- 2級を取ったが、現場で何が変わった実感がない
- 建築・躯体・仕上げ、種別で何が違うのか分かっていない
- 次は1級なのか、それとも別の資格を足すべきなのか
- 2級建築士も取れば強いのか。設計の仕事はしていないが
- 経審のために資格を取れと言われたが、点は積み上がるのか
- 消防設備士や石綿の調査者講習は、資格として数えられるのか
- 結局、会社の規程を見ないと分からないのでは
上記の様な悩みを解決します。
先に結論を言うと、2級建築施工管理技士の次に何を取るべきかは、建築・躯体・仕上げのどの検定種別で合格したかによって答えが変わります。ダブルライセンスを調べると、出てくるのは資格手当がいくら増えたという話か、一級建築士と1級建築施工管理技士の組み合わせが最強だという話ばかりで、どちらも2級を持っている人の次の一手には答えていません。この記事は年収や資格手当の比較で終わらせず、いま持っている2級で配置できる業務の範囲が制度上どこまでなのかをまず確認し、そこから逆算して次の一手を考える形で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、制度の表を読むのが苦手な方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
2級のダブルライセンスは、自分の検定種別を見てから決まる
結論から言うと、2級建築施工管理技士の次の一手は、おすすめ資格のランキングからではなく、自分が合格した検定種別の確認から始まります。
2級建築施工管理技術検定の第二次検定は、建築と躯体と仕上げの3種別に分かれています。一般財団法人建設業振興基金の「令和8年度 2級建築施工管理技術検定 受検の手引(第一次・第二次同時申請用)」P3は「2級建築施工管理技術検定の第二次検定には、「建築」「躯体」「仕上げ」と3種類の検定種別があります。ご自身の実務経験内容に即した検定種別、いずれか1つを選択して受検申請してください。」と書いています。つまり合格証に載っている種別は1つだけで、その1つが、この先に何を足せば現場での立場が動くかを決めます。
同じ「2級建築施工管理技士」という肩書きでも、種別が違えば主任技術者になれる工事の種類が違う。ここを飛ばしたまま「次は1級か建築士か」と考え始めると、自分にとって意味の薄い方へ進んでしまいます。会社の上司も採用担当も種別まで見ていないことがあり、名刺や求人票の一行だけでは判断できないのが実情です。
次の一手を考える前に、手元で確認しておきたいのは3つだけです。
- 合格証に書かれている検定種別が、建築・躯体・仕上げのどれか
- その種別で主任技術者になれる工事の種類がどこまでか
- 会社がこれから取ろうとしている許可業種や、自分が日々入っている現場の工事がそこに入っているか
資格そのものの位置づけや受検資格からおさらいしたい人は、先にこちらを開いておくと以降の話が立体的になります。

僕の感覚だと、2級を取った直後に「何も変わらなかった」と感じる人の多くは、資格が効いていないのではなく、自分の種別でどこまで配置できるのかを一度も確認していないだけです。次の章で、その手札を制度の表から確認します。
自分の種別に○が付いている工事を、受検の手引で数える
自分の種別で何ができるかは、試験機関自身が表にして公表しています。推測で語る必要はありません。
建設業振興基金の受検の手引P3は「第二次検定に合格すると、下表で種別毎に◯印を付されている工事について主任技術者になることができます。また、◯印について一般建設業許可における営業所専任技術者要件を満たします。」と説明し、続けて凡例を「○:主任技術者になることができる。また、一般建設業許可における営業所専任技術者要件を満たす。」「◎:監理技術者・主任技術者になることができる。また、特定建設業許可における営業所専任技術者要件を満たす。」「―:各検定種別における実務経験にはならない。」と定義しています。2級はこの表の中で○の側であり、◎、つまり特定建設業の枠ではありません。
同じ手引の表で、○が付く工事は種別ごとに次のように分かれます。自分の種別の行だけ見れば足ります。
- 種別「建築」:建築一式工事、解体工事
- 種別「躯体」:大工、とび・土工・コンクリート、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、解体
- 種別「仕上げ」:大工、左官、石、屋根、タイル・れんが・ブロック、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具
この表でもう一つ見ておきたいのが、3種別とも「―」が付いている工事です。土木一式、電気、管、ほ装、しゅんせつ、機械器具設置、電気通信、造園、さく井、水道施設、消防施設、清掃施設の12種類は、どの種別でも○が付きません(建設業振興基金「令和8年度 2級建築施工管理技術検定 受検の手引」P3)。同じP3が「実務経験にできるのは、種別ごとに○がついている建設工事の種類のみです。」と書いているとおり、受検申請の実務経験としても使えない領域です。建築の施工管理として管工事や電気工事の現場に入っていたとしても、その経験はこの検定の中では数えられません。
ただし、主任技術者になる道が永久に閉じるわけではありません。国土交通省の地方整備局が公表している国家資格等一覧表には、取得後に一定年数の実務経験を積めば主任技術者になれる別ルートが載っています。2級建築施工管理技士は3種別とも「5」の側で、消防施設や水道施設がここに入ります(近畿地方整備局「建設業法の解説」の資格一覧表、2024年10月18日施行/中部地方整備局の説明会資料・2026年9月12日確認)。
受検の手引の表と地方整備局の一覧表は、別のことを言っています。前者は合格した時点で直ちに主任技術者になれる工事、後者は時間をかければ広げられる道。この2つを混ぜて読むと話が合わなくなるので、自分がいま知りたいのがどちらなのかを分けて見てください。求人票の「2級建築施工管理技士」という一行がどこまでを保証しているのかについては、種別の落とし穴を扱ったこちらで詳しく書いています。

種別「建築」も万能ではない|同じ資格の別種別という選択肢
ここがこの記事の核です。種別「建築」を持っていれば建築の工事は何でも主任技術者になれる、という理解は正しくありません。試験機関自身がそう書いています。
建設業振興基金の受検の手引P3には「検定種別「建築」は、すべての建設工事の種類で主任技術者・営業所専任技術者になることができる種別ではありません。たとえば、塗装工事において主任技術者になるためには検定種別「仕上げ」に合格する必要があり、とび・土工・コンクリート工事では検定種別「躯体」で合格する必要があります。」と明記されています。受検案内にわざわざこの注意書きが置かれているということは、それだけ誤解されているということでもあります。
逆向きの事実も同じ表から読めます。種別「躯体」と種別「仕上げ」の行には、建築一式工事の○が付いていません。前章の一覧のとおり、建築一式工事に○が付くのは種別「建築」だけです。この読み取りは、受検の手引、近畿地方整備局の資格一覧表、中部地方整備局の説明会資料、経営事項審査の技術職員資格区分コード表という4系統の資料で一致しました。躯体や仕上げで合格した人が建築一式工事の主任技術者になりたいなら、種別「建築」が必要になります。
技士補の段階でも同じです。近畿地方整備局の資格一覧表では、2級建築施工管理技士補の行は建築工事業の欄が空白で、大工や内装仕上といった建築系の業種には「5」が並びます。一次検定に合格しただけでは、建築一式工事の主任技術者にはなれないということです。
ここから見えてくるのが、2級にだけある選択肢です。次の一手を「別の資格」に限定せず、同じ資格の別の種別という道も候補に入る。ただし、ここは公表資料の書き方を正確に押さえておく必要があります。
- 受検申請は種別を1つ選ぶ形で、手引は「いずれか1つを選択して受検申請してください」と書いている
- 申請後の種別変更はできず、手引の表紙に「検定種別(建築・躯体・仕上げ)の変更はできません。」とある
- 実務経験証明を省略できる再受検は「再受検できるのは、過去と同一の検定種目・級・検定種別を受け直す方のみです。」とされている
- 別の種別を後から追加で受検できるかどうかを明記した記載は、令和8年度の受検の手引にも案内ページにも見つからなかった
なお、受検申請は種別をいずれか1つ選ぶ形なので、1回の申請で2種別を同時に出すことはできません(建設業振興基金「令和8年度 2級建築施工管理技術検定 受検の手引」P3)。試験日が重なるかどうか以前に、申請の段階で1つに絞る設計になっています。
つまり、別種別を受けるなら再受検の扱いにはならず新規申請となり、その種別に○が付いた工事の実務経験を改めて証明することになります。可否そのものは公表資料に明記がないので断定を避け、実際に進める前に振興基金へ確認するのが確実です。現場目線で言えば、自分の日々の仕事が塗装や内装仕上に寄っているのに種別が躯体のまま、といったズレがあるなら、確認する価値はあります。
2級建築士を足すと埋まる欄と、もともと重なっている欄
2級建築士を足すべきかどうかは、相性がいいかではなく、いま空いている欄が埋まるかどうかで判断できます。
前章までは受検の手引の表を主役にしてきましたが、建築士と並べて比べるには、両方が載っている同じ表を使うのが筋です。近畿地方整備局「建設業法の解説」の資格一覧表(資格一覧表の施行時点は2024年10月18日)では、建築士は次のように整理されています。
- 1級建築士:建築、大工、屋根、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、内装仕上の6業種。いずれも特定建設業の営業所専任技術者または監理技術者となり得る枠で、実務経験年数の記載なし
- 2級建築士:建築、大工、屋根、タイル・れんが・ブロック、内装仕上の5業種。いずれも一般建設業の営業所専任技術者または主任技術者となり得る枠で、実務経験年数の記載なし
- 木造建築士:大工のみ(同じく一般建設業の枠)
- 宅地建物取引士:この国家資格等一覧表に行がない
1級建築士と2級建築士の差は、業種の数が1つ違うことよりも枠の色が違うことです。1級建築士は特定建設業の側、2級建築士は一般建設業の側で、この点は2級建築施工管理技士と同じ一般建設業の枠になります。
同じ一覧表の中で2級建築施工管理技士の行と並べると、重なりと空きが見えてきます。ここから先は僕が両方の行を突き合わせた整理なので、最終的にはご自身で表を見て判断してください。種別「仕上げ」の人は大工・屋根・タイル・れんが・ブロック・内装仕上がすでに年数の記載なしで該当しているので、2級建築士を足して新たに埋まるのは建築工事業がほぼ唯一です。種別「躯体」の人は建築・屋根・内装仕上が新たに埋まります。種別「建築」の人は建築工事業がすでに埋まっているので、大工・屋根・タイル・れんが・ブロック・内装仕上の側が増えます。同じ2級建築士でも、自分の種別によって増える欄がまったく違うわけです。
宅建士については、この一覧表に行がありません。不動産の実務で生きる資格であることと、建設業許可や現場配置の制度の中で数えられるかどうかは別の話なので、ここでは「この表には出てこない」とだけ書いておきます。2級建築士そのものの概要は、こちらで基本から整理しています。

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【PR】次の一手を独学で決めきれないとき
ここまで見てきたとおり、次に取る資格は種別によって効き方が変わります。方向が決まったあとは、いつ受けるか、どこまで自力でやるかという話に移ります。独学で進めるつもりでも、教材と学習計画だけ外から借りるという選び方はあります。
経審では2級は2点|講習を受けても点は動かず、枠は1人2業種
会社から「経審の点のために資格を取ってくれ」と言われたとき、2級の側から返せる数字があります。
経営事項審査の技術職員数値は、技術職員を6つの区分に分けて点数を付けます。国土交通大臣登録の経営状況分析機関である株式会社建設業経営情報分析センターの技術職員資格区分コード表(ページ末尾に令和8年7月改正と記載)は、2級技術者等の区分について「2級技術者 等 2点 技術者を対象とする国家資格の2級を有する者 技能者を対象とする国家資格の1級を有する者 CCUSレベル3技能者」としています。2級建築施工管理技士はここに入り、2点です。
見落とされやすいのが、講習を受けても点が動かないことです。国土交通省中部地方整備局「経営規模等評価申請・総合評定値請求の手引き」(令和3年4月改訂版)は「なお、現行の2級技術者及びその他の技術者が監理技術者講習修了証を保有していても1点の加点評価にはなりません。」と書いています。講習が点に効くのは1級の側の話で、2級の枠では動きません。
もう一つ、資格を増やせばその分だけ点が積み上がるわけでもありません。同じ中部地方整備局の手引き13頁は「・1人の技術職員として申請できる業種は2業種までです。」と定め、続けて「※この重複評価が制限されるのは、「経営事項審査に係る評価」であり、建設業法に基づいて現場に設置しなければならない監理技術者等については、従来通り1人の技術者が複数の資格をもっていれば、複数の業種で監理技術者等になれます。」と但し書きを置いています。制限がかかるのは経審の評価の中だけで、現場に置く技術者としての扱いまで2業種に縛られるわけではない、ということです。ここを読み飛ばすと、資格を増やしても現場で使えないと誤解します。
2級の側から押さえておく点をまとめます。
- 2級技術者等の区分は2点で、2級建築施工管理技士はここに入る
- 2級技術者は監理技術者講習修了証を持っていても加点評価にはならない
- 1人の技術職員として申請できる業種は2業種まで
- ただしこの2業種という上限がかかるのは経審の評価の側だけで、現場配置の要件はこれとは別に決まる
なお、2級建築施工管理技士補が経審でどの点数区分になるかは、今回確認した範囲、つまり技術職員資格区分コード表と中部地方整備局の手引きには見当たりませんでした。加点されないという意味ではなく、公表資料の中で区分を特定できなかったということです。評点そのものの計算や他の審査項目は経審の側の話なので、詳しくはこちらにまとめています。

個人的には、経審の2点という数字は「自分の資格が会社にとって何点か」を知る材料であって、次に何を取るかの主たる判断材料にはならないと考えています。会社の都合と自分の配置範囲は、別々に考えたほうが健全です。
1級への道は種別を問わない|2級合格後に要る年数
配置の場面では種別が効きますが、1級を目指す道では種別は問われません。ここは種別に悩んできた人にとって、いちばん素直な出口です。
建設業振興基金の「1級 建築施工管理技術検定のご案内」(令和8年度)は、第一次検定の必要条件を「試験実施年度に満19歳以上となる者 (令和8年度に申請する場合、生年月日が平成20年4月1日以前)」としています。年齢だけで、実務経験は問われません。
第二次検定の側で、2級第二次検定合格者に関係する区分は2つあります。同じ案内の逐語を並べます。区分2は「【区分2】1級第一次検定、および2級第二次検定合格者 (※4) 2-1 2級建築第二次検定合格後 (※4)、実務経験5年以上 2-2 2級建築第二次検定合格後 (※4)、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上」。区分3は「【区分3】1級第一次検定受検予定、および2級第二次検定合格者 (※4) 3-1 2級建築第二次検定合格後 (※4)、実務経験5年以上 3-2 2級建築第二次検定合格後 (※4)、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上」。必要な実務経験の年数は同じで、違いは1級第一次検定に合格済みか受検予定かという点に置かれています。
そして肝心の一文が同じ案内の注記です。「※4 旧2級施工管理技術検定実地試験合格者を含み、種別(建築・躯体・仕上げ)を問いません。」と書かれています。躯体でも仕上げでも、1級への道は同じです。年数を短くできる特定実務経験については「※2 建設業法の適用を受ける請負金額4,500万円(建築一式工事については7,000万円)以上の建設工事であって、監理技術者・主任技術者(いずれも実務経験対象となる建設工事の種類に対応した監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者若しくは主任技術者として行った施工管理の実務経験を指します。」と定義されています。
制度改正の移行期にあたる点も押さえておきたいところです。同じ案内は「令和10年度までの間は経過措置として、制度改正前の受検資格要件(以下「旧受検資格」)による第二次検定受検が可能です。」とし、旧受検資格では「ハ 2級建築施工管理技術検定第二次検定(または旧実地試験)合格者 合格後5年以上」としています。あわせて、1級建築施工管理技士補として監理技術者を専任で補佐した経験については「※3 1級建築施工管理技士補の資格を有し、かつ当該工事における主任技術者要件を充足する者が、監理技術者の専任が必要となる工事において、監理技術者の職務を専任として補佐した経験をいいます。単なる監理技術者の補助経験は対象になりません。」と、単なる補助では足りないことが明示されています。
2級合格者から見た1級の受検資格を、令和8年度の案内にそって整理します。
- 第一次検定は、試験実施年度に満19歳以上となる者という年齢の条件だけ
- 区分2は1級第一次検定に合格済みで、2級建築第二次検定合格後の実務経験5年以上(特定実務経験1年以上を含む場合は3年以上)
- 区分3は1級第一次検定を受検予定で、必要な実務経験は区分2と同じ
- 令和10年度までは経過措置として旧受検資格でも受検でき、そちらは合格後5年以上
- いずれも検定種別(建築・躯体・仕上げ)は問われない
1級に届いたときに何が変わるかは、地方整備局の資格一覧表を見ると数で分かります。1級建築施工管理技士は、建築・大工・左官・とび・土工・コンクリート・石・屋根・タイル・れんが・ブロック・鋼構造物・鉄筋・板金・ガラス・塗装・防水・内装仕上・熱絶縁・建具の16業種が特定建設業の枠で実務経験年数の記載なしとなっています(近畿地方整備局「建設業法の解説」の資格一覧表、2024年10月18日施行)。2級は3種別のいずれも一般建設業の枠でしたが、1級は16業種が特定建設業の枠に入ります。業種の数だけでなく枠の色ごと動くところが、種別で悩んできた人ほど効きます。区分ごとの必要年数や証明の出し方は、受験資格を扱ったこちらが詳しいです。

制度の中で数えられる資格と、社内規程でしか決まらない話
最後に、周辺資格の扱いを整理します。ここは「相性がいい」と並べるだけの記事が多い領域ですが、制度の表に載っているかどうかで話がはっきり分かれます。
はっきり効くのが消防設備士です。近畿地方整備局の資格一覧表では、甲種消防設備士と乙種消防設備士は消防施設工事業に一般建設業の枠で載っており、枠内の実務経験年数の記載がありません。一方で同じ表を2級建築施工管理技士の側から見ると、3種別のどれであっても消防施設工事業は「5」、つまり資格取得後5年の実務経験が要る側です。消防設備士を足せば、その5年を待たずに消防施設工事業の主任技術者になれる、という具体的な効果が表から読み取れます。消火設備の絡む改修や用途変更を扱う会社なら、ここは無視できない差です。
一方で、表に見当たらないものもあります。今回の確認の切り分けはこうなりました。
- 甲種・乙種消防設備士:資格一覧表に記載あり。消防施設工事業に一般建設業の枠、年数の記載なし
- 建築物石綿含有建材調査者:近畿地方整備局の資格一覧表を全文検索した範囲では記載が見つからなかった
- 2級建築施工管理技士補と監理技術者補佐:補佐になれる旨の記載は見つからなかった
- 資格手当:どの公表資料にも定めがなく、各社の社内規程で決まる
石綿の調査者講習について補足しておくと、記載が見つからなかったのは建設業許可や現場配置の資格一覧表の中での話で、実務上の価値を否定するものではありません。事前調査が義務づけられている以上、現場で必要とされる場面は当然あります。ここで言えるのは「建設業法の資格一覧表の中では数えられていない」という一点だけです。
監理技術者補佐についても線を引いておきます。近畿地方整備局「建設業法の解説」(令和7年4月)は補佐になれる者を「・建設工事の種類に応じた1級技士補であって、主任技術者要件を満たす者」「・建設工事の種類に応じた監理技術者要件を満たす者」の2つとしており、2級技士補は挙げられていません。同じ資料が「※技士補とは 令和3年度からの新たな技術検定制度において第1次検定に合格した者に与えられる称号です。」と定義しているとおり、技士補という称号自体は2級にもありますが、補佐として配置できるのは1級技士補の側です。
資格手当の額のほうは、制度ではなく会社が決めます。2つ持っていれば2つ分出る会社もあれば、上位1つだけの会社もあり、公表資料から答えは出ません。実務だと、次の資格を決める前に自社の規程を一度読んでおくのが早道です。制度上の効果と社内での金額は、切り離して確かめるのが確実です。
2級建築施工管理技士のダブルライセンスに関する情報まとめ
- 出発点:おすすめランキングではなく、自分が合格した検定種別(建築・躯体・仕上げ)の確認から始まる
- 種別ごとの範囲:受検の手引の表で○が付く工事が種別ごとに違い、12業種は3種別とも「―」。地方整備局の表は5年の実務経験で広げる別ルート
- 種別「建築」も万能ではない:塗装は仕上げ、とび・土工・コンクリートは躯体が必要と試験機関が明記。躯体・仕上げには建築一式が入らず、同じ資格の別種別という選択肢は残るが追加受検の可否は公表資料に明記がない
- 2級建築士を足す:建築・大工・屋根・タイル等・内装仕上の5業種。自分の種別によって新たに埋まる欄が変わる。宅建士は一覧表に出てこない
- 経営事項審査:2級技術者は2点、講習を受けても加点なし、1人2業種まで。ただし2業種の制限は経審の評価だけで現場配置には及ばない
- 1級への道:第一次検定は満19歳以上のみ、第二次検定は区分2と区分3で合格後5年(特定実務経験1年を含めば3年)。種別は問わない
- 周辺資格:消防設備士は5年を待たずに消防施設工事業の主任技術者になれる。石綿調査者は一覧表に記載が見つからず、資格手当は社内規程
以上が2級建築施工管理技士のダブルライセンスに関する情報のまとめです。
次に取る資格を決める前に、やることは一つです。合格証を出して自分の種別を確認し、受検の手引P3の表で自分の行に○が付いている工事を見る。そこに会社がいま取ろうとしている許可業種や、自分が日々入っている現場が入っていなければ、埋めるべき欄が見つかります。1級を目指すなら種別は関係ないので迷う必要はなく、手前で立場を動かしたいなら別種別や建築士、消防設備士のように欄が埋まる資格を選ぶ。この順番で考えれば、年収の話に振り回されずに済むはずです。


2級建築施工管理技士のダブルライセンスに関するよくある質問
Q1:種別が仕上げですが、建築一式工事の主任技術者になれますか?
建設業振興基金の受検の手引P3の表では、建築一式工事に○が付いているのは種別「建築」だけで、種別「仕上げ」と「躯体」の行には入っていません。この読み取りは受検の手引のほか、近畿地方整備局と中部地方整備局の資格一覧表、経営事項審査の技術職員資格区分コード表でも一致しました。建築一式で配置されたいなら、種別「建築」か、1級建築施工管理技士や建築士といった建築工事業に該当する資格が必要になります。
Q2:種別「建築」を持っていれば、建築の現場は何でも主任技術者になれますか?
なれません。受検の手引P3は「検定種別「建築」は、すべての建設工事の種類で主任技術者・営業所専任技術者になることができる種別ではありません。たとえば、塗装工事において主任技術者になるためには検定種別「仕上げ」に合格する必要があり、とび・土工・コンクリート工事では検定種別「躯体」で合格する必要があります。」と明記しています。建築を持っているから安心、という理解は制度上は成り立ちません。
Q3:別の種別をあとから追加で受けることはできますか?
追加受検ができる、できないを明記した記載は、令和8年度の受検の手引にも案内ページにも見つかりませんでした。確認できたのは、申請は種別を1つ選ぶこと、申請後の種別変更はできないこと、実務経験証明を省略できる再受検は同一種別に限られることの3点です。したがって別種別を受ける場合は新規申請となり、その種別に○が付いた工事の実務経験を改めて証明することになります。実際に申し込む前に、振興基金へ直接確認するのが確実です。
Q4:2級を2つ持つと、経営事項審査の点は2倍になりますか?
なりません。中部地方整備局の手引き13頁は、1人の技術職員として申請できる業種を2業種までと定めています。ただしこの上限は経営事項審査の評価にかかるもので、現場に置く監理技術者等には及びません。評点の組み立ては https://seko-kanri.com/keiei-jikoshinsa/ にまとめています。
Q5:1級を受けるとき、種別が躯体や仕上げだと不利になりますか?
なりません。建設業振興基金「1級 建築施工管理技術検定のご案内」(令和8年度)の注記は「※4 旧2級施工管理技術検定実地試験合格者を含み、種別(建築・躯体・仕上げ)を問いません。」と書いています。種別が効くのは現場に配置される側の話で、1級への受検資格では区別されません。必要な実務経験は区分2・区分3とも2級建築第二次検定合格後5年以上、特定実務経験1年以上を含む場合は3年以上です。
Q6:消防設備士や石綿の調査者は、資格として数えられますか?
分かれます。甲種・乙種消防設備士は近畿地方整備局の資格一覧表に載っており、消防施設工事業に一般建設業の枠で年数の記載なしです。2級建築施工管理技士は3種別とも消防施設が「5」なので、消防設備士を足せば5年を待たずに主任技術者になれることになります。一方、建築物石綿含有建材調査者は同じ一覧表を全文検索した範囲では見つかりませんでした。これは許可・配置の一覧表の中での話で、事前調査の実務での必要性を否定するものではありません。
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