を実施するのが標準。家庭用では真空引きで代替するケースが多いですが、正式には気密試験が望ましい。
冷媒配管に関する情報まとめ
- 冷媒配管とは:エアコンの室内機・室外機間で冷媒を循環させる銅管。ガス側+液側の2本構成
- 種類:ペアコイル(被覆銅管)、単独銅管、ろう付け継手
- サイズ選定:機種ごとのメーカー指定が絶対。配管長補正・高低差制約あり
- フレア加工:パイプカッター→リーマー→ナット→フレアツールでラッパ状成形→トルクレンチで規定締付
- 真空引き:-0.1MPa以下まで真空ポンプで吸引、保持運転15分+気密確認
- 注意点:ゴミ・水分混入、冷媒追加量、保温隙間、窒素フラッシング、気密試験
以上が冷媒配管に関する情報のまとめです。
冷媒配管は気密性が全ての世界で、施工の丁寧さがそのまま製品寿命に跳ね返ります。真空引きの時間・トルク管理・保温施工といった基本を1つずつきっちり押さえて、5年後・10年後にも快適に使える空調を引き渡したいところですね。
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