気密シートとは?防湿シートとの違い、JIS規格、厚さ、重ね幅、施工手順

  • 気密シートと防湿シート、呼び方が現場でバラバラで話が通じない
  • 透湿防水シートとは何が違うの?どっちも「シート」で紛らわしい
  • A種とB種って厚さの違いだと思ってたけど、合ってる?
  • 0.1mmと0.2mm、どっちを使えばいいのか判断できない
  • 重ね幅は30mmと聞いたり100mmと聞いたりする、結局どっち?
  • タッカーで留めると穴が開くけど、それは気密的にアウトじゃないの?
  • コンセントボックスまわりが毎回きれいに納まらない
  • 配管の貫通部、テープを巻いてるけど本当にあれで足りてる?
  • 可変透湿タイプは高いけど、普通のポリエチレンと何が違うの?
  • 気密測定でC値が出なかったとき、どこを疑えばいい?
  • 石膏ボードを張った後だと直せない、どのタイミングで見るべき?
  • 職人さんによって仕上がりに差が出る、何をチェックすればいいのか
  • 断熱材の耳で留める納まりと、シートを別張りする納まりの使い分けは?

上記の様な悩みを解決します。

気密シートは、名前のわりに定義が共有されていない建材です。現場では「気密シート」「防湿シート」「防湿気密フィルム」「ベーパーバリア」がほぼ同じものを指して飛び交い、そこに外壁側の「透湿防水シート」まで混ざって話が噛み合わなくなります。さらに厄介なのが規格の理解で、JIS A 6930のA種・B種を「厚さの区分」と説明している記事が少なくありません。実際のJISは透湿抵抗で区分していて、厚さの規定は入っていません。

今回は、気密シートの役割と呼び方の整理から始めて、JIS A 6930の中身、0.1mmと0.2mmの使い分け、重ね幅の一次情報、そして施工管理として一番効く「気密層が切れやすい箇所」と「閉じる前の検査タイミング」まで整理しました。商品比較ではなく、現場で判断するための材料として読んでもらえればと思います。

なお、実際に使う製品の性能値や施工要領はメーカーごとに異なるため、最終的にはその製品の施工要領書と設計図書の指示を優先してください。

それではいってみましょう!

目次

気密シートとは?

気密シートとは、結論「断熱層の室内側に張って、室内の湿気が壁の中へ入るのを止め、同時に隙間からの空気の出入りを止めるためのプラスチック系フィルム」のことです。担っている役割が2つあるので、正確には防湿気密シート、あるいは防湿気密フィルムと呼ばれます。

役割を分けて見ると次のようになります。防湿は、冬に室内の水蒸気が壁の中へ入り込んで断熱材の中で結露する(壁体内結露)のを防ぐ働きです。気密は、室内外の空気の出入りを抑えて、隙間風と、それによる断熱性能の低下や計画換気の乱れを防ぐ働きです。1枚のフィルムがこの2役を兼ねているので、どちらかが欠けても目的を達しません。

なぜこの2つを同じ層で受け持つのかというと、湿気が動く経路と空気が動く経路が同じだからです。フィルムの材質で防湿は確保できても、継ぎ目や貫通部に隙間があれば、そこから湿った空気が丸ごと壁の中へ入ります。フィルムの性能より施工の連続性のほうが効いてくる、と言われるのはこのためです。

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僕の感覚だと、この建材で一番よくある誤解は「良い製品を使えば気密が取れる」というものです。実際は逆で、製品の差より、コンセント1個の納まりや配管貫通部の処理のほうが結果を左右します。ここを最初に共有できているかどうかで、現場の仕上がりが変わります。

現場で呼び名が混ざる4つのシートを、張る位置で仕分ける

呼び方の整理から入ります。結論、気密シートと防湿シートは同じものを別の役割から呼んだ名前で、透湿防水シートはまったくの別物です。

3つの関係を整理すると次のとおりです。

名称 張る位置 目的 湿気の扱い
気密シート(防湿気密フィルム) 断熱層の室内側 室内からの湿気の侵入を止め、空気の出入りを止める 通さない
防湿シート 同上(気密シートと実質同じものを指すことが多い) 防湿の側面を強調した呼び方 通さない
透湿防水シート 断熱層の屋外側、通気層の内側 雨水の浸入を止めつつ、壁内の湿気を外へ逃がす 外へ通す
調湿気密シート(可変透湿タイプ) 断熱層の室内側 冬は防湿、夏は壁内の湿気を室内側へ逃がす 湿度によって変わる

ここで見落とされやすいのが、透湿防水シートと気密シートは「向き」が正反対だという点です。室内側のシートは湿気を通さないことが仕事で、屋外側のシートは湿気を外へ通すことが仕事です。壁の中に入った湿気を屋外へ抜くという設計思想なので、この2枚を入れ替えたり、屋外側に気密シートを張ったりすると、壁の中に湿気が閉じ込められます。

もう一つ、床下用の「防湿フィルム」も混同されがちです。土間コンクリートの下に敷くポリエチレンフィルムは地面からの湿気を止めるためのもので、断熱層に使う防湿気密フィルムとは求められる性能も規格も異なります。現場で「防湿シート持ってきて」だけで通じると思わないほうが安全です。

調湿気密シート(可変透湿タイプ)は、湿度に応じて透湿抵抗が変わる製品です。冬は防湿層として働き、夏場に壁内へ入った湿気は室内側へ逃がす、という考え方で作られています。価格は上がりますが、夏型結露が気になる地域や、外側の通気が取りにくい納まりで選ばれます。

外壁側の構成とセットで考えたいときは、外壁の材料と工法もあわせて確認しておくと整理しやすくなります。

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実務だと、この呼び分けを最初の打合せで一度そろえておくだけで、後の手戻りがかなり減ります。図面上の表記と現場の呼び名が違っていることも珍しくないので、材料承認のタイミングで名前と品番を突き合わせておきたいところです。

JIS A 6930の規格|A種とB種は厚さではなく透湿抵抗で分かれる

ここが、解説記事でもっとも誤解されている部分です。結論、JIS A 6930のA種・B種は透湿抵抗による区分で、厚さの規定はありません。

JIS A 6930「住宅用プラスチック系防湿フィルム」は、その適用範囲を「主として住宅を断熱構造とする場合において、断熱構造部の防露のために、別に防湿層を構成する際に使用するプラスチック系フィルムについて規定する」としています。つまり最初から、断熱構造の防露を目的とした防湿層のためのフィルムを対象にした規格です。

規格の中では、まず材料の構成で2つに分かれます。単体フィルムは「ポリエチレンフィルムのような、単一のプラスチック材料により構成されるフィルム」、複合フィルムは「単体フィルムに、性質の異なる他の単体フィルム及び/又はフィルムと形状の異なる他のプラスチック材料を複合したフィルム」で、蒸着層を持つものも含まれます。

そのうえで、透湿性(透湿抵抗)による区分としてA種とB種が定められています。品質の数値は次のとおりです。

項目 A種 B種
透湿性(透湿抵抗)m²·s·Pa/ng 82×10⁻³ {170} 以上 144×10⁻³ {300} 以上
強度(つづり針保持強さ)N 15 {1.53} 以上 15 {1.53} 以上
加熱処理後の縦方向引張切断伸び残率 % 50以上
アルカリ処理後の縦方向引張切断伸び残率 % 80以上
発火性 発火しないこと。 発火しないこと。

この表から読み取れることを整理します。

  • 透湿抵抗の要求値はB種のほうが高く、湿気を通しにくい側がB種
  • つづり針保持強さ(タッカーの針で留めたときの保持力)は両種とも15N以上で同じ
  • 加熱処理後・アルカリ処理後の伸び残率はA種にだけ規定があり、B種には規定がない
  • 厚さ(mm)の規定は品質の項目に含まれていない

「A種=0.1mm、B種=0.2mm」という説明を見かけますが、これはJISの区分ではなく、市販製品でその組み合わせが多いという実態を指したものです。規格として押さえるべきは透湿抵抗の値であって、厚さは製品を選ぶときの目安に過ぎません。カタログを見るときも、厚さの数字だけで判断せず、JIS A 6930のどちらの種に適合しているかを確認するのが正確です。

つづり針保持強さが両種で同じ15N以上と定められている点も、実務では意味があります。この規格は最初からタッカーで留めて使うことを想定している、ということでもあるからです。

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個人的には、ここを正しく押さえておくと、監理の場面で「この製品でよいか」の判断が一段速くなると思っています。厚さで話をしていると、複合フィルムや蒸着フィルムのように薄くても透湿抵抗が高い製品を評価できません。

0.1mmと0.2mm、どちらを使うか

規格が厚さを決めていないなら、現場では何を基準に厚さを選ぶのかという話になります。結論、防湿性能はJISの種で見て、厚さは施工中に破れないかどうかで選びます。

厚さが効いてくるのは主に施工性と耐久性です。0.1mm程度の製品は軽くて扱いやすい反面、下地の突起や工具、資材の出し入れで破れやすくなります。0.2mm程度になると、施工中の破損に強く、タッカーの穴の広がりも起きにくくなります。

一次情報として参考になるのが、硝子繊維協会の充填断熱施工マニュアルです。この中では防湿気密フィルムについて「JIS A 6930に適合する厚さ0.2mm以上のものを推奨」とされています。つまり業界の施工マニュアルのレベルでは、JIS適合を前提としたうえで、実務的な推奨として0.2mm以上が示されているということです。

選定のときに見る項目を挙げます。

  • JIS A 6930のA種・B種のどちらに適合しているか(カタログとミルシートで確認)
  • 厚さ(施工中の破損リスクと、下地の状態に見合っているか)
  • 幅と長さ(柱間・天井の割付に対して継ぎ目が減る寸法か)
  • 専用の気密テープ・気密パッキン・コンセントカバーが同じメーカーで揃うか
  • 可変透湿タイプが必要な納まりか(夏型結露、外側の通気が取りにくい構成)

4つめの専用部材は軽視されがちですが、実際の気密性能を左右します。貫通部やコンセントの納まりは、シート単体ではなく専用部材とセットで初めて成立するからです。シートだけ安く買って部材が揃わない、という買い方をすると現場で困ります。

グラスウールの耳で留める納まりを採る場合は、断熱材そのものの施工とも密接に関わってきます。

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正直なところ、コストを削るならシートの厚さより施工手間のほうを見直すべきで、シートを薄くして破れを増やすのは割に合いません。0.2mm以上を基本にしておくのが無難です。

施工手順と重ね幅|木下地のある部分で30mm以上

施工の基本を押さえます。結論、気密シートは「下地のある位置で重ねて留め、継ぎ目をテープでふさぐ」という単純な原則の繰り返しで、その原則を守れるかどうかが結果を決めます。

硝子繊維協会の充填断熱施工マニュアルでは、重ね幅について「木下地のある部分で30mm以上の重ねをとるように」とされています。重要なのは数字だけでなく「木下地のある部分で」という条件のほうです。下地のない宙に浮いた位置で重ねると、そこは押さえがきかず、テープの圧着も甘くなり、時間が経つと剥がれます。逆に言えば、30mmという数字は下地の上で押さえることが前提の値です。

現場によっては100mm以上を社内ルールにしているところもあります。施工誤差や木材の乾燥収縮を見込んで余裕を取る考え方で、これは一次情報の30mm以上を否定するものではなく、上乗せの管理値です。現場でどちらを使うかは、設計図書か施工要領書の指示に合わせます。

施工の流れは次のようになります。

  • 断熱材を充填する(押し込み過ぎないよう注意し、隙間も残さない)
  • 気密シートを室内側から張り、木下地の位置で30mm以上重ねる
  • タッカーで留める(必要最小限にとどめ、下地のある位置で留める)
  • 継ぎ目、開口部まわり、貫通部を気密テープでシールする
  • 石膏ボードで押さえる(ボードが最終的な押さえになる)

タッカーの穴が気密上どうなのか、という疑問はよく出ます。JIS A 6930がつづり針保持強さを規定していることからも分かるとおり、タッカー留めは前提とされた使い方です。ただし穴が増えれば当然不利になるので、押さえの本命は石膏ボードだと考えて、タッカーは仮固定として必要最小限にとどめます。

開口部まわりは、硝子繊維協会のマニュアルでも「防湿気密テープ(両面)を貼ってシール」とされており、片面テープを上から貼るだけでは不足する箇所があります。配管の貫通部については「気密テープを何枚か貼ってシール」または成形品を用いる方法が示されています。

軸組の納まりごとにシートの通し方が変わってくるので、構造側の理解もあると判断しやすくなります。

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現場目線で言えば、この工程はやり直しがきかない工程です。ボードが張られた後に気密が足りないと分かっても、剥がして直すのは現実的ではありません。手順の共有は着工前に済ませておきたいところです。

気密層が切れやすい箇所

気密シートの施工不良は、大面積ではなく必ず「取合い」で起きます。結論、平場を丁寧に張っても、次の箇所を処理していなければ気密は取れません。

現場でよく切れる箇所を挙げます。

  • コンセント・スイッチボックス(専用の気密カバーを使うか、ボックスごと室内側に出す納まりにする)
  • 配管・配線の貫通部(給排水、電気、換気ダクト、エアコンのスリーブ)
  • 間仕切壁と外壁の取合い(間仕切の下地でシートが分断される)
  • 下屋と外壁の取合い、桁上・梁まわり(形状が複雑でシートが通しにくい)
  • 床と壁、天井と壁の取合い(気流止めが入っていないと、そこから空気が抜ける)
  • ユニットバスまわり(断熱と気密の境界が切り替わる位置)

このうち最も頻度が高いのがコンセントまわりです。ボックスの周囲でシートを切り欠くと、そこが常時開いた穴になります。専用の気密コンセントカバーを使うか、ボックスを気密層より室内側に配置する納まりにするか、どちらかを設計段階で決めておく必要があります。現場合わせでテープを巻くだけでは、数が増えたときに必ず抜けます。

間仕切壁の取合いも同様です。間仕切の下地を先に組んでしまうと、外壁側のシートがそこで分断されます。シートを先に通してから間仕切を組むという順序にできるかどうかは、工程の組み方の問題なので、これも着工前に決める話になります。

気流止めが入っていないケースも根が深く、床下から壁の中を通って小屋裏まで空気が抜ける経路ができていると、シートをいくら丁寧に張っても効果が出ません。

結露が起きる位置を予測しておくと、どの取合いを優先して見るべきかが決めやすくなります。

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自分としては、この6箇所をチェックリストにして現場に貼っておくのが一番効くと思っています。職人さんの技量の問題ではなく、どこを見るかを共有できていないだけ、というケースがほとんどです。

施工管理としての確認タイミング

最後に、いつ何を見るかを整理します。結論、確認は「壁を閉じる前」と「気密測定の前」の2段階で、後者だけに頼ると手遅れになります。

確認の流れは次のとおりです。

タイミング 見るもの 直せるか
断熱材充填の直後 断熱材の隙間、押し込み過ぎ、耳の納まり 直せる
気密シート施工直後(ボード前) 重ね幅、下地上での重ね、テープの圧着、貫通部・コンセント 直せる
気密測定(中間) C値の実測値、漏気箇所の特定 部分的に直せる
ボード施工後・仕上げ後 完成時のC値 ほぼ直せない

このうち決定的なのが2段目です。石膏ボードを張る前の状態を写真に残しておくと、後で数値が出なかったときに原因を追いやすくなります。撮るべきは平場ではなく、前の見出しで挙げた取合い部です。コンセントボックス、貫通部、間仕切の取合い、下屋の取合いを、位置が分かる引きの写真とディテールの寄りの2枚で残しておくと、検証に使えます。

中間の気密測定を入れるかどうかは判断が分かれますが、直せる段階で数値を知れるという意味では価値があります。完成後の測定は「結果の確認」であって、改善の機会にはなりません。

気密測定の進め方と判定の考え方は、こちらで詳しく解説しています。

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実務だと、気密は「測って評価するもの」ではなく「閉じる前に作り込むもの」だという理解が現場全体で共有できているかどうかが、そのまま数値に出ます。測定日をゴールにせず、ボードを張る日をゴールに設定するのが現実的です。

気密シートに関する情報まとめ

  • 定義:断熱層の室内側に張り、室内の湿気の侵入と空気の出入りを同時に止めるプラスチック系フィルム。正確には防湿気密シート
  • 呼び分け:気密シートと防湿シートは同じものを別の側面から呼んだ名前。透湿防水シートは屋外側に張る別物で、湿気を外へ通すのが役割
  • 可変透湿タイプ:湿度に応じて透湿抵抗が変わる。夏型結露や外側の通気が取りにくい構成で選ばれる
  • 規格:JIS A 6930「住宅用プラスチック系防湿フィルム」。材料構成で単体フィルムと複合フィルム、透湿性でA種とB種に区分
  • 透湿抵抗:A種は82×10⁻³ m²·s·Pa/ng {170} 以上、B種は144×10⁻³ {300} 以上。厚さの規定はJISにない
  • つづり針保持強さ:A種・B種とも15N {1.53} 以上。タッカー留めが前提の規格になっている
  • 厚さの選び方:防湿性能はJISの種で見て、厚さは施工中に破れないかで選ぶ。硝子繊維協会のマニュアルは0.2mm以上を推奨
  • 重ね幅:硝子繊維協会のマニュアルで「木下地のある部分で30mm以上」。数字より「下地の上で重ねる」条件のほうが重要
  • 切れやすい箇所:コンセント、貫通部、間仕切と外壁の取合い、下屋の取合い、床壁天井の取合い、ユニットバスまわり
  • 確認タイミング:ボードを張る前と気密測定の前の2段階。完成後の測定では直せない

以上が気密シートに関する情報のまとめです。

気密シートは、製品選定より施工の連続性で結果が決まる建材です。規格の理解でつまずきやすいのはA種・B種を厚さの区分だと思ってしまう点で、実際のJIS A 6930は透湿抵抗で区分しており、厚さは規定されていません。カタログは厚さではなく適合する種で見る、というだけで選定の精度が変わります。施工では、木下地のある位置で30mm以上重ねるという原則を守れているか、そしてコンセントや貫通部といった取合いを処理できているかが決定的です。そして確認はボードを張る前に済ませること。測定は結果の確認であって、改善の機会ではありません。実際に使う製品の性能値と施工方法は、その製品の施工要領書と設計図書の指示に従ってください。

気密シートに関するよくある質問

Q1:気密シートと防湿シートは違うものですか?

現場では同じものを指していることがほとんどです。断熱層の室内側に張るフィルムは、湿気を止める働き(防湿)と空気の出入りを止める働き(気密)の2役を同時に担っているため、どちらの側面を強調するかで呼び名が変わります。正確に呼ぶなら防湿気密シート、あるいは防湿気密フィルムです。ただし、土間コンクリートの下に敷く床下用の防湿フィルムは別物なので、材料を頼むときは名前だけでなく品番で確認したほうが安全です。

Q2:JIS A 6930のA種とB種は、厚さの違いですか?

違います。JIS A 6930は透湿性(透湿抵抗)でA種とB種を区分しており、厚さの規定は品質の項目に含まれていません。数値としては、透湿抵抗がA種は82×10⁻³ m²·s·Pa/ng {170} 以上、B種は144×10⁻³ {300} 以上とされています。つづり針保持強さは両種とも15N {1.53} 以上で同じです。市販製品ではA種に0.1mm、B種に0.2mmの組み合わせが多いため厚さの区分と誤解されがちですが、規格として確認すべきは適合する種のほうです。

Q3:重ね幅は30mmと100mm、どちらが正しいですか?

一次情報としては、硝子繊維協会の充填断熱施工マニュアルが「木下地のある部分で30mm以上の重ねをとるように」としています。100mm以上を社内ルールにしている会社もありますが、これは施工誤差や木材の収縮を見込んで余裕を持たせた管理値で、30mm以上を否定するものではありません。現場では設計図書または施工要領書の指示に従うことになります。数字より重要なのは「木下地のある部分で」という条件で、下地のない位置で重ねるとテープの圧着が甘くなり、後で剥がれます。

Q4:タッカーで留めると穴が開きますが、気密上は問題ないのですか?

前提とされた使い方です。JIS A 6930がつづり針保持強さ(15N以上)を品質項目として定めていること自体が、タッカーで留めて使うことを想定している証拠と言えます。ただし穴の数は少ないほうがよいので、タッカーは仮固定と考えて必要最小限にとどめ、下地のある位置で留めます。最終的にシートを押さえるのは石膏ボードなので、タッカーだけで気密を取ろうとしないことが基本になります。

Q5:気密測定でC値が出ませんでした。どこを疑えばいいですか?

平場ではなく取合い部を疑ってください。頻度が高いのは、コンセント・スイッチボックスまわり、給排水や電気配線・換気ダクトの貫通部、間仕切壁と外壁の取合い、下屋と外壁の取合い、床壁天井の取合いに気流止めが入っていないケースです。特にコンセントは数が多いぶん、1箇所あたりの影響が小さくても合計では効いてきます。そのため、ボードを張る前にこれらの箇所を写真で残しておくと、後から原因を追いやすくなります。

Q6:可変透湿タイプの気密シートは、普通のポリエチレンと何が違いますか?

湿度に応じて透湿抵抗が変わる点です。冬は防湿層として湿気を止め、夏場に壁の中へ入った湿気は室内側へ逃がす、という考え方で作られています。一般的なポリエチレン系のフィルムは、季節に関係なく湿気を通しません。価格は上がるため、どの現場でも必要というわけではなく、夏型結露が懸念される地域や、外側の通気層が十分に取れない納まりで選択肢に入ってきます。採用するかどうかは、断熱構成と地域の条件を踏まえて設計側と詰める話になります。

Q7:気密シートの施工は、いつ確認すればいいですか?

石膏ボードを張る前です。ボードが張られた後では、重ね幅も貫通部の処理も見えなくなり、直すには剥がすしかなくなります。確認の順序としては、断熱材充填の直後に断熱材の隙間と押し込み過ぎを見て、シート施工の直後に重ね幅・下地上での重ね・テープの圧着・貫通部とコンセントの処理を見ます。中間で気密測定を入れられるなら、直せる段階で数値を知ることができます。完成後の測定は結果の確認であって、改善の機会にはなりません。

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