- 桁橋ってどういう橋のこと?
- どんな種類があるの?
- トラス橋やアーチ橋とは何が違うの?
- 桁橋の施工はどうやるの?
- 桁橋にも長さの限界はあるの?
- 電気・通信ケーブルって桁橋の中を通せる?
上記の様な悩みを解決します。
桁橋(けたきょう)は日本の橋の中で約8割を占める、もっとも普及した橋形式。高速道路、国道、地方道の橋のほとんどがこのタイプです。にもかかわらず「橋=アーチ橋・吊り橋」のイメージが強くて、桁橋という言葉自体が認知されにくい構造体でもあります。施工管理として、桁橋の種類と特徴をしっかり押さえておくと、橋梁案件で土木側との会話がスムーズになりますね。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
桁橋とは?
桁橋とは、結論「水平な梁(桁)を橋脚や橋台で支え、その上に床版を載せた最もシンプルな構造の橋のこと」です。
英語では「Girder Bridge(ガーダーブリッジ)」または「Beam Bridge」と呼ばれます。一番イメージしやすい橋の形で、横棒(桁)を立てた柱(橋脚)で支える、という単純な構造。「ハシゴを横に倒した形」と言えば分かりやすいかもしれません。
桁橋の特徴は、力の伝達がシンプルなこと。荷重が桁にかかると、その力は曲げ応力として桁内部に伝わり、最終的に橋脚・橋台を経由して地盤へ流れます。アーチ橋やトラス橋のような「形で力を流す」工夫がない分、設計と施工が分かりやすいのがメリットです。
橋の主要分類との位置づけを整理すると次の通り。
| 形式 | 力の流し方 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 桁橋 | 桁の曲げ抵抗 | 短〜中スパン(5〜200m) |
| アーチ橋 | アーチで圧縮力に変換 | 中〜長スパン、景観橋 |
| トラス橋 | 三角形の組合せで分散 | 鉄道橋、長スパン |
| ラーメン橋 | 桁と橋脚を剛結合 | 中スパン、河川越え |
| 斜張橋 | 斜めケーブルで吊る | 長スパン、都市部の象徴 |
| 吊り橋 | 主ケーブルから吊り材で吊る | 超長スパン、海峡 |
橋の種類全般についてはこちらの記事もどうぞ。




桁橋の種類
桁橋は、桁の構造形式と材料でいくつかに分類されます。
構造形式による分類
単純桁橋
最もシンプルな桁橋。1スパン分の桁が、両端の支点(橋台または橋脚)に乗っているだけ。
- 適用スパン:10〜40m程度
- 施工:シンプル、現場での架設が容易
- 特徴:両端で熱膨張・地震動を吸収できる
支点付近の部材が大きくなりがちで、超長スパンには向きません。
連続桁橋
複数のスパンを一本の桁で連続させた形式。
- 適用スパン:1スパン20〜80m、全長は数百m〜数km
- 施工:架設精度が高く、ジャッキアップが可能
- 特徴:支点上で曲げモーメントが反転して効率的に荷重を分担
高速道路の高架橋で多用されます。スパン中央のたわみが小さく、走行性が良好。
ゲルバー桁橋
連続桁の途中に「吊り桁」を組み入れた形式。連続桁と単純桁のハイブリッド。
- 適用スパン:30〜100m
- 特徴:連続桁の利点と、温度変化への適応性を両立
近年は連続桁が主流で、ゲルバー桁の新設は減少しています。
鋼床版桁橋
桁の上の床版を、コンクリートではなく鋼板にした形式。
- 適用:長大橋の主桁部
- 特徴:自重を軽くできるため、長スパンに有利
東京湾アクアラインの一部、レインボーブリッジの主桁部などで採用。
材料による分類
コンクリート桁橋
PC(プレストレストコンクリート)またはRC(鉄筋コンクリート)の桁。
- PC桁橋:プレストレスを導入してコンクリートのひび割れを抑制。軽量・スパン延長に有利
- RC桁橋:通常の鉄筋コンクリート。短スパン向け
PC桁の主流形式は、T桁・I桁・箱桁の3種類。


鋼桁橋
鋼板を組み合わせた桁。
- I桁橋:H形鋼の大きい版を使ったI形断面の桁
- 箱桁橋:箱形断面の桁、ねじり剛性が高くスパン長に有利
- ラーメン箱桁橋:橋脚と桁を一体化
長スパンや特殊形状の橋で多用されます。

合成桁橋
鋼桁とコンクリート床版をスタッドジベルで一体化した桁。
- 利点:鋼の引張強度とコンクリートの圧縮強度を組み合わせて効率的
- 採用:30〜80mスパンで多用
最もポピュラーな桁橋形式で、コストパフォーマンスが良い。
各形式を一覧で比較すると次の通り。
| 形式 | 適用スパン | 特徴 |
|---|---|---|
| 単純桁(PC・鋼) | 5〜40m | シンプル、設計容易 |
| 連続桁(PC・鋼) | 20〜80m × 複数 | 走行性良、効率的 |
| ゲルバー桁 | 30〜100m | 旧型、減少傾向 |
| 合成桁 | 30〜80m | 経済性◎、多用 |
| 箱桁 | 50〜200m | 長スパン、ねじり剛性高 |
桁橋の構造の特徴
桁橋の構造を、PC合成桁を例に解説します。
主要部材
- 主桁:橋の主構造、荷重を伝達する梁
- 床版:橋上の交通荷重を主桁に伝える
- 主桁間の横桁:主桁同士を連結して荷重を分散
- 対傾構:横方向の風荷重への抵抗
- 支承:桁を橋脚・橋台に載せる装置(ゴム支承・鋼製支承)
- 伸縮装置(ジョイント):温度変化や地震時の桁の動きを吸収
- 高欄・防護柵:橋の上の通行安全
- 橋脚:桁を中間で支える柱
- 橋台:桁の両端を支える構造、土圧も受ける
- 基礎:橋脚・橋台を地盤に固定
床版の構造
- RC床版:鉄筋コンクリート床版、安価で実績が多い
- PC床版:プレストレスを導入、長期耐久性
- 鋼床版:鋼板の床版、超長スパン用
力の流れ
桁橋の荷重伝達はシンプルです。
- 車両荷重が床版にかかる
- 床版から横桁へ
- 横桁から主桁へ
- 主桁の曲げ抵抗で支点まで
- 支承を介して橋脚・橋台へ
- 橋脚から基礎を経て地盤へ
このシンプルさが、設計のしやすさ・補修のしやすさ・コストの抑制に繋がっています。
桁橋の施工
桁橋の施工方法を、代表的な4工法で整理します。
①支保工架設工法
橋下に支保工(足場のような支え)を組んで桁を架設する方法。
- 適用:橋下が陸上、川幅が狭い場合
- 特徴:基本的な施工法、コストが抑えやすい
- 制約:橋下の通行・河川流路を阻害する
②クレーン架設工法
工場で作った桁を、クレーンで吊り上げて橋脚に乗せる方法。
- 適用:橋下が陸上または浅い水域
- 特徴:施工が速い、橋下を阻害しない
- 制約:大型クレーンが入れる地形
合成桁・PC桁の主流工法です。
③送り出し工法
橋台の上で桁を組み立てて、軌条上を滑らせて送り出す方法。
- 適用:橋下が深い谷・河川・既存施設
- 特徴:橋下に支保工不要
- 制約:高い精度管理が必要
④張出し架設工法
橋脚から左右に対称に桁を張り出していく方法。
- 適用:超長スパン、深い谷
- 特徴:橋下を阻害せず長スパン施工可能
- 制約:高度な技術と工程管理
PC箱桁橋で多用される工法。
工事の主要書類はこちら。


桁橋施工の注意点
注意点①:支承の精度管理
桁の動きを吸収する支承は、施工精度が命。設置誤差が大きいと、温度変化や地震時に桁が破損する。レベル測量・水平度確認は徹底する。
注意点②:プレストレス導入手順
PC桁ではプレストレス導入時の緊張管理が重要。順序・力量を間違えるとコンクリにひび割れが入る。
注意点③:床版コンクリートの打設管理
床版コンクリの打設は連続性が重要。コールドジョイントが入ると耐久性が落ちる。
注意点④:架設時の風荷重・地震対策
桁を架設している途中の状態は、本来の構造系と違うため、風荷重・地震に弱い。一時的な仮支保や仮固定が必要。
注意点⑤:橋下の通行管理
河川・道路を跨ぐ桁橋の架設では、橋下の交通を一時止める必要があります。許可申請、通行止めの周知、夜間工事の検討を計画的に行う。
注意点⑥:電気・通信ケーブルの架設取り合い
桁橋は道路橋として歩道部分・桁内部・路肩部に電気・通信ケーブルを架設することが多い。電線管・ケーブルラックの取付け位置・固定方法を、橋本体の防錆塗装・点検通路と整合させる必要があります。後付けでドリル穴を開けると橋の防錆性が落ちるので、設計段階で取付け金物を打ち込んでおくのが理想。
道路橋の場合、信号・街灯・ITS(高度道路交通システム)用ケーブル、河川管理用通信、変電所への送電線などが桁の側面・下面に架設されるケースも。橋梁設計に電気施工管理が早期から関わると、後の電気工事がスムーズになります。
注意点⑦:竣工後のメンテナンス計画
桁橋は50〜100年の使用を前提とした構造物。点検・補修のための通路・足場設置スペースを設計段階で計画する。橋下の点検通路・桁内部の人通孔(マンホール)などが該当。
桁橋に関する情報まとめ
- 桁橋とは:水平な桁を橋脚や橋台で支え、その上に床版を載せた最もシンプルな構造の橋
- 構造形式:単純桁/連続桁/ゲルバー桁/鋼床版桁
- 材料:PC、RC、鋼、合成桁
- 主な施工法:支保工架設/クレーン架設/送り出し/張出し
- 特徴:力の流れが単純、設計と施工が容易、日本の橋の8割を占める
- 注意点:支承精度、PC緊張、床版打設、架設時風荷重、橋下通行、ケーブル架設、メンテ通路
以上が桁橋に関する情報のまとめです。
一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。桁橋は「目立たないけれど一番多く使われている」橋形式で、施工管理として基礎を押さえれば、橋梁案件の8割は議論についていけます。アーチ・トラス・吊り橋といった派手な形式は、桁橋では届かない長スパンや特殊条件のときに登場するもの、と理解するのが正解。電気側の人としても、橋上のケーブル架設は意外と頻繁にある仕事なので、桁の側面に取付金物を打ち込むタイミングを設計段階から協議しておくと、後の工事がはかどります。
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