- コンクリートの許容応力度ってどう決まるの?
- Fc24のときの許容応力度はいくつ?
- 長期と短期で何が違うの?
- 圧縮とせん断で式が違うって聞いた
- 短期は長期の2倍?それとも1.5倍?
- 早見表がほしい
- 設計基準強度Fcと許容応力度の関係が分からない
上記の様な悩みを解決します。
コンクリートの許容応力度は、RC造の構造計算はもちろん、施工管理がコンクリートの強度管理をするうえでも土台になる数字です。ところが「圧縮はFc/3」「せん断はFc/30」「短期は長期の2倍」など式がいくつもあり、しかも短期の扱いは法令と学会基準で食い違うため、混乱しやすいところです。今回は建築基準法施行令第91条をベースに、長期・短期の考え方、圧縮とせん断の求め方、Fc18〜30の早見表、そして実務での使いどころまで整理します。許容応力度計算そのものの全体像は記事末尾のリンクから確認できます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
コンクリートの許容応力度とは?
コンクリートの許容応力度とは、結論「設計基準強度Fcに安全率を見込んで、コンクリートに許してよい応力度の上限」のことです。建築基準法施行令第91条に基づいて決まります。
コンクリートは圧縮に強く引張に弱い材料で、その強さの基準になるのが設計基準強度Fc(単位N/mm²)です。ただしFcをそのまま使ってよいわけではなく、ばらつきや経年、施工誤差を見込んで安全率で割った値が許容応力度になります。ここで大事なのが、コンクリートの許容応力度は圧縮・せん断・付着などで式が別々に定められている点です。材料強度と許容応力度の関係はこちらでも整理しています。

僕の感覚だと、コンクリートの許容応力度は「Fcを安全率で割ったもの」という一点を押さえるのが先決です。個々の式(Fc/3やFc/30)はその安全率の中身にすぎないので、丸暗記より「Fcを何分の1にしているか」で捉えると忘れにくいです。
長期と短期の違い
許容応力度には長期と短期の2種類があり、結論「常時かかる力に対するのが長期、地震・暴風など一時的な力に対するのが短期」です。
- 長期:固定荷重・積載荷重など、常時作用する力に対する許容応力度
- 短期:地震力・風圧力など、まれにしか作用しない力に対する許容応力度
- 関係:短期は長期より大きく設定される(一時的なら少し無理を許す考え方)
コンクリートの場合、令91条では短期の許容応力度は長期の各値の2倍と定められています。地震や台風のような短時間の荷重に対しては、常時より高い応力度まで許容してよい、という設計思想です。長期と短期という考え方はコンクリートに限らず鋼材・木材も共通で、木材側の扱いはこちらが参考になります。

圧縮の許容応力度と早見表
コンクリートの主役である圧縮の許容応力度は、結論「長期=Fc/3、短期=2Fc/3(長期の2倍)」です。
設計基準強度Fcを3で割ったものが長期許容圧縮応力度、その2倍が短期です。代表的なFcで早見表にすると次のようになります。
| Fc(設計基準強度) | 長期圧縮 Fc/3 | 短期圧縮 2Fc/3 |
|---|---|---|
| 18 N/mm² | 6.0 N/mm² | 12.0 N/mm² |
| 21 N/mm² | 7.0 N/mm² | 14.0 N/mm² |
| 24 N/mm² | 8.0 N/mm² | 16.0 N/mm² |
| 27 N/mm² | 9.0 N/mm² | 18.0 N/mm² |
| 30 N/mm² | 10.0 N/mm² | 20.0 N/mm² |
たとえばマンションなどで多いFc24なら、長期の許容圧縮応力度は8.0N/mm²、短期は16.0N/mm²です。Fcを3で割るだけなので暗算しやすく、現場でも「Fc24だから長期8」とすぐ出せると図面のチェックが速くなります。
せん断の許容応力度
せん断の許容応力度は圧縮より少しややこしく、結論「長期=Fc/30が基本、短期は長期の2倍」です。ただしここに法令と学会基準の食い違いがあります。
令91条では長期許容せん断応力度をFc/30とし、短期はその2倍と定めています。たとえばFc21なら長期0.7N/mm²、短期1.4N/mm²です。ただしFcが21を超える高強度側では、告示・RC規準により(0.49+Fc/100)を上限とするため、単純なFc/30よりやや小さい値になる点に注意します(Fc24なら0.73N/mm²程度)。圧縮に比べて桁が一つ小さく、コンクリートがいかにせん断・引張に弱いかが数字に表れています。
注意したいのが短期の倍率です。建築基準法施行令では短期=長期の2倍ですが、日本建築学会のRC規準では従来から短期=長期の1.5倍とする運用があり、基礎や擁壁の設計でこの1.5倍が使われることが多いです。正直なところ、この2倍と1.5倍の使い分けは実務でも混乱の元なので、どの基準に基づく計算かを最初に確認するのが安全です。付着(鉄筋とコンクリートの一体性)に関わる定着の考え方はこちらもどうぞ。

Fc(設計基準強度)と許容応力度の関係
許容応力度はすべてFcから決まるので、結論「Fcを上げれば許容応力度も比例して上がる」という関係です。ここが実務と直結します。
設計者が断面や配筋で応力度が足りないと判断したとき、断面を大きくするほかに「Fcを上げる」という選択肢があります。Fc24をFc30にすれば長期圧縮許容応力度は8.0→10.0N/mm²に上がるわけです。ただしFcを上げるとコンクリートの単価が上がり、単位セメント量や施工性にも影響するので、むやみに上げればよいものでもありません。Fcを左右する配合の話はこちらが参考になります。

ヤング係数もFcに応じて変わるため、たわみやひび割れの検討にも効いてきます。コンクリートのヤング係数はこちらで解説しています。

施工管理がコンクリートの許容応力度をどう見るか
計算するのは主に設計側ですが、施工管理も許容応力度の意味を理解しておくと強度管理の重みが分かります。結論、施工管理の仕事は「設計が前提にしたFcを現場で確実に出すこと」です。
構造計算はすべて「Fc○○が出ている」前提で許容応力度を決めています。つまり現場でテストピース(供試体)の圧縮強度がFcを下回ると、設計が想定した許容応力度そのものが成立しなくなります。呼び強度をFcより高めに設定するのも、温度補正や強度のばらつきを見込んでFcを確実に上回らせるためです。実務だと、許容応力度の数字を追うより「なぜFc管理がこれほど厳しいのか」を腹落ちさせておくと、受入検査や供試体管理の意味が変わってきます。コンクリートの強度・スランプまわりの基礎はこちらもどうぞ。

コンクリートの許容応力度に関する情報まとめ
- コンクリートの許容応力度とは:設計基準強度Fcに安全率を見込んだ上限(令91条)
- 長期と短期:常時が長期、地震・暴風が短期。コンクリートは短期=長期の2倍(令91条)
- 圧縮:長期=Fc/3、短期=2Fc/3(Fc24で長期8.0・短期16.0N/mm²)
- せん断:長期=Fc/30が基本、短期は令91条で2倍・RC規準では1.5倍の運用あり
- Fcとの関係:Fcを上げれば許容応力度も上がるが単価・配合に影響
- 施工管理視点:計算の前提Fcを現場で確実に出すことが本質
以上がコンクリートの許容応力度に関する情報のまとめです。
圧縮・せん断の求め方から早見表、短期の倍率の注意点まで、実務で迷いやすいところは整理できたかなと思います。許容応力度計算全体の流れや検定比まで踏み込みたい人は、こちらもあわせてどうぞ。

