- 工事未払金ってどういう勘定科目?
- 買掛金と何が違うの?
- 普通の未払金とは別なの?
- 未成工事支出金との関係が分からない
- 仕訳はどう切るのが正解?
- 消費税は税抜きで計上するの?
- 現場の自分は何を気にすればいい?
- 出来高査定と未払金って関係ある?
- 下請への支払期日にルールはある?
- 決算期をまたぐ現場はどう処理される?
- 経審や許可申請で見られるの?
上記の様な悩みを解決します。
工事未払金は、建設業会計だけに出てくる勘定科目のひとつです。経理の話なので現場には関係ないと思われがちですが、実際には施工管理が切る出来高査定や検収の判断がそのまま工事未払金の金額になります。つまり現場の日常業務が会社の貸借対照表に直結している科目です。今回は国土交通省が定める勘定科目の分類を引きながら、定義・他科目との違い・仕訳・消費税の扱いを押さえた上で、現場の施工管理として何に気をつければいいか、決算や許可申請でどう見られるかまで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
工事未払金とは?
工事未払金とは、結論「工事費のうち、まだ支払っていない金額を表す流動負債の勘定科目」のことです。
これは建設業会計の中で定義がはっきり決まっている科目です。国土交通省が定めている「建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類」では、負債の部の流動負債に置かれ、次のように定義されています。工事費の未払額(工事原価に算入されるべき材料貯蔵品購入代金等を含む。)。ただし、税抜方式を採用する場合も取引に係る消費税額及び地方消費税額を含む、というものです。
この定義から読み取れる要点は3つあります。まず対象が「工事費」であること。次に、工事原価に算入される材料や貯蔵品の購入代金も含むこと。そして、税抜方式で経理していても工事未払金には消費税と地方消費税を含めて計上すること。3つ目は他の科目と扱いが違う独特のルールで、あとで詳しく触れます。
具体的に何が入るかというと、現場で発生する原価の未払分がほぼ全部です。
- 下請業者への外注費のうち、まだ支払っていない金額
- 材料商社・メーカーへの材料代の未払分
- 仮設材やリース機械の賃料の未払分
- 現場で使う運搬費・産廃処分費の未払分
- 一人親方や労務外注への支払のうち未払の金額
建設業の財務諸表全体での位置づけはこちらで整理しています。

僕の感覚だと、工事未払金は「現場が発生させて、経理が数える科目」と捉えるのが一番しっくりきます。金額を決めているのは経理ではなく、出来高を査定して請求書を通す現場の施工管理です。ここが分かっていると、月末の請求書処理を単なる事務作業ではなく、会社の数字を作る作業として扱えるようになります。
工事未払金と他の勘定科目との違い
工事未払金は、似た名前の科目が周りに多いので混乱しやすい部分です。国交省の勘定科目の分類の定義文と並べると、境目がはっきりします。
| 勘定科目 | 国交省の分類での位置づけ | 建設業での中身 |
|---|---|---|
| 工事未払金 | 工事費の未払額(工事原価に算入される材料貯蔵品購入代金等を含む) | 外注費・材料費・経費の未払分 |
| 未払金 | 固定資産購入代金未払金、未払配当金その他の未払金で履行期が1年以内 | 事務所の備品、車両、本社経費など工事原価以外 |
| 未払費用 | 未払給与手当、未払利息等、継続的な役務の給付に基づく決算期までの未払額 | 給与、利息、家賃など期間で発生するもの |
| 支払手形 | 営業取引に基づいて発生した手形債務 | 工事費を手形で支払った場合 |
| 未成工事支出金 | 引渡しを完了していない工事に要した工事費、材料購入や外注の前渡金・手付金等 | 未完成現場に投入した原価(資産側) |
| 完成工事未収入金 | 完成工事高に計上した工事に係る請負代金 | 発注者から回収していない工事代金(資産側) |
買掛金との違い
一般の製造業や小売業では、仕入代金の未払を買掛金で処理します。建設業会計では、この買掛金の役割を工事未払金が担っている、という関係です。つまり工事未払金は建設業版の買掛金だと理解して差し支えありません。
ただし範囲が少し広いのがポイントです。買掛金は「商品・材料の仕入」に対する債務ですが、工事未払金は工事原価に入るものであれば外注費・労務外注費・経費まで含みます。下請への外注費が入るのが建設業の特徴で、一般の買掛金の感覚だと外注費は含みません。
なお、建設業でも兼業事業(不動産販売や資材販売など)があれば、そちらの仕入は買掛金で処理します。建設業の会社の決算書に買掛金と工事未払金が並んで載っていることがあるのは、この兼業部分があるからです。
未払金との違い
いちばん現場に関係するのがこの切り分けです。判断基準はシンプルで、工事原価に入るかどうかです。
現場事務所で買ったコピー用紙は、工事原価に入れるなら工事未払金、本社の一般管理費で処理するなら未払金になります。現場に置く自社所有の機械を買った場合は固定資産なので未払金です。ここが伝票の書き方に直接効いてきます。現場が「どの現場のどの原価か」を書かずに請求書を回すと、経理が工事未払金なのか未払金なのか判断できず、月末に必ず問い合わせが返ってきます。
完成工事原価の考え方はこちらが参考になります。

未成工事支出金との関係
未成工事支出金は資産、工事未払金は負債なので、まったく別のものです。ただし、未完成の現場では両者がペアで動きます。
未完成の現場に材料を投入して、その代金を支払っていない状態を考えると、原価は未成工事支出金として資産に積まれ、同時に同額が工事未払金として負債に立ちます。つまり貸借対照表の両側が同時に膨らみます。この状態で決算をまたぐと、決算書上は「資産も負債も大きいが利益は出ていない」という見え方になります。決算期をまたぐ大型現場を抱えている会社の決算書が独特な形になるのは、この構造が原因です。
工事進行基準を採用している場合の扱いはこちらで整理しています。

工事未払金の仕訳
仕訳のパターンは、実務で出てくるものだけ押さえておけば十分です。ここでは工事完成基準(引渡し時に売上を立てる方法)を前提にします。
未完成の現場で下請から請求書を受け取ったときは、原価を未成工事支出金に積んで、相手勘定を工事未払金にします。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未成工事支出金 | 1,100,000 | 工事未払金 | 1,100,000 |
その後、実際に支払ったときは工事未払金を消します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 工事未払金 | 1,100,000 | 当座預金 | 1,100,000 |
手形で支払った場合は、現金が動かずに債務の種類が変わるだけなので、工事未払金から支払手形に振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 工事未払金 | 1,100,000 | 支払手形 | 1,100,000 |
前渡金や手付金を先に払っている場合は、支払時点では未成工事支出金(または前渡金)として処理し、請求書が来た段階で差額だけを工事未払金に立てます。ここを二重に計上してしまう間違いが多いので、現場が査定するときも「前渡分を差し引いた出来高か」を確認する必要があります。
工事が完成して引渡した期には、未成工事支出金が完成工事原価に振り替わります。ただし工事未払金は支払うまで残るので、原価が確定した後も負債として貸借対照表に載り続けます。この時間差が、完成した現場の原価と支払残高が一致しない理由です。
仕訳を切る前に、現場から経理へ渡す情報として次の5点が揃っているかを確認しておくと、差し戻しがほぼ無くなります。
- どの現場(工事番号)のどの原価区分か
- 査定した出来高の数量と単価、根拠となる写真や検収記録
- 前渡金・手付金の既払額と、今回の差引後の金額
- 支払条件(現金・手形・サイト)と支払予定日
- 適格請求書の要件を満たしているか(登録番号と税率ごとの消費税額)
原価の差異を追う考え方はこちらが参考になります。

消費税とインボイスの扱い
ここが工事未払金の独特なところで、しかも解説記事であまり正確に書かれていない部分です。
国交省の勘定科目の分類の定義文には、「ただし、税抜方式を採用する場合も取引に係る消費税額及び地方消費税額を含む」と明記されています。つまり、会社が税抜経理を採用していても、建設業法の財務諸表上の工事未払金は消費税を含んだ金額で表示する、というルールです。
これは実務的に意味があります。工事未払金は「相手に支払わなければならない金額」なので、税込の請求額そのものが債務の実額です。原価の集計は税抜で行っても、債務として表示するのは税込、という使い分けになっているわけですね。同じ理屈で、完成工事未収入金も消費税を含めた金額で扱われます。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)との関係も、現場に無関係ではありません。仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書の保存が必要です。つまり現場が受け取る請求書が、次の要件を満たしているかどうかが会社の税負担に直結します。
- 適格請求書発行事業者の登録番号が記載されているか
- 適用税率と税率ごとに区分した消費税額が記載されているか
- 取引年月日、取引内容、宛名が正しく記載されているか
- 一人親方や小規模業者が免税事業者の場合、社内の取り扱いルールに沿って処理されているか
現場の施工管理が「請求書の内容が合っているか」だけを見て、登録番号の有無を見ないまま回してしまうと、経理側で差し戻しになります。月末の締めが遅れる原因の多くはここです。
一人親方側から見た制度の影響はこちらで整理しています。

なお、下請との契約や請求のやり取りを電子化している場合は、建設業法上の要件と電子帳簿保存法の保存要件の両方を満たす必要があるので、社内ルールの確認が先になります。
正直なところ、消費税とインボイスの詳細は経理と税理士の領域です。現場が覚えるべきは「工事未払金は税込」「請求書は登録番号を確認する」の2点だけで十分だと思います。ただこの2点を知らないまま処理していると、なぜ差し戻されるのかが分からないまま作業することになるので、理屈を1回押さえておく価値はあります。
現場の施工管理が工事未払金に効かせられること
工事未払金は経理の科目ですが、金額を決めているのは現場です。ここが本題です。
工事未払金が立つまでの流れを追うと、現場が握っているポイントがはっきりします。下請が施工する、現場が出来高を査定する、下請が請求書を出す、現場が内容を検収する、経理が工事未払金として計上する、支払期日に支払う。この6段階のうち、査定と検収の2つは完全に現場の判断です。
つまり現場が甘い査定をすれば、まだ出来ていない出来高に対して負債が立ちます。逆に厳しすぎる査定をすれば、下請の資金繰りを圧迫します。どちらも会社の数字と協力会社との関係の両方に影響するので、査定は「まけてやる」「削る」の交渉ではなく、実際の出来形に対する事実の確認として行うべきものです。
出来形の確認の考え方はこちらが参考になります。

そして、支払期日には建設業法上のルールがあります。押さえておくべきものは次の3つです。
- 元請が注文者から出来高払または完成払を受けたときは、その支払を受けた日から1か月以内で、かつできる限り短い期間内に、下請が施工した出来形部分に相応する下請代金を支払う(建設業法第24条の3第1項)
- 下請から工事が完成した旨の通知を受けたら、その日から20日以内で、かつできる限り短い期間内に完成を確認するための検査を完了する(第24条の4第1項)
- 特定建設業者は、注文者から支払を受けたかどうかに関わらず、下請からの引渡しの申出の日から起算して50日を経過する日以前に下請代金の支払期日を定めなければならない(第24条の6第1項)
2つ目の検査期限は、現場の施工管理が直接担当する部分です。しかも3つ目の50日ルールは「引渡しの申出の日」から起算するので、検査を放置して申出の起点をずらすと、支払期日の計算そのものが崩れます。「忙しいから来週見る」で流していると、法令上の期限を自分の手で壊していることになります。
元請と下請の関係整理はこちらで確認できます。

実務だと、月末に請求書が一気に集まって処理が追いつかない、というのが最大の詰まりポイントです。対策としては、月の途中で出来高の目安を下請と共通認識にしておく、査定の根拠になる写真と数量を日々残しておく、この2つが効きます。締めの日に数量を数え始めると、どうしても精度が落ちるので、日々の記録がそのまま査定資料になる形を作っておくのが現場の勝ち筋です。
決算・許可申請・経審での扱い
工事未払金は、会社の対外的な評価にも顔を出します。ここを知っておくと、経理から数字の確認を求められたときに意味が分かります。
まず建設業許可の関係です。建設業許可を受けている会社は、毎事業年度終了後に決算変更届として財務諸表を提出します。この財務諸表は建設業法施行規則の様式に従うので、工事未払金という科目名で記載されます。会社の決算書が一般の会計基準で作られていても、提出用には建設業会計の科目に組み替える作業が発生します。

次に経営事項審査(経審)です。経審は公共工事の入札参加資格に直結する評価で、財務諸表の数値から経営状況の点数が計算されます。工事未払金は流動負債なので、負債総額と流動比率の両方に影響します。ざっくり言えば、工事未払金が大きいほど流動比率は下がり、負債回転期間は長くなります。

ただし、工事未払金が大きいこと自体が悪いわけではありません。工事量が多い時期は当然大きくなります。問題になるのは、支払が滞って異常に残高が膨らんでいる場合や、決算期末だけ支払を止めて資金を良く見せているように読める場合です。決算日を挟んで支払サイトを操作すると、金融機関からも審査機関からも意図的な調整と見られる可能性があります。
決算期の前後で経理から確認を求められる項目は、だいたい次の4つに集約されます。
- 未検収のまま止まっている請求書がないか
- 査定済みだが請求書が届いていない出来高がないか(計上漏れ)
- 契約変更に伴う増減が査定に反映されているか
- 翌期に回すべき出来高を当期に含めていないか
現場目線で言えば、ここで自分にできることは「請求書を溜め込まないこと」です。月末に検収が終わらず、翌月にまとめて処理が回ると、計上月がずれて期をまたぐ処理が発生します。経理からの「この現場の未払、まだ確定しないですか」という問い合わせは、こういう理由で来ているわけですね。
建設業経理の資格で体系的に学びたい場合はこちらが参考になります。

工事未払金に関する情報まとめ
- 工事未払金とは:工事費のうちまだ支払っていない金額を表す流動負債の勘定科目
- 国交省の定義:工事費の未払額(工事原価に算入されるべき材料貯蔵品購入代金等を含む)。税抜方式でも消費税額と地方消費税額を含む
- 中身:外注費、材料費、仮設・リース料、運搬費、産廃処分費、労務外注費などの未払分
- 買掛金との関係:工事未払金は建設業版の買掛金。ただし外注費や経費まで含むので範囲が広い
- 未払金との違い:工事原価に入るなら工事未払金、固定資産や本社経費なら未払金
- 未払費用との違い:給与・利息・家賃のように期間で発生する未払は未払費用
- 未成工事支出金との関係:未完成現場では資産(未成工事支出金)と負債(工事未払金)が同額でペアで膨らむ
- 仕訳:請求書受領時は未成工事支出金/工事未払金、支払時は工事未払金/預金、手形払いは工事未払金/支払手形
- 前渡金の注意:前払分を差し引いた出来高で査定しないと二重計上になる
- 消費税:財務諸表上の工事未払金は税込で表示する(税抜経理でも同じ)
- インボイス:登録番号、税率ごとの区分と消費税額、取引年月日と内容の記載を現場で確認する
- 現場が握るポイント:出来高査定と検収の2工程。ここが工事未払金の金額そのものを決める
- 支払期日:注文者から支払を受けた日から1か月以内(建設業法第24条の3第1項)、特定建設業者は引渡しの申出の日から起算して50日を経過する日以前(第24条の6第1項)
- 完成検査:下請から工事完成の通知を受けたら20日以内に検査を完了(第24条の4第1項)
- 対外評価:建設業許可の決算変更届で建設業会計の科目に組み替え、経審では流動比率や負債回転期間に影響
以上が工事未払金に関する情報のまとめです。
工事未払金は、経理の科目に見えて実は現場の科目です。出来高をどう査定したか、検収をいつ通したか、請求書の内容をどこまで確認したかが、そのまま会社の貸借対照表の数字になります。個人的には、この構造が分かっているかどうかで、月末の請求書処理に対する姿勢がまったく変わると思っています。数量と写真を日々残しておけば査定は事実の確認で済み、登録番号を1枚ずつ確認しておけば差し戻しは消え、検収を20日以内に回せば法令上の期限も守れます。全部、現場でできることの範囲に収まっています。
工事未払金に関するよくある質問
Q1:工事未払金は買掛金と同じものですか?
役割は同じで、建設業会計における買掛金にあたるのが工事未払金です。ただし範囲が広く、材料の仕入代金だけでなく、下請への外注費、労務外注費、仮設材のリース料、運搬費、産廃処分費など、工事原価に算入されるものの未払分がすべて入ります。一般の買掛金には外注費は含まないので、ここが建設業特有の違いです。なお建設業の会社が兼業事業を持っている場合、その仕入は買掛金で処理するため、決算書に両方が並ぶことがあります。
Q2:工事未払金と未払金はどう使い分けるのですか?
工事原価に入るかどうかで分けます。国交省の勘定科目の分類では、工事未払金は工事費の未払額、未払金は固定資産購入代金未払金や未払配当金その他の未払金で履行期が1年以内のものと定義されています。現場で買った消耗品を工事原価に付けるなら工事未払金、本社の一般管理費で処理するなら未払金、自社所有の機械を買ったなら固定資産なので未払金です。現場から請求書を回すときに「どの現場のどの原価か」を明記すれば、経理側の判断が迷いません。
Q3:工事未払金は負債ですか?
流動負債です。国交省の勘定科目の分類でも、負債の部のI流動負債の中に、支払手形の次に置かれています。支払期日が決算期後1年以内に到来するものなので、流動比率や当座比率といった短期の支払能力を見る指標の分母側に効いてきます。
Q4:未成工事支出金との違いは何ですか?
未成工事支出金は資産、工事未払金は負債で、貸借対照表の反対側にあります。未成工事支出金は「引渡しを完了していない工事に要した工事費、材料購入や外注のための前渡金・手付金等」と定義されていて、未完成現場に投入した原価を資産として持っている状態です。未完成現場で代金を支払っていなければ、未成工事支出金と工事未払金が同額でペアで立ちます。この状態で決算をまたぐと、資産も負債も膨らむのに利益は出ていない、という決算書の見え方になります。
Q5:消費税は税抜きで計上するのですか?
工事未払金については税込です。国交省の勘定科目の分類の定義に「ただし、税抜方式を採用する場合も取引に係る消費税額及び地方消費税額を含む」と明記されています。会社が税抜経理を採用していても、建設業法の財務諸表上の工事未払金は消費税を含む金額で表示します。実額として相手に支払う必要がある金額が税込だからで、完成工事未収入金も同じ考え方です。原価の集計は税抜、債務の表示は税込、という使い分けになります。
Q6:下請への支払期日にはルールがありますか?
あります。建設業法第24条の3第1項により、元請が注文者から出来高払または完成払を受けたときは、その支払を受けた日から1か月以内で、かつできる限り短い期間内に、下請が施工した出来形部分に相応する下請代金を支払う必要があります。さらに特定建設業者には第24条の6第1項で、注文者から支払を受けたかどうかに関わらず、下請からの引渡しの申出の日から起算して50日を経過する日以前に支払期日を定めるという上限が課されています。加えて第24条の4第1項で、下請から工事完成の通知を受けたら20日以内に完成を確認する検査を完了する義務があります。
Q7:現場の施工管理は工事未払金の何に気をつければいいですか?
出来高査定と検収の2つです。工事未払金の金額は、現場が査定した出来高と、現場が通した検収でそのまま決まります。甘い査定は実態のない負債を立て、厳しすぎる査定は下請の資金繰りを圧迫します。査定は交渉ではなく事実の確認として行い、根拠になる数量と写真を日々残しておくことが対策になります。あわせて、受け取った請求書に適格請求書発行事業者の登録番号と税率ごとの消費税額が記載されているかを確認してから回します。下請からの完成通知に対する20日以内の検査(第24条の4第1項)も、現場が期限を握っている業務です。
Q8:工事未払金が多いと決算書の評価は下がりますか?
金額の大きさだけでは判断されません。工事量が多い時期に工事未払金が大きくなるのは自然なことです。経審では流動負債として流動比率や負債回転期間に影響しますが、問題視されるのは支払が滞って異常に残高が膨らんでいる場合や、決算期末だけ支払を止めて資金を良く見せているように読める場合です。決算日を挟んで支払サイトを操作すると、金融機関や審査機関から意図的な調整と見られる可能性があります。現場としては請求書を溜め込まず、計上月がずれない形で処理を回すのが貢献の仕方になります。
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