IV線とは?HIVE・VVFとの違い、許容電流、サイズ、用途など

  • IV線ってなに?
  • HIVE線とはどう違うの?
  • VVFとの違いって?
  • どんな用途があるの?
  • 許容電流を知りたい
  • 単線より線のサイズ(規格)を知りたい
  • 価格はどれくらい?
  • どんなメーカーが作ってるの?

上記の様な悩みを解決します。

今やIV線を現場で見ない日はありません。IV線に関する知識がなければ、電気屋として三流以下と言われても言い返えせないと思います。ですが安心してください。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

IV線とは?

IV線とは、結論「屋内配線用のビニル絶縁電線」です。

そもそもIV線の「IVとはなんぞや」という話ですが「Indoor Line」が英語の正式名称でして、屋内用の電線という意味になります。

そもそも何故屋内でしか使えないのか?といったところですが、理由は許容温度にあります。

まず、IV線の許容温度は60℃です。

『いやいや気温が60℃を超えることなんか無いだろ』と思う方もいるかもしれません。これ結論違うって話でして、直射日光の当たる金属管の中は60℃近くまで行きます。

外的要因から、IV線は基本的に室内で使われます。

また、IV線は「ビニル製」ですので、下記の様な特徴を持ちます。

IV線の特徴

  • 耐水性
  • 可とう性
  • 加工性
  • 着色性
  • 難燃性

 

IV線とHIVE線との違い(許容温度)

IV線とHIVE線との違いは、結論「許容温度の数値」です。

許容温度とはその電線が何℃まで耐えられるか?という話になります。例えば許容温度が50℃の電線があったとして、電線周辺の温度が50℃を超えたら、その電線は正常に機能しなくなります。

IV線の許容温度は60℃でHIVEの許容温度は75℃です。

電線周辺の温度が高くなると予想される場合は、IV線ではなく、HIVE線が採用されます。ちなみにSHIVE線というのもありまして、SHIVE線では105℃まで耐えることが可能です。

許容温度の話で注意しなければならないのは「その温度を超えた瞬間アウト」という話ではないということです。

例えば許容温度50℃の電線があったとして、周辺温度が49℃なら、電線としての機能が100%維持できるか?と聞かれればそうではありません。良くないと言えば良くないです。

周辺温度が何℃くらいになるのかを考えて、電線を選定する必要があります。

ただ経験上はHIVE線まで使う様な温度になる空間は少ないです。

ほとんどの場合はIV線で事足りるのではないかなと思います。

 

IV線とVVFの違い

IV線とVVFの違いは、結論「被覆」です。

まず大前提として、IV線とVVF線はだいぶ違います。許容温度もサイズも用途も全然別物です。共通点は絶縁被覆がビニル製ということくらい。

一番分かりやすい例として、被覆の例を挙げて説明していきます。

まずIV線は導体部分に絶縁被覆を巻いたものです。VVFケーブルは絶縁被覆を「ビニルシース」というもので覆ったものになります。

要は「IV線+ビニルシース=VVFケーブル」という訳です。

ちなみにVVRケーブルも全く同じでして、IV線をビニルシースで覆ったらVVRが出来上がります。ただビニルシースで覆ったら、許容温度もサイズも許容電流も変わりますから注意が必要です。

イメージとしては、親戚くらいで思っておけばオーケーです。

 

IV線の用途

IV線の用途その①アース線(接地線)

IV線の用途その①は「アース線(線)」です。

これが一番大きな用途だと思います。

簡単な話、アースは「電気機器と大地を電気的に接続すること」です。

要は感電防止が目的になります。もし電気の流れている部分に人が触れてしまったら感電しますよね。電気機器と大地が接続されていれば、人体ではなく大地が代わりに感電してくれます。

電気機器などの安全目的でIV線が採用されるという訳です。

 

IV線の用途その②渡り線

IV線の用途その②は「渡り線」です。

例えば「照明器具100台取付」という工事があったとしましょう。

配電盤から電線を100本持っていくのはナンセンスです。経済的ではありませんし、工事も大変ですし、なによりそんなスペースありません。

電線を10本持って行って、そこから照明器具同士を接続すれば、問題は解決されます。

この「照明器具同士の接続」に使われるのが、渡り線です。

IV線は大きな電気を通す目的で使われません。ただ小さい電気なら通すことができます。照明器具同士ではそこまで距離はありませんから、IV線が活躍するという訳です。

 

IV線の用途その③ドアやケーブルの固定

IV線の用途その③「ドアやケーブルの固定」です。

これは本来、正しい使い方ではありません。ただ他の電線と比較すると、IV線は下記の様な特徴を持つ為、本来の目的以外でも使われることが多いです。

IV線の特徴

  • 価格が安い
  • 軽くて持ち運びやすい
  • 曲げやすい
  • 強度がある

ドアと壁のフックをIV線で結べば、ドアは開いたまま固定できますよね。部屋の中に部材を搬入する際などはこの様な使われ方をします。

また、ケーブルの固定にも使われたりします。

例えば、幹線の更新工事があった時、ケーブルルートを確保する為に既存の電線を寄せて置きたいですよね。ケーブルラックCチャンネルに電線を固定するのにIV線が使われたりもします。

要はインシュロックの様な使われ方がされることもあるという訳です。

 

IV線の単線より線規格(サイズ)

IV単線のサイズ

導体の直径(mm) 絶縁体の厚さ(mm) 仕上外径(mm)
0.8 0.8 2.4
1.0 0.8 2.6
1.2 0.8 2.8
1.6 0.8 3.2
2.0 0.8 3.6
2.6 1.0 4.6
3.2 1.2 5.6
4.0 1.4 6.8
5.0 1.6 8.2

 

IVより線のサイズ

サイズ 導体外径(mm) 絶縁体の厚さ(mm) 仕上外径(mm)
0.9 1.2 0.8 2.8
1.25 1.35 0.8 3.0
2 1.8 0.8 3.4
3.5 2.4 0.8 4.0
5.5 3.0 1.0 5.0
8 3.6 1.2 6.0
14 4.8 1.4 7.6
22 6.0 1.6 9.2
38 7.8 1.8 11.5
38 8.0 1.8 12.0
60 10.0 1.8 14.0
100 13.0 2.0 17.0
150 16.1 2.2 21
200 18.2 2.4 23
250 20.7 2.4 26
325 23.4 2.6 29
400 26.1 2.6 32
500 28.8 2.8 35

 

IV線の許容電流

サイズ(sq) 許容電流(A)
1.25 19
2 27
3.5 37
5.5 49
8 61
14 88
22 115
38 162
60 217
100 298
150 395
200 469
250 556
325 650
400 745
500 842

 

IV線のメーカー

IV線を作っているメーカー

  • フジクラ・ダイヤケーブル
  • 田中電線
  • 古河電工
  • 住電日立ケーブル

上記の様な会社がIV線を作っています。

古賀電工が大手なイメージですね。経験した現場ではどこも古賀電工でした。メーカーによってモノが大きく異なるということはありません。

価格や融通をどこまで聞いてくれるか?という視点で選ぶのが吉でしょう。

 

IV線の価格

IV線の価格は、結論「1mで20円程度」です。(1.25sq)

勿論、メーカーやサイズによっても異なりますし、会社ごとの掛け率によっても価格は異なります。ただざっくりの指標としては、良く使われる1.25sqが1mで20円程度です。

参考までに

 

IV線に関する情報まとめ

IV線に関する情報のまとめ

  • IV線とは:屋内配線用のビニル絶縁電線
  • IV線とHIVE線との違い:許容温度の数値
  • IV線とVVF線との違い:被覆
  • IV線の用途:アース線(接地線)、渡り線、ドアやケーブルの固定
  • IV線の単線より線のサイズ:上表参照
  • IV線の許容電流:上表参照
  • IV線のメーカー:フジクラ、古河電工、他
  • IV線の価格:1mで20円(1.25sq)

以上がIV線に関する情報のまとめです。

一通りIV線に関する情報は網羅できたと思います。

IV線の用途によりますが、配管の中を通す場合はIV線のサイズを計算に入れなければなりません。電線管のサイズ選定方法については別記事にて詳しくまとめてあるので、よかったら読んでみてください。

それでは。