- 真空ガラスって結局、複層ガラス(ペアガラス)と何が違うの?
- 「真空」って本当に真空なの?どうやって保ってるの?
- 厚さが1枚ガラスと同じって本当?既存サッシにそのまま入る?
- 熱貫流率(U値)はいくつ?単板・ペアと数字で比べたい
- スペーシアって商品名だよね。図面や仕様書にはどう書く?
- ガラスの中に点々が見えるって聞いたけど、施主に説明できる?
- 現場で切断できる?寸法違いが出たらどうする?
- ガラスを替えても枠が結露するって聞いた。どうすればいい?
- 省エネ基準や補助金の対象になる?何の数値を拾う?
上記の様な悩みを解決します。
真空ガラスは、2枚の板ガラスの間の層を真空にして熱の伝わり道を断ったガラスで、ペアガラス(複層ガラス)とは別のJIS規格で定められています。「1枚ガラスと同じ厚みだから既存サッシにそのまま入る」と思われがちですが、溝幅や水抜き穴などの施工条件を満たさないサッシには入りません。今回は構造・断熱性能・複層ガラスとの違いといった基本を押さえた上で、メーカーの製品ページやガラス交換業者の記事では薄くなりがちな「発注前に外せない施工条件」「現場合わせが一切効かないこと」「ガラスを替えても枠が結露して効果が出ないケース」まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、改修の見積を任されたばかりの方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
真空ガラスとは?
真空ガラスとは、結論「2枚の板ガラスの間の層を真空にして、熱の伝わり道を断ったガラス」のことです。一般社団法人板硝子協会の建築用ガラス用語集(2021年11月)は、用語番号5052の真空ガラスを「2 枚の材料板ガラスで構成され,ガラス間隙(真空層という。)が真空状態にあるガラス。真空状態とは,真空層の気圧が絶対圧力で 1 Pa 以下の状態をいう。」と定義しています。「ほぼ真空」ではなく、絶対圧力1 Pa以下という数値で線が引かれているのが出発点です。
熱は空気を介した対流と伝導でも伝わるので、その空気を抜けば層が薄くても断熱が効きます。総厚が薄いのは、断熱を層の厚さで稼いでいないからです。ただし空気を抜いた層を挟むだけでは大気圧でガラス同士が密着するため、真空層を成立させる部材が入ります。用語集は次の4つを定義しています。
- ピラー(3009):「真空ガラスで,2 枚の材料板ガラスの間隔を保つための小さな円柱状部材。」
- エッジシール(3010):「真空ガラスの真空層を真空状態に保つための材料板ガラス周囲部分の封止構造。」
- 真空排気ポート(3011):「真空ガラスで,材料板ガラスの面内又は周囲部分に配置され,2 枚の材料板ガラス間の気体を排気するための構造。」
- ゲッター(3012):「真空ガラスで,真空層内の残留気体を吸着する材料。」
呼び方には注意が要ります。JISと板硝子協会の用語集はこれをピラーと呼び、日本板硝子は自社資料でマイクロスペーサーと呼んでいます。両者を同一と明記した公表資料は確認できなかったので、この記事では呼び分けたまま扱います。
真空ガラスには単独のJIS規格がある
競合記事が触れていない点です。真空ガラスにはJIS R 3225:2022という専用の規格があり、制定は令和4年1月20日、状態は有効です。「1 適用範囲」は「この規格は,主に建築物に使用する真空ガラスについて規定する。」と定めています。序文によると、2018年に第1版として発行されたISO 19916-1を基に、国内市場の実態に整合させるため技術的内容を一部変更して作成された規格です。
現場では「スペーシア」で通っていますが、これは日本板硝子の製品名で、一般名称は真空ガラスの側です。図面や仕様書には、商品名ではなくJIS R 3225という規格番号と真空ガラスという呼称で書けば、特定メーカーを指定せずに要求を出せます。
なお、日本板硝子は2024年7月9日のプレスリリースで「今般6月28日に、当社子会社の真空ガラス製造工場において、国内で初めて真空ガラスのJIS(日本産業規格)認証を取得しましたのでお知らせします。」と発表しています。注記は「今回、認証を取得した製品は、Low-Eガラス3ミリ+真空層0.2ミリ+フロート板ガラス3ミリ、もしくは、すり板ガラス3ミリを使用した真空ガラスシリーズです。」として、その他のラインナップは順次取得する予定としています。シリーズ全製品が認証済みではないので、認証品を条件にするなら品番単位の確認が要ります。
ペアガラス(複層ガラス)と比べる|規格・層・厚さ・重さ
結論、両者は「間の層に何が入っているか」も「拠って立つJIS規格」も違います。
複層ガラスを規定しているのはJIS R 3209:2023(2023年4月20日発行、状態は有効)です。その「1 適用範囲」は「この規格は,主に建築物及び冷凍・冷蔵ショーケースに使用する複層ガラスについて規定する。」で始まり、ただし書きで中空層が1層または2層のものに限るなどの限定が付いています。
そして同規格の「2 引用規格」は16件(JIS B 7502/7512/7516、R 3106/3107/3202〜3206/3208/3221〜3223/3224-1/3224-3、Z 8401)で、この中に真空ガラスのJIS R 3225は入っていません。「真空ガラスは複層ガラスの一種」という説明を見かけますが、規格としては別立てだというのが資料から確認できる事実です。ただし、どちらの規格も「真空ガラスは複層ガラスではない」と明文で述べているわけではないので、適用範囲と引用規格の建て付けとして押さえておくのが正確です。
構成と厚さの違いは次のとおりです。日本板硝子の製品ページはスペーシアの構成を「スペーシア(Low-Eガラス3ミリ+真空層0.2ミリ+フロート板ガラス3ミリ)」としています。
| 項目 | 真空ガラス | 複層ガラス |
|---|---|---|
| 規格 | JIS R 3225:2022 | JIS R 3209:2023 |
| 間の層 | 真空層(絶対圧力1 Pa以下) | 中空層(気体) |
| 構成例 | スペーシア=Low-Eガラス3ミリ+真空層0.2ミリ+フロート板ガラス3ミリ(総厚6.2ミリ) | ペアマルチ18ミリ=FL3/A12/FL3 |
同社は「「スペーシア」の厚さは一枚ガラスとほぼ同じ6.2ミリ。だから、いまお使いのサッシがそのまま使えます。」とも書いています。
重量については、日本板硝子が「たとえば設計風圧力が1,800N/㎡の場所で2.0㎡のガラスを使用する場合、ペアマルチでは厚さ14ミリ(FL4+A6+FL4)が必要で、ガラスの概算重量は40kgにもなりますが、スペーシアでは厚さ6.2ミリで30kgと軽く、施工性に優れています。」と説明しています(耐風圧強度は複層ガラスの約1.5倍とも書かれています)。設計風圧力1,800N/㎡・2.0㎡という条件付きの概算値なので、単位面積あたりの一般値として持ち出さないでください。
間に何を挟むかで名前が変わるガラスは他にもあり、合わせガラスとの区別はこちらで整理しています。

断熱性能を数字で確認する
結論、公表されている熱貫流率は「製品名と呼び厚さごとの値」で、真空ガラス一般の値ではありません。
日本板硝子のカタログ『高性能ガラスシリーズ』2019年9月版の性能値一覧(p.33-34)から並べます。
| 製品・呼び厚さ | 熱貫流率 W/(㎡・K) |
|---|---|
| フロート板ガラス3ミリ | 6.0 |
| ペアマルチ18ミリ(FL3/A12/FL3) | 2.9 |
| スペーシア21 断熱クリア18.2ミリ | 0.91 |
| スペーシア21 断熱クリア21.2ミリ | 0.85 |
| スーパースペーシア8.2ミリ(RSFL4SU1*/V0.2/FL4) | 0.65 |
数値を書き写すときは、製品名と呼び厚さを必ずセットにしてください。「真空ガラスは0.65」と書くと、スーパースペーシアの8.2ミリという限定が落ちてしまいます。
そして基本品番スペーシア(6.2ミリ)の熱貫流率の絶対値は、公表資料の中に見つけられませんでした。公式サイトにあるのは「スペーシアは、真空層とLow-E膜の効果により、熱貫流率が飛躍的に向上、フロート板ガラスの約4倍、一般複層ガラス ペアマルチの約2倍の断熱性能を発揮します。」という倍率での説明です。倍率から逆算した数値をこの記事で出すことはしません。基本品番の値が要るなら、最新のカタログでメーカーに確認してください。
算定の根拠も押さえておきます。同カタログp.34の脚注は「熱貫流率はJIS R3107:1998」に基づく値としながら、「但し、スペーシアシリーズの熱貫流率は、複層ガラスの性能の向上に関する 熱損失防止建築材料製造事業者等の判断の基準等(平成26年11月28日経済産業省告示23号)に基づいて求めた値です。」としています。スペーシアシリーズの値だけ、算定の拠りどころが他のガラスと違います。
さらに、算定方法を定めるJIS R 3107(建築用板ガラスの熱貫流率の算定方法)は2019年3月20日に改正され、規格本文に「これによって,JIS R 3107:1998 は改正され,この規格に置き換えられた。」とあるとおり、現行はJIS R 3107:2019です。カタログの「JIS R3107:1998」は2019年9月版の作成時点の表記なので、性能値を仕様書や計算に引くときは最新版で確認してください。
なお、メーカーは断熱と併せて遮音性も性能に挙げていますが、今回確認した公表資料からは呼び厚さごとの遮音の数値を拾えなかったため、この記事では数値を出しません。遮音が要求される開口部では、品番を決める前にメーカーに実測値を確認してください。
熱貫流率という指標そのものの意味と単位はこちらが詳しいです。

既存サッシに入る理由と、入らないケース
結論、厚さが1枚ガラスとほぼ同じというのは本当ですが、それはサッシ側の条件を満たしている場合の話です。ここが最大の落とし穴です。
前章のとおり、日本板硝子は総厚6.2ミリで既存サッシがそのまま使えると説明しています。ところが同社カタログ2020年11月版p.35-36「ご採用にあたっての注意事項①/◎設計上のご注意【共通】」には、サッシ側の条件が明記されています。22番は「標準施工が可能な溝幅、深さを持つサッシ、水抜き穴のあるサッシを選定してください。」、6番は「組子格子付の窓にスペーシアシリーズを採用することはできません。」です。
採用の可否に直結する条件を拾うと次のとおりです。
- 標準施工ができる溝幅と深さを持つサッシであること
- 水抜き穴のあるサッシであること
- 組子格子付の窓ではないこと
- スーパースペーシアは「コーナーなどの突き合わせ施工はできません。」
- スーパースペーシアは「二重サッシや内窓には…ご使用になれません。」
高地の条件も見落とされやすいところです。スペーシア21の設計上のご注意2番は「海抜1,000mを越える高地では使用できません。」とした上で、「標高500〜800mで、中空層が12ミリを超える、短辺寸法が400mm以下の場合」「標高800〜1,000mで、中空層が12ミリを超える、短辺寸法が500mm以下の場合」も気圧差による破損が生じる場合があるとして事前相談を求めています。「1,000mを超えなければ大丈夫」と覚えていると、標高500m台から始まる条件が抜けます。
重量が増えてクレセントや戸車が持つのか、という点は、公表資料で耐荷重の記述を確認できませんでした。既存サッシの品番と年式で話が変わるので、推測せずサッシメーカーと施工店に投げるのが正解です。サッシ本体の材質による違いはこちらにまとめています。

サッシの種類と基本的な構成はこちらが参考になります。

現場目線で言えば、真空ガラスの検討は「ガラスを選ぶ」より先に「既存サッシを調べる」作業です。現地調査で、溝幅・深さ・水抜き穴・組子の有無の4点を写真と実測で押さえておけば、見積の後で採用不可が判明する事故は防げます。
発注で外せない制限|現場合わせが効かない
結論、真空ガラスは現場で寸法を直せません。日本板硝子カタログ2020年11月版p.35-36の【共通】設計上のご注意2番は「スペーシアシリーズは矩形のみです。穴あけ、切り欠きなどはできません。また切断や面取りなどはできませんので、寸法は正確にご発注ください。」としています。真空層を封止した構造のためですが、板ガラスの感覚で「現場で少し落とせばいい」とはいきません。
寸法の上限と下限も決まっています。2019年9月版カタログp.33-34の製作可能寸法は、スーパースペーシアが最大2,400×1,500ミリ/最小350×200ミリ、スペーシア21も同じく最大2,400×1,500ミリ/最小350×200ミリです。大開口のFIXや小さな欄間・小窓は、この枠から外れないかを先に当たっておきます。矩形のみという条件もあるので、丸窓や台形の意匠窓、切り欠きが要る納まりは対象外になります。
発注前に確定させるのは次の4点です。
- 実測寸法(切断も面取りもできないので、採寸を外すと作り直しになる)
- 開口が矩形か、製作可能寸法の最大・最小に収まっているか
- 穴あけや切り欠きを前提にした納まりになっていないか
- 既存サッシの溝幅・深さ・水抜き穴(前章の条件)
価格は、公表資料で単価も差額も確認できていないので、この記事では金額を書きません。高性能品なので単板ガラスより上の価格帯には入りますが、実額は開口寸法と数量で動くため、見積で押さえてください。「割れやすいのでは」という声については、今回確認した範囲では、公表資料で破損に触れているのは、いずれも使用条件についての注意でした。日本板硝子カタログ2020年11月版p.35-36の【スペーシア21】設計上のご注意2番は「海抜1,000mを越える高地では使用できません。」とし、標高500〜800mおよび800〜1,000mでは中空層と短辺寸法の条件に当てはまる場合を事前相談としています。同p.35-36の【スーパースペーシア】設計上のご注意1番は「網入板ガラスで構成するスーパースペーシアは、使用条件によって熱割れを生じることがありますので、事前にご検討ください。」としています。今回確認した範囲では、材料そのものが脆いと述べた記述は見当たりませんでした。ここも断定はしません。
僕の整理では、真空ガラスは「ガラスの選定」ではなく「発注の精度」で失敗する材料です。性能表を見比べる時間より、現地で寸法を正確に取る時間のほうが効いてきます。
効果が出ないケースと、施主への説明
結論、ガラスを替えても枠は替わらないので、期待値の調整を先にしておくのが施工管理の仕事です。
まず見え方です。日本板硝子カタログ2020年11月版p.35-36の12番は「マイクロスペーサーはほぼ等間隔に配列されていますが、製法上、若干のズレやヌケなどが生じることがあります。その場合でも性能への影響はありません。」としています。ガラスの中に点状のものが見えるのはこの部材で、不良ではありません。同資料19番には「ガラス面に風などの外力が加わると、ごくまれにガラスから僅かにきしむような音が聞こえる場合があります。これは真空層を保持するマイクロスペーサーに起因するもので、性能、強度への影響はありません。」ともあります。引き渡し後に指摘されてから説明すると不信を招くので、着工前に伝えておく話です。
次に枠の結露です。真空ガラスが効くのはガラスの部分だけで、サッシの枠そのものの断熱性能は交換前と変わりません。結露は室内の水蒸気が冷えた面に触れて起きるので、一番冷たい面が枠に移れば、そこに水滴が残ります。「ガラスは乾いているのに枠だけ濡れる」という状態はここから来ます。改善の程度は枠の材質と室内の温湿度で変わるため、見積を出す時点で「枠は対象外です」と一言添えておくだけで、クレームの芽がひとつ消えます。結露の原因と対策はこちらが参考になります。

網入りガラスの窓を替えたいという相談も多いところです。日本板硝子カタログのスーパースペーシアの設計上のご注意1番は「網入板ガラスで構成するスーパースペーシアは、使用条件によって熱割れを生じることがありますので、事前にご検討ください。」としています。網入りガラスそのものの性質はこちらで解説しています。

防火の扱いについては、分からないと書きます。網入板ガラスの窓を真空ガラスに替えたときの防火設備としての扱いは、公表資料の中で確認できませんでした。平成12年建設省告示第1360号の例示仕様をまとめた業界団体の参考資料にも、日本板硝子のカタログにも該当の記述は見当たらず、関連するのは公式の注意事項にある「※アタッチメントは大臣認定防火設備には使用できません。」の1文だけです。防火設備が必要な開口部では、断定せずに設計者と確認検査機関へ確認してください。
施主に先に伝えておくことを整理すると、次の4点です。
- ガラスの中に点状のものが見える(マイクロスペーサー。性能への影響はない)
- 風でごくまれにきしむような音が聞こえる(同じく性能・強度への影響はない)
- 枠の結露はガラス交換だけでは残る場合がある
- 網入板ガラスの構成では熱割れの事前検討が要り、防火設備の扱いは別途確認する
省エネ基準と補助金での位置づけ
結論、開口部の基準も補助金の区分も「窓」として評価されるので、ガラス単体では決まりません。国土交通省は「2025年4月〜省エネ基準適合が義務化」として「脱炭素社会の実現に向け、日本では2025年4月以降に着工する住宅などに省エネ基準への適合が義務化されています。」と示しています。根拠法は建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号、建築物省エネ法)です。
開口部そのものの基準値は告示に書かれています。住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準(平成28年1月29日国土交通省告示第266号、最終改正 令和6年6月28日国土交通省告示第975号)の「(3)開口部の断熱性能等に関する基準」には「イ 開口部…の熱貫流率が、地域の区分に応じ、次の表に掲げる基準値以下であること。」とあり、基準値は次のとおりです。
| 地域の区分 | 開口部の熱貫流率の基準値 W/(㎡・K) |
|---|---|
| 1・2・3 | 2.3 |
| 4 | 3.5 |
| 5・6・7 | 4.7 |
| 8 | 規定なし |
この基準値は開口部としての熱貫流率で、ガラス単体の数値を当てはめる欄ではありません。外皮計算の進め方はこちらにまとめています。

補助金も同じ考え方です。環境省の先進的窓リノベ2026事業は、正式名称を「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ2026事業)」といい、予算は1,125億円(令和7年度補正予算)です。同事業のガラス交換のページには「要素②:窓の性能区分(熱貫流率) P(SS)Uw・1.1以下/S Uw・1.5以下/A Uw・1.9以下」と区分が示され、注記でUwは「本事業における、窓(ガラス・サッシ)の性能を表す指標の一つです。」と説明されています。
同じページには、施工管理として一番効く一文もあります。「同じガラスであっても、既存サッシとの組み合わせにより、窓の性能区分が変わります。」です。つまり「真空ガラスを入れれば◯グレード」という言い方は成り立たず、同じ製品でも相手が古いアルミサッシか複合サッシかで区分が動きます。営業段階でグレードを口約束しない、これが実務上の結論です。
工事種別ごとの違いにも注意が要ります。2026年事業では、ガラス交換と外窓交換(カバー工法)にAグレード(Uw1.9以下)が残っている一方、内窓設置はP(SS)とSの2区分だけでAがありません。「Aグレードが対象外になった」と限定なしに聞くと全工事の話に思えますが、外れたのは内窓設置です。ガラス交換と内窓設置は制度上も別の工事種別で選べる区分が違うので、どちらを提案するかはこの前提で比較します。補助額は工事種別とサイズで細かく分かれるため、この記事では区分の考え方までにとどめます。2026年の補助事業の全体像はこちらで整理しています。

真空ガラスに関する情報まとめ
- 真空ガラスとは:2枚の板ガラスの間隙を絶対圧力1 Pa以下にしたガラス。JIS R 3225:2022という単独の規格がある
- 複層ガラスとの違い:複層ガラスのJIS R 3209:2023は引用規格にR 3225を含まず別立て。間の層が気体か真空かが差
- 断熱性能:公表値は製品名と呼び厚さごと。スーパースペーシア8.2ミリで0.65、基本品番スペーシア6.2ミリの値は非公表
- 既存サッシ:総厚6.2ミリで入る前提はあるが、溝幅・深さ・水抜き穴の条件があり、組子格子付の窓は不可
- 発注の制限:矩形のみで切断・穴あけ・面取り不可。製作可能寸法は最大2,400×1,500ミリ、最小350×200ミリ
- 効果が出ないケース:枠は交換されないので枠の結露は残りうる。防火設備としての扱いは公表資料で確認できない
- 省エネ基準と補助金:告示266号の基準値も窓リノベ事業の区分も窓全体のUwで、既存サッシとの組み合わせで変わる
以上が真空ガラスに関する情報のまとめです。
真空ガラスの検討は、カタログの数値を見比べる作業ではなく、既存サッシを調べる作業から始まります。溝幅、深さ、水抜き穴、組子の有無、開口の形状、実測寸法。この6つを現地調査で押さえれば、あとは製作可能寸法に収まるかを当てるだけです。ここを飛ばして「厚さが同じだから入る」で見積を出すと、現場合わせが効かない材料なので取り返しがつきません。最初に効くのは断熱の数字ではなく採寸だと、僕は考えています。
省エネ性能が制度上どう表示されるかは、あわせて読むならこちらです。

よく併用される型板ガラスとの違いはこちらです。

