- 省エネリフォームの補助金って、今年はどれが動いてるの?
- 名前が毎年変わるから、去年覚えた制度がもう無い
- 窓と給湯器と断熱、どれをどの事業で申請するのが正解?
- 上限100万円って書いてあるけど、誰でも100万円もらえるの?
- 「トリガールーム」って何だ、去年こんな言葉あったか?
- お客さんから聞かれるけど、施主が自分で申請できるの?
- 施主支給の窓を取り付けるだけなら対象になる?
- 予算が尽きたら終わりって、今どのくらい残ってる?
- 併用できるって聞いたけど、二重申請で取り消しもあるらしい
- 着工日っていつからの工事が対象なんだ
- 契約は今から、工事は来年でも間に合う?
上記の様な悩みを解決します。
省エネリフォームの補助金は、制度そのものは毎年続いているのに事業名と要件が年度ごとに入れ替わるので、去年の知識のまま話すと事故ります。2026年は国土交通省・経済産業省・環境省の3省連携による「住宅省エネ2026キャンペーン」が本体で、リフォームに使える枠は4つ。しかも2026年からは「トリガールーム」という新しい考え方が入り、断熱改修の組み立て方が去年とは別物になりました。今回は4事業の上限額・対象工事・申請期間といった基本を押さえた上で、施主向けの制度一覧では触れられない併用の優先順位、施主支給が対象外になる理由、そして予算の消化率まで、工事を受ける側の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、補助金の書類に慣れていない方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
省エネリフォームの補助金とは?2026年の本体は「住宅省エネ2026キャンペーン」
省エネリフォームの補助金とは、結論「既存住宅の断熱性能や設備効率を上げる工事に対して、国が定額を交付する制度」のことです。2026年は国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携する住宅省エネ2026キャンペーンが中心で、この中に4つの補助事業が入っています。
制度の作りとして押さえておくべき点が一つあります。この補助金は施主が直接申請できません。事務局に登録した「住宅省エネ支援事業者」が施主に代わって交付申請を行い、受け取った補助金を施主に還元する共同事業という形になっています。つまり工事を請ける側が登録していないと、その工事は制度の外に置かれます。
- 施主が自分で申請する制度ではなく、登録した施工業者が申請して還元する仕組み
- 工事請負契約が結ばれていない工事は、どの事業でも対象にならない
- 予算上限に達した時点で受付終了。年度末まで必ず開いているわけではない
このあたりが「補助金があると聞いたので見積もってほしい」と言われたときに、最初に確認すべきところです。国の制度以外に自治体の助成や税制優遇も併走していて、そちらは要件も窓口も別系統になります。制度全体の見取り図はこちらで整理しています。

住宅省エネ2026キャンペーンの4事業と上限額
4つの事業は所管省庁も対象工事も違います。リフォームで使えるのは次のとおりです。
| 事業名 | 所管 | 主な対象 | 補助上限 |
|---|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業 | 国土交通省 | 開口部・躯体の断熱改修、エコ住宅設備、子育て対応、防災性向上、バリアフリーなど | 40〜100万円/戸(住宅の新築時期と工事の基準で変わる) |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 環境省 | 窓(ガラス)の断熱改修と、同一契約のドア交換 | 100万円/戸 |
| 給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 高効率給湯器の導入、電気蓄熱暖房機・電気温水器の撤去 | 機器と台数に応じた定額 |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 賃貸集合住宅の省エネ型給湯器への交換 | 機器に応じた定額 |
そして4事業に共通する期間の考え方が、意外と見落とされます。工事着手の期間は2025年11月28日から、遅くとも2026年12月31日まで。交付申請も遅くとも2026年12月31日までですが、どの事業も予算上限に達した時点で打ち切られます。
ここで「工事着手」とは、締結した工事請負契約に含まれる最初の工事に着手することを指します。補助対象の工事に限定されないので、契約に外構やクロス張り替えが入っていれば、その着手日が起点になります。逆に工事請負契約より前に着手してしまうと、その工事は対象外です。契約日そのものは問われません。
みらいエコ住宅2026事業|2026年の関門は「トリガールーム」
2026年で一番大きく変わったのがここです。みらいエコ住宅2026事業のリフォームは、工事を「要件化工事」と「補助対象工事」の2種類に分けて考えます。
要件化工事とは、外皮に面する開口部を持つ1つの居室で、あらかじめ定められた組み合わせの断熱改修を行うことです。この居室を制度上「トリガールーム」と呼びます。要件化工事の基準は2つあり、義務基準に相当する工事なら開口部の断熱改修+躯体の断熱改修+特定エコ住宅設備の設置、次世代省エネ基準に相当する工事なら開口部の断熱改修+躯体の断熱改修という組み合わせです。しかも平成3年12月31日以前に建てられた住宅は、新築時期ごとにさらに細かく必要な組み合わせが定められています。
トリガールームが成立すると、その住宅で行う他のリフォーム工事も補助対象工事として金額に算入できます。逆にトリガールームが成立しなければ、他の工事をどれだけやっても1円も出ません。ここが去年までの「必須工事を選ぶ」発想との決定的な違いです。
- 外皮に面する開口部がない居室(納戸など)はトリガールームにできない
- 開口部の一部だけを断熱改修した居室もトリガールームにできない
- 2025年11月27日以前に開口部を断熱改修していた居室は使えない
- 壁や建具で仕切られていない空間は、繋がっている範囲全体を1つの居室とみなす
なお居室の定義は建築基準法第2条4号に沿っていて、リビング・寝室・子供部屋・キッチン・書斎は居室ですが、トイレ・浴室・洗面室・廊下・納戸・玄関ホール・車庫は居室に該当しません。マンションで上下階に部屋が接している場合は、その天井または床の躯体断熱改修は行われたものとみなせる救済もあります。
補助上限は、住宅の新築時期と要件化工事の基準の組み合わせで4通りに分かれます。
| 対象住宅の新築時期 | 義務基準に相当する工事 | 次世代省エネ基準に相当する工事 |
|---|---|---|
| 〜平成3年 | 100万円/戸 | 50万円/戸 |
| 平成4年〜平成28年 | 80万円/戸 | 40万円/戸 |
対象になる住宅は、平成28年12月31日以前に新築されたことを登記事項証明書で確認できるもの。平成29年以降に新築された住宅でも、平成11年基準を満たさないことを証明できれば対象になります。
補助対象工事のメニューは、開口部の断熱改修、躯体の断熱改修、特定エコ住宅設備(高効率給湯器・高効率エアコン)、エコ住宅設備(太陽熱利用システム・節水型トイレ・高断熱浴槽・節湯水栓・蓄電池・第一種換気設備)、子育て対応改修、防災性向上改修、バリアフリー改修、空気清浄機能や換気機能付きエアコンの設置、リフォーム瑕疵保険等への加入の9分類です。太陽光発電設備とエネファームの設置工事は、この事業では対象になりません。
断熱改修の効果を施主に説明するときの物差しになるのが熱貫流率です。数値の読み方はこちらで整理しています。

先進的窓リノベ2026事業|上限100万円と、補助額5万円という下限
窓に限れば、単価が最も大きいのがこの事業です。1戸あたりの補助上限は100万円。対象はガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法・はつり工法)、そして窓と同一契約で同時に行うドア交換(カバー工法・はつり工法)です。
補助額は、工事の内容・住宅の建て方(戸建住宅/低層集合住宅/中高層集合住宅)・対象製品の性能とサイズで決まります。対象製品はメーカーが登録し事務局が性能を確認したもので、性能証明書が発行されます。ここでカタログにない製品を提案してしまうと、後から差し替えになります。
見落とすと施主とのトラブルになりやすい線引きが、この事業には多いです。
- 本事業単独で申請する補助額が5万円以上でないと申請できない(みらいエコ住宅2026事業と分けて申請する場合も、合算はできない)
- 内窓は、外皮部分にある既存外窓の開口面から屋内側50cm以内に平行に設置するものに限る
- 外窓交換は既存窓と同規模・同数まで。位置を変えたら対象外
- ドア交換だけを対象にした工事は不可。窓の工事と同一契約かつ同時申請が条件
- はつり工法専用の製品をカバー工法で取り付けるなど、メーカーが保証しない方法の施工は対象外
さらに、施主が自分で製品を買って取付だけを頼む、いわゆる施主支給や材工分離による工事は対象外です。中古品・展示品も不可、外気に面していない開口部(内廊下に面した集合住宅の玄関ドアなど)も不可。従前より省エネ性能が下がる交換も当然対象になりません。財産処分の制限は工事完了後10年間かかります。
給湯省エネ2026事業|基本額+性能加算+撤去加算の三段構え
給湯器は定額なので金額が読みやすい枠です。補助額は基本額、性能加算額、撤去加算額の合計で決まります。
| 区分 | 内容 | 補助額 |
|---|---|---|
| 基本額 | ヒートポンプ給湯機(エコキュート) | 7万円/台 |
| 基本額 | 電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機) | 10万円/台 |
| 基本額 | 家庭用燃料電池(エネファーム) | 17万円/台 |
| 性能加算 | エコキュートが性能加算要件を満たす場合 | 3万円/台 |
| 性能加算 | ハイブリッド給湯機が性能加算要件を満たす場合 | 2万円/台 |
| 撤去加算 | 電気蓄熱暖房機の撤去 | 4万円/台(2台まで) |
| 撤去加算 | 電気温水器の撤去 | 2万円/台(基本額で補助を受ける台数まで) |
エネファームに性能加算はありません。台数の上限は戸建住宅でいずれか2台まで、共同住宅等でいずれか1台までです。
- 撤去加算は予算36億円を目途とした別枠で、本体より先に終わる可能性がある
- 撤去加算は高効率給湯器の設置と同時に交付申請しないと受けられない
- エコキュートの撤去は加算の対象にならない
- 補助対象者が個人の場合、共同事業実施規約でJ-クレジット制度への参加意思を表明する必要がある
リフォームの場合の着工日は、対象機器の1台目の設置工事に着手した日です。契約に含まれる他の工事が2025年11月27日以前に始まっていても問題ありません。ここは窓や躯体の考え方と違うので、混ぜて覚えないほうがいいと思います。財産処分の制限は6年間(法定耐用年数)です。
併用の優先順位|同じ窓に二つの事業は使えない
4事業は併用できますが、「同じ部位・同じ機器に二重に」は使えません。ここを間違えると、理由の如何によらず交付申請が無効になり、交付決定の取り消しや返金の対象になります。判断の軸は次のとおりです。
| 組み合わせ | 扱い |
|---|---|
| 同じ窓を窓リノベとみらいエコ住宅の両方で | 不可。窓リノベの要件を満たす開口部設備は窓リノベへ申請する |
| 窓リノベの予算が上限に達した後の窓 | みらいエコ住宅2026事業が補助対象事業になる |
| 別の給湯器を給湯省エネとみらいエコ住宅で | 可。性能等に応じて両事業を併用できる(同一契約・同一工期でも可) |
| 同じ給湯器を両事業で | 不可 |
| みらいエコ住宅でリフォームの補助を受けた住宅に、新築の補助 | 不可 |
| みらいエコ住宅で高効率給湯器の補助を受ける場合の撤去加算 | 給湯省エネ2026事業の撤去加算は受けられない |
| 地方公共団体の補助制度 | 国費が充当されているものを除き併用可 |
もう一つ実務的な数字があります。他の構成事業で交付決定を受けている場合、みらいエコ住宅2026事業の1つの交付申請で申請する補助額合計の下限は2万円以上とされています。窓リノベで5万円以上、みらいエコで2万円以上という下限が別々にかかるので、小規模な工事では「どちらにも届かない」が起こり得ます。
耐震改修と同時に省エネ改修を進めるケースも増えています。耐震側の補助と工法の関係はこちらにまとめています。

施工側の段取り|登録・着工日・予算消化率の3点を先に押さえる
制度一覧の記事はここを書きません。ですが工事を受ける立場では、金額よりこの3点のほうが先です。
- 住宅省エネ支援事業者の登録を済ませ、各事業への参加を申告しておく(未登録なら受注しても申請できない)
- 契約日より後に着工していることを、日付が残る形で管理する(契約前着工は一発で対象外)
- 施主支給・材工分離の希望が出たら、その場で対象外になると伝える(後から気づくと値引き交渉になる)
- 交付申請は工事完了後に提出できるが、締切は予算次第。着工を年末ぎりぎりに寄せない
予算の残りも見ておく価値があります。2026年8月27日0時時点で公表されている、予算に対する補助金申請額の割合は次のとおりです。
| 事業 | 予算総額 | 申請額の割合 |
|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業(リフォーム) | 300億円 | 4% |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 1,125億円 | 19% |
| 給湯省エネ2026事業 | 570億円 | 39% |
| 給湯省エネ2026事業の撤去加算 | 36億円を目途 | 20% |
給湯省エネ2026事業は7月末までの累計で204,128件・180億191万円が申請されていて、月あたり4〜5万件のペースで進んでいます。単純に伸ばすと年内は持つ計算ですが、駆け込みが増える秋以降は加速するのが例年の形です。現場目線で言えば、窓と躯体はまだ余裕があり、給湯器は早めに動かす。この温度差を知っているかどうかで、施主への案内の説得力が変わります。
省エネリフォームの補助金に関する情報まとめ
- 制度の本体:2026年は3省連携の住宅省エネ2026キャンペーン。登録した施工業者が申請し補助金を施主に還元する共同事業で、施主の直接申請はできない
- 4事業と上限:みらいエコ住宅2026事業が40〜100万円/戸、先進的窓リノベ2026事業が100万円/戸、給湯省エネ2026事業と賃貸集合給湯省エネ2026事業は機器ごとの定額
- 期間:工事着手は2025年11月28日から遅くとも2026年12月31日まで。契約前に着手した工事は対象外で、予算上限到達時点で打ち切り
- みらいエコ住宅:開口部を持つ1つの居室で要件化工事を成立させる「トリガールーム」が前提。対象は平成28年12月31日以前に新築された住宅
- 窓リノベ:上限100万円だが単独で補助額5万円以上が必要。内窓は50cm以内、外窓交換は同規模同数、ドア単独は不可
- 給湯省エネ:エコキュート7万円・ハイブリッド10万円・エネファーム17万円を基本に、性能加算と撤去加算が乗る。台数は戸建2台・共同住宅等1台まで
- 併用:同じ窓・同じ機器に二重申請は不可で取り消しの対象。窓は窓リノベ優先、予算到達後はみらいエコ住宅へ移る
- 施工側の段取り:事業者登録、契約日と着工日の管理、施主支給が対象外であることの事前説明。予算消化率は給湯省エネが39%と最も進んでいる
以上が省エネリフォームの補助金に関する情報のまとめです。
この制度で損をするのは、金額を知らなかった人ではなく、順序を間違えた人です。契約前に着工した、施主支給で組んでしまった、同じ窓を二つの事業に出した。どれも工事の中身は良いのに補助が消えるパターンです。逆に言えば、登録と日付と併用ルールの3つを最初に固めてしまえば、あとは製品を選ぶだけの話になります。年度が替わると事業名も要件も変わる前提で、毎年公式サイトの対象要件を一度は通しで読んでおく。それが一番確実だと僕は考えています。
省エネ基準そのものの水準を確認しておきたい場合は、あわせて読むならこちらです。

