- 不足電圧継電器(27)ってなに?
- 記号は?
- 耐用年数って?
- 試験方法について知りたい
- 設定値はどうやって決めるの?
- どんなメーカーが作っているの?
上記の様な悩みを解決します。
単線結線図の「27」は、不足電圧継電器だと分かっていても、整定値を聞かれると「85V・2秒が一般的と聞いたので」で止まってしまいがちです。ただ、僕が調べた範囲では、この数字の一次資料の根拠は見つかりませんでした。
今回は27がJEM 1090の制御器具番号であることを押さえた上で、メーカー機種の整定範囲と、系統連系規程の値(低圧連系の標準整定値は80%・1秒、高圧連系は80〜90%・0.5〜2秒の範囲)を並べて示し、試験の管理点(メーカーカタログの動作値±5%など)と、保証値ではない「更新推奨時期15年」の読み方まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも分かりやすい内容になっているかなと思います。
※過去の版の記述を、メーカーカタログ・JEM 1090・系統連系規程などの一次資料に合わせて改めています。
それではいってみましょう!
この記事とあわせて、施工管理の転職を考えている方はこちらの比較記事も参考になります。
不足電圧継電器(27)とは?

不足電圧継電器(27)とは、結論「電圧が不足した時に信号を発する機器のこと」です。
もう少し正確に言うと、「27」という番号の出どころは、日本電機工業会の規格であるJEM 1090(制御器具番号)です。農林水産省が公開している共通仕様書の関連資料に、JEM 1090(2008)の基本器具番号表が抜粋されていて、そこでは27の名称が「交流不足電圧継電器」、説明が「交流電圧が不足したとき動作する継電器」と書かれています。
単線結線図に「27」とだけ書かれていて戸惑うのは、図面の上では日本語の名称が省かれ、この番号だけで機器を指すことがあるからなんですよね。番号の意味さえ押さえておけば、打合せで「27が動いた」「27の試験」と言われても、何の話かすぐに追えるようになります。
次に、よく似た呼び名の整理です。現場では「UVR(ユーブイアール)」と呼ばれることもあります。三菱電機の高圧受配電用の保護継電器カタログでは、不足電圧継電器に「UVR:Under Voltage Relay」という英語名が併記されています。
つまり「27」「UVR」「不足電圧継電器」は、同じ機器を番号・略称・日本語名で呼び分けているだけです。図面では27、メーカー資料ではUVR、試験成績書では不足電圧継電器、と書き方が変わっても、指しているものは同じと整理しておけば混乱しません。
メーカーがどう定義しているかも見ておきましょう。東芝のVシリーズ保護継電器カタログでは、次のように説明されています。
不足電圧継電器は、停電や短絡故障等による系統電圧の低下を検出し、負荷側の系統や機器を保護します。(東芝 Vシリーズ保護継電器カタログ CKSJ-0505)
ポイントは「停電」と「短絡故障」の2つが、電圧低下の原因として並べて書かれていることです。電気が来なくなった場合だけでなく、どこかで短絡が起きて電圧が落ち込んだ場合も、不足電圧継電器が見張る対象に入っています。
イメージしやすい例を挙げると、照明器具と非常灯の関係です。常用つまり通常時は照明器具が点灯していて、停電すると非常灯が付く。この「いま普段どおり電気が来ているのか、電気が来なくなったのか」を見張る目の役割を、受変電設備の中で担っているのが不足電圧継電器だと考えると分かりやすいと思います。
ただし、たとえ話はここまでです。不足電圧継電器そのものが非常灯や非常用の回路に切り替えるわけではありません。メーカー資料に書かれている仕事は「電圧の低下を検出して、しゃ断器を動かす指令を出す」ところまでです。この点は次の章で詳しく整理します。
新人に説明するときは、僕なら「27は電圧が下がったことに気づいて、しゃ断器に知らせる見張り役」と一言で伝えます。番号・役割・相手(しゃ断器)の3点をセットで覚えてもらうと、単線結線図を読むときに他の番号とつながりやすくなります。
27が付いている受変電設備の全体像は、受変電設備の基礎をまとめた記事で整理しています。
不足電圧継電器(27)の役割(停電・短絡と系統連系)
「27信号ってどこから出て、何を動かすの?」「停電したら何が起きるの?」という疑問は、メーカー資料と系統連系規程の文言を順に見ていくと答えが出ます。
まず、電圧の異常には2つの向きがあります。三菱電機のカタログ(MELPRO-Aシリーズ)の「事故の種類と保護継電器」の項では、次のように説明されています。
異常電圧には発電機の故障による電圧の急上昇や、停電か短絡事故による電圧低下の2通りがある。前者は過電圧継電器(OVR:Over Voltage Relay)により保護し、後者は不足電圧継電器(UVR:Under Voltage Relay)により保護する。(三菱電機 MELPRO-Aシリーズ カタログ)
電圧が上がりすぎる方を見張るのが過電圧継電器、下がりすぎる方を見張るのが不足電圧継電器、という対の関係です。器具番号でいうと、過電圧継電器が59、不足電圧継電器が27になります(番号の話は次の章で表にまとめます)。
受変電設備の中で不足電圧継電器は、停電や短絡による電圧低下を見張り、しゃ断器を切る指令を出す役目を持っています。
この「指令を出す」部分は、東芝のカタログ(VVU51D/53D)に「不足電圧継電器は、系統電圧の電圧降下を検出し、しゃ断器へトリップ指令を出力することで、系統を保護します。」と書かれています。図面で「27信号」と呼ばれているのは、まさにこのトリップ指令のことだと僕は捉えています。そう読むと、シーケンス図が読みやすくなります。
結線や接点の考え方も少し押さえておきましょう。三菱のMUV-A1の仕様では、制御電源をVT二次電圧から導出し、出力はb接点と記載されています。どの接点がどの回路に入っているかは機種と設計で変わるので、実際の結線はその設備の展開接続図と、使われている機種の取扱説明書で確認するのが確実です。
もう1つ、不足電圧継電器が名前を変えて出てくる場面があります。発電設備を電力系統につなぐときのルールである系統連系規程(JEAC 9701、日本電気技術規格委員会のJESC E0019)です。ここでは「不足電圧リレー(UVR)」として登場し、規程では役割と使い方が次のように書かれています。
- 発電設備等の発電電圧が異常に低下した場合に、これを検出し遮断する
- 系統側短絡事故発生時に電圧低下を検出し遮断する
- 単独運転により電圧低下を生じた場合に、これを検出し遮断する
- OFR・UFRが所定の特性を持たないときに、UVRと組み合わせて補完しながら使う
「太陽光の系統連系でUVRって出てくるけど同じもの?」という疑問への答えは、電圧低下を見張るという点では同じ考え方、ただし系統連系では「発電設備を系統から切り離すため」という目的が前面に出ている、というのが僕の整理です。規程の役割に単独運転の検出が入っている点は、受電設備の中だけで考えていると気づきにくいところです。
系統連系規程の改定の趣旨には、もう1つ大事な一文があります。
ある範囲の電圧変動(低下)に対して運転継続を要求する FRT 動作と,保護停止を要求する不足電圧リレー(UVR)のリレー動作は,相反するものです。(JESC E0019 改定の趣旨)
FRTは、電圧が一時的に下がっても運転を続けることを求める考え方で、すぐに止めたい不足電圧リレーとは正反対の要求です。「瞬時の電圧低下でも動いちゃわない?」という心配については、動作時間の整定とあわせて設定値の章で扱います。
よく聞かれる「非常用発電機が起動するのは27のおかげ?」という疑問にも触れておきます。今回確認したメーカーカタログと公的資料の範囲では、不足電圧継電器と非常用発電機の始動を結びつける記載は見つかりませんでした。ですので、この記事では「27が非常用発電機を起動させる」とは書きません。自分の担当設備でどうなっているかは、その設備のシーケンス図や設計図書で確認するのが確実です。
同じく「どの設備にも必ず付いている」とも言い切れません。三菱のカタログ名が「高圧受配電用」となっているとおり、高圧で受電する設備の保護継電器として扱われる機器ですが、実際に27があるかどうかは単線結線図で確かめるのが早いです。高圧受電の設備がどんな箱に収まっているかは、キュービクルの記事で全体像をつかめます。
不足電圧継電器の記号(器具番号27)

不足電圧継電器の記号は「27」です。「にーなな」と呼ばれたりします。
これは器具番号と呼ばれるもので、日本電機工業会の規格JEM 1090(制御器具番号)で決められている基本器具番号です。なお、この記事で引いている番号と名称は、JEMAの原本ではなく、農林水産省の共通仕様書関連資料に載っている「JEM 1090(2008)抜粋」の表に拠っています。
「51・52・59・64・67と何が違う?」という疑問が出やすいので、27の近くでよく見かける番号を同じ資料から表にまとめました。
| 器具番号 | 名称(JEM 1090抜粋) | 説明(同資料) |
|---|---|---|
| 27 | 交流不足電圧継電器 | 交流電圧が不足したとき動作する |
| 59 | 交流過電圧継電器 | 交流の過電圧で動作する |
| 51 | 交流過電流継電器又は地絡過電流継電器 | 交流の過電流又は地絡過電流で動作する |
| 52 | 交流遮断器又は接触器 | 交流回路を遮断・開閉する器具 |
| 64 | 地絡過電圧継電器 | 地絡を電圧によって検出する |
| 67 | 交流電力方向継電器又は地絡方向継電器 | — |
| 76 | 直流過電流継電器 | 直流の過電流で動作する |
| 80 | 直流不足電圧継電器 | — |
表を並べてみると、取り違えやすい組み合わせが見えてきます。1つ目は27と80です。どちらも「不足電圧」ですが、27は交流、80は直流です。2つ目は27と59で、同じ交流電圧を見ていても、27は下がりすぎ、59は上がりすぎに反応します。3つ目は76で、51・52と近い番号ですが、76は直流過電流継電器で、27とは見ている量も交流・直流の区別も違います。
もう1つ押さえておきたいのが、52との関係です。27や51のような継電器は「異常を見つけて知らせる側」、52の遮断器は「知らせを受けて回路を切る側」です。東芝のカタログにあるとおり、不足電圧継電器は「しゃ断器へトリップ指令を出力」する機器なので、番号の役割を「見張り役」と「切る役」に分けて覚えておくと、図面が一気に読みやすくなります。
番号のあとに文字や数字が付いた表記を見かけることもあります。同じ抜粋資料では、補助記号の付け方の例として「88A(空気圧縮機用接触器)」「3-52G」といった書き方が示されています。一方で、「27L」「27H」のような27に付く補助記号は、この抜粋には載っていませんでした。図面で見慣れない補助記号に出会ったときは、その図面の凡例か、JEM 1090の本体で確認してください。表に載せていない番号も同じで、気になる番号はJEM 1090で引くのが確実です。
ちなみに、図面に描かれる不足電圧継電器の「図記号の形」はJIS C 0617で決まりますが、今回は原典を確認できていないため、この記事では形の説明はしません。不確かな図形を載せるより、図面の凡例を見る方が確実だと僕は考えています。
※本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
不足電圧継電器の記号は「27」で、ほかにも51・52・76といった器具番号があります。電気の資格取得を考えている方には、国家資格の対策講座という選択肢もあります。
不足電圧継電器(27)の設定値

不足電圧継電器(27)の設定値は、結論「よく聞く85V・2秒は一次資料で裏付けが見つからない数字で、実際は機種の整定範囲と、系統連系なら規程の値を見て決める」です。
よく見かける「100Vに対して85V以下2秒が一般的」という説明は、メーカーのカタログと系統連系規程を確認した範囲では、一次資料に根拠が見つかりませんでした。出てくるのは個人ブログや解説サイトばかりです。そこでこの記事では、根拠のはっきりした3つの数字に分けて整理しています。
まず「不足電圧」の考え方です。電圧が少し下がっただけで動いていては、設備がまともに動き続けられません。一方で、本当に停電や短絡が起きたときには確実に動いてほしい。だから不足電圧継電器には「何Vまで下がったら」という動作電圧と、「その状態が何秒続いたら」という動作時間の2つを整定します。
①機種ごとの整定範囲(メーカーカタログ)
整定できる値は機種で決まっています。代表的な機種のカタログ値を並べると次のとおりです。どれも定格電圧110Vの機種です。
| 機種(定格) | 動作電圧の整定 | 動作時間の整定 |
|---|---|---|
| 三菱 MUV-A1V-R/MUV-A1V-RD(AC110V) | LOCK・60・65・70・75・80・85・90・95・100V | 0.1・0.2・0.5・1.0・1.5・2.0・2.5・3.0・4.0・5.0s |
| 東芝 VVU51D-02A/VVU53D-02A(110V) | 30〜100V(5V刻み) | (今回の資料範囲では未確認) |
| 東芝 VVU61D-02A/VVU63D-02A(110V) | 20〜90V(5V刻み)と100V(95Vは無い) | 即時・0.25〜2.0s(0.25s刻み)・2.5〜5.0s(0.5s刻み) |
同じ東芝でも、定格63.5VのVVU51D-01A・VVU53D-01Aは動作値が10〜50Vになります。整定値を考えるときは、まず「その機種の定格電圧はいくつか」を確認するのが出発点です。
三菱のMUV-A1V-Rでは、整定範囲60〜100Vは定格110Vに対しておよそ55〜91%にあたります。「100Vに対して」という言い方は、定格110Vの機種を前提にすると、そもそも基準の電圧がずれていることになります。
もう1つ、見落とすと困るのが「LOCK」です。MUV-A1では、動作電圧整定の「LOCK」はその要素を動作させない設定で、工場出荷時の設定は「LOCK」と「0.1s」になっています。つまり、出荷時のまま受電すると不足電圧の要素は動かない状態です。受電前の整定確認で、LOCKのままになっていないかは必ず見ておきたいところです。
②系統連系規程の値(JESC E0019)
発電設備を系統につなぐ場合は、系統連系規程に不足電圧リレーの値が載っています。ここは低圧連系と高圧連系で書き方が違うので、混ぜないように注意が必要です。
| 区分 | 検出レベル | 検出時限 |
|---|---|---|
| 低圧連系(表2-2-7・逆変換装置の場合)標準整定値[整定範囲例] | 80%[80~90%] | 1秒[0.5(1秒※1)~2秒] |
| 高圧連系(表2-3-8・交流発電設備) | 80~90% | 0.5~2秒 |
| 高圧連系(表2-3-9・逆変換装置) | 80~90% | 0.5(1秒※)~2秒 |
「標準整定値」として1つの値が載っているのは低圧連系の表で、高圧連系の表は範囲の表示だけです。高圧連系に「標準は80%・1秒」と書いている解説を見かけたら、低圧連系の値と混ざっていないか疑ってよいと思います。また規程には、連系保護リレーについて「標準整定値によりがたい場合は電力会社と発電設備等設置者の個別協議により決定」とも書かれています。
③計算してみるとどうなるか(計算例)
数字の感覚をつかむために、低圧連系の標準整定値80%を、定格110Vの機種に当てはめてみます。110×0.8=88Vです。
ただし、これはあくまで計算例です。低圧連系の値を当てはめただけなので、「高圧受電の標準が88V」という意味ではありません。こうして計算してみると、85Vという数字も、規程の値から機械的に出てくるものではないことが分かります。
例えば一瞬だけ電圧が整定値を下回り、すぐ元に戻った場合、電圧が不足しているのは一瞬ですので、停電と判断してよいかは難しいですよね。
ここで効いてくるのが動作時間です。機種の時間整定は、MUV-A1で0.1〜5.0s、VVU61D/63Dで即時〜5.0sの範囲です。僕の考えでは、時間を短くすれば早く切れる代わりに一瞬の低下でも動きやすくなり、長くすれば不要な停止は減る代わりに切れるのが遅くなる、という見方で整定表を読むと迷いにくいです。
ここまでを踏まえて、整定値を聞かれたときの確認の順番を僕なりに整理しておきます。最初に見るのは、銘板やカタログで分かる機種名と定格電圧です。定格が110Vなのか63.5Vなのかで、選べる動作値の範囲がまるで変わるからです。次に、その機種の整定範囲の中に、整定値表の値がそもそも存在するかを確認します。目盛りに無い値は設定できないので、ここで食い違いが見つかることもあります。最後に、その設備が発電設備を系統につなぐ設備なのかどうかを見て、そうであれば系統連系規程の値(低圧連系か高圧連系か)と照らし合わせます。この3段階で見ていけば、「85Vって聞いたけど合っているのかな」という迷いは、根拠のある確認作業に置き換えられるはずです。
最終的な整定値は、上位の電力会社側や下位の遮断器・他の継電器との兼ね合い、つまり保護協調を踏まえて設計で決まるもの、というのが僕の考えです。現場の施工管理としては「整定値表のとおりに設定されているか」「機種の整定範囲に収まっているか」を確かめる立場だと割り切ると、迷いが減ります。保護協調の考え方は保護協調の記事で詳しくまとめています。
不足電圧継電器(27)の試験方法
不足電圧継電器(27)の試験方法は、製品によって異なります。
製品付随の取扱説明書、もしくはメーカーのホームページにて確認が必要です。下にリンクを貼っておくので参照してみてください。
「試験って何を測るの?」「合否の基準は?」という疑問に具体的に答えるために、ここからは1機種の例として、三菱のMUV-A1のカタログに載っている試験の内容を見ていきます。あくまでMUV-A1の値であって、全機種に共通する基準ではない点を先にお断りしておきます。
試験をするタイミング
MUV-A1のカタログには「リレーは、工場出荷時に十分な試験を行っていますが、次のような場合には是非試験を行われることをお勧めします。」とあり、その場面として次の3つが挙げられています。
| 場面 | カタログの記載 |
|---|---|
| a | 製品入荷後、開梱した時 |
| b | 設備を運開(受電開始)する時 |
| c | 定期点検時(通常は1年に1回) |
「試験はいつやる?年次点検で毎年?」という疑問には、少なくともMUV-A1については、定期点検時が通常1年に1回と書かれている、というのが答えになります。年に一度の停電点検で継電器試験がどう組み込まれるかは、電気の年次点検の記事で流れを追えます。
試験の項目
カタログの試験の章は「1.試験に際して」「2.耐圧試験」「3.動作特性試験」「4.動作特性管理点」の4つで構成されています。
1つ目の「試験に際して」では、「試験時には、表示選択スイッチのポジションを「電圧計測」に合せてください。」「電圧入力波形は、歪みの少ない正弦波としてください。」と注意が書かれています。
なお、MUV-A1の仕様上の表示範囲(電圧計測)は55〜130Vです。
2つ目の耐圧試験は、「AC2000V(商用周波数)を1min間印加し、問題ないことを確認ください。」というもので、電気回路相互間にもAC2000V・1minを印加する項目があります。
3つ目の動作特性試験では、「試験電圧を徐々に上げていきますと、50V前後でRUN表示LED(緑色)が点灯します。」「定格電圧印加でリレー正面テストボタンを押して強制動作することを確認してください。」とあります。また、始動表示の機能について「本機能(始動表示)は受入試験及び定期点検での動作値試験時に使用できます。」と書かれています。
合否の基準(動作特性管理点)
4つ目の動作特性管理点が、いわゆる合否の目安です。MUV-A1の管理点表は次のとおりです。表の「各整定」「最大整定」「最小整定」などは、動作値の整定と動作時間の整定をどの組み合わせにして試験するか、という条件を表しています。
| 項目 | 入力・動作値の整定 | 動作時間の整定 | 判定基準 |
|---|---|---|---|
| 動作値 | 各整定 | 最小整定 | 整定値の±5% |
| 復帰値 | 最大整定 | 最小整定 | 動作値の105%以下 |
| 動作時間 | 入力:定格電圧→整定値の70%/動作値の整定:最大整定 | 最小整定 | 整定値の±20ms |
| 動作時間 | 入力:定格電圧→整定値の70%/動作値の整定:最大整定 | 最小整定以外 | 整定値の±10% |
読み方を補足すると、動作値は「動作値の整定を各整定にしたとき、整定した電圧のとおりに動くか」、復帰値は「電圧が戻ったときに元の状態へ戻るか」、動作時間は「定格電圧から整定値の70%まで電圧を落としたとき、整定した時間どおりに動くか」を見ています。動作時間の判定基準は、動作値の整定を最大にしたとき、動作時間の整定が最小なら±20ms、それ以外なら±10%です。動作時間の試験が「電圧を落とす」入力になっているのは、不足電圧継電器が電圧の低下で動く機器だからですね。
なお、MUV-A1はカタログにJEC 2511準拠品と明記されています。試験成績書を確認するときは、記載されている判定基準が「その機種のカタログや取扱説明書の値」と合っているかを見るのが、立会い側のいちばん確実なチェックだと、個人的には思います。他社の機種なら、上の双興電機製作所やムサシインテックの資料のように、その機種の資料に書かれた手順と基準で判断してください。
試験の立会いで僕が大事だと思うのは、数字そのものより「どの基準で合否を出しているか」を確かめることです。たとえば同じ動作時間の誤差でも、MUV-A1では、動作値の整定を最大にしたとき、動作時間の整定が最小なら整定値の±20ms、それ以外なら整定値の±10%と、整定の組み合わせによって判定基準が分かれています。成績書に「良」とだけ書かれていても、どの条件のどの基準で判定したのかが追えるようにしておくと、翌年の点検で値が変わったときに比較ができます。整定値そのものも、試験のついでに整定値表と一致しているかを毎回見ておくと安心です。
不足電圧継電器(27)を作っているメーカー
不足電圧継電器(27)を作っているメーカー
- 三菱
- オムロン
- 富士電機
- 東芝
- 双興電機製作所
- ムサシインテック
以上のメーカーが不足電圧継電器を制作しています。
「三菱と東芝で何か違う?」という疑問に答えるために、今回カタログを確認した2社の機種を型式で並べておきます。
| メーカー・シリーズ | 型式の例 | カタログ |
|---|---|---|
| 三菱電機 MELPRO-Aシリーズ | MUV-A1V-R(形番094PGA)、MUV-A1V-RD | 三菱保護継電器 高圧受配電用 MELPRO-Aシリーズ |
| 東芝 Vシリーズ | VVU51D・VVU53D、VVU61D・VVU63D | Vシリーズ保護継電器カタログ CKSJ-0505 |
不足電圧を見張って、しゃ断器に知らせるという基本の役割は各社で同じです。ただし、設定値の章で見たとおり整定範囲の刻みは機種で違います。三菱のMUV-A1V-Rは60〜100Vで95Vの目盛りがあるのに対し、東芝のVVU61D/63D-02Aには95Vがありません。時間の整定も、MUV-A1は0.1sから、VVU61D/63Dは「即時」から始まるといった違いがあります。
ある程度会社によって使用するメーカーは決まっていると思うので、そのメーカーを使えば問題ないかと思います。ただ、メーカーや機種を替えるときは、今の整定値が新しい機種の目盛りにそのまま存在するかを確認しておくのが安全です。
不足電圧継電器(27)の耐用年数
不足電圧継電器(27)を含む保護継電器の更新推奨時期は、日本電機工業会(JEMA)の調査報告書で「15年」とされています。
JEMAの「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(改訂版・2023年3月)の表「各機器の更新推奨時期」に、保護継電器15年と載っています。三菱電機のリニューアルのページでも「保護継電器の更新推奨時期は15年になります。」と案内されています。
ここで「15年って法律で決まってるの?」「15年経ったら絶対に替えないとダメ?」という疑問が出てきます。報告書には、この15年の意味が次のように書かれています。
この更新推奨時期は,機能や性能に対する製造者の保証値ではなく,通常の環境の下で,通常の保守・点検を行って使用した場合に,機器構成材の老朽化などにより,新品と交換した方が経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期である。(JEMA「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書)
つまり報告書の15年は、期限や保証値としては書かれていません。業界団体が「このあたりで替えた方が経済的にも有利なことが多い」と示した目安です。「耐用年数15年」と言われるときは、この意味の「更新推奨時期」と読むのが正確です。
「頻繁に動作するほど早く寿命が来る」とも言われますが、報告書の説明は少し違います。報告書では「一般的な継電器は、動作待機状態にあるため、機械的摩耗による劣化は少ない。しかしながら、設置環境などによっては部品の劣化を促進し、それにより継電器の寿命が左右される場合がある」とされています。普段は待機しているだけの機器なので、動作回数よりも、置かれている環境の方が寿命に効いてくる、という整理です。
「古い円板形のものはまだ使える?」という疑問については、今回の資料の範囲で年式ごとの可否は判断できません。ただ、更新推奨時期の考え方に沿うなら、15年を超えた継電器は試験の結果と設置環境を見ながら更新を検討する対象、というのが僕の考えです。三菱電機のように、保護継電器の製品置き換えの案内を出しているメーカーもあるので、更新を考えるときはまず今のメーカーに置き換え先の機種を確認するとスムーズです。
不足電圧継電器は、電圧の低下を見張ってしゃ断器に知らせるという重要な役割を持っています。正しく動作する様、定期的なメンテナンスを行う必要があります。
電気や設備の経験は、施工管理の求人の中でも特に需要が高い分野です。年収・拘束時間・職種のどれを変えたいかで選ぶ形に施工管理向けの転職サービス比較としてまとめています。
不足電圧継電器(27)に関する情報のまとめ

不足電圧継電器(27)に関する情報のまとめ
- 不足電圧継電器とは:JEM 1090の器具番号27「交流不足電圧継電器」。UVRとも呼ばれる
- 役割:停電や短絡による電圧低下を検出し、しゃ断器へトリップ指令を出す。系統連系では単独運転なども検出
- 記号:27(JEM 1090の器具番号)。59は過電圧、80は直流不足電圧、76は直流過電流
- 設定値:85V・2秒は一次資料の裏付けなし。機種の整定範囲と、系統連系の値(低圧連系の標準整定値80%・1秒、高圧連系は80〜90%・0.5〜2秒の範囲)で考える
- 試験方法:機種の取扱説明書で確認。MUV-A1の例では動作値は整定値の±5%、復帰値は動作値の105%以下
- メーカー:三菱、オムロン、富士電機、東芝、双興電機製作所、ムサシインテック。整定範囲の刻みは機種で違う
- 耐用年数:JEMAの更新推奨時期で保護継電器15年。保証値ではない
以上が不足電圧継電器に関する情報のまとめです。
一通り基礎知識は網羅できたと思います。
「27」とはJEM 1090の器具番号のことであり、27以外にもよく出てくる器具番号の機器がいくつかあります。全てを覚えきるのは少し大変ですが、頻繁に出てくるものを抑えておけば、ある程度仕事になります。
整定値について聞かれたら「85V・2秒が一般的」と答えるのではなく、まず機種と定格電圧を確認し、整定値表と機種の整定範囲を突き合わせる。試験成績書は、その機種のカタログや取扱説明書の判定基準と照らし合わせる。この2つを習慣にしておけば、27まわりの打合せで迷うことはぐっと減るはずです。
下によく出てくる器具番号の機器とそれに類する機器に関する記事リンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。
それでは!
