スプリンクラーとは?警戒範囲、散水障害、ヘッドの種類など

  • スプリンクラーってなに?
  • 図面ではどんな表記なの?
  • 警戒範囲ってどれくらい?
  • 散水障害と対策って?
  • どんな種類があるの?
  • 耐用年数は?

上記のような悩みを解決します。

スプリンクラーが正しく施工できなければ、建物を竣工することはできません。

建物は消防法に乗っ取った施工をする必要があり、消防検査を通過しなければ現場は終了しないんです。正しい知識を身につける必要があります。

この記事ではスプリンクラーに関する網羅的な情報を解説します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

スプリンクラーとは?

スプリンクラーとは、結論「火災が発生した際に水を撒く設備のこと」です。

建物は建物利用者が安全に利用できるように設計・施工しなければなりません。当然のことながら火災時の対策もする訳で、火災が発生した際に役立つ設備は様々なものがあります。

具体的には下記のような種類がありますね。

火災対策の種類

この中で「火を消す」という役割を果たすのがスプリンクラーです。

もう少し詳細に解説すると、火災には「初期火災」と「中期火災」があります。

初期火災は広がる前の小さな火災のことでして、中期火災は広がってしまった大きな火災のことです。スプリンクラーは「初期火災」に対応する為の設備になります。

燃え盛る火災をスプリンクラーでは消せない、というのは想像しやすいと思います。

火災が発生した初期段階、あまり大きな火災になっていないものを消火するのがスプリンクラーです。

 

スプリンクラーの図面表記

図面においてスプリンクラーは、上図のような表現をします。

丸くなっている部分がスプリンクラーヘッドですね。

スプリンクラーは水を撒く設備な訳ですが、水を供給する配管が必要になりますよね。横棒の部分が配管を示しているという訳です。

 

スプリンクラーの警戒範囲

スプリンクラーの警戒範囲は、結論「6m以下で半径2.6m以内」です。

まず大前提として、製品と高さによります。ものによって警戒範囲が3mくらいのものになります。あくまで一般的なものの一例だと考えてください。

あえて言うなら、メインで使われてるのは半径2.6m以内ですね。

スプリンクラーがどこにいくつ必要か?と考える場合、図面にスプリンクラーを配置し、スプリンクラーを中心に半径2600mmの円を書きましょう。(補助線にしておいた方がベター)

基本的に部屋全体にくまなく水が散水される必要がありますから、部屋全体が円の中に収まるように細かい位置の微調整が必要です。

また、天井に付くのはスプリンクラーだけではありません。

天井に付くもの

  • 吸気口
  • 排気口
  • 照明器具
  • 非常灯
  • スピーカー
他の機器もつきますから、ぶつからないように取り合いを行いましょう。

 

スプリンクラーの散水障害と対策

スプリンクラーでは散水障害の可能性を考慮しなければなりません。

例えば、スプリンクラーの真下に大きな物が置かれていたとしたら、大きなものが邪魔になって水を巻くことができませんよね。これでは散水障害は発生してしまいます。

結論を言えば「全ての床面に水が届かなければアウト」です。

いつ、どこで火災が発生するのかは分かりません。よって、どこで火災が発生したとしても対応できるように設備を組んでいかなければならないんです。

この辺は消防署の管轄ですので、詳しくは消防署との協議が必要です。

散水障害のチェック項目一例

  • 散水の障害になるものはないか?
  • 満遍なく散水されるようスプリンクラーを施工しているか
  • パーテーションで区切られた場合はどうか?
  • カーテンなどが散水障害にならないか?
上記のような項目において、正しく設計する必要があります。

 

スプリンクラーヘッドの種類

閉鎖型スプリンクラーヘッド

水の出口が常にしまっているものを「閉鎖型スプリンクラーヘッド」と呼びます。

配管部分に水が詰まっており、火災を検知すると水の出口が開き、散水されるという仕組みです。一番メジャーなのがこの閉鎖型スプリンクラーヘッドですね。

水がすぐ出てくるのはメリットですが、デメリットは間違えて配管が傷ついてしまった時です。

例えば、パソコンの多い部屋で工事をしている際、誤ってスプリンクラーの配管を傷つけてしまったら、盛大に水が撒かれます。もう目も当てられません。

このような事故を防止する為「予備動作式スプリンクラー」というものがあります。火災を検出しなければ散水しないスプリンクラーでして、火災でない場合は作動しないというのが特徴です。

閉鎖型スプリンクラーは一番メジャーなスプリンクラーですので、様々な種類が開発されています。

閉鎖型スプリンクラーヘッドの種類

  • 湿式スプリンクラー
  • 乾式スプリンクラー
  • 予備動作式スプリンクラー

 

開放型スプリンクラーヘッド

水の出口が常に開いているものを「開放型スプリンクラーヘッド」と呼びます。

基本的に配管に水は通っていません。火災を検知すると貯水してある部分から水が供給され、水が撒かれるという仕組みになっています。

ちなみに遠隔での操作も可能でして、手動で制御盤からの作動も可能です。

下記のように、火災の広がりが早いと想定されるような場所で採用されます。

開放型スプリンクラーヘッドが採用される場所

  • 化学工場
  • 倉庫
  • 劇場

 

放水型スプリンクラーヘッド

10m以上の天井に取り付けるものを「放水型スプリンクラーヘッド」と呼びます。

閉鎖型、開放型は共に6m以下の天井高さにしか施工できません。普通の階高なら6mを超えるものはありませんが、吹き抜けの場合は平気で6mを超えてきたりします。

そこで採用されるのが放水型のスプリンクラーヘッドという訳です。

 

スプリンクラー設備の耐用年数

スプリンクラーの耐用年数は、結論「8年から20年」です。

スプリンクラーの耐用年数

  • 閉鎖型スプリンクラーヘッド:18年から20年
  • 感知用ヘッド:8年から10年

タイプによって若干の誤差があるようです。

スプリンクラーは他の設備に比べて、不備の具合が分かりにくい設備になります。

例えば、照明設備だとしたら、電球の照明を一目見れば分かりますよね。ただスプリンクラーは火災の時にしか作動しないものですので、設備に不具合があるのか分かりにくいんですよ。

とはいえ更新工事を行う目安は決まっていますので、定期的なメンテナンス・定期的な更新工事を行うことにより、正しく設備を運用するようにしましょう。

 

スプリンクラーに関する情報まとめ

スプリンクラーに関する情報まとめ

  • スプリンクラーとは:火災が発生した際に水を撒く設備のこと
  • スプリンクラーの図面表記:上図参照
  • スプリンクラーの警戒範囲:6m以下で半径2.6m以内が一般的
  • スプリンクラーの散水障害と対策:全ての床面に水が届かなければアウト
  • スプリンクラーの種類:開放型、閉鎖型、放水型
  • スプリンクラーの耐用年数:8年から20年

以上がスプリンクラーに関する情報のまとめです。

一通りスプリンクラーの基礎知識は網羅できたと思います。

スプリンクラー設備の施工が終了したら、消防検査を受ける必要がありますよね。消防検査に関する知識をつけておけば、スプリンクラー設備に対する理解も深まります。

下に消防検査に関する情報をまとめた記事リンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。

それでは!