- 不燃ボードって商品名なの?それとも括りの名前?
- 石膏ボードは不燃なの?準不燃なの?どっちも聞くんだけど
- 9.5mmと12.5mmでランクが変わるって本当?
- 図面に「不燃」しか書いてないけど、結局何を拾えば正解なの?
- NM-○○○○みたいな認定番号ってどこから拾ってくるの?
- 内装制限って全部「不燃」じゃないの?準不燃で足りることもある?
- ケイカル板と石膏ボード、どっちを不燃で使うのが普通?
- 単価はどれくらい違う?準不燃から不燃に上げたら跳ねる?
上記の様な悩みを解決します。
不燃ボードは、じつは特定の商品名ではありません。建築基準法でいう不燃材料に該当するボード類をまとめて呼んでいる総称で、石膏ボードもケイカル板も条件を満たせば不燃ボードです。ここがややこしいのは、同じ石膏ボードでも厚みで等級が変わり、しかも「告示で決まっているルート」と「メーカーが大臣認定を取っているルート」の2本立てになっている点です。図面の「不燃」は材料の指定ではなく性能の指定なので、何を何mmで拾うかは現場側の判断になります。今回は定義・種類・厚みの基準・認定番号・内装制限・価格までを押さえた上で、メーカーカタログや法令解説では抜けがちな「拾い・材料承認・検査で何を出すか」まで施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
不燃ボードとは?
不燃ボードとは、結論「建築基準法でいう不燃材料に該当する板材の総称」です。
不燃材料は建築基準法第2条第九号と施行令第108条の2で定義されていて、通常の火災による火熱を加えられたときに、加熱開始後20分間燃焼せず、防火上有害な変形・溶融・亀裂などの損傷を生じず、避難上有害な煙やガスを発生しない材料を指します。この20分という数字が不燃の正体です。
防火材料は3ランクに分かれていて、耐える時間で線引きされています。不燃材料が20分、準不燃材料が10分、難燃材料が5分です。上のランクは下のランクを兼ねるので、不燃材料は準不燃材料としても難燃材料としても使えます。逆は成り立ちません。
つまり「不燃ボード」という規格品は存在しません。石膏ボード、けい酸カルシウム板、繊維強化セメント板といった実在の製品が、材料と厚みの条件を満たしたときに不燃材料として扱われる、という順序です。だから「不燃ボードください」だけでは発注が決まらず、必ず製品名と厚みまで降りる必要があります。
ボードの下地としての基本はこちらにまとめています。

僕の整理では、不燃ボードは「材料の名前」ではなく「合格ラインの名前」だと捉えるのが一番実用的です。合格ラインの側から製品を選ぶ発想に切り替えると、以降の厚みや認定番号の話が一本の線でつながります。
不燃ボードの種類と選び分け
不燃ボードの種類は、結論「石膏ボード系・けい酸カルシウム板系・セメント板系・化粧不燃系・不燃木材系の5系統」で整理できます。
現場で出てくる不燃ボードは、だいたい次の5つのどれかです。
- 石膏ボード系:もっとも安く、壁天井の下地の標準。水に弱いのが弱点
- けい酸カルシウム板(ケイカル板)系:耐水性があり、軒天・水回り・厨房まわりに使う
- 繊維強化セメント板(フレキシブルボードなど)系:硬くて強く、塗装下地や露出面向き
- 化粧不燃ボード系:表面に化粧シートや突板を貼り、複合の状態で認定を取ったもの。仕上げ材そのもの
- 不燃木材・不燃突板系:木の見た目のまま不燃認定を取ったもの。単価は一気に上がる
選び分けは、難しく考えずに3段で降りると外しません。まず濡れる場所かどうかで石膏ボード系とケイカル板系が分かれ、次に下地か露出かでセメント板系が入り、最後に意匠が要求されるかで化粧不燃系・不燃木材系に上がっていきます。この順番を逆から入る(先に意匠を決めてから防火を確認する)と、認定を取っていない製品を選んでしまって手戻りになります。
耐水性が要るときの定番であるケイカル板はこちらで詳しく書いています。

防火認定が絡むボードとしては、強化石膏ボードもセットで押さえておくと理解が早いです。

実務だと、内装の8割はこの5系統の上2つで片付きます。下地は石膏ボード、水がかりはケイカル板、という初期判断を持っておいて、意匠側の要求が出てきたときだけ化粧不燃系を検討する、という進め方が結局いちばん早いです。
不燃ボードが不燃になる厚みの基準
不燃になる厚みは、結論「平成12年建設省告示第1400号に材料ごとの数値が決まっており、石膏ボードは12mm以上、繊維混入けい酸カルシウム板は5mm以上」です。
告示は不燃・準不燃・難燃でそれぞれ別番号になっていて、1400号が不燃、1401号が準不燃、1402号が難燃です。ボード系でよく使う材料を並べると次の通りです。
| 材料 | 不燃(告示1400号) | 準不燃(告示1401号) | 難燃(告示1402号) |
|---|---|---|---|
| せっこうボード | 12mm以上 | 9mm以上 | 7mm以上 |
| 繊維混入けい酸カルシウム板 | 5mm以上 | 不燃に含まれる | 不燃に含まれる |
| ガラス繊維混入セメント板 | 3mm以上 | 不燃に含まれる | 不燃に含まれる |
| 繊維強化セメント板 | 厚さの規定なし | 不燃に含まれる | 不燃に含まれる |
| 木毛セメント板 | 該当なし | 15mm以上 | 準不燃に含まれる |
| 硬質木片セメント板 | 該当なし | 9mm以上(かさ比重0.9以上) | 準不燃に含まれる |
| パルプセメント板 | 該当なし | 6mm以上 | 準不燃に含まれる |
| 難燃合板 | 該当なし | 該当なし | 5.5mm以上 |
告示1400号には、このほかコンクリート、れんが、瓦、陶磁器質タイル、モルタル、しっくい、石、鉄鋼、アルミニウム、金属板、ガラス、ロックウール、グラスウール板も並んでいます。ボード以外の材料まで含めて「不燃材料」というくくりになっている、という感覚を持っておくと仕様書が読みやすくなります。
ここで現場が引っかかるのが石膏ボードです。一般に流通している12.5mm厚は告示の「12mm以上」を満たすので不燃材料ですが、9.5mm厚は12mmに届かないので準不燃材料までしか名乗れません。同じ製品名で厚みだけ違うのに等級が変わるので、「9.5で不燃」と言われた時点で、普通の石膏ボードでは通らないと気づけるかどうかが分かれ目になります。
石膏ボードの厚みと使い分けについては、耐水タイプの記事でも触れています。

正直なところ、この表は暗記するものではなく、拾いのときに開いて確認するものだと思っています。覚えておくべきは「石膏ボードは12mmが境目」「ケイカル板は5mmで不燃」の2つだけで、あとは都度当たれば十分です。
不燃認定番号(NM・QM・RM)の読み方
不燃認定番号は、結論「国土交通大臣の個別認定に付く番号で、頭文字を見れば等級が読める」ものです。
告示に載っている材料と厚みなら、それ自体で不燃材料として扱えます。一方、告示に載っていない構成の製品や、告示の厚みに届かないのに不燃を名乗る製品は、メーカーが個別に大臣認定を取っています。この2ルートがあることを知らないと、カタログの記載が矛盾して見えます。
認定番号の記号は等級と対応しています。
- NM-○○○○:不燃材料(内装用)
- QM-○○○○:準不燃材料
- RM-○○○○:難燃材料
- NE・QE:外部の仕上げに使う場合に付く記号
先ほどの「9.5mmで不燃」の答えもここにあります。表紙に不燃性の原紙を使った不燃積層せっこうボードは、9.5mmで不燃材料に適合します。告示の「12mm以上」だけを見ていると矛盾しているように思えますが、こちらは告示ではなく大臣認定のルートで不燃を取っている製品です。厚みが薄いまま不燃が要る天井などで、この手のボードが指定されることがあります。
材料承認では、この認定番号が根拠書類の中心になります。メーカーから認定書の写しをもらい、カタログの認定番号と製品名・厚み・構成が一致していることを確認してから提出します。壁装材の場合は、施工後に防火施工管理ラベルを貼って認定番号と施工者を表示する仕組みもあるので、誰が貼るのかを事前に決めておくと検査でバタつきません。
認定番号で性能を担保する考え方は、耐火構造の認定とまったく同じ構造です。

僕としては、認定番号は「材料の身分証明書」だと説明すると新人に一番伝わると感じています。番号を追えない製品は、性能が良さそうに見えても書類上は存在しないのと同じ扱いになる、というところまで含めて理解してもらうのが大事です。
内装制限で不燃が要求される場所
内装制限は、結論「多くの場面は準不燃以上で足りて、不燃まで要求されるのは限られた場面」です。
内装制限そのものは施行令第128条の5、11階以上の高層区画は施行令第112条が根拠になります。よく出てくる場面を並べると次の通りです。
| 場面 | 求められる等級 |
|---|---|
| 劇場・病院・店舗などの特殊建築物の居室 | 難燃以上(3階以上の階の居室の天井は準不燃以上) |
| 上記の地上に通ずる廊下・階段・通路 | 準不燃以上 |
| 地階にある特殊建築物の居室等 | 準不燃以上 |
| 自動車車庫・自動車修理工場 | 準不燃以上 |
| 無窓の居室 | 準不燃以上 |
| 火気使用室(住宅は2階建て以上の最上階以外の階) | 準不燃以上 |
| 11階以上で200㎡以内に防火区画された部分 | 不燃または準不燃(下地とも) |
| 11階以上で500㎡以内に防火区画された部分 | 不燃(下地とも) |
この表を並べて気づくのは、居室の内装制限が意外とゆるいことです。特殊建築物の居室は難燃以上、廊下や階段でようやく準不燃以上で、不燃まで指定されるのは11階以上の高層区画のようなケースに絞られています。設計から「壁天井は不燃で」と来たときに、それが法規上の要求なのか、社内標準や発注者の要望なのかを一度確認しておくと、過剰仕様を避けられます。
もうひとつ、「下地とも不燃」という言い方の正体もここです。11階以上の高層区画では仕上げだけでなく下地まで等級が問われるので、仕上げ材の裏の石膏ボードや接着剤まで含めて確認が必要になります。逆に言えば、この条件が出ていないのに下地まで不燃を求められている場合は、要求の出どころを確かめる価値があります。
防火区画そのものの考え方と、貫通部の処理はこちらにまとめています。

現場目線で言えば、内装制限は「部屋ごと」ではなく「用途・規模・階数」で決まるので、拾いの前に一度用途と階数を確認しておくのが結局いちばん手戻りが少ないです。
不燃ボードの価格の目安
価格は、結論「石膏ボード系がもっとも安く、化粧不燃・不燃木材で一気に跳ねる」という構造です。
3尺×6尺(910×1820mm)1枚あたりの通販相場でざっくり並べると、次のようなレンジ感になります。
- 不燃タイプの石膏ボード9.5mm:1枚1,000円台前半
- 不燃タイプの防水・耐水石膏ボード12.5mm:1枚1,800円前後
- ケイカル板:厚みと寸法で幅が大きく、小口の切売りは単価が跳ねる
- 化粧不燃ボード:1枚2万円台から
注意したいのは、この数字が通販の単品価格だという点です。現場はケース単位・材工共で動くので、実際の判断は「材+軽天下地+張り手間+パテ+仕上げ」のトータルで見ないと合いません。準不燃から不燃に上げるケースも、9.5mmから12.5mmへのグレード差だけなら材の差額はそこまで大きくならない一方で、重量が増えるぶん搬入と張り手間が変わってきます。
軽天下地の考え方はこちらが参考になります。

個人的には、不燃か準不燃かでコストが動くのは材単価ではなく「化粧材まで不燃にするかどうか」の一点だと思っています。下地のボードを1ランク上げる話と、仕上げの突板や化粧板を不燃認定品にする話は、金額のオーダーがまったく違います。
施工管理が不燃ボードで気をつけること
不燃ボードで押さえるべき注意点は、結論「等級は材料単体ではなく仕上げまで含めた面で評価される」という一点です。ここを外すと、正しいボードを使っているのに面としては等級を満たさないという事故が起きます。
落としやすいのは次の4か所です。
- 仕上げ材の等級:不燃ボードに難燃クロスを貼れば、面としては難燃までしか主張できない
- 加工と張り方:認定は構成で取っているので、指定外の下地ピッチや張り方は認定の前提を外す
- 開口部:ダウンライトや点検口の開口が、認定の想定範囲に入っているか
- 書類:認定書の写し、カタログの認定番号、施工ラベルが揃っているか
仕上げ材まで含めて等級が決まる
不燃ボードの上にクロスや塗装を重ねる場合、その仕上げ材側の等級も問われます。壁装材には不燃・準不燃・難燃それぞれの認定があるので、下地を不燃にしたのにクロスが難燃だと、仕上げ面としては難燃扱いになります。仕様書で「不燃」とだけ書かれているときは、下地と仕上げのどちらを指しているのかを必ず確認します。
クロスの種類と選び方はこちらにまとめています。

開口・加工で認定の前提を外さない
大臣認定は製品単体ではなく「この下地にこの張り方で使う」という構成で取られています。したがって、ビスピッチを勝手に広げる、指定外の接着剤を使う、認定の想定にない開口を大きく取る、といった現場判断は認定の前提を崩します。メーカーの施工仕様書に張り方と留付けの条件が書いてあるので、着工前に職長と読み合わせておくのが確実です。
材料承認と検査で出す書類
検査で「これが不燃である証明は?」と問われたときに出すのは、メーカーの認定書の写しと、認定番号が載ったカタログ、そして納品書です。ここで製品名・厚み・構成のどれかが図面と食い違うと、承認をやり直すことになります。承認図の段階で厚みまで書き込んでおくと、後の照合がぐっと楽になります。
ホームセンターの「不燃板」との違い
小口で売られている「不燃板」「不燃ボード」は、材料としてはケイカル板などであっても、認定書が付かない形で流通していることがあります。DIY用途なら問題になりませんが、確認申請が絡む現場では認定番号を追える製品を選ぶ必要があります。安いから、というだけで小口品を混ぜると書類で詰まります。
僕の感覚だと、不燃ボードで揉める現場はほぼ全部「面としての等級」の理解でつまずいています。ボードを何にするかではなく、下地から仕上げまでの層を1枚の面として見る癖をつけておくと、この手の指摘はほとんど出なくなります。
不燃ボードに関するよくあるQ&A
Q. 石膏ボードは不燃材料ですか?
A. 厚みで変わります。告示1400号では12mm以上が不燃材料なので、一般的な12.5mm厚は不燃、9.5mm厚は準不燃までです。ただし表紙に不燃性原紙を使った不燃積層せっこうボードは、大臣認定によって9.5mmで不燃材料に適合します。
Q. 図面に「不燃」とだけ書かれていたら何を拾えばいいですか?
A. 下地なら12.5mmの石膏ボード、水がかりや軒天ならケイカル板5mm以上が基本線です。ただし「下地とも不燃」と書かれている場合は11階以上の高層区画の要求である可能性が高いので、用途と階数を確認してから設計に確かめるのが安全です。
Q. 不燃ボードの上にクロスを貼っても不燃のままですか?
A. 仕上げ面としては、貼ったクロス側の等級で評価されます。不燃を維持したいなら不燃認定(NM)のクロスを選ぶ必要があります。下地だけ不燃にしても面としての等級は上がりません。
Q. 準不燃で足りる場所に不燃を使うのは問題ありますか?
A. 上のランクは下のランクを兼ねるので、法的には問題ありません。ただし厚みと重量が増えてコストと手間が上がるので、要求が法規なのか標準仕様なのかを確認したうえで決めるのがおすすめです。
Q. 不燃断熱ボードは不燃材料ですか?
A. ロックウールやグラスウール板そのものは告示1400号に不燃材料として挙げられています。ただし面材と複合された製品は、複合の状態で認定を取っているかどうかで扱いが変わるので、認定番号で確認してください。

不燃ボードに関する情報まとめ
- 不燃ボードとは:不燃材料に該当する板材の総称。商品名ではなく合格ラインの名前
- 不燃の定義:加熱開始後20分間燃焼せず、変形・溶融・煙やガスを生じない(法2条九号・令108条の2)
- 3ランク:不燃20分・準不燃10分・難燃5分。上のランクは下を兼ねる
- 種類:石膏ボード系・ケイカル板系・セメント板系・化粧不燃系・不燃木材系の5系統
- 厚みの基準:告示1400号でせっこうボード12mm以上、繊維混入けい酸カルシウム板5mm以上
- 認定番号:NMが不燃、QMが準不燃、RMが難燃。外部仕上げはNE・QE
- 内装制限:多くは準不燃以上で足り、不燃・下地ともは11階以上の高層区画が中心
- 現場の注意:等級は材料単体ではなく仕上げまで含めた面で決まる
以上が不燃ボードに関する情報のまとめです。
不燃ボードは「どの製品を買うか」の話に見えて、実際は「告示と大臣認定のどちらのルートで性能を担保するか」「下地から仕上げまでの面としてどう成立させるか」を決める作業です。石膏ボードは12mm、ケイカル板は5mmという2つの境目と、認定番号の頭文字だけ頭に入れておけば、拾いも材料承認もかなり迷わなくなるはずです。



