- 遮音シートって何でできてるの?ゴム?塩ビ?
- 貼るだけで隣の音って本当に聞こえなくなるの?
- ネットで「遮音シートは意味ない」って見たけど、何が原因で効かないの?
- 厚さや面密度が書いてあるけど、何を見て選べばいい?
- 図面に「遮音シート張り」とだけあるけど、ボードの裏?ボードとボードの間?
- 継ぎ目は重ねるの?突き付けてテープ?
- 施主に「これで静かになりますか」って聞かれても、何dB下がるとは言えない
- 界壁の遮音って法律で決まってたよね?シートを入れれば満たせるの?
上記の様な悩みを解決します。
「遮音シートとは何か」を厚さや面密度の数字だけで判断すると、貼る位置や継ぎ目の処理を誤り、思ったほど音を抑えられないまま現場を進めてしまいます。遮音シートは、壁や天井のボードと組み合わせて音の伝わり方を抑える建材で、単体の性能よりも張り方との組み合わせが効果を左右します。この記事では、仕組みから選び方、壁・天井への張り方、ボードを閉じる前に見ておきたい確認点まで、現場で迷いやすい順に整理しました。僕は、迷ったときは仕組みから確認するほうが後戻りしないと考えています。
遮音シートで検索すると、防音材の販売店や部屋のDIYの記事が上に並び、買って自分で貼る話が中心になりやすいんですよね。今回は定義・効きにくい理由・選び方・張り方といった基本を押さえた上で、建物の壁や天井の仕様として扱うときに外せない「カタログに載っている遮音の数字は何を前提にしているか」「継ぎ目の重ね寸法がメーカーでどう違うか」「共同住宅の界壁の決まりと遮音シートがどうつながるか」まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、仕様書の「遮音シート張り」を職人さんに説明する立場になった方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
遮音シートとは?重さで音の通り抜けを抑える仕組みと、吸音材との役割分担
遮音シートとは、結論「重さ(面密度)を使って、壁や天井を通り抜ける音を減らすためのシート状の建材のこと」です。厚みは薄いのに、1巻を持ち上げるとずしりと重い。この重さこそが遮音シートの性能の中心になっています。
中身の材質は、メーカーや品番によって違います。DAIKENの製品ページでは、遮音シート940SSの基材が「高比重物質配合リサイクル塩ビ樹脂シート」、遮音シート455Hの基材が「特殊非加硫ゴム」、粘着遮音シート940Nの裏面が「特殊ゴム化アスファルト、離型紙付き」と書かれています。フクビ化学工業の遮音シートFS-100は、本体の材質が「PVC」です(DAIKEN 製品ページ「GB03053」・製品シリーズページ「遮音シート」、フクビ化学工業 製品カタログ「遮音シートFS-100」PDFA239、いずれも2026年9月確認)。塩ビ樹脂系・ゴム系・アスファルト系と、同じ「遮音シート」でも中身はひとつではない、というのが最初に押さえたいところです。
では、なぜ重いと音が通り抜けにくいのか。一般社団法人日本音響材料協会の『音響技術』No.197(2022年3月)p.67は、「質量則」による透過損失について、「「面密度」と「周波数」の積をもとにして計算されます」と説明しています(2026年9月確認)。透過損失は、音が壁などを通り抜けるときにどれだけ減るかを表す量で、一般財団法人日本建築総合試験所(GBRC)の資料「わかりやすい試験シリーズ 音-02 音響透過損失試験」では「TLが大きいほど遮音性が高いことになります」とされています(2026年9月確認)。
同じGBRCの資料は、遮音性が高くなる条件を「一般に面密度が高く、隙間が少なく、共鳴等が起こらないものほど遮音性が高くなります。」とまとめています(2026年9月確認)。遮音シートの話に当てはめると、この記事で扱う論点はほぼこの3つに収まります。
- 面密度が高い:重い材料ほど透過損失が大きくなる方向に働くので、シートを選ぶときに最初に見る数字になる
- 隙間が少ない:平らな面をいくら重くしても、継ぎ目や端部に隙間が残るとそこが弱点になる
- 共鳴などが起こらない:中空層を持つ乾式二重壁系では共鳴透過などの影響があり、質量則では計算できないとされている(日本音響材料協会『音響技術』No.197 p.67)
よく混同されるのが、グラスウールやロックウールのような吸音材です。吸音材は音を吸う側の材料で、重さで通り抜けを抑える遮音シートとは役割が違います。遮音シートが音を吸い取ってくれるわけではないので、壁の中では両者を組み合わせて使う、という関係になります。
ネットでは「防音シート」という名前で売られている商品もありますが、呼び方は販売者によって違います。名前で判断せず、面密度などの仕様を見て、重さで遮る材料かどうかを確かめるのが確実です。
壁の中に充填するグラスウールの種類や性能を知りたいときは、次の記事が手がかりになります。

個人的には、遮音シートは「吸う材料」ではなく「重さで止める材料」と最初に頭に入れておくと、このあとの選び方も張り方も筋道が通って見えてくると思っています。
遮音シートが「意味ない」と言われる理由|数字の伸び方と、効きが落ちる原因
ネットで「遮音シートは意味ない」という声を見かけると、仕様に入っているのに本当に効くのか不安になりますよね。資料と照らし合わせると、この「意味ない」は、重さを足したときの伸び方が思ったより緩やかなことと、シート以外の条件で効きが落ちることの2つに分けて考えられます。順に見ていきます。
面密度を2倍にしても、計算上の増え方は約5.5dB
日本音響材料協会『音響技術』No.197 p.67には、面密度をm(kg/m2)、周波数をf(Hz)としたときの式として「TL0 = 20 log(f・m)−42.5」と「TL = TL0 −10 log(0.23 TL0)」が載っています。同じページでは「mを2倍にすると,TL0が6dB増加することになります」「mを2倍にすると,TLが約5.5 dB増加することになります」と説明したうえで、壁への音の入り方を考えると一般的にはTL0ではなくランダム入射のTLの方を使う、としています(2026年9月確認)。
つまり、音がいろいろな方向から壁に当たる前提の式(ランダム入射の式)では、面密度を2倍にしても計算上の透過損失の増加は約5.5dBにとどまります。なお、この計算の対象は均質と見なせる一重壁に限られます(日本音響材料協会『音響技術』No.197 p.67、2026年9月確認)。重さを倍にするのは材料としてかなりの変化ですが、数字の伸びは緩やかなんです。
建材メーカーのDAIKENも、よくあるご質問No.342で「一般に、同じ材料を2倍にした場合、遮音性能の改善量は約5dBです。」「耳に聞こえる音を1/2にするためには10dBの改善が必要で、同じ材料であれば4倍にする必要があります。」と説明しています(2026年9月確認)。同社の説明に沿って読むと、同じ材料を倍にしただけでは、音が半分に聞こえるところまでは届かないということになります。
シートを1枚足せば劇的に静かになる、と期待して入れると「意味ない」と感じやすい。その一因は、この伸び方の緩やかさにあると僕は考えています。
同じ面密度なら、低い周波数ほど計算上の透過損失は小さい
上の式の「TL0 = 20 log(f・m)−42.5」を見ると、透過損失は周波数fと面密度mの積で決まる形になっています(日本音響材料協会『音響技術』No.197 p.67、2026年9月確認)。面密度が同じなら、fが小さい、つまり低い音ほど計算上の透過損失は小さくなります。
ここから「低音にはまったく効かない」とまでは言えません。ただ、同じシートでも低い音ほど計算の上では通り抜けやすい、というところまでは式の形から読み取れます。床に敷いたときの効果については、張り方の節の床の項でメーカーごとの説明を並べます。
ボードと組み合わせた壁は、重さの計算がそのまま使えない
同じ『音響技術』No.197 p.67は、質量則の計算対象を単層壁に限るとしたうえで、「よく使われる乾式二重壁系(中空層にグラスウールを充填した石膏ボード壁など)の透過損失は,質量則では計算できないと考えて下さい」と書いています。理由として共鳴透過や中空層内減衰の影響を挙げ、JIS実験室での透過損失測定によるとしています。さらに、音が斜めに入って屈曲振動が起きるコインシデンス領域では「計算値と合いません」とも説明しています(2026年9月確認)。
下地の両面に石膏ボードを張って中空層を持たせた間仕切り壁に遮音シートを加えた構成は、資料のいう「均質と見做せる一重壁」には当たらず(日本音響材料協会『音響技術』No.197 p.67、2026年9月確認)、資料が例に挙げる乾式二重壁系と同じく中空層を持つ壁です。そのため、シートの面密度を足し算して壁全体の性能を出すやり方は取れず、壁の性能は資料のいう「JIS実験室での透過損失測定」の値で見ることになります。
実験室で測った値と、建物で測った値はずれる
日本音響材料協会の同じページには「実建物で室間音圧レベル差を測定し,これから計算した透過損失は,通常,JIS実験室での値と異なります.」ともあります(『音響技術』No.197 p.67、2026年9月確認)。
遮音壁を扱うチヨダウーテの資料「遮音等級関連」では、実験室で壁単体の透過損失から求めたTLD値と、実際の建築物での室間音圧レベル差(D値)の関係について、「迂回路音、側路伝搬等のマイナス要因を考慮すると1~2 ランク(5~10dB)程度低下するのが一般的です。」と説明しています(チヨダウーテ株式会社「遮音等級関連」、2026年9月確認)。これは同社の資料での説明ですが、壁単体でよい数字が出ていても、部屋と部屋の間で同じ数字になるとは限らないことが分かります。
D値やL値といった遮音等級の数字をどう読むかは、こちらで順を追って説明しています。

平らな面だけ対策しても、隙間があると効果が出ない
フクビ化学工業のFS-100カタログは、「天井・壁・床等平面部の防音・遮音だけでは効果が出ません。」と注意したうえで、「防音性能の低下の原因になっている廻り縁、巾木の周りの隙間は遮音テープを使用すれば簡単に処理できます。」と書いています(フクビ化学工業 製品カタログ「遮音シートFS-100」PDFA239、2026年9月確認)。GBRCの資料も「一般に面密度が高く、隙間が少なく、共鳴等が起こらないものほど遮音性が高くなります。」としており、同じ方向の話です(一般財団法人日本建築総合試験所「わかりやすい試験シリーズ 音-02 音響透過損失試験」、2026年9月確認)。
面の中央に重いシートを張っても、廻り縁や巾木の周り、突き付けの箇所に隙間が残っていれば性能は落ちます(フクビ化学工業 FS-100カタログ、2026年9月確認)。継ぎ目の重ねも、DAIKENはよくあるご質問No.601で「音漏れ防止のため」に求めています(2026年9月確認)。「意味ない」と言われるケースの中には、シートの性能ではなく納まりの問題が混じっている可能性がある、と見ておくのが安全です。
施主に「何dB下がる」と言い切れない理由
ここまでの話を、施主や管理組合に聞かれたときの説明用に整理すると次のようになります。
- 重さを足したときの伸びが緩やか:面密度を2倍にしても、ランダム入射の式では約5.5dBの増加(日本音響材料協会『音響技術』No.197)
- 中空層を持つ壁は質量則で計算できない:質量則の計算対象は均質と見なせる一重壁に限られ、乾式二重壁系の透過損失はJIS実験室での測定によるとされている(同上)
- 実験室と実際の建物で値がずれる:チヨダウーテの資料では、実験室の壁単体の値に比べて実際の建築物では5〜10dB程度低下するのが一般的と説明されている(チヨダウーテ「遮音等級関連」)
- 平らな面以外で効きが落ちる:廻り縁や巾木の周りの隙間が防音性能の低下の原因になる(フクビ化学工業 FS-100カタログ)
現場目線で言えば、施主に伝えるときはdBの数字を約束するより、「壁の構成と隙間の処理まで含めて仕様どおりに納めることで性能が出る」という順番で話すほうが、あとから認識の食い違いが起きにくいと思います。
遮音シートの種類と選び方|面密度・厚さ・材質と、カタログの数字の前提
カタログに厚さや面密度、1巻の重量が並んでいても、どれを基準に選べばいいのか決めきれないことがありますよね。まずは公式資料で仕様を確認できた製品を並べて、数字の見方をそろえます。
メーカーの製品ページとカタログで確認できた仕様は次のとおりです(DAIKEN 製品ページ「GB03053」・製品シリーズページ「遮音シート」、フクビ化学工業 製品カタログ「遮音シートFS-100」PDFA239 2026.8、いずれも2026年9月確認)。
| 製品(メーカー) | 厚さ | 幅×長さ | 1巻の重量 | 面密度 | 材質 |
|---|---|---|---|---|---|
| 遮音シート940SS・940SSE(DAIKEN) | 1.2mm | 940mm×10m | 19kg | 2.0kg/㎡ | 基材:高比重物質配合リサイクル塩ビ樹脂シート(940SSの製品ページ) |
| 遮音シート940B(DAIKEN) | 1.2mm | 940mm×10m | 20kg | 2.1kg/㎡ | 本記事では未確認 |
| 遮音シート455H(DAIKEN) | 2.8mm | 455mm×6m | 11.5kg | 4.2kg/㎡ | 基材:特殊非加硫ゴム |
| 粘着遮音シート940N(DAIKEN) | 2.8mm | 940mm×10m | 30kg | 3.2kg/㎡ | 表面:アスファルト含浸ポリエステル不織布/裏面:特殊ゴム化アスファルト、離型紙付き |
| 遮音シートFS-100(フクビ化学工業) | 1mm | 940mm×10m | 記載なし | 記載なし | 本体:PVC/不織布:ポリエステル |
表の出典は直前の段落のとおりです。DAIKENの製品シリーズページでは、940SSが「西日本用」、940SSEが「東日本用」と表記されています。フクビ化学工業のカタログでは、FS-100の規格は幅×長さ×厚さだけが示され、面密度と1巻の質量は書かれていません(いずれも2026年9月確認)。940Bの材質は本記事では確認できていないため「本記事では未確認」とし、公表資料に記載が無いことを確認したFS-100の「記載なし」とは分けています。
面密度は、日本音響材料協会『音響技術』No.197 p.67の言葉でいうと「単位面積当たりの質量;kg/m2」のことです(2026年9月確認)。1㎡あたり何kgあるかを表す数字なので、重さで遮る材料である遮音シートを比べるときの物差しになります。
選ぶときに見る順番
仕様表を上から順に眺めるより、次の順で見ていくと判断がぶれにくくなります。
- 面密度:重さで遮る材料なので最初に見る。FS-100のように面密度の記載が無い製品は、比べる前にメーカーへ確認する(フクビ化学工業 FS-100カタログ)
- 厚さ:厚さが同じでも面密度が同じとは限らない。表では同じ2.8mmでも455Hは4.2kg/㎡、940Nは3.2kg/㎡(DAIKEN 製品シリーズページ)
- 幅と1巻の重さ:持ち上げやすさや天井での扱いやすさに直結する。フクビ化学工業はカタログで「遮音シートはかなりの重量があります」とし、天井では野縁受けの強度を先に確認するよう求めている
- 材質と粘着の有無:940Nのように離型紙付きの粘着タイプもあるので、下地と留め方に合うかを施工要領で確かめる
- 品番が現行品か:DAIKENの製品シリーズページの見出しには「2026/08/21 一部生産中止品」とあるので、手配の前に品番を確認する(2026年9月確認)
940SSと940SSEが西日本用・東日本用に分かれている理由は、今回確認した資料からは読み取れませんでした(DAIKEN 製品シリーズページ「遮音シート」、2026年9月確認)。手配のときは、地域と品番の組み合わせを販売店かメーカーに確かめておくと安心です。
また、DAIKENの製品シリーズページには「[940B]防衛省民家騒音防止工事適合品」という記載があります(2026年9月確認)。この記載からシートの遮音値の大小は読み取れないので、性能の比較には使わず、仕様書に940Bの指定があるときに品番を照らし合わせる材料にとどめます。
カタログに載っている遮音の数字は、何を前提にしているか
カタログの遮音値を見るときは、その数字が載っているか、何を測った数字か、保証された数字か、の3点を先に確認します。
まず、DAIKENの製品ページと製品シリーズページには、周波数ごとの遮音性能値(dB)の記載がありません(2026年9月確認)。数字で比べたくても、同社の製品ページだけでは比べる材料がそもそも無い、という前提から入る必要があります。
一方、フクビ化学工業のカタログには「■遮音シートFS-100の音響透過損失性能」として、125〜4000Hzの音響透過損失がグラフで示されています。あわせて「※上記数値は社内実験値であり、保証値ではありません。」と注記されています(フクビ化学工業 製品カタログ「遮音シートFS-100」PDFA239、2026年9月確認)。これはカタログに示された社内実験値で、これから張る壁そのものを測った値ではないので、壁の性能に読み替えないようにします。
透過損失は周波数ごとに値が変わる量で、GBRCの資料では音響透過損失試験の対象周波数帯域を「100~5000Hz」としています(GBRC「わかりやすい試験シリーズ 音-02 音響透過損失試験」、2026年9月確認)。カタログのグラフも周波数ごとの値なので、ひとつの数字を切り取って「このシートは◯dB」と比べるのは避けたほうがいいです。
僕の感覚だと、カタログの数字は「製品を選ぶための参考」までにとどめ、壁の性能として施主に示す数字とは切り離しておくのが安全です。日本音響材料協会『音響技術』No.197 p.67が、乾式二重壁系(中空層にグラスウールを充填した石膏ボード壁など)の透過損失は質量則では計算できないとしていること、実建物で測った値から計算した透過損失は通常JIS実験室での値と異なると説明していること(2026年9月確認)が、そう考える理由です。
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カタログの数字や張り方の違いを確かめてから手配すると、現場で迷う場面が減ります。
- どの厚さ・面密度を選べばいいか、カタログを見ても決めきれない
- 壁・天井のどこに、どう張るのが正しいか毎回迷う
- 継ぎ目や隙間の処理をどこまでやれば後で文句を言われないか不安
遮音シートの張り方|張る位置の2通り、メーカーで違う重ね寸法、天井とLGS下地
図面に「遮音シート張り」とだけ書かれていると、職人さんに「ボードの裏に張るのか、ボードとボードの間なのか」と聞かれたとき、即答しにくいですよね。張り方はメーカーの施工資料に書かれているので、2社の資料を並べて違いを見ていきます。
張る位置は、下地に留めてからボードを張る方法と、ボード2枚の間に挟む方法の2通り
DAIKENは、よくあるご質問No.601(遮音シート940SS・940SSEの壁への施工方法)で、通常の施工として「柱・間柱にステープルで縦張りします」と説明しています。そのうえで「その上から横胴縁を施工し、石膏ボード等で仕上げます」とし、シートの上に直接石膏ボードを張ると「柱と間柱の位置で遮音シートの厚みが異なるため、石膏ボードが波打ってしまいます」と理由も書いています。胴縁を省きたい場合は、間柱の位置のシートの上に「遮音シートを幅狭にカットしたもの、もしくは遮音シート100B」を取り付ければ、横胴縁なしで石膏ボードを取り付けることも可能としています(DAIKEN よくあるご質問 No.601、2026年9月確認)。
フクビ化学工業のFS-100カタログも、切断したシートを「柱・間柱等の下地材にタッカーで止めます」とし、その際は「室内側に遮音シートの印刷面を向けてください」と向きを指定しています。加えて、「高い遮音性を得たい場合、天井・壁ともにせっこうボードを2重貼り(遮音シートはさみこみ)にしてください。」と、ボード2枚の間に挟む納まりも示しています(フクビ化学工業 製品カタログ「遮音シートFS-100」PDFA239、2026年9月確認)。
つまり、職人さんの「裏か、間か」という質問には、下地に留めてからボードを張る方法と、ボードを2重に張る間に挟む方法の両方が資料にある、というのが答えです。どちらで納めるかは図面・仕様書の壁の構成で決まるので、壁の断面を先に確認しておきます。
継ぎ目の重ねは「10mm以上」と「30mm程度」でメーカーごとに違う
継ぎ目の重ね寸法は、メーカーによって書かれている数字が違います。DAIKENはNo.601で「柱・間柱上で、遮音シートは10mm以上重なるように施工します」としています(DAIKEN よくあるご質問 No.601、2026年9月確認)。フクビ化学工業はFS-100カタログで「遮音シートの継ぎ目は下地のある箇所へ来るようにします。その際重ね合わせを30mm程度とってタッカーで止めます。」としています(フクビ化学工業 製品カタログ PDFA239、2026年9月確認)。
どちらかの数字を一般的な決まりとして覚えるのではなく、採用した製品の施工要領にある寸法で管理するのが基本です。図面に重ね寸法の指定が無ければ、納入される製品の資料を先に取り寄せておくと、現場で「どっちが正しいの?」と止まらずに済みます。
やむを得ず突き付けになった場合について、フクビ化学工業は「隙間よりも広幅のシートの切れ端をタッカー止めするか、遮音テープを用いて隙間を完全になくしてください。」としています。採寸と切断については「現場で採寸して切断します。」とし、FS-100には「303mmピッチの寸法線」が入っていると書かれています(同カタログ、2026年9月確認)。切断に使う工具の指定は、今回確認した資料にはありませんでした。
天井に張るときは、張る前に野縁受けの強度を確認する
天井については、フクビ化学工業のカタログに「遮音シートはかなりの重量があります。天井に施工される場合はあらかじめ野縁受けの強度を確認してください。」とあります。同じカタログでは、「天井部分にせっこうボードを二重貼りする場合、先に室内側のせっこうボードの上に遮音シートを貼ってから施工すると便利です。」という手順も紹介されています(フクビ化学工業 製品カタログ PDFA239、2026年9月確認)。
重いシートを頭の上で下地に留めていく作業は負担が大きいので、ボード2重張りの天井なら、先にボードにシートを貼っておく段取りを職人さんと事前に決めておくと進めやすくなります。
LGS下地の壁は、DAIKENの留め方がそのまま使えない
鉄骨造やマンションの内装などで、LGS下地の壁に張る場合は注意が必要です。DAIKENはよくあるご質問No.441で、同社の遮音シートについて「ステープルが軽量鉄骨下地に留まらないため、直接、軽量鉄骨下地に留めることはできません。両面テープ施工については、お勧めしておりません。」と回答しています(DAIKEN よくあるご質問 No.441、2026年9月確認)。
つまり、DAIKENがよくあるご質問No.601で示している柱・間柱にステープルで留める張り方は、同社の回答に沿うと、LGS下地の壁にはそのまま当てはめられません(DAIKEN よくあるご質問 No.441、2026年9月確認)。代わりの留め方は今回確認した資料には書かれていないので、採用する製品のメーカーに施工方法を確認してから段取りを組んでください。
LGSのスタッドやランナーなど、下地そのものの基本はこちらで押さえられます。

床に敷く使い方は、メーカーで説明が分かれる
床への使用は、2社で説明が分かれています。DAIKENは製品シリーズページで、455H・940B・940SS・940SSE・940N・100Nについて「本製品を床下地としてご使用されても軽量・重量床衝撃音を改善する効果はありません。」と明記し、よくあるご質問No.162でも「遮音シートを床に使用しても、ほとんど防音効果は期待できません。」としています(DAIKEN 製品シリーズページ「遮音シート」・よくあるご質問 No.162、2026年9月確認)。
一方、フクビ化学工業はFS-100を「建てる前の壁・床・天井の住宅防音用基本材料。」と位置づけ、「木造住宅で特に問題となる階下への床遮音対策に最適です。」と説明しています(フクビ化学工業 製品カタログ PDFA239、2026年9月確認)。
どちらかの説明を遮音シート全体の話として広げず、床に使う計画があるなら、採用する製品の資料で床への効果がどう書かれているかを確認するのが確実です。床の施工手順も今回の資料には載っていないので、その製品の施工要領で確かめます。
ボードを閉じる前に確認しておきたいこと
シートはボードを張ると見えなくなります。閉じる前に、次の点を見て回っておくと、あとから手を入れる事態を避けやすくなります。
- 継ぎ目の重ね:採用した製品の施工要領の寸法になっているか(DAIKEN よくあるご質問 No.601は10mm以上、フクビ化学工業 FS-100カタログは30mm程度)
- 突き付けの箇所:隙間が広幅の切れ端か遮音テープでふさがれているか(フクビ化学工業 FS-100カタログ)
- 廻り縁・巾木の周り:隙間を遮音テープなどで処理する段取りになっているか(同カタログ)
- シートの向き:印刷面を室内側に向けるよう指定がある製品では、その向きになっているか(同カタログ)
- 天井の下地:シートを張る前に野縁受けの強度を確認したか(同カタログ)
ステープル・タッカーの留め付けピッチや、コンセントボックス・配管の貫通部の処理方法は、今回確認したメーカー資料には記載がありませんでした。数字を推測で決めず、採用する製品の施工要領と設計図書で確認してください。
もうひとつ、DAIKENは製品シリーズページで「施工された部屋は、気密性が高くなりますので法令に定められた換気量を満足する換気扇を必ず設置してください。」と注意しています(DAIKEN 製品シリーズページ「遮音シート」、2026年9月確認)。遮音の工事と換気計画がつながっている点も、仕様を確認するときに見落とさないようにしたいところです。
正直なところ、今回の資料を並べてみると、メーカーが繰り返し注意しているのは面そのものより継ぎ目と端部です。DAIKENは「音漏れ防止のため」に柱・間柱上での重ねを求め(よくあるご質問 No.601)、フクビ化学工業は平面部の防音・遮音だけでは効果が出ないとして廻り縁・巾木の周りの隙間の処理を挙げています(FS-100カタログ、いずれも2026年9月確認)。重ね寸法と隙間の処理を「採用した製品の資料で決めて、閉じる前に見る」という流れを現場の段取りに組み込んでおけば、職人さんへの指示も検査もぶれにくくなります。
共同住宅の界壁の遮音基準と、遮音シートの位置づけ
マンションやアパートの界壁で「遮音」と聞くと、遮音シートを入れれば法律の基準をクリアできるのでは、と考えたくなりますよね。結論から言うと、界壁の遮音の構造が基準に合うかどうかは、シートの有無ではなく、国土交通大臣が定めた構造方法(告示)を用いているか、国土交通大臣の認定を受けたものかで判断します。あわせて、界壁が小屋裏又は天井裏に達していること(天井の構造で第2項を使う場合を除く)も基準の一つです(e-Gov法令検索 建築基準法第30条、2026年9月確認)。
建築基準法第30条は「長屋又は共同住宅の各戸の界壁」の決まり
建築基準法第30条第1項は、「長屋又は共同住宅の各戸の界壁」について、第一号で、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を低減するために必要な性能に関して「政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること」、第二号で「小屋裏又は天井裏に達するものであること」を求めています。第2項では、天井の構造が同じように政令の基準に適合し、大臣が定めた構造方法を用いるか大臣の認定を受けたものである場合は、第二号を適用しないとしています(e-Gov法令検索 建築基準法第30条、2026年9月確認)。
この形は2019年6月25日施行の改正(建築基準法の一部を改正する法律)によるものです。改正前の第30条は、界壁を「小屋裏又は天井裏に達するものとするほか」、遮音性能に関して政令で定める技術的基準に適合し、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるか大臣の認定を受けたものとしなければならない、という1つの文で、天井の構造による扱いは書かれていませんでした。改正で、界壁の構造(第一号)と小屋裏・天井裏に達すること(第二号)が分けられ、天井の構造が基準に適合する場合は第二号を適用しないという第2項が加わっています(e-Gov法令検索 建築基準法 2019年6月24日時点と6月25日施行の版の比較、2026年9月確認)。
政令で定める技術的基準は、建築基準法施行令第22条の3に次の表で決められています(e-Gov法令検索 建築基準法施行令第22条の3、2026年9月確認)。
| 振動数 | 透過損失 |
|---|---|
| 125ヘルツ | 25デシベル以上 |
| 500ヘルツ | 40デシベル以上 |
| 2,000ヘルツ | 50デシベル以上 |
出典は表の直前に書いた施行令第22条の3です。同条第2項では、第30条第2項の天井の技術的基準も「前項に規定する基準とする」とされています。
告示第1827号に並ぶ構造方法
「国土交通大臣が定めた構造方法」にあたるのが、昭和45年建設省告示第1827号です。現行の題名は「遮音性能を有する長屋又は共同住宅の界壁及び天井の構造方法を定める件」で、令和元年国土交通省告示第200号で題名が改正され、令和2年国土交通省告示第200号でも改正されています。令和元年の改正告示の附則には「建築基準法の一部を改正する法律の施行の日(令和元年六月二十五日)から施行する。」とあります(国土交通省 令和元年告示第200号 新旧対照表・令和2年告示第200号、2026年9月確認)。
告示は、「第一 下地等を有しない界壁の構造方法」「第二 下地等を有する界壁の構造方法」「第三 天井の構造方法」の3つに分かれています(国土交通省 令和元年告示第200号・令和2年告示第200号 新旧対照表、2026年9月確認)。
第一の一は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造で「厚さが十センチメートル以上のもの」です。第二の二は、界壁の厚さ(仕上材料の厚さを含まない)が10cm以上で、内部に厚さ2.5cm以上のグラスウール(かさ比重0.02以上)又はロックウール(かさ比重0.04以上)を張り、両面を仕上材料で覆うもので、その仕上材料の一つとして「厚さが一・二センチメートル以上のせつこうボードを二枚以上張つたもの」が挙げられています(国土交通省 令和元年告示第200号 新旧対照表・昭和45年建設省告示第1827号、2026年9月確認)。
第三の一は、厚さ0.95cm以上のせっこうボードで、その裏側に厚さ10cm以上のグラスウール(かさ比重0.016以上)又はロックウール(かさ比重0.03以上)を設けたもの、第三の二は「平成二十八年国土交通省告示第六百九十四号に定める構造方法」で、開口部を設ける場合はその開口部が遮音上有効な構造であるものに限られます(国土交通省 令和2年告示第200号 新旧対照表、2026年9月確認)。その第694号には、強化せっこうボード(せっこう・ガラス繊維・ひる石の含有率に条件が付いたものに限る)を「二枚以上張ったもので、その厚さの合計が三十六ミリメートル以上のもの」が設けられていること、という文言があります(国土交通省 平成28年告示第694号、2026年9月確認)。
告示の界壁の構造方法に出てくるロックウールの特徴は、こちらで確認できます。

強化せっこうボードが普通のせっこうボードとどう違うかは、次の記事で比べています。

遮音シートは告示の構造方法の要件には入っていない
告示第1827号の第一から第三に並ぶ構造方法を見ると、材料として挙がっているのはコンクリートの壁、せっこうボード、グラスウール又はロックウールなどで、「遮音シート」という語も、シート状の遮音材も出てきません。第三の二が引く平成28年告示第694号にも出てきません(国土交通省 昭和45年建設省告示第1827号・令和元年告示第200号・令和2年告示第200号・平成28年告示第694号、2026年9月確認)。告示の構造方法で界壁や天井をつくる場合、遮音シートを入れることは要件になっていない、ということです。
ただし、建築基準法第30条第1項第一号(e-Gov法令検索、2026年9月確認)には「国土交通大臣の認定を受けたもの」という別のルートがあります。認定を受けた構造に遮音シートを含むものがあるかどうかは、この記事では確認していません。なので「界壁に遮音シートは意味がない」「界壁には使えない」とも言えません。
現場で界壁の仕様を確認するときは、次の順で図面と仕様書を見ていくと整理しやすくなります。
- その壁が第30条の対象である「長屋又は共同住宅の各戸の界壁」か
- 界壁の構造が、告示第1827号の構造方法によるものか、大臣の認定を受けたものか
- 界壁が小屋裏又は天井裏に達しているか、天井側の構造で第30条第2項を使っているか
- 遮音シートが仕様に書かれている場合、それがどの仕様書・どの認定の構成の一部として書かれているか
僕としては、界壁でいちばん避けたいのは「遮音シートを足したから大丈夫」と、シートの有無で安心してしまうことだと思っています。界壁の適否は、告示か認定の仕様と、小屋裏・天井裏までの納まりで判断し、遮音シートは設計図書に指定があればその指定どおりに納める、と判断を分けておくと誤りにくいです。
遮音シートに関する情報まとめ
- 遮音シートとは:面密度(重さ)で音の通り抜けを抑えるシート。材質は塩ビ樹脂系・ゴム系・アスファルト系など製品で違い、音を吸う吸音材とは役割が別(DAIKEN・フクビ化学工業の製品資料)
- 「意味ない」と言われる理由:面密度を2倍にしてもランダム入射の式では約5.5dBの増加。乾式二重壁系は質量則で計算できず、実験室と建物の値もずれ、隙間でも効きが落ちる(日本音響材料協会『音響技術』No.197ほか)
- 種類と選び方:面密度→厚さ→幅と1巻の重さ→材質・粘着の有無→現行品かの順に見る。遮音の数字はDAIKENの製品ページには載っておらず、フクビ化学工業のFS-100カタログの透過損失は社内実験値で保証値ではなく、これから張る壁を測った値でもない(DAIKEN 製品シリーズページ・フクビ化学工業 FS-100カタログ)
- 張り方:下地に留めてボードを張るか、ボード2枚の間に挟む。継ぎ目の重ねはDAIKEN(940SS・940SSE)が10mm以上、フクビ化学工業(FS-100)が30mm程度で、採用製品の施工要領に従う。LGS下地と床はメーカーの説明を確認する(DAIKEN よくあるご質問 No.601・No.441・No.162・製品シリーズページ、フクビ化学工業 FS-100カタログ)
- 界壁との関係:建築基準法第30条・施行令第22条の3・告示第1827号の決まりで、界壁の構造は告示の構造方法を用いるか大臣認定を受けたものかで判断し、あわせて小屋裏又は天井裏に達すること(天井の構造で第30条第2項を使う場合を除く)が求められる。遮音シートの有無では決まらない
以上が遮音シートに関する情報のまとめです。
遮音シートで結果を分けるのは、どの製品を買うかより、壁の構成・継ぎ目と端部の納まり・界壁なら告示や認定の仕様を一続きで管理できるかどうかです。手配の段階で採用製品の施工要領を手元にそろえて重ね寸法と留め方を拾っておき、シートをボードで閉じる前に継ぎ目の重ねと突き付けを一周して確かめ、廻り縁と巾木の周りの隙間を処理する段取りも決めておく。ここまでやっておけば、施主に「何dB下がるの?」と聞かれたときも、数字の約束ではなく資料に基づいた説明で返せるはずです。実務だと、この説明の順番を先に決めておくほうが、打合せで答えに詰まりにくいと思います。
マンションのリノベーション工事で遮音シートを扱う機会が多いなら、工事全体の進め方もあわせて頭に入れておくと段取りが組みやすくなります。

遮音シートの疑問に、メーカー資料と法令の範囲で答えます
床に遮音シートを敷けば、階下への音は減りますか?
メーカーで説明が分かれます。DAIKENは自社の遮音シートを床下地にしても床衝撃音を「改善する効果はありません」とし、フクビ化学工業はFS-100を「階下への床遮音対策に最適」としています(DAIKEN 製品シリーズページ、フクビ化学工業 FS-100カタログ、2026年9月確認)。
防音シートと遮音シートは、同じものですか?
呼び方は販売者によって違うので、名前だけで同じとも別物とも決められません。重さで遮る材料かどうかは、面密度の記載を見て判断します。DAIKENの製品ページには1巻の重量と面密度が並べて書かれています(DAIKEN 製品ページ「GB03053」、2026年9月確認)。
石膏ボードを1枚増やすのと、シートを1枚入れるのはどちらが効きますか?
質量則では面密度と周波数で透過損失を計算しますが、ボードと中空層を組み合わせた乾式二重壁系は「質量則では計算できない」とされています(日本音響材料協会『音響技術』No.197 p.67、2026年9月確認)。計算で優劣は決まらないので、試験で測った値を比べて判断します。
グラスウールと遮音シートは、両方入れる意味がありますか?
吸音材は音を吸う側、遮音シートは重さで通り抜けを抑える側で、役割が違います。告示第1827号の界壁の構造方法には内部にグラスウール又はロックウールを張る例がありますが、遮音シートは要件に入っていません(国土交通省 告示第1827号、2026年9月確認)。界壁では図面の仕様にある構成どおりに納めます。
施主に「何dB静かになります」と伝えてもいいですか?
言い切るのは避けたほうが無難です。フクビ化学工業はFS-100カタログの透過損失を「社内実験値であり、保証値ではありません」と注記し、チヨダウーテ「遮音等級関連」では壁単体の実験室の値より実際の建物の室間の値が5〜10dB程度低下するのが一般的とされています(2026年9月確認)。
