- 主任技術者ってなに?
- どれくらいの金額から必要になるの?
- 主任技術者と監理技術者ってどう違うの?
- 実務経験と資格って?
- 専任と非専任について知りたい
- どんな時に不要になるの?
- 必ず常駐しなければならないの?
- 兼任することはできるの?
上記のような悩みを解決します。
主任技術者って分かりにくい決まりが多くて難しいですよね。
ですが安心してください。この記事では主任技術者に関する網羅的な情報を解説します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
主任技術者とは?
主任技術者とは、結論「建設現場の技術面に対して責任を持つ人」です。
建物を立てる際、その建物が技術的に確かなものでなければなりません。建物を作った人が『適当に作ったんですけど、多分大丈夫っす。』とかいってたら、ぶっ飛ばされますよね。
こういう施工をすれば、技術的に確かであるという指針が建設業には多くあります。
その辺を勉強し、施工した建物が技術的に問題が無いことを保証するのが主任技術者です。要するに技術面の責任者になります。
施工要領書とは簡単に言えば「施工の手順を記した書類」でして、お客様に対して『こんな感じで施工するよ!』というものを教える書類です。
照明器具を一つ施工するのにも、施工のやり方は様々あります。ではその施工のやり方が技術的に問題が無いか?ということを確認するのが主任技術者だったりします。
『この施工方法は技術的に微妙だから、こういう施工にしてくれ』と、時にはうるさいオジさん役を買って出なければならないです。
主任技術者と監理技術者の違い
主任技術者と監理技術者の違いは、結論「元請けか?下請けか?の違い」です。
まず監理技術者は「建設現場の技術面に対して責任を持つ人」になります。これ自体は主任技術者と意味合いは一緒ですよね。ただ、立場が違います。
建設現場には元請けと下請けがあります。大型現場になれば、元請けの下に1次受け、2次受け、3次受け、4次受けと下に階層構造ができます。
主任技術者は全ての会社に設置されるんです。
元請けの下に10社の下請け会社があるとしたら、10人の主任技術者が存在します。対して、監理技術者はどの現場にも1人しかいません。
要するに主任技術者のトップが監理技術者です。
注意点は、条件によっては監理技術者が不要であるということ。
監理技術者が必要になるのは下請けの受注合計が4000万円以上の場合のみです。
例えば、元請けが1億円で工事を受注したとして、下請けに対して5000万発注したら監理技術者は必要になります。ですが、発注額が3000万だったら監理技術者をおく必要な無くなります。
主任技術者の資格と実務経験に関して
主任技術者になるには、資格と実務経験が必要です。
どちらか片方が必要というわけではなく、両方必要になります。
建築工事や電気工事、管工事や塗装工事それぞれで主任技術者に必要な条件は異なります。どの種類の主任技術者になるのかは各自確認が必要です。
まず、建築工事の主任技術者になる為に必要な実務経験は、その人の学歴によって異なります。具体的には下記のような条件です。
建築工事の主任技術者に必要な実務経験
- 高卒の指定学科を卒業:実務経験5年
- 高専の指定学科を卒業:実務経験3年
- 大卒の指定学科を卒業:実務経験3年
- それ以外:実務経験10年
大学の指定学科とは、その名の通り指定された学科を卒業しているか?ということです。大学は卒業しているけど、建築とはなんら関係無い学科(経済学部とか)を卒業していたら実務経験は10年必要だったりします。
高校だったら工業高校がありますし、大学だったら工学部があります。それぞれの指定された学科によって、実務経験は変わりますので、自分が卒業した学科が指定学科に含まれるのか?を確認しましょう。
資格に関しては下記です。
建築工事の主任技術者に必要な国家資格
- 建設機械施工技士
- 1級土木施工管理技士
- 2級土木施工管理技士
- 技術士
- または上記と同等以上と認められるもの
主任技術者の専任と非専任について、兼任の条件
まず、専任とは「掛け持ちではなく、その現場のみを担当すること」です。
主任技術者の専任とはその主任技術者がその現場のみで働くことであり、非専任とは主任技術者が他の現場も掛け持ちするということです。兼任と言ったりもしますね。
では具体的に、どのような場合に専任で、どのような場合に非専任(兼任)になるのか。
結論から言えば、3500万以上の工事は専任でなければなりません。
もし3400万の工事があったとしたら、専任の必要はありません。非専任、つまり兼任することができます。もっと突き詰めて言えば、3499万9999円の工事があったとしても、非専任が可能です。(流石に無いとは思いますが)
ただ、3500万以上の工事では、主任技術者は専任しなければなりません。
主任技術者は建築物の技術面に対する責任を持ちます。大型現場を複数やるとなると、主任技術者さんは見きれません。すると建物に不具合が発生してしまう可能性があります。
とはいえ、昨今の人手不足もあり、全ての現場を専任にするのは非合理的です。
そこで国土交通省が「3500万」という線引きをした訳です。
理論上、1000万の工事を20件掛け持ちすることもできます。ただ、それでは主任技術者のリソースが間に合いませんので、3500万という線引きをした意味がありません。
主任技術者の仕事量を考え、兼任するにしても適切な量の現場にしておきましょう。
主任技術者は常駐しなければならないの?
主任技術者の常駐は専任・非専任・兼任についての話の続きになります。
基本的に専任の場合は、その現場のみを担当する訳ですから、必然的に常駐になります。対して非専任(兼任)の場合は、複数現場に行かなければなりません。常駐しないという話です。
つまり、工事金額が3500万以上の場合は必ず常駐しなければなりません。
対して、工事金額が3500万を下回る場合は常駐する必要はありません。
まとめると下記です。
主任技術者の専任、非専任、常駐、非常駐、兼任についてのまとめ
- 工事金額が3500万以上:専任→常駐
- 工事金額が3500万より下:非専任(兼任)可能→常駐しなくていい
建設業法第7条には「建設業者は主任技術者を建設工事現場に必ず専任で配置しなければならない」とあります。3500万以下は兼任できるというのは、あくまで例外的に許されるというだけです。
国道交通省がそう定めているので、法律的に問題はありませんが「当たり前にオッケー」という話ではありませんので、勘違いしないようにしましょう。
主任技術者が不要な場合ってあるの?
結論から言えば、主任技術者が不要な場合はあります。
全ての会社に主任技術者を置くって割と大変ですよね。先ほど実務経験と資格の話もありましたが、小さな会社にとっては大きな負担となっています。
正確に言えば建設業法の一部が改善された格好ですね。これが可決されたので、2020年10月1日から主任技術者の配置義務は変わります。
具体的に言えば、下記のような条件の場合は主任技術者の配置が不要です。
改正建設業法 第26条の3
- あらかじめ下請負人が注文者の書面による承諾を得ること
- 元請負人と下請負人が書面による合意をすること
- 元請負人の主任技術者が、当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し1年以上の指導監督的実務経験があり、工事現場に専任で置かれていること
- 下請負人が更なる下請契約をしないこと
注意点としては「特定専門工事であること」です。
逆に特定専門工事以外の場合は、主任技術者に関する条件は変わりません。必ず必要になってくるので、混同しないようにしましょう。
具体的に、特定専門工事とは下記のような条件を指します。
建設業法施行令第30条
- 大工工事又はとび・土工・コンクリート工事のうち、コンクリートの打設に用いる型枠の組立てに関する工事
- 鉄筋工事
- 特定専門工事の対象となる建設工事の下請代金の合計額は、3500万未満
要するに受注額3500万円未満の鉄筋工or型枠大工という訳です。
残念ながらそれ以外の会社は引き続き主任技術者の配置が必要になります。決まりですので、守るようにしましょう。。。
主任技術者に関する情報まとめ
主任技術者に関する情報まとめ
- 主任技術者とは:建設現場の技術面に対して責任を持つ人
- 主任技術者と監理技術者との違い:元請けか?下請けか?の違い
- 主任技術者の実務経験と資格:上章参照
- 主任技術者の専任条件:3500万以上の場合
- 主任技術者が専任しなくていい場合:3500万を下回る場合
- 主任技術者が不要な場合:上章参照
- 主任技術者は常駐が必須か?:必須ではない
- 主任技術者は兼任可能か?:3500万を下回るなら兼任可能
以上が主任技術者に関する情報のまとめです。
一通り主任技術者の基礎知識は網羅できたと思います。
似たような役職としては、現場代理人などがありますね。明確に違うものではありつつも、違いが分かりにくい部分ではありますので理解しておきましょう。
下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。