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配管の塗装とは?JIS識別色、塗装系、施工手順、注意点など

  • 配管の塗装ってなんで色分けされてるの?
  • 青や赤の色って勝手に決めていいの?
  • 屋外と屋内で塗装系が違うの?
  • ケレン、下塗り、中塗り、上塗りって何?
  • 塗膜厚ってどれくらい必要なの?
  • 引き渡しのときに何をチェックすればいい?

上記の様な悩みを解決します。

配管の塗装とは、結論「金属配管の防錆と、配管の中身を識別表示する目的で施す塗装作業」のことです。塗装には①防錆(錆を止めて配管寿命を延ばす)と②識別表示(中身の物質を色で示す)の2つの目的があり、識別色はJIS Z 9102「配管系の識別表示」でほぼ決まっています。水=青、蒸気=暗い赤、空気=白、ガス=うすい黄、酸またはアルカリ=灰紫、油=茶、電気=うすい黄赤、というのが基本ルール。屋外配管ならジンクリッチプライマー+エポキシ中塗り+ウレタン/シリコン上塗りの3層構成、屋内配管なら錆止め+オイルベース上塗りの2層が標準的な塗装系です。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

配管塗装とは?

配管塗装とは、結論「配管の防錆と中身物質の識別を目的に、素地調整(ケレン)→錆止め→上塗りの工程で塗料を塗布する作業」のことです。配管工事(https://seko-kanri.com/haikan-ko-ji/)の最終段階で行われます。

配管塗装の2つの目的

目的 内容
①防錆 鋼管・配管継手の腐食を防ぎ、配管寿命を延ばす
②識別表示 配管内の物質(水・蒸気・ガス・電気等)を色で示し、誤操作防止

防錆だけなら亜鉛めっき配管を使えば塗装不要ですが、識別表示は必須なので、めっき管でも色帯(識別色のバンド)は塗布します。

なぜ識別色が必要なのか

工場・大型施設の配管は1本の建物に数十〜数百本あり、見た目では何の配管か分かりません。誤って蒸気バルブを開いて作業員が火傷、誤ってガスバルブを開いて事故、というトラブルを防ぐため、国際的にも識別色がほぼ統一されています。

日本ではJIS Z 9102で規定。海外規格(ANSI/ASME A13.1、ISO 14726)も同様の体系です。

JIS Z 9102の識別色

JIS Z 9102「配管系の識別表示」で規定された主な識別色を整理します。

物質別の識別色

物質 識別色 主な用途
(マンセル:2.5PB 4/10) 上水・冷温水・消火
蒸気 暗い赤(マンセル:5R 3/8) 給湯・空調
空気 (マンセル:N9.5) 圧空・送風
ガス うすい黄(マンセル:2.5Y 8/12) 都市ガス・LPG
酸またはアルカリ 灰紫(マンセル:2.5RP 5/2) 工場プロセス・薬液
(マンセル:5YR 3/6) 燃料油・潤滑油
電気 うすい黄赤(マンセル:2.5YR 7/12) ケーブルラック・電線管

水=青/蒸気=暗い赤」は世界標準に近いので、海外現場で日本人技術者が見ても直感的に理解できる仕組み。

使用方法

JIS Z 9102の識別色は、配管全体を塗ることもありますが、配管の所定位置にバンド状の識別色帯を塗る運用が一般的です。

表示部位 内容
配管の本体色 防錆色(多くは灰色や深緑のオイルベース)
識別色帯 物質別の色を一定幅で帯状に塗布
流れ方向矢印 黒色矢印で流体の向きを表示
物質名表示 文字で「水」「蒸気」等を補助表示

色帯の幅は配管口径の半分〜同径程度」が目安。一定間隔で繰り返し表示します。

高温配管への配慮

蒸気・温水管など高温部はラギング(断熱材)が巻かれているので、ラギングの上に識別表示を行います。塗装するのは断熱材の保護板(亜鉛鉄板等)で、配管本体ではありません。

屋外配管の塗装系(防錆+上塗り)

屋外配管は雨・紫外線・温度変化に直接さらされるので、塗装系を多層構成にして耐久性を確保します。

標準的な3層構成

塗料 目的 塗膜厚
下塗り ジンクリッチプライマー(無機・有機) 亜鉛末で犠牲防食 60〜75µm
中塗り エポキシ樹脂系 下塗りと上塗りの密着 30〜60µm
上塗り ウレタン樹脂系またはシリコン樹脂系 紫外線・水分から保護+識別色 25〜35µm

3層合計の塗膜厚(Dry Film Thickness:DFT)は約120〜170µmが目安。

塗料選定のポイント

用途 推奨塗料
重防食仕様(沿岸部・腐食性環境) ジンクリッチ+エポキシ厚膜+ふっ素
一般屋外仕様 ジンクリッチ+エポキシ+ウレタン
屋内一般 錆止め(鉛系or鉛フリー)+オイルベース上塗り
耐熱仕様(蒸気管) シリコン耐熱塗料

ふっ素塗料は耐候性が高く、塗装周期が15〜20年と長いため、海岸付近・橋梁・大型化学プラントで採用。代わりにコストが高いのが難点。

塗装周期

塗料 塗装周期の目安
オイルベース 5〜7年
アルキド 7〜10年
ウレタン 10〜15年
シリコン 12〜15年
ふっ素 15〜20年

新築時の塗装系を高耐久にすると、ライフサイクルコスト(LCC)が下がる」という考え方が、近年の標準。

塗装手順(素地調整から上塗りまで)

塗装作業の標準的な流れ。ここを丁寧にやらないと、すぐに塗膜が剥がれます。

①素地調整(ケレン)

塗装前に配管表面の錆・油・古い塗膜を落とす作業。グレード分けはISO 8501-1(旧 SIS 055900)で規定。

グレード 内容 用途
St2 工具ケレン、軽度 屋内一般
St3 工具ケレン、念入り 屋外一般
Sa1 ブラスト軽度
Sa2 ブラスト中度 一般屋外
Sa2.5 ブラスト念入り 重防食
Sa3 完全ブラスト 沿岸・極厳環境

新設の鋼管は工場ブラスト処理済みのものが多いので、現場での再ケレンはSt2〜St3程度で済むケースが多いです。

②下塗り(防錆塗装)

ケレン後、4時間以内に防錆塗料を塗布するのが原則。表面の発錆を防ぐためです。

  • ジンクリッチプライマー:亜鉛末を含み、犠牲防食で錆を抑える
  • 錆止め塗料:鉛系(昔)/鉛フリー系(現在)で防錆
  • 塗布方法:刷毛・ローラー・スプレー

③中塗り(必要に応じて)

下塗りと上塗りの密着性を高める層。エポキシ樹脂系が定番。

④上塗り(識別色)

塗料 用途
ウレタン樹脂塗料 屋外一般
シリコン樹脂塗料 屋外耐久重視
オイルベース 屋内
耐熱塗料 蒸気・高温管

上塗りでJIS Z 9102の識別色を出します。本体色+色帯の組み合わせか、配管全体を識別色で塗装するパターン。

⑤識別表示の追加

色帯のほか、

  • 流れ方向矢印(黒色)
  • 物質名表示(文字、テープ式または塗装)
  • 温度・圧力表示(高温・高圧の場合)

を必要に応じて追加。

施工管理として注意すべきポイント

配管塗装で施工管理として確認したいポイント。

①ケレン度の確認

下塗り前にケレン度(St2/St3/Sa2.5等)が仕様通りか写真で記録。写真があれば後で「下地が悪かった」と言われた時に証拠になります。

②塗装環境(気温・湿度)

塗料には塗装可能気温・湿度の規定があります。

条件 一般的な制限
気温 5℃以上(一部塗料は10℃以上)
湿度 85%RH以下
被塗物表面温度 露点温度+3℃以上
降雨時 塗装中止

冬期の屋外塗装は朝の結露が問題になるので、午前中の塗装は時間帯を遅らせる調整が必要。

③塗膜厚(DFT)の管理

塗膜厚計(ウェット膜厚計ドライ膜厚計)で各層の塗膜厚を測定。

  • ウェット膜厚:塗装直後に櫛形ゲージで簡易測定
  • ドライ膜厚:硬化後に磁石式ゲージで測定(ISO 19840準拠)

塗膜厚不足は早期剥離・防錆不良の原因。仕様書の許容範囲(指定値の80〜120%目安)に収めます。

④識別色の規格適合

JIS Z 9102の色票(マンセル値)と現場の塗装色を照合。塗料メーカーのJIS適合品を使えば基本的にずれませんが、調色現場では色見本との比較を必ず行います。

⑤塗り重ね間隔

塗料には最小塗り重ね時間最大塗り重ね時間があります。最小時間より早く重ねると下層が硬化しておらず剥離、最大時間より遅いと密着不良夏期と冬期で硬化時間が変わるので、塗料メーカーの指示に従います。

⑥火気・換気の管理

溶剤系塗料は有機溶剤中毒予防規則の対象。

  • 換気の確保(強制換気が必要な場合あり)
  • 静電気対策(防爆エリアでは要注意)
  • 火気禁止(着火源の遠ざけ)
  • 保護具着用(防毒マスク、保護メガネ、皮膚保護)

これは塗装業者側の管理ですが、施工管理として現場全体の労働安全として把握しておきます。

配管の塗装に関する情報まとめ

  • 配管塗装とは:金属配管の防錆と物質識別表示のための塗装作業
  • JIS識別色:水=青/蒸気=暗い赤/空気=白/ガス=うすい黄/酸アルカリ=灰紫/油=茶/電気=うすい黄赤
  • 屋外3層構成:ジンクリッチ60〜75µm+エポキシ30〜60µm+ウレタン25〜35µm
  • 塗装周期:オイルベース5〜7年、ウレタン10〜15年、ふっ素15〜20年
  • ケレン度:St2(屋内)/St3(屋外一般)/Sa2.5(重防食)
  • 塗装環境:気温5℃以上、湿度85%RH以下、露点+3℃以上
  • 施工管理の確認:ケレン度→塗装環境→塗膜厚→識別色→塗り重ね間隔→火気管理

以上が配管の塗装に関する情報のまとめです。

配管塗装は、「色を塗っている時間より、ケレン・養生・塗膜厚計測の準備時間のほうが品質を決める」という、地味さの塊のような工程です。下塗り直前のケレン状態と、各層を塗った直後のドライ膜厚を写真に残すクセさえ付けば、引き渡し後に「塗膜が剥がれた」「色が違う」と呼び戻される確率は半減します。識別色のJIS Z 9102は世界標準にも近いので、海外案件でも応用が効く覚え方をしておいて損はありません。一通り配管塗装の基礎知識は理解できたかと思います。

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