- 既存住宅売買瑕疵保険って、中古住宅の何を保証してくれるの?
- 宅建業者販売タイプと個人間売買タイプ、何が違う?誰が申し込むの?
- 保険期間は何年?金額はいくらまで?
- 費用はいくらかかる?誰が払うの?
- どんな家だと加入できないの?
- シロアリや給排水管は対象になる?
- 住宅ローン控除に使えるって聞いたけど条件は?
- 引渡し後でも入れる?次に売るとき保険は引き継げる?
上記の様な悩みを解決します。
既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の売買で「検査」と「保証」をセットにする任意加入の保険です。ただ、上位の解説はタイプ別の保険期間が混同されていたり、免責金額や支払割合が書かれていなかったりします。住宅ローン控除の要件が2022年改正前の「築20年」のまま止まっている記事も残っていて、実務でそのまま使える情報が意外に少ないのが実情です。
今回は制度の位置づけから2つのタイプの違い、対象部位と特約、現況検査で落ちる条件、費用の実額、保険金の計算方法、そして付保証明書が効く税制まで、一次情報ベースで整理しました。中古を扱う側にも、買う側にも、判断に必要な数字が揃うようにしています。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
既存住宅売買瑕疵保険とは?
既存住宅売買瑕疵保険とは、結論「中古住宅を対象に、建築士等による現況検査に合格した住宅だけが入れる任意加入の瑕疵保険」のことです。
法的な位置づけは、住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)第19条第2号に基づく保険です。同法第19条第1号の保険が新築住宅の資力確保措置に使われる1号保険で、そこに該当しないものが2号保険と呼ばれます。既存住宅売買瑕疵保険はこの2号保険にあたります。
新築の1号保険と比べると、性格がかなり違います。
- 新築の1号保険は法律上の義務(資力確保措置の一手段)だが、既存住宅売買瑕疵保険は任意加入
- 新築は品確法で引渡しから10年の責任が強制されるが、中古は特約で期間が決まるため保険がその代わりになる
- 新築は基本的に加入できるが、既存住宅は現況検査に合格しないと加入そのものができない
3つ目が実務上いちばん重い違いです。新築の保険は「入るもの」ですが、既存住宅の保険は「入れるかどうかを検査で判定されるもの」です。だから物件の状態次第で、入りたくても入れません。僕としては、この違いを最初に客へ伝えておくのが一番のトラブル防止になると思っています。「付けられます」と言い切ってから検査で落ちるのが、この保険で最悪の展開です。
引受を行うのは国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人です。株式会社住宅あんしん保証、住宅保証機構株式会社、株式会社日本住宅保証検査機構、株式会社ハウスジーメン、ハウスプラス住宅保証株式会社の5法人があります。「7社ある」と書いている記事も見かけますが、指定されているのは5法人です。
制度の全体の位置づけを法令から追いたい場合はこちらも参考になります。

既存住宅売買瑕疵保険の2つのタイプの違い
この保険は売主が誰かによって2つのタイプに分かれます。結論「宅建業者販売タイプは売主が申込者、個人間売買タイプは検査事業者か仲介事業者が申込者」です。売主も買主も申込者ではない、という点が個人間売買タイプの理解しにくいところです。
| 項目 | 宅建業者販売タイプ | 個人間売買タイプ |
|---|---|---|
| 売主 | 宅建業者(買取再販など) | 宅建業者以外の個人・法人 |
| 申込者(保険契約者・被保険者) | 売主である宅建業者 | 検査事業者または仲介事業者 |
| 保険期間 | 5年間または2年間 | 1年間・2年間・5年間から選択(商品により選べる期間が異なる) |
| 支払限度額 | 1住戸あたり500万円または1,000万円(5年を選ぶ場合は1,000万円のみ) | 同左(5年を選ぶ場合は1,000万円のみ) |
| 免責金額 | 10万円 | 5万円(保険法人により異なる) |
| 保険金の受取人 | 瑕疵担保責任を履行した宅建業者。倒産等の場合は買主へ直接 | 保証責任を履行した検査事業者・仲介事業者。倒産等の場合は買主へ直接 |
短期側の選択肢が非対称になっているのがポイントです。宅建業者販売タイプは2年か5年の2択ですが、個人間売買タイプは1年という短い期間も選べます。商品によって1年・2年・5年のどれが用意されているかが違うので、「2年または5年」と一括りにしている記事の説明では足りません。
宅建業者販売タイプで短期が2年になっているのには理由があります。宅地建物取引業法第40条が「宅建業者が自ら売主となる場合は引渡しの日から2年以上」の特約でなければ無効としているため、法定の責任期間と保険期間を揃える設計になっているわけです。
タイプを決める3つの判断材料
- 売主が宅建業者かどうか(これで自動的にタイプが決まる)
- 保険期間を5年にしたいか(5年にすると支払限度額は1,000万円で固定される)
- 個人間売買の場合、仲介事業者に保証責任を負ってもらうのか、検査事業者に負ってもらうのか
3つ目は商品のコース選択にあたる部分です。個人間売買タイプには検査事業者コースと仲介事業者コースがあり、どちらが保証責任を負うかで申込者が変わります。中古マンションを住戸単位で扱う商品や、引渡し後のリフォーム工事とセットにする商品を持つ保険法人もあります。
既存住宅売買瑕疵保険の対象部位と特約
対象は、結論「構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分。それ以外は特約で足す」構成です。「シロアリや給排水管は対象になる?」への答えは、基本契約では入らず、特約の有無で決まります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 基本の対象(基本構造部分) | 構造耐力上主要な部分(基礎、柱、壁、土台、床版、屋根版、横架材など)/雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、これらの開口部の建具など) |
| 支払われる費用 | 修補費用、調査費用、転居・仮住まい費用、争訟費用など |
| 特約で追加できる範囲 | 給排水管路、給排水設備、電気設備、ガス設備 |
| シロアリ(虫害) | 不担保。5法人とも不払事由に明記している |
基本構造部分の考え方は新築の瑕疵担保責任と同じ枠組みです。屋根と外壁が雨水側の主役になるので、検査でもここが重点的に見られます。


特約で追加できる代表的な範囲
- 給排水管路:給水管、給湯管、排水管、汚水管
- 給排水設備:受水槽、揚水ポンプ、高置水槽、電気温水器など
- 電気設備:変圧器、受配電盤、母線、配線など
- ガス設備:ガス管
この4つすべてを特約で扱っているのは一部の保険法人で、ガス設備を含まない商品や給排水管路が中心の商品もあります。商品ごとの確認が必要です。中古の戸建てで実際にトラブルになりやすいのは排水管の詰まりや漏水なので、特約の有無で体感的な安心感はかなり変わります。僕の感覚だと、基本契約だけで「保証付き中古」と説明してしまうのは説明不足で、どこまでが対象なのかを最初に線引きしておく方が後で信頼を落としません。
シロアリについては、5つの保険法人すべてが虫害を不払事由に挙げています。つまりこの保険ではシロアリ被害は直せません。中古の木造でシロアリが心配なら、購入前の現況検査で床下の状況をしっかり見てもらい、必要なら防蟻工事とその保証を別に手配する話になります。ここを保険でカバーできると思い込んでいると、あとで話が食い違います。
構造の各部位の役割はこちらで整理しています。

既存住宅売買瑕疵保険の加入条件と落ちるケース
加入条件は、結論「新耐震基準への適合が確認でき、かつ現況検査に合格すること」の2つです。「どんな家だと加入できないの?」という問いには、この2つのどちらかを満たせない家、というのが答えになります。
検査を行うのは適合判定資格者または建築士の資格を持つ検査員です。個人間売買タイプで検査事業者になるには登録要件があります。ある保険法人の場合、一級・二級・木造建築士が所属していること、直近3年間に5件以上の検査実績があること(既存住宅状況調査技術者講習の受講で代替できる場合がある)などです。要件は保険法人ごとに違い、別の法人では「登録前1年以内に3件以上」としています。
耐震性については、原則として昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた住宅、つまり新耐震基準の住宅に限られます。それ以前の住宅でも、耐震基準適合証明書などで新耐震基準相当であることが確認でき、現場検査に適合すれば引受け可能な場合があります。逆に言えば、耐震基準への適合が分かる書類が用意できないと加入できません。旧耐震の物件で保険を狙うなら、引渡し前に耐震改修を済ませて適合を証明する流れになります。

加入できない代表的なケース
- 旧耐震で、耐震基準への適合を示す書類が用意できない
- 検査で雨漏りの跡(雨ジミ)、床の傾き、外壁の多数のひび割れなどの劣化事象が見つかり、修補・再検査でも適合しない
- 売主が保険のための検査で敷地や室内への立入りを拒否している
- 売主の宅建業者が保険加入に応じない(買主から直接申し込むことはできない)
- すでに買主へ引き渡されてしまっている
最後の2つは制度の構造からくる限界です。宅建業者販売タイプは売主が申込者なので、売主が「入らない」と言えば買主にはどうにもできません。また申込みと検査合格は引渡し前に済ませる必要があり、引渡し後に遡って加入することはできません。指摘事項が出た場合の修補と再検査の時間も見込むと、契約から引渡しまでのスケジュールに余裕が必要です。
現場検査に合格した後も期限があります。ある保険法人の商品では、直近の現場検査を実施した日から1年間(鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅などは2年間)以内に引渡しを済ませる必要があります。この期限は保険法人によって設定が違うので、検査を早く済ませすぎると期限切れになる点は頭に入れておくといいです。
そして加入後の落とし穴が2つあります。ひとつは、この保険は次の買主に引き継げないこと。もうひとつは、保険期間の開始後に行ったリフォーム工事の部分と、それに起因する損害が原則として対象外になることです。買ってすぐ大規模リノベをする前提の物件だと、保険の実効範囲が思ったより狭くなります。ただし引渡し後のリフォームを担保できるタイプの商品を用意している保険法人もあるので、リノベ前提なら商品選びの段階で相談する価値があります。
既存住宅売買瑕疵保険の費用
費用は、結論「保険料と検査料の合計で、戸建てなら7万〜18万円あたり」が目安です。保険料は保険法人ごとに決められていて公定価格はないので、レンジで押さえるしかありません。
ある検査事業者(クランツ一級建築士事務所・2023年11月改定)が公開している保証料金表を例に取ると、次のような水準です。
| 対象 | 保険期間・支払限度額 | 金額 |
|---|---|---|
| 戸建て(延床100㎡未満) | 1年・500万円 | 70,000円 |
| 戸建て(延床100㎡未満) | 1年・1,000万円 | 90,000円 |
| 戸建て(延床100㎡未満) | 2年・500万円 | 90,000円 |
| 戸建て(延床100㎡未満) | 2年・1,000万円 | 120,000円 |
| 戸建て(延床100㎡未満) | 5年・1,000万円 | 150,000円 |
| マンション(住戸単位・55㎡以下) | 1年・500万円 | 50,000円 |
| マンション(住戸単位・55㎡以下) | 5年・1,000万円 | 120,000円 |
上の表は保証料金なので、これに検査料金と消費税が別途かかります。検査料は5万〜11万円程度が相場として挙げられます。保険料と検査料を合わせた実感値としては、戸建てで10万円台から、5年契約なら20万円を超える想定です。なお面積が上がると料金区分も上がるので、100㎡以上や広めのマンションでは上の金額より高くなります。
費用を見るときの3つの注意点
- 保険料は保険期間と支払限度額の組合せで決まり、5年を選ぶと支払限度額は1,000万円で固定される
- 延床面積・専有面積で料金区分が上がる(表の金額は100㎡未満・55㎡以下のケース)
- 保険料・検査料の支払義務者は「加入する事業者」で、実際に誰が負担するかは当事者間で決める
3つ目は交渉の話になります。宅建業者販売タイプなら売主である宅建業者が加入者なので、費用は物件価格に織り込まれているのが通常です。個人間売買タイプは検査事業者や仲介事業者が加入者になりますが、実質的な費用は売主か買主のどちらか、あるいは折半で負担する形が多いです。誰が払うかを契約前に決めておかないと、引渡し直前に揉めます。正直なところ、この費用は物件価格や仲介手数料と違って交渉の型が決まっていないので、早めに議題に載せた方が安全です。
既存住宅売買瑕疵保険の保険金と倒産時の直接請求
いくら出るのかを押さえておきます。結論「損害額から免責金額を引いた額に支払割合を掛けた金額で、事業者が倒産していれば買主が直接請求できる」仕組みです。
| 項目 | 宅建業者販売タイプの例 | 個人間売買タイプの例 |
|---|---|---|
| 計算式 | (損害額 − 免責金額10万円)× 縮小てん補割合80% | (損害額 − 免責金額5万円)※縮小てん補なし |
| 倒産等の場合 | 縮小てん補割合100%。免責10万円分は住宅取得者の自己負担 | 免責5万円分が自己負担(縮小てん補はもともとなし) |
| 支払限度額 | 1住戸あたり500万円または1,000万円 | 同左 |
| 補足 | ある保険法人の商品では、買主が宅建業者の場合は直接請求でも80%のまま | 免責金額の額は保険法人により異なる |
通常時は、免責金額と支払割合の差分を事業者が負担して補修を行います。事業者が倒産などで補修できなくなったときに、住宅取得者が保険法人へ直接請求できて支払割合が100%になる、というのがこの制度の核心です。
この計算式まで書いている解説記事はほとんど見当たりません。ただ、実際に相談を受ける立場だと「200万円の補修で、いくら戻るのか」を即答できるかどうかで信頼が変わります。宅建業者販売タイプで200万円の損害なら、(200万円−10万円)×80%で152万円という計算です。
保険金が支払われない代表的な事由
- 洪水、台風、地震、噴火、津波などの自然災害による損害
- 土地の沈下・液状化・土砂崩れによる損害
- 虫害(シロアリ。特約がない場合)や、瑕疵によらない自然消耗
- 保険期間の開始後に行った増改築・補修工事の部分と、それに起因する損害
床が傾いているという相談は多いのですが、原因が地盤の沈下だと免責になります。ここは瑕疵保険ではカバーできない領域なので、購入前の地盤の確認が別途必要です。現場目線で言えば、傾きは原因の切り分けが一番難しい不具合なので、検査の段階で原因まで踏み込んで所見をもらっておくと後が楽になります。

既存住宅売買瑕疵保険と住宅ローン控除・税制の関係
この保険を取る最大の実利は、実は税制です。結論「昭和56年12月31日以前に建築された中古住宅で住宅ローン控除を使うための3つの証明手段のうちの1つになる」というのが、いま一番使われている用途です。
令和4年(2022年)以降に入居する場合、中古住宅の住宅ローン控除の要件は「昭和57年1月1日以後に建築された家屋であること」に整理されました。以前の「築20年以内(耐火建築物は25年以内)」という要件は使われていません。この点が2019年から2021年頃の記事のまま更新されていないケースが多いので、古い記事の数字で判断しないようにしてください。
昭和56年12月31日以前に建築された家屋の場合、次のいずれかで耐震基準への適合を証明します。
| 証明手段 | 要件 |
|---|---|
| 耐震基準適合証明書 | 家屋の取得の日前2年以内に証明のための調査が終了していること |
| 建設住宅性能評価書 | 家屋の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級1以上 |
| 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書 | 家屋の取得の日前2年以内に契約が締結されていること |
3つ目が本記事の保険です。「取得の日前2年以内に締結したもの」という期限がついているところが実務のポイントで、古い付保証明書は使えません。
耐震基準適合証明書のハードルが高い物件では、この保険の付保証明書が現実的な選択肢になります。耐震等級の考え方はこちらで整理しています。

付保証明書が使える税制
- 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(住宅ローン控除)
- 特定の居住用財産の買換え・交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
- 住宅用家屋の所有権移転登記・抵当権設定登記に係る登録免許税の税率の軽減措置
- 既存住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置、土地に係る不動産取得税の減額措置
住宅ローン控除だけでなく5つの税制で証憑として使えるのですが、これをまとめて示している記事は見当たりませんでした。ただし各制度の原則要件は同じではありません。買換え特例は「築25年以内」、不動産取得税の特例は「昭和57年1月1日以後に新築」といった具合に別建てなので、付保証明書でどの要件を代替できるのかは制度ごとに確認が必要です。
そして段取りの落とし穴があります。登録免許税は登記のときに納付するので、引渡しまでに付保証明書が買主の手元にないと軽減が受けられません。付保証明書は買主控1枚と税制優遇の提出用4枚の計5枚が交付される運用が一般的で、発行には時間がかかるため、引渡しの3週間前くらいには保険証券の発行依頼を出しておく必要があります。保険自体は間に合っても書類が間に合わないという事故が起きやすいのはここです。実務だと、売買契約を結んだ日に「付保証明書はいつ出るか」を保険法人へ確認しておくくらいでちょうどいいと思います。
安心R住宅・建物状況調査との関係
既存住宅の制度は似た名前が並ぶので整理しておきます。
安心R住宅は国土交通省の告示に基づく登録制度です。その「安心」の要件のひとつが「インスペクションの結果、構造上の不具合および雨漏りが認められず、既存住宅売買瑕疵保険の検査基準に適合していること」と定められています。つまり安心R住宅と既存住宅売買瑕疵保険は、同じ検査基準で繋がっています。
一方、2018年4月施行の改正宅地建物取引業法で導入された建物状況調査(既存住宅状況調査)は別物です。媒介契約時に調査者のあっせんの可否を記載し、重要事項説明で調査結果の概要を説明し、37条書面で交付する、という3つの説明義務がかかります。ただしこの建物状況調査は瑕疵保険の検査そのものではないので、建物状況調査を受けたからといって保険に入れるとは限りません。ここを同じものとして説明してしまうと、後で「調査したのに保険に入れない」という話になります。
なお2021年の品確法・住宅瑕疵担保履行法の改正により、瑕疵保険が付いた既存住宅も住宅紛争処理の対象になりました。2022年10月からはリフォームや既存住宅売買も専門家相談・住宅紛争処理の対象です。弁護士会の調停などを申請料1万円で使えるので、保険料は紛争処理の入場券でもある、という見方ができます。
既存住宅売買瑕疵保険に関する情報まとめ
- 定義:中古住宅を対象に、建築士等の現況検査に合格した住宅だけが入れる任意加入の保険
- 法的位置づけ:住宅瑕疵担保履行法第19条第2号に基づく2号保険。新築の1号保険(資力確保義務)とは性格が違う
- 引受:国土交通大臣指定の住宅瑕疵担保責任保険法人5社(住宅あんしん保証/住宅保証機構/日本住宅保証検査機構/ハウスジーメン/ハウスプラス住宅保証)
- 2タイプ:宅建業者販売タイプは売主の宅建業者が申込者。個人間売買タイプは検査事業者または仲介事業者が申込者で、売主も買主も申込者ではない
- 保険期間:宅建業者販売は2年か5年の2択。個人間売買は1年という短い期間も選べ、商品により1年・2年・5年から選択
- 支払限度額:1住戸あたり500万円または1,000万円。5年を選ぶと1,000万円で固定
- 対象部位:構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分。給排水管路・給排水設備・電気設備・ガス設備は特約
- シロアリ(虫害):5法人とも不払事由に明記。この保険では対象外なので、防蟻は別手配になる
- 加入条件:新耐震基準への適合が確認でき、現況検査に合格すること。旧耐震は適合を示す書類が必要
- 検査の期限:直近の現場検査日から1年以内(RC・SRC造共同住宅等は2年)に引渡し。保険法人により設定が異なる
- 入れないケース:耐震適合の書類なし、雨漏りの跡・床の傾き・外壁の多数のひび割れ、売主が立入りを拒否、売主の宅建業者が加入に応じない、引渡し済み
- 加入後の制約:次の買主には引き継げない。保険期間開始後のリフォーム部分とそれに起因する損害は原則対象外(担保できる商品もある)
- 費用:保証料金は戸建て100㎡未満で1年・500万円が7万円、5年・1,000万円が15万円。これに検査料5万〜11万円程度と消費税が別途。料金は保険法人・事業者ごとに決定
- 費用負担:支払義務者は加入する事業者。実際に誰が負担するかは当事者間で決めるので契約前に取り決める
- 保険金:宅建業者販売タイプは(損害額−免責金額10万円)×縮小てん補割合80%で、倒産時は100%。個人間売買タイプは免責5万円を引くだけで縮小てん補はない
- 免責:自然災害、土地の沈下・液状化・土砂崩れ、虫害、自然消耗、保険期間開始後の増改築・補修部分
- 住宅ローン控除:令和4年以降入居は「昭和57年1月1日以後の建築」が原則要件。それ以前は耐震基準適合証明書/建設住宅性能評価書(耐震等級1以上)/付保証明書のいずれかで、付保証明書は取得の日前2年以内に締結したものに限る
- 使える税制:住宅ローン控除、買換え特例、贈与税非課税、登録免許税の軽減、不動産取得税の特例の5つ
- 段取り:登録免許税は登記時納付のため引渡しまでに付保証明書が必要。引渡しの3週間前を目安に保険証券の発行依頼を出す
- 関連制度:安心R住宅の「安心」は瑕疵保険の検査基準適合が要件。建物状況調査(2018年4月施行)は瑕疵保険の検査とは別物。2022年10月から既存住宅売買も住宅紛争処理の対象
以上が既存住宅売買瑕疵保険に関する情報のまとめです。
既存住宅売買瑕疵保険は「中古でも保証が付く」という説明で語られがちですが、実務での価値は税制の証憑と紛争処理の入場券にあります。タイプによって申込者と保険期間が変わること、現況検査に合格しないと入れないこと、付保証明書は取得の日前2年以内でないと使えないこと。この3点を押さえておけば、契約から引渡しまでのスケジュールを逆算できるようになります。
既存住宅売買瑕疵保険に関するよくある質問
Q1:既存住宅売買瑕疵保険は、買主が自分で申し込めますか?
できません。宅建業者販売タイプは売主である宅建業者が申込者(保険契約者・被保険者)で、個人間売買タイプは検査事業者または仲介事業者が申込者になります。買主が直接申し込む枠組みはありません。売主の宅建業者が加入に応じない場合、買主側からはどうにもできないので、購入の検討段階で「瑕疵保険は付きますか」と確認するのが実務です。個人間売買なら、仲介会社に検査事業者コースか仲介事業者コースでの加入を相談する形になります。
Q2:保険期間は2年と5年から選ぶのですか?
タイプで違います。宅建業者販売タイプは2年か5年の2択です。個人間売買タイプは1年という短い期間も選べ、商品により1年・2年・5年から選択します。宅建業者販売の短期が2年なのは、宅地建物取引業法第40条が宅建業者売主の場合に引渡しの日から2年以上の責任期間を求めているためです。なお5年を選ぶ場合、支払限度額は1,000万円になるのが一般的です。
Q3:シロアリや給排水管の不具合は保険で直せますか?
分けて考える必要があります。給排水管路・給排水設備・電気設備・ガス設備は、特約を付けて初めて対象になります。ただし4つすべてを扱っているのは一部の保険法人で、ガス設備を含まない商品もあるため、商品を指定して確認してください。一方シロアリ(虫害)は5法人すべてが不払事由に挙げているので、特約でも対象になりません。防蟻工事とその保証は別に手配する話になります。
Q4:どんな中古住宅だと加入を断られますか?
大きく2つです。ひとつは耐震性で、原則として昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた新耐震基準の住宅に限られ、それ以前の住宅は耐震基準への適合を示す書類が必要になります。もうひとつは現況検査で、雨漏りの跡、床の傾き、外壁の多数のひび割れといった劣化事象があると引受けできません。修補して再検査で合格すれば加入できますが、その時間を引渡しまでのスケジュールに織り込む必要があります。ほかに、売主が検査のための立入りを拒否している場合や、すでに引渡しが済んでいる場合も加入できません。
Q5:保険金はいくら支払われますか?
タイプで計算が違います。宅建業者販売タイプは免責金額10万円・縮小てん補割合80%が一般的で、200万円の損害なら(200万円−10万円)×80%で152万円です。個人間売買タイプは縮小てん補がなく、免責金額5万円を引いた額が支払われます。事業者が倒産等で補修できない場合は住宅取得者が保険法人へ直接請求でき、支払割合は100%になります(免責金額分は自己負担)。支払限度額は1住戸あたり500万円または1,000万円です。
Q6:住宅ローン控除のために付保証明書を使う場合、条件はありますか?
「家屋の取得の日前2年以内に締結された保険契約に係る付保証明書」であることが条件です。令和4年以降に入居する場合、中古住宅の要件は原則「昭和57年1月1日以後に建築された家屋」です。それ以前に建築された家屋については、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかで耐震基準への適合を証明します。以前の「築20年・耐火25年」という要件はすでに使われていないので、古い記事の情報で判断しないよう注意してください。
Q7:引渡し後に加入したり、次の買主に引き継いだりできますか?
どちらもできません。申込みと現況検査の合格は買主へ引き渡される前に済ませる必要があり、引渡し後に遡って加入することはできません。また保険は次の買主に引き継げないので、購入した住宅を数年で売却する場合、次の売買では改めて検査を受けて加入し直すことになります。加えて、保険期間の開始後に行ったリフォーム工事の部分とそれに起因する損害は原則として対象外です。購入直後に大規模リノベを予定しているなら、引渡し後のリフォームを担保できるタイプの商品があるので、商品選びの段階で相談してください。
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