1級電気工事施工管理技士 経験記述|工程管理は7年で4回出題

  • 安全ばかり準備してきたけど、工程管理が来たら何を書けばいい?
  • 問題はいくつ挙げて、対策は全部でいくつ書くの?
  • 手元の例文は「とった対策」の形。令和6年度からの問い方でも使える?
  • 施設が運用中の改修工事なんて、ほとんど担当したことがない
  • 狭い場所の据付けと言われても、盤の搬入くらいしか思いつかない
  • 対策が「人を増やす」「残業する」ばかりになりそう

上記の様な悩みを解決します。

1級電気工事施工管理技士の第二次検定で、問題1に工程管理が出たのは令和元・3・4・6年度の4回です。令和6年度からは問A・問Bで施工場面が指定されるようになり、「とった対策」から「とるべき対策」へ動詞も変わりました。

本記事では、令和元年度から令和7年度までの問題文を原本と照合し、工程管理が出題された年の設問の個数や動詞の変化、令和6年度に加わった「附帯する工事を主体に記述しないこと」という条件までを整理しています。問A・問Bそれぞれの施工場面から工程上の問題をどう立てるかも、表にまとめて確認できます。

なるべく分かりやすい表現で整理していくので、これまで安全管理を中心に準備してきた方にも、工程管理の答案の形がつかみやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

工程管理は7年で4回、個数と動詞は年ごとに違った|1級電気・問題1の年度表

1級電気工事の問題1を令和元年度から令和7年度まで順にめくると、「工程管理上の問題」を書かせた年は、令和元年度・令和3年度・令和4年度・令和6年度の4回です。残る令和2年度・令和5年度・令和7年度の問題1は安全管理で、墜落災害・感電災害・飛来落下災害が題材でした。そして令和6年度からは、問A・問Bのどちらかの場面を選び、「とるべき対策」を書く形に変わっています。安全ばかり準備してきた人にとっては、7年のうち4回は工程が問題1に入っていた、というのが問題冊子から数えた率直な数字です。

年度 試験の名称 問題1の管理項目 工程管理の小問で求めた個数 対策の言い方
令和元年度 実地試験 工程管理+品質管理 問題とその理由を2つ/対策は問題ごとに2つ 「あなたがとった対策」
令和2年度 実地試験 安全管理(墜落災害・感電災害) ― ―
令和3年度 第二次検定 工程管理+安全管理(墜落災害又は飛来落下災害) 個数の指定なし 「あなたがとった対策」
令和4年度 第二次検定 工程管理+品質管理 問題とその理由を2つ/対策は問題ごとに2つ 「あなたがとった対策」
令和5年度 第二次検定 安全管理(墜落災害・感電災害) ― ―
令和6年度 第二次検定 工程管理(問A・問Bから選択) 問題とその理由を2つ/対策は問題ごとに2つ 「あなたがとるべき対策」
令和7年度 第二次検定 安全管理(墜落災害又は飛来落下災害。問A・問Bから選択) ― ―

7年分の表は、1級電気工事施工管理技術検定の問題冊子(令和元年度・令和2年度は実地試験問題、令和3年度〜令和7年度は第二次検定問題)の問題1を、年度ごとに書き写して並べたものです。問題冊子の名前は、令和2年度までが「実地試験問題」、令和3年度からが「第二次検定問題」なので、試験の名称の列はそれに合わせています。

この表で見てほしいのは、右の2列です。同じ工程管理でも、令和3年度だけは問題と対策の個数が書かれておらず、令和6年度だけは「とった」ではなく「とるべき」と聞いています。7年分の例文をひとまとめに「工程管理の例文」として扱うと、この差が見えなくなります。個数の話は次の節、言い方の話はその次の節で、それぞれ問題文を並べて確かめます。

工程管理が出た年に、もう1つの管理項目がどこに置かれたかも年度で違います。令和元年度と令和4年度は、問題1の中にもう1つ「施工の計画から引渡しまでの間の品質管理に関して,あなたが特に留意した事項とその理由をあげ,あなたがとった対策を具体的に記述しなさい。」という小問がありました(令和元年度 1級電気工事施工管理技術検定 実地試験問題 問題1−3/令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−3。令和4年度は書き出しが「上記(1−1)の電気工事の現場において,」)。令和3年度は、工程管理と並んで墜落災害又は飛来落下災害を2項目書かせる小問が問題1に入っています(令和3年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。

令和6年度は、問題1が工程管理だけになり、品質管理は問題2の「関連工事と輻輳する電気工事において」の設問へ、安全は問題3の「高所作業車での作業」「高圧停電作業」「酸素欠乏危険場所での作業」「建設機械による掘削作業」から2つ選んで対策を書く設問へ移りました(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題2・問題3)。工程が問題1に来た年でも、安全の準備は別の問題で使われていたことになります。

工程と安全のどちらが来ても書けるようにしたい、という考えは、この表を見る限り筋が通っています。ただ、並びに規則を見つけて令和8年度を当てにいくための材料は、問題冊子のどこにも書かれていません。表からはっきり読めるのは別のことです。工程が問題1に来た4回のうち3回は、同じ問題1の中に品質か安全の小問が並び、令和6年度は品質と安全が問題2・問題3に移っています。工程の小問だけを仕上げて臨む準備は、少なくともこの7年の問題冊子の上では成り立っていません。

準備した工事が出題の場面と噛み合わなかったらどうするか、という不安もこの表とつながっています。令和5年度までは自分の工事を先に書かせたので、準備した1件の工事で答案を組めました。令和6年度からは場面を問題文が決めるので、1件の工事に寄せた準備だと噛み合わない年が出てもおかしくありません。問題1全体の形の変化は1級電気の経験記述の形式変更をたどった記事にあります。この記事が追うのは、工程の小問の文言だけです。

求められた「問題」と「対策」の数|R3だけ個数の指定がなかった

問題はいくつで、対策はいくつ書くのか。先に答えると、令和元年度・令和4年度・令和6年度は「問題とその理由を2つ」「対策を問題ごとに2つ」で、令和3年度だけ個数の指定がありませんでした。4回の問題文を、個数に関わる部分だけ抜き出して並べます。

令和元年度は「施工中に発生した又は発生があると予想した工程管理上の問題とその理由を2つあげ,これらの問題を防止するために,あなたがとった対策を問題ごとに2つ具体的に記述しなさい。ただし,対策の内容は重複しないこと。」でした(令和元年度 1級電気工事施工管理技術検定 実地試験問題 問題1−2)。令和4年度は「発生すると予想した」の部分を除けば同じ文です(令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−2)。令和6年度は問A・問Bのどちらも「工程管理上の問題とその理由を2つあげなさい。その上で,これらの問題を防止するため,あなたがとるべき対策をその問題ごとに2つ具体的に記述しなさい。ただし,対策の内容は重複しないこと。」と続きます(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A・問B)。

年度 問題とその理由 対策 「重複しないこと」の一文
令和元年度 2つ 問題ごとに2つ 「ただし,対策の内容は重複しないこと。」
令和3年度 個数の指定なし 個数の指定なし なし
令和4年度 2つ 問題ごとに2つ 「ただし,対策の内容は重複しないこと。」
令和6年度 2つ その問題ごとに2つ 問A・問Bとも「ただし,対策の内容は重複しないこと。」

出典は、令和元年度 1級電気工事施工管理技術検定 実地試験問題 問題1−2、令和3年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−3、令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−2、令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1です。

個数が指定された3回は、問題1つに理由を1つ添えた組を2組つくり、その2つの問題それぞれに対策を2つずつ付ける形です。数え直すと、答案全体の対策は4つになります。「問題ごとに2つ」を「全部で2つ」と読み違えると、対策が半分しか無い答案になるので、ここは問題文の語で押さえておきたいところです。

令和3年度だけは、「上記(1−1)の電気工事の現場において,施工中に発生した又は発生すると予想した工程管理上の問題とその理由をあげ,この問題を防止するためにあなたがとった対策を具体的に記述しなさい。」という文で、問題の数も対策の数も書かれていません(令和3年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−3)。「この問題」と単数で受けているので、問題を1つ挙げてそれに対策を書く形と読めますが、これは文の読み方であって、個数が明記されていたわけではありません。同じ年の問題1には墜落災害又は飛来落下災害を2項目書かせる小問も並んでいたので、工程の側は1つに絞った出題だったとも受け取れます。

次に、問題が違えば同じ対策を書いてもいいのか、という疑問です。ただし書きの文言は「対策の内容は重複しないこと」で、「問題ごとに」のような範囲を区切る語は付いていません(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A・問B)。文の書き方からすると、1つの問題の中の2つだけでなく、答案にある4つの対策どうしで中身を重ねない、と読んでおくのが無難です。これは文言からの読み方で、範囲を説明した記載が問題冊子にあるわけではありません。問題Aの対策に「施設管理者と作業日を協議する」と書いたなら、問題Bの対策で同じ協議をもう一度書くのは避ける、という具合です。

参考までに、安全管理だった令和7年度の問題1では、ただし書きが「事項とその理由及び対策の内容は重複しないこと。」と、対策だけでなく事項と理由にまで広がっていました(令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。工程管理だった令和6年度の問A・問Bで名指しされているのは、対策の内容です。

答案を書き始める前に、問題文の個数と照らして確かめておきたいのは次の4点です。

  • 工程管理上の問題を2つ挙げ、それぞれに理由が1つずつ付いているか
  • 2つの問題それぞれに、対策が2つずつ付いているか
  • 4つの対策が、言い回しを変えただけの同じ手になっていないか
  • どの対策も、挙げた問題を「防止する」向きの手になっているか

何点が付くか、4つそろえれば満点か、といった点は、工程管理の小問の問題文に配点の記載が無いので断定できません。書けるのは、問題文が求めた個数と形に答案を合わせる、というところまでです。

R6から「とるべき対策」に|旧形式の例文を直すときの3か所

手元の例文が古い気がする、という感覚はおおむね当たっています。検索で見つかる工程管理の例文の多くは、自分の工事で起きた遅れと、そのときにとった手を過去形で書く形です。これは令和元年度・令和3年度・令和4年度の問い方に合わせた形で、令和6年度の問い方とは3か所で食い違います。

見比べる箇所 令和元年度・令和4年度 令和3年度 令和6年度 問A・問B
問題1の書き出し 「あなたが経験した電気工事について,次の問に答えなさい。」 同左 「次の問A又は問Bのどちらかを選択して答えなさい。」
場面の受け方 「上記の電気工事の現場において,」 「上記(1−1)の電気工事の現場において,」 「あなたの電気工事の経験を踏まえ,」+場面の指定
問題の言い方 令和元年度「発生した又は発生があると予想した」/令和4年度「発生した又は発生すると予想した」 「発生した又は発生すると予想した」 「発生が予想される」
対策の言い方 「あなたがとった対策」 「あなたがとった対策」 「あなたがとるべき対策」

出典は、令和元年度 1級電気工事施工管理技術検定 実地試験問題 問題1、令和3年度・令和4年度・令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1です。

工事概要を書く欄がどうなったかも、ここで確かめておきます。令和元年度・令和3年度・令和4年度の問題1は、まず工事名、工事場所、電気工事の概要、工期、この電気工事でのあなたの立場、あなたが担当した業務の内容を書かせ、そのあとで工程管理の小問に入る形でした(令和元年度 1級電気工事施工管理技術検定 実地試験問題 問題1/令和3年度・令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。令和6年度と令和7年度の問題1には、この工事概要を書く欄がありません(令和6年度・令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。工事概要を書いてから工程の話に入る、という答案の前提ごと入れ替わったと考えておくのが安全です。

1か所目:書き出しを「自分の工事」から「問題文の場面」へ

旧形式の例文は、「上記工事では」「本工事において」のように、先に書いた工事概要を指す言葉で始まることが多いです。令和6年度は受ける工事概要がそもそも無く、場面は問題文が「運用中でその制約を受ける電気工事において,」「狭い空間で機器を据え付ける作業を行う電気工事において,」と先に決めています(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A・問B)。書き出しは、その場面の言葉を受けて、どの制約が工程に効くのかを言う形に変えます。

2か所目:起きた遅れを、起こりそうな遅れに言い換える

令和元年度・令和3年度・令和4年度の工程管理の小問は「発生した又は」と、実際に起きた問題も書ける問い方でした。令和6年度は「発生が予想される」だけなので、答案に書くのは、その場面で起こりそうな遅れや手待ち、作業の順序の乱れです。「受電設備の据付けが遅れた」という過去の出来事は、「搬入経路が狭く機器の搬入に時間を要し、据付け後に予定していた配線作業に手待ちが生じるおそれがある」のように、原因と影響を先回りして書く形に直します。

3か所目:挽回の手を、防止の手に置き換える

見落とされやすいのがここです。対策の前に置かれた語は、令和元年度・令和4年度が「これらの問題を防止するために」、令和3年度が「この問題を防止するために」、令和6年度が「これらの問題を防止するため」で、4回とも「防止する」でした(令和元年度 1級電気工事施工管理技術検定 実地試験問題 問題1−2/令和3年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−3/令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1−2/令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。つまり、遅れが出たあとに人を増やして取り戻した、という挽回の話は、旧形式の頃から問いの向きとずれていたことになります。令和6年度の形に直すなら、語尾を「〜した」から「〜する」「〜しておく」に変えるだけでなく、中身も遅れを出さないための段取りに入れ替えます。

直し方の一例を並べます。これは問題文を読んで僕が作った作例で、模範解答ではありません。

旧形式によくある書き方 令和6年度の問い方に合わせた書き方
問題 受電設備の切替えが予定日に終わらず、工程が遅れた 施設の運用を止められる時間が限られるため、停電を伴う切替え作業が予定の日に終わらず、後続の試験が遅れるおそれがある
対策 作業員を増員し、残業して遅れを取り戻した 停電の日時と作業範囲を施設管理者と事前に協議して確定し、停電時間内に終える手順を作業前に関係者と確認しておく

例文を丸暗記しても通るのか、という問いには、この3か所が答えになります。場面が問題文で決まり、時制も対策の向きも指定されている以上、別の場面で書かれた例文を1本覚えて当てはめても、場面の言葉と答案の中身が噛み合わない可能性が残ります。安全管理の答案で同じ入れ替えをどう考えるかは、1級電気の安全管理の経験記述を扱った記事にまとめています。

問A「施設等が運用中」・問B「狭い空間で機器を据え付ける」から工程上の問題を立てる

令和6年度の場面は、問Aが「運用中でその制約を受ける電気工事において,」、問Bが「狭い空間で機器を据え付ける作業を行う電気工事において,」でした。問Aには、施設等の例として「※施設等の例:建物,送配電線路,通信線路,鉄道,道路,水路,管路,共同溝等」という注記が付いています(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1 問A・問B)。

問Aは時間を、問Bは空間を、施設側・建物側に握られている場面です。問Aは「施設を止めずに工事をする」ので、作業できる時間帯や停止の段取りが施設側の都合で決まります。問Bは「狭い空間に機器を入れる」ので、搬入経路と作業の順番が工程を左右します。時間を握られると作業量の割り振りが、空間を握られると作業の順序が、工程上の問題の出どころになります。

次の表は僕の作例(公式の模範ではない)です。表の言葉は、自分の担当した現場の設備名と作業名に差し替えてから答案に移してください。

問 場面から出る縛り 工程管理上の問題(候補) 理由に書く向き 対策の向き(2つ)
問A 作業できる時間帯を施設側が決める 1日に使える作業時間の中に予定の作業量が収まらない 時間帯が限られるので、遅れを当日中に取り戻せず翌日以降へ持ち越す 作業を時間帯ごとに区切った工程を組み、施設管理者と作業時間を事前に確定する/現場の外でできる加工や組立てを先に済ませ、現場の作業量を減らす
問A 既設設備の停電や系統の切替えに施設側の承諾が要る 停電日が確保できず、切替えと後続の試験が遅れる 停電の日時を工事側だけでは決められない 停電作業の日時と範囲を早い段階で施設管理者と協議して確定する/停電時間内で終える手順と仮設の段取りを作業前に準備しておく
問A 利用者の動線と作業区画が重なる 区画の明け渡しを待つ手待ちが出る 運用中の区画は施設側の都合でしか明け渡されない 区画ごとの作業順序と明け渡し時期を施設側と合意して工程表に入れる/資機材の搬入を利用の少ない時間に指定して調整する
問B 機器の搬入経路が狭い 機器が経路を通らず、据付けが予定日に始められない 搬入できないと、据付け以降の作業がすべて止まる 搬入経路を事前に実測して機器の寸法と照合する/分割して搬入できるかを製作前にメーカーと協議しておく
問B 同じ空間に入れる人数や職種が限られる 他工事と作業場所が重なり、手待ちが出る 狭い空間では複数の作業を同時に進めにくい 据付け・配線・他設備の作業の順番を関係業者と調整して作業日を割り振る/区画を使う期間を工程表に明示して周知する
問B 据え付けた後は作業の空間が残らない 据付けの順序を誤ると、奥の機器の接続や後の搬入ができず手戻りになる 一度据え付けると、機器を動かして空間を作り直すのが難しい 奥から手前へ据え付ける順序を計画段階で決める/据付け前に配線・配管との取り合いを施工図で確認しておく

答案に移したら、理由の文に表の「場面から出る縛り」の列の中身が入っているかを確かめてください。そこに縛りが入っていれば、なぜその問題が「この場面だから」起こるのかが答案の中で説明できます。

工程の「問題」とは遅れたことを書くのか、という疑問には、令和6年度の問い方では「これから起こりそうな遅れや手待ちと、その原因」と答えられます。表の「工程管理上の問題」の列が、どれも「〜が遅れる」「手待ちが出る」「手戻りになる」と、原因と影響をセットで書いているのはそのためです。

対策が「人を増やす」「残業する」ばかりになりそう、という悩みは、前の節の3か所目と同じところに原因があります。増員や残業は遅れが出たあとに取り戻す手で、問題文が聞いている「防止する」手とは向きが違います。しかも4つの対策は重複しないことが求められるので、同じ増員を4回書くわけにもいきません。対策を考えるときは、次の4つの引き出しに分けておくと偏りに気づきやすい、というのが僕の整理です。

  • 時間を押さえる手:作業日や停電日を事前に確定する、作業時間を区切って工程を組む
  • 順序を組む手:作業の順番や区画の明け渡しを関係者と決め、工程表に入れる
  • 現場の作業を減らす手:現場の外で加工・組立てを済ませる、分割搬入を先に決めておく
  • 情報を先にそろえる手:搬入経路の実測、施工図での取り合い確認、打合せでの周知

4つの対策をこの引き出しに振り分けてみて、同じ引き出しに偏っていたら、どれか1つを別の引き出しの手に入れ替える。そうすると重複のただし書きにも触れにくくなります。

問Aと問Bの選び方は、問題文に基準がありません(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。問Aの施設等の例のうち、どれを題材にするかの制限もありません。そこで僕が先に見るのは、問Aの注記です。施設等の例には建物のほかに「送配電線路,通信線路,鉄道,道路」が並んでいるので、屋内の改修工事の経験が少なくても、線路や道路まわりで運用を止めずに進めた工事があれば問Aの題材になり得ます。逆に、注記のどれにも当てはまる工事が思い浮かばず、盤や機器を狭い電気室に入れた記憶の方がはっきりしているなら、問Bの方が理由の欄を自分の言葉で埋めやすいはずです。

※以下はPR(アフィリエイト広告)を含みます。

【PR】令和6年度からの新しい書き方、参考書だけで対応できるか不安なら

工程管理は令和6年度から問A・問Bの場面指定に変わり、求められる書き方も変わりました。手元の例文をそのまま使えるか、判断に迷う方もいるはずです。

  • 令和6年度の新しい出題形式に、自分の準備が合っているか判断しづらい
  • 例文をなぞるだけで、自分の工事に置き換えられるか不安
  • 独学のペースで第二次検定の準備が間に合うか心配

施工管理技士の受験対策講座を見る

附帯工事の一文は問題1と問題2の2か所|工程と品質の書き分け

令和6年度の問題1の冒頭には、「次の問A又は問Bのどちらかを選択して答えなさい。ただし,解答は電気工事に附帯する工事を主体に記述しないこと。」という2文があります(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。同じ年の問題2も、品質管理の設問の最後に「ただし,解答は電気工事に附帯する工事を主体に記述しないこと。」と付いています(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題2)。

令和元年度から令和7年度までの問題冊子を見ると、「附帯」という語が出てくるのは令和6年度の問題1と問題2の2か所だけで、ほかの年には「付帯」という表記も含めて見当たりません(令和元年度・令和2年度 1級電気工事施工管理技術検定 実地試験問題/令和3年度〜令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題)。安全管理だった令和7年度の問題1にも、重複や着用についてのただし書きはありますが、この一文はありません(令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。

何を書いたらアウトなのか、という問いには、問題冊子に「附帯する工事」の定義が書かれていないので、線を引いて答えることはできません。「主体に」という語に目を向けると、他工事に触れること自体を禁じた文ではなく、答案の重心をどこに置くかを求めた文として読めます。僕はそう解釈したうえで、工程の答案では他工事を「遅れの原因」として登場させるのはかまわないが、「遅れる本体」にはしない、という線で書くのが無理のないところだと見ています。

確かめ方の一つとして、答案の「工程管理上の問題」の文で、遅れるとした作業に印を付けてみる方法があります。印を付けた作業が他工事の作業なら、その答案は他工事の工程を管理する話に寄っています。遅れる作業が電気工事の作業(機器の据付け、配線、切替え、試験など)で、他工事はその原因として理由の側に出てくる、という並びなら、主体は電気工事に置けていると考えられます。

令和6年度は、問題2の場面が「関連工事と輻輳する電気工事において,」でした(令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題2)。関連工事との取り合いは、問題1で工程を書くときにも持ち出しやすい題材なので、同じ話が問題1と問題2で重なりそうだと感じる人もいると思います。問題冊子に書かれた区別ではなく、僕が使っている目安ですが、同じ取り合いの場面でも、書き分けの軸は次のように置けます。

見る点 問題1(工程管理) 問題2(品質管理)
困ること 作業の日取りや順序が崩れ、遅れや手待ちが出る 取り合い部分の仕上がりや機器の状態が損なわれる
理由の中心 他工事の進み具合に電気工事の作業日が左右される 他工事の作業で電気設備が傷む、施工の順序で品質が確かめられなくなる
対策の中心 作業日・順序・区画の調整、事前の確定 養生、施工前後の確認、取り合い部の施工方法のすり合わせ

どちらの問題でも附帯の一文が付いていたので、他工事は理由の側に置き、対策の主語は電気工事の側に立てる、という点は共通です。品質管理の設問がどこへ移ったかは、1級電気の品質管理の出題位置を追った記事で年度ごとに並べています。

ネットワーク工程の計算はR1・R2まで|R3以降の第二次検定には出ていない

工程管理を準備するなら、ネットワーク工程表の計算も練習すべきか。第二次検定に限れば、問題冊子からはそうする根拠が見当たりません。令和元年度と令和2年度の問題3は、「下記の条件を伴う作業から成り立つ工事のアロー形ネットワーク工程について,次の問に答えなさい。」という書き出しで、小問に「所要工期は,何日か。」がありました(令和元年度・令和2年度 1級電気工事施工管理技術検定 実地試験問題 問題3)。令和3年度から令和7年度の第二次検定の問題冊子には、ネットワーク工程の問題はありません(令和3年度〜令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題)。

第二次検定の問題冊子で見る限り、工程表の計算問題は実地試験の時代で止まっています。第二次検定の準備時間が限られているなら、問題1の答案を組む練習に時間を回す方が、問題冊子の中身には合っています。

問A・問Bの節の表の問B3行目に、奥から手前へ据え付ける順序を置きました。その順序が崩れたときに全体の工期が延びるのかどうか、つまりその作業が工期を決める一続きの作業(クリティカルパス)に乗っているかを一言添えられると、理由の欄が場面の説明で終わらず、工程管理の答えになります。計算の手順を忘れた場合は、ネットワーク工程表の書き方と読み方で矢印と結合点の考え方を確かめ、工期を決める作業のつながりを扱ったクリティカルパスの記事で、どの作業の遅れが全体に効くのかを見直しておくと、問題1の理由の書き方にもそのまま使えます。

1級電気工事施工管理技士の経験記述(工程管理)に関する情報まとめ

  • 出題の年:令和元〜7年度で問題1が工程管理だったのは令和元・3・4・6年度の4回。残る3回は安全管理で、令和8年度の管理項目を示す記載は問題冊子に無い
  • 個数:令和元・4・6年度は問題とその理由を2つ、対策は問題ごとに2つで計4つ。令和3年度だけ個数の指定が無く、「この問題」と単数で受けていた
  • 問い方の変化:「上記の電気工事の現場」「発生した又は…予想した」「とった対策」から、「経験を踏まえ」「発生が予想される」「とるべき対策」へ。工事概要の欄は令和6年度から無い。対策の前の語は4回とも「防止する」
  • 場面の分解:問A「運用中」は作業時間帯・停止の承諾・区画の明け渡し、問B「狭い空間で据え付ける」は搬入経路・作業の順番・据付けの順序が工程を縛る。対策は増員や残業ではなく防止の手を4つ、重ねずに書く
  • 附帯工事の一文:「附帯」の語は令和6年度の問題1と問題2にだけある。他工事は理由の側に置き、遅れる作業と対策の主語を電気工事に置く
  • 工程表の計算:アロー形ネットワーク工程の問題は令和元・2年度の実地試験の問題3まで。工程表の考え方は問題1の理由の芯として使う

以上が1級電気工事施工管理技士の経験記述(工程管理)に関する情報のまとめです。

4回分の問題文を並べてみると、工程管理の小問は毎回どこかが少しずつ違っていました。個数がある年と無い年、「とった」と「とるべき」、ただし書きの有無。だからこそ、本番で問題1を開いたら、書き始める前に問題文の3か所に目を通すことをすすめます。1つ目は個数(問題はいくつ、対策は問題ごとにいくつか)、2つ目は動詞(「予想される」「とるべき」か)、3つ目はただし書き(重複しないのは何か、附帯の一文があるか)です。ここを確かめてから、場面の言葉を縛りに分解して問題を2つ立てれば、例文の記憶に引っ張られずに、その年の問い方に合った答案を組めるはずです。

問題1以外の設問も含めて、第二次検定全体をどう準備するかは1級電気の第二次検定の対策をまとめた記事から確認できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次